西住みほ「シスターズ・ウォー!」 (50)
大洗女子学園 戦車倉庫
桃「戦車道の授業はこれで終了とする」
「「お疲れさまでした」」
沙織「はぁー、つかれたぁー。お風呂いこーよぉ」
華「そうですね。優花里さん、麻子さん、どうですか?」
優花里「もちろん、ご一緒します!!」
麻子「汗かいたしな」
カエサル「隊長、我々も同行していいだろか」
みほ「はい、勿論。みんなで行きましょう」
エルヴィン「ふふ。そう言ってくれると思っていた」
左衛門佐「新しいお風呂用具を使うときがきた! この手拭と湯浴み着!!」
カエサル「古代ローマで愛用された肌かき器だ!!」
エルヴィン「いやいや、やはりドイツ発祥の入浴剤だ」
おりょう「堤磯右衛門印の石鹸ぜよ」
カエサル・エルヴィン・左衛門佐「「それだ!!」」
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大浴場
桂利奈「おっふろー!」テテテッ
あや「わーい!!」テテテッ
梓「こら!! 走らないの!!」
あゆみ「ころんじゃうよー」
優季「梓もあゆみもお姉さんみたぁい」
杏「わーいっ」テテテッ
桃「会長!! 混じらないでください!!」
柚子「危ないですよ」
典子「うわぁー!!!」ズサァァ!!!!
忍「キャプテン!?」
あけび「走るからですよぉ」
妙子「キャプテン、怪我はないですか!?」
みほ「結局、みんなできちゃったね」
ナカジマ「いやぁ、いつもながら賑やかだよねぇ。大洗の大浴場は」
麻子「賑やかすぎる」
華「良いことです」
沙織「ほらー、みんなー。お風呂に入るのはちゃんと体を洗ってからねー」
桂利奈「はぁーい!」
あや「わかりましたー」
沙織「さ、こっちきて。洗ってあげるから」
みほ「……」
優花里「西住殿、私たちは向こうで洗いましょう」
みほ「そうだね」
沙織「じっとしててね」
桂利奈「いつもありがとうございます、沙織先輩!」
沙織「いーの、いーの」ゴシゴシ
杏「かわしまぁー」
桃「はっ!」ゴシゴシ
杏「あー、きもちいー」
カエサル「いつも思っていたが、武部さんは洗い慣れている気がする」
沙織「え? そう?」
左衛門佐「匠だな。湯女の経験があるのか?」
おりょう「それは興味があるぜよ」
沙織「あれかなぁ、妹がいるからかなぁ」
桂利奈「沙織先輩ってお姉ちゃんだったんですか?」
沙織「そうだよー」ゴシゴシ
あや「どーりで! 一緒にいると安心できると思ってたんです!」
沙織「えへへ。そう言われると嬉しいな。よーし、いつもより多く洗っちゃおー!」ゴシゴシ
桂利奈「あははは!! くすぐったいですよぉ!」
みほ「そうだったんだ……」
麻子「知らなかったのか」
優花里「私も初耳です。けど、武部殿が下級生に慕われる理由が分かりました。納得です」
華「妹さんのこと、よく心配されているみたいですよ」
みほ「へー……」
あけび「桂利奈ちゃんはお兄さんがいるんだっけ?」
桂利奈「うん! けど、私はお姉ちゃんが欲しかったなぁ」
あや「だよねー。お兄ちゃんより、お姉ちゃんだよねー」
あゆみ「私はお兄ちゃんが欲しいよ。沙織先輩みたいに優しいお姉ちゃんならいいけど」
典子「わかる!!」
あゆみ「わっ!? 典子先輩!?」
典子「私も兄が欲しかった! 背の高い兄が!!」
あや「えぇー? そうですかぁ?」
桃「私は妹が欲しかったが……」
柚子「弟のこと可愛がってるくせにぃ」
桃「そんなことない!!!」
杏「毎日電話してるじゃん」
桃「そんなこと言わないでください!!!」
