加蓮「贅沢なPさん」 (55)
P「贅沢言わないから加蓮みたいな娘がほしい。」
加蓮「贅沢だよ。私はPさんがお父さんなのはちょっとなー。」
P「そうかー。」
加蓮「大体さ、自分で言うのもあれだけどPさん私みたいな子、育てられる?」
P「いや、そりゃ子育てなんかしたことないけど…愛する娘のためなら…!」
加蓮「甘いなー。愛だけで子育てできるならみんな苦労してないよ?」
P「まあ、そうかもしれないけど…」
加蓮「私、普通の子より手がかかるよ?生まれたと思ったら体弱くてしょっちゅう入院するし、ようやくしっかりしてきたと思ったらなんか生意気だし。」
P「ま、まあ、自分の娘なら。」
加蓮「しかもようやく可愛がれると思ったらギャルファッションだよ?Pさん正直こういう子苦手でしょ?」
P「うっ…」
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加蓮「それにさ、私言っちゃうかもしれないよ?」
P「何を?」
加蓮「『お母さーん!お父さんのと一緒に洗濯しないでって言ったじゃーん!』」
P「うっ…これは心にくるな…!」
加蓮「追い討ちもあるよ?そのあとボソッと『はぁ…もうサイアク…』とか言っちゃうよ?」
P「容赦ないな…」
加蓮「それを乗り越えて大学出してくれたとするじゃん?」
P「うん。」
加蓮「就職して帰りも遅くてなかなか会話もできない。」
P「うん。」
加蓮「たまに会えたと思ったら『ごめん。あたし疲れてるからシャワーして寝るね。』」
P「まあ、仕方ないよな…」
加蓮「休みの日は朝から出掛けてやっぱりまともにしゃべることもできない。」
P「ああ…」
加蓮「そしてある日言うの。」
P「ん?」
加蓮「『お父さん、会ってほしい人がいるの。』」
P「うわぁぁぁぁぁ…!」
加蓮「ちゃんと真面目な人連れてきちゃうよ?」
P「ぐっ…」
加蓮「ちゃんとお母さんには根回ししてるから反対なんかできないよ?」
P「ぐぬぬ…」
加蓮「どう?耐えられる?そのあとはお盆と正月にしか会えないよ?耐えられるの?」
P「無理だ…加蓮の幸せを見届けたいけど、まともに加蓮と過ごせなくなるなんて無理だ…」
加蓮「私ね?親は大切だけど、やっぱり親よりも結婚相手大事にしたいよ?」
P「そうだよなぁ。」
加蓮「やっぱりPさんには、私みたいな子を娘にするなんて無理なんだよ。」
P「…はい。」
P「じゃあ贅沢言わないから加蓮みたいな妹がほしい。」
加蓮「贅沢だよ。」
P「贅沢か?娘よりはいいと思うんだけど…」
加蓮「娘以上に高望みだよ。」
P「そうか?」
加蓮「悪いけどPさんみたいな人にお兄ちゃんは務まらないよ。私の方からお断りだよ。」
P「はっきり言うな…」
加蓮「じゃあさ、両親と喧嘩した妹のフォローとかできる?」
P「そりゃ、俺にだって
加蓮「だめだよ?『加蓮の言うことも間違ってないけど、お父さんたちが言ってることだって間違ってない』みたいなどっち付かずなの。」
P「うっ…」
加蓮「この時妹の加蓮ちゃんにとって味方はお兄ちゃんだけなんだよ?」
P「そうだな。」
加蓮「ちょっとでも親の肩を持ったらだめなんだよ?」
P「が、頑張れば…」
加蓮「いざとなったら、妹の代わりに両親に直談判とかできなきゃだめなんだよ?」
P「ぐぬぬ…」
加蓮「それだけじゃないよ、わがままで甘えんぼで寂しがり屋の加蓮ちゃんを甘やかさないとだめなんだよ?」
P「それなら自信あるぞ。」
