注意
・性的描写、病み描写アリ
・鬱な展開は多分、序盤だけ
・院内の様相は、ほぼ自分の想像で表現
・原作7巻以降のネタバレあり(重要)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1414086252
【とある精神病棟】
医師「今日からこの病棟で一緒の仲間となる、比企谷八幡君だ」
医師「みんな、仲良くするようにな」
ザワザワ、ザワザワ
八幡「………」
医師「そうそう、比企谷君だが…彼は言葉が話せなくなっている」
医師「だが筆談は可能だ。彼にはホワイトボードを持たせてる。みんな配慮を頼む」
八幡(配慮を頼む…ね。精神病棟でソレを言うのはあまりに皮肉だな)
ザワザワ、ザワザワ
八幡(想像以上に色んな奴らがいるな…)
【3ヵ月後・食堂】
八幡「………」ペラッ
八幡(ここでの生活もそれなりに慣れた)
八幡(ココは想像以上に、俺にとって優しい居場所だった…もっとおぞましい場所かと思ってたが違った)
八幡(精神病院行きと分かった時は、俺は嘗てないほどの絶望を感じたが…百聞は一見にしかずだな)
八幡(他の病院は知らんが、少なくともこの病院は、スタッフ、施設衛生、共に優れてると思っている)
八幡(俺はいつも窓際をあけて、涼しい風を肌に感じさせながら、ラノベを読むのが日課だ)
八幡(こんなにも心地良い環境を提供してもらっているのに)
八幡(………)
八幡(どうして俺は、今でもあの時の事を忘れられずにいるのだろうか)
~~~~~
【時は遡り、高校2年の修学旅行】
雪乃「あなたのやり方…嫌いだわ」
結衣「人の気持ち、もっと考えてよ…」
八幡「………」
雪乃「………」
結衣「………」
八幡(どうしてこうなってしまったんだ…)
~~~~
八幡(それから色んな事があった)
八幡(生徒会選挙絡みの問題を通し、一色と出会ったり)
八幡(そうこうしてるうちに、由比ヶ浜とは少しづつ関係を回復させていった)
八幡(だがしかし)
八幡(雪ノ下とだけはかえって関係が悪化していった気がする…)
八幡(そして、そんな奉仕部の居た堪れない空気に我慢できなくなり)
八幡(俺はいつしか、奉仕部に顔を出さなくなる)
八幡(時がたち、総武高校を卒業)
八幡(最後の最後まで、由比ヶ浜と平塚先生は俺を気遣い、なんとか奉仕部に引き戻そうとしていた)
八幡(あろうことか、何と葉山や海老名さんまで俺の事を心配して、説得してきた。彼ら曰く『傷つけた事へのけじめ』ださそうだ)
八幡(一色も何故か心配してくれた。材木座や戸塚もこっそりと俺を励まし続けてくれた)
八幡(だが、彼女達の願いは残念ながら、俺には通じなかった。俺は最後まで壁を作り続けたからだ)
八幡「色々あったが、今日で卒業か…」
結衣「ねぇヒッキー!カラオケ行こうよ3人で!」
八幡「断る。お前は三浦たちと行っておけ」
結衣「……そ、それならさ!!優美子たちを説得するからさ!ね?行こうよ!!」
八幡「……そんな必死な顔するなよ」
結衣「だって……」ウルウル
雪乃「………」ススッ
結衣「あ……ゆきのん……」
雪乃「由比ヶ浜さん…」
八幡「……」
雪乃「比企谷くん…」
八幡「じゃあな、雪ノ下。由比ヶ浜」
結衣「あ…ちょ、ちょっと!!」
雪乃「………」
結衣「こんなの…イヤ。ねぇ、ゆきのんも何か言ってやってよ…」
雪乃「………」
八幡「……」
八幡「……」チラッ
雪乃「……」ジッ
八幡(振り返ると、雪ノ下が俺をジッと見ていた)
八幡(それから1分ほど、俺たちは動かずに目を合わせたまま固まる)
雪乃・八幡「………………………」
八幡(時折、振り落ちる桜が視界を遮るも、雪ノ下が俺に何かを言いたげな表情で見つめてるのだけがわかる)
八幡(雪ノ下の脇にいる由比ヶ浜は、俺をみたり、雪ノ下をみたりとやたら挙動不審だった)
八幡(そして、その空気はいとも容易くぶち壊される)
三浦「ねぇ~結衣!カラオケ早く行こうよ~!」
結衣「え、ふぇ!?うん…」
結衣「ゆきのんも…どう?」チラッ
雪乃「え…と…」チラッ
三浦「アンタも来るの?まあ最後だしどっちでも」
雪乃「いえ。ありがとう…でもごめんなさい。私は…」ススッ
結衣「あ……」
結衣「待ってゆきのん!卒業しても絶対に会おうね!!」
雪乃「……ええ」ペコッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……」ジッ
八幡(一瞬、目を合わせた後、俺たちは互いに背を向ける)
八幡(奉仕部3人の進学先はバラバラだった)
八幡(俺も由比ヶ浜も、遠い県外の文系の大学へ)
八幡(由比ヶ浜の話によると、雪ノ下は海外の超難関の有名大学へ進学したらしい)
八幡(俺の進学先もレベル高い大学だが…その話を聞くと、規模の大きさに圧倒される)
八幡(……どうせもう会わないが)
八幡(由比ヶ浜とはちょくちょく連絡を取り合っていた。あと戸塚とも時々)
八幡(互いに県外という事もあり。なかなか会うことも無かったが、地元に帰省する時は必ず会っていた)
八幡(しかし、雪ノ下だけはいなかった)
八幡(由比ヶ浜曰く、俺と同様、週1くらいでメールのやり取りと、国際電話をしてるらしい)
八幡(由比ヶ浜は本当に良い奴だ。がしかし、そんな彼女ともとうとう連絡を途絶えてしまう事に)
八幡(大学2年に上がった直後だった。俺が自らの異変に気付くのは造作もなかった)
八幡「はぁはぁはぁ…」
学生1「なあ、なんか隣の奴、いつも息荒くないか?」ヒソヒソ
学生2「確かに、暗いし気持ち悪いよな」ヒソヒソ
八幡(俺は半年前から、動悸がやたら激しかった)バクバク
八幡(いつもフルマラソンに参加させられてる気分だ)
八幡(体が重い、苦しい。頭痛もするし吐き気もする)
八幡(病院にいって風邪薬を飲んでも治らない。いや余計悪化してる気が)
八幡(何より…体の震えが止まらない…)ブルブル
~授業~
教授「出席を取ります」
教授「ええ~まずは…」
八幡(ああ~ダルい…体重い…動悸が辛い…家で寝てたい…)
教授「ええ~続いて8番の、比企谷八幡君!」
八幡「………」パクパク
教授「……?比企谷くん、いないのかね」
八幡「………」パクパク
八幡(あ、あれ?)パクパク
教授「なんだいるじゃないか…」
八幡(なんでだ、どういう事だ)パクパク
教授「比企谷くん……?」
ザワザワ
八幡(声が…でない…)
【病院】
医師「精神的な病…ですね」
八幡「…………!」カキカキ
八幡(筆談)『……マジですか』
医師「ああ。キミの体の違和感も、そのストレスから来ているだろう」
八幡『もっと早く、この病院に来ればよかった…』カキカキ
医師「まあ普通はただの風邪って思うからね」
医師「ちょっとこれは重症だからね…」
医師「………」
医師「キミには悪いが、精神科へ入院してもらう」
八幡『精神科…』
~~~~~
【院内廊下】
八幡(馬鹿な!!このエリートぼっちの俺様が!!!)
八幡(………ダメだ。野菜王子ネタ使っても笑えない…くそ)
八幡(何なんだよ……何なんだよ……)
八幡(…………)ギリッ
八幡「~~~~~~~っ!!!!」ブンッ
ガシャアァァァァン!!
患者・看護婦「!!!?」
八幡「…………」
八幡(自分でも今まで出したことの無い力で投げつけた。俺のスマホは勢い良く砕け散る)
八幡(ああ……もうこれで。戸塚や由比ヶ浜と連絡取れないな)
八幡(はは…ははは…ボッチらしい無様な末路だな)
八幡「…………」ヘラヘラヘラヘラヘラ
患者達(なにアイツ…気持ち悪い…)
【回想終了・現在】
八幡「………」
八幡(たしかに入院直前、おれは学内や外で、人込みにいるだけで物凄いストレスを感じていた)
八幡(高校の頃なんか比較にならないほどの)
八幡(だがなぜそんなに俺は弱くなってしまったんだ)
八幡(エリートぼっちだった俺はどうしたんだよ……)
八幡(……)
八幡(いや、理由なんて分かりきってる)
八幡(『アイツ』は俺の目の前にいないけど、いまでも脳裏に焼きついて離れない)
八幡(高校時代も、そして大学に通い始めてからも…)
八幡(俺はアイツの事が忘れられなかった)
八幡(何度、タイムマシンがあれば…なんて、思ったことか)
八幡(………はぁぁ。でもあの時、どんな解決方法すればよかったんだよ。戸部を見殺しにすれば円満だったのか?)
先生「やあ、調子はどうだい」
八幡(筆談)『先生』カキカキ
八幡(この精神科の先生だ。とても仕事熱心で心優しい人だ)
八幡(男性だが…ドコとなく彼を見てると、何故か平塚先生を思い出す。性格はあまり似てないのに)
八幡(たぶん懇親的な人柄がそう思わせてるのだろう)
先生「先週キミから借りたライトノベル、面白かったよ」
八幡『先生もその道にいける口ですか』
先生「まあ…キミほどじゃないよ」
先生「それよりどうだ。一緒にアニメ鑑賞でもするかい?」
八幡『良いっすね』
~アニメ鑑賞後~
先生「いや~なかなか感動した」グスッ
八幡「……」コクコク
先生「素直じゃないひねくれ者の男女が、紆余曲折して最後の最後、結ばれて本当に良かった!」
八幡「……」
先生「ん?どうした比企谷くん。人差し指を口にくわえて」
八幡「……?っ!!~~~!!!!」ジタバタ
先生「はは、そう取り乱すな」
八幡(筆談)『見なかったことにして下さい』
八幡「………」
八幡(何考えてんだ俺は…どうして『アイツ』が脳裏に出てくるんだ)
【夕方・廊下】
八幡(はぁぁ…)フラフラ
八幡(何だろ…院内での生活はとても穏やかで気に入っているのに…)
八幡(動悸も前より落ち着いて、頭痛も吐き気もしない…なのに溜め息ばかりだ)
八幡(なにより一向に、言葉が話せない)パクパク
八幡(まだ俺はドコかで、精神的に病んでるって事か…?)
八幡(笑えねぇ…)
【食堂】
八幡「……」ストッ
八幡(飯の時間はもう終わり、俺は静かに席に付く)
八幡(テーブルの顔を伏せてみる)ススッ
八幡(………)
八幡(ぅ……ぅぅ……くっ……)グスッ
八幡(くっ……うぅぅ…ぐぅぅっ…)ボロボロ
八幡(何がエリートボッチだ。馬鹿野朗…どうしていつもいつも、壁を作ってばかりなんだ…)
八幡(あんなに色んな人が俺を慕ってくれる時なんて、もう来るはず無いだろう…)
八幡(『アイツ』みたい存在も、もう二度と出てくる訳無いだろ……)グスグス
八幡(………)ボロボロ
八幡(寂しい……)ボロボロ
ゴーンゴーン
八幡「……」クルッ
八幡(もう夜の8時か……)
八幡(まだ消灯時間まで2時間あるが、病室に戻るか)ムクッ
八幡(あ、鏡だ)チラッ
八幡「……」
八幡(ひっでぇ顔。もう目なんかゾンビってレベルじゃねぇぞ)
八幡(……戻ろう)フラフラ
コツコツコツコツ
八幡「……?」
コツコツコツコツ
八幡(こんな時間に誰だ…さては徘徊癖のある奴か?)
コツコツコツコツ
八幡(いや…それにしても、足音が…こう…独特というか…いや、なにかスマートな感じが…)
コツコツコツコツ
八幡(これ、二人分の足音だな。先生と職員か)
八幡「……」
八幡「!!!?」ビクッ
先生「ここが明日から、キミの入院する場所だよ」
?「………」コクッ
先生「キミには常時、筆談が出来るよう、このホワイトボードを用意する」
?(筆談)『恩にきります』カキカキ
先生「すまないね。こんな夜遅くに」
?『いえ、私が病院に来るのが遅かっただけですし…』カキカキ
先生「海外から大変だったね」
?『日本のほうが、まだ落ち着いて療養できそうな気がしたので』
先生「なるほど……ん?」
八幡「」
先生「やあ比企谷くん。まだ病室に戻ってなかったのか」
八幡「」
先生「?」
ボトッ
?「」
先生「っ!?二人ともどうした!?同時にホワイトボードを落として」
八幡「」
?「」
八幡(夢でも見てるんじゃないかと思った)
八幡(しばらく、俺と先生とアイツは固まったままだった)
『~~~~』パクパク
八幡(真っ白になった頭で理解が追いつかなかったが、彼女はなぜか口ぱくをしていた)
八幡(やがて冷静さを取り戻した俺達は、同時に互いのホワイトボードを拾う)ススッ
?(筆談)『比企谷くん…』
八幡(筆談)『お、お前…お前も…?』
先生「え、二人とも、知り合い?」
?『はい』カキカキ
八幡『はい』カキカキ
先生「これは驚いた」
カキカキ、キュッキュッ
八幡(二人のホワイトボードに、ペンで文字を書く音が廊下に静かに響く)
雪乃『比企谷君、久しぶりね』
八幡『お前もこの精神病棟で入院するのか』
今日は以上です
コメントどうも
誤字とかあってすまない。
×懇親的 ○献身的
掛け持ちで別なSSも書いてるけど、何とか上手く両立出来るようにやってきます
では投下します
【翌日】
先生「今日からまた新しい仲間が増えます」
先生「雪ノ下雪乃さんだ。彼女は言葉を発する事が出来ないため筆談での会話になる。仲良くするように」
雪乃「……」ペコッ
パチパチパチパチ
女性患者全員(良いな凄い美人で)
男性職員・患者全員(うわぁぁ…滅茶苦茶かわいい…//)ドキドキ
雪乃「……」チラッ
八幡「……」
雪乃「……」
~~~~
先生「それじゃ今日の雪ノ下さんの記録係は…そこのキミで」
職員1「はい」
先生「比企谷君は…今日は私が見よう」
【食堂】
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」
雪乃「……」チラッ
雪乃「……」キョロキョロ
雪乃「……」
雪乃「……」ペラッ
職員1(先生が言うには雪ノ下さんは、喋れない事を除いても、クールな感じだと聞いてる)
職員1(だが妙に落ち着きがないな)
職員1(初日の雪ノ下雪乃……本を読むが妙に落ち着きがない。まるで誰かを探してる様にも見えた)
~~~~
【八幡の病室】
八幡「……」ペラッ
八幡(ok。これで良い。ここで本読んでるほうが良い、食堂だと冷静さを失いそうだ)
先生(今日は病室で引きこもり状態か)
【一週間後・廊下】
職員1(一週間ぶりに雪ノ下さんの担当になったが…七日間とも、彼女が挙動不審なのが記録からもわかる)ペラッ
職員1(そして今日は一段と挙動不審さを増している)
雪乃「……」ウロウロ
職員1(現在は午後。午前中からずっと、長い廊下を何度も往復してる)
職員1(自分の部屋である1号室の前まで戻っては、また反対側の12号室まで向かい、また1号室前まで戻る…といった行動をひたすら繰り返している)
職員1(特に気がかりなのは、反対側の病室で必ず、一定時間留まっている事だ)
雪乃「……」チラッ
雪乃「……」ジーッ
職員1(あの部屋は12号室の比企谷君の部屋だよな。知り合いとは聞いてるが…?)
雪乃「……」ササッフイッ
職員1(中の様子を見たり、急に逃げたり、また様子を見たり…そんな事を繰り返す)
コツコツコツ
先生「やあ」
職員1「あ、先生」
雪乃「っ!?」ビクッ
雪乃「……」
八幡「……」チラッ
八幡「……」
八幡(何だ。今日はやけに視線を感じる。幽霊でもいるのか?)
八幡(まあいい読書読書)
八幡「………」
ジーッ
八幡(……なんだろう、自意識過剰なのか俺は?それともストーカーでもいるのか?)
八幡(はぁぁ、布団に潜ろうかな)
コンコン
先生「やあ。最近引きこもり気味だったけど大丈夫かい」
八幡(なんだ。ストーカーの正体は先生か。ん?あれ、先生って)
先生「なんだ比企谷くん。なぜ僕をそんな変な目で見る」
八幡(筆談)『先生、そんなに俺の事が好きなんですか?』
先生「キミは何を言ってるんだ」
先生「誰かに見られてる?」
八幡(筆談)『はい。俺はまだ病気が治ってないし、こんな事を言っても病状が悪化した風にしか聞こえませんが…今日一日中、視線を感じます』
先生「…………………」
先生「ああそういう事か。『さっき』のは」
八幡『へ?』
先生「大丈夫だ。何も問題ない」
先生(後で一応、注意しておいた方が良いかな?)
八幡「はぁ…」
先生「それよりどうだい?入院生活は」
八幡(筆談)『まあここ一週間は病室に篭りっ放しですが、ここでの療養生活は気に入ってます。職員の方々も良い人だし』
先生「それは良かった」
八幡『正直、地獄のような恐ろしい場所を想像してました。言う事聞かなきゃ手足を拘束され、閉じ込められたり』
八幡『患者も患者で、発狂しまくってたり、暴力的なイメージがあったんで』
先生「まあ昔はそういうのもあっただろうね。監禁に近いような事とか」
八幡『発狂癖がある奴も、たまに大きな声出す位で、そこまで酷くないというか』
先生「我々は常に最新の薬と、毎日のメンタルケアで、心の闇を取り除く努力をしているからね…その時その時の症状を、極限まで抑えている」
八幡『時代が変わり、地獄から楽園になった訳ですか』
先生「そういう事だ」
八幡『ふーん』
八幡「……?」チラッ
先生「どうした」
八幡『え、雪ノ下?』
先生「……?」
八幡『あ、いや。それはありえないか。うん。絶対ない』
八幡『……アイツ、俺の事大っ嫌いなハズだし』
先生「あの子と過去に何かあったのかい?」
八幡『先生は信頼してますが、守秘義務なんでこれ以上は』
先生「ああ、ごめんごめん」
八幡(筆談)『先生』
先生「なんだい?」
八幡『俺、また喋れるように慣れるでしょうか』
先生「必ずなれるさ」
八幡「……」
先生「もう頭痛も吐き気もしないんだろ?」
八幡『体調は良好です。最近は動悸も殆んどありません』
先生「精神状態が落ち着いてきてる証拠だ」
先生「大丈夫。もう一押しだ」
八幡「……」
先生「それでは、失礼させてもらうよ」
八幡『先生。あの』
先生「ん?」
八幡「……」
八幡『最近は食事ですら病室で取ってるから、食堂とかレクレーション室での様子がまるで分かりませんが』
八幡『雪ノ下の奴うまくやってますか?』
先生「う~ん…まだ一週間だからね。ただキミと同様で毎日読書をしてるよ」
八幡「……」
先生「心配ならば、たまには病室から出たらどうだい?」
八幡『別にアイツの心配なんかしてません。俺もアイツ嫌いなんで。大っ嫌いなんで』
八幡『でもまあ…気が向いたら部屋から出てみます』
【4日後・食堂】
八幡(結局あの後も、謎の視線を感じて、痺れを切らし病室から出ることにした)
八幡(べ、別に雪ノ下が気になるとかそういうのでは断じてない)
八幡(だが気のせいか…やっぱり俺の部屋を覗いて来るのが、雪ノ下っぽい気がしないでもないんだが…)
ガヤガヤ、ザワザワ
八幡(雪ノ下がいない。ここでよく読書してると聞いたんだが)
八幡(……まあいい。アイツの事なんか)
八幡(……)ペラッ
八幡「……」キョロキョロ
八幡(チクショウ…なぜだ、視線を感じないのに落ち着かん。アイツは今、ドコで何やってるんだ)
職員1(今日の比企谷八幡…病室から出て食堂にいる。誰かを探してる?)カキカキ
【午後・食堂】
ガララッ
全員「!!!」
八幡「……っ」ドクンッ
雪乃「……」
男性全員(今日も可愛いな雪ノ下さん…//)
八幡(なんだ、午前中は何やってたんだ?)
雪乃「……」チラッ
八幡「……」チラッ
雪乃「っ」ビクッ
八幡「……」ドキドキ
八幡(なにドキドキしてんだ俺は。読書に集中しないと)フイッ
雪乃「……」テクテク
雪乃「……」ストンッ
八幡「……」
雪乃「……」
八幡(この構図、懐かしいな。奉仕部の時と一緒じゃないか)
八幡(細長いテーブルの隅っこに俺、その反対側に雪ノ下という定位置)
八幡(そういや先生から聞いたが、雪ノ下の病室は1号室。俺は12号室。つまり俺の反対側の部屋にいる)
八幡(なぜかアイツとは、いつもこういう構図になるのがデフォらしい)
【数時間後】
八幡(夕食を終え、俺と雪ノ下、職員さんを除く患者達は全員部屋へと戻る)
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……?」チラッ
雪乃「……っ」フイッ
八幡「……」
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ジーッ
八幡「……?」チラッ
雪乃「……」フイッ
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ジーッ
職員1(今日の比企谷八幡、追記。雪ノ下雪乃とたまに目線を合わしてる…と)
職員2(今日の雪ノ下雪乃。本を読む振りして比企谷八幡ばかり見ている…と)
職員1「比企谷君は大人しすぎて書くことにいつも困ってたけど、最近は書くことが増えて、記録がはかどるなぁ」
職員2「おい。患者にそういう事を言うな。いくら聞こえない様に話しててもダメだ」
職員1「ああ悪い…でもよ、最近書くこと多くなったと思わないか?」
職員2「まあそれは否定できんが」
【数日後・食堂】
職員1(夕食後、食堂に残るメンバーは最近、雪ノ下さんと比企谷くん、我々スタッフだけになってきたな)
職員2(そろそろ戻るぞ)
職員1(いや、おれの直感が言ってる。ここで残れば良い記録が残せそうだと)
職員2(別に『今日も読書して、たまに二人の目が合う』でいいじゃないか。早く戻って違う業務に取り掛かるぞ)
職員1(バカ言え。日々の僅かな変化に気付くのが後のケアに影響するんだ)
八幡(今日の飯はうまかったなぁ。だがしかし)
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」ジーッ
八幡(何だろうか、気のせいだと思ってたが)
雪乃「……」ジーッ
八幡(これはもう明らかに)
雪乃「……」ジーッ
八幡「……」ガタッ
雪乃「……っ」
テクテク
八幡「……」
雪乃「っ」ビクッ
八幡(筆談)『お前何なの。俺のストーカーしてそんなに楽しいか?嫌がらせのつもりか?』
雪乃「…………」カキカキカキ
雪乃『……はぁ?冗談は休み休み言って頂戴。どうしてアナタのような腐った男を追いかけなければならないのかしら?おぞましい。気持ち悪いわ。本当に自意識過剰も良い所だわ。アナタがなぜココで入院してるか良く分かったわ。落ちる所まで落ちて本当にいい気味ね。無様なアナタにはお似合いの結末よ』
八幡「」
雪乃『何を突っ立てるのかしら?早く私の視界から消えて頂戴。私まで目が腐ってしまうわ』
八幡『わかった。よーくわかった。お前はあの時から何も変わってないってな』
雪乃『アナタは余計、気持ち悪くなったけれどね』
八幡『コレだけは言わせろ。落ちる所まで落ちたのはお前も一緒だ。テメェも充分無様なんだよ』
雪乃「………………」
職員1「追記・比企谷八幡と雪ノ下雪乃が筆談、内容は分からず」
職員2「何かでも、怖い雰囲気だったな」
【12号室・八幡の病室】
八幡「……」ガクッ
八幡(ベットに腰をかけて俺は一人、頭を抱えて、うな垂れる。)
八幡(……)
八幡(何でだよ、どうしてこうなっちまう)クシャクシャ
八幡(精神病棟行きが分かってから、俺は自覚したはずだ)
八幡(俺はエリートボッチなんかじゃないって。だからこそ、もう少し素直になっても良いじゃねぇか。もう高二病卒業しても良いじゃねぇか…)グスッ
八幡(これじゃ高校の…修学旅行以降の関係と変わらないじゃねぇか…)ポタ…ポタ…
【廊下】
職員1「戻るか」
職員2「ああ。ん?廊下に誰かいるぞ」
雪乃「………」
職員1「雪ノ下さん…どうs」
雪乃「……」グスッ
職員2「ん?」
雪乃「……」プルプル
雪乃「……」ツーッ
職員1・2「!?」
雪乃「……」ポタ…ポタ…
職員1「な、泣いてる…?」
職員2「暗くて良く見えないが…泣いてるよな?」
職員1「雪ノ下さん、どうしたんだ」
雪乃「!!」
雪乃「……っ」タタタッ
職員1「あ!ちょっ…」
職員2「いっちゃった…」
【一週間後・食堂】
八幡(あれから一週間、俺たちは相変わらず冷戦状態)
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……」フイッ
雪乃「……」
八幡(やっぱり…このままじゃいけないよな…)
八幡(でも奉仕部の時みたいに、自己犠牲で何かやった所で、何も評価さえないだろうしな…どうせ修学旅行の時の事をネチネチ言って上、『アナタは何も変わってないわ』みたいな事言われるに決まってる)
八幡(じゃあどうすりゃ良いんだよ)
八幡(……考え事してたら喉が渇いた。自販機で何か買うか)
八幡「……」ピッピッ
ガゴンッ
八幡「はぁぁ。何でこの自販機はマックスコーヒー無いんだ」
八幡「ま、ミルクティーで我慢だな」
八幡「……」
八幡(難しく行かず、もっと…素直に行けば違う…かな?)
