伊織「湾岸署?」 (143)


湾岸署



真下「秋の交通安全キャンペーンの一環として、あなたを湾岸署の一日署長に任命します」



パチパチ パチパチ



伊織「湾岸署の一日署長に就任しました、みんなのアイドル伊織ちゃんよ! よろしくお願いしまーすっ!」


パチパチ パチパチ









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魚住「真下署長! 握手握手!」

真下「そう? それじゃあ」

伊織「はーい!」

魚住「ほら、カメラ撮って撮って。その次は僕もお願いしますね」

パシャ パシャ



青島「何あれ?」

和久「青島さん、ご存知ないんですか?」

夏美「今や飛ぶ鳥を落とす勢いの765プロの水瀬伊織ちゃんですよ。うちの子供も双海亜美ちゃん、真美ちゃんの大ファンでね~」

青島「へ~」

緒方「前も万代署の一日署長に、765プロの四条貴音ちゃんが就任したじゃないですか」





すみれ「ちゅるちゅる。やーねぇ、みんな鼻の下伸ばしちゃって」

青島「すみれさん、美味しそうだねそれ」

すみれ「あげないわよ?」

和久「あっ、そのカップラーメンも、今言っていた四条貴音さんがCMやってるやつですね」

青島「へぇ、そうなんだ」

すみれ「美味しいのよね~、これ」

青島「ひとくちだけ」

すみれ「駄目」

青島「ケチ」




王「青島、書類出来た」

青島「王さん、青島『さん』ね」

王「日本語むじゅかしいね」

青島「いや、日本来てから結構経つでしょ?」



緒方「栗山、なに観てるんだ?」

栗山「765プロのライブのDVDです」

緒方「お前なぁ!」

青島「へぇ、どれどれ?」



青島「おお! みんな可愛いね~!」




https://m.youtube.com/watch?v=19mBHbNu0EQ



───




真下「いやぁ、サイン貰っちゃったよ」

魚住「僕も貰っちゃいました」

真下「妻と子供達も喜ぶだろうなぁ。確か伊織ちゃんとやよいちゃんのファンだったからさ」



真下「あっ、青島さん」

青島「どうしたの? 真下くん」

魚住「真下署長」

青島「ああ、署長。いや~未だに慣れなくって。はははっ」

魚住「はははっ、じゃないよ全く」

青島「……すみません」




青島「で、なにか?」

真下「青島さん、また無茶な捜査をしたみたいですね」

青島「いや、特には」

すみれ「相変わらずね~」

真下「すみれさん」

すみれ「こりゃ失敬」

真下「あのですね、それで本庁から怒られるのは、署長である僕なんですから」

青島「以後、気を付けます……」

真下「本当に頼みますよ!」




『警視庁から各局 港区台場 一丁目の高層ビルにおいて爆破事件発生 近い局は現場に急行せよ。繰り返す──』



青島「和久くん!」

和久「はい!」

青島「署長、行ってきます!」

真下「ちょっと青島さん! くれぐれも無茶はやめてくださいよ!」

青島「善処します!」



すみれ「こりゃ多分駄目ね~」




水瀬第一ビル



青島「お疲れさん」

警官「ご苦労さまです!」

青島「状況は?」

警官「ビル内のワンフロアで爆発! 尚、二次災害の心配はないそうです!」

青島「被害者は?」

警官「爆発は小規模だった為、負傷者は警備員一名が軽い火傷を負ったのみであります!」

青島「そりゃよかった。……って従業員は?」

警官「残業0キャンペーンということで、館内には警備員のみだった模様です!」

青島「そりゃ羨ましい。うちも見習って欲しいものだねぇ」






和久「青島さん。周辺で聞き込みしたところ、目撃者はいないそうです」

青島「そうか……って、あれ? 『水瀬』第一ビル? 今日来た子も『水瀬』だったよね」

和久「ああ、本日いらっしゃった水瀬伊織さんは、この水瀬グループのご令嬢ですよ」

青島「へ~、社長令嬢でアイドルねぇ」





警官「本庁捜査一課がお見えです!」



青島「本店のお出ましだ。中に入れそうもないし、一旦署に戻ろうか」

和久「そうですね」

青島「たぶん捜査本部がうちに建つでしょ」




───




湾岸署



魚住「久々の捜査本部ですね、署長」

真下「そうだね。戒名考えなくちゃ」

魚住「お供いたします」






神田「いや~、爆破事件だって?」

秋山「そのようですな」

袴田「うちで捜査本部を開くことになりそうです」

神田「あら、大変じゃないの」

秋山「まったくですな」



真下「あっ」

神田「あっ」




真下「神田元署長、秋山元副署長。一体いつまで湾岸署にいるんですか?」

神田「だってねぇキミ、指導員を仰せつかっちゃったんだもん」

真下「もうそろそろ隠居でもしてくださいよ。それに袴田さんまで一緒になって。副署長の仕事をしてください」

秋山「いひひひひ」

神田「それよりもさぁ、捜査本部が出来るなら戒名考えないと」

袴田「ですな」

真下「戒名は署長の僕が考えますので。お引き取りください」

魚住「ささっ、こちらに」




神田「でもねぇ、キミには任せられないよ」

秋山「おっしゃる通り」