あゆみ「河嶋先輩ってお姉さんだったんですか……」
桃「なんだ!? 文句でもあるのか!! 私が姉で何が悪い!!!」
みほ「考えてみれば、これだけの人数がいればお姉ちゃんだったり妹だったりするよね」
華「みほさんも妹、ですね」
みほ「うん」
麻子「それぞれ居ない方を欲しがるんだな」
みどり子「冷泉さんは欲しいって思わないの?」
麻子「そうだな。沙織がいれば食事も目覚ましの心配はないからな」
沙織「私はどういう扱いなのよ!!」
華「わたくし、お兄様かお姉様がいればとよく思います」
みほ「どうして? 華さん、しっかりしてるし、どちらかといえば妹とかいても不思議じゃないけど……」
沙織「華は全然しっかりしてないよ」
華「華道にしても戦車道にしても兄姉が居れば、共に高め合えた気がします。みほさんのように」
みほ「そんな……私は……お姉ちゃんにくっついてただけで……」
優花里「私は妹が欲しかったですね。だったら、できることも多かったのですが」
麻子「何をするんだ?」
優花里「模型戦車による戦闘シミュレーションです!! 一人でするより高度なものになるはずです!」
典子「私も兄がいればバレーボールを教えてもらえたかもしれないのに!!」
忍「キャプテンには私たちがいます!!」
妙子「私たちがお兄さんになります!」
あけび「お姉さんじゃだめなのかな」
典子「やめろ!! 惨めになる!!」
希美「アヒルさんチームはお姉さんよりお姉さんですもんね」
モヨ子「みなさん、スタイルいいですから」
麻子「西住さんも妹や弟が欲しかったと思うことがあるのか」
みほ「ううん。私は思ったことないかな」
ナカジマ「へぇ。珍しいですね。私も弟じゃなくて兄が良かったって思うことがあるのに」
ホシノ「弟いたんだ」
ナカジマ「いるよー」
ツチヤ「初めて聞いた。けど、確かに姉特有の余裕があるよな」
スズキ「うん。それは思う」
ナカジマ「そう? 悪い気はしないけど、年上に見られすぎるのも考えものかな」
杏「お姉ちゃんなのは澤ちゃんもだよね」
梓「は、はい。まぁ、一応……。言うこと、あまり聞いてくれないですけど」
柚子「そんなものじゃないかな? 私の妹と弟も言うことなんて全然、聞かないもの」
桃「私もだ」
優花里「へぇ、小山殿もお姉さんだったのですね」
桂利奈「いいなぁ。小山先輩や沙織先輩がお姉ちゃんだったらよかったぁ」
あや「うん。優しいもんね」
沙織「いやいや。そんなことないよ」
柚子「そうだよ」
優花里「武部殿が姉……。いいですね」
みほ「理想のお姉ちゃん、かもね」
沙織「やだもー!! ゆかりん、みぽりん。あらってあげようか?」
優花里「い、いえ、そこまでは」
カエサル「独り身には辛い話題だな」
おりょう「うむ。ただただ羨ましいかぎりぜよ」
エルヴィン「理想の兄弟とは、一体どういうものなのだろうな」
左衛門佐「徳川家光と保科正之のような兄弟か」
おりょう「岩崎弥太郎と岩崎弥之助」
カエサル「ティベリウス・センプロニウス・グラックスとガイウス・センプロニウス・グラックス」
エルヴィン「やはりヴァルター・ホルテンとライマール・ホルテンだな」
カエサル・おりょう・左衛門佐「「それだ!!」」
みどり子「どれなのよ」
杏「理想ねぇ。武部ちゃんや小山の姉っぷりを見て、西住ちゃんはどう思う?」
みほ「え?」
杏「自分のお姉さんと違いとかってある?」
みほ「違い……。うーん……。沙織さんも小山さんもやっぱり妹や弟のことは気にかけています」
柚子「それはまぁ……」
