ヘレン「映画部野外活動記録3」 (65)

※ここに警告文のあるものとする




ヘレン「来たわね」

文香「…奈緒さん、奏さん、お疲れ様です」

奈緒「うぃーっす」ムッシャムッシャ

奏「今日も暑いわね」ムッシャムッシャ

小梅「何…食べてるの…?」

奈緒「ケバブ」ムッシャムッシャ

ヘレン「この辺にケバブ屋なんてあったのね」

奈緒「ケバブってなんでこう上手いんだろうな」ムッシャムッシャ

奏「本当よね」ムッシャムッシャ

奈緒「食べ辛くて確実に手がソースでベタベタになるけど、それでも食べたくなる。偉大なるケバブよ、永遠に…」

奏「手がソースでベタベタになるのは、奈緒の食べ方が下手なだけじゃないの?」

小梅「奈緒さん…ケバブ下手だよね…」

奈緒「なんだよ、ケバブ下手って…」

ヘレン「口のところにソースついてるわよ」

奏「ほら、ハンカチ」

奈緒「おっ、さんきゅ」

文香「……皆さんも揃ったことですし、行きましょうか。インデペンデンス・デイ:リサージェンス」

奈緒「インデペンデンスデイって初めてみるんだよなあ、あたし」



『映画部とエイリアンババア』



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奏「あら、意外ね。てっきり定期鑑賞会で観てるものだと思ってたけれど」

文香「そういえばインデペンデンスデイは皆さんとは観ていませんね」

小梅「有名すぎて…逆に観てない…パターン…だね…」

奈緒「みんなは観てるのか?」

奏「私は観たことあるわ」

文香「私もあります」

ヘレン「同じく」

小梅「私は…まだ…」

ヘレン「まあ、小梅は世代的にもね」

奈緒「ふーん、みんな観てるのか…。正当ハリウッドって感じ?」

文香「まあ……正当派、ですね…」

奈緒「そういうの久しぶりに観るなー!楽しみだ!」

小梅「そう…だね…♪」

ヘレン「………………」

映画館


奏「はぁ…涼しい♪」

文香「結構子連れの方が多いですね」

ヘレン「もう夏休みシーズンだもの。それに、ポケモンとワンピースも公開されているのもあるわね」

文香「なるほど……では、先を越されないうちにマシュマロチョコピザを押さえておきますか」

奈緒「好きだなあ」

奏「もうそのメニューないわよ」

文香「えっ!?」

小梅「もう…夏だから…ね…」

ヘレン「温かいメニューから冷たいメニューに変えられてるんじゃないかしら」

文香「…とりあえず、見てきます」スタスタ

小梅「あっ…私も…行く…」テテテテ

奏「文香って結構映画館ご飯好きよね」

ヘレン「映画館メシは魅力的に見えるものよね。私は買わないけど」

奈緒「なんで?」

ヘレン「だって高いじゃない。ぼったくられてる感があってイヤなのよね」

奈緒「いいじゃん、稼いでるんだから…」

ヘレン「気持ちの問題なのよ、気持ちの」

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館内




奈緒「なにそれ」

文香「生八橋入りアイスクレープだそうです」

奈緒「なまやつはしいりあいすくれえぷ」

奏「凄い組み合わせね…」

小梅「でも…美味しそうだった…から…」

奈緒「今日は字幕?吹き替え」

ヘレン「一応、字幕でとったわ」

奈緒「おっ、字幕か」

奏「字幕?うーん……

ヘレン「始まるわよ」

奈緒「楽しみだなぁ!」ワクワク

奏「あー…まあ…そうね」

文香「このあいふ硬ひれふね…!」グヌヌ

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上映中




ヘレン(流石ハリウッド……CGにお金かけてるわね……)

奏(あ、ウィル・スミス……肖像画だけ?本人出演は無しか…)

小梅(エイリアンかっこいい……族長かっこいい……)

