つれづれと書いていきます。
ちひろ「――うちのプロデューサーは本当に優秀です。」
ちひろ「――スカウトで連れて来た子、連れて来た子、アイドルは瞬く間に売れっ子に化けて、うちの事務所は押しも押されぬ大手になっていきました」
ちひろ「――ですが、時たま謎の外出があるんです。日報にも平日の午後、たまに午前中ですがアイドル発掘という項目を書いているんです」
ちひろ「――少し、気になりますね…。ちょっとその謎を探っていきましょう。」
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ちひろ「しっかし、プロデューサーの机は汚いですね…。整理したらどれだけの書類があるんでしょうか…」
ちひろ「ん?何でしょうか、この茶封筒。『開封厳禁』と書かれてありますが、あけましょう!封もされていませんし」ガサゴソ
ちひろ「こ、これは!」バサバサー
ちひろ「机の上に広がったのは、複数枚の写真です。写っているのは少女。しかも、見たことのない女の子で、小学生ほどの少女です」
ちひろ「な、なんですかこれは!?」
ちひろ「様々な角度から写真が撮られています。校庭でしょうか、友達と遊びながら走る写真。学校で真面目に勉強に励む写真。そして体育着に着替えて体育の授業のものもあります!」
ちひろ「誰ですかこの子…」
ちひろ「プロデューサーは結婚していませんから、子どももいないはず…。親戚の子でしょうか…」
ちひろ「写真の裏に撮られた年まで!――この写真は2年前のですよ!」
ちひろ「…ちょっと待ってください。まだ同じような封筒がありますよ!」バサバサー
ちひろ「な、なんということだ…」
ちひろ「――そこにあったのは、違う少女。歳はやはり小学生です」
ちひろ「も、もしかして…プロデューサーって、ろりこn」ガラッ
モバP「ただ今戻りました。――あれ?ちひろさん。そこで何突っ立てるんですか?書類をお探しですか?」
ちひろ「プロデューサーさん!そこになおれぃ!」
モバP「は?ナンデですか?」
ちひろ「いいから!そこに正座!」
モバP「はあ…。良いですけど…」チョコン
ちひろ「さて、プロデューサーさん。この写真は一体なんですか?」
モバP「ゲ!ちひろさん、あんたそれをどこから!?ってか、開封厳禁の所からですよね!?」
ちひろ「これって、もしかして盗撮ですか…」
モバP「そんなわけないでしょう!これは将来のスカウトの――」
ちひろ「もしもし、早苗さんですか。――ええ。末期のロリコン野郎です。至急来たください」
モバP「早苗さんはまずいですよ!」
ちひろ「あんたのその病気の方がまずいんですよ!しっかり治療をした方が良いですよ」
早苗「ちわー!ロリコン野郎はどこかな?そこにしかいないわね」メキョ
モバP「た、タイム…。俺の弁明を…聞いてくれ…」
ちひろ「どうします?私的にはロリコンに慈悲はないと思うんですが…」
モバP「ちひろ…。てめえ…」
早苗「罪人にも五分の魂…。いいわ、聞いてあげましょう」
モバP「…それは、本当に将来のスカウト候補生なんです…」
ちひろ「本当なんですか?」
早苗「嘘ついたら断罪よ?」
モバP「本当ですよ…。俺は今まで売れっ子を輩出してきた賜物なんですよ…」
早苗「話が良く見えてこないわね…」
モバP「早苗さん。少し動いていいですか?」
早苗「どこ行きたいの?」
モバP「奥の資料棚です。ちひろさんも行きましょう」
ちひろ「これは、今ここで頑張ってるアイドルの資料ですね。そこに何があるんですか?」
モバP「例えば、これですよ。響子のファイルです」パラパラ
ちひろ「あ!」
早苗「これは…。響子ちゃんの12歳の時の写真…。しかも、1枚だけじゃなく数十枚単位…。しかも、13歳、14歳と歳ごとにファイリングされてるわ…」
モバP「写真もそうですが、次のページにスカウティングを書いてるんですよ」
早苗「なになに…。『○月○日五十嵐響子という少女を見つける。誰にでも明るく屈託のない笑顔を向ける。笑顔が好印象』」
ちひろ「もしかして、響子ちゃんって3年前から追っかけていたんですか…」
モバP「そうですよ…」
早苗『○月△日 響子は知らぬ老婆に話しかけられて、戸惑いもせず聞かれたであろう場所を教える。』
早苗『分かりにくかったのか、老婆は首をかしげたが、一緒に行こうと提案。その際、老婆の荷物を持ってあげていた。見ず知らずの他人にも優しく出来る。評価◎』
ちひろ「…ヤバい人ですよ。写真撮って、メモするなんて…」
モバP「ヤバい人になる前に、駐在さんにきちんとこね回してますので…イデデ」
早苗『△月×日 今日は家庭科の調理実習。響子はオムライスを作って周りを驚かせる。どうやら得意らしい。家庭的な趣味は親近感を覚える』
