橘ありす「文香さん、エチュードをやりませんか」鷺沢文香「エチュード……ですか?」 (24)

デレマスSS
呼称や特定アイドルに対する態度が想定と違う虞あり
書き溜めなしぶっつけ本番のため誤字脱字乱文の虞あり
文香がエチュードを行うアイデアは某動画から得たものです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1477058561

文香「……とは、即興劇の方……でしょうか」

ありす「そうです。文香さんも私も今日はまだ少し時間が空いてますでしょう?」

文香「はい……」

ありす「ですので、ちょっと言葉は悪いですけど、暇つぶしにでもと思いまして」

文香「なるほど……面白そうです。私でよければ、お相手、させて下さい」

ありす「ありがとうございます、文香さん」

文香「台本なしで、演じるのですよね?」

ありす「本来ならそうなのですけど、流石にいきなりそこから始めるのはあまりに手探りすぎて難しいです。
何もないゼロから大長編小説を書くのと同じです」

文香「それは……とても難しい、ですね……」

ありす「そこで! こんなもの用意しました」ピラ

文香「キャラクターレシピ……ですか」

ありす「登場人物の性格になりそうなものを私が思いつく限り書き並べてみました。
ここから適当なものを選んで、組み合わせたものを私たちが演じるというわけです」

文香「なるほど……」

ありす「まあこの辺りはこの後変更したり追加したり場合によっては無しになったりもするのでちゃちゃっと雑に選んじゃいましょう」サッサッサッ

文香「わかりました……」サッサッサッ

ありす「ガサツ/乱暴/無精髭/短気/暴力嫌い」

文香「気弱/優柔不断/怒ると怖い/肝心なところでヌケる」

ありす「選べましたね。それではこの二人の関係を考えていきましょう」

文香「この性格を持っている人たちが、どのようにやりとりをするのか……ですね」

ありす「想像していきましょう」

文香「ふむ……私が選んだこの性格だと、ありすちゃんが選んだ性格の人と、
あまりいい関係を持っていないように想像されます……仲が悪いのでしょう……」

ありす「ちょっとまどろっこしくなるので仮の名前つけましょうか。
私の人物をイロ、文香さんが選んだ人物をハニとしましょう」

文香「イロとハニは、恐らく、夫婦だと思われます。イロは男性、ハニは女性です」

ありす「なるほど、いいですね」

文香「あ……」

ありす「どうしました」

文香「場面はどうしましょう……」

ありす「それは後ほど決めましょう。今は関係に集中します」

文香「わかりました……」

ありす「イロは暴力が嫌いなのでハニに手をあげたことは決してないのですが、
ハニの優柔不断なところにことあるごとにやきもきさせられていた、とか」

文香「ありすちゃん」

ありす「はいなんでしょう」

文香「第三者の登場は、どうしますか……?」

ありす「あー……収集つかなくなりますね。取り敢えず今はこの2人だけで思いつくものだけにしましょう。
一人多役でもいいですがさすがに厳しいので、登場人物は演じる人数に過不足なしで乗せていく、ということにします」

