凛「まきりんぱなと時間漂流記」 (17)
明日の昨日は今日、昨日の昨日はおととい、おとといのしあさっては明日であさっての昨日、明日のあさってのおとといの明日の明日は、おとといの明日のあさっての昨日しあさって。何だか訳が分からなくなってきたから、このスレを閉じてみようか。
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凛「わー可愛いー、理事長先生このの子どうしたんですか?」
理事長「迷い猫みたいで飼い主が見つかるまで預かってるの」
真姫「ちょっと凛、アレルギーなんでしょ大丈夫なの?」
凛「大丈夫にゃ大丈夫にゃちょっとぐらいなら平気ーくしゅんっ」
真姫「言ったそばから大丈夫じゃないじゃない」
理事長「ごめんなさいね、猫がいるのにうちに呼んでしまって」
凛「ううん、凛は勝手にかよちんにくっついてきただけだから。それにたまには猫ちゃんと戯れたいにゃー」
この日、凛たちはことりちゃんちにおじゃましていた。かよちんは衣装合わせのためにことりちゃんに呼ばれて、凛はそれにくっついて。え、真姫ちゃん? さあ、なんかいたにゃ
真姫「ちょっと、ちゃんと説明しなさいよ。私も衣装合わせのために来たのよ」
花陽「あのー、ことりちゃんは?」
理事長「裏庭にいると思うから呼んでくるわね。ことりの部屋は二階にあるからそこで待ってて」
まきりんぱな「分かりました」
真姫「というか二階の部屋ってどの部屋よ」
凛「よく考えたらことりちゃんの家はじめてだにゃー」
花陽「なんかすごいデジャヴ」
凛「とりあえず、適当に開けてみればいいよ」がららら
真姫「そんな、ぼらららみたいな」
花陽「ここは…違うみたいだね、洋服室?」
凛「馬鹿みたいに広いにゃ」
真姫「流石、衣装担当って感じの部屋ね」
花陽「わあ、この鏡すごく大きい」
真姫「こんなに大きい鏡、どこで買ったのかしら」
凛「へーどれどれ…あれ?」
花陽「り、凛ちゃんの手が吸い込まれていってる!」
真姫「凛!はやく手を抜きなさい!」グイッ
凛「抜けないんだよー!」
花陽「凛ちゃん!!」
かよちんが凛の腰にしがみついたけど、凛の体はどんどん吸い込まれていった。頭が暗闇の中に呑まれていって、もうどうにも抗えなかった
闇の中を凛達はさまよった。次第に、下に落ちているのか上っているのか止まっているのか動いているのか次第に分からなくなって意識がなくなった。
ことり「3人ともおまたせー…ってあれ? 」
ことり「誰もいない…」
凛「う、うーん」
花陽「凛ちゃん!気がついた!?」
真姫「大丈夫?怪我はない?」
凛「あ、おはよう、大丈夫だよ…かよちん、真姫ちゃん…ここは?」
真姫「分からない。でも幸い、出口はあったわ」
凛「出口?」
暗くて気づかなかったが、辺りを見渡すと、土の地面に石垣、そして木の梯子がひとつかかっていた。
真姫「凛も起きたことだし、外に出ましょう」
高さ僅か3m程しかない梯子を登ると、木の板でできた天上に突き当たり、それを外して外に出た。まず目に入ってきたのが赤い鳥居だった。
花陽「ここどこなのかな…ことりちゃんちじゃないよね…」
凛「鳥居があるんだから日本に間違いはないよ」
真姫「まあ、神社であることは確かね、あの部屋も神社の床下に穴を掘って部屋を作ったのよ」
凛「神社って神田明神? 」
真姫「だったらいいけどね」
外に出るとやっぱりここが神田明神じゃなく、小さな神社だって分かった。神社から出て、凛達は石畳の上を歩いていった。
花陽「なんだか肌寒いね」
凛「確かに10月にしては肌寒い気がするにゃ」
真姫「音ノ木坂よりも北に来ちゃったのかも知れないわね」
花陽「うう…あの鏡なんだったんだろう」
凛「手品の道具…とか?」
真姫「あんな物理法則無視した手品道具があるわけないでしょ」
凛「そもそも、こういうスピリチュアルは凛達の専門じゃないにゃー」
歩いていくうちに石畳は土の地面になり、おおきな屋敷が見えた。
真姫「立派な日本屋敷ね」
花陽「あっ中に人がいる!」
凛「ほんとだ!」
凛「着物にちょんまげなんて、テレビの撮影でもやってるのかな?」
真姫「その割にはカメラが見当たらないけど」
真姫ちゃんがそう言い終わったと同時に、凛たちは人気のない小道から大勢の人が行き交う賑やかな大通りに出た。凛たちは一瞬安心した、これで帰れると、本当に、文字通り、一瞬
真姫「え、あっ…」
凛「あ、あ…」
花陽「だ、だ、だれか」
「誰か助けて」
2人が声を失い、目を見開く中、なんとか、かよちんの口からまともな言葉が出てきた。
真姫「だって、こんなのおかしい。ありえない」
そこに広がるのは木と瓦でできた日本建築、着物の女性、刀を越しに指したちょんまげの男。干物屋が大声で叫び、籠屋が凛達の隣を走り抜ける。
凛「は、はは、これは夢だにゃ。夢のストーリーで、夢なき夢は夢じゃなくて、出会いの意味を見つけたいと願ってるんだにゃ」
真姫「落ち着きなさい、凛。これは現実。映画の撮影か何かよ、きっとそう」
凛「そうだよ、そう。映画の撮影」
花陽「違うよ」
花陽「違うよ、私達、江戸時代にタイムスリップしちゃったんだよ」
真姫「でも、」
花陽「真姫ちゃんさっき言ってたじゃない、カメラなんてどこにも見当たらない」
真姫「うっ」
花陽「今の私たちがするのは狼狽えることでも、現実逃避することでもない。一刻も早く、鏡を見つけて元の世界に帰ること。違う?」
凛「合ってます…」
花陽「わかったなら、先に進もう。まずは寝る場所と食べ物を探さなきゃ」
りんまき「はい」
凛「かよちんの適応力はんぱないにゃー…」
真姫「どっちかって言うと背水の陣の気がするんだけど…」
凛「それって、つまり凛たちが背水ってこと?」
真姫「…」
花陽「やっぱりこの格好は目立つね…」
真姫「これは服も調達しなきゃいけないわね」
凛「調達って…どうするの?」
花陽「それは」
かよちんが喋りかけたとき、かよちんの肩を掴んだやつがいた。その手の主を振り返ると、羽織の侍がじろじろと凛たちを見ていた
真姫「これは服も調達しなきゃいけないわね」
凛「調達って…どうするの?」
花陽「それは」
かよちんが喋りかけたとき、かよちんの肩を掴んだやつがいた。その手の主を振り返ると、羽織の侍がじろじろと凛たちを見ていた
侍「洋服に鬼のような髪の色と目。これは、怪しいやつだな。お前らどこから来た」
凛「わ、私達怪しいものではありません」
侍「それはこっちが決めることだ。同心に逆らうもんじゃねえ」
花陽「ど、同心? ワタシタチツカマッチャッタノォ!!」
侍「やい、何をコソコソ話している、さっさと質問に答えろ」
?「あー、こんなところにいたのかい。随分と探したんだよ」
侍「誰だお前は」
?「このこらの面倒を見ていてね、変わった格好をしているのはこの子らが随分と田舎から出てきたからだよ」
侍「誰だと聞いている!」
?「全く、この町にいながら私の名前も知らんのかね」
今賀斎「今賀斎甲、この国一番の音楽家だよ」
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