ちひろ「学校にまで堂々入ってるんですか!?捕まりますよ!」
モバP「ですから、教育委員会にも根回し…いっでぇー!」
早苗「そういうのをどこで覚えたのよ?」
モバP「先輩が、やるなら先手を打てって言う言葉を実践しただけですよ…」
早苗「まだまだあるわよ…。『×月××日 卒業。響子は涙を浮かべている。一生懸命合唱曲を披露した』」
ちひろ「アンタは、学校のなんなんですか…」
早苗『201×年 △月○日 中学入学。ブレザー制服も似合っている。制服が似合うアイドルも高評価である』
ちひろ「…次を」
早苗『△月??日 部活入部。家庭研究部入部。得意の手料理に磨きをかけるようだ。△月?×日 美術の時間に特徴的な絵を描く。クラスメートは困惑しきり。こういうアジな部分も受けは良い』
モバP「もう、驚きませんね…」
ちひろ「当たり前のように行っているのは、えげつの無い行為なんですから」
早苗『×月○日 クラスの発表会で高評価を得た弁論は、そのまま市の大会にまで出れるようだ。知的で堂々とした立ち居振る舞いも○』
早苗『?月×日 市の弁論大会は、おしくも勝ちあがれなかった。後は声を張り上げる力が見たい』
早苗『!月?日 体育の授業でダンスをやる。少し苦手なようでリズムがワンテンポずれていた。運動はやはり苦手なのかもしれない』
早苗『△月!!日 中学卒業。声量B 胆力B+ 運動D 性格A 以上の評価により、五十嵐響子は活躍できる可能性あり。翌日よりスカウト活動を開始する』
早苗・ちひろ「…」
モバP「なんで顔を見合わせたんですか…」
ちひろ「対応に苦慮しているんですよ…。本当はロリコン野郎と非難したいんですが…」
早苗「響子ちゃんをしっかり売れてる子にしちゃったからねえ…」
ちひろ「…待ってくださいね。今までスカウトした子たちも、みんなこれ作ってるんですか!?」
モバP「そうですけど何か?」キョトン
ちひろ「!?」
早苗「ちひろちゃん。すごいわよ。本田未央 渋谷凛 水本ゆかり…。他にも15歳でスカウトした子たち中心にファイルがあるわ」
モバP「スカウトの基本ですよ。3年は最低見てますから。一部分だけじゃなく様々な面を見るんです。性格はもちろんですが、他人に対する風当たり、趣味、運動力、声量…。これだけ長い期間を見たら、どうプロデュースしたら良いか手に取るようですからね」
ちひろ「言われてみれば高校生以下の子ってスカウトしないんですね」
モバP「その分、スカウトしていますから。今注目のアイドルは輿水幸子 関裕美 橘ありす 神崎蘭子…」
ちひろ「この写真の子は!?」
モバP「この子は、橘ありすです。大人ぶってますが、テンパると年相応の反応を見せますね。まだスカウティングして間もないので、それ以上のことは…」
早苗「それ以上って、普通に恐ろしいわ…」
早苗「中学卒業したら、すぐにスカウト活動に動くの?」
モバP「いえ。活躍できる道筋が出来た時点で。ですね」
ちひろ「例えば、他の子はどうなんですか?」
早苗「じゃあ、忍ちゃん見てみましょうか」
ちひろ「青森にまで行ってんの!?」
モバP「全国にいますから」
ちひろ・早苗「――こいつはプロ野球のスカウトよりもすごいんちゃうか…」
早苗「あったわ。…やっぱり小学6年生の忍ちゃんの写真があるわ」
早苗「×月△○日 青森の片田舎で標準語で喋ろうとしている子がいた。工藤忍というらしい。たどたどしい標準語ではあるが、使おうと努力している。今後当たってみようと思う」
ちひろ「片田舎って…。まあ、その通りですが…」
早苗「×月△△日 一人、誰もいない空き地で工藤忍が踊っていた。通りがかる人の目もくれずただ一心不乱に。その向上心は今まで見たことがない」
早苗「○月?日 工藤忍は泣いていた。理由を聞いてみると、アイドルになりたいと学校で言ったところ、クラスメートにバカにされたようだ。今後どうなっていくか見物である」
ちひろ「その頃から、忍ちゃんはアイドル目指していたんですね。そしてあんたは青森行きすぎですよ」
モバP「これだけの逸材はそうそういないですって」
早苗「??月!?日 最近姿を見なかったが、この日から練習再開。携帯プレーヤーを鳴らして練習する。その表情は鬼気迫るものだった」
早苗「△月×日 小学校卒業。本当は中央の私立を推薦させて、スカウトをもっと行わせたかったが…」
ちひろ「アンタは一体どこまでコネ持ってるんですか?」
モバP「中央の私立中に推薦枠を2,3ほど」
早苗「…化け物」
早苗「○月○日 中学入学。部活はバスケットらしい。彼女の負けん気ならそっちの方面でも活躍できるだろう」
早苗「×月○日 部活の大会で足首をひねってしまった。部活もだが、ダンスの自主練が出来ないのはかなりつらいだろう。果たしてその期間は何を行うか?」
