タカヒロ「ココア君になったお話」 (96)


憑依系になる?(かもしれないし、そうでないかもしれない)
要するにこのネタ
http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira115189.jpg

一回だけ安価とります。よろしくお願いいたします。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1470392573

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>>The salvation has been started.


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ある日の開店前、ラビットハウス

チノ「ココアさん、この新作のパンおいしいですね」

リゼ「サツマイモか。季節感あっていいな」

ココア「季節限定で出してみたらどうかな」

チノ「いいですね、ぜひやってみましょう」

ココア「やった、採用だ!」

チノ「最近は前よりミスが少なくなったように思いますし、この調子でがんばってくださいね」

ココア「わーい!チノちゃんがほめてくれるなんて珍しいね~」

リゼ「ふふ、これで調子に乗って、逆にミスが増えたりしてな。お客さんにコーヒーぶっかけるとか」

ココア「そんなことしないよ~!」

チノ「そういえば、リゼさんの家に伺ったときに、リゼさん紅茶を頭からかぶってましたよね」

リゼ「ああ、あれは結構遠くからかけられたから、意外と冷えててな」

ココア「なるほど。ホットドリンクを持ってる時につまづいたら、なるべく遠くに投げれば安全なんだね」

チノ「そういう問題ではありませんが」

ココア「冗談だよ~」

チノ「ところで、ブルーマウンテンってもう在庫ありませんでしたか?昨日持ってきてほしいと頼んだはずですが」

ココア「忘れてた、すぐ持ってくるね!」





チノ「ほめるとこれです。ココアさんはやっぱりココアさんですね」

リゼ(ちょっとにやけてるけど、黙っておこう)

チノ「ですが、最近なんだか物思いにふけっていることがあって心配です」



リゼ「ココアだって、たまに考え事したりするさ。どうやってチノをかわいがるかを考えてるんじゃないのか?」

チノ「そうだといいのですが」

チノ「……いや、よくありませんが。そういう感じではなくてですね、なんといいますか」

リゼ「確かに、ふっと遠くを見ることがあるよな」

チノ「少し気になります」

リゼ「確かに」


ココア(私は『ココア』ではない)

ココア(少なくとも以前はそうではなかったはずだ)

ココア(今となっては元の名前も、性別すらも思い出せないけれど……)


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少し前、どこか


ココア?「ここはどこ……」

タカヒロ「君は誰かな?」

ココア?「私はココア……ココア?」

タカヒロ「そう、君はココア君……」

タカヒロ「こんにちは、気分はどうかな」

ココア?(私はココアという人物ではなかったはずだが)

ココア?(思い出せない……)

タカヒロ「まだぼんやりとしているようだね」

タカヒロ「君にはこれから、ココア君になってもらう」

タカヒロ「本物のココア君は、残念ながら先程事故で亡くなってしまったんだ……」

タカヒロ「彼女は次の輪廻に移らねばならなくなったが、彼女には特別な力があった」

タカヒロ「魂を、別の身体に移すことができた。意図的には使えなかったみたいだが」

タカヒロ「時を同じくして命を絶った君に、もう一度生きてほしいと願った」

タカヒロ「俄かには信じられないかもしれないが……」


タカヒロ「そうだ、ゲームと思ってくれればいい」

タカヒロ「このゲームは、君がココア君になって、友人たちと仲良く日々を過ごすゲームだ」

ココア?「……」

タカヒロ「ではまた。きみの日々に、幸多からんことを」


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ココア(その後、チノちゃんに揺さぶられて目が覚めた。階段で転んで気を失っていたことになっていた)

ココア(はじめは少し挙動不審だったかもしれないけど、私はすぐに自然に『ココア』としてふるまえるようになっていた)

ココア(もとの記憶はだんだんぼんやりしてきたけれど、薄れるなら薄れる程度のものだったのだと思う)

ココア(それなら、『ココア』として生きる方がずっといい)


ココア(それよりも、思ったよりもうまく『ココア』としてみんなに受け入れられているように感じることのほうが気になる)

ココア(みんなも以前のココアと比べて違和感があると思う。気づかないふりをしてくれているのだろうか)

ココア(今は、そのことでみんなに心配をかけてるんじゃないか)

ココア(私は今日もよい『ココア』であることができるだろうか……)