文香(お約束演出はちゃんとしてますね……)

奈緒(あー……ん?……あれ?…)




一同(………………………)

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上映終了



ヘレン「……………」

文香「……………」

小梅「……………」

奈緒「………あれ?」

奏「まあ……言いたいことは分かるわ」

ヘレン「移動しましょう。前に行った世界レベルの喫茶店に行きましょう」

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喫茶店



ヘレン「感想戦よ」

奈緒「なんか……あの…あんなもん?」

奏「あんなもんよ」

奈緒「えぇ~……なんか全体的に雑じゃないか?」

文香「それは思いましたね。前作の方がもうちょっと頑張っていた感はあります。ですが……まあこんなものでしょう」

ヘレン「そもそも、インデペンデンスデイに『まさかの展開!』とか『衝撃のラスト!』『緻密なシナリオ!』とかは求めていないのよ」

奏「そうね。あれは超大衆娯楽映画というか……友達とポップコーン片手にだらーっとして観るような…」

奈緒「そ、そうなのか…なんか肩透かし食らった感…」


小梅「エイリアン…おどろおどろしくて…結構好き…かも…」

ヘレン「CGは良かったわね。CGがしっかりしているから、しっかり観れる」

文香「ええ、画の作り方はやはり素晴らしいです。ただ、本当にシナリオが雑で……」

奏「世界は一つになって云々…という割りには、アメリカと中国しか出てなかったり」

文香「中国のスポンサーに大分配慮していたみたいですね。宇宙基地の司令官や、戦闘機の女性パイロットも中国人でしたし」

奈緒「でも、その司令官もすぐ死んじゃうし、パイロットも終盤はほとんど出てこなくて……完全に忘れ去られていてなぁ……」

小梅「ラストの…エイリアンの女王も……なんで…わざわざそんなこと?…っていう感じだった…ね……」

奏「雑よね」

文香「雑ですね」


ヘレン「でもちゃんとハリウッドのお約束演出は守っていたわよね。背後で爆発とか、キスして終了とか」

奈緒「あれもなぁ……私らの世代としてはもう飽き飽きって感じで……なんだろう、古臭さ?」

奏「あー…」

奈緒「なんというか、最近の邦画を観ているみたいだったよ」

ヘレン「なるほど……もうあのお約束は通じなくなってきていると…」

文香「まあ、日本の娯楽大衆映画はあのあたりをお手本にしているのでしょうね」

奈緒「もうちょっと別の演出を期待」

奏「でもインデペンデンスデイで、しかもあの監督で、お約束が来なかったらどう思う?」

ヘレン「心配するわね。どうしちゃったのかしらって」

文香「あの大味感こそ、インデペンデンスデイの魅力でもありますからね…」

小梅「そうなんだ…」

奈緒「難しいなぁ……エメリッヒ作品観て勉強するかぁ」

ヘレン「別にそこまでして挑むものでもないと思うけど」

奈緒「あっ!あと一つだけ言わせてくれ!」

奏「何?」

奈緒「ファッキンなっち!また適当な翻訳しやがって!英語全然出来ないあたしが気づくって相当だぞ!」

文香「ああ………あの字幕も映画の雑さを際立たせているかもしれませんね…」


ヘレン「さあ、では評価を」

奏「うーん…まあ、インデペンデンスデイだし……B+でいいんじゃないかしら」

文香「私はBで…ちょっと雑すぎました」

小梅「B…です」

奈緒「Bかなぁ……ちょっとがっかりしたけど、一応観れる作品だったし」

ヘレン「私はB+ってところね。キャストの演技が微妙。では、総合評価Bでいいかしら?」

奏「そうなるでしょうね」

文香「はい」

奈緒「なんかあれだな……別のやつもう一本観ておくか?」

小梅「いいかも…」

ヘレン「なら、あれ観ましょう。ドリー」

奏「ああ、ファインディング・ドリーね」

文香「ドリーは……30分後に上映開始ですね」

奈緒「なら、さっさと移動しちゃおうか」



