にこ「『れんあいげぇむ』!?」…『Ⅲ』 (91)

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           Ⅹ【残酷表現注意】Ⅹ
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        れんあいげぇむ 一周年記念project 2
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ちょっち帰宅遅れそうなんじゃ!


再開時間のズレがある

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ジャンル:ほのぼの日常系スーパーエクストリームヤンデレ恋愛ゲー
 【R-18】











 "人を好きなる"

     『愛』とは何か?




     愛は人を幸福にする

     愛は人を狂わせる




        あなたはその手で何を掴む



   愛は望みである

   愛は欲望である

   愛は美徳である

   愛は狂気である





   愛は………『 』



     何を正しいと思うのか…?









 ――――これは…愛の かたち を手探りで探す げぇむ



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                   >:::z::::::::::::::::::::< .)\  /{--、
               _   /:::::::::::::::::::::ー 、::::::ノ   ∨ .ry:::::::.
          _∨ >イ:::::::::::::::::::::::::::::::::\>---}}-| |:::::::::.
.        /:::::∩/::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ  .|n.} |___:::γy
        /::::/ | .|:::{::::::::::::/|:::::::|::|、::\::::ヽ::::::::\ノl } | .{ .∨/|
.       /::::::>__ | .|.ry::::::::/ .|:::::::|::| \__\:::∨::::::::ノ | |ノ|ノ ./:::!
      (\::/ヽヽ l.{ |:::::|:l  ∨:::|::|. /´ __\}:::::::{   `  .}_:::|
.      |::\\ ∨ / ヽ::|レ⌒ ∨:|レ  ,ィ( 笊㌦|::|::::ヽ .___ノ ∨
.      |:::::∧    {   }:|   --ヽ{   弋tク 'l:ノ / {´ |i  ヽ  .∨
.      |:::::::∧___.ノ} ,x≦ミ      , , ,イ( .}ノ.∧
.      |:::::/ / /  ノ ./|ヽ , , ,   ,  __     ,-' ∧
.      |::/     /{::|::∧    r ´  )   イ、.   |\
        /      / /:::|::{ ヽ    ー   /{ })__ |::::::\
     /  ヽ     .∧:::|::| ̄` .> __---< .ノ´    ヽ/.´ \
.    /      / { ヽ{.\ }`ヽ/ィヘ/≧=<.    /
    /      ./  | .|    .| _∨ {´   /   /
.    {.     イ/     \|  /  /|´ \ /


『主人公:矢澤にこ』


『発見LV 7』

『料理LV 10』





【時系列】
学園祭前(主要 EV 肝試しor山頂アタックなど…)
  学園祭ライブ成功からの廃校阻止を目指す際の一週間
  (綺羅ツバサとはまだ面識なし、亜里沙、雪穂と面識あり)









以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/05/20(水) 12:40:03.32


依存度無限の超テクニカルモード

一週間を無事に過ごす、一発badは当たり前
クリアできるまでファイトだよ!








   えくすとりぃむ れんあいげぇむ


       かいまく


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   主人公:矢澤にこ  同性愛LV MAX




         " げぇむ クリア! "



1スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1461675599
にこ「『れんあいげぇむ』!?」【安価&コンマ】【R-18】

2スレ
にこ「『れんあいげぇむ』!?」…『Ⅱ』【安価&コンマ】【R-18】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1469535577/)
にこ「『れんあいげぇむ』!?」…『Ⅱ』【安価&コンマ】【R-18】












   げぇむクリアです!ついに感動のげぇむクリアですよ!



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    前スレ1000特典


  げぇむクリア状態なのでもうありません あしからず

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【はぁめるん】(1/2)

【はいかぶり】(1/2)

【へんせ"る と く"れーてる】(1/2)

【にんき"ょひめ】(1/2)

【とぅーす!ふぇありぃ】(0/2)

【びじょとやぢう】(済み)





絵本:【びじょとやぢう】→ダイナミック★整形しゅぢゅちゅ すたぁと!





