[ガルパンSS]みほ「美味しん・ヴォー!!」 (34)

・ガールズ&パンツァーのSSです。
・キャラクター個々の根底の性格の良さはそのままとなっております。




柚子「粗茶ですが……」コトッ…

まほ「ああ……いや、お気遣いなく」

桃「それで?黒森峰の隊長である貴女がわざわざアポなしで大洗に来たということは
  相応の理由があると思っていいのですね?」

杏「かーしま、そんなに焦って理由を聞かなくてもいーんじゃない?
  でも実際、私らだけでなく西住ちゃん達も同席で話をってことは、
  確かに深い理由がありそうだよねぇ」モグモグ

みほ「お姉ちゃん……教えて?お姉ちゃんがそんなに疲れた顔をして、
   しかも連絡もなしに来るなんて、絶対何かがあったんだよね?
   私で力になれることがあるのなら、何でもするよ?
   だから、ね?」

まほ「みほ………すまない。今回のことは私一人では、もうどうすることも
   できないことなんだ……」ハァ………

沙織「いつもあんなに毅然としてるお姉さんが、こんなにやつれて……」

麻子「相当心労が溜まっていると見える。そういう時は早めに寝た方がいい」

優花里「冷泉殿、話が脱線してしまってますよ。それで、姉上殿。
    姉上殿のお悩みというのは……?」

まほ「姉上………?まあいい……、私が皆さんに協力を仰ぎたいこととは…。
   エリカの、ことなんだ………」

みほ「エリカさんの………?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1472375923

このSSを書いたのは誰だー

華「エリカさんといえば、黒森峰の副隊長さんですよね?
  彼女に何か問題でも……?」

まほ「うむ、実は今エリカは黒森峰にはいない…、休学の手続きを取って
   この大洗に来ているんだ」

みほ「えぇ!?休学って……一体何で!?」

まほ「分からない…だが黒森峰には、熊本には二度と戻りたくない。
   もう帰らないというんだ……」ハァ……

桃「どういうことだ…黒森峰の戦車道においてあれだけ熱意と忠誠心を持った人物が
  休学をしてまで戻りたくないなどと…」

優花里「しかし、何でまた大洗に?」

まほ「それも分からない…しかし私どもが調査したところによると、
   エリカは近くの格安ビジネスホテルに滞在し、朝から晩まで
   大洗にある人気のハンバーグ店に入り浸っているようなんだ…」

柚子「は、ハンバーグ店…ですか?」

まほ「ああ、エリカが立ち寄るのは決まってご飯お代わり自由のハンバーグ店で、
   ハンバーグのLサイズを頼んでは一切れでご飯を一皿は食べ、お代わりし…。
   ハンバーグがなくなると別のソースのハンバーグLサイズを頼む。
   全てのソースを頼み終えると会計を済ませ、別の人気店に向かうという
   生活を送っているんだ…」

沙織「よくお腹がもつね……」

麻子「金もだろう、どこからそんな資金が出てくるんだ」

まほ「それは良いのだが、どうして黒森峰を休学してまでそのような生活をしているのか
   が全く分からず、私自ら出向いて戻ってくるよう説得しても、聞き入れてもらえず…」

杏「八方ふさがりになって他校の知恵を借りようと思ったというわけだね」

まほ「その通りだ……」フゥ…

ハンバーグ大帝逸見エリカ!


優花里「しかし姉上殿、具体的にはどうするつもりなのですか?
    いくら我々でもいきなり逸見殿説得作戦を思いつけるわけでは…」

まほ「いや、皆さんにしてもらいたいことは決まっている。
   エリカに…熊本の素晴らしさをもう一度思い起こさせてほしいんだ」

沙織「い、いやいや!何でそんな事私たちにできるの!」

まほ「できる!私たちが調べたところによると、エリカは1日のほぼ全ての
   時間をハンバーグに費やしている!
   具体的な理由は分からないが、エリカが大洗に来た理由がハンバーグ…
   つまり食に関しての何かであることは間違いないんだ!」

麻子「なるほど…一理あるな」

まほ「であるから、皆さんになにか食べ物を考えて欲しいんだ。
   エリカを熊本に帰ろうという気にさせる食べ物を!」

華「それでしたら私たちでも考えられますね!」

優花里「西住殿………」

みほ「うん……お姉ちゃん。私、やるよ。エリカさんが熊本に帰りたいって
   思えるお料理を考えるよ!」グッ

杏「西住ちゃんもやる気みたいだし、私らは別に構わないだけど、その作戦は
  事前に試してみたの?自分でさ」

まほ「うっ……実はここに来る前に私特製のカレーを振舞ってみたんだ。
   黒森峰のことを思い出してくれるかと思って。
   エリカも涙を流しながら貪ってくれたんだが……」

