飛鳥「意味なし」ありす「アリス」 (63)


ーーー事務所ーーー

飛鳥「ふぅ……唐紅の黄昏時、堕ちた陽の残光を眺めつつ、臓腑に流し落とすコーヒーのなんて味わい深いことだろう。叶うならこのまま時が止まれば、とすら思ってしまうよ。ふふ」

ありす「飛鳥さん、残念ながら真昼どきです」カリカリ

飛鳥「……キミはなんて無粋なんだいありす。情緒というものがないのかい?
これはイメージさ。 実際の光景に備えることで、
『その時』を決して無駄にしないよう灰色の脳細胞を鍛えているのさ」

ありす「論破。 黄昏時は大抵疲れて仮眠室じゃないですか。 まぁ、私もいつもご一緒させてーーー
飛鳥「よしわかった。 戦争だな?
戦争なんだな? かかってこい。
ちょうどいい機会だ。キミに世の理を教授してあげよう」

ありす「望むところです。宿題も終わりましたし、何で白黒つけましょうか?」


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飛鳥「………そうだな。ならBoseのすぐ側にCDがあるだろう? その歌詞の解釈勝負なんて、どうだい?」

ありす「何だかおもしろそうですね。
いいです、取ってきますね」トテトテトテ

飛鳥「ああ、頼むよありす。
ふふ、キミに有利なCDを持ってきても構わないんだよ?」

ありす「ーーーそんなことしませんっ!」

飛鳥「おっと。怖い怖い」

ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
ーー

ありす「取ってきました!」

飛鳥「へぇ、これまた面白いものを選んできたね。谷山浩子さんか」

ありす「知ってるんですか」

飛鳥「まぁね。独特な世界観と雰囲気で有名な人さ。 ちなみに、どうしてこれを?」

ありす「………私の名前と同じ曲があったので」

飛鳥「なるほど、『意味なしアリス』か。
ふふ、キミらしい。なら折角だ、この曲で勝負といこうか」

ありす「望むところです!」フンス

飛鳥「それじゃあ、調のスタートだ」カチッ

チャララツチャラッチャラ チャララッチャラチャラ
チャララッチャラッチャラ チャラララッチャチャラッチャ

ありす「……不思議なメロディですね」

飛鳥「そうだね。 なんなら歌詞カードを見てもいいんだよ?」

ありす「ッッッ!必要ありません!」

飛鳥「そう言うと思ったよ。 なら正々堂々
勝負だーーーーーー


~キノコの上の芋虫は
淋しさを教える教授だった
それじゃ始めるよと言い残して 
芋虫はどこかへ行ってしまった
もう二度と帰らない キノコだけ残った~


ありす「ッッッ?!」

飛鳥(……悪いねありす。その表情を見るに、解釈の糸口すら、およびもつかないんだろう。当然さ。はっきり言ってこれは感受性とかの問題じゃない。それ以前の、聞き取れるかという問題だ)


~アリスはそこで待っていた 
2時間 2ヶ月 2100万年
それでも芋虫は帰らない 
どうしていいのか わからなくなって
アリスは試しに キノコと寝てみた

それは全然意味がないアリス 
何をやってるのかわからない
まるで全然意味がないアリス 
意味がないアリスがそこにいる~


ありす「……」

飛鳥(ようは備えていたかどうか、なんだよ。
キミは無造作にBoseの中からCDを選んできたつもりだろう?
だけど真実は違う。キミが選んだのは、ボクと勝負するかどうかーーーそこまでだ)


~公爵夫人はわからない 
何を言われてもわからない
足し算と引き算と割り算と 
チェシャ猫と カボチャの見分け方は
なんとかなるけど それだけじゃしょうがない

なにしろなんにも聞いてない 
そもそも興味を持っていない
頭にきたよもう アリスは 
公爵夫人の頭を持って
鍋にぶちこんで キノコと煮てみた~


飛鳥(なぜなら、ボクは最初から全てのCDを聴き込んでいるーーーそう。
例えば棚に仕舞われたコーヒーカップの取っ手の向き。
例えばプロデューサーの育毛剤のブランド。
例えば事務所近くの川に落ちているトランプの柄。時に探り、時に仕込み。『その時』に、備えているーーー)


~それは全然意味がないアリス
耳のないウサギが言いました
まるで全然意味がないアリス 
意味がないアリスが くしゃみした

キノコの上に陽があたる 
2100万年の陽があたる
いつまでもアリスは待っている 
いつまでも待ってる石になって
苔むしたアリスの 上にも陽があたる~



飛鳥(……大人気ないという人がいるかもしれない。だがそんなものはボクに言わせれば、便所ネズミの『ピー(検閲)』にも匹敵する! そのくだらないものの考え方こそが慢心を産み敗北を呼ぶ!
獅子は兎を狩るのにも全力を?
この二宮飛鳥はイチゴ狩りにも全霊を尽くす!)


