―麻子の家―
麻子「すまんな、沙織。手伝ってもらって」
沙織「掃除くらい1人でやってよーって言いたいところだけど、麻子のことだからね」
麻子「そうだな。わたしだからな」
沙織「少しは悪びれようよぉ……」
麻子「手が届く範囲はいつも掃除しているぞ」
沙織「この机の引き出し、ほこりがすごいけど?」
麻子「そこは今まで一度も掃除したことがない」
沙織「一度も!?」
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麻子「使ってないからな」
沙織「だからってほこりくらい払おうよ……うわ、中身もほこりっぽい」ゴチャー
麻子「おお、懐かしいものがいっぱいだ」
沙織「お菓子についてくるオモチャに、ビー玉? 麻子、こんなの集めてたの?」
麻子「いや、単に処分に困ってここに入れたのだろう」
沙織「覚えてないの?」
麻子「ここにあるのは幼稚園か小学校の時のだな。むしろ沙織の方がよく覚えてるんじゃないか?」
沙織「わたしが? ……あっ! これ、麻子にあげたビーズの腕輪だ! 懐かしー!」
麻子「む? この奥に挟まってる紙切れは――」
麻子「なんでも言うこと聞く券……?」
麻子「3枚あるぞ」
沙織「わたしの字だ。そう言えば、麻子への誕生日プレゼントが全然決まらなくて作ったっけ」
麻子「そんなことがあったな」
沙織「結局、麻子はこの券を使ってくれなかったんだね」
麻子「あの時は特に思いつかなかった」
沙織「あっ。裏面に『友だちだからずっと有こう』って書いてある」
麻子「なんだこれ」
沙織「うーんと……たしか、あの頃同級生で転校しちゃった子が居たじゃん?」
麻子「覚えてない」
沙織「で、わたしは麻子が転校したら嫌だなーって思って」
沙織「ずっと友だちとして側に居たいって思ってたから、それでわざわざ書いたのかな」
麻子「は、恥ずかしいことを平気で言うなっ」テレッ
沙織「?」
沙織「ま、たぶんそんな意味だよ。ずっと友だちで居てねって気持ちを込めて」
麻子「言われなくともお前とは切っても切れない腐れ縁だ」
沙織「なにその言い方ーっ! もうっ」プイッ
麻子「ならば、この券は今でも有効ということか」
沙織「……え?」ドキッ
麻子「そうだろ? 今でも友だちだろ? わたしたち」ズイッ
沙織「ま、まさか麻子、この券を使うつもり……?」プルプル
麻子「こんな便利なもの、今使わずしていつ使うんだ」ニヤリ
沙織「ひえーーーっ!!」
―翌朝・麻子の家―
ピピピ ピピピ
麻子「んむぅ……もう朝か……」
沙織「ほ、ほら麻子ぉ? 起きて学校に行こう?」ニコニコ
麻子「任せる……」
沙織「ちょっ!? 任せるって、着替えとか歯磨きとかは!?」
麻子「任せる……」
沙織「だって1枚目の命令は『明日は一日麻子のそばに居る』だけでしょ!?」
麻子「もう1枚使っただろ……『明日は一日わたしに徹底的に優しくしろ』って……」
沙織「ぐぬぬ……それじゃ着替えさせてあげるから、布団はぐよ?」
麻子「それは嫌だ」
沙織(あぁっ、もうっ!)
沙織「お布団の中でお着替えしましょーねー」イラッ
麻子「おう……頼む……」
沙織(麻子の制服持って、麻子の布団の中に潜り込んで……)モゾモゾ
沙織(麻子の温もりの中、麻子のパジャマを脱がして……)モゾモゾ
沙織(なにこの……なにこれ!?)
麻子「沙織……手、冷たい……」
沙織「ご、ごめんね麻子ぉ」ピキピキ
沙織「ほら、コップと歯ブラシと洗面器、持ってきたよ! ……じゃなくて、持ってきたよぉ?」ニコッ
麻子「よろしく……」
沙織(まるで大きな子どもじゃないのよぉー!)
