安部菜々「違う星に、来てしまった?」 (37)
安部菜々さんと基本的概念について。
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菜々「ひ、ひぃぃ~~っ。朝からお腹に激痛がっ!ぐぅ、なんか昨日食べたものに当たったのかなぁ……」
おはようございますっ。ラブリーナナは今日も元気にアイドル活動していきます!キャハッ。
って、元気を出すために自分を引き締めないといけないんですけど~~っ。そりゃいつもだったら朝からテンションは振り切ってるはずなんです。でもね、何だか今日は違っていて。
ナナがいつもと同じようにけたたましく鳴っているウサミン星型目覚まし時計を止めて、起き上がった途端にです。今まで体験したことのない鈍痛がお腹を襲ったんですよぅ。
……あ。女の子の日とかそういうのでは決して!今月終わってますし。ま、まぁそれは置いといててすね。
便秘っ!?もー、女の子にそんなこと言っちゃ失礼ですよ。お口にチャック!いや、例えるならナイフでごりごりえぐられたような……そう言っても過言ではない痛みだったんです。
勿論刺されたことはありませんけど。それくらい痛かったんです~~。朝からしょんぼりしちゃいましたよぅ。
菜々「はぁー……ふぅ。痛かったぁ」
暫く経つと痛みは治まりました。とっても痛かったんですけど、逆に目もパッチリ覚めちゃって、ナナはポジティブガールを心掛けてるのでこんなことでへこたれないんです!えへへっ。
そして何も無かったように朝ごはんを作り、電車に乗って事務所に来ましたっ。今は大丈夫なのか? 大丈夫なんです~っ。今のナナは元気に満ち溢れてますよ!
さぁPさん、今日の仕事は何ですか!えっ、ナナはオフ……。あーっ、そうでした!今日はナナ、お休みなんでしたっけ。すみませ~ん!朝にゴタゴタしたせいですっかり忘れてました。電車降りちゃって、もうすぐなんですけど。
ええと、帰った方が……? 事務所行ってもいいですか? ちょっと相談したいことがあって。……ありがとうございますっ。じゃあついでにお話ししちゃってもいいですか……。
P「とりあえずナナさん、事務所来てからにしません? 電話越しだと電車の音でナナさんの声が……」
菜々「あぁっ!すみません~じゃ、事務所に着いてからお話ししますね」
いつもと何も変わらないのにナナの周りの全てがしっくり来ない。いつもと同じ世界でいつもと同じように時が過ぎているようだけど、何か違う気がする。それがなんとなく不気味で、ナナは家に帰れなくて、つい事務所に寄ってしまった。
あぁ、Pさん。自然に足はいつもと同じエレベーターに乗って、目の前にはPさんがいる。普通の光景が広がっていて、少し安心しちゃいました。何だかナナ、少し参っちゃってるみたい……。
P「ナナさん! 大丈夫ですか。来るなり膝から崩れ落ちちゃって」
菜々「い、いや。何でもないんですぅ……。あれ、他の子たちは? 」
P「偶然にも休みが重なった子が多くて、仕事に行ってるのはかな子くらいなんですよ。あ……これ、食べますか?」
菜々「えっ。あ、クッキーですね。ありがとうございます。いただきます!」
P「この頃寒くなってきましたよねぇ。あ、カーテン閉めますね」
菜々「……はい?」
P「どうぞ」
菜々「あ、あの。Pさん」
P「なんですか?」
菜々「何でクッキー食べるのにカーテン閉めて電気も消さなきゃいけないんですか。よく分かりませんっ」
P「な、ナナさん……けっこうおおっぴらなタイプなんですね。そういうの」
菜々「ええ~っ!?何ですかその言い方。まるで、食べることが、その、えっちなことみたいじゃないですか」