~というのは実は言い過ぎで 
そんなにたいした話じゃない
ほんとのアリスはアパートで 
伸びすぎた足の爪を切ってる
何もない暮らしに うんざりしてただけ

ダメだ全然意味がないアリス 
何をやってるのかわからない
まるで全然意味がないアリス 
意味がないアリスがそこにいる

ダメだ全然意味がないアリス 
2100万年 すわったきり
まるで全然意味がないアリス 
意味がないアリスは動かない~



飛鳥(は、ははは、はーっはっはっはー!
意味がないありすとは、言い得て妙だよ!
確かに勝負に意味はなかったものなぁ!
ふふ、ボクにも慈悲はある。
せめてありすのプライドを傷付けないよう、優しーく優し~く論破してあげようじゃないか!
ボクの妄想もとい思想を辱めたこととは関係なくね! はーっはっはっはー!)


チャララツチャラッチャラ チャララッチャラチャラ
チャララッチャラッチャラ チャラララッチャチャラッチャ シャンッ………

飛鳥「さて、曲も終わったことだ。
勝負を始めようか。ボクとしてはこの歌のバックヤード、やはりルイスキャロルの『不思議の国のアリス』に目を向けるべきだとーーーおや? どうしたんだいありす?」

ありす「………」

飛鳥「何か言ってくれないと勝負にならないじゃないか。まさかボクが解釈を垂れ終えるまでだんまりのつもりかい? それともーーー
まさか歌詞がわからなかった、と?」

ありす「………」


飛鳥「ふぅ……言ったじゃないか。なんなら歌詞カードを見てもいい、と。
おっと、勘違いしないでおくれよ。
CDを選んだのはキミだ。これは正々堂々、真っ向からの勝負だよ」


ありす「………」

飛鳥「……だんまりかい。ならこの勝負はボクの勝ち、今夜のお泊まり会はボクの好きなアニメ鑑賞に付き合ってもらうよ。
HELLSINGというんだが、中々どうして奥が深くーーーーーー



ありす「この曲は、女性の心のメタファーです」

飛鳥「………なに?」


ありす「明るくアップテンポな曲調、自由奔放な歌詞。けれど最後に小さな部屋に少女を落とし込む。冒険に憧れるも叶わないことを知っている、空想の世界の歌。
だから、『意味なし』」

飛鳥「………」

ありす「『アリス』は、女の子を代表する可愛い名前なんでしょうね。
ああ、そうそう。そう言えば」

飛鳥「……」

ありす「私、以前は名前にコンプレックスを抱いていましたから。その時にタブレットでとことん調べたんです。少しでも自分の名前を好きになれるように、と。その過程で知ったんです。あれ?
この前、お泊まりの時に言いませんでしたっけ?」


飛鳥「……」

ありす「……ふふっ。ホントに『偶然』ですよね。 『たまたま』調べてた曲が、『たまたま』好きになって、『たまたま』勝負になるなんて。
私、この歌と同じ名前で良かったホントに思います。ところで飛鳥さん。
先ほどからーーーーーだんまりのようですが?」



ーーードドドドドドドドドーーー



飛鳥「ありす……キミ、聴き込んでいるなっ?!」

ありす「答える必要は、ありません」


バーーーーーーン!


とりあえずここまーで。
こんな感じで二人がはしゃぐだけの模様。

長くはないのですぐ終わりますん。

長く続けてくれても構わないんですよ?