桃「駄目だったんですか?」

まほ「『でもカレーを食べるくらいなら、カレーソースもあるハンバーグを
   食べた方がいいですね』と言われてしまって……」ショボン

柚子「あぁ………」

華「そ、それは何というか……」

麻子「ご愁傷様、だな」

まこ「……」ショボン

~ 数日後 大洗学園 生徒会室にて ~




エリカ「ちょ、ちょっと隊長!?一体私に何をするつもりなんですか!?
    離して下さい!?」ジタバタ

まほ「騒がしくてすまない。エリカに一緒に来るよう伝えてもなかなかうんと
   言わなかったもので、ふんじばってきた」

沙織「あ、うん……それは、まあしょうがないかなというかもう遅いから
   いいんだけど………」チラッ



ケイ「………………」

ダージリン「……………」

アンチョビ「……………」

カチューシャ「……………」

絹代「………………」

ミカ「…………………」ポロロローン


みほ「お姉ちゃん……他の人にも頼んでたんだね……」

まほ「伝えるのが遅くなったことは悪いと思っている…。
   だが私としては何が何でもエリカを黒森峰に戻したいんだ。
   そのためには成功率を1%でも上げておきたかった」

杏「まぁいいんじゃないの?材料費は黒森峰がもってくれてるし、私らは
  生徒会室の使用料を前金でちゃんと貰ってるんだから、好きにしてくれたらいいよ」

桃「雑費として戦車道予算に計上させてもらった。これで整備にも設備にもより
  お金をかけられる」ホクホク

華「生徒会の方々もああ言っていることですし、私たちはエリカさんに
  考えた料理を召し上がっていただいたらそれで良いではないですか」

沙織「華は懐が大きいね。じゃあみぽりんのお姉さん、私たちから始めちゃっていい?」

まほ「ああ、宜しく頼む。エリカ、今日はここにいる皆がエリカの為に料理を考えてくれた。
   心して食べてくれ」

エリカ「…そんな事しても、私の気持ちは変わりませんよ」プイッ

みほ「それじゃあ、お願いします」

黒服「…」カチャカチャ

エリカ「これは…………」

まほ「ほぅ……辛子蓮根と一文字グルグルか」

みほ「どうぞ、召し上がって下さい」ニコッ

エリカ「…………」コリッコリッ

エリカ「ヒャーッ、効く効くーっ!
    鼻をぶん殴られるようなこの辛さが何ともたまらない!
    辛子蓮根みたいにうまいものがこの世にあるのかしらっ!?」ハーッ ハーッ

麻子「こんなに辛いのにさっぱりしてて、ご飯のおかずにぴったりなのが
   不思議だな」

エリカ「いやいやまったくね!」コリコリッ

エリカ「ネギをゆでてね、白い根っ子のところを中心にグルグル巻いて
    これを酢味噌で食べる、実にオツなものじゃない。
    名前がまたいいのよね、一文字グルグルって…」

