【SS】善子「リリー、お誕生日おめでとう!」梨子「ありがとう、よっちゃん♪」 (69)


・9月19日は梨子ちゃんの誕生日です

・よしりこです


【SS】善子「今日はヨハネの誕生日!」梨子「よっちゃん、お誕生日おめでとう!」
【SS】善子「今日はヨハネの誕生日!」梨子「よっちゃん、お誕生日おめでとう!」 - SSまとめ速報
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一応、前回の善子ちゃんの誕生日SSの続きの話になります。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474213783


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~ 9月12日 梨子ちゃんの誕生日 1週間前 ~


~ 部室 ~


善子「みんな、急に呼び出してごめんなさい」

千歌「善子ちゃん、みんなを部室に集めてどうしたの?」

曜「みんなって言っても、梨子ちゃんはいないけどね」

ダイヤ「梨子さんを呼んでいないということは、つまり……」

善子「ええ、来週のリリーの誕生日のことでお願いがあってみんなを呼んだの」

曜「確か、梨子ちゃんの誕生日にみんなで梨子ちゃんの誕生日会をやるって決めたんだよね♪」

花丸「梨子さん、喜んでくれるといいなぁ」

ルビィ「それで、善子ちゃんのお願いって何?」

善子「実は……」


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~ 9月11日 桜内家 ~


善子『もうすぐ、リリーの誕生日よね!』

梨子『よっちゃん、私の誕生日を覚えてくれてたんだね』ニコッ

善子『恋人の誕生日を忘れるわけないでしょ! リリーの誕生日はイエスの誕生日より大切な日よ!』

梨子『そ、そこまで、大げさに言わなくても……』

善子『ヨハネの誕生日の時は、リリーに手作りケーキを作ってもらったり、ヨハネの好きなことに付き合ってもらったりしたけど、リリーはヨハネに何かして欲しいことはないの?』

梨子『私は別に特別なことをしてもらわなくても……よっちゃんと一緒にいるだけで私は幸せだよ……』

善子『そんなの駄目よ! せっかくのリリーの誕生日なんだから何かしてあげたいわ……』

善子『そうだわ、リリーの誕生日は二人で遊園地に行きましょう!』

梨子『遊園地?』

善子『まだ、二人で遊園地に行ったことがなかったでしょ? ヨハネがリリーをエスコートしてあげるわ♪』

梨子『よっちゃんと二人でデート///』

善子『ヨハネが絶対に最高の誕生日にしてあげる♪』

善子『だから、リリーは誕生日を楽しみにしていてね♪』ニコッ

梨子『ありがとう、よっちゃん///』ギュッ

善子(リリーが嬉しそうで良かったわ)

善子のスマホ「♪」ハイゴニアユミヨルースリルガタマラナイー

善子『あら、みんなからメッセージがきてるわ?』

梨子『えっ、私の方にはきてないよ……』

善子『何なに……』

善子(えっ、リリーの誕生日会!?)

梨子『何のメッセージだったの?』

善子『えっ、大した内容じゃないわよ……』アセアセ

梨子『そうなの?』

梨子『ふふふ、誕生日が楽しみだなぁ』ニコニコ

善子(ど、どうしよう……)

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善子「……というわけなの」

曜「当たり前のように休日は梨子ちゃんの家にいるんだね」

鞠莉「梨子ちゃんをデートに誘うなんて、善子ちゃんもやるじゃない♪」

千歌「今日の梨子ちゃんがご機嫌だったのは、善子ちゃんがデートに誘ったからだったんだね」

曜「にこにこ笑顔だったから、何かいいことがあったのか気になってたんだよ」

千歌「私が梨子ちゃんをからかっても全然怒ってこないからビックリしたよ」

曜「休み時間に梨子ちゃん、『もぎゅっと“love”で接近中!』を口ずさんでいたよ」

千歌「『嬉しい? 愛しい? 世界一 ハッピーな恋』って歌っていたね」

善子(何それ、私も聞きたかったわ……)


果南「なるほど、二人のデートと誕生日会が被っちゃったんだね」

善子「そうなの……だから、リリーの誕生日会は……」

ダイヤ「善子さんの言いたいことはわかりましたわ。 仕方ありません、梨子さんの誕生日会は次の日にしましょう」

千歌「やっぱり、誕生日は恋人と二人っきりの方が嬉しいもんね」

曜「梨子ちゃんとのデート楽しんできてね」

善子「みんな……ありがとう!」


ルビィ「梨子さんへの誕生日プレゼントは用意できた?」

善子「もちろん! リリーへの誕生日プレゼントはとっくに用意できてるわ!」

善子「ただ、デートでリリーをかっこよくエスコートしてあげたいんだけど、どうすればリリーに喜んでもらえるか、わからないの……」

千歌「そういうことなら、私達に任せて!」

曜「私達が善子ちゃんにデートの秘訣を教えてあげるね!」

鞠莉「善子ちゃんは『mud boat』に乗った気でいていいわよ♪」

果南「鞠莉、泥舟だと沈むよ……」

善子(本当に大丈夫かしら……)


ー ダイヤさんのアドバイス ー


ダイヤ「善子さん、まず、デートで始めに気をつけることはですね……」

善子「さっきまでツッコんでいなかったけど、私はヨハネよ」

ダイヤ「女の子をデートに誘った場合、必ず待ち合わせ時間よりも前に待ち合わせ場所に着いて、相手を待つことです」

ダイヤ「遅刻なんて絶対に駄目ですわ」

善子「何分前に待ち合わせ場所に着けばいいの?」

ダイヤ「そうですね……人にもよりますが、一般的には待ち合わせ時間の5分から10分前に着いているといいですね」

曜「でも、梨子ちゃんのことだから、待ち合わせ時間よりも早く来ると思うよ」

善子「そうね、リリーよりも早く着くために30分前にするわ」

ダイヤ「あと、待つ姿勢にも気をつけておくんですよ」

ダイヤ「きちんと姿勢を正して、まっすぐ立つことです」

ダイヤ「くれぐれも、連絡もなしに約束の時間に一時間も遅れて、しかも、ヘラヘラしながら『ごめんなシャイニー☆』とか言うような最低なことをしてはいけませんよ」

ダイヤ「ねぇ、鞠莉さん」ニコッ

鞠莉(まだ、この間のデートのことを根に持っているのね……)