>>15 17
ホントは谷山さんあっさりのつもりでしたが
熱い要望にお応えし、ちょっと長めにしましたん。

出しますん。


飛鳥「ふ、ふふふ。騙されたよ。まるで女優のようだ。やられたよ」

ありす「素直に負けを認めるんですね。
なら今夜のお泊まり会は、次のオフのイチゴ狩りコース決めにーーー
飛鳥「だが、まだまだ甘い」

ありす「……えっ?」

飛鳥「いい考察だったよ。思わず面喰らうほどにね」

ありす「飛鳥さんは他に考察がある、とでも?」

飛鳥「Exactly……
注目すべきは、『伸びすぎた足の爪を切る』という点だ。
伸び過ぎる、とはすなわち時間の経過を表す」



ありす「……それがどうかしましたか」

飛鳥「大有りさ。 この一文によって、この歌詞に含まれる時間の経過が単なるメタファーでなく、アリスの感じた時の流れを表すのさ」

ありす「……?」

飛鳥「……時にありす。 キミは谷山さんが結婚しているということは知っているかい?」

ありす「もちろんです。一流のタニヤマニストすとして当然の嗜みですよ」



飛鳥「(タニヤマニストって……?)流石だ。
ならその劇的な恋物語も?」

ありす「(ああ!)はい! 中学生の時、実らなかった2つ上の先輩との切ない恋……! 涙で袖を濡らしつつ音楽業へのめり込む谷山さん……! そしてある日、音楽を通じて23年ぶりに先輩と再会……! そして! 」

飛鳥「ふっ!」



あすりす「「今度は袖ではなく……笑顔が涙で濡れた……!」」




飛鳥「ふふっ、ボク達も音楽に通じる者として、そして女の子としてこんな運命の恋には憧れを感じずにはいられないね……」

ありす「はい。素敵な恋を……してみたいものですね」



あすりす「「……」」
~バックで流れるなんかいい感じの音楽~



飛鳥「話がそれてしまったな……で、だ。
こんな奇跡の恋を成し遂げた谷山さんが、果たして『意味なし』、『帰らない芋虫』などと安易なワードを歌うだろうか?」



ありす「……ただそれだけで恋と結ぶのはいささか安易ではーーー
飛鳥「『2100万年』待っていたのにかい?」

ありす「ーーーっ! そ、それはっ」

飛鳥「その上、アリスは『キノコと寝てみた』 更に『何をやってるのかわからない』と続く。
流石に経験はないが、恋に裏切られた女の子が衝動に身をまかせるーーーなんて、ありそうな話じゃないか」

ありす「……それこそ、こじつけです。
それでは『意味なし』が宙に浮いてしまいます」


飛鳥「『意味なし』のトリックに引っかかってはいけないんだ。
原作でもアリスは空想好きな女の子。
日常をファンタジーに置き換える癖がある。
すると、どうなる?
帰らない芋虫とは愛しき恋人。
公爵夫人は近親として、アリスの怒りのぶつけどころとなるーーーように思えてこないかい?」

ありす「で、ですが、そのすぐ後に何もない暮らしと……!」

飛鳥「だから、そここそが『意味なし』なのさ。
覚えがあるだろう?
何かあっても何もない、と言い張る在りし日の自分の姿を」

ありす「~~~~っ!」

飛鳥「ふふ。では、満を持して言わせて貰おうか」




「論破だ、橘ありす」




ーーー閑話休題ーーー


飛鳥「ふぅ。やはりコーヒーの味も分からないありすに、谷山浩子さんの深い詩の世界を内包できるわけもなかったね」

ありす「………!」

飛鳥「ま、これに懲りたら安易に人の趣味に口を突っ込まないことさ。
なぁに、敗北を経て人は強くなる、キミも今回の負けをバネにしてーーー

ありす「ブラックコーヒー飲めないくせにっ!」


飛鳥「………」ダラダラ

ありす「………」

飛鳥「………」ファサッファサッ

ありす「………」

飛鳥「………」パタパタ

ありす「………」


飛鳥「オーケーオーケー。クールになろう。
ビークールだタチバナ。 感情に呑み込まれそうな時こそ自身のコントロールが大事。
『私は落ち着いている。私は落ち着いている』
はいっ、どうぞ?」