真下「いいえ! 僕が考えます!」

神田「じゃあさ、試しに言ってみなさいよ」

真下「え? 『台場高層ビル爆破事件』」

魚住「素晴らしい」

神田「それじゃあさぁ、余りにも捻りがなさすぎない? 仮にも大企業の水瀬グループなんでしょ?」

秋山「まったくですな」

真下「じゃあ、『水瀬ビル爆破事件』で」





神田「爆破事件だよ? もっと迫力がないと。例えばさ『水瀬ビル どっかーん爆破事件』とか」

秋山「お見事!」

袴田「さすが元署長!」



夏美「相変わらずですね、アレ」

すみれ「ほんと、しょうもない」



───




魚住「えー、それでは捜査会議を始めます」

一倉「事件の報告を」



刑事「はい。爆発があったのは18時45分頃、場所は台場にある水瀬第一ビルの14階。目撃者は無し」

刑事「使用された爆発物については、現在捜査中です」

刑事「爆発後に駆けつけたビルの警備員一名が手に火傷を負って軽症。命に別状はありません」



一倉「では、本日より被疑者確保に向けて全力を挙げてくれ」





青島「つまり、まだ何もわかってないってことね」

夏美「そうみたいですね」

和久「相手は大企業ですし、怨恨の可能性が高そうですね」

青島「かもね」



一倉「捜査の割り振りは追って連絡する。以上」



───




魚住「えー、捜査の割り振りが決まりました。強行犯係は周辺の聞き込み調査をお願いします」

青島「では、行ってきます」

魚住「あっ、待って青島くん」

青島「なんです? 課長」




魚住「青島くんには周辺警護をやって貰うことになりました」

青島「警護? なんの?」

魚住「ほんと、羨ましい限りだよ」

青島「?」



─────
───





765プロ



伊織「おはよう」

律子「あっ、伊織。なんだか大変だったみたいね」

伊織「一日署長のこと? 完璧にこなしてやったわよ」

律子「いや、そうじゃなくて……」

伊織「ああ、昨日の事件のことね。私には関係ないわよ。幸い被害も大したことないみたいだし」

律子「ならいいんだけど……」




P「伊織、本当に大丈夫か?」

伊織「しつこいわね! それよりも来週はライブでしょ? アンタこそ大丈夫なのかしら?」

P「ああ! 精一杯みんなのプロデュースするぞ!」

伊織「ふんっ、まあ少しだけ期待しててあげるわ! にひひっ♪」




P「じゃあ今日のスケジュールを発表するぞー」

律子「竜宮小町はテレビ局で営業ね」

P「春香、千早、真、雪歩、やよい、真美はレッスン。美希、響、貴音は雑誌の取材だ」

『はい!』

P「そして、来週は秋の定例ライブだ! 気合い入れていけよ!」

春香「楽しみだね、千早ちゃん!」

千早「そうね」

やよい「うっうー! がんばっちゃいますよー!」

真美「らくしょーでしょー!」




美希「あふぅ」

響「美希! もう少ししたら出発だぞ! 起きろー!」

貴音「では、その前に腹ごしらえを……」



小鳥「ふふっ、みんなこの調子なら問題なさそうですね」

P「ええ」




コンコン

「すみませーん」

小鳥「あら? お客様かしら?」



ガチャ

小鳥「はい、なんの御用でしょうか?」

青島「あっ、どうも。湾岸署の者です~」



雪歩「ひぅ! ガサ入れ!?」

真「雪歩!?」





伊織「湾岸署?」

P「昨日は伊織が大変お世話になりました」

青島「あっ、こちらこそありがとうございました。みんな大喜びでしたよ。はははっ」

P「それは何よりです。それで、どのようなご用件でしょうか?」

青島「それが、実は一日署長とは別件のことでして」

伊織「?」




───




青島「──というわけで、水瀬家に対する怨恨の可能性もありますので、念の為に伊織さんにも警護を付けるという事に」

伊織「ふんっ、そんなもの必要ないわよ!」

P「伊織!」

青島「あれ? この子、昨日と態度が違くない?」

P「あ、あはは……」

伊織「と・に・か・く! 警護なんか必要ないわ! 帰って頂戴!」

青島「いやぁ、でも、もしもという事があるかもしれないから」

律子「そうよ伊織。念の為、刑事さんに付いていて貰った方がいいわ」

P「俺もその方がいいと思うぞ」

伊織「ぐぬぬ……」




伊織「はぁ……わかったわよ。でも邪魔にならないようにしてよね!」

青島「ははっ、善処します」

P「あっ、じゃあ我々の自己紹介を」

青島「実は部下にDVD観せて貰ったんで、みなさんの事はもう、バッチリです」

P「そうですか、ありがとうございます。それじゃあ僕の自己紹介を」




P「765プロのプロデューサーで、こういうものです」スッ

青島「これはご丁寧にどうも」スッ



青島「あっ、……昔サラリーマンやってたから、名刺出されると、ついね」

P「ははっ、なるほど」




青島「では改めまして……青島俊作、元都知事と同じ名前の青島です! 」



小鳥「わぁ! 懐かしいですね!」

青島「でしょ?」



亜美「誰それ?」

真美「わかんない」

亜美「はるるん、知ってる?」

春香「いやぁ、たぶん私が生まれる前っぽいし」

亜美「そっか」



青島「…………」