華「今のところは、エリカさんもご機嫌で召し上がっていますね」ヒソヒソ…

沙織「みぽりん、もうひと押しだよ!」ヒソヒソ…

みほ「はい、優花里さん。お願いします」

優花里「了解であります、西住殿!逸見殿、こちらをご覧下さい!」つ飯

エリカ「あ、貴女それは…炊き立ての飯じゃない!さ、さっさと寄越しなさいよ!」

エリカ「」ポリポリッ ガッガッ

エリカ「むふーっ!辛子蓮根食べるときは球磨焼酎より飯食わないかんばいっ!」

エリカ「う、うまいーっ!」

優花里「逸見殿、大分喜んでいるでありますなぁ!」

沙織「これで彼女も熊本に帰りたくなったはずだよ、ね!みぽりん!」(^_-)-☆

みほ「はい!手応えあり、です」

エリカ「でも…大洗でこんなに美味しい辛子蓮根と一文字グルグルが食べられるなら…」

エリカ「熊本へ帰る必要ないわね」シー シー

みほ・沙織・優花里・麻子「「「「 えっ!! 」」」」

華「そ、そんな!?」

まほ「ちょ、ちょっと……!」アセアセ

ケイ「ふふっ、ミホ。貴女の発想は中々のものだったけど、それじゃあエリカの
   心は動かせなかったようね」ニヤリ

ケイ「次は私たちサンダース大付属の番よ。まずはこちらを食べてもらおうかしら?
   名付けて、『ピザの横綱』よ!」パチンッ

黒服「」エッサッ ホイサッ

優花里「な、何と大きなピザでしょう!?」

沙織「宅配ピザのLサイズの軽く1.5倍はありそう!」

エリカ「これはすごい、大変なものね!これが貴女の言うピザの横綱なの!?」

ケイ「ノンノンッ。これはまだ露払いよ」

エリカ「えっ!これで露払いなの!?」

黒服「」キリワケ キリワケ

エリカ「」モグモグ……

エリカ「へぇ、なかなかうまいもんねぇ。台はパリッとしているし、上に
    のっているのが、また豪勢だし」

ケイ「ピザの台に使う小麦粉は普通の小麦粉よりタンパク質が多いし、
   上にのせる物も、肉でも野菜でも選択次第でなんでもけっこう。
   栄養価も充分高められるしね」

エリカ「へぇ……こら、ピザも馬鹿にできないわね」

まほ「みほ、エリカがハンバーグから揺らいでいるようだ…。
   これならエリカもハンバーグの呪縛から逃れられるかもしれんな…」ヒソヒソ…

みほ「うん…だと、いいんだけど……」ヒソヒソ…

ケイ「さぁ、おまちどおさま。これがピザの横綱よ」パチンッ

黒服「」ヨイショッ ヨイショッ

麻子「な、何だこれは!」

エリカ「ひええ!」

ケイ「これこそピザの横綱、シカゴ・ピザよ。いかにもアメリカらしい、
   超ド級のボリュームよ」

優花里「これがピザなのでありますかっ!?」

エリカ「こらすごい!」

ケイ「ピザの生地で深皿の形を作り、中にミックスピザの具を二層に盛り込み、
   上にトマトソースとモッツァレラチーズをのせ、オーブンで焼く」

ケイ「時間は数倍かかるけど、まあ、この量感はちょっとほかに得られないわ」

ケイ「普通の人間は、こんなものを食べ過ぎたら大変だけど、エリカなら
   ある程度はいいんじゃないかしら。
   コレステロールや血糖値を調べながら食べれば」

エリカ「ええ!この豪快なところが気に入った!
    まさに横綱ね!」ガボッ

アリサ「良かったわ、大成功みたいね!」

ナオミ「これでエリカはハンバーグから興味が逸れ、熊本に帰りたくなっただろう」

ケイ「」ニヤリッ

エリカ「でも同じボリューミーな量感を求めるなら、台から生地がポロポロこぼれない…」

エリカ「ハンバーグを食べた方がいいわね」シー シー

ケイ・ナオミ「「 えっ!! 」」

アリサ「そ、そんな!?」

まほ「ちょ、ちょっと……!」アセアセ

アンチョビ「ふっふっふ…。着眼点は良かったが、サンダースにはちょっと
      荷が重かったようだな」

アンチョビ「食に関しての問題ならアンツィオに任せておけば問題ない!
      まずはこれを食べてみろ!」パチンッ

黒服「」カチャカチャ

アンチョビ「まず、生ウニとイクラのスパゲッティだ」

アンチョビ「生ウニは、生クリームと白ワインで溶いて、なめらかに練って
      ソースに仕上げる。ゆでた麺をそのソースでからめて、
      その上に日本酒と醤油に漬け込んだイクラをのせる」

エリカ「うは!これはぜいたくな味ね!アンツィオは資金難だと聞いていたけど
    張り切ったわね!こら極楽!泣けてくるうまさね!」ガツガツガツ

アンチョビ「材料費は全て黒森峰持ちだったからこそできたパスタだ。
      そして、次はアワビのスパゲッティだ」

アンチョビ「蒸したアワビの肝をつぶしてこして、卵黄を加え、ダシ汁で
      のばしてソースとする。
      ソースをからめた麺の上に、蒸したアワビの薄切りをのせる」

アンチョビ「ワサビを別皿に添えたから、お好みで使ってくれ」

エリカ「イカのスミづくりのスパゲッティによく似てるけど、
    うまさは数倍こちらが上ね!」ガツガツ

エリカ「こらますますぜいたくな味!しかもこちらは、まさに日本風のスパゲッティ!」ガツガツガツ

ペパロニ「エリカの姉さんすげぇ反応っすよ!」

カルパッチョ「日本風の味付けにしましたし、これならエリカさんもハンバーグの
       ことを忘れてくれますね、ドゥーチェ!」

アンチョビ「手応えあり、だ」ニヤリ

一旦終わります。
明日以降に続きを書きます。

太りそう(小並感)