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Phase 1:『シューティング・サテライト』



再び開店前、ラビットハウス

ココア「エメラルドマウンテンおまち~」

チノ「ココアさん、私がお願いしたのはブルーマウンテンです。やり直しです」

ココア「そ、そんな!」

チノ「他の在庫もチェックするので、自分で行ってきますね。あとはテーブルを拭いておいてください」

ココア「は~い」


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ココア「ありゃ~」

リゼ「コーヒーの種類ちゃんと覚えた方がいいぞ」

ココア「大体わかるんだけど、似た名前だと間違えちゃうね」エヘヘ

リゼ「ココアは数学が得意だし、いっそメニューに番号振ってみるか?4番の補充とか」

ココア「それなら、全部素数にして、注文されたメニューを全部掛けて伝票とったらわかりやすいかも」

ココア「カウンターにいるチノちゃんが素因数分解するの」

リゼ「2,3,5なら30ってことか?」

ココア「7,13,23なら2093だね。伝票が一行で済むよ!」

リゼ「客が来るたびに暗号解読を迫られるのか……というか、暗算できないだろ!」


ココア「そうかな~、ゲームみたいなものだよ。リゼちゃんも確か携帯機持ってたよね?」

リゼ「私の知ってるゲームはそんな暗算力必要としない」

ココア「そういえばさ、リゼちゃんの部屋に天体望遠鏡あったよね」

リゼ「ああ、たまに使うぞ」

ココア「リゼちゃんがレンズをのぞいてると、なんだかスナイパーみたいだね~」

リゼ「狙撃は確かに好きだが……」

リゼ「星を見るのが好きなんだ。意外か?」

ココア「ううん、リゼちゃんって結構乙女だもんね、ロマンチックだねぇ」

リゼ「お、乙女とかいうなよ、恥ずかしい……」

ココア「流れ星がなければ、自分で星を撃ち落として流しちゃえばいいじゃないってことだね!」

リゼ「狙撃から離れろ!」

リゼ「……うまくいかないときとか、落ち込んだ時に見るんだ」

リゼ「よくいわれることではあるけどさ」

リゼ「星みたいな、スケールの大きいものを見てると、どんなことも何でもないことのように思えてくる」

リゼ「星って、たくさんありすぎて全部を把握することはできないだろう?」

リゼ「それでも、ひとつひとつ丹念に見ていきたくなる」

リゼ「そういうことをしてると、ちょっとすっきりするんだ」

ココア「わかるよ」

リゼ「そうか」

ココア(それって、星を人に置き換えても、あるいは人のある側面に置き換えても成り立つよね)

ココア「リゼちゃんって、とっても真摯なんだね」

リゼ(紳士?確かに男勝りかもしれないが……)

ココア「私もたまに、円周率に含まれる数列のこととか考えるもん」

リゼ「なんだそりゃ。ココアはチノをモフってたら悩みも解決しそうだけどな」

ココア「そうかも。一家に一人チノちゃん、チノちゃんの香りはマイナスイオンだね!」

ココア「……って、チノちゃんをモノみたいに言ったらダメだよ!」

リゼ(ノリ突っ込み……)

ココア「そういえばさ、光って、肉眼では星形に見えるでしょ?」

リゼ「星がただの丸い点じゃなくて、十字ににじんで見えるってことか?」

ココア「夜景もきらきらして見えるよね」

ココア「あれって、目の毛細血管で光が回折してそう見えるんだって」

リゼ「まさしく、その人にしか見えない星空なのか。そう考えるとなんだかちょっと寂しいかもな」

ココア「そうかな、想像するのも楽しいよ」

ココア「キャンプの時も、星空がきれいだったね」

リゼ「そういえば、キャンプの時に望遠鏡持っていけばよかったかもな……」

リゼ「そうだ、今度うちに泊まって月見を兼ねて、天体観測でもするか?」

ココア「いいね!みんなでがんばって三日月になるまで弾丸を打ち込まなきゃね!」

リゼ「狙撃はしないぞ!」

ココア(星と比べたら、私たちの一生なんて一瞬だよね)

ココア(そのうち、『私』がココアとして過ごした時間の方が長くなるのかな)