加蓮「どうだか?」
P「疑ってるのか?こんなに普段甘やかしてるのに。」
加蓮「だってPさんだし?」
P「ひでぇ。」
加蓮「例えばさ?入院生活が楽しくない加蓮ちゃんは毎日お兄ちゃんがお見舞いに来てくれるのを楽しみにしてるのね。」
P「うんうん。」
加蓮「ところが学校で先輩に雑用を押し付けられたPお兄ちゃん、雑用は片付けたけどこのままじゃ面会時間に間に合いません。」
P「まあ、ありえるよな。」
加蓮「どうする?」
P「とりあえず電話なりメールなりするよな。」
加蓮「うん。じゃあ電話したとしよっか?」
加蓮「もしもし、お兄ちゃん?」
P「ごめんな加蓮、急に電話して。」
加蓮「ううん。今日は遅いね。」
P「それがな、ちょっと色々あって…まだ学校なんだ。」
加蓮「えっ?」
P「今から行っても面会時間間に合わないしまた明日で…」
加蓮「やだ…」
P「え?」
加蓮「加蓮寂しい…お兄ちゃんに会いたい…たくさんお話したい…」
P「で、でも…」
加蓮「…そうだよね、迷惑だよね…明日でもいいよ…」
P「ごめんな…」
加蓮「……うん。」
P「これで明日早めに行けば
加蓮「ブー、アウトー。」
P「え?」
加蓮「加蓮ちゃんの気持ち分かってないなー。」
P「え?」
加蓮「まず遅れてもいいから病院に来なきゃだめ。」
P「遅れたら病院入れないんじゃ…」
加蓮「はあ…だめだなぁ…加蓮ちゃんはお兄ちゃんに会いたがってるんだよ?」
P「うん。」
加蓮「病院の人に見つからないように入ってこなきゃダメじゃん。」
P「いや、ダメだろ。」
加蓮「ダメだから入らなきゃダメなの。分かる?」
P「そうは言ってもなあ…」
加蓮「もう、本当にPさん真面目だなあ。」
P「つーか、そういうのは漫画だけにしとけ。」
加蓮「でもさ、せめて病院には来なきゃだめだよね。」
P「でも入れないんじゃ一緒だろ。」
加蓮「入らなくてもいいじゃん。」
P「???」
加蓮「建物の外から叫ばなきゃ。」
P「え?」
加蓮「もう、分かんない?」
カレンーカレンー
加蓮「お兄ちゃん…?でも今日来れないって…」
カレンーカレンー!
加蓮「外…?」
加蓮「!!!」
P「かれーん!明日はちゃんと来るからなー!」
加蓮「お兄ちゃん…!」
加蓮「うん!待ってるねー!」
加蓮「これくらいやんなきゃ。」
P「えー…」
加蓮「次の日来たら病院中の人がお兄ちゃんのこと見てニヤニヤしてるけど病室まで来なきゃだめだよ。」
P「え?」
加蓮「だって大声で叫んだら病院中の人が知ってるに決まってるじゃん。みんな『あれが昨日のお兄ちゃん?』『妹さん思いのいいお兄ちゃんだねぇ』とかヒソヒソ喋ってるよ。」
P「うっわ…恥ずかしいな。」
加蓮「面会終わって帰るときには綺麗めのナースさんに言われるんだよ?」
P「え?」
加蓮「言っていただければちょっとくらい面会時間過ぎてても…」
P「うっわ…恥ずかしい!」
加蓮「どう?私、これくらいやってくれるお兄ちゃんじゃないとやだよ?できる?」
P「自信ないな…」
加蓮「ほらね?やっぱりPさんにとっては私は妹でも高望みなんだよ。」
P「……はい。」
P「じゃあ、贅沢言わないから加蓮みたいな姉がほしい。」
加蓮「贅沢だよ。」
P「まだ贅沢か?」
加蓮「うん。妹よりも贅沢。」
P「そうなのか?」
加蓮「言っとくけど加蓮お姉ちゃん人使い荒いよ?パシっちゃうよ?」
P「まあ、加蓮なら…」
加蓮「Pー、おなかすいたー、チーズバーガーとポテト買ってきてー。」