スクールアイドルが街から消えて二月が経とうとしていた…

幽鬼が如く無表情で歩く一人の少女



紅い目には景色が映る、だが移された景色は彼女の中には響かない


見慣れた街、今まで見て来た街、しかし、もう見知らぬ街…







彼女が愛したにっこりの魔法使い達の卵はもう街のどこにもいない


ゴミ箱に押し込められた丸まったポスター
もう一銭の値打ちも無いと知らしめるかのように道端に捨てられた
元スクールアイドルの顔写真付きの缶バッチ…


彼女が愛してきたモノがそこには無かった




にこ(……なにやってきたんだろう)





気怠い、疲れた…もう、何もかもがどうでもいい


所詮、奇跡など起きる筈が無いのだと今更ながら現実を叩き付けられた
そんな気分だった

―――
――


ガチャ…

にこ「ただいま…」



学校をずる休みして早くに帰って来た

「おかえり」の声を掛けてくれる人なんてこの時間帯、居ないのに
つい言ってしまうのは彼女が家庭を大事にしている証である


にこ「…」ポフッ…ゴロン




にこの自室…ベットに寝っ転がって目を瞑る
この部屋には少し前まで大量のアイドルグッズがあった…


その全ては売り払った


見れば思いだすから、見れば辛くなってしまうからだ


にこ「…この部屋、こんなに広かったかしらね…」

にこ「…出席日数的に卒業、無理よね…」

にこ「…」



にこ「…別に、どうでもいいか」ゴロン…



眠る、起きる、目的も当ても無くふらつく、帰宅、寝る


ただそれの繰り返し、情熱という名の灯がかき消えて、怠惰だけを貪る…




にこ自身、それの流れを変えたいと考えはした

こんなことでどうする、何が変わる?いつまで続ける?




 睡眠不足とは程遠い彼女の脳は次々と自問自答をさせようとする
なまじ余計な事を考えず、身体も動かさずの状態だからこそ
 泡沫のように自身への問いかけが浮かんでは消えを繰り返す



そして浮かぶ度に、"逃げて"、塞ぎこむ様に枕なり布団鳴りを
頭から被って無理矢理にでも眠ろうとする











切欠が欲しい


何でもいいから流れを変える『風』が吹いて欲しい







あの日…部室に訪れた6人を思い出す





にこ「きっかけ…」ボソ




スッ…



鏡を見る…髪は手入れをするのを怠っていた

いつもは結んでツインテールにしていたが、それも今ではストレート…


よく見ると寝ぐせで跳ねている部分もある…





にこ「アイドルグッズを売ったからお小遣いもある…」

にこ「…けじめ、つけるべきよね」


…髪を切ろう

アイドルと…"憧れた夢と完全に決別"する意味も兼ねて切ろう


そうすることで新しい変化が…『風』が吹いてくれると願って彼女は立つ

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         ここまで 10月16日 21時45分 さいかい

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           再開


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変化が欲しい、それだけを胸に何処か自分が言ったことの無い場所を求め
普段行くことの無い場所を目指す


ふと、ある店の看板が目に止まった




随分とボロボロの看板、所々塗装が剥げていて…錆すらも見える


 地名と、店名に場所を占めるのであろう地図上に描かれた矢印は
にこが居る場所から然程遠くなく
特に店に拘りを持たない彼女の目を惹くには十分であった

 何もかもを失ったと言ったような状態
茫然自失に陥る前ならば拘りもあったろうが、今の彼女にはソレが無い




目に付いた情報通りに道筋を進めば、見るからに"繁盛"と言う言葉から
かけ離れたような寂れた店があった


散髪から整形まで、なんでもござれで受け付けます


 そんなキャッチコピーが目に止まれば
今の"変化"を求めるにこは行かざるを得ない



まだ明るさがあるとはいえ昼間っから灯りのついていない物件の戸を
押し開け、長らくなる事無かったベルが鳴る



にこ「…あのー、すいませーん!誰か居ますか!」




あまりにも人っ気が無い


換気扇は回っていて、御用の方はどうぞ、と書かれた札が置いてある
カウンターが目に止まる

それ以外に目に留まるモノは…




視界に入る限りならば、すっかり放置されて枯れた観葉植物の鉢植え
にこが母親世代のモノと思われる雑誌が入った本棚


…いつからある店なんだろうか?