ココア「ねぇリゼちゃん」

リゼ「なんだ?」

ココア「リゼちゃんは私たちと友達だよね?」

リゼ「唐突だな」

ココア「……」

リゼ「……当たり前だろ、それがどうかしたか?」

ココア「じゃあね、何十年後も友達でいることを確信できる?」



リゼ「今まで生きた以上の年月か、想像もつかないな……」

リゼ「なんだか、私たちがおばあちゃんになっても、ここで集まって、みんなでチノのコーヒーを飲んでそうな気もするし」

リゼ「そうあったら幸せな気もするが」

リゼ「人間なんて、歳をとれば外も内も変わってしまうものだろう」

リゼ「昔はよく遊んだ友達も、今会ってみるとなんだか苦手に感じてしまったことってないか?」

ココア「結構ドライなこというんだねー」

リゼ「それでもさ、変わらない部分が一つくらいあって、そこが好きでいられたなら、きっとそいつのことが本当に好きなんだろう」

リゼ「もしくは、それほど好きでなくなったとしても、その人間関係を築いた昔まで嘘にはならないさ」

ココア「なるほど」

ココア「私は、リゼちゃんのかっこよくて頼りになるところが好きだよ」

リゼ「そ、そうか。ありがとう」

ココア「目標に向けて努力できるところとか」

ココア「周りに気をつかえるけど、気にしすぎてちょっとへたれてしまうところとか、実は色んな服に興味があることとか」

リゼ「お、おい」

ココア「すぐに照れて真っ赤になるところとか、暗闇が苦手なところとか」

ココア「実は寂しがりなところとか」

リゼ「おい、やめろ!」

ココア「それなら、リゼちゃんは私のどんな部分が好き?」

リゼ「それはだな……」

ココア「なにかな、なにかな?」ワクワク

リゼ「……調子に乗って失敗したところをチノに突っ込まれてるところかな」

ココア「もー、ひどい!私単体の要素じゃないし!」








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Phase 1.5:『同音異義語はすれ違い漫才の基本ですよ』



ある日、下校中

ココア(あ、マヤちゃんとメグちゃんだ)

ココア「おーい、今帰り?」

マヤ「あ、ココアだ。ヤッホー」

メグ「今日は千夜さんと一緒じゃないんだね」

ココア「ちょっと甘兎の用事があるとかで、今日は別なんだ~。チノちゃんは?」



マヤ「なんか買い物して帰るんだって。確か……」

メグ「マヤちゃん!」

マヤ「あ、そっか。いや、なんでもないよ~」

ココア「そうなの?」

ココア(私経由でバレたくないってことは……千夜ちゃんへのサプライズかな?誕生日近いし)

ココア「妹のかわいい隠し事の一つや二つくらいは暖かく見守っちゃうよ!」

マヤ「物わかりのいい姉貴で助かったよ」

メグ「ね~」

ココア「途中まで、一緒に帰ろっか」

マヤ「おー!」



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ココア「ところで、マヤちゃんやメグちゃんにとって私ってなにかな?」

メグ「ココアちゃんがそんなこと聞くなんて珍しいね」

マヤ「そうだなー、うーん、単純?」

ココア(単純?シンプル?シスターコンプレックスじゃないってこと?)

ココア「はっ、妹たちへの愛情が足りないということ!?」

マヤ「なんだそれー」


メグ「うーん、私は……」

メグ「パンツクレルヒト!」

ココア「ヴェア!?メグちゃんとはいえ、さすがにあげられないよ!」

メグ「?」

マヤ「冗談だよ、冗談。やっぱりチノの姉かな」

メグ「この前も、ココアちゃんの新作パンを嬉しそうに話してくれたよ」

メグ「お店のことを考えてくれてると、一緒に働いてる感じがしてうれしいんだって」

マヤ「ココアが来てからチノって明るくなったしな~」

マヤ「ココアはもっと姉として自信持っていいと思うよ」

ココア「そ、そうかな」エヘヘ

メグ「そうだよ~」



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           {/     |   l  |LJiッ       斗劣ミ|/   //|
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           八  [/} │  (\ |、         "' 厶__彡iヘ. |
             \[丿 人 | |\ 「`      ´    介 | | / 丿
                ,l斗--ヘ| |/ 丿\  >-‐=ニ[彡ノリノ人(
            /    ノ 人.\  \//)ノ)人r┓、

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            { /|        ∨   /⌒Tニ=‐-ミヽ\) }