こんな時間にメシテロを…

おつ

ポーランド料理は何回か出てきたけど、
ロシア料理って、何か出てたっけ……

ピロシキ

京極さんみたいな反応のエリカで笑うわこんなん

遅うなりましたが、少しずつできましたので召し上がっとくれやす。



エリカ「でもスパゲッティはハンバーグの付け合わせについているし…」

エリカ「ハンバーグを最初から食べた方がいいわね」シー シー

アンチョビ・ペパロニ「「 えっ!! 」」

カルパッチョ「そ、そんな!?」

まほ「ちょ、ちょっと……!」

絹代「アンチョビさんでも駄目でしたか……となれば次は私の番でありますが…」

絹代「皆さんのように我らは普段から見栄えのする良い食品を食べてませんので
   自信がありませんで……」トホホ……

エリカ「あら、そんな事言わずにお願いするわ。
    ここまで来たらとことんまで色んな料理を味わい尽くしたいし」シー シー

沙織「うわ……あの人まだ食べる気だよ……」ヒソヒソ…

麻子「全身これ胃袋……」ヒソヒソ…

まほ「頼むよ、西殿」

絹代「分かりました…では黒服殿、用意したものをこちらへ」パチンッ

黒服「」ヨイショッ ヨイショッ

みほ「え?これって普通の醤油ラーメン……」

優花里「それは分かりますが、ラーメンの横にあるのは……」

華「ご飯……いえ。この場合はライス……つまり、ラーメンライス、ですね…」

エリカ「」ポカァ……ン

絹代「これで、ラーメンライスの突撃方法は難しいのです。
   皆さんも、私と同じようにしてください」

絹代「頂きます」ペコッ

絹代「ラーメンライス食法その一!
   基本型、汁麺飯汁始め!!」パーン←割りばしを割る音

絹代「まず、ラーメンの汁をひとすすり」ズズー

絹代「ついで、麺をひとすすり」ズルルルッ

絹代「麺を口に入れたまま。飯をガバッと大きくひと口!」ガバッ

絹代「麺と飯をいっしょに咀しゃくする。
   これがラーメンライスの醍醐味!」

エリカ「麺を口に入れたまま、ご飯をさらにほおばるのが意外に難しい……」

みほ「ああ~~~、あやうくのどにつかえるところ」ホッ

絹代「ラーメンライス食法その二!
   汁海苔飯麺汁!」

絹代「汁をひとすすり」ズズー

絹代「素早くラーメンの上の海苔をすくい取って、
   飯にまいて口に入れる」

絹代「同時に、麺をすすりこむ」ズウーッ

絹代「海苔と麺と飯!
   この三者混合の味の豊かさを味わうーーーーー!」

絹代「ラーメンライス、食法その三、
   メンマ飯麺汁!」

絹代「まず、メンマをおかずにご飯を食べる!」コリコリッ

絹代「三口、四口、歯ざわりを楽しんだところで、
   麺をすすりこむ」ズゥーー

絹代「そして汁を大きくひとすすり。
   ごくーんと全部ひとのみ!」ゴクーン

絹代「ううーーーーーー!
   気持ちいいーーーーーー!」ゲェーーーーーープゥ

みほ「ゲップ……し、失礼」ゲップ

エリカ「ゲーーーーーーップ、気持ちいい!!」ゲーーーーーップッ

絹代「ラーメンライス食法極意、乱汁乱麺乱飯乱汁ーーーー!
   要するに、ガツガツズルズルサバサバやるべし!
   とにかくやるべし!」サバサバ

絹代「ごちそうさまでした」コトッ

みほ「もう食べちゃったの!? とても追いつけませんよ!」

沙織「いや……みぽりん見なよ」

みほ「沙織さん……?」

エリカ「ごちそうさまでした」コトッ

みほ「あぁ…………」

絹代「エリカ殿、私はラーメンライスの女ですよ。
   やはり痛感致しました、私には他の皆さんのように
   豪快なピザや豪勢なパスタは振舞えません。
   私は皆さんとは釣り合いません。
   だから私はいさぎよく……」