ありす「……デレステ」

飛鳥「……おふ」ビクッ

ありす「……ぷちでれら」

飛鳥「……あふっ」ビククッ

ありす「コーヒーメーカー』

飛鳥「……おっふん!」ビックンビックン


ありす「……デレステのぷちでれらは、現実の私達を忠実に再現しています。
それは動きだけでなく、味覚といった五感さえも」

飛鳥「ボクは落ち着いている。ボクは落ち着いている。ボクは落ち着いている。ボクは落ち着いている。ボクはボクはボクは」

ありす「飛鳥さん。ホントはブラックコーヒー飲めませんよね?」


ーーードドドドドドドドドーーー


飛鳥「……ふぅ。落ち着いた。
何を言い出すかと思えば。全く見当違いも甚だしいよ。だいたいボクはーーー

ありす「お砂糖を入れるだけならまだよかったんです。けれど飛鳥さん、あなたはお砂糖だけにあきたらずーーーー」

飛鳥「あ、あのありすさん……?ボクの話聞いて欲しいなぁなんてーーー



「ミルクまでコーヒーに……!」

「ベリーシィィィッッット!」


ありす「……急に叫ばないで下さい。
まぁ、図星と言ったところなんでしょうが。
人の決め台詞を勝手に使うからそうなるんですっ」

飛鳥「………」

ありす「……思ったよりもダメージあったんでしょうか? あ、あの飛鳥さん……?」

飛鳥「ふふふ………はーっはっはっは!」

ありす「わっ!? きゅ、急には止めてくださいってば!」



飛鳥「ああ、すまない。しかし、可笑しくってね。 くつくつくつ」

ありす「な、なんですか! バカにしたみたいに!」

飛鳥「おっと、すまない。嘲笑するつもりはなかったんだ。ただ、あまりに拙い理論で攻勢をかけるものだから、つい……ね……くっくっ」

ありす「拙い……?
……デレステのぷちでれらが、私達を忠実に再現していることは周知の事実ですが?」


飛鳥「そこだよ。つい先日1周年を迎えたアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ、通称デレステがボク達アイドルの普段の姿に即している。これがそもそもの誤りなのさ」

ありす「何事にも誤りはありますが、それだけはありえません。アイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ、通称デレステは細かな配慮と気配りの出来る運営です。つい昨日だって乃々さんのカメラ目線が、目線を合わせないよう修正されたばかりでーーー」

飛鳥「異議あり! なぜならボクはつい先日1周年を迎えたアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ、通称デレステ運営の確かなミスを掴んでいる!」


ありす「論破ァ! ありえません! 証拠は!
証拠の提出を求めます!」

飛鳥「いいだろう! これを見るがいい!」

ありす「こ、これはーーーー!」

飛鳥「そうーーーーー








ーーー菜々さんはコーヒーをブラックで飲んでいる」

ここまで。
次で終わります。多分!
ちなみにデレステはガチなので確認しても大丈夫だゾ
多分!

ついでにデレステのカフェキッチンの砂糖の数とミルクの有無はランダムじゃないか?
さっき設置してみたが、確かに菜々さんは1回目はストレートで飲んでたが2回目は佐藤1ミルクINだった

止めるとこが悪かったですね…
完成したので行きます!

>>39 ま、まじんがー?
3連続だったんで確定かと思ってました…多分て言ったから大丈夫だよね!


飛鳥「自分で言うのもなんだが、ボクは自身の未成熟な外殻に反逆するためブラックを飲んでいる。うん、飲んでる。
つまり、ブラックコーヒー=大人の公式が成り立つのさ!」

ありす「ま、まさか……そんな……!」ガクガク

飛鳥「ぷちなボクがコーヒーに砂糖とミルクを入れるということは!
菜々さんはコーヒーを飲める大人だと!
17歳ではないと!
そう主張しているのと同義なんだよ、橘ありす!」

ありす「バカ……な……」ガクッ


飛鳥「何事にも、誤ちはある。さっきそう言ったばかりだろう?」

ありす「……」

飛鳥「ふふ……なぁにキミは『悪くない』。
ただ少し主張を変えるだけでいいんだ」

ありす「………」

飛鳥「つい先日1周年を迎えたアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージ、通称デレステは現実のアイドルに『限りなく』即しています、とねーーー