カウンターの札の傍にある呼び鈴を1回、ちりんっ、と音を鳴らす


そして暫し待つ…




…人が来ない


寂れた店で人が滅多に来ないような所なのだろうというのは
想像に難しくない

だが、仮にも経営中ならば客を待たせるというのはどうだろうか

にこは少しだけむくれっ面をして椅子に身体を預ける

後、1、2分して来る気配が無ければ帰ってやろうと思いながら



ため息を一つ、ポケットから携帯を取り出し時刻を見る

 たかが1、2分…されど時間を1秒も無駄にしたくない
60秒ちょいでできることなど、たかが知れているだろうが
なんとなしに登録されているアプリでも起動させてできる事でもするか

そう考えて、端末の画面を指で触れる




にこ「…あっ」pi




単なる操作ミス、ただそれだけの事である

学校に休む様になってから暇を持て余すようになったからこそ適当に
ダウンロードしたゲームを起動させようとした

それだけだったのだが、一つとなりのアイコンに触れてしまった



その程度の事だったのだが、問題は触れたアイコンだった


アルバム、今まで取った写真、画像を見る為のモノ…

そこにはまだ彼女が未練がましく残していた写真があった
自分以外の8人の姿が当時のままで鮮明に残る


誰かと誰かが一緒だったところ、あるいは単独。あるいは同級生の知人に
頼み、自分含めた9名が収まるようにシャッターを切ってもらった時


ちょっとした事でふざけあって喧嘩して、くだらないことで笑って
そんな高校生活の1コマが一つ一つには撮られていて…



思い出の中で生きて居る9人を見る度に胸が痛くなった
「本当に、なんでどうしてこんな事になってしまったんだろうか」と
そんな事ばかり考えて陰鬱になる



こうなるくらいならば最大の要因になりうるこの画像を一つ残らず
消去すれば良いモノの…にこにはそれができない


何故ならばそれが"未練"だから


思い出は綺麗で、撮っておけば鮮明にいつまでも残る

数日前の山頂アタックで赤毛の友人と語らった内容だ



その時、その瞬間だけを切り取っていつまでも残すのだ

消せば二度と、その保管した瞬間は復元できない
それもある…だが、何度も言うように矢澤にこにとってはそれが"未練"だ


未練というのはあれば消せない、縋りたくて仕方がない

叶うなら戻りたい、時を巻き戻して何もかもだおかしな方向へ進む前に
行って、修正したいと無駄な願いだけを持つ

それが人間の性というモノだ





      「お客様、お待たせしました」


びくり、肩を震わせた


目尻に涙を浮かべそうになっていた目線は常に手元の携帯端末
気が付けばデジタル表記の時計は先に見た時刻よりも5分経っていた


…2分どころではなく想定以上に長居していたようだ


客を無駄に待たせる店に愚痴を零して帰る機会を逃したようで…
 にこは突然声を掛けて来た人物の顔を見ようと顔をあげる



第一声はどう言うつもりだったか…

 「客を待たせるなんて失礼なんじゃないかしら?」だったか…
初対面相手にはアイドルとして取り繕う事が多かったにこだ、実際には
もうちょっとオブラートな言い分だったかもしれないが意味合いは
大体同じ事だろう





