千早「芸能人から相談メールがきたわ」 (39)
P「なになに。芸能人を装ったメール詐欺で37万人116億円の被害か…」
P「『相談に乗って』などと持ちかけて出会い系サイトに登録させる。かぁ」
P「こんなのに騙される人がほんとにいるんだなぁ」
律子「あ!プロデューサー!そろそろ収録始まりますよ!新聞なんで読んでないで集中してください!」
P「はいはい。…まったく一度でいいから、こんな詐欺に引っかかる人を見てみたいよ」
事務所
千早「どうしたものかしら……」
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千早「やっぱりプロデューサーに相談を……」
春香「あ、千早ちゃん。ちょっと話が…。ってどうしたの?携帯見つめて」
千早「あ、春香。ちょうどいいところに。こういうのはよく分からなくて」
春香「ん?何?」
千早「実は、芸能人から相談に乗ってほしいってメールが来たの」
春香「へー。千早ちゃんがメル友つくるなんて珍しい…。誰から聞いてもいい?」
千早「ええ。春香は@KB48というグループを知ってるわよね?」
春香「うん。勿論。私たちの次に有名なアイドルグループだよね」
千早「そうよ。私たちの下の有名なアイドルグループよ」
春香「それじゃあ、@KB48の誰かから相談を受けたの?」
千早「ええ。M田さんとかO島さんとかからメールが来たの」
春香「千早ちゃんU子さんとかとアドレス交換してたんだー」
千早「全くしてないの」
春香「……は?」
千早「だからどうしたものかと考えてたの…」
春香「いや…どうしたもなにも…」
千早「最近の携帯にはそんな機能もついてるのかしら…」
春香「いやいやいや!千早ちゃんそれって絶対詐欺だよ!」
千早「詐欺?」
春香「そう!詳しくは知らないけど、たしかお金とられたりするんだよ!」
千早「相談にのるにはサイトに登録しなきゃいけないらしいけど、M田さんやO島さん個人には入らないから詐欺じゃないらしいわ」
春香「はい詐欺!決定的だよ千早ちゃん!」
千早「他の芸能人からも沢山のご相談のお便りが届いているのだけれど…」
春香「アドレス変えよう千早ちゃん!」
春香「はい。これでアドレス変更できたよ」
千早「ありがとう春香。私の知らないうちに芸能界のご意見番になったのかと思ったわ」
春香「千早ちゃんの受信メールすごいね……男女のアイドルから俳優、芸人さん、スポーツ選手からの相談メールまで…」
千早「著名人のメンタル脆すぎないかしら」
春香「う、うん。そんなことより私とお話を…」
千早「全く。詐欺なんて困ったものね」
春香「そうだね。話を…」
千早「私は未亡人の相談を受けるのに忙しいというのに…!」
春香「ちょっと待って千早ちゃん」
千早「なに?春香」
春香「えーと…いま未亡人がどうとか聞こえた気が…」
千早「ええ。だから芸能人の詐欺メールなんかにかまっている暇はないの」
春香「そ、そっか……。えーと…その人…千早ちゃんの知り合い…?」
千早「いいえ。全く知らない見ず知らずの人よ!」
春香「…」
千早「現代は心に闇を多く抱えた社会ね…」
春香「……知らない人からメール来たんだ」
千早「きっと誰でもいいから相談にのって欲しかったのね……身内を失った悲しみはよく分かるわ……」
春香「うぅ…ツッコミにくい……」
千早「旦那さんがオオアリクイに襲われたらしいの」
春香「それは気付こうよ千早ちゃん!!」
千早「どうしたの春香。そんな大声出して」
春香「ありえないよ千早ちゃん!なにオオアリクイって!?」
千早「詳しくはないけれど、たぶん大きなアリクイじゃないかしら」
春香「そういうことじゃなくて!そんな状況ありえないでしょ!」
千早「事実は小説よりも奇なりね」
春香「なんで千早ちゃんはそんなに何でも受け入れちゃうの!?」
千早「私、心は大きいの。胸は小さ…つつましいけれど。フフフ。」…クッ
春香「いやいや!それもぜっっったい詐欺だから!」
千早「ふー。まったく春香は…」ヤレヤレ
春香「え!?私あきれられてる!?」