P「ええ~っ!?エッチなことでしょう。他にエロいことなんてあります?」
菜々「えっ。Pさん!ナナをからかってるんですか!?おかしいですよ!そういうフェチでもあるんですかっ」
P「他にエロいことねぇ…… 」
菜々「な、ほら……あの、男女の、せ、性交渉とか!そういうことこそおおっぴらに公開なんて出来ないでしょう」
P「あはは。ナナさん、それは人類が繁栄していくための基本的行為じゃないですか!そんなの隠さないでオッケーだと思いません?むしろ」
菜々「思いません!!」
P「……で、相談があるんじゃなかったんですか?」
菜々「は、はぁ。もう、何がなんだか、ナナはまるで……違う世界に来たみたいですよぅ。Pさんたちを見てたら」
P「違うって、具体的に言ったらどういことなんですか。あ、その……飛鳥とか蘭子とかのやつ? ナナさんも遅れてきた厨二病にかかってしまいましたか。お気の毒に」
菜々「むーっ。厨二とか、そういうのじゃありませんよっ!さっきみたいなことです。まるで、自分の常識を否定されてるみたいで……」
P「ふぅん。何かよっぽど酷いことがあったように見えますよ」
菜々「……信じてくれないならけっこうです。独り言と思って聞いてくださいね」
もー、びっくりしちゃったんです。本当に目の前のことが信じられなくて。というのも、さっき起こってた出来事なんですけど。電車のホームでベンチに座っていると隣のアベックがこんなやり取りをしていたんです。
女「ねぇ~。この子少し太り過ぎたみたい。ミルクあげすぎちゃったかなぁ」
男「そうか…確かに重ぇな」
女「仕方無いから新しい子こさえようよ。もっと可愛い子」
男「あぁ。そうすっか」
ぼうっとただのDQNの会話だと思って耳を傾けていたんですけど、赤ちゃんはゴミ箱に投げ捨てられて、そのアベックを見たら彼氏はズボンを下ろして彼女は押し倒されていたんです。もう日本は終わりだと思いました……。
でもね、ぎょっとしているのはナナだけで他の人たちは携帯を弄ったり、新聞を眺めているだけで行為に及ぼうとしているカップルをその辺の石ころみたいに気にしていないんです。
駅長「おい君たち~」
アワアワしているナナを押し退けて、駅長さんが叫びながらアベックに近付いていったんですけど。うう。ナナはどうしたらよかったんですか~っ。
駅長「むやみに赤ん坊を捨ててはいかんじゃないか!ちゃんと市役所に行ってスペアを作ってからだろう!」
そこ!?
呆気に取られているのはナナだけで、アベックは赤ん坊を抱え直してイチャつきながら去っていきました。ナナはその後の赤ちゃんのことを考えると……うう。
P「そうですか」
菜々「もうダメですよ!何でスペアとか、そういう考えになるんですか!?その前に色々あるでしょう……ナナは絶望しましたよ。まだありますよ」
やはりどこかおかしいなと思いながら、ナナがベンチに再び座ると、女の人が包丁をぶん回しながら男の人を追い掛け回していました。
もうこの時点で危ないんですけど、その前にショックなことを目の前で見てたんで、ただの修羅場か~と思って見てたんです。
女「また他の女と食事なんてしてたのね」
男「や、止めろ…それ以上近寄るな」
女「でもあなたのことは愛してる。やっとこれで私の物になってくれるもの。えいっ」
女の人が笑いながら包丁を男の人に突き刺しちゃったんです……。
ナナは運が悪い事に、隣で見てしまってたので、心臓バクバクさせながらすぐに離れましたよ、もちろん。
流石に野次馬が集まってきているし、こんなの警察が来るのも時間の問題だと思ってました。