小鳥「…………」




青島「あ、あはは……」

小鳥「あはははは……」





律子「それじゃあ、竜宮小町はTV局に向かうわよー!」

青島「あっ、じゃあ俺も……」



小鳥「あずささん! あずささんなら知ってますよね!?」

あずさ「わ、私もちょっと記憶には……」

小鳥「そ、そんな!」



律子「あずささーん、行きますよー?」

あずさ「は~い」



青島「時代は変わったねぇ……」




青島「では、移動は僕の車で」

律子「すみません、よろしくお願いします」

亜美「ねーねー刑事のおじさん!」

青島「お、おじ……!?」

亜美「サイレン鳴らして行こうYO!」

律子「こら亜美!」





伊織「……ねぇ、青島って言ったっけ?」

青島「?」

伊織「犯人の手掛かりとか、何かわかったの?」

青島「それが、まだ何も」

伊織「何よ、使えないわね」

青島「面目ない……」





伊織「もし、水瀬の家の所為だったら……私……」



青島「…………」

伊織「…………」




あずさ「ふふっ、伊織ちゃんは私たちに迷惑をかけたくないのよね?」

伊織「は、はぁ!?」

あずさ「そんなことは気にしなくていいのよ?」

伊織「べ、別にそんなつもりじゃ!」

亜美「んっふっふー! いおりんは相変わらずのツンデレですなー!」

伊織「何ですって!?」

律子「そうね。伊織には普段から迷惑かけられっぱなしだしね」

伊織「り、律子! アンタまで!」

律子「ふふっ」



ギャー ギャー




青島「伊織ちゃん」

伊織「……何よ?」



青島「事件は必ず俺たちが解決するから」



伊織「ふんっ、当然じゃない! ま、精々頑張りなさいよねっ!」

青島「頑張ります!」




台場 フ○テレビ



律子「それじゃあ行くわよ!」

D「あれ? 765プロさん?」

律子「あっ、ディレクターさん。お世話になっております」

竜宮小町「お疲れさまです!」

D「そうそう、ライブは来週だよね? バッチリ撮るから任せてね」

律子「はい、よろしくお願いします!」



青島「どういうこと?」

伊織「ライブの模様のドキュメンタリーを撮るのよ」

青島「なるほど」




D「ん? そっちの人は新しいプロデューサーさん?」

律子「あ、その人は……」



青島「どうもお世話になっております。わたくし、青島と申します。以後お見知りおきを」

伊織「ち、ちょっと!」

青島「来週は我が765プロのライブの模様を取材していただけるとか。本当にありがとうございます」

D「え、ええ……」




青島「ちなみに、他にはどんなお仕事を?」

D「え? バ、バラエティとか……」

青島「なるほど! バラエティですか、素晴らしい!」

D「ど、どうも」



青島「でしたら、765プロにはうってつけの人材がおります。律子くん資料を」

律子「え?」

青島「資料をお出しして」

律子「え? あっ、はい! えっとこちらです!」



伊織「ア、アンタ何者なのよ……?」

青島「これでもね、サラリーマン時代は営業で成績トップだったの」



─────
───





765プロ



高木「はっはっは! 刑事さんが仕事を取ってくるとはねぇ。大したものだよ」

青島「いやぁ、それほどでも……あるかな?」

高木「はっはっは!」

律子「全く……あの時は何事かと思いましたよ……」



高木「ところで、キミは湾岸署の刑事といったね」

青島「?」

高木「実は、生前の和久さんには色々とお世話になってね」

青島「何か事件でも起こしたんですか!?」

高木「いやいや、そういわけじゃないんだが、私が上京した頃には色々親切にして貰ってね」

青島「あの人、お節介焼きなところがあるからなぁ」






高木「いやぁ、それにしても気に入った! 是非765プロに欲しいくらいだよ」

青島「じゃあ、お世話になっちゃおうかな?」

高木「うむ!」



律子「警察官は副業禁止ですよ?」



青島「…………」

高木「…………」

律子「…………」



青島「だ、だよね……はははっ……」



青島「ははははは……」




───




湾岸署



青島「お疲れさん」

夏美「あっ、おかえりなさい」

青島「どう? 何かわかった?」

和久「捜査本部でローラーをかけて、水瀬グループに恨みがありそうな人物を当たってみているんですが、まだ何も……」

青島「そうか」

緒方「やっぱり水瀬家に個人的な恨みを持ってる人物なんでしょうか」

青島「うーん……」



夏美「青島さんの方は?」

青島「こっち? 今のところ変わったことは起きてないかな」

すみれ「どうせ可愛い子たちに囲まれて、デレデレしてるんじゃないの?」

夏美「ありえる」

青島「あのねぇ!」

すみれ「こりゃ失敬」




栗山「青島さん」

青島「どうしたの?」

栗山「765プロで来週ライブがあるんですよね?」

青島「うん、確か」

栗山「捜査費用でライブのチケット取れますか?」

青島「ライブのチケットか……」



青島「…………」



青島「いや、ダメに決まってるでしょ」




青島「まぁ、何か進展あったらすぐ連絡して」

