八幡「川崎と付き合ったけど…」 (59)
3年 教室
ガラガラ
八幡「……」
結衣「…あ、ヒッキー…」
八幡「…おう」
結衣「う、うん…」
八幡「……」(最近こんな感じが続いてるな)
三浦「結衣~~、お昼だけどさ~」
結衣「あ、優美子?」
三浦「文化祭のバンドのことだけど」
結衣「あ、うん。今行くね」
スタスタ
八幡「…ま、こんなもんか」
八幡「3年の夏休みも終了したよなそういえば…」
戸塚「おはよ、八幡」
八幡「戸塚か、ういっす。今日も一日頑張れそうだ」
戸塚「あはは、ありがとう」
戸塚「そう言えばさ」
八幡「ん?
戸塚「八幡ってさ、夏けっこう遊んでたの?」
八幡「なんでそう思うんだ?」
戸塚「だって、大分肌が焼けた跡があるよ?」
八幡「今年の夏は…予備校行ってたのが多いけどな」
戸塚「でもそれだけじゃないよね?」
八幡「……」
戸塚「彼女と遊んでたんでしょ?」
八幡「…やめてくれ」
戸塚「別にいいじゃない、みんな知ってることだよ?」
八幡「目立つのは好きじゃないんだよ、わかってるだろ」
戸塚「そうだったね、でも恋人作るなんて普通だしさ」
八幡「俺に限っていえば、かなり特殊だろ」
戸塚「そうかな?八幡頑張ってるの知ってるし」
戸塚「そういうの見てる人は惹かれると思うよ?」
八幡「…あいつもそうだってことか?」
戸塚「だと思うよ、それは八幡の方が詳しいでしょ?」
八幡「かわなんとかさんと俺が
八幡「かわなんとかさんと俺がね…未だに信じられん」
戸塚「夏の間に急接近だったんでしょ?」
八幡「まあ…俺の妹とあいつの弟のことで騒動があってな…」
戸塚「家族ぐるみの付き合いしてるんだね」
八幡「人聞き悪すぎだろ…で、なんか知らんがみんなでプールに行くことになって…」
戸塚「気が合うんだね」
八幡「違うぞ戸塚、それは違う」
戸塚「いやでもさ…」
八幡「ぼっちの俺と気が合う奴なんか存在しない」
戸塚「川崎さんも一匹オオカミみたいな気質あるけど?」
八幡「それはそうだが」
戸塚「彼女も八幡と同じで家族想いなんでしょ?」
八幡「まあ、そういうところはあるか」
戸塚「ほら、似たもの同士じゃない」
八幡「…」
戸塚「素直になったらいいんじゃないかな?」
八幡「…」
戸塚「第一付き合ってるんだから、素直になるもなにもないよね?」
八幡「これでも、かなり素直になってるつもりだけどな」
戸塚「まあ、じゃないと付き合ったりしないよね、八幡の性格的に」
八幡「まあな」
戸塚「でもさ、驚いたのも事実だよ。僕だけじゃなくてみんながさ」
八幡「正直干渉されるのは困るんだけどな」
戸塚「ごめんね…」
八幡「いや、戸塚に言ってるんじゃねぇけど」
八幡「全く事情も知らんモブの連中にな」
戸塚「そうだね、勝手に話を誇張されたくはないよね」
八幡「おう、そういうこと」
八幡(受験を控えたこの夏に川崎と俺が付き合うことになった)
八幡(ただそれだけの話)
八幡(でも、意外な程に話はそれだけじゃすまなかった…)
八幡(その話は、夏休みから明けにかけて身近な連中に行きわたったみたいだが)
八幡(喜んでくれたのが小町と戸塚だけという…)
八幡(いや、別に喜んでくれるなんてのは期待してなかったし、色々あるとはおもったが)
八幡(特に雪ノ下と由比ヶ浜の反応は…)
八幡「もっとこう「セクハラ行為ね、比企谷くん」とかいう罵倒が来ると思ってたけどな」
戸塚「雪ノ下さんが言いそうな台詞だね」
八幡「由比ヶ浜もな…キモイ発言連発するかと思ったが」
戸塚「実際は違ったんだね、想像できるけど」
八幡「想像できるのか?」
戸塚「もちろん、君たちの仲がそれだけ深いっていう証明だったね」