声の主はにこが肩を震わせるくらいの距離まで近づいてボソリと
呟いたのだ…

心臓に悪い、せめて店の奥から顔を出した時点で声を掛けるなりなんなり
色々あるだろうに

不満はいくつも浮かび上がる



不機嫌極まりないにこが第一声を相手の顔を見据えて言おうとして












思わず息を飲んだ








頬骨が浮き出て見える痩せこけた顔、不健康そのものと言った具合の顔色
前髪なんかは鏡も見ないで適当に切りました!と主張するようなモノで

くたびれた感じの40代近い女性が笑みを浮かべて立っていた


接客スマイルなのだろうか…失礼ながら特殊メイクなしでお化け屋敷に
居た方が儲かりそうな人だ


不満や怒りよりも不安がにこの心境の大半を埋める

大雑把に切り分けた前髪とか、仮にも人を磨く職に手を着ける人物が
これか?自分この店で大丈夫か?とか…



「お客様でいらっしゃいますね?」


にこ「え、ええ…はい、お店…はやってます、よね?」


さっきまでの怒気は何処へやら、しどろもどろに答える



「どうぞ、こちらへ」



店の住人はこれまた細い腕で手招きしながら
にこを奥の部屋へ案内しようとする



にこは戸惑った、さっきの不満点を理由に難癖つけてこの店から
出て行くという手もあるのだが



 相手を罵倒して店を出て行くというのも些か気が引ける
それが楽にできれば苦労は無く…結局のところ良心が傷むというモノで
にこは相手についてくしかなかったのだ





「本日はどのようなご用件で」


散髪からメイクも整形もなんでも承ります
看板に書かれたキャッチコピー通りお客の要望には応えるらしく
しかし…


にこ「髪を切りたいだけなんですが…」



「髪…だけですか」



「…どうでしょうか、お客様、初回サービスとして無償で美容エステも
 如何でしょうか」



ニィっと女性は笑う、曰く、顧客は作りたいし大事にしたいと
冗談交じりに笑いかけてくれた



にこ「そ、そうですか…じゃ、じゃあお願いしようかしらー、あはは…」



浮彫の頬骨が目立つ笑みを浮かべる40代女性に牽き吊った笑みで
相槌を打つにこ…


心境はすごく帰りたいの一言に尽きた





「お客さん、辛いお悩みをお持ちのようですね」

にこ「あはは……はい?」



「今じゃ寂れ人も来やしませんよ…
   でもね、10年、20年前は此処も繁盛してたんですよ?」


そりゃあもう、当時のキャピキャピした子達が毎日のように来た、と


「これでもたくさんの女の子を見て来た身でしてね…なんとなく
 見てると分かるんですよ…お客さんお若いのに…
  携帯を眺めて涙してらしたでしょう…事情までは分かりませんが」


見られてたのか、あれだけの距離にいたんだから表情くらい分かるか…と
にこはこの店員を少しだけ意外そうな顔で見た



「私も資格だなんだ取ったのは、自分を変えたいって子を綺麗にしたり
 何か、変わるための切っ掛けを作ってあげたいからなんですよ」


にこ「…"変わる為の切っ掛け"」




店員の語った一言はにこの心を掴む


まさしくピンポイントで今の自分が求めたいたモノだ




「お客さんもその口ではありませんか?」


にこ「えっ」






「ただ、髪を切りたいだけなら、近場の理容室なり美容室なりを
 行けば良い、偶々ご近所さんが混んでたなら別ですが
         望んでこんな人っ気のない店を選んでくるなんて…」


店員は言葉を続ける
 「何かいつもと違うモノを求める人にありがなちな事ですよ?」と





こんな今じゃ人が来ないようなオンボロ店に、と自嘲気味に笑う




的を得ていた、確かににこが何かしらの切っ掛けを求めていたのは確かだ


髪切りから整形まで何でもあれなんて書かれた辺鄙な店に惹かれずとも
 本当にただ髪を短くしたいだけなら行きつけの店でも
最悪自身でヘアメイクしたって良いのだ




気付けばにこは少しだけこの店員の言葉に騙されてやってもいいかと
思い始めていた、どうせタダなら悪くないとことんしてもらうじゃないか


 変化を求めていたなら、髪を短くするだけのイメチェンよりも
やるならばいっそ徹底しよう





こう思わせるのが計算づくだったならばこの店員中々の商売上手だ





「ささ、改めて、本日はどのようなご用件で?」



にこ「…それじゃあ…」



にこは今より変わりたいという旨を口にする


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    ここまで、次回は10月23日 日曜日夜21時45分



あと、名前欄にNGワードをどうぞ

【kaitaisagyou】
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           再開