善子「待ち合わせ時間よりも早く着いて待つのね……わかったわ」


ー 曜ちゃんのアドバイス ー


曜「今度は私のアドバイスだね、善子ちゃん」

善子「善子言うな!」

曜「私が教えるデートの秘訣はね……」

曜「相手の服装を褒めること!」

曜「デートの時、必ず女の子は恋人に可愛く見てもらいたくてオシャレをしてくるんだよ」

曜「梨子ちゃんだって、善子ちゃんに可愛いって言ってもらいたくて、張り切ってオシャレをしてくるはずだよ」

曜「だから、待ち合わせ場所で会った時に、梨子ちゃんの服装をちゃんと褒めてあげてね」

善子「服装を褒めるのね……わかったわ!」

千歌(そういえば、いつも……)

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千歌『曜ちゃん、待たせてごめんね』

曜『ううん、私も今来たところだから大丈夫だよ』

曜『千歌ちゃん、そのワンピースよく似合ってるね! とっても可愛いよ!』ニコッ

千歌『えへへ、本当? ありがとう、曜ちゃん!』ニコッ

曜『それじゃ、行こうか』

千歌『うん!』

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千歌(いつも、曜ちゃんは私の服装を褒めてくれるのに、私は一度も曜ちゃんの服装を褒めたことがないや……)

千歌(今度、曜ちゃんとデートする時は、私も曜ちゃんの服装を褒めてあげよう)


ー ルビィちゃんのアドバイス ー


ルビィ「次はルビィのアドバイスだよ、善子ちゃん」

善子「私の名前は善子じゃなくてヨハネだってば!」

ルビィ「女の子は好きな人に手を繋いでもらえると嬉しいんだよ」

ルビィ「ルビィもいつもマルちゃんと手を繋いでいるよ」

ルビィ「だから、デート中はずっと梨子さんと手を繋いであげてね」

善子「わかったわ! それにしても、いつも手を繋いでいるなんて、ルビィは本当にずら丸と仲がいいわね」

ルビィ「うん、マルちゃんのこと好きだからね!」

花丸「えへへ///」

ルビィ「あと、できたら恋人繋ぎをしてあげた方が梨子さんも喜ぶと思うよ」

ルビィ「恋人繋ぎは女の子の憧れだからね」

善子「へぇ、ずら丸と恋人繋ぎしたことがあるの?」

ルビィ「ううん、マルちゃんとは恋人繋ぎしたことないよ」

ルビィ「お姉ちゃんとはいつもしてるよ!」

果南・鞠莉「えっ……」

ダイヤ「な、何ですか?」

果南(姉妹で恋人繋ぎ……)

鞠莉(私とはしてくれたことないのに……)

善子「姉妹でも手を繋いでいるなんて、ルビィは本当にダイヤと仲がいいわね」

ルビィ「うん、お姉ちゃんのこと大好きだからね!」

花丸(マルもいつかルビィちゃんと恋人繋ぎするずら……)