沙織「ほ、ほら? お口あけてくれるかな?」
麻子「んあ……」
沙織「それじゃ、歯磨きしましょー」
麻子「んお……」シャカシャカ
沙織「…………」
麻子「んう……」シャカシャカ
沙織(あれ、なんか麻子が可愛い……い、いやいや、わたし騙されてるから!)
沙織「それじゃ、朝ご飯にするからちゃんと起きて」
麻子「学校で食べる……」
沙織「…………」イラッ
沙織「……わかった。じゃあ、おにぎり作るね。朝ご飯用の」
麻子「おう……」zzz
沙織(ってまた布団で寝始めた! これを学校までおんぶして運ぶのかぁ……)
―台所―
沙織「ハア、わたしってお母さんになったら子どもにガミガミ怒ってばっかりなのかなぁ?」
沙織「さすがにこれは麻子がワガママすぎるだけだよね……」
沙織「えっと、麻子の好きな具はっと……」ニギニギ
―通学路―
沙織「お、重い……」
麻子「ぐぅ……」zzz
沙織(一応欠員が出た時用に装填の訓練はしてたけど、わたしそこまで腕力ないよぉ!)
優花里「あ! 武部殿に冷泉殿~! おはようございますっ!」ビシッ
沙織「あっ、ゆかりん。おはよー」
麻子「むぅ……」zzz
沙織(いつもは華と登校してるけど、麻子を連れてく時はゆかりんと会うんだよね)
優花里「なんだか大変そうですが、カバンだけでも持ちましょうか?」
沙織「ううん、大丈夫。そう言ってくれるだけで嬉しいよ」
優花里「冷泉殿、今日は特にぐっすり眠っていらっしゃいますね」
沙織「今日はね、わたしが麻子を起こさなかったの」
優花里「ええっ? 何故ですか?」
沙織「実は……」
優花里「なんでも言うこと聞く券、ですか」
沙織「もー、昔の自分を恨むよー」
優花里「でもなんだか、友情の証! って感じがして羨ましいですぅ!」
沙織「……うん。そうかなって自分でも思ってるよ」
沙織「麻子、こんなだけどわたしの幼馴染だし」
麻子「すぅ……」zzz
優花里「朝の冷泉殿はいつもしかめっ面でしたけど、今日は幸せそうです」
沙織「そりゃそうよ。わたしがここまでしてあげたんだから、幸せ顔になってもらわなきゃ困る!」
優花里「そうですね」フフッ
沙織「あっ! ゆかりん、お願いがあるんだけど、いい?」
優花里「はい、なんでしょう?」
沙織「このまま校門行くとさ、絶対そど子さん居るじゃん?」
優花里「あー……なんとなく言いたいことがわかりました」
沙織「正直早く麻子を降ろしたいから、ひと悶着は避けたいんだよね」
沙織「そど子さんの気を引いててもらえないかな?」
優花里「つまり囮作戦ですね! 不肖秋山優花里、命に代えても敵を引きつけ友軍の活路を切り開きますっ!」
沙織「命はかけなくていいからーっ!」
―校門―
優花里「おはようございますっ! 風紀委員園みどり子殿!」
園「おはよう、秋山さん。朝から元気いっぱいで模範的ね」
優花里「お褒めにあずかり光栄であります! ところで今度、ルノーB1bisに乗せていただけませんか?」
園「へ? なんで?」
優花里「やはりフランスが誇るB1型重戦車の主力生産型ですし、その装甲の防御力はドイツ軍をも恐れさせたと言います!」
優花里「もちろんいくつかの箇所に弱点がありますが、そこさえ狙わせなければ戦車道において決して弱くはありません!」
優花里「それにカモさんチームの機動力や通信力は素晴らしいです! ルノーB1bisの欠点が完全に克服されていますっ!」
園「そ、そう? そんなに言うなら、もちろん乗せてあげるけど」テレッ
優花里(今ですよ、武部殿!)チラッ
沙織(ありがと、ゆかりん!)スタスタ
麻子「ぐぅ……」zzz
―麻子の教室―