和久「はい!」

栗山「僕は水瀬グループでリストラにあった人物とかを調べてみます」

青島「お願いね」



配達員「どうも、カエル急便です。サインお願いしやす」

青島「あっ、王さんお願い」

王「自分でやれよ。……これでいいか?」

配達員「どうも。ありがとうございやす」



配達員「…………」




───




961プロ



配達員「ダンナ、何個か情報仕入れやしたぜ」

黒井「ほう。これはこれは」

配達員「じゃ、あっしはこれで」

黒井「ウィ。ご苦労」



黒井「…………」




警察庁



室井「…………」

長官「来たか、室井くん」

室井「どのようなご用件でしょうか」

長官「水瀬グループのビルで起きた爆破事件のことは知っているね?」

室井「はい」

長官「実は、君に本部から指揮を取ってもらいたいのだが」

室井「私が?」




長官「それから、これからは所轄の刑事を排除して、本庁の捜査員のみで行う」

室井「それは……!」

長官「水瀬グループが与党にも多大な影響を与えているのは知っているだろう」

室井「…………」

長官「政府からの要請でね、それなりの立場にいる人間に指揮を取ってもらいたいのだよ」



長官「やってくれるね?」



室井「…………」




─────
───




湾岸署 刑事課



青島「どういう事ですか署長! 所轄が事件から外されるって!」

真下「なにせ上からの突然の命令で、僕にもサッパリ」

青島「室井さんは何をやってたんだ!」

魚住「青島くん、落ち着いて」

すみれ「案外、政府からの要請だったりして。水瀬グループって大企業だし、色々あるんじゃない?」

青島「…………」

真下「あっ、青島さんは引き続き伊織さんの警護をって」

青島「……わかりましたよ」

真下「みんなは通常通りの業務に戻って! はい、解散!」




───




765プロ



青島「…………」

伊織「なによ、辛気臭い顔しちゃって」

亜美「何か事件の夜間ですなぁ」

青島「…………」

伊織「なにがあったのよ」






青島「実は事件を外されちゃった」

伊織「はぁ? アンタ必ず事件を解決するって言ってたのに、使えないわねぇ」

青島「ごめん……」

亜美「どうして外されたんだい? まさか刑事のおじさん、何か凶悪事件を引き起こしたんじゃ!」

伊織「なんですって!?」

青島「ちょっと待って! なんで俺がそんなこと!」




伊織「じゃあ、どうしてよ」

青島「君たちに言ってもわからないだろうけど、捜査は本店……えっと、本庁の刑事がやるから、俺たち下っ端は捜査するなって」

亜美「ふーん」

伊織「それでほいほい従っちゃったわけね」

青島「ほいほいって……」

亜美「あっ、でもそれって亜美たちが出た運動会の話に似てない?」

青島「運動会?」



P「亜美ー! レッスンの時間だぞー!」

亜美「はーい! それじゃ、いおりん、おじさん! 亜美はもう行くね!」

伊織「ええ、いってらっしゃい」

青島「いってらっしゃい」

亜美「じゃ~ね~!」




伊織「実は前に……そうね、私たちがまだそこまで売れてなかった時代。番組でアイドルの運動会があったのよ」

伊織「それで結構良い成績を残してたんだけど、番組の上層部は私たちみたいな無名の事務所が優勝するなんて……みたいなことになってね」

伊織「有名な事務所が優勝するように、色々な圧力や動きもあったみたい」

青島「…………」



伊織「でも優勝してやったわ。もちろんみんなの力を合わせた結果だけど」

伊織「これは後から知ったんだけど、社長やプロデューサーも色々尽力してくれてたみたい」




伊織「まぁ、亜美が言っていたのはそういうことよ。私たちも色々な圧力に潰されそうになったことがあるってね」

伊織「でも私たちはそれに屈しなかった。そして勝利を勝ち取ってきたのよ」



伊織「って、なんでアンタにこんなことを話さないといけないのかしら!」

伊織「ねぇ、ジュースを持ってきてちょうだい! もちろん果汁100%のやつね!」

伊織「ちょっと! 聞いてる?」



青島「…………よね」

伊織「え?」




青島「そうだよね! その通りだ!」

伊織「い、いきなり何よ!」



青島「そうだよ! なんで素直に従っちゃてたんだろう!」

青島「確かに俺たちも、過去に何度も色々な圧力が掛かってた」

青島「それでも俺たちは屈さず、いつも自分たちの信念を貫き通して、跳ね除けてきたんだ!」



青島「……それに室井さんもきっと何とかしてくれる!」

伊織「誰よ室井って!」

青島「ありがとう伊織ちゃん! おかげで目が覚めたよ!」



青島「よーし! 必ず被疑者は俺たちが捕まえてみせる!」

伊織「そ、そう。まぁ、精々頑張りなさいよね、にひひっ♪」

青島「やるぞ~!」




伊織「それより喉が渇いたってば! 早くオレンジジュースを持ってきてよ!」

青島「かしこまりました、お姫さま」

伊織「ふんっ!」



青島「えーっと、冷蔵庫は……あれ? 小鳥さん?」

小鳥「ぎくっ」

青島「何やってんの?」

小鳥「えーっとですね……これは~」