ありす「いえ、そもそも17歳とブラックコーヒーになんら関係性はないのでは?」

飛鳥「ちぃっ! そこに気付くとはやはり天才か……!」


ありす「………」

飛鳥「致し方ない。キミをカテゴリA以上の強敵と認めよう。改めて、名を聞こうか」

ありす「……橘。エタニティエイトの橘飛鳥と、覚えておいてくださーーー………」

飛鳥「………」

ありす「………/////」


飛鳥「おほんっ! おっほん!
あーあー、改めて名を、聞こうか?」

ありす「あ、ありす。橘ありす。エタニティエイトの橘と覚えてください」

飛鳥「おっけー刻んだ。 ならば次はキミがボクを刻め。飛鳥、二宮飛鳥の名を!」

ありす「………ふっ」

飛鳥「……はんっ」


あすりす「「あははははははは!」」


飛鳥「いい前口上だ……スクライド、観終わったみたいだね」

ありす「ええ、熱いアニメでした。
男の子も、案外バカにできないものです」


飛鳥「そうだろう。そうだろう。
あの魅力を理解するとは、流石ボクの片よ………いや相棒だ」

ありす「……今は敵同士ですよ」

飛鳥「そうだったね。 ……ははっ」

ありす「……えへへ」

飛鳥「ところで今夜のアニメ鑑賞のことだがーーー
ありす「ブラックコーヒー呑めないんですよね?」


飛鳥「……」ファサァッ

ありす「……」

飛鳥「……」イジイジ

ありす「……」

飛鳥「ふぅ……流石は『平成の論破王』
一筋縄ではいかないようだ」

ありす「『15夜遠き反逆者(レジスタンス)』は、噂ほどでは無いようですが」

飛鳥「おやおや、飛び方を覚えたばかりの雛鳥がよくもまぁ……あまり生き急ぐと崖に身を打たれるぞ」


ありす「ご心配なく。橘家は代々、低く飛べる燕ですから」

飛鳥「短命でないことを祈っているよ」

あすりす「「…………」」バチバチバチバチーーー



ーーーーーバアンッ!



「迷なる異世界へ惑いし乙女の名を冠する少女、そして悠久なる天空の支配者よ!
魔王の凱旋を讃え、諳んじよ!
そして我が携えし、蝋と真紅の居城へといざ共に攻勢をかけんっ!
(ありすちゃん、飛鳥ちゃんただいまー♪
イチゴショート買ってきたから一緒に食べよ?)」

あすりす「「食べるっ!」」

蘭子「わーい♪(是非もなし!)」


ーーーおやつたいむーーー


飛鳥「なぁありす……ボクのよりキミの方が苺が大きくないか?」

ありす「遠近法です。 飛鳥さんの方こそ、私のよりもスポンジが大きくないですか?」

飛鳥「光の屈折だよ。
ふぅ……参ったな。 お互い食べさせあいっこで手を打たないか?」

ありす「仕方ありませんね……それでは、飛鳥さんから。 あーん」

飛鳥「あー………ん、ふむ、ん、ん、あむ……ふぅ。 美味だね。ではお返しに、あーん」

ありす「あー……♪ もぐ、もぐ、もっもっもっ……こくん。 美味しい……♪ ヒンナです……」

蘭子(仲良しだなぁ……)


飛鳥「ふふ……早速貸してあげた漫画を堪能しているようだね」

ありす「はい! 物語の最初から、引き込まれるような展開ばかりで……! それに熊の恐ろしさときたら……鳥肌が立つくらいです!」

飛鳥「そうだろう、そうだろう。
ところでありす。 キミの贔屓にしている物語の担い手は誰だい? 俗っぽくいえば、推しメンというやつさ」

ありす「それは勿論

蘭子(2人を見てるとケーキがもっと甘く感じちゃう♪ また今度買ってーーー

チ○ポ先生です!」
蘭子(ふぁ?!?!?!)ブッフォウ!


飛鳥「ほう……『不敗の牛山』か……意外なところを責めるね。キミならむしろ嫌悪を覚えるかと思ったが……」

ありす「飛鳥さんの言う通り、初めは汚らわしい性欲の権化だと思いました。なんだこの男早く『ピー(検閲)』と」

飛鳥「そ、そこまでかい」

蘭子(え? え? わ、私の聞き間違い?
ありすちゃん、さ、さっき……/////うぅぅ~)

ありす「ですが、違ったんです!
確かに動物的な本能に身を捧げているかもしれません……しかし、その奥底には確かな信念と大木のような雄々しさがあったんです」

飛鳥「ふっ。続きを聞こうか」

ありす「私のタブレットが教えてくれました、牛山先生の言った言葉『男を選ぶときは……チン○』」

蘭子(やっぱり言ってる~~!//////)


ありす「……それはつまり『男の象徴すらも紳士な男を選べ』そういうことなんです」

飛鳥「なるほど、良い相棒を持っているみたいだね……よくぞ辿り着いた橘ありす。
ようこそ、ゴールデンカムイの世界へ」

ありす「私の愛馬(タブレット)は凶暴ですから」ドヤァ

飛鳥「ふふ、ならそれを乗りこなす機会をくれた『不敗の牛山』にーーーいや、○ンポ先生に乾杯ーーー」

ありす「はい。チンポ先生に、乾杯ーーー」

蘭子(も、もう隠れてないし////)