八幡「ミルクティー…紅茶…」
八幡「…………」
ピッピッガゴン
八幡(筆談)『ほらよ』トンッ
雪乃「っ」ビクッ
八幡『紅茶、飲めよ』
雪乃「……」
八幡『じゃあな』
雪乃「……」
クイッ
八幡「?」
雪乃「……」クイクイ
八幡「っ!?」
八幡(雪ノ下が俺の服の裾を掴んでる…!?)
雪乃「……」カキカキ
雪乃(筆談)『出来ればストレートティーかレモンティーが良かったわ』
八幡『贅沢いうな』テクテク
雪乃「……」クイクイッ
八幡「!?」
八幡『なんだよ、まだ何かイチャモン付ける気か?』
雪乃『有難う比企谷くん、嬉しいわ』
八幡「!!」ドキッ
八幡『お、おう』
雪乃「……」
八幡「……」
職員1「今日の比企谷八幡・雪ノ下雪乃に紅茶をおごる…と」カキカキ
職員2「その後、1分ほど静かに見つめ合う二人…と」カキカキ
【翌日・食堂】
八幡(今日の朝食も上手かったな…さて読むか)ペラッ
ポンポン
八幡「……?」
雪乃「……」
八幡「!?」ドキッ
雪乃(筆談)『おはよう、比企谷くん』
八幡(筆談)『お、おう』
雪乃「…………………」モジモジ
八幡「……?」
雪乃『となり、座ってもいいかしら』
八幡「っ!?……!?っ!!?」アタフタ
雪乃『迷惑かしら?』
八幡『いやそんな事、ない、ぞ』
雪乃『失礼するわ』
八幡「……」
雪乃「……」
八幡『あれ、なんで昨日のおごった紅茶の空き缶持ってんだよ。お前のコップどうしたんだよ』
雪乃『コップが壊れてしまったの。やむを得ず代用で』
八幡『コップなら職員に頼めば貰えるだろ』
雪乃『この空き缶をコップとして使いたいの』
八幡「……っ」ドキッ
雪乃「……」
八幡『斬新な発想だな』
雪乃『アナタの目の腐り具合ほど斬新ではないわ』
八幡『わけがわからん流れで人を罵倒するなよ』
雪乃「……」クスッ
八幡「っ!!」ドキッ
八幡(雪ノ下の微笑み…久々に見たな)ドキドキ
先生「ん?ゴミ箱にコップが入ってるぞ…しかもまだキレイじゃないか」
職員1「雪ノ下さんのですよ。さっき捨てて、今は空き缶使ってるんですよ」
先生「???」
雪乃(筆談)『ねぇ比企谷君』
八幡(筆談)『ん?』
雪乃『アナタの本、借りても良いかしら』
八幡『構わんが、それなら一巻から読む必要があるな』
雪乃『ええ。そうね』
八幡「……」
八幡『じゃあさ、変わりって言っちゃなんだけど、お前の読んでる小説を俺に貸してくれないか』
雪乃『ええ、構わないわ』
八幡『んじゃ一旦、互いの病室に戻るか』
ガシッ
雪乃『待って』
八幡『何だよ』
雪乃「……」
雪乃『一緒に行きましょ』
八幡「っ」ドクンッ
八幡『ああ、わかった』
雪乃・八幡「………」テクテクテク
ガララッ
先生「なんだ仲良しじゃないか。あの二人」
今日は以上です
八幡が喋ったのは間違いだよね
一応
>>69
まぁ「心の声」的なやつじゃないかねぇ。
それ言ったら筆談で『お、おう』とかどもるのもおかしな話だけど、実際に筆談してる内容はもっと簡素で、心情的にはこんな感じと脳内で補完しておけばいいんじゃないかな。
>>69-71
すまない。よく見たら喋ってたのあったね
分かってると思うけど、基本的に『』(筆談)と書いた後の筆談は『』とだけで表示してます
中断してまた筆談開始した時は『』(執筆)と改めて表記してます
筆談の内容がやけに感情的にしてるのは、一応仕様で書いてました(なるべく感情を分かりやすくしたかったから)
でも違和感を感じるのであるならば、筆談の時は表現をもう少し簡素にして行こうと思います
感想書いてくれてありがとう
また執筆してきます
>>72
説明文にまで誤字あるけど脳内変換で…
>>58(訂正)
【一週間後・食堂】
八幡(あれから一週間、俺たちは相変わらず冷戦状態)
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……」フイッ
雪乃「……」
八幡(やっぱり…このままじゃいけないよな…)
八幡(奉仕部の時をみたいに何かしてみるか?)
八幡(いや仮に、あの時みたいな解決方法でやった所で、何も評価してくれないだろう。修学旅行の時の事をネチネチ言ってきて『アナタは何も変わってないわ』みたいな事言われるに決まってる)
八幡(どうすりゃ良いんだ……)
八幡(……考え事してたら喉が渇いた。自販機で何か買うか)
八幡「……」ピッピッ
ガゴンッ
八幡「はぁぁ。何でこの自販機はマックスコーヒー無いんだ」
八幡「ま、ミルクティーで我慢だな」
八幡「……」
八幡(難しく行かず、もっと…素直に行けば違う…かな?)
八幡「ミルクティー…紅茶…」
八幡「…………」
ピッピッガゴン
投下します。その前に一応、改めて文章解説
・『』(筆談)=筆談開始
・『』=筆談中
・()=心の声、地の文的な文章
・「」=声
あと時々、誤字を起こす可能性あるけど出来るだけ未然に防ぎます
それでも、もし誤字あったら許して…
【翌日・食堂】
雪乃(筆談)『比企谷君。私が貸した本は気に入ってくれたかしら?』
八幡(筆談)『面白かった。たまにはああいう普通の一般小説も悪くないな』
雪乃『それは良かったわ。比企谷くんから昨日借りた本も、なかなか面白かったわ』
八幡『へぇ。お前でも面白いと感じるんだな』
雪乃『そんなにマニア向けな物なのかしら?』
八幡『まあラノベでも色々あるけど、お前が気に入るとは思ってなかったわ』
雪乃『そう。でも良かったわ。入院してなかったら、この本には出会えなかったわ』
八幡『そうか』
雪乃『そして比企谷くんとも会えなかった。入院してみるものね』
八幡「……っ!?……!!!?」アタフタ
雪乃『ふふふ、なんてね』
八幡『からかうんじゃねぇよ』
雪乃「……」
八幡「……」
雪乃(筆談)『それじゃ、今日も続きを読ませてもらうわ』
八幡(筆談)『ああ、俺も』
雪乃「……」ペラッ
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……?」チラッ
雪乃「……」ジーッ
八幡(筆談)『どうした』
雪乃「……」
雪乃(筆談)『何でもないわ』
八幡「……?」
雪乃「……」ペラッ
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」チラッ
八幡「……」
雪乃「……」ジーッ
八幡(何なんだよ…勘違いしちまうじゃねぇか…)ドキドキ
八幡(冷静なれ、俺。これは別にそういう意味じゃない事を)
八幡(もしかしたら、まだ修学旅行の件を根に持ってて、それで睨んでるだけかもしれん…恨みを込めて)
八幡(それならこの間までの、謎の追いかけの件も理由がつく)
八幡(……)
八幡(そういや再開してから、まだあの一件について話し合ってないな)
八幡(雪ノ下はやっぱり相当、根に持ってるんだろうな。俺は…)
八幡(俺は死ぬほど後悔した。なんであんな事を)
八幡(だからといって、今ならどう解決するかと問われれば、何も浮かばないのも事実だが…少なくともあんな選択はしなかった)
【午後10時・食堂】
ゴーン、ゴーン
八幡(筆談)『消灯時間だ』
雪乃(筆談)『ええ、帰りましょう』
ガララ
雪乃・八幡「……」
コツコツコツ
雪乃・八幡「……」
コツコツコツ
雪乃・八幡「……」ピタッ
八幡『それじゃ』クルッ
ガシッ
八幡「!!」
八幡(また服を掴まれた…)
雪乃「……」クイクイ
八幡(OK。クールになれ。これは特別な意味は無い。絶対無い。むしろ恨みを込めて何か言ってくるに違いない)ドキドキ
八幡(覚悟を決めろ。比企谷八幡)クルッ
八幡(筆談)『なんだ?』
雪乃「……」カキカキ
雪乃『また、あした』
八幡「!!!」
――また、あした
八幡「……」
雪乃「……」
八幡(俺たちは暫く黙ったまま、10分位経過してからようやく病室へ戻る)
【1週間後・食堂】
八幡(筆談)『もう全巻読み終えたのか』
雪乃(筆談)『ええ。だって一日にやることって読書か、たまに全体で行うレクレーション位じゃない』
八幡『まあな』
八幡(なんかチラチラと俺を見てきたけど一応、本は読んでたんだな)
雪乃『比企谷君は?』
八幡『もう読み終えた。でもあの本、まだ完結してないだろ?』
雪乃『そうね、次の巻は2、3ヵ月後ね。比企谷君から借りたライトノベルもまだ未完よね』
八幡『そうだ。その本も次巻は2、3ヵ月後だな』
雪乃『そう、楽しみね』
八幡『ああ、楽しみだ。でも外出許可とかでないと買いに行けないしな』
八幡『今度、小町に頼んでおくか。公衆電話で電話して』
雪乃『ねぇ、比企谷くん』
八幡『うん?』
雪乃『いつか、外出許可が出たら一緒に本屋さんへ行きましょう』
八幡「っ!」ドキンッ
八幡『ああ、そうだな』
職員1「最近、常に一緒だなあの二人」
職員2「そうだな。くそ~比企谷くん裏山だな」
職員1「全くだ。まあおかげで記録しやすいけどな」
【午後・食堂】
雪乃(筆談)たまには読書以外の事もしてみようかしら』
八幡(筆談)『何するんだ?』
雪乃『ピアノを弾くわ』
八幡『ほう』
雪乃『比企谷くんもこっちに来なさい』
八幡『ああ』ドキンッ
コツコツコツ
雪乃「……」ストッ
ザワザワ、ガヤガヤ
八幡(雪ノ下がピアノの前で座り、俺は雪ノ下のすぐ近くのイスに座る)ストッ
八幡(患者や職員達も、雪ノ下に注目する)
~~♪~~♪
患者全員「おお…」
職員全員「これは」
先生「素晴らしい」
八幡「……」
~~♪~~♪
雪乃「……」
~~♪~~♪
八幡(俺は思い出した。初めて奉仕部に訪れた時の日の事を)
八幡(違うのは鍵盤を弾いてるか、本を読んでるかだが)
雪乃「……」
~~♪~~♪
八幡(夕日映る雪ノ下がその美貌をより演出させ、そして窓から来る風がその長い髪を揺らす)
八幡(俺は、その姿に惚れ惚れと、見惚れてしまう)ドックンドックン
八幡(夕食を終え、患者達は病室へ戻る)
八幡(そして雪ノ下はまたピアノを弾いてる)
~~♪~~♪
八幡「……………」ボーッ
雪乃「……」
八幡「……………」ドキドキ
~~♪~~♪
雪乃「……」ピタッ
雪乃(筆談)『ありがとう比企谷くん。ずっと演奏を聞き続けてくれて』
八幡「……」ボーッ
雪乃『比企谷くん』ポンポン
八幡「っ!?」ビクッ
雪乃「どうしたの。ボーッとして」
八幡(筆談)『ちょっとな、演奏があんまり凄いから、その姿に見惚れてた』
雪乃『そう、見惚れてたのね』ドキッ
八幡『あ、えと』
八幡(や、やべぇ!なんかこれ流れ的に、告ってるようなもんじゃねぇか…!な、なんて言い訳すればいいんだよ!)
雪乃『嬉しいわ比企谷くん』
八幡「……」ドキドキ
雪乃「……」ドキドキ
雪乃(筆談)『あの、比企』
八幡(筆談)『ああ、そうだ!雪ノ下!お願いがある!』
雪乃『え?』
八幡(雪ノ下が何か言いかけてたが、俺は恥ずかしさにあまり遮る。そしてあろうことか俺は)
八幡『なあ、ピアノを俺にも弾かせてくれないか』
雪乃『え、ピアノを?アナタ弾けるの?』
八幡『いや素人だ、しかし「ねこふんじゃった」位なら弾けると思ってな』
雪乃『ねこふんじゃったを演奏!?素晴らしいわ比企谷くん!』
八幡『なぜそんなに瞳を輝かす。てかお前の大好きなネコが踏まれるだぞ』
雪乃「……」ズーン
八幡『おい。これはあくまで歌詞がねこふんじゃったって言ってるだけだろ。現実で起きてるわけじゃない』
雪乃『そうね』パァァァ
八幡(コイツ意外と天然だな)
雪乃『それじゃ比企谷君、私の隣に来て』ススッ
八幡『おう』ドキッ
八幡(雪ノ下が少し横にずれる。背もたれの無い細長いイスのため二人は座れる)
八幡「……」ストッ
八幡(一緒の席に座るとシャンプーの匂いがした)
八幡(そして二人が座れるスペースがあるとはいえギリギリで、雪ノ下に密着する形になる)ドキドキ
―♪―♪
八幡(筆談)『上手く弾けん』
雪乃(筆談)『ダメね。弾き谷くん』
八幡『おい。漢字が違う』
雪乃『こうやるのよ』ススッ
ピタッ
八幡「!!」
八幡(雪ノ下が俺の手の甲の上に、自分の手を乗せてきた)ドキドキ
雪乃「さあ、一緒に弾きましょう」
~~♪~~♪
雪乃「……」ドキドキ
八幡「……」ドキドキ
【次の日】
雪乃(筆談)『だいぶ上手くなったわね』
八幡(筆談)『お前のおかげだよ』
~~♪~~♪
雪乃『なにか他にチャレンジしたい曲ある?』
八幡『そうだな。かなり難しい曲かもしれんが、弾いてみたい曲はある』
雪乃『言って御覧なさい』
八幡『「別れの曲」とか。アレ好きなんだよ。癒されるっつうか』
雪乃『いや』
八幡『え』
雪乃『別れの曲だなんて、いや』
八幡『なんだ変わってるな。ピアノ演奏好きなら、好きそうなのに』
雪乃『別れるなんて、もういや』
八幡「っ!!?」
雪乃「……」ポロポロ
八幡(雪ノ下の眼から、一瞬にして涙がこぼれて来た…)
雪乃「……っ……っ」グスグス
八幡(嗚咽をもらす雪ノ下。俺は頭の中真っ白になるが、テンパってる場合じゃない)
八幡『わかった。悪かった。違う曲にしよう』
雪乃『うん、うん』ボロボロ
八幡『じゃあ、「月の光」とかで』
雪乃『良いわね。好きよ私も』
八幡「………」
八幡(雪ノ下……お前……)
【一週間後・夕食後の食堂】
八幡(雪ノ下が手を乗せながら丁寧に教えてくれた為、俺はそこそこ弾けるようになる)
八幡(もっとも、演奏中は男の患者と職員から物凄い嫉妬の目で見られたのは言うまでもない。すげぇ怖かった)ガクブル
雪乃(筆談)『何を震えてるの?それとも今日のレッスンはもう終わりかしら?』
八幡(でも幸せだった。雪ノ下が付きっきりで教えてくれたからだ)
八幡(筆談)『ああ、疲れたしな』
雪乃『流石に一日中毎日、鍵盤を扱うのは疲れるわよね』
八幡『でも楽しかった。ありがとな』
雪乃『私も楽しかったわ』
八幡「……………」
雪乃「……………」
八幡(夕食後で俺達以外誰もいない)
八幡(いつも離れた距離から俺達を見てる職員すらいない。どうしたんだ今日は。用事でもあるのか)
八幡(静寂が続く)
八幡「……………」
雪乃「……………」
八幡(言おう。今しかない)
八幡(ケジメをつけよう)
カキカキ、キュッキュッ
雪乃・八幡(筆談)『あの』ススッ
雪乃・八幡「!!」
雪乃(筆談)『何かしら?』
八幡(筆談)『おまえこそ』
雪乃・八幡「……………………」
八幡『お前から頼む』ススッ
八幡(そう書いて俺は、ホワイトボードを一旦、裏返す)
雪乃「……………っ」グスッ
雪乃「………っ……っ」ポタポタ
八幡(雪ノ下は静かに涙を流し始める。この間とは違い、静かにゆっくりと水滴を落とす)
雪乃『ごめんなさい。比企谷君。私、本当に申し訳ない事をしてしまったわ』
八幡「………」
雪乃『キレイな解決方法なんてほとんどなかったけど、それでも救われた人はいた。現に当時の問題はアナタが殆んど解決してた』
雪乃『だからあの修学旅行の、海老名さんへの嘘の告白だってそう、分かってたわ。あれがアナタの信念だって』
雪乃『でも、それでも、当時の私は』
雪乃「……」プルプル
雪乃『もう一度言うわ、本当にゴメンなさい』
八幡(筆談)『止せ雪ノ下。それだけは本当に止めてくれ。お前の口から、いやお前からそんなメッセージ見たくない』
雪乃「…っ!!!……!?……!!!!」ボロボロボロ
雪乃『ま、待って。失望しないで。もう見捨てない。ゴメンなさい。お願い。何でもするから。私を一人にしないで、お願い。もういや。こんなのイヤ、イヤ、イヤ、イヤ』
八幡『待て待て。見捨てるだなんて言ってないし、失望したとも言ってない』
雪乃「……っ!!ゲホッ!ゲホッ!」
八幡「!!?」
八幡(筆談)『大丈夫か。しっかりしろ』サスサス
八幡(嗚咽で過呼吸となる雪ノ下の背中を擦る)
雪乃(筆談)『良かった。本当に良かった』
八幡「………」
八幡『次は俺の番だ。良いか?』
雪乃『ええ』
八幡「………」
八幡『まずはケジメを』ペコッ
八幡『ごめん。本当に申し訳ない事をした』
八幡『まさかあんな事になるなんて思ってなかった。当時のお前や由比ヶ浜を失望させて悪かった』
雪乃『私は比企谷君の事はもう全く怒ってないわ。ただあの修学旅行以来、アナタに酷い態度を取り続けてしまった事に、申し訳ないと思ってるわ』
八幡『だからお前が謝るなって。お前はお前なりの信念があったからこそ、俺の行動が許せなかった。そうだろ?』
雪乃『それは、そうだけど』
八幡『雪ノ下はいつだって、正しくあろうとした』
八幡『そして嘘や欺瞞が嫌いだった』
八幡『何をやらせても完璧で、凛々しく、堂々としていて、その上、美人でカッコよかった』
八幡『俺はな、そんな雪ノ下雪乃に』
雪乃「………」
八幡『憧れてたんだよ』
雪乃「………っ」
八幡『分かってたよ。雪ノ下は毒舌だが生真面目な女だって。でもまさかあんな事になるなんて思わなかった』
八幡『生徒会の時だってそうだった』
八幡『お前の気持ちを理解できなかった事を許してくれ』
雪乃『それならさっき、もう怒ってないって言ったじゃない』
雪乃『私だってアナタから、そんな言葉聞きたくなかったわ』
八幡「………」
雪乃『あ、あ、ち、違うの、違うの違うの。失望とかじゃなくて。わ、私はただアナタの意志を尊重した上で、だからお願い。見捨てないで。もうイヤなの』
八幡『わかってる。わかってる』
八幡(筆談)『色々遠回りしたけど、お前の気持ちも分かったし、俺も謝れた』
八幡『今の俺だったらあの当時、何が出来たか分からん。もしかしたらまた間違えるかもしれん。だが少なくとも同じ選択しないだろう』
雪乃「………」
八幡『だから、上手くは言えんが、もしかしたら』
八幡『これから行う選択も、もしかしたら間違い続けるだろう。そして時に、お前をガッカリさせてしまう事もあるかもしれん。あの時、以上に』
八幡『でも、それでも俺はお前と』
八幡『本物の関係になりたい』
雪乃(筆談)『その本物の関係って、何?』
八幡(筆談)『それは、その』
雪乃「……」
八幡「……」
雪乃『比企谷くん、その、また話を掘り返すようで悪いけど良いかしら』
八幡『ああ』
雪乃『私がなぜ、あの修学旅行の時、失望し怒ったのか、まだ理由があるの』
八幡『え』
雪乃『あなたの言う本物の関係と、同じかは分からないわ。でも言わせて』
八幡「……」
雪乃『比企谷くん、ずっとアナタの事が好きだったわ』
八幡「!!!」
雪乃『ずっと、ずっと、アナタの事を想い続けて来たわ』
八幡(筆談)『それ、冗談じゃないよな』
雪乃(筆談)『言うと思ったわ。でも違う。私は嘘が嫌いだから』
雪乃「……………っ!!!!!!!!」ビクッ
雪乃『あ、で、で、ででで、でも比企谷君の嘘なら一京回を超えようと、もう失望しないわ。怒ったりすることはあるかも知れないけれど、決して絶対見捨てない。だから安心して。だからお願い。アナタも私を見捨てないで』
八幡『1京(けい)って、兆を越えるほどの嘘を付く奴なんているのかよ。あと見捨てねぇよ二度と』
雪乃『物の例えよ。それだけアナタに惚れてるのよ。あと有難う。嬉しいわ』
八幡(お、俺は…夢でも見てるのか。まさか雪ノ下に告白されるとは)ドキドキ
雪乃「……」
八幡「……」ドキドキドキ
雪乃『ねぇ、何か言って欲しいのだけれど』
八幡『ああ、その』
雪乃「……」
八幡『少し前置きが長くなるが良いか?』
雪乃『ええ』
八幡(筆談)『俺がなぜ鬱病になり、声が出なくなったか。原因はストレスだ』
八幡『大学1年が半年過ぎた頃から、俺は手足の震え、頭痛、吐き気に悩まされてきた。初めは風邪だと思ったが違った』
八幡『そして2年に上がる頃、とうとう声が出せなくなった』
八幡『そのストレス何だが』
雪乃「……」
八幡『良いか?お前のせいではないから』
雪乃(筆談)『ええ』
八幡『もう二度と、お前に会えない事への寂しさだ』
雪乃「……!!!!!」ドキッ
八幡『俺も好きだったんだ。ずっと。ずっと』
八幡『高校のときから、ずっと大好きだった。オレと付き合ってくれ』
雪乃『勿論よ比企谷くん』
ダキッ
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥ
雪乃・八幡「…………」ギュゥゥゥゥゥ
八幡(俺たちは片手だけ離して筆談を再開する)パッ
雪乃『両想いだったなんてね。驚いたわ』
八幡(筆談)『本当、気持ちは一緒なのに上手くいかないな』
雪乃(筆談)『比企谷くん。私もね、アナタと全く同じ理由よ。声が出なくなった原因』
八幡「………」
雪乃『ある時を境に、アナタは奉仕部からいなくなってしまった』
雪乃『初めは、まだ怒りが治まらなかった事もあり、「勝手にすればいい」と拗ねてたわ』
雪乃『でも、だんだんアナタが居ない事に物凄い違和感を覚え』
雪乃『その違和感が、何なのかわからなくて』
雪乃『そして高校2年の終わり頃、私はやっと自覚したの』
雪乃『比企谷くんの事が、好きで好きで。大好きで。愛おしくて仕方がない事に』
八幡「………」
雪乃(筆談)『でもどうすれば良いか分からなかった』
雪乃『だってアナタ、私の顔を見ても、無視するんだもの』
雪乃『私だってあれだけの態度を取っておいて、今更、比企谷くんとどう仲直りすれば良いか分からなかったわ』
雪乃『わたしも由比ヶ浜さんとは、元の友人関係に戻れたけど』
雪乃『でも、由比ヶ浜さんの助言を無視し、アナタと壁を作り続けた』
雪乃『そして私は国立理系を目指してたけど、もう何もかも忘れたくて』
雪乃『敢えて私が志望してた所よりも難しい、海外の大学に進学したわ』
八幡「………」
八幡(筆談)『そうだったのか』
雪乃『でも忘れる所か、余計苦しくなったわ』
雪乃『毎晩毎晩、アナタの夢ばかり見るようになった』
雪乃『今みたいに私と和解した夢だったり、逆に遠ざかってく夢だったり』
八幡『俺も同じ夢を見た。毎日毎日』
雪乃『本当に?』
八幡『ああ。だからこそ今のこのお前とのやり取りが、もう本当に夢なんじゃないかって、錯覚しそうになる』
雪乃『じゃあそれなら、夢じゃないってこと、確かめてみる?』ススッ
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥゥ
雪乃・八幡「………」ジーッ
八幡(俺たちは抱き合い、少し見つめあった後、ゆっくりと顔を近づける)ススッ
雪乃「……」ボロボロ
八幡「……」ボロボロ
八幡(もうお互い、恥ずかしいくらい涙を流していた。そして嗚咽した)
雪乃・八幡「……」
八幡(互いの額が当たる、そして)
チュッ
雪乃・八幡「………」
八幡(ゆっくりと、唇を重ねる)
雪乃「…っ……っ…」レロレロ
八幡「…っ……っ…」レロレロ
八幡(抱き合いながら、互いの舌がネットリと絡めあう)
雪乃・八幡「~~~~~!!」ヂュゥゥゥゥゥ
八幡(更に力強く抱きしめ、激しくキスを交わす)
雪乃・八幡「~~!っ!っ!」チュッチュッレロレロ
八幡(抱きしめてるおかげで、雪ノ下の激しい鼓動が聞こえる)ドクドク
八幡(ひたすら、愛の確認を行う)
八幡(約二年間の、寂しさの穴を埋めるように)
雪乃「っ!っ!」チュッチュッ
八幡「~~っ~~っ」レロレロ
雪乃・八幡「~~~~~!!」ヂュゥゥゥゥゥ
八幡(俺たちは、強固なダムが粉々に決壊したように、愛を求め合った)ギュゥゥゥゥ
雪乃・八幡「っ!っ!っ!」チュッチュッチュッ
雪乃・八幡「…………」ギュゥゥゥゥ
先生「……」
雪乃・八幡「……」スリスリ
先生「……」
雪乃・八幡「……」
先生「……」
雪乃・八幡「……!?」バッ
先生「やあ。お楽しみの所ごめん」
雪乃・八幡「」パクパクパク
先生「まあ、そのなんだ。こんな時に現れるなって思うかも知れんが」
先生「時計を見たまえ」
雪乃・八幡「……?」
〔23:00〕
先生「もうとっくに消灯時間は過ぎてるんだよ?」
雪乃・八幡(こんなに長い時間キスをしてたなんて…)カァァァ
雪乃・八幡(筆談)『ごめんなさい』
先生「うん。今回は良いよ。次から気をつけなさい」
職員1「雑務を終えて来てみれば…何があったんだ…」アゼン
職員2「なんてメロドラマだよこれ…どう記録すりゃ良いんだ」アゼン
職員1・2「………」
職員1・2「今日の報告・雪ノ下雪乃と比企谷八幡が結ばれた…と」カキカキ
【廊下】
職員1「さあ、帰るよ比企谷くん」グイッ
八幡「……」ググッ
女職員1「さあ、雪ノ下さん」グイッ
雪乃「……」ググッ
先生「参ったなこりゃ…」
雪乃・八幡「……」ググッ
八幡(廊下まで来て俺達が別れる寸前、俺たちは本能的に、別れることを拒んだのか)ググッ
八幡(俺と雪ノ下は、互いの両手で指を絡めた状態から、離れようとしない)
八幡(俺の思考は「雪ノ下と二度と離れたくない」という強い想いでいる。雪ノ下もきっとそうだ)ギュゥゥゥ
先生「もう11時過ぎだよ!早く寝なさい!」
八幡(その後、職員が応援を呼び、とうとう俺たちは引き離される)バッ
八幡「~~~~~~~~~っ!!!!!」
雪乃「~~~~~~~~~っ!!!!!」
八幡(互いに手を伸ばし、声無き声で発狂し、俺たちは部屋へと連れ戻される)
【午前六時半】
『おはようございます。起床時間です。7時からラジオ体操です。皆さんおきてください』
患者1「ふぁぁ~眠い…」
患者2「おはよう」
患者1「ああ。おはよう」
患者2「早く退院したいなぁ…」
患者1「ああ…ん?既に食堂に誰かいるな」
雪乃・八幡「~~~…」ヂュゥゥゥゥゥ
患者1・2「」
雪乃・八幡「………///」スリスリ
【次の日・朝食後の食堂】
雪乃・八幡「……」ギュッ
患者全員「」
職員全員「」
先生「……」
八幡(朝からオレと雪ノ下は向き合い、互いに両手で指を絡め、見詰め合う)
八幡「……」ギュッ
雪乃「……」ギュッ
八幡(互いに言葉を発することは無い。それ所か、今日はまだ朝の挨拶でしか筆談してない)
八幡(それでも気持ちが通じ合う)
八幡(もっと見つめあいたい。触れ合いたい。まだまだ全然足りない)
雪乃・八幡「……」ウットリ
ギュゥゥゥゥゥゥ
八幡(やがて俺たちは力強く抱きしめあい、頬をすり寄せる)
雪乃・八幡「……」スリスリ
今日は以上です
これで序盤は終わりです
中盤から終盤まではひたすら、甘々な展開が続きます
しかし同時に、話が二転三転すので、毎回似たような話にはなりませんので
それでは
乙です
楽しみにしてる
これ今回も「」があるのは孤独からの開放から無自覚で喋ってる感じ?