Phase 2:『劇的・意図的・哲学的ゾンビ』



ある日、書店


シャロ(リゼ先輩がまた雑誌に載ったって聞いたけど……どの雑誌だったかしら)

シャロ(あ、お菓子の作り方の本の新刊出てる。この人の本好きなのよね)

シャロ(ちょっと読んでみよう)

ココア「あ、シャロちゃん!」

シャロ「あら、ココア。今日は一人?」


ココア「今日はちょっと星についての本を探しにね」

ココア「シャロちゃんは、お菓子の研究?」

シャロ(本当はリゼ先輩目当てだったけど……)

シャロ「そ、そうよ」

ココア「フルールの新作かな。負けてられないね!」



シャロ「ココアこそ、星に興味あったの?」

ココア「花も恥らう乙女だからね!夜空に浮かぶ星々に思いも馳せるよ」

シャロ「ココアは花も恥じらうというより、花よりパンって感じね。花もすりつぶしてパンにしちゃいそう」

ココア「秋なら、金木犀のジャムとかいいよね」

シャロ(話がずれていく……)

ココア「今度、リゼちゃんの家でお月見しようって話してたんだ~。天体望遠鏡あるでしょ?星も見ようって」

ココア「なんとなく見るより、解説があった方がいいよね」

ココア「チノちゃんも星座に詳しい姉を見直してくれるかも!」

シャロ「ああ、そういうこと」

ココア「リゼちゃんって結構星見たりするんだって。乙女だね」

シャロ(星に詳しくなったら、リゼ先輩と盛り上がれるのかな……)


シャロ「わ、私も一緒に探していい?」

ココア「シャロちゃんがいたら、百人力だよ!」

シャロ「それならまず、図書館に行ってみない?」

図書館


ココア「本屋さんより、こっちの方がたくさんあるね~」

シャロ「そうね」

シャロ(無料で借りれるし)

ココア「ねー、シャロちゃん」

シャロ「何?」

ココア「もしも私とシャロちゃんがぶつかった拍子に精神だけ入れ替わったとして」

シャロ「ベタな漫画みたいね」

ココア「徐々に記憶が体に近くなっていったとするでしょ?」

ココア「限りなくココアなシャロと限りなくシャロなココア」

ココア「ところで今日の晩御飯はカレーに」

シャロ「やめなさいよ!」

ココア「冗談だよ」

ココア「これって、外見がシャロちゃんな方は、もうすでにシャロちゃんっていえるのかな」

シャロ「うーん、身体と記憶を除外して残るものは何かってこと?」

シャロ「そうねぇ……」

シャロ「その『残るもの』がココアである中枢か、せめて一部であるなら」

シャロ「それは完全な私ではないわね」

ココア「本当にそんなものは残るのかな?」

ココア「例えば今日の晩御飯を適当にカレーと決めたとして」

シャロ「またそれ……?」

ココア「その選択には理由があるでしょ?」

ココア「どんな適当に見える選択にも、何かしら理由があって、それが記憶や身体に根差すとしたら」

ココア「シャロちゃんとしてふるまえる以上はシャロちゃんじゃないかな」

ココア(つまり、私は元々『ココア』だった、ということ……にはならないかな)

シャロ「それでも、残るって仮定するんでしょ」

シャロ「例えば……チノちゃんのコーヒーを飲んでおいしかったとする」

シャロ「私たちがロボットなら、毒がありそうかとか、また飲むべきかとかそういうことを判断すればよく、おいしい必要はない」

シャロ「そういう感覚が進化の過程で無くなってないということは、必要だったってことよね」

シャロ「この『おいしさ』が私とココアで違っていて、そういう部分で以前と違っていたら、完全に私、あるいはココアではない」

シャロ「っていうのはどうかしら」

ココア「なるほどね~」

ココア「シャロちゃんと入れ替わってコーヒー飲んでも、元のシャロちゃんほど幸せにはなれないのか、残念だな」

シャロ「カフェイン酔いは体質よ、あんたもウイスキーボンボンで酔ったでしょ!」


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ココア「秋の星座はドラマチックだね。王子様によるお姫様救出劇」

シャロ(王子様かぁ……リゼ先輩は男装も似合いそう)

ココア「シャロちゃんは、ある人のことを詳しく知りたいときってどうする?」

シャロ「なにそれ、チノちゃんのことならもう十分知ってるんじゃないの?誰か他に気になる人でもできたの?」

ココア「そうでもあるし、そうでもないというか……」

ココア(みんなの望む『ココア』を演じるには、よく『ココア』のことを知らないとね)