エリカ「………………………」

エリカ「ラーメンライスがこんなに美味しいなんて……。
    アンタと一緒に飯を食ったらもっといろいろな人生の素晴らしさ、
    教えて頂けそうね…」

エリカ「今まで私を満足させようと豪勢なフランス料理の店に連れて行ってくれた
    人間は大勢いたわ。でも、ラーメンライスの食べ方を教えてくれたのは
    アンタが初めて」

エリカ「私は、ラーメンライス、好きよ」

絹代「エリカ殿!」

まほ「みほ……この流れはもしかすると……!」ワクワク

みほ「う、うん……!」ドキドキ

エリカ「まあでも、それでも純粋にハンバーグの方が美味しいから……」

エリカ「ハンバーグ食べてる方がいいわね。わざわざ食法守る必要ないし」シー シー

絹代・玉田・細見「「「 えっ!! 」」」

福田「そ、そんな!?」

まほ「ちょ、ちょっと……!」アセアセ

カチューシャ「ふっふっふ、予想通りラーメンライスじゃエリーシャを
       満足させられなかったようね絹ーシャ!
       それじゃあ満を持して、このカチューシャの料理を振舞ってあげるわ!」

優花里「今までの流れだと、例えカチューシャ殿自慢のボルシチを出したとしても、
    『でも同じ鮮やかな深紅色の料理でも、ハンバーグのトマトソースの方が
     庶民的だし、ハンバーグの方がいいわね』と一蹴されてしまいそうで
    ありますなぁ…」

みほ「優花里さん、声真似やめて……」プルプル

カチューシャ「それじゃあノンナ!持ってきて頂戴!」パチンッ
黒服「いや、これは我々の仕事ですから!関係者の人はご自分の席に……!」

ノンナ「カチューシャから頼まれましたので、お引き取りを」ブンッ

黒服「ごあっ!!」ドゴォ!!

沙織「うわぁ……ノンナさん、黒服さんの左頬を右ストレートで思い切り
   ぶん殴ってるよ……」ヒソヒソ…

麻子「じっくり見るな沙織。私たちまでぶん殴られるぞ」ヒソヒソ…

エリカ「……土鍋?ロシア料理じゃないの?」

カチューシャ「どうせボルシチだしても足蹴にされるのは目に見えてたからね!
       私の思い出の料理を持ってきたのよ!」

ノンナ「そもそもカチューシャも私も北海道網走の出身ですからね」

華「またそんな……身も蓋もないことを……」

エリカ「それは楽しみね。しかしこれは……なにかしら?」カパッ

カチューシャ「こんな寒い日にはぴったりよ」

エリカ「へぇ、これは?」マジマジ

ノンナ「鍋焼きうどんです」

エリカ「なに!鍋焼きうどん!?」

エリカ「ほ、本当、うどんよ!」

みほ「鴨の肉、海老の天プラ、焼きアナゴ、松葉ガニの脚………」

エリカ「それに具合よく半分煮えている刺身は、ヒラメとアマダイね」

みほ「……!」スゥ……

みほ「す、凄いです!このスープはスッポンのスープじゃないですか!」

エリカ「こんなぜいたくな鍋焼きうどんは前代未聞ね」ズズッ

エリカ「これだけいろいろな物を入れると、ごった煮風になって
    味がにごってしまいがちだけど……」

エリカ「どの材料もよく吟味してある上に、味つけが抑えてあるから、
    スッキリと上品に仕上がってるわ」

エリカ「うーむ……やはり非凡の腕としか言いようがないわね」

カチューシャ「ちょっとエリーシャ、褒めすぎよ」フフンッ

カチューシャ「そういえば同じことを言ってくれた人がいたわね…。
       私がこうしてプラウダの戦車長をしているのも
       その人のおかげなのよ……」

エリカ「へぇ、なんて名前なの?」

カチューシャ「宝全産業の社長の宝木さんよ」

※宝木さんのエピソードは『美味しんぼ』25巻第6話「年越しうどん」に載ってるよ!
 古本市場やブックオフで買ってみてね!