ー 花丸ちゃんのアドバイス ー


花丸「次はマルのアドバイスずら、善子ちゃん」

善子「何度も言ってるけど、私はヨハネだってば!」

花丸「ところで、善子ちゃんはいつも梨子ちゃんにあーんをしてもらっているずら?」

善子「えっ、無視するの……まぁ、よくリリーにはあーんして食べさせてもらっているわ」

花丸「善子ちゃんが梨子ちゃんにやってあげたことは?」

善子「あっ! そういえば、一度もないわ!」

花丸「それはだめずら!」

花丸「マルはいつもルビィちゃんとあーんし合っているずら」エヘン

善子「そうね、私もリリーにあーんして食べさせてあげるわ」

花丸「そして、口まわりに食べ物がついちゃたらペロって舐めて取ってあげるずら」

善子「なるほど、リリーをドキドキさせるのね!」

ダイヤ「花丸さん……ルビィとそんなことしているんですか?」ゴゴゴゴゴゴ

花丸「ダイヤちゃんには秘密ずら♪」


ー 果南ちゃんのアドバイス ー


果南「女の子がされたら喜ぶこと?」

果南「もちろんハグだね!」

鞠莉「果南は本当にハグが好きね」

果南「ハグはお互いに安心感と幸福感を得られる最高の愛情表現だからね」

善子「ハグなら今までリリーにしてあげたことがあるから完璧ね!」

果南「甘い! ただ抱きしめるだけがハグじゃないよ、善子!」

善子「だから、善子言うな!」

果南「ハグにもコツがあってね、まずは相手と目を合わせるの……」ジー

ルビィ「えっ、か、果南さん!?」ビクッ

果南「腕を回す前に相手と目を合わせて、心を通わせることが大事なんだよ……」ジー

ルビィ「そ、そんなにルビィを見つめないで///」カー

果南「相手の了解を得ずにハグする人もいるけど、相手に嫌がられないようにきちんと確認することも大事だよ」

果南「ハグをする時は腕を広げて、相手に近づくことで自然と受け入れてもらえるよ」

果南「ルビィ」

ルビィ「はっ、はい///」

果南「ハグ…しよ?」ニコッ

ルビィ「えっ、えーと///」

ルビィ「///」バッ

果南「そして、抱きしめる時の力の込め方や、相手との密着度を意識することで、心のこもったやさしいハグができるんだよ」ギュッ

ルビィ「ピギィー///」カオマッカ

ダイヤ「さすが、果南さん! ハグのプロですわ!」 ← 果南に抱かれたことがある

花丸「マルもユニット練習の時にしてもらったけど、果南ちゃんのハグは最高ずら」 ← 果南に抱かれたことがある

千歌「果南ちゃんのハグはすごく安心するからね」 ← 果南に抱かれたことがある

曜「うん、果南ちゃんのハグは世界一だよ」 ← 果南に抱かれたことがある

鞠莉「今まで大勢の女の子を抱いてきただけはあるわね♪」 ← 果南に抱かれたことがある

果南「その言い方は勘違いされるからやめてね……」

善子「これがプロの技……リリーにも試してみるわ!」


ー 鞠莉ちゃんのアドバイス ー


鞠莉「女の子が喜ぶことといえば、もちろん抱いてあげることね♪」

善子「何よ、果南ちゃんと一緒じゃない」

鞠莉「抱くって言ってもハグのことじゃないよ♪ セッ……」

ダイヤ「不純ですわ///」パシン

鞠莉「Ouch」ヒリヒリ

果南「千歌、曜、この話はルビィとマルには聞かせられないから、しばらくの間、向こうに連れて行ってあげて///」

千歌「ルビィちゃん、マルちゃん、向こう行ってよう///」

ルビィ「えっ、どうしてですか?」

花丸「気になるずら?」

曜「二人はまだ知らなくていいよ///」

ルビィ「?」

花丸「?」

ダイヤ「私達は高校生ですよ! 不純同性交友は認められませんわ///」

鞠莉「ダイヤ、お互いに愛し合っているなら不純ではないと思うわ」

ダイヤ「ですが……破廉恥ですわ///」カァー

鞠莉「善子ちゃんだって、梨子ちゃんとそういうことするのに興味があるでしょ」

善子「私はヨハネよ! まあ、興味はあるわね///」

鞠莉「女の子を口説く時はこういうのよ……」グイッ

ダイヤ「ちょっと、何を……」

鞠莉「今からダイヤを大人にしてあげる……」アゴクイッ

ダイヤ「ピギィー///」カオマッカ

鞠莉「……とダイヤへのジョークはこれぐらいにしておいて♪」

ダイヤ「」ブチッ

鞠莉「こんな感じに言えば、梨子ちゃんもメロメロよ♪」

善子「なるほど!」

鞠莉「きっと素敵な誕生日の思い出になるわよ♪」ニコッ

ダイヤ「///」ポカポカポカポカ

鞠莉「ダ、ダイヤ、痛いから叩かないで……ちょっとからかっただけじゃない……」


ー 千歌ちゃんのアドバイス ー


千歌「それじゃ、最後は私のアドバイスだよ、善子ちゃん」

善子「うん」 ← 諦めた

千歌「デートで1番大事なのは、笑顔を見せることだよ!」

善子「笑顔を見せる?」

千歌「善子ちゃんが梨子ちゃんの笑顔を見たいように、梨子ちゃんも善子ちゃんの笑顔が見たいはずだよ」

千歌「善子ちゃんが笑顔を見せることで、善子ちゃんも一緒にデートを楽しんでくれてるってわかるからね」

千歌「だから、デートではちゃんと梨子ちゃんに笑顔を見せるんだよ」

善子「わかったわ!」


善子「みんなのアドバイスをまとめるとこうなるわね……」


・待ち合わせ時間より前に着いてリリーを待つ

・リリーの服装を褒める

・リリーとデート中は恋人繋ぎをする

・リリーにあーんして食べさせてあげる

・リリーにハグをする

・リリーを抱く(ハグではない)

・リリーに笑顔を見せる


善子「みんな、本当にありがとう!」

善子「みんなのアドバイスを参考にして、リリーとのデート頑張るわ!」

千歌「善子ちゃん、デート頑張ってね!」

曜「頑張れ、よーしこー!」ビシッ

ルビィ「善子ちゃん、頑張るびぃ!」

花丸「善子ちゃん、頑張るずら!」

ダイヤ「善子さん、清く正しいデートをするんですよ」

果南「善子、楽しんできなよ!」

鞠莉「善子ちゃん、グッドラック!」

善子「だ…か…ら……善子言うなー!」


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~ 9月18日 梨子ちゃんの誕生日 前日 ~


~ 津島家 昼 ~


善子「よし、明日のデートの準備はできたわ!」

善子「明日は絶対にリリーにデートを楽しんでもらわなくちゃ♪」

善子「でも、一つだけ不安なことが残っているわね……」

私が不安に思っていること……それは私の不運……。

小さい頃から私が楽しみにしている日に限って、必ず良くないことが起きる……。

楽しみにしていたお出掛けの時は必ず雨が降ったり、トラブルに巻き込まれたり、まるで……私の不運が『お前を楽しませたりするものか、絶対に不幸にしてやる』と言っているかのように……。

私の誕生日の時、私の不運のせいで、リリーもいろいろと大変なことに巻き込まれたみたいだった。

それでも、リリーは私を喜ばせるために頑張ってくれた。

私の不運でリリーの誕生日を台無しにすることだけは絶対にあってはいけない……。

善子「念のために厄除けのお守りでも買っておこうかしら?」


~ 神社 ~


善子「まさか、厄除けのお守りだけが売り切れだなんて……そんなことありえるの……」トボトボ

善子「今からこんなんじゃ、明日のデートはどうなるのよ……」トボトボ

善子「どうしよう……」ハァ


善子ちゃんの不運は『そう簡単にうまくいかせるか、明日はもっと不運な目に合わせてやる』と企んでいました。

しかし、善子ちゃんの不運も予期せぬことが起こったのです。


善子「あらっ?」

善子「下を見ながら歩いていたら、ハンカチを見つけたわ」ヒョイ

善子「このハンカチは誰かの落とし物かしら?」

お姉さん「どこに落としたんやろ?」キョロキョロ

善子「あの人の物みたいね」

善子「あの……もしかして、このハンカチはお姉さんの物ですか?」

お姉さん「あっ、うちのハンカチを拾ってくれたん? ありがとう!」

善子「どういたしまして(関西弁……関西の人かしら?)」


お姉さん「このハンカチは恋人からもらった大事なハンカチなんよ。 見つかって本当に良かった♪」ニコニコ

お姉さん「そうだ! 実は○○○に行きたいんだけど、道がわからないんよ。 知ってるかな?」

善子「○○○ならこの近くですよ。 なんなら、案内しましょうか?」

お姉さん「本当! 落とし物を拾ってくれただけでなく、道案内までしてくれるなんて本当にありがとう♪」パァー


ー 善子ちゃん道案内中 ー


お姉さん「ふふふ、大事なハンカチを落としてしまったけど、そのおかげでこんな天使みたいに可愛い女の子と出会えて、しかも道案内までしてもらえるなんて、やっぱり、うちはラッキーガールやなぁ」ニコニコ

