モバP「う、動けない……」(25)

モバP(皆さんはだいしゅきホールドという言葉をご存知だろうか?そう、性行為中に女性が男性をガッツリ抱きしめ、逃がさないようにするあれである。今の俺はホテルのベッドの上でガッツリホールドされてしまっている。しかも腕ごとホールドされていて、振り払おうにも全く動けない。俺も彼女も服は着ている為万が一の事態には陥っていないのが救いだが、彼女の柔らかい部分や吐息が当たって理性が崩れおちそうだ……)

モバP「あの、ちょっと動けないんで、一回離していただけないですかね?」

服部瞳子「……いやです」

モバP(何で今日の瞳子さんはこんなにも強情なのか)

モバP(今回俺と瞳子さんは地方でのソロライブの為、ライブ前日からホテルに宿泊していた。言っておくが、部屋は別々だからな?)

モバP(ライブも成功させ、そのお祝いとしてホテルの部屋で小さな祝勝会と称して2人で軽くお酒を飲み時間も遅くなってきた頃、それじゃあそろそろ寝ましょうかと言って俺が部屋を出ようとしたところ、突然瞳子さんにベッドに押し倒されて今に至るというわけだ)

モバP「瞳子さん、一体どうしたんですか?少し酔っぱらっちゃってますよ?」

瞳子「酔ってないわ」

モバP「酔って無かったらこんな事する人じゃ無いでしょ?」

瞳子「したくなったんだから仕方ないじゃない」

モバP(し、シたくなった!?)


瞳子「こうでもして抱き止めておかないと、貴方が何処かに行ってしまう気がして……」

モバP「ど、どういう事ですか?」

瞳子「今日のライブ、貴方から見てどうだった?」

モバP「そりゃ大成功でしたよ。ファンの皆さんの歓声も凄かったじゃないですか」

瞳子「そうね、私もそう思うわ。会場でのアンケートシートにも好意見が多かったわ」

モバP「ですね。『ライブ良かったよ』とか、『これからも応援してるからね』って意見が殆どでしたよ」

瞳子「その中にね、決して数は多く無かったけどあったのよ。『おかえり、待ってたよ』って」

モバP「それって……」

瞳子「えぇ、私の昔の、一度引退する前のファンの方ね。今みたいに有名になる前の引退だったけど、それでもファンはいたんだなぁって」

モバP「そうですね。瞳子さんの過去の経験は決して無駄ではありません。瞳子さんが舞台に戻ってきた今、再び迎えてくれるファンを作ったのは間違いなく昔の瞳子さんですから。……いやいや、それとこの今の状況とは関係なくないですかね⁉」

瞳子「でも、もし戻ってこられなかったら?貴方と出会わす、アイドルとして再び表舞台に戻って来られなかったら。多分その時私はずっと過去の事を後悔したまま生き続けていたでしょうね」

モバP「そんな事は」

瞳子「あるのよ。私の事は私が一番良くわかるわ。貴方と出会えて、私の人生は救われたわ」

瞳子「でもね、だからこそ思ったのよ。もし貴方が離れていってしまったら私はどうなってしまうのかしら?貴方から多くの幸せを貰ってしまった今、それが無くなるのが怖すぎるの」

モバP「瞳子さん……」

瞳子「こんな事言うのはおかしいと思うわ。でも、貴方がこの部屋から出て行こうとする時にもう我慢が出来なかった。我が儘でごめんなさい、でも、どこにも行かないで……!」

モバP「……とりあえず、腕だけでも自由にさせてもらえますか?」

瞳子「……」ギュッ

モバP「大丈夫ですから」

瞳子「……」コクッ

モバP「よっと。ふぅ。……安心してください、俺はどこにも行きませんし、瞳子さんのプロデューサーを辞めるつもりもありません」ギュッ

瞳子(あっ、抱きしめてくれた……)

モバP「そもそも俺は瞳子さんがアイドルとして輝けると思ったからプロデュースしてるんです。もちろん今回のソロライブも成功させて、瞳子さんはアイドルとして輝いています。でも貴女はもっと輝ける筈なんです。なら俺が、その輝きの向こう側まで連れていきますよ。この役目は他の誰かに譲るつもりはありません」

瞳子「ほ、本当に?」

モバP「約束します。俺は貴女が、アイドル服部瞳子が引退するまでそのプロデューサーでいます」

瞳子「……グスッ、ありがとう。やっぱり貴方に出会えて幸せだわ……」

モバP「……落ち着きましたか?」

瞳子「えぇ、みっともないところを見せてしまったわね」

モバP「いいんですよ。ここには俺と瞳子さんの2人しかいないんですから」

瞳子(そうよね。考えてみたら今は2人きり、誰にも邪魔をされることも無いのよね……)ギュッ

モバP「それじゃあ俺はそろそろ自分の部屋に……ちょっと瞳子さん?さっきより抱きしめてる力が強くなってるんですけど」

瞳子「……気のせいじゃないかしら?」

モバP「そうですかね?でも抱きしめられると部屋に戻れないんで一度放してもらえると……ちょっとちょっと、力強くなってるじゃないですか!うわっ、足も余計に絡めてきて抜け出せねぇ……!」

