渋谷凛「気のせいだよ」 (47)


P「凛」

凛「なに?」

P「近くないか?」

凛「気のせいだよ」

P「そうか?」

凛「うん」

P「と言うか、暑いんだけども」

凛「夏だからね」

P「いや凛が抱き着いてるせいじゃないかな」

凛「そうかな」

P「そうだよ」

凛「気のせいじゃないかな」


P「そうかな」

凛「そうだよ」


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加蓮「たっだいまー」

P「おー、お帰り」

加蓮「いやもーやんなっちゃうよ。外暑くてさ」

凛「……」

P「加蓮」

加蓮「何、Pさん?」

P「何で暑いのに抱き着いてくるんだ?」

加蓮「え、だって別腹だし」

P「何がだ?」

凛「加蓮」

加蓮「んー?」

凛「近いよ。離れて」


P「……」

加蓮「えー? 気のせいだって」

凛「気のせいなんかじゃないから。ほら、早く」

加蓮「もー、分かったってば。いいじゃんちょっとくらい……」

凛「だめ」

加蓮「ケチ」

凛「何とでも言って」

P「……」

凛「プロデューサー、どうかした?」

P「いや、別に」


凛「~♪」

P「……なぁ、凛」

凛「ん」

P「その……何だ……あー」

凛「……言いたい事があるなら言いなよ」

P「……その、俺の気のせいかもしれないんだけどな。こういう送迎の時に」

凛「うん」

P「凛ってさ……奈緒や加蓮と居る時より……一人きりの方が嬉しそうだな、って」

凛「……」

P「……その、悪い。ああ、ほんともう、悪い、こんなの言うべきじゃ」

凛「気のせいだよ」


P「……凛?」

凛「プロデューサー、勘違いしてるよ」

P「……」

凛「二人とは……その、本当は仲が悪いとか、全然そんなの無いよ。誓える」

P「……そうか。気を悪くさせただろう……本当にごめんな」

凛「第一さ、奈緒弄るの楽しいし。加蓮と一緒に奈緒弄るともっと楽しいし」

P「……謝るべきは凛の方な気がしてきたぞ」

凛「後は……多分だけどさ、嬉しそうなのって」

P「ああ」

凛「試されてるからだと思う。言い訳は出来なくて、自分の全力が跳ね返って来てさ」

P「……ああ、分かってきた。何となく」

凛「やり甲斐……って言うのかな。プリムスでの活動もいいけど、ソロの魅力?」

P「確かに凛はそういう所あるよな」

凛「でしょ」


P「余計な口出しして悪かったな。途中で何か奢るよ」

凛「そう? ラッキーかも」

P「そうだよなぁ。凛が二人と仲悪いなんてあり得ないよなぁ」

凛「そうだよ。別にプロデューサーと二人きりなのが嬉しいとかじゃないから」

P「ああ……ん?」

凛「二人の分の時間まで一緒に居られて嬉しいとか、全然そういう事じゃないから」

P「……」

凛「もしそう見えたとしても、それは絶対気のせいだから。誓えるよ」

P「そうか」

凛「うん」


P「凛」

凛「気のせいだよ」

P「まだ何も言ってないぞ」

凛「……そうだったね」

P「ああ。それで凛、何でそんなにそわそわしてるんだ?」

凛「……気のせいだよ」

P「そうか。ところで今日は凛の誕生日だけど」

凛「……」

P「……あ」

凛「え?」

P「ああ、いや。何でも無い」


凛「気になるよ。何?」

P「いや、気のせい以外の何物でもないから」

凛「教えてってば」

P「……」

凛「プロデューサー?」

P「尻尾」

凛「え?」

P「一瞬な、尻尾が揺れて見えた」

凛「……」

P「……」


凛「……気のせいだよ」

P「知ってるよ」


P「凛」

凛「……なに?」

P「無理してるだろ」


凛「…………気のせいだよ」

P「嘘つけ。ちゃんと顔見せてみろ」

凛「別に、気のせいだって」

P「なら体温計で熱測っても問題無いよな」

凛「……」

P「凛」

凛「…………ちょっと、辛いかな」

P「すぐ送る。ひとまず休んでろ」

凛「……ごめんね、プロデューサー……ごめん」



P「――ました。すぐお暇しますので」


凛「……」

P「凛。大丈夫か?」

凛「……プロデューサー」

P「ああ」

凛「ごめんね」


P「……何がだ?」

凛「ライブも近くて忙しいのに、ごめん。レッスン出来なくて、ごめん」

P「……ごめんな。謝らなきゃいけないのは俺の方だ」

凛「違うよ」

P「無理させてたんだ。凛は真面目だからっていつも決め付けて」

凛「違う」

P「俺のせいだ」

凛「違うよ。私のせいだよ」

つい最近同じスレみたことあるんだが