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長い間、誰も座らなかった椅子がある


来客者を寝かせておくベッドもある

室内にあるどれもこれもが久しく客が訪れる事を待ちわびただろう






「散らかっていてすいませんね」



店主は自分の後をついてくる少女にそう告げた

彼女が告げるとほぼ同時にぱきっ、と何かをにこは踏みつけた




にこ「あ…ご、ごめんなさい」



曲がり角を曲がってすぐにした音、靴底の裏と床を見れば
粉々になった硝子の破片のようなモノ


何か、まではわからない

だが、何かを踏みつぶしてしまった事を謝罪する



「良いんですよ、散らかしてた私が悪いんですから」



店主はそう言って再び前を向き、歩み始める





踏みつけた何かは…容器だった


小さな容器で、それにはもう剥がされてしまっているけれど
こんなラベルがついてた


   『精神安定剤』『抗鬱剤』…etc





「さ、そこのベッドに横になっていてくださいな」



カチャカチャと商売道具を扱う音が聴こえる
にこは指示されたとおり横になり、目を瞑る…
深呼吸してリラックス…




「本当に久しぶりのお客さんですよ…もう本当に長い事誰も来なくて」



「子供の頃から人を美しくしてあげたい
  お化粧やメイク、どんな事だって良いから女の子の背を後押しする
 そんな職に就きたいと願っていました」




「けれど、現実は厳しいモノで…
  職につけたものの稼ぎは良いものではなく次第に
  生活も圧迫される、そんな日々でして」



「…おっと、すいませんね、つい身の上話を…」




お喋りな主人なのかもしれない、店主は語りながら蒸しタオルを
にこの顔に掛ける…



「本日は私のおススメコースに致しますね」


にこ「お願いしますね」


初回サービスで無償という魅惑の言葉に従い、にこは
店主のご自慢のコースを頼む事にした





まず、最初に蒸しタオルを掛ける、そういうものなのか…




  カチャ…カシャ…




にこ(…ん?)



にこ「あの―――」



「あぁ、これは少々、ベルトでお客さんの身体を固定しているんです
 もしかしたら動いてしまわれて、手違いが生じるかもしれませんので」


にこ「は、はぁ…、そうですか?」




…そういうコースなのか?疑問にこそ思ったが特に気にはしなかった



脚、腿、腰、腕、と…がっしりと固定する…


今更ながら消えかけていた不安がにこの中に湧き上がる
どんな内容か知らないがいくら何でもやり過ぎではないか、と





…スッ


「口を大きく開けてください」



にこ「え…口ですか―――がっ!?」




直後の事だった、言葉を発してすぐに(おそらく両手)指が
にこの開いた口を広げようとしたのは




「なにするのよ!」と言おうにも下顎、上顎両方をぐぐっと
持ち上げられるようでうまく言葉が出ない



タオルが目元から外れ、にこが見たのは…




にこ「ひっ!?」






顎外固定式装置…と言いましたか…それを少し改造したようなモノで
最大まで上顎も下顎も開いた状態で固定したにこの口内に向けて



店主は右手に針を…それも裁縫で使うような針を向けていた



「傷みますけどがまんしてくださいね、まずは右上の奥歯です」




歯茎の隙間に一本の針をぷすっと…



にこ「っ゙っ゙!?」



歯と歯茎の隙間に…肉に直接針を差し込み、グッ!グッ!と
力を入れて押し込む



虫歯の治療で歯茎に麻酔注射を打つことはあるだろうがそんなモノより
圧倒的に痛い



「さっきも言った通り、現実は厳しくて生活も圧迫されて…好きな仕事も
 人生もお先真っ暗状態で…鬱病みたいなモノだとお医者さんに言われ」


店主は語りながらも次々と用意した針をにこの歯茎に刺していく
1本2本、3本4本…何本も何本も


「心が落ち着く薬も貰ったんですがそれでもだめで
  ある日、決意したんです【死のう】って…どうせなら誰かと一緒に」



「お客さんが来てくれて安心しました、おかげで決意もつきました」

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    ここまで 次の再開は 10月30日 日曜日 夜21時45分


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善子「当然よ!悪魔翌料理人が罪ある人間の目玉をくり抜いて、悪魔たちの宴で様々な目玉料理を振る舞、って……!」サーッ

善子「ヒィィィィッ!何想像させんのよ!バカバカバカッ!」ブンブン

果南「いや、善子が自分で言ったんじゃん!私のせいじゃないよ?」

善子「うるさーい!一人前のリトルデーモンなら、私が怖い思いする前が止めてくれないとダメなの!」

果南「あはは、何それ~?」

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           再開


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歯茎の肉というのは外か内かで言えば内側に部類されるだろう