お姉さん「あっ、もうガールって年じゃないね」クスクス

善子「……天使」ピクッ

善子「天使じゃないわ! 私は堕天使ヨハネよ!」ビシッ

善子(はっ! しまった、いつものクセで見ず知らずの人にやってしまったわ……引かれたかしら……)

お姉さん「堕天使ヨハネ?」

お姉さん「そっか、堕天使ちゃんやったか、どおりで綺麗なんやね」ニコニコ

善子(何か受け入れてもらえたわ……)


お姉さん「うちは恋人と一緒に観光に来ていて、今は別行動で神社巡りをしてたんやけど、ヨハネちゃんも神社巡り? それとも御祈願?」

善子「私は厄除けのお守りを買いに……でも、売り切れていて……」ショボン

お姉さん「厄除け? ヨハネちゃんには何か悩みがあるん? うちでよかったら相談にのるよ」

善子「実は……」


ー 善子ちゃん説明中 ー


お姉さん「なるほど、いつも不運なことが起こるから、恋人の誕生日に失敗したくないんやね」

善子「はい……」

善子(私は見ず知らずのお姉さんに何を話しているんだろう……)


お姉さん「確かに、ヨハネちゃんからは何やら負の力を感じるなぁ」

お姉さん「そんなヨハネちゃんにお姉さんが特別な力をあげよう♪」

善子「特別な力?」

お姉さん「そう、その名も『スピリチュアルパワー』」

善子「す、すぴりちゅある……パワー?」

お姉さん「きっとスピリチュアルパワーがヨハネちゃんを不運なことから守ってくれる」

お姉さん「さっきのハンカチを拾ってくれたお礼だと思って受け取って欲しいな♪」

善子「何だかよくわかりませんが、ありがとうございます」


お姉さん「それじゃ、うちが『希パワー、たーっぷり注入! はーい、プシュッ☆』って言うから、ヨハネちゃんは『いただきましたー!』って応えてね」

善子「えっ!?」

お姉さん「それじゃ、いくよ……」

お姉さん「希パワー、たーっぷり注入! はーい、プシュッ☆」

善子「いただきましたー!」

善子(恥ずかしい///)

お姉さん「うん、ちゃんとスピリチュアルパワーを受け取ったみたいやね」

お姉さん「たぶん、スピリチュアルパワーが『7回』はヨハネちゃんをトラブルから守ったり、ラッキーなことを与えてくれると思うよ。 ラッキーセブンやね♪」

善子「回数制限があるんですか? 意外と細かい設定なんですね」

お姉さん「あれ? スピリチュアルパワーを信じていない? ……まぁ、いいや」


お姉さん「でも、これだけは覚えておいてね」

お姉さん「たとえ、ヨハネちゃんと彼女さんに不運なことが起きたとしても、二人が幸せになれないなんてことはないんよ」

善子「どういう意味ですか?」

お姉さん「そのうちヨハネちゃんにもわかるよ……ヨハネちゃんと彼女さんは絶対に不幸にはならない……これだけはうちが保証するね」

善子「わかりました」


善子「あっ、○○○はここです」

お姉さん「本当やね! ヨハネちゃん、今日はいろいろとありがとう!」

お姉さん「ヨハネちゃんが明日は彼女さんと素敵な1日を過ごせるように、ウチもお祈りしとくね♪」

善子「ありがとう、お姉さん」

お姉さん「じゃあね、ヨハネちゃん♪」

善子「さようなら」

???「希、こっちよ!」

お姉さん「待たせてごめんね、えりち」

???「別にいいのよ。 それより、あの子は知り合いの子?」

お姉さん「あの子は堕天使のヨハネちゃん♪」

???「堕天使?」

善子「美人なお姉さんだったわ……」

善子「だけど、どこかで見たことある人だったような気がする……」


~ 津島家 夜 ~


善子「いよいよ、明日が待ちに待ったデートね……」

善子「デートのプランも考えた」

善子「誕生日プレゼントも用意した」

善子「みんなからアドバイスももらえた」

善子「不運なことは……お姉さんのスピリチュアルパワーを信じましょう」

善子「明日はリリーにとって最高の誕生日になるように頑張るわ!」

善子「さて、明日は早く起きて、リリーよりも先に待ち合わせ場所に行かなくちゃね♪」

善子「きちんと目覚ましを設定してと……」

アラーム「07:00」ピッ

善子「これでよし!」

善子「おやすみなさい、リリー」チュッ

HJNNリリー「///」


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~ 9月19日 梨子ちゃんの誕生日 当日 ~


AM ??:??


スマホ「♪」キス!トバシテツレサリタイカラー

善子「誰よ……こんな朝早くから電話するなんて……」ゴソゴソ

善子「……千歌ちゃん? 何のようかしら?」ピッ

善子「もしもし」

千歌『あっ、もしもし』

善子「朝早くから何のようよ?」

千歌『あれ? 何で曜ちゃんの携帯に善子ちゃんが出てるの?』

善子「何言ってるのよ! これはヨハネの携帯よ!」

千歌『えっ……あっ、ごめん! 間違えて善子ちゃんの携帯にかけちゃったみたい』

善子「もう! 間違い電話しないでよね!」

千歌『本当にごめんね! 今日は梨子ちゃんとのデート楽しんできてね!』プツッ

善子「まったく、朝早くから電話で起こすなんて迷惑だわ……いったい、今何時だと……」チラッ

スマホ「07:05」

善子「嘘!? もう、7時過ぎてるじゃない!?」ガバッ

善子「何で目覚ましが鳴らなかったの!?」チラッ

アラーム「00:00」

善子「この目覚まし……時間が狂ってる。 夜中に壊れてしまったんだわ……」

善子「もし、千歌ちゃんが私に電話してくれなかったら、約束の時間に遅刻していた……」

善子「もしかして、これがお姉さんの言っていたスピリチュアルパワーなのかしら?」

善子「……ありがとう、千歌ちゃん、お姉さん」

トラブル回避成功!