ココア「シャロちゃんって色んなバイト経験してるでしょ?人を見る目がありそうだな~、なんて」

シャロ「確かに結構バイト詰めてはいるけれども……。というか、うまい方法あったら私が知りたいわ」

シャロ「そうねぇ」



シャロ「友は鏡とか、人は人間関係の関数なんて言葉もあるじゃない?」

シャロ「その人の交友関係とか、興味の対象なんかを考えてみるといいんじゃないかしら」

シャロ「夫婦は似ていくなんていうしね。たとえば、優しいひとの周りには優しい人が多い気がするわ」

ココア「なるほど~、さすがシャロちゃんだね!」

シャロ「星を知ることは、リゼ先輩を知ることに通じるかも……教えてくれてありがとうね」

ココア「いえいえ」



ココア「ということは、逆に考えると私はシャロちゃんみたいな気品を持っていると言っても過言ではないのでは……!」

シャロ「き、気品って……。ココアはリゼ先輩やチノちゃんを見習ってもう少し落ち着きなさい」

ココア「シャロちゃんもマヤちゃんみたいに、もっと積極的になれるといいね」

シャロ「大きなお世話よ!」


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   l:::::l         ヽ ⌒)} ヘ;';/o;';';';/ } } ⌒{::{



Phase 3:『instant bullet』

ある日の昼休み、学校

ココア「今度お月見しようってリゼちゃんと話しててね」

ココア「千夜ちゃんも一緒にどうかな?」

千夜「月見?いいわね。楽しそう」

ココア「そういえば、この辺りにススキって生えてたりする?」

千夜「ええ、シャロちゃんたちの学校の方の川にあるわよ」

ココア「そうなんだ!」

ココア「そのとき摘んでいきたいんだけど、今度場所教えてもらっていいかな?」

千夜「ええ、いいわよ」



千夜「懐かしいわ……昔、シャロちゃんとフクロウ作ったわ」

ココア「あれ結構長持ちだよね。ちょっとずつ痩せていっちゃうけど」

千夜「シャロちゃんったらかわいそうだって言ってジョウロで水をあげていたわ」クス


千夜「お月見するなら、団子は任せてもらおうかしら」

ココア「いいね、月見がどんどん本格的になってきた!」

ココア「千夜ちゃんの和菓子、私好きだな~」

ココア「千夜ちゃんは和菓子作りが上手で、なんというか、アイデンティティって感じだね!」

千夜「そんな、おばあちゃんに比べたら私なんてまだまだよ」

千夜「それに、シャロちゃんのためにも普通の料理の腕も磨かなきゃね」

ココア「作りすぎたおかずをあげたりするの?お隣さんっていいね、楽しそう」

千夜「最近餃子を作ってみたんだけど、ひとつだけ激辛にしたら怒られたわ」

ココア「一人で食べたら、的中率100%だしね……」

千夜「明らかに中身が真っ赤なのが透けてたんだけど、シャロちゃんも律儀ねぇ」

ココア「食材を無駄にできないって葛藤するシャロちゃんが目に浮かぶよ」

千夜「よく考えると、ワイルドギースに毒見させたりしなくてよかったわね」

ココア「そこまでうさぎが憎くはないと思うよ!」


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──────

千夜「そういえば、この街ってうさぎが多いわよね。そして、みな人に慣れている」

千夜「それこそ、異常なほどにね。そして、誰もそれを不思議に思わない。ずっと昔からそうだったらしいわ」

ココア「伝統あるうさぎの街なんだね」

千夜「そういえば、周りにこの街を出たことのある人って、あんまりいないのよね。だからあまり不思議に思わないのかも」

千夜「実は、世界はこの街だけだったりして」

ココア「そんな、私の実家は実は存在しない……!?」

千夜「冗談よ」


千夜「この世に未練があった魂が、うさぎになる、なんて伝承もこの街にはあるっておばあちゃんが言ってたわ」

ココア「青山さんもそんなこと言ってた気がするね」

千夜「うさぎになってゆっくりしてると、きっとどんなことでも、大したことでなかったと悟ってしまうのね」

千夜「そして、全てに納得すると、ふっと消えてしまう。だからうさぎの死体が見つからないのだとか」

千夜「ふふ、ご先祖様に見られてるとしたら、あんまり悪いことはできないわね」

ココア「千夜ちゃん悪女だったの?」

千夜「手相的には魔性だもの。誰だってたぶらかしてみせるわ」

千夜「これでも、毎日いろんな人から貢いでもらうかわりに、甘美な思いをしてもらってるのよ」

ココア「それって和菓子売ってるだけだよね!?」