伊織「あっ! 小鳥! アンタまたサボってテレビを観てたわね!」

小鳥「ち、違うのよ! 伊織ちゃん!」

伊織「これは律子に報告しないとね」

小鳥「待って! 本当に違うのよ!」

伊織「問答無用」

小鳥「だって! この番組ってCGを使ってないから迫力が凄いのよ!」

伊織「そんなの知らないわよ!」



ギャー ギャー



青島「ははは……」



─────
───





湾岸署



青島「おはよう!」

栗山「あっ、青島さん」

青島「どうしたの?」

栗山「水瀬グループの辞めた人間を色々調べてみたんですけど」

和久「僕もいくつか回ってみました」

青島「君達、捜査外されたのに調べてたの?」

夏美「私たちがそんな事でやめると思います?」

青島「いい部下を持ったなぁ~。……それで?」

和久「残念ながら手掛かりになりそうなものは……」

栗山「こっちもです」

青島「そうか……」




夏美「あっ、そういえば明後日に765プロのライブあるんですよね?」

青島「ああ、そういえば」

夏美「いいなぁ。私も見に行きたかった」

青島「いい子たちなんだけど、色々と大変だよ?」



真下「いた! 青島さん!」

青島「真下く……署長。どうしたんです?」

真下「実はですね、例の事件の指揮を室井さんが執るそうですよ」

青島「室井さんが!?」

真下「僕もたまたま聞いたんですが、間違いないです」

青島「でも、なんで?」

真下「普通は室井さんのポジションで捜査指揮をすることはあり得ないですから、相当上からの命令ですね。たぶん政府とかの」

青島「なるほどねぇ」

真下「あっ、この事は内密に!」

青島「大丈夫。口は堅いから」

真下「頼みますよ! それじゃ」



青島「室井さんがねぇ……」




青島「あっ、和久くん!」

和久「はい?」

青島「ひとつ調べて貰いたいことがあるんだけど」

和久「?」



─────
───





二日後、台場ライブ会場



青島「凄いなぁ! 本当にここでやるの?」

伊織「当たり前でしょ! 早く控え室に行くわよ! もうみんな準備してるでしょうし」

青島「はい、急ぎます」





控え室



伊織「みんなお待たせ!」

やよい「あっ! 伊織ちゃん!」

伊織「おはよう、やよい」

青島「控え室も豪華だねぇ~」



「そうそう。ここが美味しいのよ」

「それはまことですか! 是非一度味わってみたいものです」



青島「ん?」




「それじゃあ、今度連れてってあげる」

「是非お願いいたします!」



青島「すみれさん!?」



すみれ「あら、青島くん」

貴音「おはようございます、青島殿」

青島「おはよう……じゃなくて! なんですみれさんがいるの!?」

すみれ「なんでって応援に来てあげたんじゃない」

青島「聞いてないって!」

すみれ「あれ? そうだったかしら。 あっ、貴音ちゃん。それでここのお店のラーメンがまた絶品でね」

貴音「なんと! 流石はすみれ殿!」



青島「しかも打ち解けてるし……」





P「みんな揃ったか? そろそろミーティングを始めるぞー!」

全員『はい!』



すみれ「いい子たちね。他の子にも色々オススメ聞かれちゃった」

青島「……そう」




───




本番前



青島「なんか、こっちまで緊張してきた」

伊織「なんでアンタが緊張するのよ! バカじゃないの!?」

青島「ははっ、面目ない」

伊織「私たちの勇姿、しっかりと目に焼き付けておきなさい!」



春香「みんな準備はいい?」

真美「当然っしょ!」

春香「それじゃあいくよ! 765プロ~~~!!」



『ファイトーーー!! オーーーッ!!!」







───




青島「凄いなぁ。流石に生はDVDで観るのと段違いだ」

すみれ「私ももう少し若かったらなぁ~」

青島「え?」

すみれ「なに?」

青島「いえ、なにも」



青島「あれ、電話だ」

すみれ「こっちは任せておいて」

青島「お願いね」




青島「ん? 室井さん?」



青島「はい、青島です」

室井『青島か』

青島「遅いですよ。何やってたんすか」

室井『私も色々大変なんだ』

青島「でも必ず室井さんがやってくれるって信じてましたよ。それで?」

室井『実はたった今、犯人から犯行予告があった』

青島「……え?」



室井『場所は、今君がいるライブ会場だ』






青島「どういうことですか!?」

室井『逆探知した結果、被疑者は盗難した携帯電話を使用していて身元は割れなかったが、場所は特定出来た。電波もその会場だった』

青島「じゃあ、被疑者はここに!?」

室井『ああ』

青島「他に何か情報は!? 」



室井『……待て、また被疑者からだ。そっちにも繋ぐ』

青島「…………」




『どうも刑事さん。さっき言い忘れましてね』

室井「……なんだ?」

『いやぁ、ちょっとしたデモンストレーションでもと思いましてね。なに、被害者は出ないと思いますよ」

室井「どういうことだ!?」

『すぐにわかりますよ』

室井『待て! っく……』







青島「室井さん!?」

室井『青島! 周辺に警戒しろ!」



ドーン!!