感想どうも
>>119
「」ですが
「……」とかは、無言の状態
「…っ…っ」とか「~~っ!」は、声は出てないけど、何かしらの感情を表してるときです
もしも「」の中に言葉が入ってたらそれは、基本的に誤字です
感想どうも
公衆電話の件は、完全に間違えです…すいません
投下します
>>89(訂正)
×八幡『今度、小町に頼んでおくか。公衆電話で電話して』
○八幡『今度、小町に手紙でも書いて頼んでおくか』
【午後】
八幡(昼食を終え、再び俺たちは両手で指を絡め合う)
八幡「……」ギュッ
雪乃「……」ギュッ
八幡(はぁぁ、幸せだな…)
雪乃「……」ススッ
八幡(雪ノ下が片手だけ離して、ホワイトボードに文字を書く)
雪乃(筆談)『私、今までの人生でこんなに幸せだと思ったことないわ』
八幡(筆談)『俺もだよ。ずっと憧れだった雪ノ下とこんな関係になれるなんて』
雪乃『やだ凄く嬉しいわ。ねぇ比企谷君、本当に夢じゃないか試さない?』ススッ
八幡『昨日、試しにキスしたじゃん』
雪乃『そうだけど。もう一度別な方法で絵確認したいの』
ギュッ
八幡「~~っ!!」
八幡(突然雪ノ下が、頬をつねってきた)
八幡『痛いじゃねぇか』
雪乃『夢じゃない証拠ね』
八幡『俺も仕返しする』
雪乃『乱暴な男ね。さすが性根が腐ってるわ』
八幡『俺と恋人関係になっても、その罵倒はやめないんだな』
雪乃『あ、ごめんなさい。やめて欲しい?望むならやめるわ。だから見捨てないで』ウルウル
八幡『ばか、絶対見捨てねぇよ。もう二度とな』
雪乃『よかった』ボロボロ
八幡『それにお前の罵倒が無くなったら、寂しい。凄く寂しい。むしろやめないで欲しい』
雪乃『可愛いわマゾ谷君。これからもいっぱい罵って上げる』
八幡『お願いします』
ギュゥゥゥ
雪乃・八幡「……」
雪乃「……」ナデナデ
八幡(俺への罵倒をやめると、互いに抱き合う。そして雪ノ下は俺の頭を優しく撫でる)
八幡(筆談)『そういえばさっきの仕返し、まだ終わってなかったな』
雪乃(筆談)『あら、そんなに私を傷つけたいのね。本当、身も心も酷い男。気持ち悪いわ』
八幡『ばーか、頬はつねらねぇよ。お前の白くてキレイな肌を傷つけてたまるか』
雪乃『比企谷くん大好き』
八幡『俺も好きだ。愛してる。だからこれは俺なりの仕返し』
八幡(ボードに言葉を書き終えた俺は、そっと雪ノ下に顔を近づける)
チュッ
雪乃・八幡「…………」ヂュゥゥゥゥゥ
雪乃・八幡「っ」プハッ
雪乃(筆談)『昨日と一緒じゃない』
八幡(筆談)『お前とキスがしたいんだ』
雪乃『私もよ。もっともっと、こんなのでは足りないわ。もっと沢山したいわ』
雪乃・八幡「…………」ススッ
先生「はいストップ」
雪乃・八幡「………」ムスッ
先生「そんな顔をするな」
八幡(筆談)『もう少し空気読んでください』
雪乃(筆談)『先生、困ります』
先生「困るのはコッチの台詞だ。そしてキミ達こそ空気を読むべきだ」
先生「見ろ」
患者1「……」ソワソワ
患者2「~~~っ!!!!」ジタバタ
職員1「そこのキミ、落ち着きたまえ」ガシッ
患者3「チッ、爆発しろ!!」ギロッ
雪乃・八幡「………」
先生「ココには色んな人がいる。キミ達のハレンチな行為を見てると様々な感情が湧き上がるんだ」
先生「健常者である職員だって困惑するレベルだ」
先生(っていうか僕としても羨ましくて仕方が無いよ。そんな可愛い子と。立場上、そんな事言えないけど)
八幡『なるほど。すいません申し訳なかったです』ペコッ
八幡(俺も昔はカップルとか見ると、モヤモヤしたし、イライラしたっけな…ましてココにいるのは精神病患者ばかりだ。悪いことをした)
八幡(何が理性の化物だ。本能の化物じゃねぇか…でも気持ちを抑えるのが辛い。苦しい、耐えられん)
雪乃『ごめんなさい』ペコッ
雪乃(昔の私だったら考えられない行動ね。頭では分かってる…普通じゃないって)
雪乃(でも気持ちを抑えようとすると胸が苦しい…苦しい…)
先生「分かればいいよ」
先生(まだ『謝れるだけの余裕』がある…昨夜の二人の依存振りを見て不安に思ったが、まだそこまで深刻じゃない…?)
八幡「……」ペラッ
雪乃「……」ペラッ
八幡「……」カキカキ
八幡(筆談)『なあ』
雪乃(筆談)『なに?』
八幡『読書も良いけど、そろそろお前と愛を確かめ合いたい』
雪乃『私もよ。いっぱいキスしたい。でも諦めるしかないわ』
雪乃(苦しい、苦しい…)ググッ
八幡『俺に考えがある』
雪乃『どんな提案を?』
八幡『俺について来い』ガタッ
雪乃『ドコまでも付いていくわ』ガタッ
先生「ドコへ行く気だろうか」
職員1「こっそり様子見てきます」
雪乃(筆談)『また来てるわ職員さん』チラッ
八幡(筆談)『気付かないとでも思ってんのか?ま、しょうがないよな。あの人達の仕事だしな』
【廊下】
八幡(筆談)『俺の部屋の前に、丁度パイプイスが二つ並んでるだろ?』
雪乃(筆談)『ええ』
八幡『そしてイスの前には、窓とカーテンがある』
八幡『俺たちはカーテンの中に入るんだ』ススッ
八幡『このカーテンはかなり厚めに出来ている。多少、俺たちの影は映るだろうが、そこまで目立たないハズだ』
八幡『何よりこの時間の廊下は人通りも極めて少ない。安心できる』
雪乃『本当、こういう事には気転が利くのね。下半身脳を剥き出しの性犯罪者予備軍らしい、イヤらしい発想ね』
八幡『おうふ、さすが氷の女王。言う事が違う』
雪乃『あらそう、私のおかげで少しは更正出来るんじゃないかしら?』
八幡『ああ気をつけるよ。でもコレだけは言わせてくれ』
八幡『俺が愛してるのはお前だけだ。他の女は興味ない。だから性犯罪なんて間違っても起こさない』
八幡『それに仮に、もし捕まったらお前に会えないしな。それが何より辛い』
雪乃『嬉しいわ比企谷くん。私もアナタしか愛せないわ』
雪乃・八幡「………」ストッ
八幡(静かにイスに座る俺と雪ノ下。互いに向き合い)
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥ
八幡(静かに唇を重ねる)
雪乃・八幡「………」チュッ
雪乃・八幡「………」ヂュゥゥゥ
八幡(舌を絡めたり、小刻みにキスをしたり、強く唇を吸ったりを、ひたすら繰り返す)
雪乃・八幡「…っ……」チュッチュッ
八幡(やがて背中に回していた手を上へとスライドさせ)
八幡(互いの後頭部を両手で押さえ、頭部をクネクネと動かしながら、激しくキスを交わす)
雪乃・八幡「…っ…っ…」チュッチュッ
―――
職員1「なるほど…頭を使ったな。影で映ってるけど良く見えんな」
【一週間後・廊下】
雪乃・八幡「…………」ヂュゥゥゥゥゥ
雪乃・八幡「っ」プハッ
雪乃(筆談)『この二人だけの空間、本当に素敵ね』
八幡(筆談)『ああ、幸せだな』
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥゥ
八幡(抱きしめると雪ノ下の激しい鼓動が聞こえる)ドクンドクン
八幡(もっともっと雪ノ下に密着したい。触れ合いたい。沢山キスしたい)ドキドキ
八幡(あぁぁ…もっともっと、ぶっ壊れたい…)
キュッキュッ、カキカキ
八幡(俺の思考が、雪ノ下への愛で溺れてると、静かにペンで文字を書く音が響く)
八幡(彼女はホワイトボードで何か書き始めている)
雪乃(筆談)『比企谷君』
八幡(筆談)『なんだ』
雪乃『――――――――――』
うーん なんか付き合ってから蛇足感半端じゃないよね
見ててこれじゃない感ある
先生とか職員のノリが寒いっす
と思うのは多分少数派だと思うので気にせず続けてください
てっきり由比ヶ浜さんが絡んでくると思ってたっていうのもあるのかもだけど
八幡「……」
雪乃「……」
八幡(筆談)『雪ノ下、それは』
雪乃(筆談)『分かってるわ』
八幡「……」
雪乃『これは御法度。そして極めてリスクが高いわ』
八幡『お前らしくない判断だな』
雪乃『私もそう思う。以前じゃ考えられないわ。でも私達、今は病人でしょ?』
八幡『そういうの言い訳って言うんだぞ』
雪乃『因みに今日は安全日よ』
八幡「………………」
雪乃『私と、その、したくないの?』
八幡『したい、したいに決まってるだろ。滅茶苦茶に愛したいし、愛されたい』
雪乃『本当、汚らわしいケダモノね』
雪乃『でも、そんなアナタが大好き』チュッ
八幡「……」チュッ
雪乃『改めて言わせてもらうわ』
八幡「……」コクリ
雪乃『比企谷くん、私とセックスをしましょう』
八幡『お前、もう少しオブラートに包む事ができんのか』
雪乃『あら、そうは言う割にはアナタの陰茎は、いつも以上に凄い事になってるじゃない』サスサス
八幡「……っ!」ビクッ
【消灯時間・廊下】
雪乃・八幡(筆談)『先生、職員さんお疲れ様です。お休みなさい』
先生「うん。おやすみ」
先生「……」
職員1「今日はやけに素直に帰ったな」
職員2「確かに。あれか、病院で恋人出来て舞い上がってたけど、やっと冷静さを取り戻したとか?」
職員1「かもな。これで精神も安定の方向へと進むな」
先生「そうだと良いんだがな」
先生(根は真面目な二人だ。信じたいんだが…何だ、この胸騒ぎ)
先生(気のせいだよな?とりあえず今日は帰るか)
~~~~
八幡(消灯時間での見回り時間は、1時間に一辺だ)
八幡(現在の時刻は22時ちょい過ぎだ)
八幡(23時を越え、俺の部屋と雪ノ下の部屋を通過したら…)
八幡(俺は雪ノ下の部屋へ、夜這いに向かう)
【23時・雪乃の部屋】
コンコン
八幡「……」
ガチャッ
雪乃「……」
八幡(当然だがこの部屋、雪ノ下の匂いがする。すげぇ良い匂いだ。頭がクラクラしてくる)ドキドキ
キュッキュッ
雪乃(筆談)『ごめんなさい。私じゃなくてアナタの方から来てもらって』
八幡(筆談)『万が一、見付かりそうになって気が動転して、慌ててベットの下に隠れる際に、怪我したら危ないからな。お前を傷つけたくない』
雪乃『嬉しいわ比企谷くん。でもアナタみたいな愚か者じゃないから、私はそんなドジを踏まないわ』
八幡『ハッ、どうだか』
雪乃(筆談)『それよりも時間が無いわ、始めましょう』
八幡(筆談)『ああ。その前に雪ノ下』
雪乃『何?』
八幡『好きだ。大好きだ。愛してる』
雪乃『私もよ。好き。大好き。世界で一番愛してるわ』
八幡(気持ちを確認し合うと、ベットの脇にあるテーブルの上に手の届く距離で、ホワイトボードを置き、互いに顔を近づける)ススッ
チュッ
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥ
八幡「……」ナデナデ
雪乃「……」カァァ
八幡(雪ノ下の長くてキレイな髪を、指で絡めて撫で回し、同時に小刻みにキスを交わす)
雪乃・八幡「………」チュッチュッ
八幡(真っ暗の部屋の中、月の光が俺たちを照らす)
今日は以上です
>>152
感想どうも
まあ中盤は基本単純な、イチャイチャが多いかもね
ただ前にも書いたけど、話が動かない訳でないし、特に終盤からは話がガラッと動く予定です
詳しい事は言えないけど
では
(報告)
すいません。前回の投下直後に、怪我しまして今週の投下は厳しいです
回復はしてきてるので、次回の投下は来週くらいになりそうです
八幡「……」ススッ
八幡(髪を撫で回していた手を肩へとスライドさせ、更にゆっくりと胸まで移動させる)
雪乃「……っ」
八幡(ムニュッと柔らかな感触が手に伝う)
八幡(決して大きくはないが、それでも胸に触れていると実感させられる感触だ)ギュッ
雪乃「っ…っ…」
八幡(ビクビクと体を震わ雪ノ下。揉むたびに唇をも震わす)
八幡「……」ススッ
八幡(片手は胸を揉み、もう片方は雪ノ下の頭部へとスライドさせ、髪を撫で回す)
八幡(そして、その状態で唇を交わす)
雪乃・八幡「………っ」チュッ
八幡(暫くして俺達は一旦離れる)
八幡(そして両膝をベットのシーツの上に付け正座し見つめ合う)
雪乃・八幡「………」
八幡(やがて、雪ノ下は病衣の紐を外し始める)
雪乃「……」ススッ
パサッ
八幡「……っ」ドクンッ
八幡(俺達が着ている病衣は、本来ズボンがあるが、わざわざオレの為を想って、サービスしてくれたのか)
八幡(ズボンを穿いてなく、上着だけの状態だ。そこらのミニスカートよりずっと露出度が高い)
八幡(故に、脱げば全身が露わになる)
雪乃「……」
八幡(透き通るような白い肌が露出される。だがオレの興奮を奮い立たせる要素はそれだけでは無い)ススッ
八幡(筆談)『その黒のハイニーソ、懐かしいな』カキカキ
雪乃(筆談)『あら、覚えててくれたのね』カキカキ
八幡(筆談)『そりゃ、すげぇ似合ってたし』
雪乃(筆談)『アナタってばいつも私の太もも見てたのね。とんだ変態ね。気持ち悪い』
雪乃『でも嬉しいわ』ススッ
八幡(俺達が互いにホワイトボードをサイドテーブルに置くと、雪ノ下はブラジャーのホックをはずし始める)
カチッ
八幡(ホックが外れる音がして、パサッとブラジャーが落ちる音がする。その後は、ゆっくりとパンツに手をかけて脱いでいく)
雪乃「……」ツー
八幡(パンツからは透明な愛液が、糸を引いて伸びてるのがわかる)
ススッ…パサッ
雪乃「………」
八幡「………」
八幡(全身を露出させた雪ノ下に見惚れていると、雪ノ下はオレの病衣を脱がし始める)
雪乃「……」キュッススッ
八幡(紐を解き、上着を脱がし終えると、今度はジッとオレを見つめる。恐らく立ってくれ言いたいのだろう)
八幡(オレは黙ってベットの上で立ち上がる。すると雪ノ下も立ち上がり、下のオレのズボンを脱がし始める)
ススッ…パサッ
雪乃「……」サスサス
八幡「……っ」ビクッ
八幡(雪ノ下はその細い指で、キレイな手で、ゆっくりと盛り上がったトランクスを撫で回す)
八幡(少し撫で回した後、トランクスを両手でゆっくりと脱がしていく)
雪乃「……」ススッ
パサッ
八幡(その後、お互いの衣類を脇にあるパイプイスに置くと、ベットから一旦下り、スリッパを履いたまま裸で抱き合う)ススッ
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥゥゥ
八幡(互いの激しい鼓動が、体に伝い聞こえる)ドキドキ
八幡(盛り上がった陰茎が雪ノ下の下腹部に強く当たる)
八幡(互いの体温の温もりを感じつつ、唇を交わす)
雪乃・八幡「っ…」チュッ
八幡(互いに頭部を両手で押さえ、髪を撫で回し、頭部をクネクネと動かしながら)
雪乃・八幡「……っ」ヂュゥゥゥゥ
八幡(激しく吸い付き合ったり、舌を絡めたりと、激しくキスを交わす)
雪乃・八幡「……っ……っ」レロレロ
八幡(無我夢中で互いに唇を交わし、舌を絡める。淫靡な音が病室に響き渡る)
八幡(暫く、激しいキスを交わすと俺達は同時に唇を離す)
雪乃・八幡「……っ」ツーー
八幡(互いの口元から唾液の糸が伸びているのがわかる)
八幡(その糸を、視界に入れながら雪ノ下を見つめたまま、彼女をゆっくりとベットへと誘う)
ボフッ
雪乃「……」スッ
八幡「……」スッ
八幡(ベットへと倒れた俺達は、履いていたスリッパを乱雑に脱ぐと同時に、再び激しく唇を交わし、舌を絡める)
雪乃・八幡「……っ……っ」チュッチュッレロレロ
八幡(やがて体勢が変わり、雪ノ下がオレに尻を向けて、上にまたがる)
雪乃「……」ススッ
雪乃「……っ」ギュッ、ジュポッ
八幡(片手でオレの陰茎を握ると、その次に陰茎を口でくわえる)
雪乃「……」ジュポジュポ
八幡(オレもそれに答えるように、雪ノ下の尻を掴みながら膣を舐めまわす)
八幡「っ…っ…!!」レロレロ
八幡(興奮のあまり、オレも勢いよく吸い付く)
八幡「~~~っ!!」ヂュゥゥ、レロレロ
雪乃「……」ジュポジュポ、レロレロ
グチュグチュ、ヌチュヌチュ
八幡(淫靡な音がなり響く)
雪乃「……っ!」ビクッ
八幡(雪ノ下はフェラを一旦中断させると、一瞬、首を勢いよく上にあげる)
八幡「……っ」ビチャチャ
八幡(絶頂に達したのか、膣から愛液が溢れかえり、オレの口内に溢れかえる)
八幡「……」ペロッ
八幡(これが女の子の愛液…)ドキドキ
八幡(顔を赤くした雪ノ下から渡されたタオルで顔を拭くと、彼女はベットから下りる)
八幡(ベットに腰をかけていた俺の目の前でしゃがむと、自らの長い髪の毛を掴んで)
雪乃「……」シュルルッ
八幡「っ!?」ビクッ
八幡(その長い髪で、オレの陰茎をクルクルと巻き付ける)
八幡(そのサラサラと柔かく、独特の感触を持つ雪ノ下の髪の感触に、オレの肉棒がより一層そそり立つ)ビクビク
八幡(やがて髪で巻かれた陰茎を上下に動かしながら、再び陰茎をくわえる)
雪乃「…っ…っ…」ジュポジュポ
八幡「っ!」ビクビク
八幡(あまりの快楽にオレは口を開け、顔を上向きにあげる)
雪乃「…っ…っ…」ジュポジュポ、レロレロ
八幡(臨界点に達する寸前で、オレは雪ノ下の頭部を両手で押さえる)ガシッ
八幡「……っ!!」ビュッビュッビュッ
雪乃「っ!!」ゴクゴク
八幡(射精した精液は雪ノ下の口内へと大量に注がれる。彼女はその精液をしっかりと喉に通す)
雪乃・八幡「…っ…っ…っ…」
八幡(声は出ないが、性的の快楽で互いに呼吸を荒げる)
雪乃「……」ストッ
八幡「……」
ギュッ
八幡(再びベットの上に座る雪ノ下。俺達は両手でゆっくりと指で絡め、見つめ合う)ギュッ
雪乃・八幡「……」
八幡「……」ポンッ
雪乃「……」ボフッ
八幡(ゆっくりと雪ノ下を押し倒して、オレは彼女の膣に指を入れ、その指を動かす)
八幡「……」クチュクチュ
雪乃「……っ」ビクビク
八幡(オレは先ほど射精したばかりだが、雪ノ下の恍惚とした表情を見て、再び勢いよく陰茎を盛り上がらせる)
八幡(やがてむしゃぶりつくようにして、雪ノ下の乳首を口で吸い、舐めまわす)
八幡「……っ……っ」チュッチュッレロレロ
雪乃「っ!っ!」ビクビク
八幡(感度は良好で、体を反らせながら快楽に浸る)
八幡(暫くして、両手でその胸を強く揉みしだく)
八幡「……」ギュッギュッ
雪乃「っ!っ!」ビクビク
八幡(体を反らせ、シーツを握る雪ノ下)
八幡「……」ピタッ
八幡(揉むのを止めて、雪ノ下をジッと見つめる)
雪乃「……」コクン
八幡(オレが何故、揉むのをやめたのか。その意味を彼女は理解してくれたのか、コクリと頷く)
八幡「……」ガシッ
八幡(彼女の腰を両手でしっかりと掴み、ゆっくりと膣に、陰茎の先端を当てる)ピトッ
八幡「……」
雪乃「……」ギュッ
八幡(雪ノ下はオレの、頭部と背中に手を伸ばして抱く)
八幡(さらにオレの背中を、両足で絡め巻き付けて、抱きしめてくる)
雪乃「……」ギュゥゥゥ
八幡(恍惚とした彼女の表情を確認した後、オレは彼女の膣へ陰茎を挿入させていく)ズズズッ
雪乃「っ」ビクッ
八幡(初めて味わう感触だ。ヌルリとして、それでいて熱い感触が陰茎に伝う)ゾクゾク
ズズズッ
八幡(ゆっくり、ゆっくりと奥へと向かう)ズズッ
八幡(そして一定の所まできて、膣内が狭くなっていくのを感じた所でストップする)
八幡「……」
雪乃「……」コクンッ
八幡(『既に覚悟は出来ている』…言葉を交わさずとも、彼女の表情と、その頷きで気持ちを理解した)
ズンッ
雪乃「っ!!」ビクッ
八幡(オレは力強く、一気に奥へと陰茎を挿入させていく)
八幡(初めはゆっくりと動かしていく)
八幡「……」ズンズン
雪乃「……っ」グチュグチュ
八幡(しかし徐々に勢いを付けて、ピストン運動を早めていく)
八幡「……っ!」パンパン
雪乃「っ!っ!っ!」グチュグチュ
八幡(声無き声で、その表情で、快楽の訴える俺と雪ノ下)
雪乃「……っ!」グイッ
八幡(両手両足でオレの体を巻きつけていた雪ノ下は、頭部を抑えてる手に力を込め、オレの頭部へと誘導させる)
八幡「……っ」チュッ
八幡(そしてそのまま唇を交わし、激しく吸い付いたり、舌を絡めたりさせる)
雪乃・八幡「…っ!…っ!」チュッチュッレロレロ
雪乃・八幡「っ!っ!っ!」ズンズン、グチュグチュ
八幡(やがてその静かなる性行為は、互いに同時に、臨界点を迎える)
雪乃「~~~~っ!!!」ビシャァァ
八幡「……っ!!」ビュッ
八幡「~~~っ!!!」ドクドクドク
八幡(今まで出した事の無いような、凄まじい精液の量が、雪ノ下の膣内へと注がれていく)ドクドクドク
雪乃「…っ…っ」ビクビク
八幡(射精し終えても、オレ達は唇を離さずにいる。雪ノ下は両手両足を離さず、俺の体を絡め巻きつけたままでいる)
雪乃・八幡「~~~…っ」ヂュゥゥゥ
雪乃・八幡「……っ」プハッ
八幡(透明な唾液の糸が伸びて離れない)
雪乃・八幡「……」ツー
八幡(感極まった俺達は、互いの瞳から水滴が、涙がこぼれる)
雪乃・八幡「……」ポタポタ
雪乃「はぁはぁはぁ…」ギュッ
八幡「ぜぇぜぇぜぇ…」ギュッ
雪乃「比企谷くん。好き、大好き。世界で一番愛してるわ」
八幡「オレもだ雪ノ下。好きだ、大好きだ。誰よりも愛してる」
雪乃「………」
八幡「………」
雪乃・八幡「え?」
八幡「お、お前…今…」
雪乃「ひ、比企谷くん…アナタも今…」
【次の日・面談室】
先生「やったじゃないか二人とも!」
雪乃「はい」
八幡「やっと声が出せるようになりました」ペコッ
先生「良かった…本当に、良かった」グスッ
八幡「先生や職員の方々のおかげっス」ペコッ
雪乃「ありがとうございます」ペコッ
八幡「あと、雪ノ下も…ありがとな」ギュッ
雪乃「比企谷くん…」スリスリ
八幡「へへへ、久しぶりにお前の声が聞けてスゲェ嬉しい」チュッ
雪乃「私もよ。アナタのそのボソっとした声がまた聞けて嬉しいわ」チュッ
雪乃・八幡「……」スリスリ
先生「……え、えーと。それで退院予定の件に付いてだけど」
雪乃・八幡「っ!!」
先生「これから検討しようと思う。まだ入院生活が続くと思うが、我慢して貰えるかな?」
雪乃・八幡「はい」ギュッ
八幡(互いに強く手を繋ぎながら返事をする)
先生「所で…いつ話せるようになったんだい?」
雪乃「え、あ…えと、き、昨日の真夜中に」
先生「ふーん、何かキッカケとかは?」
八幡「あ、え、えと、昨日の夜中、ゆ、雪ノ下と出くわして、その時、突然、こ、声が」
先生「なぜ夜中に二人で?」
八幡「あ、いや、それは廊下でトイレ行く途中、たまたまと言うか…」
八幡(実際、雪ノ下の部屋を出た後、トイレに行ったし嘘ではない。半分は嘘でないハズ。半分はな)
先生「……ふーん、まあ良いか」
雪乃・八幡「……」ホッ
先生(………)
先生(本当に近いうちに退院させて良いのだろうか?)