文香「わかりました……でしたら、ハニは、暴力を振るわないイロを心のどこかでは信頼している、でしょうか」

ありす「そうすると先ほど文香さんがおっしゃった『仲が悪い』と矛盾しそうですけど、どうします?」

文香「あっ……」

ありす「ああいえ、取り消すということはしなくていいんですよ。辻褄が合えば大丈夫です」

文香「でしたら……見かけややりとりは仲が悪そうだけれども、本当はお互いを信頼している、ですかね」

ありす「いいですね。ニヤニヤできます」

文香「誰もいないところでは、きっと仲睦まじいのでしょう……」

ありす「ハニがぴったりくっついてイロが照れながらそっぽ向いてる様が浮かんできますね」

文香「花や野鳥などの自然が似合いそうなお二人です」

ありす「西洋人かもしれないですね」

文香「イロは……52歳、ハニは……40歳くらいでしょうか」

ありす「いいですね、いいですね。森のそばにポツンと建つ家に住んでそうです」

文香「イロは……薪割りをするのでしょうか」

ありす「最近腰が辛くて薪割りが大変になってきた、とかありそうです」

文香「ハニはそれを心配して、腰に負担がかからないように薪割り台に細工しようとするでしょうか」

ありす「でも肝心なところでヌケるので」

文香「やらかしてイロに怒られる……」

ありす「ところでハニが『怒ると怖い』様が想像できませんね」

文香「そうですね……」

ありす「なんなら削除しても構いませんよ」

文香「では、そうします」

ありす「早速演ってみますか」

文香「!?」

ありす「関係を探ったら場面も出来上がってしまったのでもういけそうじゃないですか?」

文香「心の準備が……」

ありす「初めてですし確認も兼ねて、改めて場面を設定し共有していきましょう」

文香「ヨーロッパの田舎で、2人で暮らす夫婦、ですね」

ありす「イロが薪割りをしている場面から始めましょう」

文香「終わりはどうしましょうか……」

ありす「私が手を一回叩いたら演劇開始、二回叩いたら演劇中断、三回叩いたら演劇終了
という決まりでいきましょう。私主導になってしまって少し不公平ですが、最初なので目を瞑ってください」

文香「中断も、するのですか……?」

ありす「今回は心配ないでしょうけど、後々設定が今私たちが暮らしているような現実に近いもので演じると
途中ですね混乱してしまうことがありそうなので念のため入れました。転ばぬ先の杖です」

文香「わかりました……」

ありす「準備はいいですか?」

文香「緊張します……」

ありす「私もです」

ありす「いきます」

文香「はい」

パン!

「よ、こら、せっ!と……」
「ふぅ……薪の山がいつになっても片付かねえや……」
「ちぃ、歳はとりたくねえもんだな」
「はぁ、風が強くなって来やがった……参ったな」

…….。
…………。
………………。

文香「」マッシロ

ありす(まあ、そうなりますよね)

「おーい、ハニぃ!」

文香「はっ、あっ、えぁ、は、あっ」

パンパン!

ありす「文香さん、落ち着いてください」

文香「も、申し訳ありません……」

ありす「落ち着けば大丈夫です。ここには私と文香さん以外誰もいないんですから」

文香「わかっては、いるのですが……」

ありす「思い浮かんだセリフを並べて下さい。最初は身振りも声色も普通で構いませんよ」

文香「はい……」

ありす「では『イロがハニを呼んだ場面』からいきます」

パン!

文香「は、はい、あなた」

「悪いんだが、茶を淹れてくれないか」

文香「お茶、ですね。わかりました」

「種類はなんでもいい、早くしてくれ」

文香「はい……」

ありす(ちょっと罪悪感がありますが、劇ですし、ここは押し殺して……)

文香「あなた、できましたよ」

「中に上がってお飲みになってください」

ありす(あっ、役に溶け込んだ)

「おう、いただくよ」

ハニ「淹れたてですから、熱いですよ」

イロ「知ってるよ。それを見越して、お前が温めで淹れてることもな……ん、んん?」

ハニ「いえ、本当に熱々なので……どうかしました?」

イロ「……全然熱くないぞ?」

ハニ「……え?」

イロ「と言うか水出しだ。お前、本当に沸かしたんだよな?」

ハニ「え、ええ……ちゃんと火をつけて、煮立つのを目で確認しました」

イロ「……おい、ハニ。なんか焦げ臭い匂いがするぞ」

ハニ「クンクン……本当ですねえ」

イロ「本当ですねえ、じゃあないだろっ!お前また火にかけるものを間違えたな!!」

ハニ「あらまぁ」

イロ「ああっ!吹きこぼれてるし、焦げてるし、燃え移ってる! おい!水だ!水持ってこい!!布でもいい!!」

ハニ「雑巾でいいですか?」

イロ「間に合うか馬鹿者!!」

ハニ「じゃあ読みかけの本で」

イロ「布って言ってるだろ!」

ハニ「さっきあなたが薪割りに使ってた道具ではダメなのですか?」

イロ「それは斧!!」

ありす(うむむむ……これは収集がつかなくなりそうですね。切りますか)

パンパンパン!