P「またやるのかよ…はいはい、分かったよ姉ちゃん。お金ちょうだい。」
加蓮「あー、後で払うからレシートもらっといてー。」
P「マジかよ…分かったよ。」
P「ただいまー。」
加蓮「ありがと♪」ガサゴソ
加蓮「あっ!月見じゃん♪もーらい♪」
P「ちょ!それ俺の!」
加蓮「いーじゃんいーじゃん♪やっぱ月見食べなきゃ秋が始まんないよね♪」
P「姉ちゃんチーズバーガーだろ!返せよー!」
加蓮「ふふっ♪北条加蓮、月見始めしまーす♪」パクリ
P「ああ…」
加蓮「うーん♪美味しい♪」
P「はあ…じゃあチーズバーガーもらうよ?」
加蓮「どうぞー♪あー、美味しい♪」
加蓮「どう?こんな感じだよ?」
P「端から見ると可愛いけど弟になりたいかと言われるとな…」
加蓮「でしょ?しかも弟からかうの大好きだよ?」
P「え?」
P「ただいまー」
オカエリー
P「ちょ!姉ちゃん勝手に俺の部屋で何やってんだよ!」
加蓮「んー?こないだ借りた漫画面白かったから続き読んでるだけー」
P「だーかーらー!勝手に本棚漁るなっていつも言ってんだろ!」
加蓮「なんでー?」
P「並んでる順番とか変わると嫌だろ!」
加蓮「ふふっ、それだけー?」
P「はぁ?」
加蓮「本棚の裏にエッチな本隠してるの見られると恥ずかしいからじゃなくてー?」
P「そ、そんなの置いてねーし!」
加蓮「だよねー、探しても見つかんなくてガッカリしちゃったもん。」
P「何やってんだよ姉ちゃん…」
加蓮「ところでさー?Pっておっぱい大きい子が好きなの?」
P「はぁ?」
加蓮「だってさー、ベッドの隙間のエッチな本、おっぱい大きい子ばっかじゃん?」
P「は?!な、何言ってんだよ!!」
加蓮「ほら、これとかこれとかー」
P「あー!!!」
加蓮「お姉ちゃん心配だなあ。こんな大きい子滅多にいないから、彼女作るときは妥協した方がいいと思うよ?」
P「あーもう!帰れ!帰れよ!!!」
加蓮「ここ私の家ー♪」
P「部屋だよ!自分の部屋!!」
加蓮「しょーがないなー♪あ、この漫画だけ借りてくねー♪」
P「好きにしろよ…」
加蓮「あ、そうそう。」
P「なんだよ…」
加蓮「お姉ちゃんのおっぱい触ってみる?」
P「…えっ?いや、それはまずいっていうか
加蓮「あれー?本気にしちゃったー?」
P「え?…あ、し、してねーし!!」
加蓮「どうかなー?」
P「いいから帰れー!!!」
加蓮「はーい♪こわーい弟に襲われる前に帰んないとねー♪」
加蓮「どう?」
P「微笑ましいけど思春期の男にはキツいな…」
加蓮「加蓮お姉ちゃんはこんな感じで弟をからかうの大好きだよ?」
P「いつもこれなのは…」
加蓮「じゃあ、やっぱり私みたいなお姉ちゃんは無理かなー。」
P「ぐぬぬ…」
加蓮「そもそもさ、私と血が繋がってる時点で贅沢すぎるもん。」
P「ひどい言い方だな。じゃあ、贅沢言わないから加蓮みたいな幼馴染みがほしい。」
加蓮「あーあー贅沢贅沢。話になんないよ。」
P「えっ?」
加蓮「私、Pさんが幼馴染みとかやだよ。Pさん贅沢すぎ。」
P「え?妥協したつもりなんだけど…」
加蓮「どうせ体の弱い加蓮ちゃんを悪ガキから守りたいんでしょ?」
P「え?まあそうだけど…」
加蓮「親同士も仲良くて、暗黙のうちに将来の結婚相手扱いされてるのとか期待してるんでしょ?」
P「ぐっ…」
加蓮「示し合わせたようにそれぞれの親が夜帰ってこなくて、二人きりで食事するのとか期待してるんでしょ?」