瞳子「……」カプッ

モバP「ちょっ、首筋甘噛みしないで⁉なんで甘噛みされたの⁉」

瞳子「あ、貴方の首筋がおいしそうだったから……」

モバP「いやいや、やめて下さいよ!俺の理性が飛んでっちゃうから!」

瞳子「飛んでっちゃってもいいのよ?」

モバP「飛んでっちゃってもいいって……自分が何言ってるかわかってますか?」

瞳子「言ったでしょ?貴方にどこにも行ってほしくないって。私は貴方に多くの幸せを貰ったとも。だから私は貴方に恩返しがしたいのよ」

モバP「恩返しって言っても……」

瞳子「……ごめんなさい。やっぱり私の我が儘よね。でも今夜だけ、明日からはまたアイドルとプロデューサーの関係に戻るから、これだけは言わせて 」



瞳子「Pさん、私は貴方の事を誰よりも愛してるわ」

モバP「……今夜だけは特別ですよ」ギュッ

瞳子「あっ……」

モバP「俺は最後まで『アイドル・服部瞳子』をプロデュースすると約束しました。それを変えるつもりはありません。ですがいつの日か、アイドルを辞めて1人の女性となった瞳子さんのプロデュースも俺にさせて下さい」

瞳子「それってもしかして」

モバP「これ以上はダメです。いつかその時になったら言いますから」

瞳子「もう……ズルい人ね」

瞳子「……ねぇ、今夜だけは特別なのよね?」

モバP「そうですね」

瞳子「今夜はまだ長いわよね?」

モバP「まぁそうですけど 」

瞳子「ならいいわよね」プチッ プチッ

モバP「ちょ、ちょっと !何で人のワイシャツ脱がそうとしてるんですか⁉」

瞳子「いいでしょ?お互いに想いが通じてるんだから。私のも脱がせてくれてもいいのよ?」

モバP「うっ⁉」ゴクリ

瞳子「それとも、私の身体じゃ不満かしら?確かに胸は大きい方じゃないけど」

モバP「いやいや、そんな事はうっ!」

瞳子「ふふっ、貴方のここは正直ね。こんな元気になってるわ」ナデナデ

瞳子「ねぇお願い。今夜だけの我が儘だから」

瞳子「私をメチャメチャにして……♥」

瞳子「…………あっ……やっ…………あぁんっ!」

翌日

モバP「おはようございます。モバPと服部瞳子、戻りました」

千川ちひろ「あ、プロデューサーさん、おかえりなさい。ソロライブは大成功だったみたいですね!」

モバP「えぇ、新しいファンだけじゃなく、昔の瞳子さんのファンも来てくれてたみたいで、大盛況でしたよ」

ちひろ「それは良かったですね。瞳子さんも喜んでたじゃないですか?」

モバP「勿論、今のアイドル活動が認められたわけですからね。これからも頑張って行こうって決意を固めてましたよ」

ちひろ「ところでプロデューサーさん、ちょっとお疲れですか?」

モバP「え?」

ちひろ「いえ、顔色があまりよろしくないようなので。ドリンク買います?」

モバP「そこはタダでくれてもいいんじゃないですかねぇ?まぁ大きな仕事が一段落したんでその疲れでしょう。そういう事にしとこう、うん」

瞳子「おはようございます」

荒木比奈「あ、瞳子さん。おはようございます。ソロライブお疲れ様です」

瞳子「ありがとう。比奈ちゃんは休憩中?」

比奈「そうっスね。ちょうど話のネタも一区切りついたんで、今は気晴らしにイラストを描いてるっスよ」

瞳子「そうなのね。わぁ、やっぱり比奈ちゃんは絵が上手いわね」

比奈「エヘヘ、ありがとうございます。やっぱり誉められると嬉しいもんっスね……あれ?」

瞳子「どうしたの?私の顔に何かついてるのかしら?」

比奈「瞳子さん、昨日はライブだったんスよね?その割には元気そうというか……なんかツヤツヤしてないっスか?」

瞳子「そ、そうかしら?」ツヤツヤ

比奈「……」ジトー

瞳子「ほ、ほら!ライブが大成功だったし、ファンの方々から元気をもらったからね!うん、そうよ。そういう事にしておきましょう」

ちひろ「うーん……」

比奈「これは何か」

ちひろ・比奈「ありそうね(っスね)」

モバP(言えない……)

瞳子(言えないわ……)

モバP(お互い燃え上がっちゃって、一晩中搾り取られたなんて)

瞳子(想いが通じて気持ちが高ぶって何度もおねだりしちゃって、朝までメチャクチャにしてもらったなんて)

モバP・瞳子「絶対に言えないな(わね)」

これにて終了です。
段々自分が歳をとってくると、クールのお姉さま方の魅力が身に染みてきますね。
自分にとっては瞳子さんがその1人です。

属性や年齢に関わらず、おもいっきり抱きしめられるのってよくないですかね?
胸があってもなくてもいい。ただその温もりがありがたい。

デレマスCoのお姉さまSSとMAXコーヒーが流行る事を祈りつつ寝ます

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