沙織「ほら、教室についたよ。さすがに恥ずかしいからもう起きて」ユサユサ
麻子「んぅ……ありがと、沙織……好き……」ウトウト
沙織「うっ! は、恥ずかしいからやめてってば! 周りに見られてるから!」アワアワ
沙織「ほら。朝ご飯置いておくから。それじゃ、わたしは自分の教室行くね」
ギュッ
沙織「ちょっと、服つかまれても……」
麻子「そばに居てくれ……」ウトウト
沙織「い、いやいや、さすがにそこまでは聞いてあげられないって!」
沙織「気持ちはそばに居るから! お昼になったらまた迎えにくるから、ね?」
麻子「……わかった」
沙織「もう。今日の麻子、甘えん坊すぎだよー」
―お昼・食堂―
沙織「―――ってことがあってさー」モグモグ
麻子「ここまでも付き添ってもらった。この後は一緒に昼寝する」モグモグ
華「沙織さんはお優しいですね」
みほ「うんうん。なんだかお母さんって感じ」
沙織「こんなにおっきい子どもじゃ大変だよぉ」ハァ
麻子「世のお母さんはもっと大変なんだぞ」
沙織「あんたはどこ目線なのよ!?」
優花里「まあまあ。それにしても、一緒にお昼寝というのはなんだかいいですね!」
華「わたくしも一度、草原で横になってみたいです」
みほ「ね、麻子さん。わたしたちも一緒していいかな?」
麻子「ん、いいぞ」
―訓練場―
麻子「ここなんか昼寝に最適だ」
華「空は広いし、風は気持ちいいですね」
沙織「それじゃ、あんこうの甲羅干しといきますか」
優花里「武部殿、あんこうに甲羅はありませんよ?」
沙織「わかってるよ!?」
みほ「そう言えば、3枚目はまだ使ってないんだよね?」
麻子「ああ」
沙織「逆にすぐ使ってほしいよー。なんか後が怖いし」
麻子「考えておこう」
優花里「何に使うのか気になりますねぇ」
麻子「沙織、膝枕」
沙織「えぇー。それ3枚目?」
麻子「いや、2枚目だ」
沙織「別にいいけどさぁー。はい、どうぞっ」
麻子「おお、このもちもちの太ももがたまらん」ムニッ
沙織「そ、そんなに太ってないもん!」
華「むしろ沙織さんはもっと食べた方がよろしいのではないかと」
沙織「いや華の基準で考えられても!」
優花里「西住殿! 良かったらわたしの太ももを使いませんか!」
みほ「えっと、気持ちだけ受け取っておくね」アハハ
麻子「すぅ……」zzz
みほ「麻子さん、もう寝ちゃったね」
沙織「朝も十分寝てたはずなんだけどなぁ」ナデナデ
麻子「んんぅ……」
みほ「ふふっ。猫さんみたい」
華「麻子さんを見ていたら、わたくしも、眠く……なって……」ウトウト
優花里「……ぐぅ」
みほ「みんな寝てる。沙織さんは?」
沙織「わたしは起きてるよ。全員で寝過ごしたら目も当てられないでしょ?」
みほ「それじゃ、お言葉に甘えてわたしも寝ちゃおっと」
みほ「……すぅすぅ」
沙織(なんだかわたし、保母さんみたい)フフッ
―戦車道の授業・Ⅳ号戦車内―
みほ「一旦茂みに隠れます。沙織さん、白組全車への通信準備だけして待機でお願いします」
麻子「ほら沙織。もっときびきび働け」
沙織「今日は一日中あなたの子守りで疲れてるんですけど?」プンプン
麻子「疲れていたからと言い訳してやられてもいいのか」
沙織「よくないっ! もー、わたしが麻子に優しくしてるんだから、麻子もわたしに優しくしてよーっ!」
麻子「わたしが沙織に優しくしたら気持ち悪いだろ」
沙織「あ確かに」
優花里「って認めちゃうんですか」
華「きっと麻子さんなりの優しさがあるのだと思いますよ」
沙織「わかってるけどさぁー!」
―格納庫前―
優花里「今日はお疲れ様でした! これで今日の授業は終了ですね」