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──────


千夜「私ね、たまに、私がいなくなってしまったらどうなるか、考えることがあるの」

千夜「誤解しないでね。死にたいとか、そういうことではないの」

ココア「縁起でもない空想だね……」


千夜「ココアちゃんたちはきっと悲しんでくれるわ」

千夜「シャロちゃんはちょっと心配ね。でもきっと、リゼちゃんたちが支えてくれるわ」

千夜「その悲しみも過去になるの。私のいない人間関係が築かれるのね」

ココア「私は忘れたりなんてしないよ。みんなもきっとそうだよ」

千夜「ありがとう。でもね、過去ばかり見てるわけにはいかないでしょう」

千夜「甘兎庵はどうなるのかしら。おばあちゃんが倒れたら店じまいか、それか、今働いてくれてる方から跡継ぎを決めるのかしらね」

千夜「きっと、私がいなかったとしても、なんとかなってしまう」

ココア「そんなこと……」

千夜「人でもなんでも、代わりの役割が果たせてしまうものってあると思うの」

千夜「本当にかけがえのないものっていうのはきっと、思い込みなんじゃないかしら」

千夜「例えば、進学なんてそうじゃない?一か月もたてば、さみしい気持ちも薄れる」

千夜「言い方は悪いかもしれないけど、卒業で離れた友達の、代わりが務まる友達を見つけてしまう」

千夜「だから、友達でも家族でも、その役割を果たせることに意味がある」

千夜「……だから、今のココアちゃんが築いて、続けている関係というのは本物よ」

ココア「本物……」

千夜「チノちゃんも、無意識にココアちゃんに誰かを重ねたりしてるんじゃないかしら」

千夜「最近ココアちゃん、なんだか悩んでるみたいだったから。困ったことがあったらなんでも言ってね。相談に乗るわ」

ココア「千夜ちゃん……」

千夜(ちょっと格好つけすぎかしら)


ココア「早速相談が……」

千夜(どんと来い!)

ココア「さっきの授業、後半寝てたからノート写させてください……」

千夜「あ、あらー」



              __ ┐

             r y'´      `ヽ
          ノ   ・_,_,・     )ハ、
        「「「{               ノ ノr‐ァ
          〉 ゝ           人/⌒ ⌒ヽ
       _て二ヽト、 ___   イ   Y     ',
     /    ヽ   /l {    ! Ll_ \    ヽ
     / /   //7レイ'ト   ! j ハハ i ><ヽ    ヽ
     レ′  l/>< ∧ハzヘ   レ'〒ミ、V∧〉 〉/   〉
     /  丶 {∧〉i イ心 \l  V/リ V  |    /
.   〈    Ⅵ i |  辷ソ  ,  `´,,,│i  |    /
    ヽ     | | ハ '''   、 ,     ハ!  |    /
     \  l l トへ       イ ノ  j   /
       \ ∨! ヽ \二 ェ‐ エ y7   ノ  /
        |\Vヘ ヽ l.l.∧_/lol∨/  /  イ
       ,′ \ \∨.!.! /:.:{:}:.\イ::::ヘ / }

        { i    ヽ l::‐::く:.:.:.:}::{:.:.:.:>:∧Y  l
        |│     ヽ!∧/:.\:!∧:.:./. . . } i }
        |│ |   ', . . . ̄.´. i i. . . . . . .| ! !
       Vハ ヽ   ∧ . . . . . . i i. . . . . . .! //
        Vハ ヽ  ∧. . . . . . i i. . . . . . j//
        \ \へヘ 〉. . . . . .i i. . . . . .〈

                V. . . . . . .i i. . . . . . .}


Phase 4:『手編みの記念日』



月見から数日後の夜、ラビットハウス



ココア(元の『ココア』であることにこだわってたけど)

ココア(それは多分問題じゃなかったんだね)

ココア(大切なのは、もういない人ではなく、今目の前にいる人のこと)

ココア(もうすぐチノちゃんの誕生日だし、今年は素敵な一日をプレゼントしよう)

ココア(それとなく希望を聞きださないとね!)