青島「!?」




室井『どうした! 青島!』

青島「近くで爆発が! 向かいます!」



すみれ「青島くん!」

青島「すみれさん!」

すみれ「今のは!?」

青島「俺は現場に向かう! すみれさんは伊織ちゃんを!」

すみれ「わかった!」



青島「くそっ!」




室井『青島! 状況は!?』

青島「会場内の倉庫で軽い爆発があったみたいです! 周辺に人の気配はありません!」

室井『そうか……』

青島「でも、なんで人がいないって知ってたんだ……」



室井『青島、再び犯人からだ』

青島「…………」






『くっくっくっ。どうでしたか刑事さん』

室井「貴様の目的はなんだ?」

『目的? さぁ……』

室井「水瀬グループへの恨みか?」

『水瀬? まぁ、関係ない事もないかな?』

室井「どういうことだ?」

『くくっ、いずれわかりますよ。……おや? 今ので一部の観客が気づいたのかな? これは大変だ』

青島「!?」

『まぁ、また連絡しますよ。それじゃ』




すみれ「青島くん!」

青島「すみれさん! そっちの状況は!?」

すみれ「会場は広いし、遠く離れたこの倉庫は客席から死角になって見えないはずだけど、それでも一部の人が気づいたみたい」

青島「765プロのみんなは!?」

すみれ「こっちはみんな気づいてる。行ってあげて」

青島「……ああ!」




───



青島「はぁ……はぁ……みんな!」

伊織「ねぇ、今のって……」

青島「倉庫で小さい爆発があった」

伊織「…………」

青島「幸い、怪我人はいないから安心して」

伊織「でも……」

青島「大丈夫。絶対に犯人は俺が捕まえるから。もう奴の好きにはさせない」




伊織「でも……私のせいで!」

青島「伊織ちゃんのせいじゃない! 悪いのは犯人だ!」

伊織「…………」

青島「俺を信じて」




P「刑事さん。ライブはこのまま中止にした方が……」

伊織「……待って」

P「伊織?」

伊織「この人は必ず犯人を捕まえるって言ったわ。だから……」

P「…………」

伊織「信じていいのよね?」

青島「……ああ!」




青島「あっ、でも一度ライブは止めた方が……」

伊織「もう遅いわよ! 次は私の番よね?」

P「そ、そうだけど……」

伊織「もう美希たちのステージも終わって戻ってくるね。じゃあ行ってくるわ!」




美希「はぁ……はぁ……。でこちゃん! お客さんが!」

伊織「わかってる! って、でこちゃん言うな!」

響「でも!」

伊織「安心なさい! 私にまかせて!」



伊織「……ふぅ」



伊織「アンタたち、このスーパーアイドル伊織ちゃんの勇姿を目に焼き付けておきなさい! にひひっ♪」



青島「…………」ポカーン




ザワ ザワ



観客「なぁ、やっぱりさっきの音って」

観客「例の爆破事件じゃ……」

観客「それじゃあ早く逃げないと……!」



伊織「ちょっとアンタたち!!!」



観客「!?」



伊織「私たちのライブで、他のことに気を取られるなんていい度胸じゃないの!」




伊織「なんか近くでお祭りがやってるみたいだけど、アンタ達にはそっちの方が興味あるのかしら?」



観客「祭り……やってたっけ?」

観客「さぁ?」



伊織「あーもう! うるさいわね!!!」



観客「…………」



伊織「今から私がそんなこと忘れさせてあげるから、目をかっぽじって見てなさい!!」




伊織「行くわよ! 」



伊織「全力アイドル!!!!」



観客「…………」



観客「……うおおおおお!!」




ワー ワー



青島「……アイドルって凄いな」

青島「……よし!」



青島「次は俺の仕事だ!!!」




「ふんっ……!」




青島「室井さん! 何か手掛かりは!?」

室井『プロファイリングの結果が出た。性別は男性。年齢は30~50代くらい。体格は比較的大柄で、自尊心が強いタイプだ』

青島「室井さん、犯人は多分関係者だ」

室井『……何故だ?』

青島「倉庫の周りには、誰も居ませんでした。多分それを知っていた。いや、もしかしたらそんな指示を」




室井『わかった。ライブの関係者を当たってみる』

青島「お願いします!」



「くそっ……! どこかにあるはずだ!」



青島「…………室井さん。近くに怪しい人物が」

室井『特徴は?』

青島「50代くらいの男。体格はかなり大柄です」

室井『……プロファイリングと一致する』




青島「確保します」

室井『慎重にいけ』

青島「はい」



「ここではないか……では次だ!」



青島「ここで何をしている?」

「!?」ダッ

青島「待てっ!」




「ええい、離せ!」



青島「確保しました!」

「何をする!」

青島「こっちの台詞だ! お前こそ何してた!」

「うるさい! 私を誰だと思っているんだ貴様は!」




「大体、貴様は何者だ!?」

青島「俺? 湾岸署の刑事だ」

「け、刑事!?」

青島「連続爆破事件の容疑で逮捕する」

「ま、待て! 誤解だ! 私ではない!」

青島「じゃあ何してたの? ていうか名前は?」

「あ、怪しい者じゃない!」



黒井「私の名前は黒井崇男! 961プロダクションの社長だ!」