沙織「この後みんなでどっか行く? あ! ドーナツ食べるっ?」
麻子「沙織。わたしと2人で出かけないか?」
沙織「えっ? 麻子と2人? みんなは?」
麻子「みんなには悪いが、沙織と2人きりにしてほしい」
華「あらあら」
みほ「今日は2人はずっと一緒だね」
優花里「仲良きことは美しきかな、ですね!」
沙織「えぇー、麻子とデートかぁ……なんか疲れそう」
麻子「優しく優しく」
沙織「……いいよ、麻子♪ 一緒に放課後デートしよっ♪」ニコッ
麻子「おお……」
沙織「引かないでよっ!?」
―夕方・海の見える公園―
沙織「それで、どしたの? どこか行きたいところでもあるの?」
麻子「いや、少し2人で話したくてな」
沙織「なにを?」
麻子「今日はその……1日甘えさせてくれて、ありがとう」
沙織(なんだ麻子、それが言いたかったんだ)
沙織「ホントだよー。もっと感謝してよね」
麻子「実はな、あの券をもらった頃のこと、わたしはちゃんと思い出していたんだ」
沙織「えっ?」
麻子「あの頃クラスから転校した子がいたが、あれは衝撃的な出来事だった」
麻子「居るのが当たり前だった同級生が、いきなり居なくなることが普通にあるんだと思い知った」
麻子「わたしも沙織と同じことを考えた。もし沙織が転校したらどうなるんだろうって」
麻子「すごく怖かった。もちろん、お父さんとお母さんみたいに死んじゃうわけじゃない」
麻子「でも小さい頃のわたしには区別がつかなかった。事故があってまだ1年くらいしか経ってない頃だったしな」
沙織(そっか。麻子は人一倍お別れに敏感だったんだ)
麻子「だって、沙織が居なくなったら、小さい頃から付き合いのある人間はおばぁだけになる」
麻子「そのおばぁだって、もう先は長くない」
麻子「今のわたしには西住さんも五十鈴さんも秋山さんも、戦車道のみんなも居るが」
麻子「幼馴染は沙織しか居ないんだ」
沙織「麻子……」
麻子「例の券を1枚も使ってなかったのも、沙織がわたしから離れてしまうような時に使おうと考えていたからだ」
麻子「わたしのそばに居ろ、どこにも行くなと命じてな」
麻子「その頃の気持ちを思い出してしまって、今日は沙織に無理を言ってしまった」
沙織「ううん」
麻子「とても居心地がよかったぞ。とても安心した」
麻子「お前のプレゼントに感謝してもしきれないと思った」
麻子「まあ、あの券を引き出しにしまったまま忘れてたのは事実だが」
沙織「――麻子っ」ダキッ
麻子「おっと。急に抱き着くな」
沙織「麻子は天才なのにバカだなぁ、もう。なんでそれ、すぐ言ってくれないの」ウルッ
沙織「そしたら今日1日、麻子にもっと優しくしてあげれたのに」ギュッ
麻子「……そうなると思ったからでもあるが、まあ、照れくさかったんだ」
麻子「――今、最後の1枚を使おうと思う」
沙織「……いいよ。なんでも言って」
沙織「あ、でもキスとかはダメだよ!?」アワアワ
麻子「お前な……」ハァ
沙織「あ、あはは。ごめんごめん。それで?」
麻子「…………」
麻子「…………」
麻子「……わたしが死ぬまで親友でいてくれ」
沙織「……え?」
麻子「これから先、離れて暮らすこともあるだろう。中々会えなくなることだってある」
麻子「それは仕方ないんだ。もう子どもじゃないし、そこを否定しようとは思わない」
麻子「わたしは沙織の進む道を応援したいと思っているしな」
麻子「だから、わたしが死ぬまで、わたしの親友で居てくれればそれでいい」
麻子「まあ、親友の定義は自分でもよくわからんが」
麻子「ちなみに、わたしより先に死ぬな、ってのも含んでるからな」
沙織「……さっすが麻子はワガママだなぁ」