八幡(二人ともなにも言わなかった…「そうなんだ、沙希と」由比ヶ浜はそう言ってたか)
八幡「その日から、そんな調子だなお互いに」
戸塚「奉仕部には行ってるの?」
八幡「ああ、でも…ほとんど話さなくなったな…あれから」
戸塚「た、大変だね…それは」
八幡「はあ、どうするかね」
三浦「えっと、このギターで…曲はこんな感じかな~」
結衣「そっか、今流行りの曲だね」
葉山「優美子、ちょっといいかな?」
三浦「あ、隼人?ちょっと行ってくるね、結衣」
結衣「あ、うん」
葉山「結衣の調子はどうかな?」
三浦「う~ん、あんま良くないかも…相当へこんでる感じ」
葉山「文化祭の出し物、行けそうかな?」
三浦「わかんない、最悪代役立てるかも」
葉山「そうか…」
三浦「…」
結衣「この衣装ってさどうしたの?」
海老名「あ~これはね~、サキサキの御手製で…」
結衣「…え?」
海老名「…あっ」
三浦「姫菜…!アホ…!」
結衣「…そっか、そうだよね。沙希って器用だもんね」
海老名「あ、あはははは~~?」
三浦「いや、もう遅いし」
海老名「あ、優美子?葉山くんとはもういいの?」
三浦「いいから、ちょっと来るし」
海老名「え?なになに?」
スタスタ
三浦「結衣の前で名前出すとか何考えてんの?」
海老名「いや~、ごめん…気を付けてたんだけどさ」
三浦「あ~、もう…!」
海老名「でもさ、ずっとこのままってわけにもいかないよ?」
三浦「わかってっけど」
海老名「結衣も元気だしてもらわないと」
三浦「うん、まあそうだけど」
葉山「どうするつもりかな、比企谷は」
三浦「…これも全部、結衣を捨てたあいつのせいだし」
葉山「いや、それは違うだろ?」
三浦「隼人…」
葉山「比企谷は彼なりに、結衣のことを大切に思ってたさ」
三浦「それは…そうかもしれないけど」
葉山「ただ、結衣以上に大切な存在ができただけさ、おそらくね」
三浦「でもヒキオが結衣傷つけたのは一緒だし」
葉山「それはこれからの問題だろ?彼がどう動くのか」
葉山「それを見てからでも遅くないさ」
三浦「……」
海老名「でもさ優美子」
三浦「なに?」
海老名「ヒキタニ君と結衣が付き合ってもいいって思ってたの?」
三浦「誰もそんなこと言ってないし」
海老名「なんかそういう風に聞こえたけど」
三浦「耳鼻科いけば」
葉山「しかし彼は、結衣以外にも雪ノ下さんも振ってるしね…罪な男だな」
三浦「つーか、あんな美人二人がヒキオに惹かれるとかありえないし」
海老名「いやー驚いちゃうよね?ヒキタニ君何気にやるよね~」
海老名「で、サキサキ手に入れちゃうし、サキサキも美人だし?」
三浦「はあ?なにいってんの?あんな奴より結衣のが10倍可愛いし」
三浦「ヒキオの奴見る目無さ過ぎ、マジ死ね」
海老名「まあ、外見の感想は人それぞれだしね」
お昼
八幡「昼か、どうするかな」
川崎「ねえ、比企谷」
八幡「あ、川崎…」
川崎「あのさ…」
八幡「なんだ?」
川崎「お弁当…作ってきたんだけど…」
八幡「マジか…」
川崎「どっかで食べない?別に誰とも約束してないでしょ?」
八幡「おう、そうするか」
生徒会室
いろは「戸部先輩、荷物こっちに持ってきてくださ~い」
戸部「いろはす、相変わらず人使い荒いわ~さすがだわ~」
いろは「なにか言いました?」
戸部「いや、べ、別に?」
いろは「こっちですこっち」
戸部「はいはい、よっこらしょ」
いろは「はい、お疲れ様です。これで終わりですかね」
戸部「いや~大変だったわ…しんどい」
いろは「……」
戸部「どしたん?いろはす?」
いろは「先輩だ…」
戸部「え?どこどこ?あ~本当だ」
いろは「川崎先輩ですよね、隣の人って」
戸部「そうだね、見せつけるな~ヒキタニ君。やるわ~」