ココア「チノちゃん、入っていいかな?」トントン

チノ「ココアさんですか?どうぞ。私もちょうどそちらへ行こうと思ってたところです」

ココア「最近はなんだか忙しそうだったから、珍しいね。たまには息抜きしないとね!」

ココア「夜はこれからだよ~!」

チノ「いえ、そうではなくてですね」

チノ「これを渡そうと思いまして」

ココア「わあ、プレゼント?」

チノ「ココアさんは最近がんばっているので、私からの臨時報酬というか、その、そういったものです」

ココア「開けてみてもいい?」

チノ「どうぞ、気に入るといいのですが」

ココア「なにかな~。これは……マフラーだ!」

チノ「これから寒くなりますし、何本かあっても困らないかと思いまして」

ココア「モフモフであったかいね!明日から早速使っちゃうよ!」

チノ「それはちょっと気が早いのでは……まだ九月ですよ」

チノ「でも、そんなによろこんでいただけたなら、編み方を覚えた甲斐がありました」


ココア「え!これ手編みだったの?」

チノ「既製品には耐久性などは劣るかもしれませんね」

ココア「まさか、最近夜にあんまりかまってくれなかったのは……」

チノ「すみません、内緒にしておきたかったので」

チノ「さっきは報酬なんて言ってしまいましたが……」

チノ「これは、えっと……お礼です」

チノ「ココアさんからは、いろいろなものをいただいてますから……」

チノ「その、これでも結構感謝してるんですよ」

チノ「この前の新メニューなんて、とても嬉しかったんです」

チノ「それに、先日の月見も、色々と準備していただいたみたいで、ありがとうございました」

チノ「すごく楽しかったです」

ココア「……!」

チノ「ココアさん、たまに考え事してますよね。最近のココアさんを見ていると、なんだか遠くへいってしまうみたいで……」

チノ「……進路のことを考えていたんですよね」

チノ「来年は受験生ですし、選択によってはこの街を離れることになるでしょうし」

チノ「私たちのことばかり考えているココアさんですから、きっとこの街に残ってやりたいことをする方法を悩んでたのではないかと思いまして」

チノ「……私なら大丈夫です」

チノ「もちろんずっと一緒にいられるなら、うれしいですけど……」

チノ「だから、たまには私を頼って……って、ココアさんが泣いてる!や、やっぱり市販のものの方が……」

ココア「ち、ちがうの」ポロポロ

ココア「あのね、チノちゃん……うれしくて……」ポロポロ

チノ「え、あの、えっと……」

ココア「ありがとうね……」

チノ「よしよし」

ココア「ぐすっ……」

ココア「……うん、もう大丈夫だよ」

チノ「そうですか……手作りのものって苦手な方もいるそうなので、気に入っていただけてなによりです」

チノ(久しぶりに、ココアさんの素がみられた気がする)

ココア「そっか、手編みか~。確かに、チノちゃんの香りが染みついているね」クンクン

チノ「ちょっとココアさん、ヘンタイっぽいですよ」

ココア「えへへ……これでチノちゃんに包まれながら外出できるな~」

チノ「やっぱりそれ返してください」

ココア「心配しなくっても、チノちゃん本体はもっとモフモフするからね!」

チノ「全くココアさんは……」

チノ「……そうですね、私の編んだマフラーは返さなくていいですから」

チノ「私にもなにか残るものを作ってもらえると嬉しかったり……するかもしれないです」

ココア「よーし、二人で一緒に巻けるマフラー編んじゃうからね!」

チノ「ココアさんの首がマフラー二重になってませんか?それに、私たちの通学路って結構すぐ分かれますけど……」

ココア「た、確かに」

ココア(やっぱり手袋とかかな。もう少し考えよう)

ココア「あ、そうだ」

ココア(手紙を添えよう。私を知ってもらおう!)

ココア「千年経っても変わらないものをプレゼントするからね!」

チノ「え、石板とかですか?あんまり大きいのはちょっと……」

ココア「ふふふ、あと3か月ほど内緒だよ」

ココア「だから、今日の所は私で我慢してね」モフモフ

チノ「ちょ、ちょっと」

チノ「……仕方ないですね、我慢してあげます」ニコ

ココア「お姉ちゃんにまっかせなさーい!」

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>>The salvation has been completed.