先生(……いや、それは良く無い気がする)
【病院の中庭】
八幡(俺達は今、レジャーシートを借り二人で、ひなたぼっこをしている)
八幡(体を大の字にして、手を繋ぎながら)ギュッ
雪乃「良い天気ね」ギュッ
八幡「ああ」ギュッ
雪乃「私、いま人生で一番幸せかもしれないわ」
八幡「オレは間違いなく人生で一番幸せだと思ってる」
八幡「もう…ボッチじゃないしな」
雪乃「あら残念ね。可哀想に。アナタのアイデンティティが無くなってしまったわね」
八幡「ボッチと言うアイデンティティはな。でも雪ノ下Loveというアイデンティティなら誕生した」
雪乃「嬉しい」ゴロッ
八幡(雪ノ下はそう言うと、オレの体にまたがり抱きしめて来る)
雪乃「好き」ギュゥゥゥゥ
八幡「オレも好きだ」ギュゥゥゥゥ
雪乃「退院したら、どうするのかしら?」
八幡「まあどの道、今年度は休学確定だし、来年まで復学はできんな」
八幡「だけど…オレは多分、地元の千葉へ戻ると思う」
雪乃「学校をやめるの?」
八幡「ああ。思えば大学1年時代は、オレが人生の中で最も孤独だった時間だった」
八幡「家に帰っても家族はいない。アルバイトしていても友達いない。学校でも誰も声かけてくれない」
八幡「中学時代ですらクラスメイトと、たま~~に会話する事はあったのに」
八幡「……何よりも、お前がいなくて寂しくて寂しくて仕方なかった」
雪乃「ごめんなさい」
八幡「もういいよ。謝るのは止してくれ」
八幡「ともかく、鬱になって実感した。人と関ることの大事をな。あんな環境じゃ鬱になっても仕方ない」
雪乃「アナタが人との関りの大事を説くなんて…明日は火の付いた矢が降るわね」
八幡「こわっ、怖い、怖ぇよ!雨じゃなくて火の付いた矢って、どんだけだよ」
八幡「でもまあ当時はあまり意識してなかったけど、今思えば恵まれてたんだよ、高校時代は」
八幡「人間、一度美味しい思いすると胃袋が広がっちまう」
雪乃「学校を辞めたらどうするの?」
八幡「来年、地元の大学を受ける。そこそこレベルの高い文系のな」
雪乃「そう。それなら私の進路も決まったわ。たった今」
八幡「お前、まさか」
雪乃「私は最初からそのつもりよ。アナタが向かう方向にしか興味ない」
雪乃「私も海外の大学を辞めて、アナタと同じ大学に進学し直すわ。それも同じ学科を選択するつもりよ」
八幡「そうか。あの海外の難関大学を辞めるのか。それじゃコレからはずっと一緒だな」
雪乃「ええ、ずっと一緒よ。まだあのマンションの契約も切れてないから住めるわ」
雪乃「退院したら、一緒に私のマンションで住みましょ」
八幡「ああ。住まわせてもらう」ギュッ
雪乃「大好き」ギュッ
八幡「オレも大好きだ。んっ…」チュッ
雪乃「んっ」チュッ
八幡「へへ」ギュゥゥゥゥ
雪乃「フフフ」スリスリ
今日は以上です
次回、恐らく本作の中で、一番の病み病み展開あるので注意ね
更新遅れててすいません
多分、土曜日辺りまでには更新出来そうです
お詫びと言って何ですが、次回作候補を(仮タイトル)↓
・雪ノ下雪乃「八幡係長」雪ノ下八幡「何だよ課長」
…夫婦で同じ会社に勤める雪ノ下夫婦の話
・雪乃「SMに目覚めたわ」バシッ八幡「ブヒィィ!」
…SMに目覚めたゆきのんと、調教される八幡
・八幡「頼む。会議中に抱きついてくるのは止めてくれ」雪乃「イヤ」スリスリ
…時系列は文化祭辺りで、八幡に猛アタックしまくるゆきのん
※ココには書いてない、八雪SS以外の作品も考えてます
【深夜・雪乃の病室】
雪乃「ごめんなさい、またアナタの方から来てもらって」
八幡「気にするな」
雪乃「……早く退院して自由になりたいわね」
雪乃「そうすれば毎晩安心して比企谷君とベットで一緒になれるのに」
雪乃「お風呂とかシャワーでも…あなたと一緒にいられるのに」
八幡「雪ノ下、時間が無いから行くぞ」
雪乃「え?どこに…」
八幡「実はさっきオレは見たんだ」
八幡「今日、職員が入浴室の鍵を閉めていなかった」
雪乃「っ!!」
【入浴室】
サァァーー
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
八幡(シャワーを浴びながら、お互いの裸体を抱き合う)
雪乃・八幡「……」スリスリ
八幡(お湯とお互いの肌の温もりを感じながら、頬を寄せ合う)
雪乃・八幡「……」
八幡(万が一の事を考え、部屋の電気は付けてない)
八幡(部屋の中は暗闇だが、窓から月の光が僅かに差し込む。雪ノ下の顔もうっすらと目に映る)
八幡(お湯で濡れた雪ノ下の表情は恍惚としていて、扇情的なものだった)
雪乃・八幡「ん…」チュッ
八幡「……」ナデナデ
八幡(唇を重ねながら、濡れた長い髪を指で絡めながら優しく撫でる)
雪乃「比企谷君…きて…」
八幡「はぁはぁ」ズズッ
雪乃「んっ」
八幡(向き合うように立ったまま、互いに力強く抱き合ったまま、腰を前後に振る)
八幡「はぁ…はぁ…」ズンズン
雪乃「はぁはぁ…んん…」グチュグチュ
八幡「はぁはぁ…くっ…!!」ズンズン
雪乃「あっ…ああ!!あん!あん!」ビクビク
雪乃「比企谷くん!もっと激しく!私を壊して!壊してぇぇ!」
八幡「壊してやる…ぶっ壊してやる…!」
~~~
八幡「くっ…いくっ!!ぁぁ!!」ビュッ
雪乃「あんっ…ああ、い、いぐ!いぐぅぅ!!」」ビシャァァ
八幡「……っ!!」ドクドクドク
八幡「はぁはぁはぁ…」ドク…ドク…
雪乃「はぁはぁはぁ…まだ…まだ足りないわ…」
八幡「分かってる」
雪乃「ふふふ、こんなに沢山出したのに全然萎えてないわね。アナタの陰茎」
八幡「お前が可愛すぎるんだよ」ギュゥゥゥ
雪乃「ふわぁ…」ギュゥゥゥ
八幡「まだまだ行くぞ」ズンッ
雪乃「あん…っ」グチュ
~数十分後~
雪乃・八幡「ん…んぁ…んん…」チュッ
サァァーー
八幡「そろそろ戻らないとな…シャワー止めるぞ」
キュッ
雪乃「ふふふ」サスサス
ポタポタ…ポタポタ…
八幡「っ!!」ドキッ
八幡(雪ノ下が下腹部を擦ると陰部から、液体がネットリと、ポタポタと音を立て、床へと滴る)
雪乃「比企谷君…ちょっと出しすぎよ…」サスサス
八幡「……お前の陰部、そのままじゃ下着が汚れちまうな」キュッ
八幡(オレはまたシャワーのノブを回して、雪ノ下の陰部を、石鹸で泡立てた手を使って洗い流す)
サァァーー
雪乃「っ!ん…んん…」ビクビク
八幡「雪ノ下…可愛いよ…」チュッ
雪乃「好きよ、比企谷君…」チュッ
【入浴後】
八幡(何とか時間ギリギリで、監視の目から逃れた俺と雪ノ下)
八幡「……」
八幡「寝れん…」
カチカチカチ
八幡(時計の音が静かに響く。だがオレが寝れないのはそれが理由じゃない)
八幡「……」
八幡(まだ全然足りない…)
八幡(寝れない…アイツの事を考え過ぎて眠れない…)
八幡「……」チラッ
八幡(時刻は深夜3時か…随分時間が経ったな。まだ起きてるかなアイツ)
八幡(いや、流石に)
ガララッ
雪乃「……」
八幡「っ!!」
雪乃「比企谷くん…」
八幡「雪ノ下…」
雪乃「お願い…抱いて…全然寝れないの」
雪乃「いっぱい私を愛して…」ダキッ
八幡「……」ギュゥゥゥゥ
ドサッ
――
――――
―――――
【次の日】
雪乃・八幡「……」ボー
先生「二人とも眠そうだね。目の下にクマが出来てるよ」
八幡「はい…寝れなかったんで…」
雪乃「私も比企谷君を想いすぎて寝れなかったんです…」
先生「そうか、今日は寝れると良いね」
八幡「あ、先生。そういえば決まりましたか?俺達の退院予定は決まりましたか?」
先生「いや、まだだ」
八幡「そうですか…それじゃ、俺達は外に行ってきます」
先生「また二人で、ひなたぼっこかい?」
八幡「はい」
雪乃「レジャーシートを借りて行きます」
先生「ああ」
【病院中庭】
八幡「眠いな…」ギュッ
雪乃「ええ…眠いわね…」ギュッ
八幡(俺と雪ノ下は、仰向けで大の字のまま手を繋ぐ)
雪乃「早く…退院したいわ」
八幡「そうだな。そうすれば…もう誰にも邪魔されないのに」
雪乃「比企谷君…もう私、そろそろ眠りに付きそうだわ」カクッ
八幡「俺も…もう…寝る…」カクッ
雪乃「寝る前にキスしたいわ」ゴロン
八幡「わかった」ゴロン
八幡(俺と雪ノ下は、横向きになって向かい合い、お互い抱きしめあう)
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥ
雪乃・八幡「んっ」チュッ
雪乃「おやすみ…比企谷君…」ギュゥゥ
八幡「おやすみ…んんっ」チュッ
八幡(横向けに抱き合って、唇を重ねると、俺たちはそのまま瞼を閉じる)
職員1「二人とも、起きて」
雪乃・八幡「ん…」パチッ
職員1「夕食の時間だ。さあ食堂へ」
雪ノ下「もうすっかり暗くなってるわね…」
八幡「あ、待ってください」
職員1「?」
八幡「今日は…いや。今日から、何処かの空き部屋で食べても良いですか?」
職員1「構わないけど、その場合は」
八幡「分かってます。誰か職員もいなきゃダメなんですよね?」
職員1「そうなるね」
八幡「まあ仕方ない…か。雪ノ下、食堂行って配膳貰って来ようぜ」
雪乃「ええ、でも待って。その前に」
八幡「ああ、分かってる。んっ…」チュッ
雪乃「んんっ」チュッ
【空き部屋】
雪乃「はい、あーん」
八幡「んっ」パクッ
雪乃「おいしい?」クビカシゲ
八幡「おいしい」
雪乃「フフフ」ニコッ
八幡「っ!」ドキッ
八幡「んじゃ、次は俺が…はい、あーん」
雪乃「んっ」パクッ
雪乃「美味しいわ」ニコッ
八幡「……」ドックンドックン
雪乃「……」ドックンドックン
ギュッ
雪乃・八幡「……」ギュゥゥ
雪乃・八幡「んっ」チュッ
雪乃「……」スリスリ
八幡「美味しいけど…やっぱお前の手料理が食いたい」ナデナデ
雪乃「嬉しい…早く退院したいわね」スリスリ
八幡「ああ」
【深夜・雪乃の病室】
雪乃・八幡「はぁはぁはぁ…」ギュゥゥゥゥ
八幡「段々…コツを掴んできたな…んっ」チュッ
雪乃「ええ、私も何と無く…んっ」チュッ
八幡「監視がそろそろ来る。それじゃまた…数分後にな」
雪乃「ええ」
ガララ
八幡「……はぁぁぁ」
八幡「寂しい…寂しい…1分1秒でもアイツといたい」
八幡「……」プルプル
八幡「体の震えが止まらない…」プルプル
八幡「前にも合ったなこの症状…アレは俺が入院する直前にあった症状だ」
八幡「頭痛もするし、動悸も激しい…アイツを離れた直後だからだ」
八幡「ああ…早く会いたい」フラフラ
雪乃「比企谷くん…会いたい…会いたい…」ブルブル
雪乃「……」パクパク
雪乃「あれ?」
雪乃「いま、一瞬声が…?」
八幡(俺たちは深夜に、合う回数を増やしていった)
八幡(1時間に1回の監視の目を逃れる為に、逃げてはまた夜這いに向かうという行動を繰り返す)
八幡(もうお互いが好き過ぎて、夜も眠れない)
八幡(昼夜逆転した俺たちは、昼間は中庭でレジャーシートを敷いて一緒に昼寝)
八幡(夜は監視の目を盗んで、ひたすら愛に溺れた)
八幡(そういえば最近、読書もしなくなった。雪ノ下とたまにピアノを弾くくらい)
八幡(施設行事の、患者同士のレクレーションにも参加しなくなっていった)
八幡(俺は雪ノ下雪乃が好きだ。ずっと一緒にいたい)
八幡(一緒にいないと…寂しいし、何よりも怖い)
【深夜・八幡の病室】
八幡「あ……」ブルブル
八幡「また…手の震えが…」ブルブル
八幡「……」パクパク
八幡(ん?)
八幡「……」パクパク
八幡(声が…出ない!?)パクパク
八幡「何で、どうして」
八幡「……」
八幡「なんだ喋れるじゃん。ほっ」
八幡「何だったんだ今のは…まあいい。早く雪ノ下の部屋へ行くか」
~~~
八幡(先生から一向に、退院の予定日が聞かされること無く日々が続いていく)
八幡(それでも、雪ノ下と愛に溺れる日々が続いた)
八幡(そんなある日、事件は起きる)
ごめん、急用が出来たので出かけてきます
はやく用が済めばまた深夜に投下します
【1ヶ月後・雪ノ下の病室】
八幡(この日、俺たちはいつも以上に気持ちが高ぶっていた)
八幡「はぁはぁはぁ…!!」ズンズン
雪乃「あっ!あっ!!あっ!!あぁん!!」グチュグチュ
八幡「雪ノ下…雪ノ下…!!」ズンズン
雪乃「比企谷君!比企谷君!もっと…激しく…!!私を壊して…!」グチュグチュ
八幡「はぁはぁはぁ…一緒に…ぶっ壊れるぞ…!」
八幡(お互いを想いすぎて、もう何も考えれなかった)
雪乃「いっ…いぐっ!!いぐぅぅ!!」ビシャァァ
八幡「くっ…ぅぅ!!」ビュッ
~廊下~
職員1「ん、今の声は…」
職員1「雪ノ下さんの病室から…??」
職員1「……」
ガララッ
雪乃・八幡「っ!!」
職員1「っ!!!?な、何やってるんだ君達!!?」
【次の日・面談室】
先生「……」
雪乃・八幡「……」
先生「君達。ここをドコだと思ってる。ラブホテルか何かと勘違いしてるんじゃないか?」
雪乃・八幡「……」
先生「まあ他の職員からも散々注意されたと思うし、この辺で終わりにするよ。二度とこんな事をしないように」
八幡「……」
八幡(男女が愛し合うのに、どうしてそこまで首を突っ込まれなきゃ行けないんだ…)
先生「そもそも他の患者の…それも異性の病室に行くこと自体が御法度だ。まして消灯時間。お手洗い以外の用で歩き回っては行けない」
八幡(決まりだから?そんな事で俺たちを縛ってるのか?)
先生「いいかい、ルールが守れないようでは社会には出れない」
八幡「……」
先生「こういう問題の積み重ねが、更に退院の時間を延ばすことになる」
先生「退院まで、性行為は我慢するんだ」
八幡(何が社会だ…クソ喰らえ。ルールなんて…クソ喰らえだ…)
八幡(厳重注意程度で俺たちの愛を止められると思うな)
ギュッ
八幡(俺は静かに雪ノ下の手を握る)
雪乃「比企谷君…」
【その日の深夜】
コツコツ
職員1「……」
八幡(案の定。警備が厳しくなっている)
八幡(この感じからすると、1時間に一回だった見回りも、30分に1回になってるな)
職員1「……そろそろ時間か。よし」
八幡(ん、何かあるのか今日は?)
八幡(まあいい、30分以内でも良い。雪ノ下に会いに行こう)テクテク
八幡「ん?あの部屋から電気の光が…」
〔会議室〕
八幡「会議室から…?こんな真夜中の時間に会議…?」
『それでは聞いて欲しい』
八幡「先生の声だ」
『先ほどにも話した様に…』
『患者の雪ノ下雪乃と比企谷八幡を別離させる件だが』
先生「先にこの施設に入院した、比企谷君を別病院に送ろうと思うが」
先生「何か意見は?」
職員全員「……」
職員1「異議はありません」
女職員1「なんか…切ないよね。あの二人凄いラブラブだったのに」
先生「僕の予感は外れてなかった。あの二人は今、別な病に侵されてる」
職員2「やっと声が出るようになったのにな…可哀想に」
先生「僕だってこんな事したくない。だがあのまま二人を社会に出すわけには」
バンッ!!!
全員「!!!?」
八幡「はぁはぁ…」ギロッ
先生「ひ、比企谷君!?」
八幡「……っ!!!」グイッ
先生「うっ!!?」
ドンッ
八幡(俺はありったけの力で、先生の胸ぐらを掴み、壁に追い詰める)ググッ
先生「ぐぅぅ…待て…」ググッ
八幡(こんなに怒りが込み上げたのは恐らく初めてだ)
先生「ま、待て。話を聞いてくれ」
職員1・2「比企谷君!」ガシッ
八幡「……(俺と雪ノ下を別離ってとはどう言う事だ)」パクパクパク
職員1・2「……?」
先生「……」
八幡「……)!!(ふざけるな!!)」パクパク
八幡「……」パクパク
八幡(ん?あれ…)
八幡(また声が…出ない…)
八幡(そういや前にもあったぞ。すぐに治る)
八幡「……」パクパク
先生「比企谷君…まさか…」
八幡(全然治らない…)
雪乃「比企谷君…?」
八幡「……!」バッ
雪乃「どうしたの…なぜ先生の胸ぐらを掴んで…」
先生「雪ノ下さん!」
八幡「雪ノ下!」ダダッ
先生・職員「え?」
八幡「会いたかった」ギュッ
雪乃「私もよ。所でコレは一体どうしたの?」ギュッ
八幡「先生が…俺たちを別離させようとしていた」
雪乃「!!?」
雪乃「比企谷君と…別離…?」ヘタッ
雪乃「イヤ…もう…あんな辛い想いするの…イヤ…」ガクガク
雪乃「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ」ガクガク
雪乃「イヤアアァァァァァァァァ……!!」
雪乃「イヤ…イヤ…」ボロボロ
雪乃「…っ!…っ!」パクパク
先生「ん?」
雪乃「……」パクパク
雪乃「……!?」パクパク
女職員1「今度は雪ノ下さんが…」
雪乃(声が出ない…どうして…)
八幡「雪ノ下!お前まさか…」
雪乃「……」コクコク
八幡「」ブチッ
八幡「……!!」ギロッ
先生「っ!!」
先生(ヤバイ目だ…発狂して暴力行為をする時の患者の目と同じだ)
先生(この事態を収拾するには…止む終えん…)
先生「二人に鎮静剤を!」
職員1・2「!!」ダダッ
女職員1「ごめんね雪ノ下さん」プスッ
雪乃「っ…」カクッ
職員1「比企谷君!落ち着いて!」プスッ
八幡「ちょっおい!何すんだよ…!!」
八幡「うっ…」カクッ
先生「次に念のために、病室に外側専用鍵をかけて置くように」
職員1「そ、外鍵!?」
職員2「ウチの病院で、患者相手に外鍵使うなんて初めてだぞ…」
先生「僕だってしたくないよこんな事…」
【八幡の病室前】
職員1「これで良し…と」
職員2「会議に戻るぞ」
~~~
八幡(あぁ…眠い、もう意識が…)ボーッ
八幡(そういや何でさっきはあんなにブチ切れてたんだっけ…)
八幡(あんなに怒ったのは初めてだった…どうして怒ったんだ俺は…)
八幡(……)
八幡(そうだ、雪ノ下と俺が…別離になるって…)
八幡(……)
八幡「っ!!」ガバッ
八幡「……」パクパク
八幡(声が出ない。ホワイトボードを首に下げないと)ススッ
八幡(今いくぞ、雪ノ下)ググッ
八幡(あ、あれ?ドアが開かねぇぞ)
八幡(………こうなったら)ググッ
職員1「大丈夫かな」
職員2「大丈夫だって。あの鎮静剤を打てば、5分くらいで眠りに付く」
ドォォン!ドォォン!
職員1・2「っ!!?」
ドォォン!ドォォン!
職員1「な、なんだ。この音は」
ベチャッ!ベチャッ!
職員2「おい。音が少しおかしくなったぞ」
ベチャッ!ベチャッ!
職員1「嫌な予感がする。一旦、外鍵を解除するぞ」ガチャッ
ガララ
八幡「フゥー…フゥー…」
ポタポタ…ポタポタ…
職員1「っ!?何だその拳は!!どうして血まみれ何だ!?」
八幡(筆談)『そちらが俺の事を閉じ込めたせいですよ。脱出の為にドアを叩いて壊そうと思ってまして』
職員1・2「……!!?」
八幡(筆談)『でも、手間が省けたみたいですね』
八幡「……」テクテク
職員1「ちょっと!ドコへ行くんだ!」
八幡(筆談)『雪ノ下の所へ』
職員2「そんな事よりも怪我の手当てを」
八幡(ふざけるな。相手してられるか)ダダッ
職員1・2「おい、待て!」
八幡(雪ノ下…雪ノ下…)ダダッ
女職員1「ひぃ!?何で比企谷君が廊下を走ってるの!?」
ビクッ
八幡「……」ググッ
八幡(くそ!!開かない!!)
ドンドンドンドン!
八幡「っ!!」
ドンドンドンドン!
八幡(雪ノ下もこの部屋から出ようとしてる…!!)