スピリチュアルパワー 残り6回


AM 07:55


善子「……よし、朝食も取ったし、着替えも済んだ! 朝の仕度はバッチリね!」

テレビ「今日の天気は降水確率0%、絶好のお出かけ日和になるでしょう」

善子「天気も大丈夫そうね」

善子ママ「善子、今日はお父さんも、お母さんも帰ってこれないから、今夜はお留守番頼んだわよ」

善子「わかったわ」

善子「さて、私もそろそろ行きましょうか」


~ 待ち合わせ場所 ~


AM 08:30


善子「良かった、きちんと待ち合わせ時間の30分前に着くことができたわ!」

善子「後は、リリーを待つだけね」


AM 08:40


梨子「あれっ、よっちゃん!?」

善子「おはよう、リリー」ニコッ

梨子「お、おはよう。 それより、まだ待ち合わせ時間まで20分もあるんだよ! いつから待ってくれていたの?」


リリーは待ち合わせの20分前にきた。

おそらく、私が待ち合わせ時間の10分前に来ると思って、20分前に着いて私を待とうとしていたのだろう。


善子「今日はヨハネがエスコートするって言ったでしょ! リリーに待たせるようなことはしないわ」

善子「リリーの考えてることなんて全部お見通しよ! 大丈夫、ヨハネも少し前にきたばかりよ!」

梨子「でも、何か悪いよ……」

善子「ふふふ、気にすることはないわよ、今日はリリーと一緒にいれる時間が増えて嬉しいわ」

梨子「よっちゃん///」


善子(それにしても///)


リリーは曜ちゃんの言っていたとおり、今日のデートのためにオシャレをしてきたみたい……リリーのデート服はとても可愛くてよく似合っていた。


善子「リリー、とっても綺麗よ……見惚れるぐらいすごく可愛いわ///」


私はお世辞ではなく、本当にリリーが可愛くて見惚れていた。


梨子「ふふふ、本当? ありがとう、よっちゃん///」

梨子「よっちゃんもとても可愛いよ///」

善子「えへへ///」

善子「少し早いけど、そろそろ行きましょうか?」

梨子「うん! 楽しみだな♪」

善子「リリー、今日は一日中、手をつないでいましょう!」

梨子「えっ///」

善子「ほらっ、手を握るわね///」ギュッ

梨子(あっ、恋人繋ぎ///)

善子「それじゃ、行きましょう///」

梨子「う、うん///」

梨子(なんだか、今日のよっちゃんはとてもかっこよくて、ドキドキする///)


~ 遊園地入口 ~


善子「さあ、着いたわね! 結構並んでるから私達も早く並びましょう」

梨子「うん!」


~ 10分後 ~


善子「リリー、そろそろ私達の番よ!」

梨子「楽しみだね」

チャラ女「マジ疲れた、もう並びたくない」

チャラ男「おいおい、ワガママ言うなよ……」

チャラ女「あんた、なんとかしなさいよ」

チャラ男「仕方ねぇな……」


チャラ男「おい、お前ら」

善子「えっ、何ですか?」

チャラ男「俺達と順番を変われ!」

梨子「私達の次なんですから、きちんと順番を守ってください」

チャラ男「うるさい! こいつの機嫌が悪くなると俺が大変なんだ! お前らこそ俺達の次になるんだから別に構わないだろ」

善子「な、何よ、その態度は! それが人に頼む態度なの!」プンプン

チャラ男「何だ? 小娘だからって逆らうと容赦しないぞ」

梨子「よっちゃん……ここは順番を変わろう……」ギュッ

善子「で、でも……」

梨子「よっちゃんに何かあったら私が嫌なの……お願い、よっちゃん……」ギュッ

善子「……わかったわ」

チャラ男「へへっ、そうだ。 おとなしく順番を変わればいいんだ」

梨子「ごめんね、よっちゃん……嫌な思いをさせて……」

善子「リリーは何も悪くないわ! あいつらが全部悪いのよ!」

善子(何で私達がこんな目にあうのよ……悔しい……)


チャラ男「チケット2枚だ」

受付のお姉さん「はい、こちらになります」

チャラ男「よし、それじゃ行こうぜ」

チャラ女「マジ楽しみ!」

梨子「ほら、よっちゃん、順番がまわってきたよ」

善子「ええ……」

善子「チケット2枚ください」

受付のお姉さん「おめでとうございます!」

くす玉「祝!来場者数100万組目記念!」パーン

善子・梨子「えっ!?」


受付のお姉さん「お客様は当遊園地の100万組目のカップルでの来場者になります!」

受付のお姉さん「よって、記念品の贈呈とカップル一日無料券を差し上げます!」

周りのお客「お二人さん、おめでとう!」パチパチ

周りのお客「おおおっ、おめでとさん!」パチパチ

周りのお客「お嬢ちゃん達、良かったわね」パチパチ

周りのお客「ふふふ、可愛いカップルね」パチパチ

周りのお客「百合カップル、素晴らしいですねぇ!」パチパチ

ワーワー

ヒューヒュー

オニアイヨー

カワイイー

キマシタワー

善子・梨子「///」テレッ


善子(リリーとお似合いのカップル///)

梨子(よっちゃんとお似合いのカップル///)

チャラ男「そんな……馬鹿な……」ガーン

チャラ女「あんた、本当に運が無いわね……マジ最悪……」ハァ

梨子「何だか、今日はとても運が良いね///」

善子(これはすごく嬉しいけど、運が良すぎる気もするわね……)

幸運発生!