沙織「気になるなりますよね」
みほ「私のお姉ちゃんも同じ……。厳しいけど、いつも私のことを気にかけてくれていたから……」
あや「西住先輩ってすごいですね。お姉さんのこと本当に尊敬してるんですね。私はお兄ちゃんのこと別に嫌いじゃないけど、そこまで素直にいえないっていうか……」
訂正
>>10
沙織「気になるなりますよね」
↓
沙織「気になりますよね」
桂利奈「わたしもぉ。心の底から尊敬できてたら、もっと素直に好きだよーとかいえるのになぁ」
みほ「わ、私も別に面と向かって好きとかは言えないよ!?」
桃「言われたい……」
柚子「桃ちゃん、ノーコンでブラコン……?」
桃「ノーコンは余計だ!!!」
ねこにゃー「もしボクに兄妹がいたら……。一晩中、ネトゲしてるかも……」
ももがー「ソシャゲのマルチプレイも捗るぞな!」
ぴよたん「すごい!! 今と何一つ変わらないっちゃ!!」
桃「お前たちは兄妹を何だと思っている」
優花里「一日でいいから、兄妹のいる生活をしてみたいですね」
華「共感できます。所詮、無い物ねだりではあるのですが」
麻子「兄妹か……。未知の世界だな」
みほ「そんなに羨ましいのかな」
沙織「こればっかりはどんな感じなのか居ないとわかんないもんね」
杏「なるほどねぇ……」
数日後 大洗女子学園
沙織「それでさぁ、そこの店員にね、今晩どう?なんてナンパされちゃってぇ」
華「ただの客引きだったと思いますけど。それに正確には、今晩は洋服が大特価と言っていただけです」
沙織「誘われたのはホントだもん!!」
みほ「沙織さんはいつも誘われてるよね」
沙織「あぁ……みぽりんの何気ない毒が……」
優花里「うーむ……」
麻子「……」
みほ「優花里さん、麻子さん」
優花里「みなさん! おはようございます!」
沙織「珍しいわね。麻子が遅刻ギリギリじゃないなんて」
麻子「今日はそど子にたたき起こされた」
沙織「だから家に行った時にはもう居なかったんだ」
華「お二人で何をしていたのですか」
優花里「このポスターを見ていました。興味深い催しがあるみたいなので」
みほ「催し……」
華「えーと……。集え、姉、妹たち」
沙織「なにこれ?」
麻子「なんでも大洗に姉と妹を集めるらしい」
みほ「な、なんのために……」
優花里「会長の提案ですからね。意味はあんまりないと思います」
麻子「ただ面白いと思ったことを実行に移すだけだ」
みほ「相変わらずの行動力だね……」
華「理想の姉、妹が欲しいなら実力で手に入れろ……ですか」
優花里「説明文を読む限りでは、どうやらお互いに気に入った者同士で姉妹を作り、一日過ごすというイベントらしいです」
華「まぁ。素敵ですわ」
みほ「ええと、それって後輩を妹にするってことかな」
優花里「だと思います。2年の私たちはどちらにもなれますが、1年生は妹、3年生は姉で固定でしょうね」
麻子「ふーん」
沙織「麻子はどっちになりたいの?」
麻子「どっちでもいい」
沙織「お姉ちゃんになりたいとみた!!」
麻子「勝手に決めるな」
華「わたしく、是非とも妹になりたいですわ」
みほ「華さんのお姉さんになりたいって子、多そうだけど」
華「それは光栄ですけど、やはり妹になりたいです」
優花里「私はお姉ちゃんって呼ばれたいですねぇ。できれば、戦車に詳しい子がいいですけど、高望みはしません!」
沙織「お姉さんになってくれる人、いるかなぁ」
みほ「沙織さんは妹になりたいんだ……」
沙織「ま、やっぱりなれないほうがよくない?」
みほ「そう……かな……。私は妹でも……」