飛鳥「……どうしたんだい蘭子?
何故チンポ先生に乾杯しないんだい?
……それともボクのコーヒーの淹れ方が不味かったのかな……?」ウルウル

ありす「そんなことありませんよ。
飛鳥さんのコーヒーはいつも美味しいです。さぁ蘭子さんも一緒に!
チンポ先生に乾杯しましょう!さぁ!」キラキラ

蘭子「わ、わっ、わたしは……/////」

飛鳥「チンポ先生に!」

ありす「チンポ先生に!」

あすりす「「チンポ先生! チンポ先生!
チンポ! チンポ! ジークチンポ! ジークチンポ!」」


蘭子「ぐ………」

あすりす「「ぐ?」」

蘭子「ぐ、紅蓮の焔に抱かれて消えよ!
(えっちなのはいけないと思います!)」ドゴォ!

飛鳥「モルスァ?!」ヘブッ

ありす「ぷるこぎっ?!」ブホッ



ーーー閑話休題ーーー


飛鳥「………はっ! お婆ちゃんそれボクのエクステ! 乾布摩擦に使わないでっ!
………。夢か」

ありす「……はっ。文香さんそれ苺のヘタです! 本の栞に使わないでください!
……夢でしたか」

飛鳥「いつつ……ホントに黄昏時になってしまったな。やれやれ、蘭子ももう少し手心を加えてくれればいいものを。 立てるかい?」

ありす「子供扱いしないで下さい。
1人で立って歩けますよ、私は飛鳥さんの相棒なんですから」

飛鳥「………」

ありす「……どうしたんですか?」


飛鳥「いや、なに。昔を思い出していたんだ。
『名前で呼ばないで下さい』、『アニメ? くだらないですね』。
なんて言っていた女の子がいたことをね」

ありす「蹴りますよ?」

飛鳥「おお、怖い。馬に蹴られて地獄に落ちる前に退散するとしよう」スタコラサッサ

ありす「まったく。飛鳥さんはいつもそうやって私をからかってーーー




飛鳥(………なんとも心地いいものだ。
なぁ、ありす。恥ずかしくって否定してしまったが、ボクはキミをホントは片翼だと思っているんだよ?)


ありす「ーーーあの時も勝手に私のタブレットでアニメなんか見てーーーハマってしまったのは飛鳥さんのせいーーー

飛鳥(キミとボクで、完成する翼。キミとなら何処までも高く、高く飛べる。ま、決して言ってやらないが)

ありす「ーーープロデューサーさんにも『何かあった?』って心配されちゃったんですからね。あまりに変わりすぎだなんて、失礼しますーーー

飛鳥(……ふふ、そうだな。もし仮に言うべき時があるとしたら、彼女が谷山さんみたいな運命を掴み取った時かな?。
ははは、俄然楽しくなってきた)

ありす「ーーーさっきからにやにやして。
私の話、聞いてます?」


飛鳥「……ん? 勿論。ありすは可愛いという話だろう?」

ありす「もうっ! 全然聞いてないじゃないですか!」

飛鳥「ふふっ。 ところで両親に外泊のことは伝えているのかい?」

ありす「当然です。片翼の所で羽を休めてくる、と通知済みですよ」

飛鳥「…………」

ありす「……? どうしました? 顔なんて抑えて」

飛鳥「……キミはボクが思うよりよっぽど痛いヤツのようだ」


ありす「な! なーーっ!」ナ---ッ!?

飛鳥「あーあ。こちらの思惑など三段飛ばしだものな。この恐怖の苺大魔王め」

ありす「言いましたね?! もう今夜は寝かせませんから!」

飛鳥「はいはい。存分にだらしない寝顔を観測させてもらうさ」

ありす「~~~~!
なら途中で寝てしまわないように、
『一緒に』コーヒー作りましょうか!
勿論、とびきり濃いブラックをね! 」

飛鳥「な、それは………!」

ありす「それは、なんです?」


飛鳥「……」

ありす「……」

飛鳥「…………」

ありす「…………」

飛鳥「……………ふぅ」






「砂糖とミルク、入れてもいいかい?」




これにて、お仕舞い、さ。


あすりすのガバガバ合戦が見たかったのが犯行動機です。

飛鳥くんは、筋が通ってる風の、あくまで風のガバガバ
ありすさんは、本質だけは捉えてる、みたいな。

ホントは他の大人組を例にしてコーヒーの反例出せれば、ぷちでれら問題解決できたんだけどね。
飛鳥くんはガバガバだから仕方ないね。

あすりす増えて。増えて。

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