でも、女の人はけろっとした顔で男を横抱きにしながらホームを後にしたんです。慌てて隣のおじさんに女の人を指差すときょとんとしながら返されました。
おっさん「まぁ、権利書があるんならいいんじゃない」
菜々「権利書……?」
おっさん「殺人の権利書。まぁ最近導入された制度だから若い人でも知ってるでしょ」
ナナは頭を抱えながらホームに取り残されてしまいました。そんなの、聞いたことないですよぅ。当たり前ですけど。まるで人を殺めることが正当化されているみたいじゃないですか……。
P「ふむ。確かにおかしいですね」
菜々「いや、よくそんな冷静でいられますねっ!?異常事態ですよっ。こんなの普通じゃありません」
P「異常といえば異常、ですけど。しかしそのカップルにとってはどうでもいいことだともいえますね」
菜々「は?」
P「つまり……発想の逆転ですよ!ナナさん!」
菜々「……」
P「……」
菜々「うう。ナナは嫌な夢を見てるみたいです。帰って寝て現実に戻りますっ」
P「……そうだ。僕らは一切の固定概念やら常識やらを捨てて、ウサミン星人になりましょう。って、ナナさんはウサミン星から来たんでしたよね」
菜々「ウサミン星?そ、そんなっ。ナナは真面目に話してるんですけど」
P「そう。俺たちは見るもの聞くもの全てを奇異に感じられるんですよ。もうウサミン星人から見たら地球人は変わってる。何とおかしな人種だろう!」
菜々「……本当にそう思ってます?ナナは本気で言ってるんですよ!本当に目の前見てきたことなんですっ」
P「ええ。ナナさんの言う通り、一切合切おかしいことですよ」
菜々「……」
P「で、何が?」
菜々「むむーっ!!色々おかしいでしょ!?あまりに現実離れしてて、倫理観……って言うんですか!?そういうのが皆取っ払ったように感じるんですっ」
P「分かった、分かりましたよナナさん。つまりあなたの言いたいことは食欲に関することが秘め事になっているのに、性欲があまり開けっぴろげだ。それに人の命があまりに軽い物として扱われていると」
菜々「う、うう。そう、です……もう一体ここはどこなんですか。ナナほんとに違う世界に来たみたいなんです」
P「それに、地球人たちは殺人を公認していると話していたんですか」
菜々「は、はい……。恐ろしいことに。い、いや多分、ナナの尋ねた人が危ない人だったんだと思います。ヤの付く家業の方だったのかも。そう思いたいんですけど」
P「全く野蛮ですね。考えられません……それならここで、地球人の視点に立ってみましょう」
菜々「うう。そういうの要りませんからっ」
P「この社会を一つの巨大な生物に例えましょ。生体に……それを構成する細胞の間に互いに殺し合いたがる程のトラブルを抱え込むということは、望ましいことだと思いますか」
菜々「え、えっ? な、何だか話が大きくなったような……? ナナはよく分かりません」
P「まぁざっくり言うと、個人的なイザコザは個人的に解消した方が良いと思いません?殺っちゃったりとか」
菜々「そ、それは駄目です!それが原因で殺人がたくさん起こってたらとっくに社会が破綻してますから!」
P「これ以上膨れ上がることは許されません。あとは個々の細胞の代謝だけですからねぇ」
菜々「ち、違いますぅ……それはその、倫理的に、危ないですよ」
P「では聞きますよナナさんっ。なぜ生命は尊重されなければならないです?」
菜々「分かり切ってます!Pさんだって、ナナだって、ここにいる子たち含めて世界中の人が安全になるために必要なんじゃないですかぁ……」
P「それじゃ答えにならないんです。論理的に説明してください。さあ!」
菜々「それは!わ、ナナはっ」
P「ナナさん」
菜々「……ナナ……間違ってたの?」
.
.
.