スピリチュアルパワー 残り5回


~ ジェットコースター ~


善子「まずは、遊園地と言ったら、ジェットコースターよね♪」

梨子「よっちゃん、絶叫系は大丈夫なの?」

善子「私を誰だと思っているの? 堕天使ヨハネよ! ジェットコースターごときでビビるわけないでしょ!」

梨子「本当に大丈夫かな……」


~ 10分後 ~


善子「……結構高いのね」

梨子「もうそろそろで頂上だよ、よっちゃん♪」ワクワク

善子「……ドキドキするわね」ブルブル

梨子「ドキドキするね♪」ワクワク

善子「……リリー、怖くない? ヨハネが手を繋いであげてもいいわよ」ブルブル

梨子「うん♪」ギュッ

善子「ギャーーーーー!」

梨子「キャーーーーー♪」


~ 5分後 ~


善子「まだ、ふらふらするわ」フラフラ

梨子「よっちゃん、大丈夫?」

善子「全然平気よ!」

梨子「そう、それじゃもう一回乗ろうか♪」

善子「……えっ」

それから、もう一回乗りました♪


~ コーヒーカップ ~


善子「やっぱり、絶叫系はやめておきましょう……」

梨子「それだったら、今度はコーヒーカップに乗らない?」

善子「コーヒーカップ? ちょっと、子どもっぽくないかしら?」

梨子「私はよっちゃんと一緒に乗りたいな♪」

善子「リリーのお願いなら、付き合ってあげるわ♪」

梨子「ありがとう、よっちゃん♪」


~ 10分後 ~


善子「結構、コーヒーカップも楽しいわね♪」キラキラ

梨子「そうでしょ♪」

善子「もうちょっと、たくさん回してみましょうか♪」クルクル

梨子「えっ!?」

善子「あはは、楽しいわ! リリー♪」グルグル

梨子「よ、よっちゃん! そんなに回し過ぎるとまた……」


~ 5分後 ~


善子「また、ふらふらするわ」フラフラ

梨子「よっちゃんも学習しないね……」

善子(何で、リリーは平気なのかしら?)


~ レストラン ~


善子「リリー、ここのテーブルが空いてるわ! ここに座りましょう」

梨子「うん」

隣のテーブルの客A「ねぇ、知ってる? ここのお店の辛口カレーは絶品何だって!」

隣のテーブルの客B「へぇ……それじゃ、そいつを頼もうか」

梨子「よっちゃんは何にするの?」

善子「ヨハネはミートスパゲッティにするわ」

梨子「それじゃ、私も同じのにしようかな」


~ 10分後 ~


善子「料理もきたし、さっそく食べましょうか」

梨子「うん、いただきます」

善子「ちょっと待って、リリー」

梨子「どうしたの?」


善子「リリー、はいあーん」ニコニコ

梨子「えっ///」

善子「いつもリリーにあーんしてもらっているから、今日はこのヨハネがあーんしてあげる」

善子「ほら、口を開けて……あーん」

梨子「あ、あーん///」パクッ

善子「リリー、美味しい?」

梨子「うん///」モグモグ

梨子「恥ずかしいね、これ///」

善子「ふふふ、いつもあーんしてもらってるヨハネの気持ちがわかった?」

梨子「うん///」


善子「あっ、唇にソースが付いちゃったわね」

梨子「えっ、本当!?」サワッ

善子「あっ、ヨハネが取ってあげるから、動いちゃだめよ、リリー」ズイッ

善子「///」チュッ

梨子「んっ///」

梨子「よ、よっちゃん///」

梨子「こんな人前でキスしたら駄目よ///」

善子「唇についたソースを取っただけよ」クスクス

梨子「もう、よっちゃんったら///」


善子「ほら、もっと食べさせてあげる、あーん」

梨子「……」

梨子「あん」パクッ

善子「リリー、もっと口を大きく開けてよ、ソースがまた唇に……」

梨子「ごめんね、よっちゃん……またソースが唇に付いちゃったみたい///」

梨子「また……ソースを取ってもらっていい……かな///」

善子「もう、リリーったら仕方ないわね///」ズイッ

善子「///」チュッチュッチュッ

梨子「んっ///」

善子「取れたわよ///」

梨子「ありがとう、よっちゃん///」

善子・梨子「ふふふ///」イチャイチャ

隣のテーブルの客A(頼んだ辛口カレーが甘いわ……)モグモグ

隣のテーブルの客B(美味しいけど、全然辛くない……)モグモグ


~ お化け屋敷 ~


善子「次はここにしましょう」

梨子「お化け屋敷?」

善子「ここのお化け屋敷は怖いで有名なのよ」

梨子「よっちゃん、怖いの大丈夫なの?」

善子「もちろん! この堕天使ヨハネに怖いものなんてないわ!」

善子(ふふふ、私には秘策があるのよ……)

梨子「ふふふ、怖かったらいつでも私に抱きついてもいいんだよ」クスクス


~ 15分後 ~


受付「ありがとうございました」

善子「なかなか、怖かったわね」ドヤッ

梨子「そうだね……」グスッ

善子(この日のために、怖い映画をたくさん観て、おばけに慣れておいて良かったわ……)

善子(でも、リリーにはやっぱり怖かったのかしら、ずっと震えているわ……)

善子(リリーを安心させてあげたい……)

善子(そうだわ!)


善子「リリー!」

梨子「何、よっちゃん?」

善子「ハグしましょう!」

梨子「ハグ?」

善子「ハグのプロが言うには、お互いに安心感を得られるそうよ」

善子「私も怖かったから、リリーとハグしたいわ」

梨子「よっちゃん///」

善子「ほら、リリー」

梨子「うん///」ギュッ

善子「どう、ヨハネのハグは?」ギュッ

梨子「すごく気持ちいいよ///」ギュッ

善子「なんたって、プロ直伝の技だからね」ギュッ

梨子「そうなんだね///」

善子「少しは落ち着いたかしら?」ギュッ

梨子(よっちゃんに抱きしめられて、落ち着くどころかドキドキするよ///)

梨子「うん、私は大丈夫! よっちゃん、ありがとう///」ギュッ

善子・梨子「ふふふ///」イチャイチャ

受付(お化け屋敷の前でイチャイチャしないでほしいなぁ……)


それからも私達は仲良く遊園地のアトラクションをまわった。

リリーとの時間はとても楽しくて、リリーにも楽しんでもらうことができたわ。

そして、何か不運なことやラッキーなことがあるたびにスピリチュアルパワーも残り4回、3回、2回、1回と消費されていった。


そして……


~ 休憩所 ~


梨子「私はリンゴジュースにしようかな」ピッ

善子「ヨハネはコーヒーにしようかしら」

梨子「甘いやつだよね」クスクス

善子「もう、いいでしょ!」ピッ

自販機「当たり!」ピロロローン

善子「当たりが出たわ!」パァー

梨子「あはは、今日のよっちゃんは運がいいね」

善子「自販機の当たりなんて初めてね」

善子(これもスピリチュアルパワーかしら?)

幸運発生!