文香「……オチがつきませんでしたね」

ありす「つけるつもりあったんですか、あの畳み掛けで」

文香「ありすちゃんのイロのツッコミが可笑しくて、つい意地悪したくなっちゃいました」

ありす「焦りましたよ、私が主導でなければあの2人焼死してますよ」

文香「劇というか、どちらかと言うと喜劇になりましたね」

ありす「火事になりかけてあわや焼死というところまで行ったのに喜劇になるというのもとんでもない話ですが」

文香「なんだか、新しい世界を垣間見ました……楽しかったです」

ありす「私も楽しかったです。感想戦にいきましょうか」

文香「感想戦……?」

ありす「劇で出すことができなかったセリフ回しや状況を組み入れたら劇はどのように変わったのかとかを述べ合うんです」

ありす「例えば今回でいえば、あそこで掛け合いにならず火事を止めた後にどのようなやりとりがされただろうか?
というのを役ではない素の状態で話し合います」

文香「おそらく、イロに激しく叱責されたのではないでしょうか」

ありす「『お前はいつもこうだ……肝心なところで重大なことをやらかす』みたいなことを説教しますよね」

文香「ハニはちょっと泣きそうになります」

ありす「40にもなって自分の過失をちょっと詰められただけで涙目とか人間的にかなり厳しくないですか」

文香「ありすちゃん辛辣」

ありす「10歳を超えた女の涙はただただ見苦しいものでしかありません。
涙は女の武器と言いますがちゃんちゃらおかしな話です。化粧が崩れて無様ったらありません」

文香「泣いていいですか……」

ありす「撤回します。嘘です。ごめんなさい」

ありす「脱線しました。感想戦に戻ります」

文香「ありすちゃん、イロはあそこで優しくなれる人だったのでしょうか」

ありす「文香さんのハニがあまりにも健気で……役を忘れてちょっと甘さが出ちゃいました」

文香「喜劇方向に突き進んでいたらどうなっていたでしょうか」

ありす「イロのヒゲに燃え移ると面白いですね」

文香「そこで慌てたハニがイロにかけた、水だと思ってた液体が実は油だった」

ありす「あっという間に炎は燃え広がり」

文香「もう薪を割らなくても大丈夫になりました。ついでに腰ももう痛みません。永久に」

ありす「なるほど喜劇ですね。そんなわけあるか」

文香「ナイスツッコミです」

ありす「照れます」

文香「デレマスだけに」

ありす「デ、デレ……?なんですかそれ」

文香「忘れてください……」

文香「ハニが細工する予定だった薪割り台が放置されてますね」

ありす「まるごと燃えたんじゃないですかね」

文香「2人ごと焼け落ちた家の傍らには、家主と思われる男が使っていたのであろう、薪割り台があった
斧の刺さったままのその表面には、若木の芽が覗いていた」

ありす「ナ○シカですか」

文香「新しい命エンドです。このオチがあれば、ネタがどんなにひどくても公開したところで炎上しないんですよ
救いのない物語は、好まない人が多いので……」

ありす「家が燃え上がった後ですし、家の燃え残りに火がついて再度炎上しそうですが」

文香「薪を割ってるということは冬でしょうし、自然発火はしなさそうですよ」

ありす「冬のヨーロッパは雪が降って積もるイメージありますし、それだとそもそも火事にならなかったのでは」

文香「先の油がガソリンだったら関係ないと思います」

ありす「となると産業革命以降の時代ですね。薪をわざわざ使う必要あるんでしょうか」

文香「ファッションでしょう」

ありす「腰に爆弾抱えてるのによくやりますね」

文香「人間の心には何か一つ、譲れないことがあるものです……」

ありす&文香編終了。1人追加します。

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