凛「……」

P「……」

凛「……ふふっ」

P「……はは」

凛「何だか、昔を思い出すね」

P「ああ。お互い意地張ってばっかだったよな」

凛「プロデューサー。私、しっかり休んで、すぐ元通りになるから。安心してよ」

P「ああ。俺も、凛が全力でライブ出来るよう、全力で準備しとくから」

凛「お願いするね」

P「任せろ。だから、凛は今までの分もゆっくり休んでくれ」

凛「……」

P「じゃあ、俺はこれ」


凛「……」

P「……凛?」

凛「……」

P「凛。これじゃ帰れないから」

>>11
マジ? URLplz




凛「……気のせいだよ」


P「……いや、気のせいとかじゃなくて。袖を」

凛「気のせいだよ」

P「……女の子の部屋だから。お母様にもすぐ」

凛「気のせいだから」

P「……」



凛「…………だめ?」



P「……いや、気のせいだった。凛ともうちょっとお喋りしたら帰れそうな気がする」

凛「……ふふっ」

P「全く……」

凛「ねぇ、プロデューサー」

P「はいはい、何でしょうお姫様?」

凛「お母さん、たぶん気付いてるから」



P「……」

凛「……」

P「……え、マジ?」

凛「うん」

P「気のせいじゃなくて?」

凛「うん」

P「……」

凛「プロデューサー」

P「……おう」

凛「だから、挨拶はしっかり、ね?」

P「…………おう」


P「……あれ?」

凛「どうかした?」

P「凛……お前、背、伸びたか?」

凛「え? うーん、どうだろ……気のせいじゃない?」

P「そうかな」

凛「最近、姿勢とか体幹とかのトレーニングしてたせいかな」

P「なるほど。かもしれないな」

凛「……」

P「凛?」

凛「この前測ったら、ちゃんと成長してたから。気のせいじゃないから」


P「ん?」

凛「バストもヒップも、ちょこっとずつだけど、ちゃんと大きくなってるから」

P「……」

凛「バストもヒップも、ちゃんと成長中だから。気のせいじゃないからね」

P「なぁ、凛」

凛「なに?」

P「何でいま二回言ったんだ?」

凛「別に」

P「と言うかさ」

凛「ん?」

P「ちゃんと分かってるから。よく確かめてるだろ」

凛「それもそうだね」


凛「……っ! ぅ、ぁ……!」

P「……」

凛「っ、ふぁ……っ」

P「……凛」

凛「……は、な、なにっ……!?」

P「声、我慢してないか?」

凛「……気のせ、いっ……! ぅ、んんっ……」

P「凛」

凛「……っ、っう……!!」

P「可愛いぞ。我慢なんてしないで、もっと聴かせてくれ」

凛「……あっ、んっ……!! あぅっ……っ!」

 ― = ― ≡ ― = ―


凛「……おはようございます……」


卯月「おは……って凛ちゃん、どうしたんですかその声!?」

未央「しぶりん、風邪? もうすぐ新曲レコーディングだけどだいじょぶ?」

凛「いや、風邪じゃなくて……ちょっとその、カラオケで」

未央「カラオケ……?」

卯月「……あ、ひょっとして、自主レッスンやり過ぎちゃったとか!」

凛「……ん、まぁ……そんな感じ」




加蓮「――いや、ちょっと待って」


凛「……何? 加蓮」

加蓮「みんな、変だと思わない?」

未央「変?」

卯月「どういう事ですか?」

凛「……ちょっと、何なの」

加蓮「あの凛がわざわざ喉痛めるような事しに行くと思う? 普段あんな感じなのに」

未央「確かに……風邪っぽい時に体調管理しなよって言われましたなー」

卯月「凛ちゃん……そんなに今回の曲は力を入れてるんですね!」

凛「う、うん……まぁね」

加蓮「ねぇ、凛」

凛「……なに?」



加蓮「ついてないよね、嘘?」


凛「ついてないよ。気のせいだよ。全く疑り深いね加蓮は」

加蓮「奈緒、フォーメーションΩ」


奈緒「アイサー」

凛「……奈緒、いつの間にちょっ、やめ、くっ」

加蓮「今のは普段の凛ならさ、何馬鹿言ってんのって溜息つくべきとこだったね」

凛「……」

加蓮「それで?」

卯月「……ごくり」

未央「しまむーそれ口に出さなくていいやつだよ」

加蓮「本当の所は?」

凛「……プロデューサーと、二人で」

奈緒「Pさんと、二人で?」

凛「……カラオケに行ってました」


加蓮「……ふーん? 悲しいなぁ、親友に嘘なんて」

凛「ご、ごめんってば……ちょっと、ヒミツの思い出が欲しかっただけで……」

加蓮「ああいや、そっちじゃなくて」

凛「え?」



加蓮「また嘘を重ねられたのが……ね」



凛「…………!」