スピリチュアルパワー 残り0回


梨子「あそこのベンチに座って飲もう」

善子「そうね」

善子「コーヒーは2本も飲めないから、もう1本はカバンに入れておいて後で飲もうかしら……」ガサゴソ

ポトッ


~ 10分後 ~


梨子「よっちゃん、次はどこに行こうか?」ニコニコ

善子「そうね、次は……」

善子(リリー、すごく楽しそう……)

善子(リリーにデートを楽しんでもらえて良かったわ……)

善子(今のところ、不運なことも起きていないし、スピリチュアルパワーのおかげね……)

善子(あれっ?)

善子(スピリチュアルパワーは今何回目だったかしら?)

善子(確か……今のでスピリチュアルパワーは……7回目?)

善子(スピリチュアルパワーはもうない……)

善子(ということは……)


ポツポツ

梨子「あれっ?」

善子(嘘っ、まさかっ!?)


まるで、私の不運がずっとこの時を待っていたかのように、スピリチュアルパワーがなくなった途端、急に雨が降り始めた……。


イヤダワ、アメガフッテキタ

キョウハアメガフラナイハズナノニツイテナイナ

善子(やっぱり、私の不運のせいなのね……)


梨子「雨が降ってきたね……」ガサゴソ

スッ

梨子「はい、よっちゃん」

善子「……えっ!?」

梨子「ふふふ、こんなこともあろうかと、ちゃんと折り畳み傘を持ってきてたんだ!」

梨子「でも、一本しか持ってきてないから……」

梨子「一緒に傘に入ろ」ニコッ


ザザザー

善子「ごめんね、リリー」

善子「雨が降ったから、外のアトラクションには乗れないわね……」

梨子「よっちゃん、元気出してよ」

梨子「雨が降っても遊園地は楽しめるよ」

善子「でも……」

梨子「よっちゃんといろいろなアトラクションをまわった後だし、この後はゆっくりするのもいいんじゃないかな?」


善子「そうだわ、リリーに誕生日プレゼントがあるの! 今渡してもいいかしら?」パァー

梨子「わぁ、楽しみ♪」

善子「ふふふ、ちょっと待っててね」ガサゴソ

梨子「ゆっくりでいいよ」ニコニコ

善子「……あれっ!?」ガサゴソ

梨子「?」

善子「……そんなっ……嘘でしょ!?」ガサゴソ

梨子「??」

善子「……リリー」

梨子「どうしたの?」

善子「……プレゼントを……落とした」サァー

梨子「えっ!?」


それから、私達は落としたプレゼントを見つけるために、遊園地中を探しまわった……。

ジェットコースター、コーヒーカップ、レストラン、お化け屋敷……他の場所も全部探しまわったけど、どこにもなかった。

梨子「見つからないね……」

善子「……うん」

梨子「よっちゃん……とりあえず、あそこで雨宿りしよ」

善子「……うん」


~ 休憩所 ~


梨子「雨がますます強くなってきたね……」

善子「……」

梨子「よっちゃん、元気出して……」

梨子「私は気にしていないから、プレゼントは諦めよ……」

善子「ごめ……」ボソボソ

梨子「よっちゃん?」

善子「ごめんね……」ポロポロ

梨子「えっ……」

善子「ごめんね……せっかくの誕生日なのに……私の不運のせいで雨が降って……」ポロポロ

善子「プレゼントも落としてしまって……私はリリーに誕生日プレゼントもろくにあげられない……」ポロポロ

善子「最高の誕生日にしてあげるって……約束したのに……」ポロポロ

善子「いつも……私の不運にリリーも巻き込んでしまって……迷惑をかけてしまうわ……」ポロポロ

善子「やっぱり……不運な私では……リリーを幸せにすることが……できないんだわ……」ポロポロ

善子「ごめんね……ごめんね……リリー……」ポロポロ


ギュッ

善子「っ!?」

梨子「バカね、よっちゃんは……」ギュッ

梨子「雨が降ったら、よっちゃんと相合傘ができるよ……」

梨子「誕生日プレゼントが無くったって、よっちゃんの気持ちはちゃんと私に伝わっているよ……」

梨子「それに、私はよっちゃんの不運に巻き込まれたとしても、不幸にはならないわ……」

梨子「言ったでしょ……よっちゃんと一緒にいるだけで幸せだって……」

梨子「今日は最高の誕生日だったよ……ありがとう、よっちゃん」ニコッ

善子「リリー……」ポロポロ

どうして、私の恋人はこんなに優しいんだろう……リリーが愛おしくて涙が止まらない……。

善子「ぐすっ、リリー」ギュッ

梨子「よっちゃん」ギューッ


善子「ぐすっ……私も……あなたが……」ギューッ

梨子「よっちゃん、もう泣かないで……私はよっちゃんの笑顔が見たいな……」ナデナデ

善子「笑顔……」グスッ

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千歌『善子ちゃんが梨子ちゃんの笑顔を見たいように、梨子ちゃんも善子ちゃんの笑顔が見たいはずだよ』

千歌『だから、デートではちゃんと梨子ちゃんに笑顔を見せるんだよ』

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善子「そうだったわね……忘れていたわ」ゴシゴシ

善子「リリー、私もあなたが一緒にいてくれるだけで幸せよ」ニコッ

善子「雨が降っても、ついてないことがあっても、トラブルに巻き込まれたとしても、あなたさえいてくれれば、私は不幸になることはないわ」

善子「だから、私とずっと一緒にいてください」ギューッ

梨子「こちらこそ、これからもずっと一緒にいてね、よっちゃん」ギューッ

善子「リリー……愛してるわ……」ギューッ

梨子「私も愛してるよ、よっちゃん」ギューッ

善子「こんな優しい恋人に愛されて……私は幸せ者だわ……」ギューッ

梨子「私だって、よっちゃんが私の恋人で幸せだよ」ギューッ

それから、私達は時間を忘れてずっと抱き合っていた……ただ抱きしめ合っているだけでも、私はとても幸せだった。


パラパラ

梨子「あれっ? 雨が止みそうだよ」

善子「ええ、あんなに強い雨が降っていたのに……」

梨子「よっちゃんが元気になったから雨が弱まったんじゃないかな」

善子「そうなのかしら?」

梨子「きっとそうだよ!」

梨子「そろそろ時間も遅いし帰ろうか?」

善子「そうね」

梨子「あっ、よっちゃん! あそこのベンチの下にあるアレ!」

善子「えっ!? あっ、私が落としたプレゼントだわ!」

梨子「こんなところに落ちていたんだね」

善子「どおりでアトラクションのところを探しても見つからないはずだわ」

善子「雨で外箱が濡れちゃったけど、中身は大丈夫そうね」

梨子「よっちゃん、落としたプレゼントが見つかって良かったね」ニコッ

善子「ええ、これでリリーに誕生日プレゼントが渡せる」ニコッ

善子(でも、スピリチュアルパワーはもうないのに、どうしてプレゼントが見つかったのかしら?)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