P「なんで全部分かるんだよ…」
加蓮「朝弱い加蓮を起こしにいく。」
P「うん。」
加蓮「昼は屋上で一緒に購買のサンドイッチ。」
P「うん。」
加蓮「夜は二階のPさんの部屋に窓から直接加蓮が来る。」
P「うん。」
加蓮「いろいろ期待して迎え入れたら宿題を写しにきただけだった。」
P「うん。」
加蓮「春は桜並木を一緒に歩く。」
P「うん。」
加蓮「夏は浴衣姿にちょっとドキッとする。」
P「うん。」
加蓮「秋は体育祭で頑張る加蓮にばっかり目がいっちゃう。」
P「うん。」
加蓮「冬は寒がる加蓮の手をつないで二人でドキドキする。」
P「うん。」
加蓮「単純すぎるよPさん…」
P「すまんな…」
加蓮「そんな単純だと加蓮ちゃん飽きちゃうよ?他の男になびいちゃうよ?」
P「そ、そんなわけ…」
加蓮「ちょっと悪い感じのチャラい男に引っ掛かっちゃうよ?」
P「そんな…!加蓮にはそんな奴ふさわしくない…!」
加蓮「ガタイが良くて喧嘩も強いチャラい男が言ってくるよ?『なんだよてめぇ、なんか用か?ああっ?!』」
P「ヒィッ…!」
加蓮「あーあ、言い返さなかった。」
P「え?」
加蓮「そのまま加蓮は男と二人でゲーセンに入っていくのでしたー。」
P「うわあぁぁぁ……!!!」
加蓮「日毎にチャラくなってく加蓮。」
P「ううっ…」
加蓮「いつの間にか化粧を覚えた加蓮。」
P「ああっ…!」
加蓮「だんだん言葉遣いが荒くなる加蓮。」
P「やめろ…!」
加蓮「学校を休みがちになる加蓮。」
P「たのむ…もうやめてくれ…!」
加蓮「堕ろしたらしいと噂になる加蓮。」
P「うわああああ!!!!」
加蓮「ほらね、Pさんには幼馴染みの加蓮ちゃんなんて無理だよ無理。」
P「みたいだな…」
加蓮「さっきから贅沢言わないって言ってるけど私にだって選ぶ権利があるからね?」
P「はい…」
加蓮「Pさんはもっと身の程を知るべきだよ。」
P「もういいや…この際言うだけならタダだし…。」
加蓮「?」
P「贅沢言うけど加蓮みたいな彼女がほしい。」
加蓮「はあ…またそんなこと言って…」
P「言うだけなら勝手だろ…」
加蓮「私彼女にすると大変だよ?付き合えるの?」
加蓮「仕事終わりにハンバーガーを欲しがっちゃうよ?」
P「庶民的で非常によろしい。」
加蓮「デートするために裏でコソコソ休みの日を合わせてくるよ?」
P「俺もデートしたいからウィンウィン。」
加蓮「映画館でラブストーリーとか選んじゃうよ?感情移入しすぎてエンドロールの間泣きっぱなしだよ?」
P「女の子らしい。可愛い。」
加蓮「もちろん映画のあとは結局ハンバーガーとポテトだよ?あんなに感情移入したのにムードとかないよ?」
P「ムードとか俺も苦手だ。」
加蓮「すぐいじけたりするよ?」
P「女の子なんてそんなもんだろ。」
加蓮「手を繋がなかっただけでいじけたりするよ?」
P「手を繋いだら?」
加蓮「機嫌よくなるよ?」
P「やべぇ、加蓮可愛い。知ってたけど。」
P「なんだよ、最高じゃないか…」
加蓮「こんなのでいいの?」
P「十分すぎる…」
加蓮「せっかくだし、もう少し高望みしたら?」
P「え?じゃあ…贅沢言うけど加蓮みたいなお嫁さんがほしい。」
加蓮「はあ…Pさん本当に分かってないなあ…」
加蓮「それ、全然贅沢じゃないよ♪」
終わりです。
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