華「いつ開催するのでしょうか」
優花里「ええと、2週間後ですね」
華「待ち遠しいです」
みほ(それにしても大洗に集めるってどういうことだろう……。まるで他所からも募集してるような書き方だけど……)
生徒会室
桃「通達は完了しました」
杏「あんがと。これで待つだけだな」
柚子「想像以上の規模になりそうなんですけど……」
杏「まぁ、いいんじゃない? 戦車道優勝校なんだから」
柚子「あまり関係ないような……」
杏「いやー、どんな姉妹ができるのか楽しみだねぇ」
桃「会長はどちらになりたいのでしょうか?」
杏「そうだなぁ。カッコいいお姉さんがいれば妹、可愛い妹がいれば姉かな」
桃「どちらもあり得ると」
杏「まぁね」
桃「……」
柚子「桃ちゃんって、シスコンでブラコンでノーコン……」
桃「ノーコンっていうな!!!」
杏「さーて、いそがしくなるぞー」
当日 大洗女子学園
みどり子「よいっしょっと。看板はこれでいいわね。全く。こんなイベントにどんな意味があるのかしら。風紀が無駄に乱れるだけよね」
希美「そど子はどっちがいいの?」
みどり子「どっちでもいいわよ。風紀が乱れなければね」
モヨ子「姉が良さそう」
みどり子「どっちでもいいの!!!」
麻子「朝からうるさいな」
みどり子「冷泉さん……!?」
麻子「どうした?」
みどり子「別に。遅刻してないのが珍しかっただけよ」
麻子「今日は授業がないからな」
みどり子「遊ぶときだけは早起きなの……?」
ケイ「グッモーニン!!!」
みどり子「え?」
ケイ「イエーイ!! エブリデイをエンジョイしてる!?」
みどり子「ケイさん!? なんで大洗に!?」
ケイ「ん? ギャラクシーでフライトして、ここへは朝一に着いたわよ?」
みどり子「いや、そうじゃなくて。何か御用ですか?」
ケイ「ご挨拶ね。そっちから誘ったくせに」
みどり子「はい?」
モヨ子「どういうことですか」
アリサ「これが2週間前に届いたわよ」ペラッ
麻子「おぉ……」
ナオミ「イベントの招待券付きだったわ。私たちのボスが無類のイベント好きなことを知って、送ってきたんでしょう」
希美「会長なのよ、そど子」
モヨ子「間違いないわ」
みどり子「でしょうね……」
麻子「サンダースだけだとは思えないな」
みどり子「え?」
麻子「大変だな、そど子。他校の生徒が多いと、風紀はより乱れやすくなるぞ」
ケイ「よーし!! 私のお姉ちゃんになってくれる人を探すわよー!!」
アリサ「えぇぇ!?」
ケイ「なに? 文句あるの?」
アリサ「い、いえ、隊長は絶対に姉が似あうと思うので……」
ナオミ「隊長には弟と妹がいるから自分が妹になりたいと思うのは無理もないんじゃない」
アリサ「そ、そうなのですか……」
ケイ「ナオミはやっぱり、姉がいいの?」
ナオミ「そうですね。姉がどういう気分で私を見ていたのか、気になります」
ケイ「良い子がみつかるといいわねー」
アリサ「隊長は姉狙いかぁ……」
みほ「あれ!? ケイさん!?」
ケイ「ミホー!! グッモーニン!!」ギュゥゥ
みほ「わぁぁ!?」
ケイ「そだ、ミホのことお姉ちゃんって呼んでもいい?」
みほ「え!?」
通学路
沙織「でさ、そこのスタッフがぁ」
華「また沙織さんの勘違いなのでは?」
沙織「一応、最後まで聞いてよ!!」
典子「うわぁぁぁ!!!」
沙織「え……?」
華「磯辺さん?」
典子「五十鈴さん!! 武部さん!! 助けてください!!」
沙織「なになに!? どうしたの!?」
典子「お、追われていて……!!」