沙織「麻子より先に死んじゃうかどうかなんてわかんないよ」
麻子「そ、それは、そうだが……」
沙織「それに、言われなくたってわたしたちは一生親友だよ?」
麻子「……たぶん、色々迷惑かけるぞ」
沙織「麻子が低血圧で、ワガママで、甘えん坊でも、わたしは麻子の親友だから」
沙織「そんな麻子がわたしは好きだから」
麻子「……そうか」
麻子「一生、親友……か……ぐすっ、ひぐっ」ポロポロ
沙織「ちょ、ちょっと麻子!?」
麻子「わた、しは……その言葉が、聞きたかっただけ、なのかもな……」グスッ
麻子「あ、安心し、たら……涙が……」ヒグッ
沙織「もー。そんなにわたしって信用なかった?」
麻子「そうじゃ……ない、が……」グシグシ
沙織「よしよし。ほら、もう泣かないの」ナデナデ
麻子「さおりぃ……」ダキッ
沙織「はいはい、麻子の親友の沙織ですよー」ナデナデ
麻子にはお父さんとお母さんが居ない。
小学生の時、事故で両親を亡くしてしまったから。
そんな麻子を可哀想な子だと思わなかったといえばウソになる。
わたしはどこか、麻子のお母さんのような存在になりたいと思っていたのかもしれない。
麻子の心にできた隙間を埋めてあげたいと思っていたのかも知れない。
それを感じてか、麻子は子どものようにわたしに甘えてくるのかも知れない。
そんな麻子がたまらなく愛おしくて切ない。
この前久子おばぁが入院した時、麻子はずっと考えてたんだろう。
おばぁが居なくなったら、自分はどうなるのかって。
あの時の麻子の不安そうな瞳は、やっぱりわたしを見ていたんだと思う。
ずっとそばにいてほしいって、1人にしないでって、訴えてたんだ。
でも麻子は1人じゃない。わたしが、ううん、今はわたしたちが居る。
わたしたちなら一緒に同じ未来に向かって行ける。
だって戦車はどんな悪路でも突き進んでいけるから!
あんたはその戦車の操縦手なんだから!
パンツァー・フォーだよ、麻子!
―翌朝・麻子の家―
沙織「起・き・ろぉぉーーっ!!」
麻子「眠い……」
沙織「こんなことするために麻子の家に泊まったわけじゃないのにーっ!」
麻子「夜はあんなに……優しかったのに……」
沙織「いや一緒にお風呂入って一緒に寝たけど変なことは無かったよね!?」
沙織「もう昨日みたいに優しくしてあげないんだからね! ちゃんと自分の足で学校に行くの!」
麻子「朝が来るのが悪い……わたしは悪くない……」
沙織「んもーーっ!」
沙織「はぁ……はぁ……」
麻子「すやぁ……」
沙織「……麻子の親友、やめちゃおっかな」ボソッ
麻子「っ!?!? そ、それは困るっ!!」ガバッ
沙織「なんて嘘だよー!」
麻子「……沙織の意地悪」ムスッ
沙織「あ、あはは……(うわ、すごい罪悪感)」
沙織「麻子、もう言わないから許して?」
麻子「許そう」
沙織「あ、ありがと」
―通学路―
優花里「あっ! おはようございます、お2人とも!」
沙織「おはよ、ゆかりん!」
麻子「おはよう……」
優花里「今日は冷泉殿は肩を担いでもらっているのですね」
沙織「"優しいさおりん期間"は昨日でお終いだけど、麻子の甘えん坊は絶賛営業中なんだよね」
麻子「甘えん坊じゃない。低血圧なだけだ……」
優花里「武部殿、良ければわたしが代わりましょうか?」
麻子「いや、秋山さんに迷惑をかけるわけにはいかない」
沙織「わたしはいいの!?」
麻子「なぜなら――――」
麻子「――――沙織はわたしの親友だからな」
沙織「……いや意味わかんないよ!?」
おわり
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