青島「え?」




青島「で、その黒井社長がこんな所で何を?」

黒井「わ、私はただ……!」

青島「ただ?」

黒井「ば、爆弾の……」

青島「やっぱり犯人じゃないか!」

黒井「ち、違う! 私も爆弾魔を捜していたんだ!」

青島「……え?」




青島「なんでアンタが……というか何で知ってる?」

黒井「ふんっ! 私独自の情報網だ。貴様には教えん」

青島「……逮捕する」

黒井「ま、待て! 話す! とある雑誌記者から入手したのだ!」

青島「それで?」




黒井「そして、私はこの三流プロダクションが狙われていると判断し、独自に調査をしていたのだ」

青島「なんでアンタが?」

黒井「貴様には言わん」

青島「逮捕」

黒井「わ、わかった! 言う!」




黒井「わ、私と765プロの高木は古くからの確執があってな」

青島「それで爆弾を」

黒井「違う!」

青島「じゃあ何で」

黒井「ば、爆弾魔に潰される位なら……」

青島「え?」



黒井「765プロを潰すのは私なのだ! 爆弾魔などに邪魔をされたら困るのだよ!」




青島「それで犯人を捜して?」

黒井「ウィ! 悪いか!」

青島「じゃあ犯人じゃないの?」

黒井「そうだと言っている!!」



青島「……室井さん、どうします?」

室井『……念のため事情聴取する。情報を仕入れた雑誌記者の件もある』

青島「了解」

黒井「ま、待て! 私は!」



すみれ「青島くん! ……その人は?」

青島「あっ、ちょうど良かった。この人のことお願い」

すみれ「え?」

青島「お願いね!」

すみれ「ち、ちょっと!」



すみれ「…………」

黒井「…………」




───



室井『……青島、被疑者からだ』

青島「!!」




『もしもし、刑事さん? ひとつ言い忘れてたんだ』

室井「なに?」

『実はね、あるんだよ。もう一個』

室井「もう一個?」

『そう。どでかい奴が、ね」

室井「まさか……」

『そのまさかだよ。今度のはビルや倉庫とは訳が違う。人が沢山死ぬ威力!』





室井「それはどこにある?」

『もう言わなくてもわかるでしょ?』



青島「まさか……ステージに!?」



『はっはっは! それじゃあね!』

室井「待て!」




室井『青島!』

青島「ステージに向かいます!」

室井『いや、爆処理が現場に到着した。お前は被疑者を追え」

青島「でも!」

室井『お前が行っても無駄だ。そっちは彼らに任せろ』

青島「……わかりました。被疑者を追います!」




「…………」

「あっ、おかえりなさい」

「どう? ちゃんと撮れてる?」

「はい! 素晴らしいライブですね!」

「ははっ、そうだね」



「でも、これからもっと面白いものが取れるかもよ?」





青島「はぁ……はぁ……」



青島「電話……もしもし?」

和久『青島さん!』

青島「和久くん?」

和久『遅くなってすいません! 青島さんが言ってた件、調べが付きました!』

青島「どうだった?」




和久『何箇所か当たったところ、青島さんの睨んだ通り、とある下請けの制作会社で、撮影用の爆薬が大量に購入されていました』

青島「……それで?」

和久『その制作会社に行ってみましたが、やはりその爆薬は紛失していました』

青島「…………」

和久『そして、その購入を指示をした人物は、フ○テレビのディレクター、○×△男です!』

青島「!!」

和久『事件の数日前に一人で訪れていたそうですが、その後の彼の様子をみていた人物はいませんでした。爆薬の管理も適当で紛失していた事には気づいていませんでした!」



青島「……わかった、ありがとう!」




D「……そろそろ頃合いか。しっかり撮っておいてよ」

カメラマン「? はい」

D「はっはっはっ!」



青島「そこまでだ!」



D「あれ? あなたは確か765プロの新しい」

青島「…………」

D「どうかしましたか? 撮影はバッチリと……」



D「まさか!?」






青島「○×△男、連続爆破事件の容疑で逮捕する!」

D「くっ……!」



青島「待て!」




D「くそ! 出入り口には警察か!」

D「……こっちか!」



青島「くっ! ステージの方に……!」



D「はっはっは! これでも体を鍛えているからな! そう簡単に捕まってたまるか!」




ステージ裏



青島「はぁ……はぁ……」

D「くそっ! しつこいやつだ!」



律子「何ごとですか? ってディレクターさん?」

青島「そいつから離れて!!」

律子「え? きゃあっ!」




青島「くそっ!」

D「はっはっは! 爆弾のスイッチもここにあるぞ! 下手な事をすれば、まとめて木っ端微塵だ!」

律子「ば、爆弾!?」



伊織「律子?」

律子「伊織! 来ちゃだダメ!」

伊織「え?」




青島「そいつが、爆破事件の犯人だ」

伊織「ア、アンタが!」

D「そう、ご名答! はっはっは!」




伊織「ど、どうしてこんな事を!」

D「どうして? そんなこと決まってるだろう」



D「数字だよ、数字! し・ちょ・う・り・つ!」




D「いやさぁ、今をときめく765プロ!」