エリカ「あの食通で有名だった宝木さんに、ひいきにしてもらってたの!
    やはり宝木さんは、味のよくわかるお方だったのね」

ノンナ「カチューシャ…そんな話初めて聞きました」

カチューシャ「………………」

華「それはそうでしょうね、ねつ造ですもの……」ヒソヒソ…

沙織「華、それ以上は駄目、はっ倒されるよ……」ヒソヒソ…

麻子「しかし沙織よ、このままではあらぬ方向に脱線してしまうぞ……」ヒソヒソ…

優花里「西住殿……ここは無理にでも話を切り上げる必要があるのでは
    ないでしょうか……」ヒソヒソ…

みほ「優花里さん、言うまでもないことです。お姉ちゃん、お願い」ヒソヒソ…

まほ「分かっている……カチューシャ!思い出話もあるだろうが、その話を始めては
   せっかくの鍋焼きうどんが冷めてしまうぞ?
   ここはエリカの裁定に入ろうじゃないか!」パンパンッ

カチューシャ「え?せっかく六年前に宝木さんと出会った話を始めようと思ってたのに…」

ノンナ「カチューシャ。ここは仕切り役の西住さんに従いましょう」ズイッ

カチューシャ「そ、そう?まあノンナがそう言うなら……」

みほ「ノンナさん、ナイスフォローです」ヒソヒソ…

優花里「そりゃあ、カチューシャさんに変な設定つけると、大変なことになりますからなぁ」ヒソヒソ…

エリカ「」ケップ

沙織「うわぁ……エリカさん、このやり取りの間に鍋焼きうどん平らげてるよ…」

麻子「後で胃袋があっちっちになっても知らないぞ」

エリカ「でもこれ、お金掛かりすぎるし、もっと安価でご飯お代わりもできる…」

エリカ「ハンバーグの方がいいわね」シー シー

カチューシャ・クラーラ「「 えっ!! 」」

ノンナ「……そう、ですか」ハァ

アリーナ「まあ……何というか……」

ニーナ「残当だべ」

カチューシャ「同志ニーナ、あとで粛清」

ニーナ「ひぃいいいいいいいいいい」

みほ「もう皆さん展開が読めてきてますね……」

華「ノンナさんなど溜息をついてましたよ……」

まほ「私ももう驚くのに疲れた……」ハァ




ポロロローン



みほ「こ、このカンテレの音は……」

沙織「カンテレの音って言ってる時点でネタバレだよね」

麻子「誰も気にしてないし、いいんじゃないか」

ミカ「豪華で豪勢な料理……それは人生において必要なことかな?」

アンチョビ「でもせっかく黒森峰が資金を提供してくれいるのだし、
       どうせなら美味い方がいいじゃないか!!」



ソウダ、ソウダーー!



ミカ「その見栄に意味があるとは思えない…。
   もっと純粋に、もっとシンプルに…。ハンバーグ以外の美味を伝える方法が
   あるんじゃないかな………」パチンッ

黒服「」ヨロヨロ… 

沙織「黒服さん、松葉杖をつきながら運んできてくれたね…」

優花里「ノンナさんのパンチ、物凄い音してましたからなぁ」


ドサッ


エリカ「……えっと、ザルに山盛りの茹でたジャガイモが……」

まほ「まさか、これが……?」

ミカ「新ジャガの塩ゆででござい。
   騙されたと思って食べてごらん」

エリカ「やっぱり新ジャガは、塩だけで食べるに限るわね!」ハフハフ

エリカ「この瑞々しいねっとりとした感触と、さっぱりした味がたまらないわね」ハフハフ

エリカ「美味しいなぁ、私、もう三つも食べちゃったぞ!」ハフハフ

みほ「食べちゃったぞって……確かに美味しいけど……」

華「でも、みほさん見てください。ただの茹でたジャガイモに、エリカさん嬉々として
  食いついてますよ…」

麻子「確かに、食いっぷりを見ると他の料理と遜色ない気がするな」

沙織「単純に食べ物であれば、何でもいいだけじゃない?」

優花里「案外それ、当たってそうで怖いです……」

ミカ「どうやらお気に召していただけているようだね。ではそこに
   駄目押しの一手をあげようじゃあないか。
   これを、つけて食べてごらん?」つマヨネーズ

エリカ「ま、マヨネーズ………」

ミカ「そう、ご飯につけても唐翌揚げにつけても何につけても美味しい。
   こと茹でたジャガイモにつけるとCMにだって出れる魔法の調味料さ」

エリカ「ハムッ!ハフハフッ!!ハムッハムッハフッ!!」ガツガツガツ

まほ「エリカ……ついに言葉まで無くしたか……」ホロリ

ミカ「そう、人を無心にする力を持つ魔性の調味料……それがマヨネーズさ。
   業務用スーパーにお徳用が売ってるから安いしね」

優花里「しかしそういうマヨネーズって、カロリーもバリ高で健康にも良いわけでは…」

ミカ「健康……それは人生において必要なことかな?」

沙織「必要でしょうよ」

ミカ「さて、ここまで食べてもらって分かったのではないかな?」

ミカ「ジャガイモは土の味さ…。これはすべての味の根底だよ……」

ミカ「………」ポロロローン

ミカ「君たちはとても大事な物を見失っていたのさ。
   人間、物を作るのが一番尊い仕事さ。こんな美味しい物を
   一生懸命に作っている人がいるのに、
   君たちは黒森峰から渡された潤沢な資金で贅沢を追及してしまった…」