八幡「……!」ギロッ
女職員1「ひぃ…」
八幡(俺の勘が言ってる。多分、鍵を持ってるのはこの職員じゃない)
八幡(鍵を持っているのは…)チラッ
職員1・2「待つんだ比企谷君!」ダダッ
八幡「……」テクテク
職員1「やっと諦めてくれたか」
八幡(適当に壁の方向に指を差す)ススッ
職員1「ん?どうしたんだ」チラッ
八幡(隙あり)バッ
職員1「なっ!?」
職員2「しまった!!」
八幡(いま開けるぞ雪ノ下)ガチャガチャ
ガチャン、ガララ
雪乃「っ!!」
八幡「雪ノ下!!」ダキッ
雪乃「比企谷君!!」ダキッ
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
女職員1「また…声が出るようになってる…」
職員1・2「嘘だろ…」
雪乃「比企谷君…比企谷君、比企谷君…」グスッ
八幡「大丈夫か?お互い注射されたが」ナデナデ
雪乃「意識が…ボーっとするわ」
八幡「俺もだ。でも…お前に会いたい一心でここまできた」
雪乃「嬉しい…」ボロボロ
先生「……」コツコツ
雪乃「先生…」
八幡「……」ギロッ
先生「……」
先生「……はぁぁ。わかった、良く分かった。君達の別離の件は白紙に戻す」
雪乃「え……」
八幡「ほ、本当ですか?」
先生「ああ」
雪乃・八幡「……」
八幡「ヘ、ヘヘ」
雪乃「フフフ」
八幡「やったな」
雪乃「ええ、私達の愛が勝ったわ」
先生「とりあえず、比企谷君。手の手当てをするから、スタッフステーションまで来てくれ」
八幡「先生、さっきはすいませんでした」
先生「ああ、良いよ」
八幡「」クラッ
雪乃「……比企谷君!しっかりして!」ポスッ
雪乃「う…あぅ…」クラッ
ドサッ
先生・職員「……」
雪乃・八幡「zzz…」
先生「今日は二人を特別に、宿直室で寝かせて上げなさい。あと手当てを」
職員1「え、良いんですか!?」
先生「宿直室の方がコチラとして、監視が行き届くだろ?」
先生「それに」チラッ
雪乃・八幡「zzz…」
先生「鎮静剤を打って、あそこまで意識を保ってた患者は初めて見た」
先生「二人の件に付いては…また後で、話し合おう」
雪乃「比企谷君…好き…zzz…」
八幡「好きだ…雪ノ下…zzz…」
【次の日・空き部屋】
八幡「へへへ」ギュッ
雪乃「フフフ」ギュッ
八幡(目が覚めた俺たちは、布団の敷かれてないベットの上で横になり、互いに両手で指を絡め、見つめ合う)
八幡(部屋の中のカーテンは締め切ったまま。だが昼間である為、そこまで暗くは無い)
雪乃「……」スリスリ
八幡(雪ノ下は、俺の包帯の巻かれた手を、頬で撫でるように寄せる)
雪乃「比企谷君は…私だけの目が腐った王子様…」ウットリ
八幡「おい、目が腐ってるだけは余計だ」
雪乃「フフフ。でも、そんなアナタが好き…んっ」チュッ
八幡「んっ」チュッ
ギュゥゥゥゥ
雪乃「幸せ」スリスリ
八幡「ああ…幸せだな…」スリスリ
【更に次の日・空き部屋】
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥゥゥ
八幡(俺たちは抱き合ったまま、動かない)
八幡(ふと、雪ノ下の顔を見る)
雪乃「どうしたの?」
八幡「目の下のクマが酷いぞ」
雪乃「フフフ、比企谷君も酷いわよ」
八幡「昨日はだいぶ夜更かししたからな」
雪乃「ええ、そうね」
八幡「へへへ」
雪乃「フフフ」
ガララ
先生「二人とも、いつまで寝てるんだ」
八幡「うっす」
雪乃「こんにちは」
先生「昨日、職員から聞いたけど…君達、ずっとここに篭もってて、ご飯を食べてないんだって?」
八幡「面倒なんですよ。ご飯を食べるなんて」
雪乃「比企谷君を見つめていたいんです。ずっと…抱きしめていたいんです」
雪乃「そうしないと…ほら」パッ
雪乃「手の…震えが…」ブルブル
八幡「俺も…手の震えが止まらないんっスよ」ブルブル
雪乃「おまけに動悸が激しくなります」
雪乃「私もです」
雪乃「最も…比企谷君と一緒に愛し合っててもドキドキしますが」
八幡「へへ、そういやそうだな。俺もだよ。離れていようと、愛し合っていようと…心臓がドキドキしっぱなしだ…」
雪乃「『苦痛な動悸』か『幸福な動悸』の違いね」
八幡「そうだな…んっ」チュッ
雪乃「んっ」チュッ
先生「……ともかく、ご飯は食べてくれ」
八幡「先生…俺は近頃思うんです」
八幡「もう…社会なんかに出なくて良いかなって」
先生「な!?」
雪乃「私も同じ事考えてたわ」
雪乃「よくよく考えれば社会に出れば否応なしに、離れなければならない瞬間がある…」
雪乃「それならいっそ、この病院で一生を送るのもアリかと」
先生「キミ達、何を言ってるんだ」
八幡「良かったっスね先生。良い金づるがいて」
雪乃「比企谷君、相変わらず最低な物言いね。でもそんなアナタが大好き…ん」チュッ
八幡「んっ」チュッ
先生「バカな事を言うな」
八幡「まあ、もっとぶっちゃけると」
八幡「このまま飯も食べず水も飲まずに、死んでも良いかなって」
雪乃「私も、そう思うわ」
八幡「飯も食べずに、水も飲まずに…ただ俺たちが愛し合いながら日々を過ごし、死ぬ」
雪乃「そうすれば私たちは、ずっと永遠になります。素敵だと思いませんか?」クルッ
先生「っ!!?」ビクッ
先生(雪ノ下さんの目に…光が全く無くなってる…)
八幡「俺たちは一緒に死んで、永遠になる」ギュゥゥゥ
雪乃「もう誰にも干渉されないし、邪魔されない。そして私たちは永遠」スリスリ
八幡「ヘヘへ」
雪乃「フフフ」
先生「いい加減にしろ!!」クワッ
八幡「……っ。ビックリした何スか」
雪乃「先生。病室ではお静かに」
先生「……怒鳴って悪かった。でも覚えておいてくれ」
先生「単純な事だ。命は大事にしなさい」
先生「そして…君たちがいなくなる事で、悲しむ人達がいる事を忘れずに」
雪乃・八幡「……」
先生「ここに、君達の朝食分の配膳をおいて置く」
先生「しっかり食べておきなさい。それで生き延びるように」
ガララッ
八幡「……やっと消えたか」
八幡「でもまあ。前に先生の胸ぐら掴んだ件もあるし…何より、あの温厚な先生が怒鳴ってしまうほどだ」
八幡「ここは先生の口車に乗ってやるか…雪ノ下、お前はどう思う?」
雪乃「私は比企谷君に付いていくわ。アナタに従う」
八幡「そうか。悪い。まだ一緒に永遠になれそうに無いわ」
八幡「……それに。お前を巻き込んで、死なせてしまう訳だしな。迂闊には出来んな」
雪乃「もう一度言うわ。私はアナタに付いていきたいだけ」
八幡「それなら、一緒にご飯を食べようぜ」
雪乃「それならまず、私がコップに入った水を飲むから。それを口で移してあげるわ」
八幡「飲ましてくれるのか…へへへ、楽しみだ」
雪乃「フフフ、比企谷君も私に飲ませてね」
【食後・空き部屋】
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥゥ
八幡(食事を終え、再び抱き合う)
八幡「……」
――君たちがいなくなる事で、悲しむ人達がいる事を忘れずに
八幡「俺たちがいなくなる事で悲しむ人達…」
雪乃「先生がさっき言ってた事?」
八幡「ああ」
雪乃「……」
八幡「……」
雪乃「……ねぇ、元気にしてるかしら」
雪乃「――――」
八幡「――――か。最近連絡取ってないな」
八幡「………どうしてるんだろうな。アイツは」
八幡「あ、俺もそもそも携帯壊しちまったんだ」
雪乃「あら、そうなの?実は私も」
八幡「マジ?」
雪乃「ええ…入院直前にね。心が不安定になってて、アクシデントを起こしてしまって、携帯が手から離れて飛んでって…」
雪乃「そのまま携帯は、マンホールの中に…」
八幡「そうか」
雪乃「比企谷君はどうして携帯を?」
八幡「入院直前に、自暴自棄になって……つい八つ当たりを」
雪乃「そう」
八幡「……」
雪乃「……」
【消灯時間】
職員1「さあ部屋に戻るんだ」
職員1「雪ノ下さんは『比企谷くんの隣の部屋』だよね?ほら」
雪乃「はい…」ブルブル
八幡(あれから先生の配慮で、俺の病室の隣に雪ノ下を移してくれた)
八幡(最も、監視は今まで以上に厳しくなって、夜這いするのが不可能に近くなったが)
八幡(そして相変わらず、俺たちは離れた途端に、体の震えが、動悸が激しくなる)ブルブル
八幡(やがて病室へ入ると、言葉が出なくなる)
雪乃「比企谷君…おやすみ」
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥゥ
雪乃・八幡「んん…」チュッ
雪乃「比企谷君…実は、寂しい夜を乗り越えるために、アイデアを思いついたの」
八幡「ほう、どんな?」
八幡(そういうと雪ノ下は、赤い毛糸を取り出す)
雪乃「コッチが歩行専用の短い糸。もう一つが就寝専用の長い糸よ。合計二つ」
八幡「これは一体…」
雪乃「こうやって結ぶの」ギュッギュッ
八幡(雪ノ下は俺の小指と、自分の小指に、赤い糸を結んでいく)
雪乃「ハイ、出来たわ」
八幡「運命の…赤い糸…」
雪乃「フフフ、そうよ。運命の赤い糸」
雪乃「病室は隣になった訳だし、就寝用の糸なら…寝ていても繋がったまま」
八幡「雪ノ下…ありがとな」
雪乃「おやすみ」チュッ
八幡「おやすみ」チュッ
~~~~
八幡「運命の赤い糸…」
八幡「へへへ、ダメだ。ニヤケが止まらん」
八幡「今日はおかげで、声もちゃんと出るな」
コンコン
八幡「ん?」
コンコン
八幡「壁から音が隣の部屋から…雪ノ下か!!」
八幡(よし、俺も)ススッ
コンコン
~~~
雪乃「っ!!聞こえたのね」
雪乃「フフフ、例え壁があろうと私たちは一つよ」スリスリ
雪乃「比企谷君…比企谷君…比企谷君…」スリスリ
~~~
八幡「へへへ、壁の向こう側には雪ノ下…」
八幡「はぁぁ…雪ノ下…雪ノ下…」スリスリ
八幡(俺は音のした方の壁に、頬を摺り寄せる)
八幡(運命の赤い糸を、その目で見つめながら)
八幡「ああ…雪ノ下…雪ノ下…」スリスリ
今日は以上です
中盤は終了です
次回から終盤へと突入
投下します
因みに終盤の初めはイチャイチャは少なめです
ラスト付近は多くなるけど
【次の日・病室】
八幡「へへへ、昨日は久々に良く寝れたな」
八幡「小指に結んだ運命の赤い糸のおかげで…へへ、へへへ」ウットリ
八幡「……」
八幡「糸…結ぶ…繋がり…」
八幡「……」
【数時間後・空き部屋】
八幡「……」ボーッ
雪乃「フフフ」スリスリ
雪乃「……?」
八幡(ベットの上で仰向けに寝てる俺に抱きつく雪ノ下は、ふっと顔をコチラに向けると不思議そうにこちらを見る)
雪乃「比企谷君…どうしたの?元気が無いわよ」
八幡「え」
雪乃「もしかして、私の事飽きちゃった?そんな…そんなのイヤ…」ウルウル
八幡「ばか。飽きるわけ無いだろ。むしろ今ので余計好きになったわ」ギュゥゥ
雪乃「ふわぁ…」ギュゥゥ
八幡「……」
雪乃「嬉しい…でもね、比企谷君、やっぱり今日は何かおかしい」
雪乃「何か考え事でもしてるのかしら?」
八幡「前に先生に言われた『君たちがいなくなる事で、悲しむ人達がいる事を忘れるな』って言葉が…ずっと残ってて…」
雪乃「……」
八幡「なあ雪ノ下。俺はお前と再会できて本当に幸せだ…んっ」チュッ
雪乃「私も。んっ」チュッ
八幡「でも…未だにモヤモヤしてる物が残ってるのも事実だ」
雪乃「……」
八幡「ずっと黙ってたけど、俺は入院してしばらくした後…でもまだお前がココに来る前の話だけど」
八幡「寝る前に、よく手紙を書いてた」
雪乃「手紙?」
八幡「ああ…色んなことを言い訳して、結局出してないけどな」
雪乃「……私も」
八幡「ん?」
雪乃「書いてはいないけど、出そうと悩んだことなら」
八幡「……そうか」
八幡「もう今更遅いよな。でもやっぱり先生の言葉が引っかかってて」
八幡「……雪ノ下。俺の病室まで一緒に来てくれるか?」
雪乃「ええ」
~~~
八幡「よし」
雪乃「また空き部屋に戻ってきたけど、机に座ってどうしたの?」
八幡「雪ノ下、頼みがある。俺の左手を握っててくれ」
雪乃「ええ」ギュッ
八幡「ありがと。お前に触れてないと手の震えが酷くて」
雪乃「私もアナタに触れてないとおかしくなってしまうから構わないわ」ギュッ
雪乃「それより、その封筒とリング付きA4ノートは?」
八幡「また手紙を書く。出す相手は…二人」
八幡「前は勇気が無くて出せなかったが、今度こそは」
八幡「ダメだ…ダメだダメだダメだ」ポイッ
雪乃「……」
八幡(数時間後、未だに手紙を完成してない)
八幡(部屋の中はクシャクシャに丸められた紙が散乱している)
八幡「はぁはぁはぁ…」
雪乃「私も書くわ」
八幡「え」
雪乃「私も…書くべきだと思う」
八幡「……」
雪乃「だから、一緒に頑張りましょう」
八幡「雪ノ下…」
雪乃「私はアナタの左手を握ってるけど、別に左手でも文字は書けるから問題ない」
雪乃「さあ、一緒に書きましょう」
八幡「ああ」
【2日後】
先生「二人が手紙を書いてる?」
職員1「はい。共通の知り合いに出すと言ってましたが」
職員1「何か葛藤してるようで、未だに出してない様です」
職員2「そういえば比企谷君は以前、ココの施設に入院して2ヶ月目位にも、夜中に手紙を書いてました」
先生「前にも書いてた?」
職員2「はい。でも結局、紙を全部破り捨てて、諦めたみたいです」
【3日後・空き部屋】
八幡「……」
雪乃「……」
八幡(俺たちは、布団の敷かれてないベットの上に転がっていた)
八幡(そして、部屋中が丸められた紙、破り捨てられた紙で散乱していた)
雪乃「お掃除…しないとね」
八幡「ああ」
雪乃「……」
八幡「……」
八幡「……ダメだ。正直無理だ」
八幡「とてもじゃないが今更出せない」
雪乃「比企谷君…ごめんなさい。わたしも…」
雪乃・八幡「………」
八幡「雪ノ下…もう俺にはお前しかいない」ギュゥゥ
雪乃「比企谷君…」ギュゥゥ
八幡「今日は珍しく、監視係がいないな」
雪乃「他の患者の対応に追われてるんじゃないかしら?」
八幡「今日は久々にしようぜ。んっ」チュッ
雪乃「ええ。んっ」チュッ
ドサッ
――
―――
――――
【時がたち。年が明けて7月・比企谷家】
小町「お兄ちゃんが入院したのが去年の4月」
小町「あれから1年と三ヶ月か…」
小町「ん~~…おかしいなぁ。小町の計算だと、もうとっくに退院してるハズなのに」
小町「病院ではあんなに幸せそうにしてたのに…」
小町「まさかあんな展開になってるなんて…小町もパパもママも驚いたよ」
小町「お兄ちゃんにもまだ運が残ってたんだね」
小町「お兄ちゃんと最後に直にあったのは去年の7月。それ以降は遠くで様子見…」
小町「とてもじゃないけど、あの空間に入る込む勇気は、パパもママも、そして小町にもありませんでした」
小町「でも未だに退院してこない」
小町「これは何かあるハズ。そろそろ行ってちゃんと顔会わせしないとね!」
小町「今日から夏休みだし…レッツゴー!」
【外】
小町「暑ぃぃ…アイスでも買っていってあげようかな。保冷剤も付けて貰わないと」テクテク
小町「……ん?」
?「暑ぃぃ……」ダラダラ
小町「あ、結衣さん!!お久しぶりです!!」
結衣「え…ああ、小町ちゃん…やっはろー…」
小町「お久しぶりですね!帰省してきたんですか?」
結衣「うん…そんな所…かな」
結衣「……」
小町「……あれ?なんか元気ないですよ」
結衣「え、ええ?そうかな。そんな事、ない、よ……多分」
小町「……?まあいいっか」
小町「それより県外から帰省してきたと言う事は、これから結衣さんも御見舞いに行く感じですか?」
結衣「え…?御見舞い?誰の?」
小町「またまた~とぼけちゃって…あ、でも結衣さん的にポイント最悪か…」
結衣「???」
小町「結衣さん…その、なんでしょう。まあ、うん仕方ないですよアレはもう」
結衣「えっと…ごめん。何の話?」
小町「……もしかして、本当に何も知らないんですか?」
結衣「??」
小町「えっとですね…実は…」ゴニョゴニュ
結衣「っ!?ええええええ!!?ヒッキーが鬱になって入院!!?」
小町「はい…本当に何も知らないんですか?」
結衣「だって…ヒッキーとはもう1年以上連絡が途絶えてて…」
結衣「毎週メールとか電話とかしてたのに…」
小町「ゴミィちゃん…」
結衣「でもでも、それだけじゃないの」
結衣「ゆきのんとも連絡が取れなくて」
小町「っ!?雪乃さんとも…?」
結衣「うん…」
小町「……」
小町「結衣さん、積もる話もあるでしょう」
小町「これから一緒に喫茶店に寄りませんか?それから小町と一緒に、お兄ちゃんのお見舞いに向かいましょう」
結衣「うん、いく!」
【喫茶店】
小町「大学はどうですか?」
結衣「うん。楽しいよ。姫奈もいるし、優美子ともいっしょだし…他にも友達いっぱい出来たし…」
小町(その割には表情が暗い気が)
店員「ケーキをお持ちいたしました」
小町「どうも!」
結衣「……」ペコッ
小町「さあ!食べましょう!」
~~~~
結衣「それで…ヒッキーの事なんだけど…」
小町「えーとですね、結衣さん…実は」
小町「お兄ちゃんだけじゃなくて…雪乃さんも入院してるんです」
結衣「っ!!!?」
小町「それで…実は…その…」
結衣「うん…」
【病院】
小町「こんにちは先生!」
先生「やあ、比企谷君の妹さん。お久しぶり」
結衣「こんにちは」
先生「キミは?」
結衣「えとヒッキーとゆきのんの…いえ、比企谷君と雪ノ下さんのお友達の由比ヶ浜結衣です!」
先生「ああ…キミが…比企谷君と雪ノ下さんのお友達か」
結衣(私の名前を知ってる?)
結衣「それで…ヒッキーとゆきのんはどんな感じ何ですか?」
先生「……………」
小町(……凄い複雑そうな表情、やっぱり何かあったんだね。この数ヶ月で)
先生「そこのキミ、僕は昨日休みだったが二人はどうしてる?」
職員1「昨日は完全に絶食してました。朝食もまだ食べてません」
小町・結衣「ぜ、絶食!?」
小町「お兄ちゃん…一体どうしちゃったの…!?」
結衣「ヒッキー…ゆきのん…」
職員1「辛うじて会話は出来ます」
先生「その…とりあえず、付いてきてくれたまえ」
【空き部屋の病室】
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥゥ
雪乃「好き、大好き、愛してる」
八幡「好きだ。大好きだ」
雪乃・八幡「んっ」チュッ
雪乃・八幡「んん…んぁ…」レロレロ
八幡「へへへ、丁度お前と再会して一年くらい経つな」ナデナデ
雪乃「もうそんなに立つのね」スリスリ
雪乃・八幡「んっ」チュッ
雪乃・八幡「………」ギュゥゥゥゥ
雪乃・八幡「………」
雪乃「比企谷君、人の気配が」
八幡「ああ、誰かいるな。いつの間に入ってきたのか」
八幡「さては先生だな?」
雪乃「ええ、きっと先生ね」
八幡「はぁぁ…もうなんスか。邪魔しないでくry」チラッ
結衣「……」ボロボロ
雪乃・八幡「え」
結衣「ヒッキー…ゆきのん…ぅぅ…会いたかったよ…」ボロボロ
結衣「酷いよ二人とも…私にちゃんと連絡頂戴よ…」グスグス
八幡・雪乃「ゆ、由比ヶ浜(さん)…!!?」
小町「おーい、小町もいるんだけど」
八幡「小町、お前も!?」
結衣「入院するなら言ってよ!」グスグス
結衣「そりゃ…鬱病だし。気持ちも不安定だし、言いづらいかもしれないけど」
結衣「私だって!友達の力になりたいもん!」ボロボロ
結衣「一人にしないでよ…ばか…」グスグス
雪乃「由比ヶ浜さん…」ツー
雪乃「うぅ…ぅぅ…」ポタポタ
八幡「あ…ぁぁ…ゆ、由比ヶ浜…」ガクガク
先生(雪ノ下さんも比企谷君も動揺してる…恋人関連意外でココまで動揺するのは始めて見た)
八幡「あ…ぁぁ…」ガクッ
小町「え、ちょ、お兄ちゃん!?ど、土下座!?」
八幡「ぁぁ…悪かった。今日まで色んなこと言い訳してきて、お前と連絡を取らずに…」グスッ
八幡「ご、ごめん…ぅぅ…ごめん!!」ボロボロ
結衣「土下座するくらいなら初めから手紙くらいだして…ばか!ヒッキーのばか!ばか!!」ボロボロ
結衣「うっ…ぅぅ…」ボロボロ
結衣「会いたかったよヒッキー…」グスグス
雪乃「うぅ…ぅぅ…由比ヶ浜さん、ゴメンなさい。ゴメンなさい」ススッ
結衣「ちょ!?ゆきのんまで土下座しないで!!そんな姿のゆきのんは見たくないよ!!」
雪乃「でも…うぅ…」ボロボロ
結衣「私の知ってるゆきのんはもっと堂々してるハズだよ?止めてよそんな事…謝るならちゃんと立って!」ボロボロ
雪乃「はい…」スクッ
雪乃「ごめんなさい…ごめんなさい…」ボロボロ
結衣「うん…ゆきのんもちゃんと連絡ぐらい取ってよ…」
結衣「アタシ、二人に嫌われちゃったと思ってたんだよ…?」
結衣「私のメールとか電話とかがウザかったのかとか…何か気に触るようなこと言っちゃったのかとか…凄く考えたんだからね!」
雪乃「ごめんなさい…ごめんなさい…」ボロボロ
八幡「うぅ…ぐ…すまん…」ボロボロ
結衣「ヒッキーもいい加減に立ってよ…もう良いよ。その代わり」
雪乃・八幡「うぅ…ぅぅ…」グスグス
結衣「その代わり…もう一度やり直そうよ。3人の関係を」
今日はここまで
八幡「すまねぇ…すまねぇ…」グスグス
結衣「ほら、立ってヒッキー。肩を貸すから」ススッ
八幡「……」ガタガタ
雪乃「……」ガタガタ
結衣「っ!?ちょ、二人とも大丈夫?凄い震えてるけど」
八幡「わ、悪い…鬱の影響でな」ガタガタ
八幡「自分で動けるから平気だ」フラフラ
小町「お兄ちゃん…」
八幡「心配するな。震えを止める方法ならある」
小町・結衣「?」
八幡「雪ノ下」ギュッ
雪乃「比企谷君」ギュッ
小町「手を繋いだら止まった…」
八幡「雪ノ下に触れれば治まるんだ」
雪乃「ゴメンなさい由比ヶ浜さん…心配かけて…」
結衣「ううん。大丈夫だよ」
結衣「それよりも…二人とも昨日から何も食べてないんだっけ?」
雪乃「え、ええ」
結衣「二人とも凄い顔色が悪いよ…」
雪乃・八幡「……」
結衣「お昼御飯は…ね?しっかり食べなきゃダメだよ?」
雪乃「ええ」
八幡「ああ、ちゃんと食べる」
結衣「じゃあ…一緒に食堂に向かおう?」
八幡「ああ…」フラフラ
小町「本当に大丈夫?歩ける?」
八幡「心配すんな」フラフラ
雪乃「……」フラフラ
【食堂】
雪乃・八幡「……いただきます」
雪乃・八幡「……」チラッ
雪乃「はい、あーん」
八幡「あーん」チラッ
結衣「わぁぁぁ…///」カァァ
小町「ほうほう」ニヤニヤ
雪乃・八幡「っ!!」
雪乃「きょ、今日は一人で食べない?」
八幡「あ、ああ…」
結衣「別に遠慮しなくて良いんだよ」
雪乃「イヤでも…」
結衣「気にしなくて良いから。ほら!」
雪乃「……」
小町「お兄ちゃんも雪乃さんにいっぱい甘えちゃいなよ!」
八幡「いやでも…」
結衣・小町「いいから、ほらほら」
雪乃・八幡「……」
雪乃「はい、あーん」
八幡「あーん…」パクッ
雪乃・八幡「……」ドキドキ
雪乃・八幡「……」ウットリ
八幡「次は俺が…はい、あーん」
雪乃「あーん」パクッ
小町「お兄ちゃん。私ちょっと自販機でジュース買って来るね」
八幡「ああ」
結衣「あ、あたしも」
結衣「びっくりした!本当にバカップルになってたね!」
小町「でしょでしょ?まあその…結衣さん的には…アレかもしれませんが」
結衣「私は気にしてないよ」
小町「結衣さん…」グスッ
先生「由比ヶ浜さん」
結衣「あ、先生」
先生「驚いたよ…あの二人の心を瞬時に動かしてしまって」
結衣「え?」
先生「二人の空間を邪魔する物は絶対に許さない…それがあの二人だった」
先生「だから我々でも手に負えなかった」
先生「一応ね。僕はこれまで多くの、問題とされてた患者を退院させてきた」
先生「だから二人を更正させる自信もあった。ましてあの二人が入院したての頃は一番大人しくて、優等生の立場だった」
先生「それが今じゃ、病棟創設以来の一番の問題児…いや、問題カップルになってしまって…」
結衣「ヒッキーはともかく、ゆきのんが問題児ってなんかピンとこないな」
小町「確かに…ゴミィちゃんはともかく、雪乃さんが」
先生「確か東大並みに難しい、海外の大学出身なんだっけ?」
結衣「はい。ゆきのんは本当に凄い子なんですよ?何をやらせても完璧で」
結衣「性格も今とだいぶ違くて、みたまんまクールで、結構毒舌な所もあって…でも結構可愛いところもあって…」
結衣「ヒッキーは、そんなゆきのんにいつもいじられてて」
先生「昔から仲は良かったんだね」
結衣「はい。今はバカップルですけど、昔はヒッキーがゆきのんに尻にしかれてるって感じで…付き合っては無かったんですけどね」
結衣「でも、そんなゆきのんを、アタシを助けてくれてたのもヒッキーでした」
先生「……」
結衣「それで…ヒッキーとゆきのんを…鬱に追い込ませてしまったのもアタシに責任があります…」
小町「結衣さん、それは考えすぎじゃ」
結衣「ううん。あの修学旅行の時だって、生徒会の時だって…もっと考えて行動してれば二人を救えた…」ウルッ
結衣「うぅ…ぅぅ…ヒッキーとゆきのんに悪いことしちゃった…」グスグス
先生「……」
【昼食後】
雪乃「比企谷君、お口にソースが付いてるわ」
雪乃「私の舌で取ってあげるわ」ペロッ
八幡「……」ドキドキ
雪乃「フフフ」ウットリ
八幡「へへへ」ウットリ
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
八幡(あぁぁ…幸せだな。飯も食ってみるもんだな)
八幡「そういや、由比ヶ浜と小町の帰りが遅いな」チラッ
雪乃「そういえばそうね」チラッ
小町・結衣「やっはろー!」
雪乃「!?」バッ
八幡「お前達いつからいた!?」バッ
小町「んーと、5分前くらい?」
結衣「別にヒッキーと離れなくても良いじゃん!イチャイチャしちゃいなよ!」
雪乃「いや、で、でも」
小町「良いじゃないですか雪乃さん!再会してもう一年近くなるんですよね?」
小町「その間、人目も憚らずイチャイチャしまくってたじゃないですか!今更何を恥じるんですか?」
雪乃「!?」
八幡「おい待て、なぜそれを知っている」
小町「だってさお兄ちゃん、そもそもおかしいって思わなかった?」
小町「小町とパパとママが何で、お見舞いに来ないのかって」
八幡「疑問には思ってたが正直、雪ノ下に夢中で深く考えないようにしてた…」
小町「あのね、私もパパもママも…何回も目撃してるんだからね?」
小町「雪乃さんとベロチューしてたり、抱き合って頬を寄せ合ってたり、ホワイトボードで愛を語り合ってたり…」
雪乃・八幡「」
小町「見てるコッチが恥ずかしくなっちゃって…パパとママと話し合った結果、そっとしておこうってなったの」
八幡「うわぁぁぁぁぁ…見られてたのかよ…」
雪乃「」
小町「別に良いじゃん。患者さんとか職員さんの前ではイチャイチャしてたのに」
八幡「いや、でも、こう…身内とかに見られるのは…な?」
雪乃「」
結衣「ゆきのーん、しっかり!」
雪乃「まあ比企谷君のご家族だけなら…まだ良いわ」
雪乃「もしも姉さんに見られてた日には私、どうすれば良いか…」
八幡「雪ノ下さんだけは勘弁してくれ…」
小町「これから、どうする?部屋に戻るの?」
八幡「そもそもあの部屋は空き部屋で、俺と雪ノ下が借りてるんだけどな」
八幡「まあとりあえず戻るわ…お前達も来るか?」
小町・結衣「うん」
【空き部屋】
八幡「夏休みはいつまでだ?」
結衣「んっとね、9月半ばまで」
雪乃「夏休み明けたら…3年だし、就活の時期ね」
結衣「あぅぅ…頭がいたい…」
八幡「まだ焦る必要ないだろ。本番は来年だ」
コンコン
女職員1、2「失礼しまーす」
雪乃・八幡「っ!!!!」ビクッ
小町・結衣「?」
女職員1「雪ノ下さん、入浴の時間です」
雪乃「あの…比企谷君と入りたいです…」
女職員2「ダメです。さあ、行きましょう」ガシッ
雪乃「イ…イヤ…イヤ!イヤアアアアァァァァァ!!!!」
小町・結衣「!!?」
小町「ちょっと、お兄ちゃん!雪乃さんが大変d」
八幡「雪ノ下!!!!!」
小町・結衣「!!?」
職員1「比企谷君、ダメだ」ガシッ
八幡「離せ…離せよ!!!離せ!!!!!」
結衣「ヒ、ヒ、ヒッキー…?」
小町「」アゼン
八幡「イヤだ!!!雪ノ下と離れたくない!!!一緒にいさせてくれよぉぉ!!!」ジタバタ
【入浴場前】
『イヤ!イヤァァァ!!比企谷君と入りたい…!!こんなのイヤ、イヤァァァ!!!』
『雪ノ下さん、お願いだから落ち着いて』
『助けて比企谷くん!!!』
八幡「おい!!!ココを開けろ!!!開けろぉぉ!!!!」
ドンドンドンドンドン!!!
