穂乃果「忘れさせないよ」 (19)
ことり誕生日遅刻SS
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「ごめん……」
「」
「ごめんなさい……」
「」
「私……、穂乃果ちゃんのこと、そういう目で見れない……」
「」
そっか。
なんだ、そうなんだ。
私の想いは、届かないんだ。
でも。
この想いは、絶対。
………………。
◆
「今日はことりの誕生日ですし、練習はありません。しかし、明日からはみっちりやっていきますからね」
「えぇ~」
「海未ちゃんの鬼~」
「なんですかそんなに練習が好きなんですか。それなら希と凛の練習メニューは二倍にしましょうか」
「「ごめんなさい!」」
「分かればいいのです。……穂乃果?」
「……ぇっ、な、なに海未ちゃん」
「今ぼーっとしていませんでしたか? どこか体調でも……」
「あ、うん、大丈夫。大丈夫だから」
「……? そうですか?」
「……穂乃果ちゃん」
◆
「よーし、じゃあラーメン食べに行くにゃー!」
「り、凛ちゃん」
「食べ過ぎじゃない?」
「食べた分、きっちり運動して燃焼するなら、いいですよ」
「珍しい。海未が優しい」
「完璧に交換条件じゃない」
「じゃあ、ウチはこれからバイトやし、この辺で」
「ええ。また明日」
「また明日ー」
「……」
「穂乃果? やはり体調が……」
「だいじょーぶだよ。あっ、ちょっと私、買いたいものあるから、行くね」
「は、はぁ……」
「……穂乃果ちゃん」
「今日の穂乃果、なんか暗かったわね」
「海未、穂乃果になにかあったの?」
「……分かりません」
「そう……」
「ただ……、変わったのは、昼休みが終わってからです」
「へぇ……」
「5限目には遅れてきて……少し暗かったかと思います」
「遅れてきた?」
「はい。5分程ですが……」
「じゃあ、昼休みに」
「なにかあったってことよね」
「そう考えるのが自然ですね」
「……穂乃果ちゃん、私……」
◆
暗くなりかけた道を歩む。
一歩一歩、踏みしめて。
思ったより時間かかっちゃったな。
でも、好都合。
後はメールを書いて……。
体を前に出すだけ。
そして、送った。
何かがぶつかる音を聞きながら。
◆
「……はい、園田です」
「……………………」
「…………え」
「穂乃果が……?」
目の前が真っ白になった。
◆
「穂乃果ちゃん……」
「穂乃果……」
穂乃果が交通事故に遭って緊急搬送されてきた。
赤信号を飛び出したという。
そんなバカな。いくら穂乃果でもそんなことはやらない筈だ。
しかし現に、穂乃果は緊急手術中。
いったいどうしたっていうの……。
「あ!」
ランプが消える。
手術が終わった…………?
中から医者が出てくる。
「手術は無事成功しました。直に目を覚ますでしょう」
その言葉に安堵した。
ただひとりを除いては。
「安心したら喉渇いちゃった」
「まったく、凛ったら」
「ごめんなさい、私も……」
「一階に自販機あるわよ」
「じゃあ、買いに行かへん?」
「んー、行きましょうか」
「ことりは、穂乃果についていてください」
「あっ……うん」
「……」
「……穂乃果ちゃん」
穏やかな顔で眠っているようで、事故に遭っただなんてとても考えられない。
「何時間ぶりだろ」
こうして穂乃果ちゃんの顔をしっかり見ることができるのは。
そんな風に考えていたとき、
「……あれ?」
ふと携帯が光っていることに気がついた。
慌ててたから、見えてなかったのかも。
「メールだ……」
「!」
「穂乃果ちゃんから……?」
穂乃果ちゃんが事故に遭ったという時間と同じ?
その文面は……。
『忘れさせないよ。』
「っ!」
ぞくっと嫌な寒気を感じた。
忘れさせない? 何を?
「あれ……まだ下に何か……」
スクロールしていくと、URL? が出てきて、それで終わっていた。
何の気なしに開く。
『空白のページ』
というブログが表示された。
穂乃果ちゃんはなんでこれを……?
そう思いながら、最新のページを開いた。
そこには、
『忘れさせないよ。』
とあった。
その瞬間、穂乃果ちゃんの顔がページに映し出された。
そして、穂乃果ちゃんが暴れだした。
すぐにナースコールをしたけど、間に合わなかった。
穂乃果ちゃんは、私の前で、
穂乃果ちゃん……。
どうして……?
おわり
ちょっと予定かわりました
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