ミカ「ジャガイモのこの大地の味に比べれば、派手な飾りだらけの料理なんて
   クズ同然さ。そんなまがいものをエリカさんに与えて、君たちは
   自己満足していたんだ……」

ミカ「エリカさんにとってはジャガイモの純粋な味が今、一番必要だと気付かずにね…」

みほ「はあ」

まほ「そう………(無関心)」

沙織「皆、あっけにとられたような顔してるね」

麻子「この雁屋節についていける人間は、もうこの世にはいないさ……」

優花里「誰ですか雁屋哲って?」

麻子「知ってるんじゃないか」

エリカ「美味しかったけどジャガイモばかりじゃただお腹が膨れるだけだし、
    何より糖質の塊だし……」

エリカ「ハンバーグ食べた方がいいわね」シー シー

沙織「知ってた」

麻子「まあこれは、誰も異論はないだろうな」

優花里「というか、今回は料理提供者からも驚きの声がないような……」

ミカ「おやおや、どうやらお気に召さなかったようだね。
   ジャガイモの味が分からないとは、人生の半分は損をしているね」ポロロローン

ミカ「それでは私の役目は終わったようだ。これで失礼するよ」ポロロローン

華「…何故でしょう。物凄く怪しいくらいにあっさり引いたような気がしたのですが…」

まほ「いや、例えジャガイモだけだとしても苦労して考えてくれたのだ。
   感謝こそすれ非難などしようもな……」

みほ「……待って、お姉ちゃん。今回の企画で継続高校には、どれくらいの準備金を
   提供したの?」

まほ「みほ?それは……十数万円は……」

みほ「じゃあ、今回の塩ゆでジャガイモとマヨネーズに掛かったお金って…どれくらい?」

まほ「………………………………………」

ミカ「」ダッ!

まほ「待て!継続高校!!」

みほ「お金返せ、ドロボーーーーーー!!!」

ノンナ「流石は継続高校」

カチューシャ「汚い。圧倒的に汚い」

ダージリン「ではそろそろ、私の用意したものを召し上がって頂こうかしら」ニヤリ

黒服「」カチャカチャ

エリカ「この…笹葉でくるまれたこれは……」ガサッ

エリカ「握り飯………。ただそれだけ………」

エリカ「それにこの桶の中に入っているのは…糠床?」

ダージリン「」ズルッ←糠床からきゅうりを探り出した音

ダージリン「」チャプ←きゅうりを水の入れたボウルに軽く入れ、糠を洗い流す音

ダージリン「左手に握り飯、右手にキュウリのヌカ漬けを持って、かぶりつくのです」つキュウリ

みほ「………!」

エリカ「」バク

エリカ「」ボリバリ

エリカ「うほほーーっ。キュウリのヌカ漬けって丸ごとかじるとこんなに
    美味しいものなのかーーーっ!
    また冷えた握り飯と、絶望的によく合うーーーっ!」ボリッバクッバクッバリッボリッ

ダージリン「中つぎには水を飲んで頂きたいわ。
      丹沢山中から汲んできた岩清水です」つ水

エリカ「」ゴッ ゴック

エリカ「あははーーーっ!ただの水がこんなに美味しいなんてーーっ!
    まさに甘露ーーーーーっ!」

エリカ「ダージリンさん!ありがとう!日本というものの根底を、
    思うさま味わわせて頂いたわ!
    水、米、野菜!これこそ日本の風土の根底よ!」

エリカ「私は以前からエリカという名前に疑問を持っていたわ……。
    熊本県熊本市の生まれのはずなのに全て片仮名の名前…。
    日本人のはずなのに白い地毛………」

エリカ「そうやって十数年生きているうちに、自分の根っこを失ったように
    思えてきたの。そのことが不安で不安で、たまらなくなって
    大洗でハンバーグに逃げ貪っていたの……」