八幡「開けろっつってんだろうがぁぁぁぁ!!!!」
職員1「比企谷君、落ち着いて」ガシッ
八幡「邪魔をするな!!!開けてくれよ!!!」
八幡「あああああああああああ!!!!」ドンドンドン
小町・結衣「」
先生「今日も始まったか」
小町「え、えっと。いつもこんな事を?」
先生「二人が付き合い始めてからはね」
先生「それでも初めのうちは大人しい抵抗だった」
先生「二人が絶食を定期的に行うようになってからは…もう酷い有様だ」
小町「絶食ってどれくらいのペースで?」
先生「1ヶ月に約10回」
小町・結衣「!!?」
先生「たまに点滴で栄養を送ろうともするが、すぐに栄養パックを捨てられてしまう」
『イヤだ!!!こんなのイヤァァァァ!!!』
先生「雪ノ下さんが発狂してしまうから、他の患者さんと時間帯をずらしている。だから職員が体を洗ってあげてるんだ」
先生「あの二人は他の人間に、体をほんのちょっとでも触れられるのを極端に嫌う」
八幡「ああああああああああああああ!!!!」ドンドンドンドン
小町「お兄ちゃん!!!」
八幡「っ」ビクッ
小町「しっかりしてよお兄ちゃん!こんなの小町の知ってるお兄ちゃんじゃない…」グスッ
八幡「はぁはぁはぁ…」
小町「手を見せて…凄い晴れ上がってるじゃん…」ポロポロ
小町「小町を悲しませないで…」グスグス
八幡「小町…」
八幡「……」ガクガク
小町「雪乃さんに会えなくて、体の震えが止まらなくて…苦しいかも知れないけどさ」
小町「こんなお兄ちゃんを見てる小町だって苦しいんだよ?」
八幡「……」ガクガク
結衣「先生」
先生「ん?」
結衣「他の患者さんとか、時間をずらして入浴してるんですよね?」
結衣「それじゃ…あたしが、ゆきのんとお風呂に入って良いですか?」
先生「由比ヶ浜さん…」
結衣「ヒッキー!!」
八幡「っ!」
結衣「あたしがゆきのんと一緒に入ってくる!だから…その…ね?」
八幡「………」
八幡「わかった。雪ノ下を任せる」
職員・先生「!!!?」
職員1「抵抗を…素直に止めた…」
八幡「小町…病室戻るぞ」
小町「うん」
【入浴室】
結衣「ゆきのーん!」
雪乃「ゆ、由比ヶ浜さん…!?」
女職員1「話は聞かせてもらったので。ではごゆっくり」
ガララッ
結衣「エヘヘヘ」
結衣「ごめんねヒッキーじゃなくて…アタシでも良いかな?」
雪乃「……」
雪乃「ええ、由比ヶ浜さんなら」
~~~
結衣「ゆきのん、かゆい所ない?」ゴシゴシ
雪乃「ええ、大丈夫よ。洗い方が上手いのね」
結衣「エヘヘヘ、褒められちゃった~」
雪乃「……」
結衣「本当に綺麗な髪だね…いま、シャワーで流すね」
サァァーー
雪乃「……」
結衣「はい、じゃあ次は…この綺麗な体かな?」
結衣「えい!!こちょこちょこちょ!!」
雪乃「きゃっ!?ちょっ…く、くすぐったいわ…」
結衣「ゆきのん可愛い!エヘヘ」
~浴槽にて~
結衣「凄いねココ。銭湯みたい!」
雪乃「まあ、集団で入る浴槽だし」
結衣「エヘヘ…また雪乃と会えて良かった」ギュッ
雪乃「ちょ、ちょっと…あまり、抱きつかないで…」
結衣「エヘヘ~」スリスリ
雪乃「もう…」
結衣「良かった、本当に良かった。ヒッキーとも和解できて」
雪乃「……」
結衣「ココに来る前、小町ちゃんから聞いたよ?ヒッキーと仲直りしたって…まあ見れば分かるけどさ」
結衣「しかも前まで声を出すことも出来なかったって聞いてたけど、今は出せるようになったんだね」
雪乃「ええ…彼と愛し合っているうちにね」
結衣「愛し合う…かぁ」
雪乃「え、あ、いや、そのえと…ごめんなさい…」
結衣「ん、どうして謝るの?」
雪乃「だ、だって…」
雪乃「なんでもないわ…『こんな事』私が由比ヶ浜さんに問う権利は無いしね」
結衣「……ゆきのんは確か、正直者で、嘘が嫌いだったよね?」
雪乃「え、あ…そ、そうだけど…」
結衣「だから…アタシも、正直に言うよ。ゆきのんに『バレちゃってる』みたいだし」
雪乃「……」
結衣「アタシもね、ヒッキーの事が好き」
雪乃「そう…やっぱり」
結衣「そっか…ばれちゃってたか…」
雪乃「ごめんなさい」
結衣「だから良いって」
雪乃「……」
結衣「正直に言うと、嫉妬はしたかな」
雪乃「っ」ビクッ
結衣「羨ましいって思った…でも」
結衣「でも、そんなアタシの些細な欲求なんて、どうだって良いの」
結衣「アタシのつまらない嫉妬なんかよりも、二人が仲直りして、しかも結ばれたことの方がアタシはずっと嬉しかった…」グスッ
結衣「だって…二人の冷え切った関係を見ていて、凄く辛かったもん…!!」ボロボロ
雪乃「っ!!」
結衣「こんなのイヤだって…ずっと思ってた…」グスグス
雪乃「由比ヶ浜…アナタなら彼に告白するチャンスはいくらでもあったハズよ」
雪乃「どうしていままで…」
結衣「ゆきのんがヒッキーの事を好きだったのも知ってた」
雪乃「……」
結衣「ヒッキーが奉仕部に顔を出さなくなってから、ゆきのんずっと元気なかったよね」
結衣「たまにヒッキーを見かけると、ヒッキーをずっと見つめてたよね?それでわかったの。本当は好きなんだって」
結衣「だから…フェアじゃないじゃん!!ゆきのんとヒッキーが仲違いしてる状態で…告白なんて無理に決まってる…」
結衣「それとヒッキーも、ゆきのんを意識してるのも薄っすらと気付いてた…ただそれは確信は持てなかったけどね…」
結衣「だからアタシは、何としても二人の関係を修復させようと思ってた」
結衣「アタシは何も悔いはないよ?」
結衣「だから…ね?もう、苦しまなくて良いんだよ」
結衣「いっぱいヒッキーに甘えて欲しい」ダキッ
結衣「……」ギュゥゥ
雪乃「由比ヶ浜さん…」ギュゥゥ
結衣「でも約束して…ぅぅ…」グスッ
結衣「お願いだから…絶食なんて止めて…そんな自殺行為…」ボロボロ
結衣「なんでそんな事二人でしてるのか理解できないけど…」ボロボロ
結衣「死んでアタシを置いてないで…1人にしないで…ぅぅ…」ボロボロ
雪乃「由比ヶ浜さん…ぅぅ…」グスッ
【入浴後・空き部屋前】
雪乃「……」
結衣「ほら、行って来な!」
雪乃「ええ」
ガララ
小町「それじゃお兄ちゃん、雪乃さんとごゆっくり」
八幡「からかうなよ」
雪乃「それじゃ由比ヶ浜さん…今日はありがとう」
結衣「うん!また明日くるからね!」
雪乃「ええ、またあした」
ガララ、ピシャッ
『比企谷君』チュッ
『雪ノ下』チュッ
小町「さあ、今日は帰りましょう!」
結衣「うん!」
先生「あ、ちょっと良いかな?」
結衣「はい何でしょう?」
先生「いまは夏休み?」
結衣「そうですけど」
先生「可能な範囲で良い…どうか、二人とこれからも会ってくれないか」
結衣「勿論です!アタシ、毎日来ますから!」
小町「小町もいきまーす!」
先生「すまない」
【翌日】
八幡(それから小町と由比ヶ浜は毎日来てくれるようになった)
結衣「お風呂の時間だよゆきのん!」
小町「今日は小町もいますよ!」
雪乃「フフフ、お願いね」
雪乃「ごめんなさい、比企谷君…」
八幡「気にするな…それに、おれには『コイツ』がいる」
戸塚「さあ病室に行こう八幡!」
八幡「おう」
雪乃「浮気しちゃダメよ?」
八幡「お前もな」
【病室】
戸塚「八幡がまさか鬱病になってたなんて驚いたよ…」
八幡「本当にスマン」
戸塚「もう良いよ!さっきだって、何回も土下座してたじゃん」
八幡「いや、お前に謝るべき事は連絡しなかった件だけじゃない」
戸塚「?」
八幡「昔はお前の事、Loveだったのにな…」
戸塚「もう!またそんな事言ってからかう!」
八幡「いまじゃ雪ノ下しか見えなくなっちまった…」
八幡「見ろよ。この小指に巻かれた、この赤い糸」ススッ
八幡「雪ノ下と俺の愛の証だ…へへ、へへへ」ウットリ
戸塚「良いねラブラブで、羨ましいよ」
八幡「戸塚、お前ならその気になれば、すぐに彼女くらい作れるさ」
八幡「いまの俺にとって、お前はlikeだが…これからも友達でいてくれ」
戸塚「勿論だよ!今度テニスしよ?」
八幡「ああ」
戸塚「でも良かった…八幡が雪ノ下さんと仲直りして…」
戸塚「僕は知ってたよ?八幡が雪ノ下さんの事が好きだったって」
八幡「マジで?」
戸塚「うん…それに気付いたのは…」
戸塚「覚えてる?大学1年の冬休みに一泊二日で、僕と結衣ちゃんと八幡でディスティニーランドに行った事」
~~回想~~
戸塚「今日は楽しかったね!」
結衣「うん!」
八幡「……ありがとうなお前ら」
戸塚・結衣「ん?」
八幡「随分、気が楽になった」
結衣「どうしたのヒッキー?今日はやけに素直だね。明日は雨でも降っちゃうかな?」
八幡「んだよそれ」
ポツ…ポツ…
戸塚「あ、雪だ」
結衣「ヒッキーが変なこと言ってくれたおかげで雪が降ってきた!」
戸塚「綺麗だね」
結衣「うん!ヒッキーありがとう!変なこと言ってくれて」
八幡「……」
結衣「ねぇ、ヒッキーどうしたのさっきから?空を見上げて、私達にも背を向けて」
八幡「……」
結衣「うう…さぶっ!早くホテルに戻ろう!」
戸塚「そうだね、明日もディスティニーランドで遊ぶし、風邪引いちゃまずいしね」
結衣「この後はホテルで、ヒッキーと彩ちゃんの部屋で、パンさんのDVD見るからね!」
八幡「雪…パンさん…」ボソッ
戸塚・結衣「?」
結衣「何独り言いってるの!早く戻るよ!」
八幡「……」ササッ
結衣「ちょっと!なんで背を向けるの!!」
戸塚「八幡、どうしたの?」ササッ
戸塚「!?」
結衣「え、どうしたの」チラッ
八幡「雪…パンさん…」ツーッ
結衣「え……」
八幡「うぅ…ぅぅ…」ポタポタ
結衣「ヒ、ヒッキー…」
八幡「ちょっと目にゴミが入っただけだ。行くぞ」グスッ
戸塚「……」
~回想終了~
戸塚「あの光景を見て『ああ、雪ノ下さんの事、忘れられなかったんだな』って思って」
八幡「……そんな事もあったけっな」
【入浴場】
結衣「そういえば、なんでゆきのんは携帯を壊しちゃったの?」
小町「ウチの兄みたいに、自暴自棄になって壊したとか?」
雪乃「実は…入院直前、海外にいた時」
~~回想~~
雪乃「……」ガタガタ
雪乃(震えが止まらない…体も重いし、頭痛もする…)
雪乃(もう半年はこんな状態。病院から出された薬を飲んでも治らない)
雪乃「……」ツーッ
雪乃「比企谷君…会いたい…」ポタポタ
雪乃「ぅぅ…ぅぅ…」グスッ
雪乃「比企谷君…比企谷君…」ボロボロ
雪乃「せめて…連絡先でも知っていれば…」ススッ
外人学生1「おい、お前マジで雪乃に声かけるのか?」
外人学生2「だってあの子、メチャクチャ可愛いじゃん!」
外人学生1「でも彼氏がいるって噂だぞ?休み時間にいつも、目つきの悪そうな男の絵を描いてるって噂だし」
外人学生2「もしかしたら昔の男の事を忘れられないだけかも知れないだろ?」
外人学生1「そりゃお前の予想にすぎんだろ」
外人学生2「とにかく俺はいくぜ…ヘイ雪乃!」ポンッ
雪乃「っ!?イ、イヤァァ…!!」スルッ
雪乃「……(あ、携帯が)」
ガン、カラカラ…
雪乃「……(マンホールの中に)」パクパク
外人学生2「オー…ご、ごめんよ雪乃?弁償するから…さ?」
雪乃「……」パクパク
雪乃(え、声が…出ない…)
外人学生1・2「……?」
~回想終了~
雪乃「……っと言う訳なの。ごめんなさい。マヌケな理由で」
結衣「仕方ないよ。だってその時はゆきのん、精神状態がボロボロだったんでしょ?ちょっと肩を触れられただけで、他の男の人を拒絶する位だし」
結衣「休み時間に、ヒッキーの絵を描いちゃうくらいヒッキーが好きなのに…病んじゃうのも無理ないよ
【空き部屋】
結衣「ありがとうね、二人とも」
結衣「アタシに勉強を教えてくれて」
八幡「気にするな、お前だって毎日ココに来てるんだ。勉強くらいしていけ」
雪乃「由比ヶ浜さん、ここ間違ってるわよ」
雪乃「ここは――で――して――するの」
結衣「ふむふむ、なるほど」
小町「お兄ちゃん!小町のも見てみて!」
八幡「はいはい」
雪乃「うん、今度は正解よ」
結衣「ゆきのんありがとう!やっぱゆきのんは凄い!!」ギュゥゥ
雪乃「ちょ、ちょっと暑苦しいのだけれど…」
結衣「ヒッキーとはいつも抱き合ってるのに?」ニヤニヤ
雪乃「あぅぅ…」
八幡「おいおい百合フィールドを展開するな。雪ノ下は俺の未来の妻だぞ」
雪乃「比企谷君…」ドキドキ
八幡「雪ノ下…」ドキドキ
小町「はいはい惚気は良いから、早く小町に勉強教える!」
【3週間後】
小町・結衣「それじゃ先生、また明日来ますので」
先生「また明日…それと二人ともありがとう」
先生「最近、二人が少しづつ更正に向かってる」
先生「まだ部屋で一人になると、体が震えたり、声が出なくなるが…前みたいに発狂もないし、絶食も無くなった」
結衣「いやいや!アタシは大した事はしてません…」
結衣「むしろ二人に勉強とか教えてもらってる位だし」
先生「それでも、あの二人の心を動かす事は相当凄いことだ。感謝してる」
結衣「あの…」
先生「?」
結衣「あの二人に外出許可って出せそうですか?」
先生「そうだね……君達が付いてくれてるなら。アリかもね」
結衣「それじゃ今度―――」
【数日後】
雪乃・八幡「え、外出許可!?」
先生「ああ、由比ヶ浜さんと小町さんがいるなら」
結衣「やったねヒッキー!ゆきのん!」
小町「でも今回、小町は欠席します」
八幡「どうしてだ」
小町「だってだって、これからいく所は…総武高校なんだよ?」
八幡「総武高…」
雪乃「懐かしいわね」
結衣「いまは夏休みだし、行きやすいから…ね、行こ!」
雪乃「ええ」
小町「あ、夜は病院の近くの公園で花火やるからね!戸塚さんも呼んであるから!」
八幡「分かった、楽しみにしてる」
結衣「それと今日は…特別ゲストもいるよ?」
雪乃・八幡「ゲスト?」
「私だ」
雪乃・八幡「っ!?」バッ
平塚「久しぶりだな、お前達」
雪乃・八幡「平塚先生…」
今日はここまで
平塚「お前達の話は、この病院の先生と由比ヶ浜を通して全て聞かせてもらった」
雪乃・八幡「……」
平塚「まあ…何というか。とりあえず今日まで生きてて良かった。絶食を度々繰り返してたと聞いたときは戦慄が走ったぞ」
平塚「今日は久しぶりに高校生に戻った気分で、総武高に顔を出すと良い」
雪乃・八幡「はい」
平塚「ところで気になったんだが、お前達のその小指に巻かれた赤い糸は?」
雪乃「私と彼の愛の証です」
八幡「どんな高級な指輪よりもずっと価値ある国宝級の宝物です」
平塚「」
平塚「そ、そうか」
平塚「話では聞いていたがお前達、相当思考が変わったな」
八幡「まあ、否定はしません」
雪乃「昔の私達が、今の私達を見たらたまげるでしょうね」
八幡「そうだな。へへへ」ダキッ
雪乃「フフフ」ギュゥゥ
平塚「」
~車中~
八幡(座席は俺と雪ノ下が後ろ、由比ヶ浜と先生が前になる)
平塚「私はずっと悩んでたよ」
平塚「お前達を引き合わせてしまった事に関してな」
平塚「卒業しても、なお仲直り出来なかったお前達の姿を見て…正直、悲しかった」
平塚「でも…本当に仲直りできて良かった」
雪乃「比企谷君、もっとコッチに来て」ヒソヒソ
八幡「ああ」ピトッ
雪乃「好き、んっ」チュッ
八幡「好きだ、んっ」チュッ
雪乃・八幡「んん…んぁ…ん…」チュゥゥ
結衣「うわぁぁ……///」
平塚「ほ・ん・と・う・に!仲良し過ぎて羨ましいほどだな…!!」ピキピキ
【総武高・部室】
ガララ
八幡「……」
八幡(扉を開けるとそこには昔のまんまの、長いテーブルが一台にイスが三脚、真後ろに大量のイスと机がまとめられていた)
結衣「わぁぁ!!めっちゃ懐かしい…!!」
雪乃「奉仕部は今どうなってるんですか?」
平塚「比企谷の妹が最後の代で、今は廃部になってる」
八幡「そういえば奉仕部に入ってたんだっけ…それなら一緒に来ればよかったのに」
結衣「……」テクテク
結衣「あたしはこの真ん中辺りの席だったけ」ストッ
雪乃「私はこの窓際ね」ストッ
八幡「俺はここかな…」ストッ
結衣・雪乃・八幡「……」
結衣「……」ツーッ
雪乃「由比ヶ浜さん…?」
結衣「やっと…また三人で教室に入れた…」ポタポタ
八幡「……っ」
結衣「ヒッキー…ぅぅ…お帰り…」ボロボロ
雪乃「……お帰りなさい、比企谷君」
八幡「……ただいま」
結衣・雪乃・八幡「……」
八幡「でも、どんなに待っても」
結衣・雪乃「?」
八幡「どんなに待っても、もう依頼人は来ないんだよな…」
結衣・雪乃「……」
八幡(何やってたんだが、あの時の俺は)
八幡(あれだけ面倒だと思ってた依頼が…いまじゃ、妙に恋しい)
八幡(もう二度と帰ってこないんだよな、あの時間は)
結衣・雪乃「……」
平塚「人生にはやり直しが利かない事もある」
平塚「でも何かを始める事もできる」
平塚「雪ノ下、お前の様子を見る限る相当、比企谷にご執心のようだな」
平塚「海外の大学は辞めて、比企谷と同じ大学を受けなおすのだろ?」
雪乃「はい」
平塚「なら、また始めれば良いじゃないか…二人で奉仕部を」
雪乃「私と比企谷君で…」
平塚「そうだ。最も私はいないがな」
雪乃「出来れば由比ヶ浜さんとも一緒に始めたいのだけれども」
結衣「あたしもそうしたいのは山々だけど…来年で4年生なんだよね」
結衣「仮に2年生とかだったとしても、大学辞めて受けなおすって簡単なことじゃないし」
雪乃「……」
結衣「だから…ヒッキーとゆきのんで、作って」
八幡「俺と雪ノ下で…」
結衣「うん、あたしはゆきのんはずっと一緒だったけど、ヒッキーは違う。空白だった期間がある」
結衣「だから、また新しい大学でその空白を埋めて」
雪乃「……」
八幡「……俺に提案がある」
雪乃・結衣「え?」
八幡「由比ヶ浜、お前の家はまだ経済的に余裕か?」
結衣「んーまあ、多分」
八幡「大学院に通えば2年間は学生でいられる」
結衣「だ…だい、大学院!?あたしが!?」
八幡「もし親の許可を得られたのなら、死ぬ気で勉強しろ」
結衣「で、でも…なんかお友達と合うのが目的で学業を延長させるのも、親に悪いって言うか…」
八幡「一つ聞く。お前の本音はどうなんだ?」
結衣「ヒッキーとゆきのんと一緒にいたい」
八幡「ならこうすれば良い。お前が死ぬ気で勉強して…」
八幡「さらに大学院で優秀な成果をあげる」
八幡「そうすればお前も将来、良い所に就職できる。金はその時、親に返せば良い」
結衣「……」
八幡「どうだ?」
結衣「うん…死ぬ気で勉強したくないけど、考えておく」
結衣「………」
結衣「え、まさか二人とも」
八幡「由比ヶ浜次第だよな?」
雪乃「ええ、そうね」
結衣「ヒッキー…ゆきのん…」ウルウル
八幡「……それにしても」チラッ
雪乃「?」
八幡「まさか俺とお前が付き会う事になるとはな」
雪乃「フフフ、全くね」
――――――
なあ雪ノ下、俺と友だt
ゴメンなさい、それは無理
~~~
えぇぇ!!二人は付き合ってるわけじゃないの!?