千早「何でも詐欺詐欺って…いつからそんなに人を信じられない娘になってしまったの…?」
春香「私が腹黒いみたいな反応やめてよ!絶対私のほうが正しいから!」
千早「…いい?春香。落ち着いて考えてみて」
春香「な、なにを…?」
千早「百歩…いえ一万歩譲って詐欺だったとするわ」
春香「詐欺だけどね」
千早「もし春香が人を騙そうとしたとして」
春香「うん」
千早「『夫がオオアリクイに殺されました』なんて文で騙せると思う?」
春香「…………は、反論できない!」
千早「でしょ?だからこのメールは本物なのよ」
春香「な、納得いかないよ!」
千早「しつこいわね。春香は」
春香「ここで納得したら私のいままでの常識を否定することになるよ」
千早「じゃあとにかく、春香のコチコチに凝り固まった常識外のメールの内容を聞いてちょうだい」
春香「その言い方やめて」
千早「さやかさんという未亡人の人なのだけど…」
春香「うん。詐欺だけど。うん」
千早「さやかさん(29)は悩みを抱えてるらしいの…」
春香「うん、まあそうだろうね」
千早「そ、その悩みが…その…あれよ…」
春香「うん?」
千早「か、体の…ほ、火照り…が悩みだそうよ…///」
春香「うわぁ……(引き)」
千早「莫大な遺産があるから、お礼にお金をくれるそうよ」
春香「うわぁ……(ドン引き)」
千早「でもそれは私ではどうしょうもできないし…」
千早「はっ!プロデューサーを紹介して……いえ!それはダメ!それはダメね!」
春香「いや、だからそもそもそれ嘘だって……」
千早「…フフフ。分かってるわ春香。さすがの私でも実はそれには気付いていたわ…」
春香「え…じゃあ…?」
千早「そんなことでお金を貰えるなんて都合のいい話はないって」
春香「…は?」
千早「そんな莫大な財産があったらシンガポールで危険なことをする必要がないものね」
千早「でも、旦那さんをオオアリクイに襲われたさやか(29)の気持ちは慰めてあげるべきじゃないかしら?」ニコッ
春香「うん。わかってなかったね」
千早「私はこういう人を勇気付けるために歌を歌っているのよ」
春香「イイハナシナンダケドナー…」
すいません…続きはまたあとで書きます…
おやすみなさい
春香「ねー千早ちゃん。そんなことより私とお話を」
千早「そんなこと!?さやか(29)が寂しさからシンガポールまで訪ねてオオアリクイに襲われたらどうするの!?」
春香「えぇ……」
響「そもそもシンガポールにオオアリクイはいないぞ……」
春香「あ、響ちゃん。おはよう。丁度いいところに」
響「おはよう春香。いったいなんの話をしてるんだ?」
千早「実は。私の携帯にオオアリクイの畜生に旦那さんを殺されたご夫人からメールがきたの」
響「えぇ……(困惑)」
千早「ええ……(悲壮)。酷い話よね…」
響「いや、そうじゃなくて……オオアリクイは基本おとなしいから人は襲わないぞ…」
千早「そうなの?なら訓練されたオオアリクイなのね…」
響「いやいや…オオアリクイの調教なんて聞いたことないぞ…」
千早「そう言えばそうね……やつらは年がら年中蟻しゃぶってるだけだもの……そんな知能があるとは…」
春香「千早ちゃんはオオアリクイに恨みでもあるの?」
千早「ならこのメールはひょっとして詐欺なのかしら…」
春香「だからさっきからそう言って…]
千早「ありえないと思わせて、本当にありえないなんて!なんて心理トリックなの!」
響「多分ハム蔵でも気がつくぞ…」
千早「日常の生活のなかでこんなに高度な情報戦をしかけてくるなんて…!」
春香「千早ちゃん、ちょっとお仕事へらしてもらおう?休もう?」
千早「実はこの間、茶々って人から、天皇に即位のお誘いも受けたのだけど…」
春香「そんなお茶するみたいな軽いノリで言われても…」
千早「あ!モチロン私は女性だから断わったわよ!?」
響「そういう問題じゃないぞ…」
千早「『立太子ボタン』なんてものがあったから信じてしまったわ……」
春香「立太子ボタンって…」
千早「嘘だったとしたら考えた人は天才だと思うわ…」
春香「その才能をもっと他で生かせばいいのに…」