D「そのアイドルたちのライブの模様を撮っている最中にさ、ステージが爆発!」

D「そして、アイドルが木っ端微塵に吹っ飛ぶ! そんな光景が撮れたら最高じゃないか!」

D「もう、世界中でも大スクープ映像!!」

D「わかる!? どれだけ素晴らしいことか!!」




青島「お前……! そんな事の為に……!!」



伊織「……じゃあ水瀬ビルの事は?」

D「水瀬? ああ、たまたま近くのビルだったからさぁ、実験しただけだよ。同じ台場だし」

伊織「そ、それだけのことで?」

D「そう! 別に恨みも何もないよ! まぁ、そのお陰で捜査も難航したみたいだけどな! はっはっはっ!」





D「それじゃあ律子ちゃん、付いてきて」

律子「…………」



D「おっと、動くなよ! 動けばスイッチを押すぞ」



青島「くっ!」




伊織「律子……」

律子「私は大丈夫よ、伊織」



D「はっはっは!」



青島「……くそっ!」




室井『青島……青島聞こえるか』



青島「…………」



室井『爆処理から連絡があった。爆弾は無事解体した』



青島「!?」




室井『あとは……お前に任せる!』



青島「…………」







青島「…………」ニヤッ




青島「ははっ……はははっ!」



D「青島さん、何がおかしい?」



青島「いやぁ、だって……ねぇ?」



D「あんまり舐めた態度を取るなよ? スイッチを押すぞ!」




青島「どうぞ?」



D「なんだと!?」



伊織「ちょっと! アンタどういうつもり!?」



青島「…………」ニヤリ

すみれ「…………」パチッ



伊織(あっ、犯人の後ろにいるのって確か刑事の……)




D「くそっ! ふざけやがって! こうなったら全員道連れだ! 後悔しても知らねえぞ!」



D「はっはっは!」ポチッ



D「…………あれ?」



D「ど、どういう事だ! くそっ!」ポチッ ポチッ




青島「ごめんねぇ。爆弾、爆弾処理班の人達が解体しちゃったみたい」



D「なんだと!?」




D「く、くそっ! 逃げるしか!」

律子「…………」



伊織「律子!!」



青島「すみれさん! 確保!」

すみれ「よしきた!」



律子「…………隙あり!」

D「え? ぐふっ!!」



青島「え?」

すみれ「え?」

伊織「え?」




D「うっ、うう……!」ヨロッ



伊織「律子! 大丈夫!?」

律子「私は平気! それより!」

伊織「あっ! 犯人がステージの方に!」



D「くっ、くそっ! 」ヨロヨロ




真「どうしたの? 騒がしいなぁ」



D「うぅ……!」



伊織「真!!」

真「!?」



D「ぐぐっ……!」

真「はああああぁ!!」



D「?」




真「せいやああああっ!!!!」

D「ぐはっ…………!!」



D「…………」ヨロヨロ



D「」バタン




青島「…………」

すみれ「…………」



すみれ「あ、青島くん」

青島「あ、ああ……!」



青島「被疑者確保! 被疑者確保しました!」




律子「一件落着ですね!」

青島「律子ちゃん! 危ないじゃないの!」

律子「ははっ、体が勝手に動いちゃって! これでも腕っぷしには自信があるんです!」

青島「あのねぇ……それに真ちゃんも!」

真「いやぁ、ボクも反射的に! 伊織の様子を見てたらただ事じゃないって」

青島「あの一瞬で!?」

すみれ「信頼がなせる業ってやつかしら?」



青島「というか……キミ達、本当にアイドル?」



伊織「それより、私も一発殴らないと気が済まないわ!」

青島「伊織ちゃんまで!」

伊織「こいつのせいで、どれだけ心労が重なったことか!」



青島「室井さぁん!」

室井『…………私には何も見えん』

青島「室井さん!?」






黒井「おい! このセレブな私をいつまで放置しておく気だ! 犯人は捕まっただろう!?」

黒井「おい! 聞いているのか! おい! おい!!!!」



─────
───





アンコール! アンコール!



伊織「アンタには世話になったわね」

青島「ははっ、仕事だから」

伊織「それでも……ありがと」

青島「どういたしまして」



やよい「伊織ちゃーん!」

伊織「いま行くわ!」



伊織「それじゃあ最後に聴いていきなさいよね」

青島「わかった」




ワー! ワー!



伊織「最後に……会場のみんなと、私たち765プロが、とーってもお世話になった人にこの曲を届けるわ!」



伊織「せーの!」



『 Love Somebody!! 』



https://m.youtube.com/watch?v=eDEZEnNV9n4





終わり




>>58

訂正

×夜間

○予感

>>74

×最後の「ら」


このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月16日 (日) 09:44:49   ID: 3nnhvp2b

765の少なくなってきてる中、面白コラボありがとう。楽しく読ませてもらいました!

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