華「変質者ですか」
沙織「ケーサツいこー!! こーばんはあっちだよー!!」
典子「いえ、変質者というわけではな――」
ノンナ「失礼ですね。ただ、交渉をしようとしただけですよ、典子さん」
沙織「ノンナさん!? なにしてるんですか!?」
通学路
優花里「今日は例のイベント……。私としては妹でも姉でもいいけど……」
「だったら、良い姉がここにいるわよ」
優花里「え……?」
「感謝しなさい。特別に貴方の姉になってあげてもいいわよ」
優花里「ええと……どこから声が……」
「こっちよ!!!」
優花里「へ?」
カチューシャ「何よ!! バカにしてるの!? 私が小さいからって見下さないでちょうだい!!」
優花里「カチューシャ殿!? おはようございます!!」
カチューシャ「おはよう。それより今、聞いちゃったわよ」
優花里「何をでしょうか?」
カチューシャ「姉が欲しいんでしょ?」
優花里「い、いえ、どちらでも……」
カチューシャ「しょーがないわねー。私はシベリアの雪山のごとく大きな心をもっているから、特別に、ほんとーに特別に姉と呼ばれてあげるわ。ほら、呼んでみなさい」
大洗女子学園 校舎内
あや「なんか賑わってる」
あゆみ「すごいイベントになりそう」
優季「どの人の妹になろうかなぁ」
桂利奈「沙織おねえちゃんがほしーなぁ」
梓「1年だし、やっぱりみんな妹になるんだよね」
紗希「……」
桂利奈「沙希ちゃん、どうしたの?」
紗希「お姉ちゃん」
あゆみ「え?」
まほ「こっちではないか」
梓「まほさんだ!」
まほ「ウサギチームの……」
あや「どーしたんですかぁ!? 敵情視察ってやつですか!?」
まほ「いや、招待された。丁度よかった。集合場所である生徒会室に行きたいのだが、道案内を頼めるか」
校門
ケイ「えー? ダメなの?」
みほ「すみません。ケイさんにお姉ちゃんって呼ばれるのは……うれしいですけど……」
ケイ「そっか。なら、違う子にたのんじゃおーっと」
ナオミ「悪かったわね。隊長、かなり盛り上がってるから」
みほ「いえ。それにしてもケイさんたちが来るなんて、知りませんでした」
アリサ「他の学校からも来ているみたいよ」
みほ「他の……?」
ナオミ「そういえばあの黒森峰から参加者がいたのは驚いた」
みほ「黒森峰!?」
アリサ「あのお堅い学校がどうしてこんな戦車道とカケラも関係ないイベントに参加しているんでしょうね」
ナオミ「招待券が届いたんじゃない」
みほ「お姉ちゃんが、まほさんがいるんですか?」
アリサ「いたわよ。あと、逸見もね」
みほ(探してみよう……)
校舎内
みほ(お姉ちゃん、どこに……)
「生徒会室で説明会があると聞いている」
みほ「あ……」
みほ(お姉ちゃん――)
梓「へえ、このイベントのことですか」
まほ「だろうな」
あや「会長もちゃんと説明するんだ」
あゆみ「やっぱり黒森峰の隊長ともなるとVIP扱いになるんじゃない?」
桂利奈「VIPお姉ちゃんだー」
紗希「お姉ちゃん」
まほ「その、案内してくれるのはありがたいがまだ姉と言うのは早いだろう」
優季「えぇー? もう始まってるんじゃないんですかぁ、おねえちゃんっ」
まほ「そうだったのか」
みほ(お姉ちゃん……もうあんなに妹が……。そうだよね……お姉ちゃん、かっこいいし……)
エリカ「みほ」
みほ「うわぁ!?」
エリカ「何よ。そんなに驚くことないじゃない」
みほ「あ、ごめんなさい。エリカさん……」
エリカ「む……。隊長、もうあんなに妹を……」
みほ「みたい……」