ゆえに痛みもダイレクトなモノとなる


 幼少の頃虫歯治療で誰もが味わう針を歯茎に刺される感覚を何本も
何十本も味わう


奥歯の一本一本を丁重に根本から囲うように刺していく
夏祭りの型抜き屋を連想させるが如し



にこ「ぎ ぃッッ 」




カツンッ…




床に何か落ちた



たった一つ、閉じれないように固定された彼女の口から零れ落ちた
小さな物体は床に音を立てる




それは"歯"だった



歯が落ちて、周囲に刺さっていた針も
ばら撒かれたような音を立てて散らばった






「あと、数日待って、誰も来なければ一人で死ぬつもりでした
  だから本当に嬉しかったんです」


「私にとっての幸運ですよ、お客さんは」


カツンッ…!



何でもないこと、なんてことない作業をしている
それこそ日常生活の何気ない一コマみたいな手の動かした


数本針が刺さる度ににこの歯がボロボロ落ちて、血染めの歯が
落ちていくという…




にこ「 ―――」ガクガク




「あっ、大丈夫ですか?まだこれから生爪を剥がす作業や
  頭皮を剝がしたり、眼球のくり抜き等もありますので」


「最終的にお客さんは要望通り"変われます"
      変わり果てた姿になりますので、はい」



「お客さん、此方をお飲みください
   痛みがこれから強くなってきますのでそれを薄めます」



流し込まれた液体は何の薬品か分からないが自身の口内は既に
鉄の味しかしなくて…
 何を飲まされたのかさえ分からない状態だった…









にこ「 ぁぅぇ…ぇ」



歯無しになったにこは懸命に舌を動かし、もう聴き取れない言葉を
必死に紡ぐ、そして懇願する




「さ、次に移ります」ゴトンッ



ゴトン、何かが隣の机の上に置かれた

音からしてそれなりに重量のある何かであることは分かった


恐る恐る視線をソレに向ければ…




ソレはにこも見たことのある機械であった

学校の授業で、よく工作室なんかにあるようなソレ
 日用的なモノか否かで言えば馴染は無いが
確かにそれがどのようなモノか知っていた





【研磨機】


切れ味の悪くなった包丁なんかを研いでもらう時なんかに使われる機械
紙やすりを高速回転させて、その面に研ぎたい物を当てるソレ





にこ「!!」



何故、それがすぐ近くの小さなキャスター付きテーブルの上に置かれたか
理解して彼女は青ざめた



「では、これよりネイルアートを行いますね」ガシッ



店員がにこの手を掴み、右手小指を研磨機に当てる

スイッチを入れる





 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィ



瞬く間の出来事であった



小指の爪がすり減って、爪の内側の肉が紙やすりでガリガリ削られるのは



もう言葉として聴こえない叫びを上げながら
固定された身体を痛みから必死に動かす

寝台がガタガタ揺れて、叫びと同時に校内の血反吐を辺りに吐き散らす
見ていて、実に痛々しい



「はい、次は薬指です、全部終わったら反対側の腕と脚の爪もやります」



 ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィー―――



―――
――






………にこの指先は両手両足含め全て肉が削れて骨が露出していた


 "ネイルアート"が一通り終わった後、もう一度同じ部分を同じように
削ったのだ、違いがあるとすれば削れたのが爪じゃなく皮膚だったこと
 2巡目に移行する前から指先の肉は削れてたが
骨が露出するまでガッツリではなかった



そんな彼女の痛々しい部位には今、包帯が巻かれていた


曰く「一度に全部やると痛みを全て体感できずに死んでしまうから」で
少しずつ、微調整をしながら真っ当するとの事らしい


目隠しをされた後、依然として拘束されたままの身体、口に布か何かを
入れられた感覚、指先に何か巻かれた感触…


「また明日」との言葉と同時に去っていく脅威



何もかもが恐ろしかった


1日帰らなければ流石に家族は心配するだろうか?