~ 旅館 ~


???「希、一緒に露天風呂に入りましょうよ」

???「あら、希がタロットカードを使っているところ、久しぶりに見るわね」

お姉さん「ヨハネちゃんのことが気になってね、ちょっと占ってたんよ」

???「結果はどうだったの?」

お姉さん「ふふふ、心配する必要はなかったみたい」

???「デートがうまくいったのね……これも希のスピリチュアルパワーのおかげね」

お姉さん「それは違うよ、うちはただ二人のデートがより楽しくなるようにきっかけを与えただけ……デートがうまくいったのはヨハネちゃんの彼女さんへの思いの力……」

お姉さん「ヨハネちゃんが彼女さんを笑顔にしたいという気持ちが素敵なデートにしたんよ」

お姉さん「それに、あの子はスピリチュアルパワーなんか無くっても不幸にはならないってわかっていたからね」

???「どうして?」

お姉さん「ヨハネちゃんはどんな不運なことが起きても彼女さんがそばにいてくれるだけで幸せだろうし、彼女さんもどんな不運なことに巻き込まれたとしてもヨハネちゃんを受け入れてくれる……そんな気がしたんよ」

お姉さん「そんな二人が不幸になるはずがない……」

お姉さん「たぶん、ヨハネちゃんの不運も、何をしても二人を不幸にすることができないとわかって、今ごろ諦めて退散してると思うよ」

???「ハラショー、私達みたいに素敵なカップルね」

お姉さん「ふふふ、そうやね」クスクス

お姉さん(ヨハネちゃん、デートがうまくいって良かったね)


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


善子「リリー、雨で箱が濡れちゃったけど、私の誕生日プレゼント……受け取ってもらえる?」

梨子「もちろん!」

梨子「ねぇ、ここで開けてもいい?」

善子「えぇ、いいわよ」

梨子「ふふふ、楽しみ♪」ガサゴソ

梨子「よっちゃんの誕生日プレゼントは何かな♪」パカッ

梨子「わぁ! 桜の形をしたペンダント!」

善子「桜がリリーのイメージにピッタリで、リリーがこのペンダントを付けたらきっと綺麗だろうなって思ったの」

梨子「とっても可愛いよ!」

善子(たぶん、リリーは知らないだろうけど、プレゼントにペンダントを送ることには意味があるの……)


善子「私に付けさせてもらえるかしら?」

梨子「うん、お願い♪」

善子(ネックレスとかの輪っかになっているアクセサリーには相手を自分だけのものにしたいという束縛の想いが込められているの……)

梨子「えへへ、似合うかな?」

善子「ええ、とてもよく似合っているわ」

善子(これは、私とリリーの誓約を意味するの……リリーはずっと私だけのものなんだからね)

梨子「よっちゃんのプレゼントすごく嬉しいよ♪」

善子「あっ!」

梨子「どうしたの?」

善子「そういえば、まだリリーに言っていなかったわね……」

善子「リリー、お誕生日おめでとう!」ニコッ

梨子「ありがとう、よっちゃん♪」ニコッ


おわり


これで『ほのぼのよしりこSS』はおしまいです。

閲覧ありがとうございました。


おまけ


私達が帰る頃にはすっかり雨は止んでいた。

梨子「雨、止んじゃったね……」

善子「そうね」

リリーは相合傘ができないからか、ちょっと残念そうだった。

梨子「ねぇ、よっちゃん。 手を繋いでもいいかな?」

善子「もちろん、いいに決まっているわ♪」

梨子「ありがとう、よっちゃん♪」

私達は恋人繋ぎをしながら、帰路についた。

梨子「よっちゃん、今日はとても楽しかったよ♪」

善子「リリーに喜んでもらえて良かったわ♪」

梨子「ふふふ、今日は思い出に残る素敵な誕生日になったわ♪」

善子「思い出……」

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鞠莉『女の子が喜ぶことといえば、もちろん抱いてあげることね♪』

鞠莉『きっと素敵な誕生日の思い出になるわよ♪』

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善子「……」

善子「ねぇ、リリー……」

梨子「何、よっちゃん?」

善子「パパとママは今日も家にいないの……」

善子「今度は前のように失敗しないわ……」

善子「だから……」

善子「今夜はリリーと二人っきりの夜を過ごしたい///」ドキドキ

梨子「///」

善子「だ、駄目かしら///」ドキドキ

梨子「……いいよ」

梨子「私も今夜はよっちゃんと一緒にいたいな///」


梨子ちゃんの誕生日はまだまだ続く……。


この後、初めて『エロよしりこSS』を書きます。
エロでも大丈夫な方は最後までお付き合いくださると嬉しいです。


それでは、このスレのHTML化を依頼したら、SS速報Rにスレを立てますので、しばらくお待ちください。


SS速報Rにスレを立てました。
タイトルの文字数制限のため、同じタイトルになっています。
18歳以上のみ閲覧してください。

【SS】善子「今日はヨハネの誕生日!」梨子「よっちゃん、お誕生日おめでとう!」
【SS】善子「リリー、お誕生日おめでとう!」梨子「ありがとう、よっちゃん♪」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1474220932/)



すみません、タイトルを間違えました。

【SS】善子「リリー、お誕生日おめでとう!」梨子「ありがとう、よっちゃん♪」
【SS】善子「リリー、お誕生日おめでとう!」梨子「ありがとう、よっちゃん♪」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1474220932/)


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