いろは「…ちょっと驚きましたけどね」
戸部「ん?なにが?」
いろは「先輩が川崎先輩と付き合うなんて」
戸部「え、そうなん?なんとなく似通ってる雰囲気はあったっぽいというか」
戸部「そういう意味ではお似合いじゃん?」
いろは「雪ノ下先輩でも結衣先輩でもないなんて、びっくりですよ」
戸部「あ…それね。なんかややこしくなってるみたいだしね」
いろは「どうなるんですかね…」
川崎「これなんだけど」
八幡「一個しかねぇじゃん、弁当」
川崎「いや、事前に言わなかったしさ。あんたがお昼買っててもいいように少なくしといた」
八幡「なら、お前が食べろよ」
川崎「できれば、比企谷に食べてほしいんだけど」
八幡「川崎は?」
川崎「購買で適当に食べるから」
八幡「それはなんかな…よし、半分づつというのはどうだ?」
川崎「えっ?比企谷と…?それって…」
八幡「別に嫌ならいいけど」
川崎「嫌じゃないけど…あんたがいいなら」
八幡「…ちょっと恋人っぽいか?」
川崎「そうじゃない?よくわかんないけど」
八幡「……」
川崎「……」
いろは「あ、お弁当一緒に食べ始めたみたいですよ、一つのお箸で」
戸部「わ~お、やる~」
いろは「ラブラブですね」
戸部「奥手同士の恋人って感じで微笑ましいわ~マジで」
いろは「なんで戸部先輩が恋愛上級者みたいな台詞言ってるんですか?」
戸部「いろはす…そんな低い声で言わなくても…」
いろは「先輩…」
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雪乃「ふう、放課後ね…憂鬱だわ」
雪乃「これから部活…比企谷くんとまた顔を合わせるのね」
雪乃「…駄目だわ…今日は…」
スタスタ
雪乃「後で由比ヶ浜さんに連絡しておこうかしら…無理ね、今日は」
奉仕部 ガラガラ
八幡「ういっす」
結衣「あ、やっはろー…」
八幡「おう…て、雪ノ下は?」
結衣「えっと、連絡あってさ…今日は体調優れないから休むってさ」
八幡「あいつが?めずらしいこともあるんだな」
結衣「去年の文化祭でもあったよね」
八幡「そういえばそんなことあったっけ、あの時は実行委員だしな」
結衣「今年は違うよね」
八幡「あんなもんもう二度としねぇよ」
結衣「うん…今年はさ…みんなでさ」
八幡「ん?」
結衣「ううん、なんでも……ないよ」
雪乃「ふう…部活を休むなんて、部長失格ね…」
スタスタ
雪乃「…あら?」
陽乃「雪乃ちゃん」
雪乃「姉さん…また最悪のタイミングで現れるわね」
陽乃「つれないな~可愛い妹が意気消沈してるから、元気づけてあげようと思ったのに」
雪乃「信じられないわ…楽しんでるように思うもの」
陽乃「ほらほら、そこの喫茶店でも入らない?」
雪乃「まったく…」
雪乃「それで、なんの用なの?」
陽乃「雪乃ちゃん元気ないねホントに」
雪乃「聞いてるの?」
陽乃「比企谷くんに彼女ができて、随分落ち込んだみたいだけど?」
雪乃「…そうね…自分でも信じられないわ」
陽乃「あらら、自分の気持ちには気づいてなかったの?」
雪乃「いえ…好きという感情は芽生えてたわ…だから余計に…よ」
雪乃「比企谷くんを祝福してあげることができないわ…」
陽乃「そっか、そんなに好きなんだね~」
雪乃「ええ…」
陽乃「今奉仕部はどんな感じ?」
雪乃「雰囲気は悪いわね、由比ヶ浜さんも落ち込んでるから」
雪乃「彼とはほとんど話せてないわ」
陽乃「そっか、比企谷くんも罪づくりだね」
雪乃「彼は川崎さんと付き合った。それだけのことよ」
陽乃「だね~。でも、彼が思ってる以上に周りに影響を与えちゃったね」
雪乃「……っ」
陽乃「雪乃ちゃん…」
このSSまとめへのコメント
期待
こういうのもありだな
期待
はよはよぉ