千早「他にも、泥食って生きてる貧乏人扱いされたけどお金をくれるってメールが来たのだけど…」
響「それって騙す気あるのか……?なんで千早だけそんなに変なメールがくるんだ?」
伊織「たぶん千早のアドレスが業者間で回ってるのよ」
香「わ!伊織!ビックリした!」
伊織「なによ?春香が呼んだんでしょ?せっかくのオフを満喫してたのに…」
春香「いや、そうなんだけど急だったからビックリして…」
響「春香がよんだのか?」
春香「うん。ちょっと用事もあったし。伊織はこういうのに詳しかったから」
千早「そうなの水瀬さん?」
伊織「以前うちの財閥の名前も詐欺に使われたから調べたことがあるのよ。うちの名を騙った所は全部潰したけど」
響「恐ろしいぞ…」
千早「そう……私は騙されていたのね……」
春香「千早ちゃん……」
千早「でも、チンパンジーから来たメールはホントよね!?」
春香「千早ちゃん!?」
千早「知能訓練を受けた、メスのチンパンジーの早苗さんからメールをもらったのよ」
伊織「……どこぞのロリ婦警さんみたいな名前ね」
響「あんまり言うと逮捕されるぞ……」
千早「もしかしてそれも嘘なの…?」
春香「むしろなんでそれを信じられるの?」
千早「すべて…すべて、嘘だったの……」
千早「…それはよかったわ」
春香「千早ちゃん?」
千早「オオアリクイに旦那さんを殺されたさやか(29)はいない……」
千早「それは、今週で一番いい知らせだわ」ニコッ
春香「千早ちゃん……」
春香「恥ずかしいからって誤魔化さなくてもいいんだよ?顔真っ赤だよ?」
千早「っ!///だ、大体!こんなことする詐欺師が悪いのよ!こんな卑劣な人道にもとる行為をするなんて!オオアリクイにも劣る最低の屑よ!」
春香「ち、千早ちゃん。言葉が過ぎ
伊織「……まあその通りね」
春香「え?い、伊織?」
伊織「私もこういう詐欺について色々調べたし、被害者の人の話も聞いたわ…」
伊織「今回のことに関しては千早は完全に被害者よ。騙された千早が悪いんじゃないわ」
伊織「こういう事件があると、騙される側にも責任があるって言う人もいるわ。でもそれは違う」
伊織「アイドルのメールに騙されたファンの人だって、ちょっと迂闊だったかもしれないけれど、みんなアイドルを心配しての行動よ」
伊織「ファンの人の気持ちにつけこむほうが悪いの。絶対に。」
春香「伊織……」
伊織「だ、だから!千早はなにも悪くないわ!」
千早「……ありがとう。水瀬さん」
伊織「フ、フン!別にお礼を言われることじゃないわ!」
千早「フフフ」
千早「みんな。今日はありがとう…。こんなことをする人がいるって勉強になったわ」
春香「うん。よかったね千早ちゃん」
伊織「でもまた、形を変えて違う詐欺が出てくるのでしょうね…」
響「そのうち自分たちの名を騙ったものも出てくるのかなぁ…」
春香「その時は騙されないでね!千早ちゃん♪」
千早「は、春香ったら!」
響「流石にそれはないぞー」
アハハハハハハ
伊織「ま、どんな理由があろうと、人に迷惑をかける人間は最低ってことよ」
千早「そうね、そんな最低な人間がいなくなるといいわね」
響「そのとおりだぞ!」
伊織「じゃ、私はもう帰るわよ。オフを楽しんでたの。帰って続きを満喫させてもらうわ」
春香「あ、ちょっと待って伊織。話があるの」
響「そういえばなんか言ってたなー」
千早「席を外した方がいいかしら?」
春香「ううん。二人も聞いて」
響・千早「?」
春香「今朝ね、やよいから…」
春香「『三人に監禁されてるから助けて』ってメールが来たんだけど?」スッ
千早「それは私たちの名を騙った詐欺メールよ」
伊織「そうね!(便乗)」
響「そうだぞ!(便乗)」
春香「もしもし、早苗さんですか?ちょっとシメてもらいたい奴らが…」
おわりです。ありがとうございました。
オオアリクイメールは来たことありませんが、「お宅に届くパンフレットを20万で買い取らせてくれ」って電話はきたことあります。
皆さんも気をつけてください。
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