学校をずる休みしてからいつものように食事もとらず部屋に引き籠ってる
そう考えていない事にすら気づかないだろうか?


玄関に靴が無いのだから、異常を察して捜索願を届けるかもしれない


そんな淡い希望を抱かずにはいられない


そして、人は希望を抱いた後、それが無駄だったとしれば更に絶望する





  「おはようございます、では続きを始めましょう」


実際の時刻は分からないがにこにとっての朝は…
清々しい朝は拷問で幕を開ける

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    ここまで 次の再開は 11月6日 日曜日



釘、とんかち、手先の関節切断


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           再開


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 削りカンナ、ノミ、とんかち、釘…清々しい朝に聞こえるて来るのは
テーブルの上にぶちまけれらた日曜大工の道具達の転がる音



「では、はじめましょう」



右手を大きく広げられ、まずは中指の付け根から先の関節まで丁重に
"解体"作業を開始する



末節骨と中節骨の間そこに一思いにスパッとできるようにノミを――


ではなく…あえて、釘を当ててとんかちで打ち付ける




にこ「ああああああ゙ッあ゙ッ あ゙ 」




「おっと…失礼、忘れてました」スッ


「声が漏れないように、ちゃんと口の中に何か詰めておきませんとね」



 歯が全部抜かれたとはいえ会話が不可能な訳でも無い
無理矢理ならば声くらいは出せる


所謂"フガフガ声"だろうが…



「さっ!これで良いですね」


 かつんっ!と軽快な音を立てて2度3度打ち付けた工具が
にこの指先の第一関節と第二関節の部分を"解体"した


その後もリズミカルな音を立てて基節骨と中手骨の間も外し
中指が終われば薬指、人差し指、小指…最後に親指と外していく



 DIP関節からCM関節まで、切断面は一度外しの作業を終えたら綺麗に
鋁、時にはカンナで削り、そしてからまたストンストンと手首の方へ
釘を打ち付けていく



切り取った指はジップロックに入れて保管する店員



作業開始から1時間近くでにこは見事に両手の手首から先が無くなった

断面図をよく見れば骨が二つ…尺骨と僥骨の部分が見える



「止血しておきますね」



 ビニールの紐、資源回収で新聞紙やら段ボールを縛っておく
どこのご家庭にも置いてあるそれで手首を強く、出血多量で死なない様に
止血を施す…


そう、此処で腕の止血をした

つまり一旦"腕はこれ以上やらない"という訳だ…   "一旦"ね



カチンッ!


 店員の手にあるモノをにこは見た
独特な音を立てたそれはジッポライターと呼ばれるものであった

目の前の女性は煙草を吸う訳では無い、ただ、火をつけてにこの顔の前で
ゆらゆらとそれを左右に振るう…


民謡に出て来るような柱時計の振り子のようにそれはもうゆったりと…



「見えますかー?」



 小さな火の揺らめきは人を安心させる
心療に置いてソレが多用されてきたのは古くからであり山にしろ海にしろ
遭難者の意識を確認する際にも用いられる

目線はちゃんと振り子のように左右に移動させる火を眺められているか
それすら不可能なまでに意識が朦朧としているのか、と…




にこは火を目で追っていた

 次は何をされる?皮膚を焼かれるのか?と此処までの経緯で
意図の読めない女性のライターから目を離せないし
畏怖を抱かずに居られないのだ



「あー、まだまだ大丈夫そうですね、では続けましょうか」カチンッ!