P?「プロデューサーさん」
モバP「……ドクター、どうですか。彼女は」
医者「すっかり妄想から解放されたようです。もう安心ですよ」
菜々「Pさん……ナナ、どうかしてたみたいです。迷惑かけちゃってすみません。もう、安心ですね。えへへ、何だか自分の世界に帰ってきたって感じですよっ」
モバP「良かったです。さぁ、帰りましょ」
菜々「ありがとうございました。やっぱりPさんに連絡して正解でしたね!」
モバP「菜々さんはしっかり帰って休んでください。悪い夢を見たんでしょう?」
菜々「は、はいっ」
モバP「それと、ドクターから権利書を渡されたんですよね。うまくやれることを願ってますよ。頑張ってください」
菜々「はいっ。大丈夫です!明日バイトを辞めるついでに、アイドル声優を目指してたナナをバカにしまくったにっくき同僚のビッチを殺ってきますから!」
モバP「おっ!頼もしいですね~」
菜々「あ、あと……」
モバP「何ですか?」
菜々「今度、2人だけでファミレスに連れてってくださいね」
モバP「!菜々さん……大胆ですね。いいですよ」
菜々「えへへ」
ナナは帰ってすっかり安心しちゃって、すぐに寝付いちゃいました~。ナイフを枕元に置いてイメージを浮かばせちゃいます。えへへ、少しわくわくしちゃってます。初めての体験ですからね~~っ。
菜々「ひ、ひぃぃ~~っ。朝からお腹に激痛がっ!ぐぅ、なんか昨日食べたものに当たったのかなぁ……」
おはようございますっ。ラブリーナナは今日も元気にアイドル活動していきます!キャハッ。
って、元気を出すために自分を引き締めないといけないんですけど~~っ。そりゃいつもだったら朝からテンションは振り切ってるはずなんです。でもね、何だか今日は違っていて。
ナナがいつもと同じようにけたたましく鳴っているウサミン星型目覚まし時計を止めて、起き上がった途端にです。今まで体験したことのない鈍痛がお腹を襲ったんですよぅ。
……あ。女の子の日とかそういうのでは決して!今月終わってますし。ま、まぁそれは置いといててすね。
便秘っ!?もー、女の子にそんなこと言っちゃ失礼ですよ。お口にチャック!いや、例えるならナイフでごりごりえぐられたような……そう言っても過言ではない痛みだったんです。
勿論刺されたことはありませんけど。それくらい痛かったんです~~。朝からしょんぼりしちゃいましたよぅ。
菜々「はぁー……ふぅ。痛かったぁ」
暫く経つと痛みは治まりました。とっても痛かったんですけど、逆に目もパッチリ覚めちゃって、ナナはポジティブガールを心掛けてるのでこんなことでへこたれないんです!えへへっ。
でも、いつもと何も変わらないのにナナの周りの全てがしっくり来ない。いつもと同じ世界でいつもと同じように時が過ぎているようだけど、何か違う気がしちゃいました。
菜々「よし。今日もウサミンパワーで頑張ちゃいますよーっ」
でと生まれ変わったのは私なんです。どんなに違う気がするといっても、私のラブリーなハートは変わらないんですから。ナイフをバッグに納めて、私はつかつかと玄関のドアを開きました。
菜々「あれっ?Pさん。どうしたんですか」
P「いや~、何だか菜々さんが元気がなさそうだったんで心配で。つい迎えにきちゃいました」
菜々「ありがとうございます~っ。えへへ。あ、でもナナ、ちょっと寄る所があるので途中までで大丈夫ですよ」
モバP「そうですか。あ、朝食は摂りました? 僕おにぎり持ってますけど食べますか」
菜々「も、もう!!朝から下ネタはやめてくださいよっ」
モバP「ええっ……どこが下ネタなんですか。って、あれ」
菜々「え?」
モバP「ナナさんそれは?」
菜々「あー、これはナナの初仕事のためのブツです!えへへっ」
モバP「……え? 人殺しとかやめてくださいよ」
いやだな~。そんな顔しないでくださいよ。当たり前のことじゃないですか。
終わりです。
分かる人には分かる某sf短編パロでした。f先生は神
自分も他人も命は大切にしようね。
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