加蓮「奈緒、パス」

奈緒「よっと。ポパピプペ……あ、Pさん? ああいやすぐ終わるからさ」

加蓮「奈緒が素早く電話を掛け」

凛「奈――」

加蓮「私が素早く凛の口を塞ぐ」

奈緒「うん、昨日。デパートで……あ、へー。そっか。うん、サンキュ」

凛「――! ――っ!!」

加蓮「これがフォーメーションΩ」

卯月「鮮やかなコンビネーションですね!」

未央「ちょっとこのペース辛い」


加蓮「……ふーん? 悲しいなぁ、親友に嘘なんて」

凛「ご、ごめんってば……ちょっと、ヒミツの思い出が欲しかっただけで……」

加蓮「ああいや、そっちじゃなくて」

凛「え?」



加蓮「また嘘を重ねられたのが……ね」



凛「…………っ!」

加蓮「奈緒、パス」

奈緒「よっと。ポパピプペ……あ、Pさん? ああいやすぐ終わるからさ」

加蓮「奈緒が素早く電話を掛け」

凛「奈――」

加蓮「私が素早く凛の口を塞ぐ」

凛「――! ――っ!!」

奈緒「いやペットショップ……うん、昨日。デパートで見た……そっか、人違いかな。うん、サンキュ」

加蓮「これがフォーメーションΩ」

卯月「鮮やかなコンビネーションですね!」

未央「ちょっとこのペース辛い」


奈緒「昨日は定時プラス三時間半で済んだと」

加蓮「へー。ちょっとカラオケ行くには厳しい時間かな? 一時間ちょいで絶唱したのかな?」

凛「……」

加蓮「まぁそもそも、この時期にPさんがアイドルへそんな無茶させないよね」

凛「……」

加蓮「凛、もう無いからね。昨日の夜さ、どこに居たの?」

凛「……」

卯月「……ごくり」

未央「そろそろ帰っていいかな? あ、ダメ?」

加蓮「私の推理を話すね」

奈緒「久々だな名探偵カレン」

凛「……」

加蓮「凛が自発的に喉をやっちゃうような事態は考えにくい。となると故意によるものではない」


凛「……」

加蓮「あたしの勘に言わせれば、この件には絶対Pさんが関わってる。となると」

凛「……」

卯月「ごくり……!」

未央「あ、ハクリュー」

加蓮「Pさんが関わり、なおかつカラオケではない、喉をダメにするような、抗い難いインシデント」

凛「……」



加蓮「――ぶちかませ、奈緒っ! パス!」

奈緒「ラジャー! ポパピプペ……」

凛「待っ――」

加蓮「フォーメーションΔ!」

凛「こひゅっ」

卯月「わぁ、綺麗なチョーク!」

未央「ハイパーボール切れた……」


奈緒「――夜。うん……今の間、何だ? あ、おいちょっと」

凛「……」

奈緒「急用が入ったと。焦った様子で」

凛「……」

加蓮「ねぇ、凛」

凛「…………うん」

加蓮「これだけ教えて?」

凛「……」



加蓮「どっちの家?」

 ― = ― ≡ ― = ―


凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……」


P「……カーステレ」

加蓮「いい」

P「……そうか」

凛「……」

加蓮「……」

奈緒「……」

P「……」


奈緒「はぁー…………っ」

加蓮「……」

凛「……」

P「……」


P「……なぁ、凛」

凛「……なに?」

P「ひょっとしたら……もしかしたらだけどさ」

凛「……」




P「……バレてないか?」

凛「……気のせいだよ」


おしまい。


http://imgur.com/zP0uiPU
http://imgur.com/AbBW98L

凛ちゃんに「うん」って言わせたがる病、未だ快復の兆し無し

前作とか
新田美波「君の隣に居たいだけ」 ( 新田美波「君の隣に居たいだけ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469787958/) )
渋谷凛は魔法がお好き ( 渋谷凛は魔法がお好き - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467374340/) )


次はこずえちゃんのお話予定だったけど、どうやら次回で当面の目標だった50本目になるみたい
蘭子ちゃんの長編をすらすら書けるくらいの熊本魂が欲しかった


あと夏コミ遊びに来てくれたみんなありがとうね
いつも読んでるよって言われてめっちゃハッピーだよ

新刊は書店委託依頼してるけど正直難しいかも
サイズとお値段考えると店側としては扱う旨味が薄いんだ、今回のは

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