麻子「逃げ貪るって何だ」

沙織「しっ!」

エリカ「でも、これで、私の迷いはふっ切れたわ。
    私には日本人として、日本の風土というドッシリした根っこがあるの。
    根っこさえしっかりしていれば、世界中どこへ枝をのばしたって
    花を咲かせられるわ」

エリカ「私は熊本、黒森峰に戻るわ!」

華「……………」

沙織「みぽりん…………」

みほ「……………」

みほ「エリカさん……。よかったですね、がんばってください」つ握手

エリカ「元副隊長!あなたのお心づかい、一生忘れないわよ!」つ握手

ケイ「これからますます大活躍ね!」

まほ「うれしいぞ!エリカの復活だ!」


ワー ワー


ダージリン「…………………」

みほ「………………」

~ 閉会後 ~


華「ダージリンさんは、エリカさんがなにに苦しんでるか
  はっきりとつかんでいたんですね………」

優花里「料理はいかに相手の心になってもてなすかだ……。
    ダージリンさんはいつも言っておられました」

麻子「私たちは、エリカさんの心を探る努力を忘れていたんだな……」

みほ「………………」

沙織「………もうっ!いつまでもそんなにしょんぼりしてるなんてみぽりん
   らしくないよ!ここは私が一つ、元気づけてあげないと!」

優花里「武部殿、どうするつもりでありますか?」

沙織「」ソソッ

沙織「やーい、聖グロにまた負けた」

みほ「」ピクッ

みほ「このっ!」ダダダー

沙織「たははーーっ」バタバタバタッ


アハハハハハハ………



終わり

おまけ


役人「現在書店に並ぶ反中的書物、ネットを埋める反中的書き込みを読むと今にも中国は崩壊するように思えます。
   そんなことを書いている人達は、まず中国の各地を歩き回ることをお勧めします。
   日本は経済だけではなく、科学技術の面でも、中国に負け始めています」

みほ「…………………」

役人「反中本を書いている人達は、そのような現実をきちんと見て、
   馬鹿げた思い上がった態度、あるいは劣等感でねじ曲がった考えを捨てて、
   中国をきちんと捉えるべきです」

まほ「…………………」

役人「尖閣諸島問題で、やたらと中国に好戦的になっている人達も大勢いますが、
   中国と戦争してどうするつもりなのですか。戦争は絶対にしてはいけません。
   それでもどうして戦争をするというのなら勝たなければいけません。
   だが、今の日本が中国と戦争して勝てるはずがないでしょう。
   中国からしたらこんなに簡単な相手はありません。
   核弾頭を使う必要もない。中距離ミサイルで
   日本各地の原発を狙えばそれでおしまいです」

ダージリン「………………」

役人「経済の面で中国に追いつくことはもはや無理です。
   残るは科学技術でこれ以上遅れないように頑張ることです。
   私達はもっと、深く中国を研究しなければなりません」

ケイ「…………………」

役人「何も知らずに反中本を書くような人間を相手にしてはいけません。
   そして何より、中国との友好を深めることです」

カチューシャ「………………………」

役人「よほどの、とんでもない混乱が起きない限り、
   中国はますます発展していくでしょう。
   日本はどうやって生き延びていくか真剣に考えないとならないと思います」

アンチョビ「……………………」

役人「というわけで、まずは大洗学園から廃校に…………」

みほ「ボコパンチっ!」

まほ「まほパンチっ!」

ダージリン「ジェット紅茶パンチっ!」

ケイ「マーベラスナックル!」

カチューシャ「ノンナっ、お願い!」

ノンナ「ノンナックル!」

アンチョビ「ドゥーチェ・ナックル!」

役人「ごわわわわわわわわっ!!!!!???」ドゴゴゴゴゴゴンッ


終わり



これで終わりです。
ようやく完結させられました。
おまけは某グルメ漫画の原作者のHPの最新の記事に書かれていることです。
とりあえず僕も冷えた握り飯と家で漬けていたキュウリの漬物を丸ごとかじってみました。
漬物が漬かりすぎていたらしく、キュウリが腐っているのかと間違うほどに酸っぱかったです。
皆さんも試すときはお店で買った古漬けでないものを選びましょう。

おつおつ

>>29

> エリカ「私は以前からエリカという名前に疑問を持っていたわ……。
    熊本県熊本市の生まれのはずなのに全て片仮名の名前…。
    日本人のはずなのに白い地毛………」

伊吹コウジ「ほお…」

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