エリカ「流石ね。隊長からあふれ出るカリスマが年下を引き寄せる」
みほ「……」
エリカ「どうかしたの?」
みほ「え? ううん。別に」
エリカ「そう」
みほ「エリカさんも参加するんだ」
エリカ「興味なんてないけど、隊長が参加するから仕方なくね」
みほ「やっぱり妹を探してるの?」
エリカ「やっぱりってなによ!?」
生徒会室
あや「ここでーす!!」
まほ「ここか」
優季「ここで待っていればいいですかぁ、おねえちゃぁん」
桂利奈「おねえちゃーん!!」
まほ「や、やめてくれ」
あゆみ「まほさん、照れてるぅ」
優季「かわいぃ」
まほ「うぅ……」
梓「こら!! 先輩になんてこというの!! すみません、まほ先輩!!」
まほ「気にしないでくれ」
梓「でも……」
まほ「ここまで案内してくれてありがとう。これだけ素直で元気のある後輩に囲まれているみほは幸せ者だな」
梓「そ、そんな……わたしたちは……」
まほ「君たちのような妹は私には勿体ない。妹には優しくはできない、出来の悪い姉だからな」
生徒会室
桃「お見えになりました」
杏「やっほー、西住ちゃんのお姉ちゃん。いやー、説明会に参加する人がゼロかと思ってた」
まほ「他の者は? サンダースやプラウダも参加しているようだったが」
桃「招待状に書いていたはずだ。説明会は自由参加だと。故に説明会の参加者は貴方が初めてだ」
まほ「自由……? いや、ルール説明は必要だろう」
杏「まぁ、一応ね。けど、招待状に殆どルール書いてるし」
まほ「好きな姉、妹を作れとしか書いてないが」
杏「そのとーり!! 以上!!」
まほ「……」
柚子「イベントなのでルール説明の時間は設けてあるんですけど、分かりやすいから別に必須じゃなくてもいいかって会長が……」
まほ「だからとルール説明を無視してもいいのか……」
杏「真面目だねぇ。そうだ。私のお姉ちゃんになってくれない?」
まほ「嬉しい申し出だが断らせてもらう。即決していいことではないだろうからな」
杏「ホントまじめだねぇ」
校庭
アンチョビ「ルールの説明会は行かなくても良かったのか」
ペパロニ「自由参加っすから、いいんじゃないっすか」
アンチョビ「いいのかなぁ」
ペパロニ「本当に説明が必要なら放送で説明するんじゃないっすか」
アンチョビ「それもそうか」
ペパロニ「だから、説明なんていらねえっすよ、姉さん!!」
アンチョビ「うむ。その通りだな」
カルパッチョ「説明はちゃんと受けたほうが……」
ペパロニ「つっても、姉か妹を捜すだけだろ。ルールなんてあってないようなもんだ」
カルパッチョ「まぁ、そうでしょうけど」
ペパロニ「んじゃ、あたしの姉貴分でもさがすかぁ!!」
アンチョビ「ふっ。そうか。なら、もう間に合っているな」キリッ
ペパロニ「どこかにいるかなぁ。甘やかしてくれる姉さんはー」
アンチョビ「おい!! どこにいく!! こらぁ!!!」
優花里「あの、もう少し考えてからでいいでしょうか」
カチューシャ「なによ!! 私じゃ不満なの!?」
優花里「そういうわけでは……」
カチューシャ「だったらいいじゃない。ほら、お姉様と呼びなさい」
優花里「どうしよう……」
「こんな格言を知ってる?」
優花里「はい?」
ダージリン「世の中には勝利よりももっと勝ち誇るに足る敗北があるものだ」
優花里「ダージリン殿、おはようございます」
ダージリン「ごきげんよう。秋山さん。察するところを見るに、秋山さんは妹を欲しているようね。カチューシャを頑なに拒否しているはそれしかないわ」
優花里「え? いえ、そういうわけでは……」