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                      /
                        {( ___
                     >''⌒       ̄`ヽ、
                      /         \ r:、  \
                    /    {    \  癶 Y } \
                 /   l  λ  {   \ ,x癶 く-、  \
                  /  l  l / ヽ い \-‐-   乂} ̄ ヽ ヽ
                  //  l  ト{'⌒ \l\ヽ _,,,}ミ  lハ   いヽY
                 {(l l  l l _,,ニ、  \ "fj心ヾ,,}  l ヽ ヽ} )}
                j j    〃fj心    弋;り ノ}ハ }  \\
               //l  ト 八 乂ソ  、    '''' j ノlノ     \
              ∥l l  l   \__,  r-‐ヽ   丿~-┬-ミ_   ヽ
               {{八l 代 \   乂 ノ  /(__,  jノ   ヽ }⌒Y }
                  弋_l l \  >- _ イ  ̄         }j(__ノノ
                  乂廴>ー-ミ \ ̄ハ「 ヽ__    ノ/ ̄
                       rく  \ ヽヽ/ rく:::::::::::::: ̄〉-―┐
                     /  \  ヽ )ノ'"/Y乂:::::::::::::{::::;;;;;;/
                      /   い  ∨::::/:::::lヽ ミー-┘:::::::〉
                 /     |}   /::::::::::::::l:::::\>--{汽
                    j_/  j }彡`⌒ァ~┘:::::::::>  Y ∨
                 / ̄    ∧ノ^~ ̄   }r~''い  }  V

Junctoin: 『”私”の選択』



どこか、少しあと


ココア「ここは……いつかの」

タカヒロ「お疲れ様」

ココア「あなたは……」

タカヒロ「おめでとう。君はゲームをクリアした」

タカヒロ「改めて問おう。君は誰かな?」

ココア「私は……」

ココア「私は…………」

ココア「……"私"です!」

ココア「私がココアなら、チノちゃんにちょっかいをだしてリゼちゃんにたしなめられるし」

ココア「千夜ちゃんと一緒に漫才をしてシャロちゃんに突っ込まれます」

ココア「私がココアでなかったとしてもきっと」

ココア「みんなと出会っていると思います」


タカヒロ「……そうか」

ココア「はい!」

タカヒロ「……時間だ」

ココア(視界が急に白く……!)

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>>Do you continue Cocoa ? (Yes / No)


>>83


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yes

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>>Yes


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Route "Cocoa":

ある春の日、木組みの街


ココア(今日から私ココアはこの木組みの街で暮らします)

ココア(電車の中でなにか夢を見たんだけど……よく思い出せないや)

ココア(でも、少しだけ覚えてることがあって)

ココア(もともと別の街の学校を選んだのは、弁護士さんとかパン屋さんとか)

ココア(何かになるために、強くなるために、自分を変えるためだったけど)

ココア(誰かにとっての『何者か』になるのも同じくらい素敵だと気付いた)

ココア(居候先には年下の女の子がいるらしい)

ココア(友達として、いや、いっそ姉として慕ってもらえるように頑張らないとね!)

ココア(ラビットハウス……喫茶店かな。休憩に入ってみよう)カラン

??「いらっしゃいませ――」


『この世があまりにもカラフルだから、 わたしたちはみんないつも迷ってる』

おしまい

選ばれなかった選択肢の続きも、せっかくなので投下します。

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>>No


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Route "You":

深夜、あるバー



タカヒロ「お客さん、そろそろ閉店です。起きてください」

??「ん……チノちゃん?」

タカヒロ「コーヒーでも淹れましょうか」

??「あ、すみません。寝ぼけてたみたいで」

タカヒロ「そうですか?」


タカヒロ「楽しい夢でも見られましたか?今日は随分沈んでたようでしたが、今はすっきりしたみたいですね」

??「ええ……子供のころに戻ったみたいでした。私とは全然違う子供として、でしたが」

??「閉店まで寝てしまってすみません」

??「……また来ます」

タカヒロ「ええ、お待ちしております」



タカヒロ「あなたの日々に、幸多からんことを」




『転生型救済機構:通称「ごちうさ」』

おしまい

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