【ガルパン】 赤星小梅「黒森峰の放課後」 (18)

直下「いやぁ、今日も練習キツかったなー」

赤星「ですねー」

直下「隊長や副隊長は今も事務処理とか色々やってるんだよね」

赤星「本当にすごいですよね、あの人たち」

直下「でもさ、副隊長にとっては練習後の癒しの時間だったりして」

赤星「まぁ……確かに隊長と二人きりになれる時間って、あんまり無さそうですね」

直下「二人きりの時ってどんな感じなんだろ」

赤星「みんなが見てる前であれなんですから、それはもう千切れんばかりに尻尾を振ってるんじゃないですか」

直下「ブンブンだろうね」

赤星「そして隊長は常に平常運転」

直下「それが西住流」

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赤星「もしかしたら本当に気がついてないのかもしれないですけどね」

直下「というか、気が付いててあの態度だったら副隊長がかわいそうすぎるって」

赤星「知った上で気持ちに応えられないから反応しないのか、それとも……」

直下「あえてスルーして副隊長の態度を楽しんでいる?」

赤星「完全に悪女じゃないですか」

直下「もしくはペット感覚」

赤星「なんか高度なプレイになってきてませんか、それ」

直下「いやいや、ちょっと聞いてよ、隊長って柴犬飼ってるんだよね」

赤星「はい、以前写真を見せてもらったことがあります」

直下「柴犬ってさ、犬の中でも縄張り意識が凄いから、知らない人とかには結構吠えるらしいよ」

赤星「え、そうなんですか?」

直下「うん、でも同時に忠誠心も凄くあって、一度主人だと認めた相手にはとことん服従するんだって」

赤星「なるほど、完全に逸見さんですね」

直下「でしょ」

赤星「そっか、髪が奇麗な銀色だから狼みたいな印象がありましたけど、柴犬だったんですね」

直下「でも、DNA的に柴犬はかなり狼に近い犬種らしいし、もともと狼がそんな感じなのかもね」

赤星「そう考えると、飼い犬に対する感情に近いものを持ってるのかもしれないですね」

直下「もしかしたら二人きりになると、犬みたいにかわいがってたりするかもよ」

赤星「『よしよし、エリカはいい子だなぁ~』わしゃわしゃ、みたいな?」

直下「副隊長もおなか見せて『くぅ~ん』とか?」

赤星「やだ、すっごいきゅんきゅんしません?」

直下「録画して上映会とかしてみたい。逸見エリカ株爆上がりよ」

赤星「あはは、逸見さんに殺されちゃいm……ぁ」

直下「ん?」

赤星「あ、その、違うんです、えっと……」

直下「え? ぁ、ふ、ふくたいちょ……」

赤星「や、別に、逸見さんのことを話してたわけでは……」

直下(あ、これ死んだ)

☆ ☆ ☆


直下「……どう思う?」

赤星「やっぱり気づきました?」

直下「うん、ていうか副隊長わかりやすすぎ」

赤星「ですよねぇ……」

直下「明らかに隊長のこと意識しすぎだし、名前呼ばれただけで変な声出てたし」

赤星「可愛かったですね」

直下「はぁ、私実は、副隊長はずっと告白できないまま終わるんだと思ってたんだよね」

赤星「そうなんですか?」

直下「だってヘタレっぽいじゃん?」

赤星「まぁそうなんですけどね、実際」

直下「……ん?」

赤星「実はですね、逸見さんじゃないらしいです、告白したの」

直下「うぇ!?」

赤星「しっー! 声が大きいです」

直下「え? え? それってつまりアレ? 隊長が?」

赤星「ええ、詳しい状況は私も聞いてないんですけど」

直下「だ、だれから聞いたの?」

赤星「昨日逸見さんからLINEが来て……」

直下「なんて?」

赤星「隊長室でのミーティングが終わった後、その場で告白されたらしいです」

直下「えぇ……なんか唐突すぎて……」

赤星「全然気がつきませんでした、隊長が逸見さんのこと好きだったなんて」

直下「私も……っていうか隊長に恋愛感情なんてあったんだ」

赤星「さすがにそれは失礼ですよ……」

直下「でもさ、いつから副隊長のこと好きだったんだろ?」

赤星「さぁ?」

直下「副隊長が隊長のこと好きだったのって、きっと入学してすぐくらいだよね」

赤星「そうですね、入学前から憧れてたらしいですから」

直下「でも隊長、今までずっとそばで尻尾ブンブン振ってこられたのに反応がなかったでしょ」

赤星「華麗にスルーしてる感じでしたね」

直下「で、今回急に告白したってことは、好きになったのも最近ってことなのかなって」

赤星「なにかありましたっけ、最近」

直下「いや、全然わからないけど」

赤星「もしかしたら、隊長もずっと言い出せずにいたのかもしれないですよ」

直下「副隊長と同じくらいのヘタレだったってこと?」

赤星「そういう言い方が良いかどうかはともかく、気後れしてもおかしくないですよ」

直下「だってあの隊長だよ? 西住流次期家元の鋼の女」

赤星「戦車道ではそうかもしれませんけど、隊長だって女子高生なんですよ」

直下「うーん、そっかぁ……戦車道で泥と機械油と硝煙まみれになってて忘れがちだけど、私たちってJKなんだよね」

赤星「そうです、隊長だってJKなんです」

直下「そっかぁ……JKかぁ……」

赤星「そう考えると、その手の話が何もない私たちって……」

直下「やめて」

赤星「いいんです、私の青春は戦車道に……」

直下「やめろって」

赤星「はぁ……」

直下「んで、告白された時の状況とか、もっと詳しく聞いたりしてないの?」

赤星「ええと、言葉を結構濁してたんですけど」

直下「ふんふむ」

赤星「端々から推察するに、どうも押し倒されたみたいです」

直下「ふんふmえっ」

赤星「はい」

直下「うん? えっ?」

赤星「まぁあくまで推察ですけど、たぶんやっちゃってますね」

直下「」

赤星「流石西住流って感じですよね」

直下「えぇ……それ、どういう流れでそうなったんだろ……」

赤星「さぁ」

直下「隊長……クールな顔して肉食獣だったんだ……」

赤星「虎さんですね」

直下「圧倒的火力による短期決戦……なんかレイプしたみたいな表現になっちゃう……」

赤星「相手が逸見さんですから、問題ないですよ」

直下「えっ、ってことは隊長室で?」

赤星「多分」

直下「うわぁ……隊長室に入る時気まずくなりそう……」

赤星「やっぱりあの4人掛けソファで、だったんでしょうか」

直下「やめてやめてやめてもう座れなくなっちゃう」

赤星「今度行ってみたらシミが残ってたりして」

直下「ゆるふわ女子みたいな見た目してぶっ込んでくるね、あと本当に止めてください」

赤星「JKですから」

直下「そんなJK要素は求めてない」

赤星「でも、これで隊長に告白できない逸見さんを眺めてやきもきすることはなくなりそうですね」

直下「数少ない日々の癒しだったんだけどなぁ」

赤星「今後は幸せそうな二人を眺めて満足しましょう」

直下「逆にストレスたまりそうなんだけど」

赤星「醜いやっかみですね」

直下「くそう……共学だったら私だって……」

とりあえず前半。
あと1、2回更新します。

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