ダージリン「構いませんことよ。わたくしを、妹としても」ズズッ
優花里「えぇ!?」
カチューシャ「あら、ダージリン。誰も相手にしてくれないからって、横取りするのはやめてもらえるかしら?」
ダージリン「カチューシャこそ、連戦連敗を繰り返した末、最も汲み易い秋山さんを標的にしただけでしょう?」
訂正
>>32
ダージリン「ごきげんよう。秋山さん。察するところを見るに、秋山さんは妹を欲しているようね。カチューシャを頑なに拒否しているはそれしかないわ」
↓
ダージリン「ごきげんよう。秋山さん。見たところ、秋山さんは妹を欲しているようね。カチューシャを頑なに拒否しているはそれしかないわ」
優花里「あ、あの! お二人ともやめてください!!」
ケイ「ストーップ!!!」
カチューシャ「ひっ」ビクッ
ダージリン「ケイさん? 何か御用かしら」
ケイ「ユカリが困ってるじゃない。クールになりなさい」
カチューシャ「私は熱くなってないわ。いつでも雪原みたいに冷静よ」
ダージリン「わたくしもよ。ただ、カチューシャがあまりにも秋山さんを困らせていたようだったから」
カチューシャ「ふんっ。ダージリン、あなただって誰も相手にしてくれないから優花里に手を出そうとしただけでしょ」
ダージリン「勘違いしないで。わたくしのことをお姉様と呼びたいと願う人は無数にいるわ」
カチューシャ「私だって、カチューシャを妹にしたいって言ってくれる人はわんさかいるわ」
優花里「羨ましい限りです」
ダージリン「けれど、それではダメなのよ」
カチューシャ「そう。カチューシャはね、18歳。もう立派なお姉さんなのよ? 妹なんてもってのほかよ!!」
ダージリン「わたくしも常日頃から誰かに頼られ、甘えられる。嬉しく思いますが、わたくしもときには頼りたい、甘えたいの」ズズッ
ケイ「わかるわ。よーくわかる。実はいうと私もお姉ちゃんを探してるんだけど、私の妹になりたいって子ばっかりで困ってたのよね」
優花里「まぁ、ケイ殿はお姉さんがとても似合いますよね」
ケイ「というわけで、ユーカリ!」ギュッ
優花里「へ!?」
ケイ「私のお姉ちゃんになってくれない?」
優花里「わたしがでありますか!?」
ケイ「一緒に戦車の模型でプレイしましょ、マイシスター」
優花里「あうぅ」
カチューシャ「待ちなさいよ」
ダージリン「ケイさん。戦車道を嗜む乙女には相応しくない行動ですわね」
ケイ「何かプロブレムでもあるの?」
カチューシャ「私が最初に目を付けたのよ? 優花里は私の妹になるの!」
ダージリン「いいえ。わたくしの姉ですわ」
ケイ「まぁまぁ、それじゃあここは優花里の気持ちを聞いてみましょう?」
カチューシャ「そうね。優花里、誰がいいの?」
優花里「あ、ええと……私が選ぶなんて……恐縮してしまいます……」
オレンジペコ「見てください、お姉様。あそこでダージリン様たちが揉めていらっしゃいますよ」
ナオミ「私の隊長もいるな。やはり、隊長が誰かの妹になることはできないのかもしれないな」
オレンジペコ「御可愛そうです……ケイ様……」
ナオミ「それより、ペコ。ランチは何がいい?」
オレンジペコ「お姉様の好きなもので構いませんよ?」
ナオミ「ふふ。可愛いやつめ」
ケイ「ナオミ……。見せつけてくれるじゃない……!!」
ダージリン「ペコのように甘えたい……」
優花里「あの。提案があるのですが」
カチューシャ「お姉ちゃんになんでもいってみなさい」
優花里「カチューシャ殿がお姉さんで、ダージリン殿かケイ殿が妹になれば解決しませんか」