早苗「×月×日 聞くところによれば、忍は関東のラジオを聞いてイントネーションの勉強をしているとのことだ。志の高さに惚れてしまう」
ちひろ「惚れたのは、志だけですよね?」
モバP「当たり前じゃないですか!それ以外やったらアウトですよ!」
早苗「分かっていればよろしい」ニッコリ
早苗「!!月??日 歌の練習ではポップスの練習をしているらしい。しっかり聞きこんでいるからかかなり上達している。イントネーションもほぼ問題ない」
早苗「201×年 ?月 ここまで見た結果、歌唱力C 運動力B 性格B 志AA 以上から、スカウト活動を開始する。まずは両親からの説得だ」
ちひろ「あれ?スカウトしていたんですか。でも忍ちゃんはオーディション出てましたよね?」
モバP「問題なしであれば、即スカウトで行きたいのですが、忍の両親は最後まで首を縦に振らなかったんです。そこでひとつ宿題としてオーディション合格で折れるとのことでした」
早苗「アンタ、まさか裏で…」
モバP「そんなことありません。本当は無条件でOK出したかったんですが、志望動機で周りを唸らせろと出したんです。しっかり合格しましたよ」
早苗「○月??日 工藤忍中学卒業。高校は中央の私立。金銭面は特待生扱いで感謝される」
ちひろ「プロデューサーさん。高校にもあるんですか?コネ」
モバP「ええ。枠を持ってます。有名にしますから引っ張りだこです」
早苗「プロデューサー、なんて恐ろしい子!」
ちひろ「…すごいですね。愛梨ちゃんのもありますよ。この子も3年間?」
モバP「…愛梨は5年見続けました」
ちひろ「!?早苗さん。写真は?」
早苗「すごいわ…。14歳だっていうのに、正面から見ても分かるふっくら感…逮捕ぉ!」
モバP「ぎゃー!」
ちひろ「?月×日 のんびりしたニコニコ笑顔の少女を見つける。これが常時出来るならすごい素養の持ち主だ。名前は十時愛梨14歳らしい」
早苗「プロデューサー。これはもう完全にアウトじゃない?」
モバP「いやいや、これもスカウティングですから…」
ちひろ「@月××日 体育の運動。予想通りというべきか運動は苦手だ。しかし、周りを釘付けにさせるあの…これは要調査だ」
モバP「締まってる!締まってますよぉ!」
早苗「」ギギギ
ちひろ「×月!@日 愛梨の人物評だが、恐ろしいほどの悪評がない。みんな『愛梨だから』と微笑んでいた。そして脱ぎ癖もあって大変らしい。あの身体でそれをされたら…」
モバP「・・ぇ…。」プラーン
早苗「」ギチギチ
ちひろ「早苗さん!プロデューサーさんが!」
早苗「おっと…。失礼」
ちひろ「○月○?日 音楽の発表ではクラスで平均。運動はやや苦手。おっとり…。スカウトレベルとしては迷いどころだ。と思っていたが、彼女はお菓子作り、特にケーキが得意らしい。エプロン姿で…うん!」
ちひろ「やっぱ締め直してください」
モバP「うぉぉぉ!ちひろぉ!てめえええ!」
早苗「後悔はその時の自分に言いなさい」ギリギリ
ちひろ「××月○○日 愛梨は部活でテニスをしていたらしい…。マジですか…」
早苗「愛梨ちゃんはずっとテニスしてたのか、でも…」
ちひろ「まあ、運動したいっていう気持ちは良いと思いますけどね」
モバP「そう…。そこが良い所なんです…」
早苗「まだいけるか。もうちょい締めるわ」ギギギ
モバP「」
ちひろ「×月○日 愛梨高校入学。この段階でのスカウトは、見送ろう。まだ見極めていきたい。ちなみに、愛梨の評判は同級生はもとより先輩にも良いらしい。どうやら男の先輩も愛梨のお近づきになりたいということらしい。彼らの評判の為に良いとのこと。許さん!」
早苗「許されないのはプロデューサーのほうだからねー」ギリギリ
モバP「」ブクブク
ちひろ「××月△日 愛梨。進路で悩む。調理専門学校もテキパキ動く先輩を見て挫折したようだ。歌唱力D 運動力D 性格A 魅力AAA。ココからスカウト活動に入る」
ちひろ「しっかし、今までにスカウトしてきたアイドルたちは、こうして生まれたんですか…」
早苗「…ほんとにあと数ミリでもずれたら、ロリコンとして豚箱行きだったわ」
ちひろ「そう言えば、赤城みりあちゃんという子のスカウティングノートがありまして…」
モバP「あ!?」
ちひろ「×月♡日 朝、こちらのことは分からず、元気にあいさつをしてくれた。パジャマの上にコートを羽織り、ゴミ出しも元気にやっている。これは要チェックだ」
早苗「やっぱ、お前は豚箱行きだわ」
モバP「んほーーー!」
劇終!
以上、オリPによるやりたかったネタでございました。
広島のスカウトがすごいということを、モバマスに落とし込んでみましたが、難しい…。
ではHTML申請してまいります。
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