由比ヶ浜さん、私だって怒ること位あるのよ?
大体、あの男にまともな男女交際なんてできるハズないじゃない?
付き合ってるわけ無いだろ。夜中泣きながら電話とか来たら、その時点で別れる自信あるぞ
――――――
八幡「雪ノ下…お前にもし何かあったら全力で駆けつけるからな」ギュゥゥゥ
雪乃「ありがとう、でも私とアナタはいつも一緒じゃない」スリスリ
雪乃「離れることなんて無い」スリスリ
八幡「そうだな」ナデナデ
平塚「」ピキピキ
結衣「ぅぅ……///」
雪乃・八幡「ハッ!!」バッ
八幡「す、すまん!」
雪乃「ご、ごめんなさい!」
結衣「あははは、だから良いって謝らなくて…もうココまで来たら笑っちゃうよ…」
平塚「お前らなぜ由比ヶ浜のほうを見て謝る。私のほうを見て謝れ」イライラ
平塚「それとお前ら、手と手が離れてないぞ?」イライラ
八幡「あっ…すいません。手を離すと」パッ
八幡「……」ガタガタ
雪乃「ひ、比企谷君。い、いや、手を離さないで」ガタガタ
平塚「あ……そうだったな」
雪乃「比企谷君、早く…」ガタガタ
ギュッ
雪乃「はぁはぁはぁ…」
八幡「ごめん」
雪乃「大丈夫よ」
八幡「……すいません、変な空気にして」
平塚「私の方こそスマン」
八幡「もう少し、色々見回って良いですか?」
平塚「構わん」
~~~
八幡(学校を一通り見終えた後、俺と雪ノ下の希望で書店に向かう)
八幡「やっと新刊を買えたと思ったら、もうこんなにシリーズが進んでたのか…」
雪乃「私のお目当ての文庫本も、随分と新しく発行されてたわ」
雪乃「また読み終えたら交換ししましょうね」
八幡「それは構わんが…自信がない」
雪乃「?」
八幡「だって俺…本読んでるときよりも、お前と話してるほうが楽しいんだよ」
八幡「いつ読み終えるかわからん」ダキッ
雪乃「比企谷君…」ギュゥゥ
平塚「おい帰るぞ」
平塚(やっぱ腹立つ…!)ピキピキ
八幡「帰ったら花火だけど…この赤い糸は外そうな」
雪乃「そうね、危ないものね。残念だけど」
【病院近くの公園】
戸塚「花火をしてると千葉村の事を思い出すね」パチチ
八幡「懐かしいな千葉村」パチチ
結衣「それ~!打ち上げ花火!!」
小町「発射~~!!」
バババババ!!
八幡「熱!熱ぃ!熱いよ!!もうちょっと離れて設置しろ!」
結衣・小町「あ、ごめん!」
雪乃「フフフ」パチチ
八幡「……」
雪乃「……?どうしたの比企谷君」
八幡「もしも俺たちが、とっくに『永遠』になっていたら…それはそれで幸せなんだろうけど」
八幡「こうやって由比ヶ浜達と花火を楽しむ事もできなかったな」
雪乃「……ええそうね」
八幡「髪の毛、後ろに結ったのか」
雪乃「ええ」
八幡「世界一可愛い」
雪乃「嬉しい、んっ」チュッ
八幡「んっ」チュッ
平塚「ほらドンドン発射するぞ!!打ち上げ花火!!」
バババババ!!
八幡「ちょ!熱!平塚先生なんスか!!もっと離れてやってください!」
平塚「文句言う暇があるなら、もっと打ち上げ花火もってこい!!」
【消灯時間・病室】
八幡「……」
八幡(今日は楽しかった…)
八幡(何だろ。俺っていつの間にリア充になってたの?いやそもそも彼女がいる時点で今更か)
八幡(学校に通ってた時はボッチだったのに、精神病棟に入院になったらリア充ってなんとも皮肉だな)
八幡(まあリア充だろうが非リア充だろうがどっちだって良い。雪ノ下と結ばれた。その事実で充分)
八幡「……」チラッ
八幡(ふと、小指を見つめる)
八幡(花火が終わり皆と別れ、ついさっき再び小指に巻かれた赤い糸を見つめる)
八幡「へ、へへへ」ニヘラ
八幡「……」
八幡「ん?そういや今日は声がでるな」
八幡「ここ半年は、小指に赤い糸を巻いても、病室に戻ると寂しさのあまり声が出なくなってたのに」
八幡「……」ピク…ピク…
八幡「手の震えも前より治まってきたな」
【数日後】
雪乃・八幡「グループ・セラピー?」
先生「ああ、司会は僕がやる」
先生「今までキミ達は二人の空間に閉じこもっていて、こういう話し合いの場に参加させてあげられなかった」
雪乃・八幡「……」
先生「テーマは『本音』。素直な気持ちで話し合ってくれ」
先生「それと、君達の知り合いも特別に呼んである」
【会議室】
八幡(セラピー参加者は、俺と雪ノ下、先生、平塚先生、由比ヶ浜、戸塚、小町)
先生「それではまず比企谷君、キミから」
八幡「えぇー…俺からかよ…」
平塚「比企谷、男だろしっかりしろ」
結衣「ヒッキーしっかり!」
小町「お兄ちゃん!」
八幡「おれ病人なんだけど……はぁぁ」
八幡「……」
八幡「まず雪ノ下に対しての本音だが…これはもう告白する時とこれまでに、散々言い合った」
八幡「お互いの胸中をな」
雪乃「……」コクッ
八幡「きっと雪ノ下への愛を語ってたら、多分1週間休み無しで費やすだろうな」
雪乃「嬉しい」ガタッ
平塚「待て待て」ガシッ
雪乃「……」シュンッ
八幡「その中で一つだけ、俺たちの愛を引用するなら」
八幡「『永遠』になろうとしてた事だが」
平塚「比企谷、お前と雪ノ下の言う『永遠』とは…その…」
八幡「はい。何も食べず飲まず…一緒に死ぬことです」
八幡「穏やかに、穏やかに。愛を伝え合いながら」
全員「……」
八幡「気が狂ってるって思うかも知れないかもしれませんが、そこは重々承知です」
八幡「俺たちは互いが好き過ぎた。だからこそもっとぶっ壊れたかった。もっと狂ったように愛したかった」
八幡「あらゆる干渉から逃れたくて、その一心で俺たちは『永遠』を目指した」
八幡「その気持ちは…まだ少し残ってる」
八幡「雪ノ下、お前は?本音で答えてくれ」
雪乃「私もよ。まだ…ちょっとだけね」
全員「……」
八幡「わかった」
八幡「でも由比ヶ浜、お前をあるとき思い出してからちょっと心が揺れ動いた」
八幡「実は入院して2ヶ月目くらいに、お前に何度か手紙を出そうとしてた」
結衣「え」
八幡「戸塚、お前にもだ」
戸塚「僕にも?」
八幡「でも出せなかった」
八幡「その後、先生と喧嘩して…その後もお前の事を思い出して」
八幡「雪ノ下と俺で手紙を書いた」
八幡「でもやはり出せなかった」
結衣「……」
雪乃・八幡「……」
結衣「何で二人があたしに手紙を出せなかったのか…あたしには想像が付くかな」
八幡「さすがだな。だてに一緒の部活にいた訳じゃないな」
結衣「うん、でもヒッキーの口から聞きたい。『本音』を」
八幡「……」
八幡(心の奥底から色んな物が込み上げてくる)
全員「……」
八幡「お前らも知るように俺はずっとボッチだった」
八幡「特に中学時代の嫌な経験から俺は、人と壁を作るようになった。一人になりたかった。もう誰も信じられなかった、」
八幡「はなから俺なんか見てない。もしくは期待させといて裏切る。そんな奴らばっかりだと思ってた」
八幡「それなのに由比ヶ浜、お前はいつも気にかけてくれたよな」
八幡「事故の事とかで、いったんは俺もねじ曲がった思いでお前に壁を作ったが、それでもお前は……」
八幡「修学旅行でも色々あったのに、それでもお前は俺に心を開いてくれた」
八幡「雪ノ下と確執があった後も、お前はずっと気にかけてくれた」
八幡「大学時代、知らず知らずに鬱に飲まれてた俺に、ディスティニーランド誘ってくれたよな?」ツー
八幡「ぅぅ…くぅ…ぅぅ…」ボロボロ
八幡「嬉しかったよ、由比ヶ浜…ぅぅ…」グスグス
八幡「でもどう考えても釣り合っていないだろ…お前は昔からリア充だし、明るいし、優しいし…可愛いし…」
結衣「か…かかか!?///可愛い!?///」ボンッ
雪乃「そうね、由比ヶ浜さんは可愛いわよ?」
結衣「ゆきのんも、からかわないでよ…///」
先生(比企谷君が雪ノ下さん以外の女性をココまで褒めたのははじめて見た…しかも雪ノ下さんも怒ってない…)
八幡「それに引きかえ俺はどうだ?」
八幡「昔からボッチで、居場所だった奉仕部を自ら半壊させ…挙句には想い人が忘れられなくて鬱にかかり、精神病棟送りになった哀れな男だ」
八幡「もう何もかも嫌になった。俺みたいなクズ野朗が由比ヶ浜や戸塚と友達でいる資格なんて無い」
八幡「……だから俺はお前らと一度、間接的に縁を切った」
八幡「でも忘れられねぇよ、奉仕部の事が」
八幡「あんなに居心地良い場所は、きっと見付かるはず無い」
八幡「だからお前にやっぱり手紙出すか悩んだ…出せなかったけどな」
八幡「……コレが俺の本音だ。終わった事とは言え悪いことをした」
八幡「雪ノ下とは違う意味だけど、お前は俺の『本物』だ。もう二度と裏切らん」
結衣「ヒッキー…」グスッ
八幡「戸塚もな」
戸塚「八幡…」
八幡「だから俺はもう、『絶食』はしない」
八幡「お前は一度は裏切った俺たちを、何度も見舞いに来てくれた」
八幡「『永遠』は諦める。幻想に溺れるのでなく、現実を見る事にする」
八幡「俺は以上だ。雪ノ下、お前はどうだ?」
雪乃「私も比企谷君と考えてる事はほぼ一緒ね」
雪乃「『永遠』は諦めるわ」
全員「……」
雪乃「それで…私がなぜ、由比ヶ浜さんに手紙を出さなかったか」
雪乃「つまらないプライドが原因だったわ」
雪乃「昔から、必死に努力すれば何でも出来るって信じてきた」
雪乃「いつかクッキーの作り方を由比ヶ浜さんに教えた時もそうだったわね」
雪乃「周囲からも常に完璧と言われてきた私だけれども…その実態は完璧の様で穴だらけの人生だったわ」
雪乃「だからこそ比企谷君の奉仕部での振舞い、人間性に惹かれて言ったわ」
雪乃「彼には他の誰にも持ってない素晴らしい物を持っていたわ」
雪乃「でも結局、彼とは確執を起こし…そこからはもうガタガタの人生で」
雪乃「『精神病棟行き』と聞かされたときは…もう私の人生は完全に終わったと思ったわ」
雪乃「どうしてこの私が、比企谷君を忘れようと必死に勉強してきた私が、こんな目に合わなければならないか」
雪乃「凝り固まったプライドはズタボロに引き裂かれ、何かも嫌になったわ」
雪乃「だから…その…私も結局の所、自暴自棄になっていて…」
雪乃「もうこんなクズでダメ女じゃ、由比ヶ浜さんに顔向け出来なくて」
雪乃「私の事、よく凄いって言ってくれてたわよね?」
雪乃「こんな惨めな醜態、由比ヶ浜さんに見せられない…」
雪乃「挙句には和解した比企谷君に甘えて、いっぱい甘えて、もう都合の悪いことは何も考えない様になっていって…」ツーッ
雪乃「比企谷君無しでは何も出来ないダメ女に落ちぶれて…」ボロボロ
雪乃「ゴメンなさい。私は比企谷君よりも、ずっと最低な理由で一度縁を断ってしまったわ…」
結衣「ゆきのん…」
雪乃「これが私の本音よ…ぅぅ…ゴメンなさい」ボロボロ
八幡(それから俺と雪ノ下は、由比ヶ浜と再会した時と同じ、小さな子供の様に泣き崩れた)
八幡(皆は終始、その姿を静かに見守ってくれた)
八幡(泣きつかれて、ようやく落ち着きを取り戻した頃には随分時間も立っていた)
平塚「時間もおしてるようだ。あまり長居はできん」
平塚「だが前に車中でも話したが、二人に…いや三人に聞きたい」
結衣・雪乃・八幡「?」
平塚「奉仕部に入部して…後悔は無かったか?」
八幡「何言ってるんスか。そもそも先生が奉仕部を教えてくれなかったら、コイツらと会えなかったんですよ?」
八幡「コイツらと会えなかったら、俺はもしかしたら入院せずに済んだのかもしれませんが…」
八幡「雪ノ下も由比ヶ浜のいない人生なんて考えられない。生きてて無意味だ。鬱で入院するよりのはるかに残酷だ。そんなの耐えられん。死よりも残酷だ」
八幡「俺は奉仕部に入って、色々あって、いまこうやって欝で苦しむ事が出来て幸せですよ」
雪乃「私の比企谷君を部室に引き連れてきたことに感謝してます」
雪乃「比企谷君も由比ヶ浜さんもいない人生は無意味です。こんなに残酷な事は無いです」
由比ヶ浜「わ、私も!二人と気持ちは一緒です!二人がいない世界なんて考えたくない!!」
平塚「………」ツーッ
平塚「そうか」ポタポタ
結衣・雪乃・八幡「……」
八幡(俺たちの言葉は聞くや平塚先生は、安堵に満ちた表情で静かに涙を流す)
平塚「私の判断は、間違ってなかったんだな…良かった、安心した」
八幡(そして時間が訪れセラピーは終了する)
【時がたち・9月下旬】
結衣「ごめんねヒッキー、ゆきのん。あたしもう大学始まっちゃうから、戻らないと」
結衣「でもでも!週末は必ず遊びにくるからね!」
八幡「ああ、無理はするなよ」
雪乃「楽しみに待ってるわ」
戸塚「八幡ごめんね。僕は県内の大学だけど県境で遠いし、ひとり暮らししてるから、僕も週末位しかこれないや」
八幡「来てくれるだけでもありがたい」
小町「お兄ちゃん!小町は毎日くるからね!」
八幡「勉強サボるなよ」
小町「へへーん、小町はお兄ちゃんに教えてもらうもんね!」
八幡「ああ、なるほど」
小町「雪乃さん!また都合が合えば一緒にお風呂入りましょ!」
雪乃「ええ、よろしく」
平塚「しっかり療養しろよ」
雪乃・八幡「はい」
【消灯時間1時間前・空き部屋】
八幡「みんな一斉にいなくなったな」
雪乃「そうね」
雪乃・八幡「……」
八幡「お前、お手洗いの時も、入浴時も、オレ無しで発狂もせず生活できる自身あるか?」
雪乃「……わからない。ただ、不安だわ」
八幡「……」パッ
雪乃「あっ」
八幡(オレは雪ノ下の手をゆっくりと離す)
雪乃「え、ええ?」
八幡(そして、小指に巻かれた赤い糸すらも外した)ススッ
雪乃「え…なんで…」
八幡「落ち着け」
雪乃「……」
八幡「自分の体を良く見ろ」
雪乃「……?」
八幡「もう震えは無くなってるだろ?」
八幡「もう、オレも震えなくなった」
八幡「夜中、一人病室で寝ていても、声だってだせる」
八幡「俺たちはアイツらに救われた」
八幡「でもまだだ。この程度じゃ先生達から退院許可は得られない」
八幡「明日の俺たちの精神状態はどうなってるかわからんしな」
雪乃「……」
八幡「だから俺なりに最短ルートで確実に、退院させて貰う方法を考えた」
八幡「だが楽な道じゃない。相当な覚悟が必要だ」
八幡「最短ルートになるかどうかも、先生次第だ」
雪乃「比企谷君、聞かせて」
雪乃「アナタの妙案を」
八幡「………」
八幡「――――――――」
雪乃「……」ツーッ
雪乃「いや…いやだ…」ボロボロ
雪乃「そんなのイヤ!」ダキッ
八幡「……」ギュゥゥ
雪乃「ねぇ、セラピーの時にも言ったでしょ?私は比企谷君無しでは何も出来ない女になってしまったって」
雪乃「もうプライドなんてとっくに捨ててるわ…私は比企谷君が全てなの」
雪乃「だから」
八幡「なら、もう一度取り戻そうぜ。誇り高き、雪ノ下雪乃を」
雪乃「いやだ…いやだ…」ボロボロ
八幡「オレだってこんな選択はイヤだ」
八幡「苦しいし、辛いし、寂しいしな」
八幡「でも一番、この作戦が先生達を最短で説得できる策だと思う」
雪乃「ぅぅ…ぅう…」グスグス
八幡「雪乃」
雪乃「え?」
八幡「名前で呼んで良いか?」
雪乃「ええ…良いわ。八幡」
八幡「好きだ雪乃」
雪乃「八幡…私も」ボロボロ
雪乃「……」ダキッ
八幡「……」ギュゥゥ
雪乃・八幡「んっ」チュッ
雪乃「監視員…いないわね」
八幡「ああ…」
ドサッ
雪乃「来て…」
八幡「好きだ、大好きだ」ギュゥゥ
雪乃「私も、大好き」ギュゥゥ
――
――――
―――――
【次の日】
八幡「雪乃おはよう。んっ」チュッ
雪乃「おはよう八幡。んっ」チュッ
八幡「さあ、行こうぜ」ギュッ
雪乃「ええ」ギュッ
八幡(しっかりと雪乃の手を握って、俺たちはスタッフステーションへと向かう)
八幡(小指には赤い糸は結ばれていない)
~~~~
先生「それで話って?」
八幡「先生…ずっと前に白紙にした1件、取り消しにしてもらえますか?」
先生「は?」
雪乃「八幡、そんな遠回しな言い方じゃ分からないわよ?」
八幡「ああ、やっぱそうだよな」
先生「えっと…どういう意味だい?」
八幡「先生、俺たちは由比ヶ浜たちのおかげで随分、調子もよくなった」
八幡「でもきっと、まだ先生達は俺たちを簡単には退院させないでしょう」
八幡「過去に暴れた経緯もあるし、由比ヶ浜達ともしばらくは手軽には会えない。だから簡単には信用しない…そうでしょ?」
八幡「それでも俺は鬱を完治したことを認めてもらいたい」
先生「比企谷君…何が言いたいんだ?」
雪乃「八幡…」ギュゥゥ
八幡「雪乃…」ギュゥゥ
八幡「先生、お願いがあります」
八幡「俺と雪乃を別離させてほしい」
今日はここまで
次回で最終回
八幡「お願いします」
先生「そう来たか」
八幡「……」
先生「まあ確かに二人を見ていても状態は良くなっている…表面上はね」
先生「由比ヶ浜さん達があまり来れなくなるから、今後どうなるか不安だったが。そこまで言える様になるまで変化したようだね」
先生「わかった。とりあえず手続きもしなければならないから、すぐには別離させられない」
先生「今日から三日間ほど試験をしたい」
八幡「試験?」
先生「本当に別離させて大丈夫かどうか。僕はその三日間の間に手続きを済ませる」
先生「二人には、一日に会う回数を制限を設ける」
雪乃「……っ」
八幡(先生が俺達に課した制限)
八幡(雪乃とは朝食、昼食、夕食時の約3時間しか会えない事だ)
八幡(その間、少しでの問題を起こせば別離の権利は得られない)
~~~~
八幡「雪乃、それじゃまた夕食の時に。んっ」チュッ
雪乃「ええ、んっ」チュッ
八幡「……」
八幡「さて、久々にラノベでも見るか」
【病室】
八幡「……」ペラペラ
八幡「……」チラッ
八幡(ここ一年、当たり前の様にいた雪乃は隣にはいない)
八幡「はぁ…雪乃…」
【夕食後】
雪乃「まだ早いけど…おやすみ八幡」ギュゥゥ
八幡「おやすみ」ギュゥゥ
ガララ
雪乃「さて、読書をしましょう」
雪乃「……」ペラッ
雪乃「今日は何とか、お風呂でもお手洗いでの発狂せずに済んだわ」
雪乃「でも明日はどうなるかしら…」
雪乃「……」ススッ
雪乃(小指には赤い糸は巻かれてない)
雪乃「八幡…」
【三日後】
先生「手続きが完了した」
雪乃・八幡「……!!」
先生「そして君達の試験も合格だ」
雪乃「……」ビクッ
先生「比企谷君、キミの方がこの施設に来るのが早かった」
先生「だからキミを違う病棟に送る」
雪乃「……」ガクガク
ギュッ
雪乃「…っ」
八幡「……」ギュゥゥ
八幡(隣で震えている雪乃の手をしっかりと握る)
八幡「はい、わかりました」
先生「場所は近い。同じ系列の病院だから歩いて5分で付く」
先生「隣の一般病棟で入院してもらう」
先生「期間は1ヶ月。その間、何も問題が無ければ合格。ここで退院式を行う」
雪乃「い、1ヶ月…!?」ガクガク
ダキッ
雪乃「あっ…」
八幡「大丈夫だ。1ヶ月なんてあっと言う間だ」ギュゥゥ
八幡「1ヶ月乗り越えれば、俺達は自由だ」
雪乃「……」ギュゥゥ
【次の日、病院玄関】
八幡「それじゃ、言ってくる」
雪乃「ええ……」
先生・職員「行ってらっしゃい」
八幡「……」クルッ
八幡「……」テクテク
雪乃「八幡…!!」ダダッ
ダキッ
雪乃「イヤ…やっぱりイヤ…!!」ギュゥゥゥ
八幡「……」
雪乃「一人にしないで…」ウルウル
雪乃「私、ダメ女のままで良い。ずっと側にいて」グスグス
八幡「……」
雪乃「一人にしないで…」ボロボロ
八幡「……」ダキッ
雪乃「うぅ…ぅぅ…」ボロボロ
八幡「俺がお前に惚れこんだ所、もう一度言ってやる」
雪乃「え…?」
八幡「凛々しく、堂々としていて、嘘や欺瞞が嫌いで、何をやらせても完璧で、いつだって正しくあろうとした所だ」
八幡「容姿に置いては言うまでもない。全部大好きだ。毒舌な所も含めて」
八幡「もう一度、本来のお前らしさ見せてくれよ」
八幡「今の弱ったお前も可愛くて好きだけど…」
八幡「あの頃の雪ノ下雪乃を実感させてくれ」
雪乃「八幡…」ギュゥゥ
雪乃「分かった、私も耐えて乗り越えるわ」
八幡(雪乃は決心すると俺から離れ、おもむろにポケットから赤い糸を取り出す)
雪乃「……」ギュッ
八幡(そして俺の小指と自分の小指に、赤い糸を結ぶと、小さなハサミを取り出す)
雪乃「約束して八幡」
チョキッ
八幡「……」
八幡(赤い糸は俺と雪乃の間で切れて、糸がはらりと下へ向かう)
雪乃「この切れた糸は次に会う時に、もう一度結びなおすの」
雪乃「それまで大事に持っていてね?その赤い糸を」
八幡「わかった」ダキッ
雪乃「……」ギュゥゥ
八幡「……」パッ
雪乃「あっ」
八幡「それじゃ、また1カ月後。絶対に退院するぞ」
雪乃「……ええ」
八幡「……」テクテク
雪乃「……」
八幡(隣の一般病棟へと歩む。後ろからはずっと視線を感じる)
八幡(一ヶ月間、もしも試験に不合格ならまた更に一ヶ月退院を延ばされる)
八幡(……もう後戻りはできない)
【一般病棟・病室】
八幡「……」ペラッ
八幡(一般病棟に来て俺は早速読書をする。特にやることも無いからだ)
八幡「入院したての頃と同じ状況になった…知り合いは誰もいない」パタッ
八幡「……」パカッ
八幡(本を閉じて、ケースに入った赤い糸を見つめる)
八幡「……」
八幡「ぁぁ…雪乃…」
~~~~
雪乃「……」ペラッ
雪乃「……」ピタッ
雪乃「隣に八幡はもういない…」
雪乃「……」
雪乃「ぅぅ…」ツーッ
雪乃「寂しい…」ボロボロ
八幡(あれから、色んな人物が俺達のお見舞いに来てくれた)
戸塚「八幡!」
八幡「おお来たか」
戸塚「……退院まであと3週間か」
八幡「上手くいけばな。まあ何とか一週間はもったが」
戸塚「外出は出来るの?」
八幡「近場で知り合いとなら良いって話だ」
戸塚「それじゃテニスしよ!」
八幡「久しぶりの運動だな…良いぜ」
【テニスコート】
戸塚「それっ!」ポンッ
八幡「あっ!くそ…腕を上げたな戸塚」スカッ
戸塚「八幡はずっと入院してたから仕方ないよ」
八幡「いや、それでも明らかにレベルが上がってる」
戸塚「テニスサークルに入ってるからかな」
八幡「だろうな」
八幡「……」
八幡(雪乃とテニスしたい…あの時みたいに)
平塚「どうも」
先生「こんにちは。お忙しい中すいません」
平塚「いえいえ、それより彼女はどんな感じですか?」
先生「雪ノ下さんは比企谷君がいなくなってからは、部屋にこもって読書か、ピアノを黙々と弾いてますね」