ダージリン「ご冗談を」
ケイ「カチューシャはどう見ても妹か娘じゃない」
カチューシャ「あー!? カチューシャをバカにしたわね!!! 粛清してやる!!!」
優花里(あぁ……どうしよう……カチューシャ殿は妹にしたいし、ダージリン殿とケイ殿はお姉さんにしたい……)
沙織「もう始まってたんだ……」
華「出遅れましたね。早く探さなければ……!」
ノンナ「典子さん。私が姉では不満ですか」
典子「不満じゃありませんけど、私は兄がいいんです。背の高い兄が」
ノンナ「姉では嫌だと」
典子「はい」
沙織「それじゃあ、妹のほうがいいんだ」
典子「いえ。私は妹のままでいいです」
ノリコ「よくわかりませんね。姉はいらないけれど、兄は欲しいと」
典子「私は、妹のほうがいいんです」
沙織「そうなんだ。ん? のりりんって、妹なの?」
典子「そうですよ」
ノリコ「分かりました。姉がいるのですね」
典子「いえ。いませんけど」
華「あそこにいるのは……!」
>>43
酷い名前ミスしてた訂正
沙織「もう始まってたんだ……」
華「出遅れましたね。早く探さなければ……!」
ノンナ「典子さん。私が姉では不満ですか」
典子「不満じゃありませんけど、私は兄がいいんです。背の高い兄が」
ノンナ「姉では嫌だと」
典子「はい」
沙織「それじゃあ、妹のほうがいいんだ」
典子「いえ。私は妹のままでいいです」
ノンナ「よくわかりませんね。姉はいらないけれど、兄は欲しいと」
典子「私は、妹のほうがいいんです」
沙織「そうなんだ。ん? のりりんって、妹なの?」
典子「そうですよ」
ノンナ「分かりました。姉がいるのですね」
典子「いえ。いませんけど」
華「あそこにいるのは……!」
華「――待ってください!!!」
優花里「五十鈴殿!?」
華「はぁ……はぁ……。よかった……もう始まっていたから、間に合わないかと思いました……」
ダージリン「五十鈴さん、まさか貴方も秋山さんを……」
優花里「えぇぇぇ!?」
ケイ「渡さないわよ」
カチューシャ「まずはカチューシャをたおしてからに――」
華「ケイさん!!」
ケイ「は、はい!」
華「ケイさんのことをお姉様とお呼びしてもよろしいでしょうか!?」
ケイ「ホワット!?」
華「ずっと思っていました。ケイさんの向日葵のように大きく全ての人を魅了する心。百合のごとき美しさ。されど強く逞しい貴方は日々草を体現している」
ケイ「ハナ……?」
華「わたくし!! ケイさんを実姉と慕うことができれば、更なる高みへと行けそうな気がするのです!! ですから、お姉様とお呼びしてもよろしいですか!? お姉様!!」
ケイ「お、おーけー!! おーけー!! だからそんなに迫ってこないで!!」
華「嬉しいです、お姉様……」ギュッ
ケイ「はぁ……」
華「お姉様はどんな花がお好きですか」
ケイ「ええと、そうねえ。アメリカンブルーは好きよ」
華「まぁ。花言葉はふたりの絆。そこまでわたくしのことを……」
ケイ「えぇ!?」
華「お姉様、今日一日、よろしくお願いします」
ケイ「まぁ、いいけど」
沙織「華……ケイさんのこと狙ってたんだ……」
ノンナ「意外ですね」
典子「五十鈴さんが更に分からなくなりました」
カチューシャ「ふふふ。一人脱落したわね」
ダージリン「やはりケイさんはお姉様がよくお似合いね」
沙織「で、ゆかりんはなにしてるの?」
優花里「それがですねぇ……」
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