ライターを仕舞い、まだ続行が"可能"と見なして

彼女の脚に手を掛ける

ある意味王道<セオリー>の両手両足切断による達磨状態へ運ぶつもりだ



―――
――



「ふぅ…こんなものですね」


にこ「お゙ッ  お ぉぉ  ぉぉ…ぉ゙ッ」


白いエプロン姿の店員は全身真っ赤であった
手には100円ショップでいつでも気軽に買える安物の鋸が一つ

刃毀れが酷く、最中に何度も刃を取り替えたモノだ


「頑張ればできるものですかな…」


踝部分からが丁度切断させ、その後「見栄えが悪いので綺麗にそろえる」
と鋁で削られた脚…

目は白目を剥き、布を詰め込んだ口の隙間からは酸臭がする…
よくみるとにこの口から泡が噴き出てる


それを見て、これ以上は不味いか、と判断するや否や店員は
冷蔵庫からあるモノを持ってくる…



…本気になれば何でも手に入るこのご時世である輸血パックくらい
購入しようと思えばできるのだろう、真っ当な経由かどうかはともかく

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    ここまで 次の再開は 11月13日 日曜日




ちょっと駆け足気味にしてく



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スクールアイドルが街から消えて二月が経とうとしていた…

幽鬼が如く無表情で歩く一人の少女



紅い目には景色が映る、だが移された景色は彼女の中には響かない


見慣れた街、今まで見て来た街、しかし、もう見知らぬ街…







彼女が愛したにっこりの魔法使い達の卵はもう街のどこにもいない


ゴミ箱に押し込められた丸まったポスター
もう一銭の値打ちも無いと知らしめるかのように道端に捨てられた
元スクールアイドルの顔写真付きの缶バッチ…


彼女が愛してきたモノがそこには無かった




にこ(……なにやってきたんだろう)





気怠い、疲れた…もう、何もかもがどうでもいい


所詮、奇跡など起きる筈が無いのだと今更ながら現実を叩き付けられた
そんな気分だった

―――
――


ガチャ…

にこ「ただいま…」



学校をずる休みして早くに帰って来た

「おかえり」の声を掛けてくれる人なんてこの時間帯、居ないのに
つい言ってしまうのは彼女が家庭を大事にしている証である


にこ「…」ポフッ…ゴロン




にこの自室…ベットに寝っ転がって目を瞑る
この部屋には少し前まで大量のアイドルグッズがあった…


その全ては売り払った


見れば思いだすから、見れば辛くなってしまうからだ


にこ「…この部屋、こんなに広かったかしらね…」

にこ「…出席日数的に卒業、無理よね…」

にこ「…」



にこ「…別に、どうでもいいか」ゴロン…


ダイヤ「私たちはあの子たちの笑顔を見たくて日々頑張って参りました…」

花陽「だけど、もう二人の顔も歌も聞けないんだって思うと…うぅ」

絵里「よしよし」ナデナデ

海未「…」

ダイヤ「すみません、私情で軽率な行動を取ってしまって…」

海未「構いません。ゆっくり気持ちを整理していきましょう?」ニコッ

ダイヤ「馬鹿にされないのですか?」

海未「人の好きなものを咎めるほど私も悪ではありません。あなたがあの二人を好いていたことは知っていましたから」

ダイヤ「海未さん…!」

海未「危ないラビッツさんに悪いです!」

ダイヤ「Ablaze´Rabbits ですわぁぁぁぁぁ!」

寝そべり珍道中 佐世保からの来訪者

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果南「また八戸に来たよ」
海未「今回はこれから岩手の龍泉洞に…」
果南「…のはずだったんだけど、家主さんがたまたま八戸港に停泊する護衛艦を見つけちゃったんだよね…」
海未「予定を変更して、お昼からの一般公開に参加します」

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海未「この艦は佐世保の護衛艦すずつき。漢字では涼月と表記します」
果南「この名前を貰った艦としては二代目なんだって」

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海未「先代の涼月は最後の戦いでの佐世保帰還、特に自分達の命と引き換えに艦を救った三人の乗員のエピソードが有名です」
果南「今は北九州市にある軍艦防波堤の一部になっているよ」

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果南「艦橋です。最近の軍艦らしく出っ張りを少なくして、レーダーに写りにくいように工夫されています」
海未「横から見ると何となくモアイ像の頭に似ているね」

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果南「搭載しているヘリだよ。最大で2機積めるけど、普段積んでいるのは1機だけなんだって」
海未「ヘリの中も公開していて、私達も操縦席に座らせてもらいました」

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果南「見学の後はおすすめされた八食センターで遅めの昼食だよ」
海未「馬刺とホヤの刺身を…って随分なキワモノですね…」
果南「新鮮なホヤは独特の鉄臭い味がほとんどしなくて案外食べやすいんだよ」
海未「そうなのですか…次の機会に試してみましょうか」

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