雪乃「……」
~~♪
平塚(彼女らしく、とても儚げな表情をしてるな…)
~~♪
雪乃「……」ツーッ
~~♪
雪乃「八幡…ぅぅ…会いたいわ…」ボロボロ
~数日後~
ガララッ
陽乃「ひゃっはろー!」
八幡「………お久しぶりっす」
陽乃「色んな人から聞いちゃったよ?雪乃ちゃんとラブラブ何だって?このこの」ツンツン
八幡「触らないで下さい」バシッ
陽乃「比企谷君冷た~い」ギュッ
八幡「胸を押し当てないで下さい。俺は雪乃以外に触りたくないんで」
陽乃「お姉さんがココまでサービスしてあげてるのにひっどーい!」
八幡「……」
陽乃「ふーん、美人なお姉さんにココまでさせておいて無反応とは、よっぽど雪乃ちゃんが好きなんだね」
陽乃「私と初めて会ったときは動揺してたのに」
八幡「んで、要件はなんですか?」
陽乃「お・み・ま・い」
八幡「はぁ、それはどうも」
陽乃「ああそうそう、さっき雪乃ちゃんに会ってきたよ」
八幡「それを早く言ってください」
陽乃「雪乃ちゃんにね、前から比企谷君とラブラブだったの知ってたよ!って言ったら、雪乃ちゃん固まっちゃって!あー面白かった」
八幡「ブッ!」
陽乃「ん?どうしたの?」
八幡「さっき色んな人から聞いたって言ってたじゃないですか?」
陽乃「うん聞いたよ。でも元から知ってたよ?キミと雪乃ちゃんがラブラブしてたのも見ちゃってたんだ」
陽乃「去年、お見舞いに行ったら驚いちゃったよ!比企谷君と雪乃ちゃんがベロチューしたり抱き合ってたりしてて」
八幡「」
陽乃「邪魔しちゃ悪いと思ってて、今まで声をかけてなかったけど」
八幡(小町と同じパターンかよ…)
陽乃「しかも夜はベットの上で、運動会まで始めちゃって!」
八幡「っ!!!!?」ビクッ
陽乃「あ、今の冗談で言ったんだけど?その様子だともう雪乃ちゃんとエッチしちゃったんだね」
八幡「」
陽乃「……雪乃ちゃんのあんなに幸せそうな表情、初めて見たよ」
陽乃「家族の私ですら見たこと無かった」
八幡「……」
陽乃「雪乃ちゃんの事、ヨロシクお願いね?」
八幡「うす」
陽乃「あ、エッチするのは良いけど、結婚するまでは避妊しないとダメだよ?」
八幡「そんなの分かっt…じゃなくて、余計なお世話ですよ」
小町「やっはろー!雪乃さん!」
雪乃「やっは…こんにちは小町さん」
小町「調子はどうですか?」
雪乃「ええ、特に問題無く過ごせてるわ」
女職員「雪ノ下さん、入浴時間です」
雪乃「はい」ガタッ
小町「あ、じゃあ小町も付いて行かないと…」
雪乃「いいえ小町さん、もう心配いらないわ」
雪乃「一人で入れる」
小町「そうですか、でも小町的に雪乃さんと入りたかったです」ションボリ
雪乃「フフ、退院したら銭湯にでも行きましょう」
小町「良いですね!楽しみにしてますよ!」
雪乃「すぐに上がるから待っていて頂戴」
~~~
サァァーー
雪乃「……」
雪乃(手の震えも無いし動悸もない、声も出る)
雪乃(それでも)
雪乃「ぅぅ…」ツーッ
雪乃「会いたい…八幡…」ボロボロ
~翌日~
コンコン
八幡「どうぞ」
葉山「やあ、お久しぶり」
八幡「葉山…」
葉山「お見舞いに来たよ」
八幡「わざわざ悪いな…で?誰から聞いた」
葉山「前に結衣と会う機会が会って…その時に、比企谷の話題になって」
八幡「ほう…ぼっちだった俺の話題をね」
葉山「……色々、大変だったみたいだね」
八幡「ああ…色々あったな。もうすぐ退院だけど」
葉山「それで…比企谷、その」
八幡「謝らなくて良い」
葉山「……」
八幡「この間も海老名さんがこの病室に来て、俺に頭下げてきたんだぞ?」
八幡「お前と言い海老名さんと言い、何回俺に頭下げる気だ。過去の話だ。もう止せ」
葉山「……わかった。所でさっき雪ノ下さんに会ってきたんだけど」
八幡「は?」ピキッ
八幡「おい…おいおい、雪乃と何を話したんだよ?」ズイッ
葉山「っ!?い、いや別に…ただ挨拶してすぐ帰ったよ…」ビクッ
八幡「……」ギロッ
葉山「『話すことは特に無いわ』って言われて…すぐに帰ってきたよ」
八幡「そうか。なら良いや」
葉山「退院式は2週間後だっけ?」
八幡「そうだ」
葉山「見届けさせてもらうよ」
八幡「好きにしろ」
【厨房】
調理師1「一緒に料理を手伝いたい?」
雪乃「はい」
調理師1「それは助かるわ、雪乃ちゃんがずっと前に作ってくれた料理凄く美味しかったし!」
調理師2「雪乃ちゃん、どういう訳か私達よりも料理が上手いからね…期待してるよ!」
調理師1「でもいきなりどうしたの?」
雪乃「愛する人の為に、もっと料理が上手くなりたいんです」
雪乃「あと…いつまでもメソメソしてられないし」
調理師1・2「雪乃ちゃん…」ジーン
~~~
結衣「やっはろー!」
雪乃「由比ヶ浜さん…今日は大学はおやすみの日なのね」
結衣「うん!今は患者さんのお料理つくってるんだよね?あたしも手伝っても良いかな?」
雪乃「えっと…患者さんが違う病気にかかってしまう可能性が…」
結衣「ひっど~い!!あたしだって一人暮らしだから、結構練習したんだからね!」
雪乃「そういえばそうだったわね。ほんの少しだけ期待してあげるわ。ほんの少しだけね」
結衣「……えへへ」
雪乃「どうしたの…?」
結衣「ゆきのんの毒舌、久々に聞いた気がして」
雪乃「フフフ、そういえばそうね」
八幡(あの後も、色んな来訪者が来た)
八幡(俺の噂を聞いた、材木座が原稿を持って見舞いに来た。相変わらずだった)
八幡(一色も俺の見舞いに来た。そしてあの折本までもが来た。彼女達も相変わらずだった)
八幡「いよいよ明日で退院か…」
カチ…カチ…
八幡(時計の針に目を向ける)
八幡(あと…5分で0時)
~~~~
雪乃「……」
先生「さて、そろそろ連絡する準備を」
雪乃「あと…1分…」
~~~~
ゴーン…ゴーン…
pppppp
職員「はい…今代わります。比企谷さん」
八幡「はい」ガチャッ
『おめでとう試験は合格だ。明日の正午に退院式を開く』
【退院当日】
小町「お兄ちゃん、荷物はまとめた?」
八幡「もう片付いてる。あとは病衣を脱いで私服に着替えるだけだ」
小町「あ、実はね、こんな物を持ってきました!」ササッ
八幡「これ…総武高校の制服…」
小町「懐かしいでしょ?」
小町「パパとママも精神病棟で待ってるから早く着替えて!」
~~~
陽乃「じゃじゃーん!見てみて!」
雪乃「総武高校の制服…」
陽乃「ああそうそう、比企谷君も制服姿で来るからね」
雪乃「八幡も…」
雪乃「今日やっと…八幡に会える…」
【道中】
八幡「……」テクテク
八幡「今日で退院か…思えば色々あった」
八幡「なあ小町、そろそろ11月だよな?」
小町「そうだね」
八幡「丁度あの修学旅行から4年くらい経つのか…」
小町「その事も意識して制服をチョイスしたんだよ?」
小町「今はラブラブだけど高校時代は結局、和解出来ないままだった訳だし」
八幡「せめて今だけでも高校時代に戻った気分になれってか…粋な計らいどうも」
小町「あ、見えてきたよ!」
八幡「そりゃ同じ系列の病院で隣同士だ…見渡せばすぐ目に入るだろ」
小町「そうじゃなくて、ほら!祝福しにきてくれた人達がいっぱいいるよ!」
八幡「え?」
【精神病棟・玄関】
葉山「やあ比企谷。おめでとう」
八幡「おう…」チラッ
戸部「やっべ!ヒキタニ君まじ懐かしいわ!」
大和・大岡「だな」
三浦「……」
八幡「コイツらも来てたのか…」
葉山「結衣と話し合って、呼ぶ事にしたんだ」
海老名「比企谷君、退院おめでとう」ペコッ
八幡「あ、どうも」
海老名「あとそれと」
八幡「もう頭は下げなくて良いからな?」
海老名「……うん」
いろは「せーんぱい!ずいぶん早いですね」
八幡「早く雪乃に会いたかったしな」
折本「私も来てやったよ」
八幡「けっきょく来たのかよ」
折本「何その反応?有り得ないし!」
材木座「元気だったか八幡よ!」
八幡「ああ、滅茶苦茶元気だね。やっと雪乃に会えるんだ」
材木座「くそ…とうとう八幡もリア充に…」
戸塚「八幡凄く早く来たね!」
八幡「ああ。俺が予定よりも1時間も早く来ちまったからな」
~~~
雪乃「え、八幡がもう下に来てる!?」
結衣「うん。さっき優美子から連絡あった」
陽乃「じゃあ、もう行っちゃえば?」
雪乃「でもまだ時間まで早いし…」ソワソワ
平塚「先生。時間を早める事はできますか?」
先生「そうですね。まあこの際、時間を早めても良いでしょう」
雪乃「八幡…八幡…」ソワソワ
結衣「行こうゆきのん!」
雪乃「ええ」
~~~~
ガヤガヤ、ガヤガヤ
八幡「早く会いたい…」
ウイーン
八幡「!!!」
八幡(下を向いてると突如、自動ドアの開く音が聞こえる。顔を上げるとそこには…)
雪乃「八幡……」
八幡「雪乃……」
八幡(雪乃も俺と同様で、総武高の制服を来ていた)
雪乃「……」
八幡(その儚げな表情まで、あの時と全く一緒だ)
八幡「……」
雪乃「……」
雪乃・八幡「……」ドキドキ
雪乃「ひ、久しぶりね」
八幡「ああ…」
八幡(な、なんかいざ会うと距離感が上手く掴めん)ドキドキ
雪乃「やっと…退院ね」
八幡「長かったな」
平塚「二人とも」
雪乃・八幡「平塚先生…」
平塚「とりあえず先生に挨拶しなさい」
雪乃・八幡「……」ペコッ
先生「二人とも、最初に来たときは大人しくて優等生だった」
先生「だが後に、病棟創設以来の一番の大問題カップルにまでなってしまったね」
先生「その二人の退院を見届ける事ができてよかった」
先生「退院、おめでとう」
パチパチパチパチパチ
八幡(職員、先生、様子を見に来た患者…葉山のグループや俺の知り合い達が、静かに拍手を俺達に送る)
雪乃・八幡「ど、どうも」ペコッ
結衣「ゆきのん」
雪乃「由比ヶ浜さん」
結衣「退院おめでとう…」ダキッ
雪乃「ありがとう…」ギュッ
結衣「ぅぅ…ホント、無事に退院できてよかったよ…」ボロボロ
雪乃「……」グスッ
結衣「ヒッキーも…おめでとう」ボロボロ
八幡(雪ノ下から離れた由比ヶ浜は、顔をクシャクシャにして泣きながら、祝いの言葉を俺に送る)
結衣「ゆきのんを不幸にしたら承知しないからね…ぅぅ…」ボロボロ
八幡「絶対に不幸にしねぇから安心しろ」
パチパチパチ…パチパチ…パチ…
雪乃・八幡「……」
八幡(拍手も鳴り止み、静寂な空気が漂う)
八幡(それでも鼓動は高鳴る)ドキドキ
八幡「あぁ…雪乃、これ」ススッ
雪乃「お、覚えてくれていたのね」ドキッ
八幡(俺は赤い糸を小指に結ぶ)ギュッ
雪乃「私も…」ギュッ
八幡(俺と雪乃の小指に巻かれた糸を、二人で丁寧に絡め、ゆっくりと切れ目に結んでいく)ススッ
雪乃「……」ススッ
ギュッ
八幡「出来た…」
雪乃「ええ、やっと結べたわ」
八幡「運命の赤い糸…」
雪乃「……」
八幡「4年前の修学旅行で、一度は切れてしまった糸だったが…俺達は再会し結ばれた」
八幡「こんなラブコメみたいな奇跡、普通はないよな」
雪乃「そうね…夢見たい」
八幡「雪乃、これからはずっと一緒だ」
雪乃「ぅぅ…ぅぅ…」ツーッ
雪乃「八幡…」ボロボロ
ギュッ
八幡「……」
八幡(雪乃と俺は、互いの小指に赤い糸が巻かれた方の手を、優しく握り、指を絡める)
八幡「俺も…ずっと会いたかった。寂しい想いさせたな」ススッ
八幡(もう片方の手で優しく髪を撫でる)
雪乃「ぅ…ぅぅ…」ボロボロ
八幡「……」チラッ
八幡(ふっと、俺は何故か先生の方を向く。何かの許可を求めるように)
先生「……ま、今日で退院だし。良いんじゃない?」
職員全員「比企谷君、雪ノ下さんお幸せに」
患者1「しゃあねぇな。見届けてやるよ比企谷君」
患者2「とっとといつも通りイチャイチャしろよ」
八幡「雪乃…好きだ、大好きだ。愛してる」
雪乃「私も…大好き、愛してる」
八幡(互いに両手で指を絡め、見詰め合う)
雪乃・八幡「……」ススッ
八幡(俺達は目を瞑り、ゆっくりと互いの顔を近づける)
チュッ
八幡(唇に柔らかな感触と、静かな吐息を感じる)
雪乃・八幡「ん…」
雪乃・八幡「……」ツーッ
八幡(静かに流した涙が、互いの頬に触れ合う)
パチパチパチパチパチ!
雪乃・八幡「……?」チラッ
八幡(一旦、唇を離して周りを見渡す)
小町「お兄ちゃん!雪乃さん!お幸せに!」
陽乃「やっと選ばれたね雪乃ちゃん…お姉ちゃん嬉しいよ」グスッ
結衣「ゆきのん!ヒッキー!おめでとう!!」ボロボロ
八幡(知り合い達が俺達を祝福する)
戸部「やっべ!まじドラマみてぇでパネェ!」
葉山「おめでとう二人とも」
三浦「……」パチパチ
折本「へぇ、やるじゃん」
いろは「先輩~おめでとう!」
雪乃「なんかまるで結婚式ね」カァァ
八幡「恥ずかしさで顔を赤くしてる雪乃可愛い」カァァ
雪乃「八幡だって顔真っ赤じゃない……」
八幡「もういっそこのまま籍いれるか?」ダキッ
雪乃「フフフ、それも良いわね」ギュゥゥ
八幡(俺達はお互いに抱きしめあい、頬を寄せ合う)
雪乃「フフ」
八幡「雪乃、一緒に帰ろうぜ」
雪乃「ええ、帰りましょう」
【一週間後・雪乃のマンションの部屋】
ピンポーン
雪乃「……」
ガチャッ
八幡「……よ、今日からよろしく」
雪乃「ええ」
八幡「荷物はもう届いてるよな?」
雪乃「さっき業者の方が届けに来たわ」
八幡「……」
雪乃「……」
八幡「へへへ」
雪乃「フフフ」
ダキッ
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
八幡(両親とも話し合い、俺と雪乃は今日から同棲する事になった)
【数日後の夜・寝室】
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
八幡(俺達は布団の中に包まって、抱きしめ合う)
モゾモゾ、モゾモゾ
八幡(部屋は電気も付けず、さらに布団の中にいる為、互いの顔が良く見えないが、この状況がかえって心地良い)
八幡「ああ…雪乃、可愛いよ…すげぇぇ良い匂いするし…」
雪乃「フフフ、嬉しい。好き、好き、大好き」スリスリ
八幡「はぁぁ…このまま時間が止まれば良いのにな」
雪乃「全くね…でも、時間は勝手に進む」
八幡「……そうなんだよな」
八幡(俺が雪乃と同棲を始めてより、かれこれ数日)
八幡(やること言えば…寝て起きて、食事を取り、セックスして、一緒にシャワーを浴びて、パンさんのDVD見て、またセックスの繰り返し)
雪乃「施設にいたときは、アナタとこうやって夜の時間を過ごせなかったから私、幸せよ」
雪乃「でも…そろそろ、ね?」
八幡「そうだな…大学受験の準備しないと」
雪乃「でも私の事もいっぱい愛してね?」
八幡「勿論だ。んっ」チュッ
雪乃「んっ」チュッ
【翌年4月・某大学】
八幡「じゃあ学校行くか」
雪乃「ええ」
八幡「ほら、赤い糸を結ぶぞ」ギュッ
雪乃「ええ」ギュッ
八幡(俺達は無事に受験に合格して、一緒の大学に通っている)
八幡(しかし、受けなおした大学は千葉の大学ではない)
八幡(由比ヶ浜が通う県外の大学、それも同じ学科を受ける)
八幡(偏差値は一応高めの大学だが、雪乃は余裕で合格。俺は暫く勉強してなかったせいか、合格するのに若干苦労した)
八幡(因みに、赤い糸は今でも一緒に巻いている)
八幡(主に学校やらデートとか、二人で外出する時に、その糸を小指に結ぶ)
【教室・休み時間】
八幡「雪乃、キスしたい」ススッ
雪乃「……はぁ?何を言ってるの?今は公衆の面前よ?目だけじゃなくて頭の中まで腐ってしまったのかしら。あ、元々腐ってたわねゴメンなさい。でももう一度再入院を勧めるわ」
八幡「……」
雪乃「……」
八幡「へへへ」
雪乃「フフフ」
八幡「俺、お前の事ますます好きになっちまったよ。最高だったぜ?今の罵倒」
雪乃「嬉しい」スッ
八幡「おい。公衆の面前で止めろって言ったのはドコのどいつだ?」
雪乃「あ…」カァァ
八幡「帰ったらいっぱいキスしような?」
雪乃「ええ」ウットリ
雪乃「でも今日はバイトでしょ?」
八幡「あ…そうだ、帰り遅くなる」
雪乃「私もバイトだから遅くなるわ」
八幡「それじゃ深夜までお預けだな」
雪乃「残念ね」
【バイト時間】
八幡「いらっしゃいませー」
八幡(雪乃無しでは生きていけなかった俺が、まさかバイトを始めるとはな…元専業主夫希望が聞いて呆れるな)
八幡(県外に引っ越しても、またまた雪乃の財力でマンションに住む事になっちまったしな…流石にすねをかじる訳にもいかん)
八幡(安アパートとかで良いのに何であんな高い物件を…まあ、それでも前のマンションと比べたら規模はだいぶ小さくなったが)
八幡(ぁぁ…雪乃会いたい…)ボーッ
店長「比企谷君!お客さん来てる!」
八幡「あっ!す、すいません!」
結衣「やっはろー!」
八幡「おう、お前か!」
結衣「ヒッキー明日はバイト?」
八幡「いや」
結衣「じゃあ明日は活動できるね!」
八幡「そうだな」
結衣「そういえばゆきのんは、何のアルバイトしてるの?」
八幡「アイツは学内の図書館でバイトしてるよ…俺も受けたけど、採用が一人しか取ってくれなくて」
結衣「そっか。でもいいんじゃん?少し離れた方が、恋人の大切さが実感できそうだし」
八幡「お前、珍しく良い事言うな」
結衣「えへへへ」
【次の日・部室】
雪乃「さ、始めましょ」
八幡「ああ」
八幡(入学後すぐに、俺と雪乃と由比ヶ浜で、再び奉仕部を作った)
八幡「しかし未だに依頼人ゼロか…」
雪乃「無理も無いわ。数あるサークル、同好会、部活動の中で、奉仕部を見つけること自体難しいわ」
ppppp
八幡「携帯…由比ヶ浜からだ」
『ごめーーん!出さなきゃいけないレポートあるから、ちょっと待ってて!!』
八幡「今日中に終わらせて、部室に来れるのか?」
『う…うん!!頑張る!!絶対行くから待ってて!!』
八幡「お前な…大学院を受けるんだろ?しっかりしろよ」
『わ、わかってるって!!んじゃまた後で!!』
雪乃「由比ヶ浜さん…本当にあの調子で、大学院合格できるのかしら」
八幡「まあ良いんじゃね留年しても?その後、大学院入れば計算的に言って4年間一緒に居られるぞ」
雪乃「一先ず、今後の方針はまず奉仕部の存在を知ってもらうことね」
八幡「空き時間を利用して、各教室に回るとか?」
雪乃「そうね。あと掲示板にポスターを貼ったりしてアピールするのよ」
八幡「地道な作業になりそうだ」
雪乃「その積み重ねで、やがて依頼人も来るわ」
八幡「まあ誰かしら来るかもな」
雪乃「でも」ズイッ
八幡「どうした、顔を近づけてきて」
雪乃「特に依頼人もくる事無く、終わるのも悪くないわ」ススッ
チュッ
雪乃・八幡「ん…」
八幡(あの時と違う事といえば、雪ノ下がすぐ隣に居てくれる事)
八幡(それとお互いの連絡先も交換している、同棲してるから当たり前だが)
八幡(二人っきりの時は、こうやってキスしたり、抱き合ったりしてる)
~2時間後~
雪乃・八幡「……」ギュゥゥゥ
雪乃・八幡「んん…ん…」チュッ
雪乃「八幡と触れ合っていると時間を忘れてしまうわ」
八幡「俺も…雪乃と愛し合ってると、時間間隔が狂う」
雪乃「もう1回キスして…」ススッ
八幡「ああ…雪乃…」ススッ
ガチャッ
結衣「ごめーーーん!!レポートなんとか終わった!!!」
雪乃・八幡「あ」
結衣「あ、あわわわ///ご、ごめん!邪魔しちゃった///」カァァァ
八幡「おい待て、どこ行く」
雪乃「気にしなくて良いから部室に入りなさい」
結衣「もーー!そういう事言うなら、イチャイチャする場所考えてよね!」
八幡「んじゃ、アホの子が来たし始めるか」
結衣「もう!!アホじゃないし!!ヒッキーのバカ!」
雪乃「騒いでないで始めるわよ、まずは奉仕部の広告ポスター作りからね」
結衣「うん!エヘヘヘ」
雪乃「フフフ」
八幡「へへへ」
八幡(こうして、俺達の奉仕部は再び始まる)
おわり
ここまで読んでくれて、ありがとうございます
原作7巻を読み直してて『色んなパターンで二次創作を作れそう』と思いストーリーを考えました
それとキャラ二人とも病んでるカプ物をあまり見たことが無かったので作ってみました
次回作を早く書きたいけど、まだ掛け持ちのSSが終わってないし、何より最新刊の原作10巻をまだ初めの方しか読んでない…
新しいSSは早くても今月末か来年になってしまいますが、もし興味があったら見ていって下さい
それではこの辺で
このSSまとめへのコメント
面白いです! 期待してます
おぉ続きが気になる
いけるやん....完結おなしゃす
今まで読んだガイルssの中で5本の指に入る。
ヤバイ!面白い
砂糖吐く
続編はしょ
期待期待
期待
よんでて涙が止まらない
是非最後まで書いて欲しい
あとまたこういう病んでる感じのやつをまた書いて欲しい
ただただ 恐い ((((;゜Д゜)))
キスしてるとことか飛ばしたんですけど……私だけじゃないよね!
んまぁストーリーはなかなか良いと思います。
由比ヶ浜の事とか、昔の事とか、もっと丁寧に書いて欲しかった。
期待してます。
これは面白い
なにこれ素晴らしい
公衆電話で電話……?
※15
作者が間違いで書いたって言ってるよ
面白かった
きちっていたけど良い終わりだった
こんなバカップルのイチャイチャ見せつけられた患者たちに同情したわ!
今まで見た俺ガイルのssの中でも一番感動した(´°̥̥̥ω°̥̥̥`)
ま、おもしろかったw
キスしてるところ飛ばすってキッズかな?
病んでるのはかなり苦手だけど、これはストーリーが本編の分岐って感じで読みやすかった。いちゃいちゃ多すぎる気がしないでもないけど楽しかった!個人的には材木座もお見舞いのとこでもうちょい描いて欲しかったw
泣けるわ…
退院式のときに玉縄も来て欲しかったな(棒)
こんなのただの共依存だろ。ここまで行くと気持ち悪い
これたまに読みたくなるんだよなぁ
10 : SS好きの774さん 2014年11月23日 (日) 09:43:05 ID: wymKg7X3
よんでて涙が止まらない
是非最後まで書いて欲しい
この時浪人してて病んでたんだよなあ
この二人が羨ましすぎて読みながら泣いてたのは今でも鮮明に覚えてる
辛かった
定期的に読みたくなる名作。