『映画部とお魚天国』に続く

映画館



ヘレン「じゃあチケット買ってくるわ」スタスタスタ

文香「…お願いします」

奈緒「ファインディングニモはピクサーだよな?」

文香「…ピクサーです。ありすちゃんが教えてくれましたので、間違いないです」

小梅「やっぱり……グッズが…沢山…あるね」

奏「そうね、可愛いグッズが沢山」

奈緒「前々から思ってたけど、ニモって可愛いか?」

小梅「奈緒さん…ニモ……嫌い…?」

奈緒「なんかどうも苦手なんだよなぁ……生々しくて」

奏「そうかしら?」

ヘレン「吹き替え版のチケット取れたわ。夏休み効果のせいか、思っていたよりも混んでいるわね」

文香「……やはり地力がある作品ですね」

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館内


奏「今作はマーリンの相棒、ドリーが主役なのよね?」

文香「そのようです」

奈緒「マーリンって誰だっけ?」

七海「ニモのお父さんれすよ♪」

奈緒「うわっ!?」

奏「な、七海ちゃん!?」

加奈「ああ~、ダメだよ七海ちゃん…知らない人に声をかけちゃ。すみません~…」


奈緒「か、加奈まで……びっくりした…」

加奈「あれ、奈緒ちゃん?あ~、映画部の活動かぁ…」

ヘレン「奇遇ね。そっちは前歯部の活動かしら?他のメンバーが見当たらないけど…」

加奈「いえ、今日は七海ちゃんと二人で観に来てて……ふぅ…」

奏「なんだか疲れてるみたいね。仕事明け?」

加奈「ううん、今日は一日お休み。でも、朝からずーっとこの映画観てたから…」

小梅「朝から…?」

加奈「七海ちゃんがもう一回観よう、もう一回観ようって言うから……今から4回目」

七海「ファインディングドリーはまさにお魚天国れすからね!偉大なるさかなクンも吹き替えで出演していますし、何度みても観たりないのれす~!」

小梅「さかなクン…さん…」

文香「…なんといいますか、お疲れ様です……」

七海「あっ、始まるのれす!」

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上映中



奈緒(相変わらずCGは流石だよなぁ……吹き替えも合ってるし…)

小梅(みんな…キャラがすごく魅力的……)

奏(八代亜紀…?日本向けの演出かしら……ちょっとやりすぎ感が…)

ヘレン(魚以外のキャラも充実ね……)

文香(今回は大分直球なテーマですね……)


一同(八代亜紀………)

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上映終了



ヘレン「……………」

奈緒「……………」

奏「……………」

小梅「……………」

文香「……………」

ヘレン「移動しましょう。近くに世界レベルのロシア料理レストランがあるわ」

奈緒「じゃあな、七海、加奈」

加奈「うん、またね!……さっ、七海ちゃん、わたし達も帰ろ…」

七海「もう一回観るのれす」ガシッ

加奈「ひぇぇぇぇぇ……」

奏「……頑張ってね」

加奈「かなかなふぁいふぁぁぁぁい……」

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ロシア料理レストラン



小梅「感想戦だよ…」

ヘレン「まあ、予想通り…といったところかしら」

奏「そうね。最高クオリティーのCGアニメーション。お話もしっかりしてるし、大人も子供も楽しめる」

小梅「吹き替えも…問題ないね…」

奈緒「だな~。ただまあ、あの急に出てくる八代亜紀の館内アナウンスはどうなんだ?」

小梅「作中でも…八代亜紀について触れてた…ね…」

奈緒「亜紀さーん!八代亜紀さーん!ってな。あれは日本向けの演出?」

文香「放映される国ごとの有名人が登場してくるみたいですね……日本版では八代亜紀が」

奈緒「なんだかなぁ……ちょっと無理な演出だったかなぁ」

ヘレン「まあ、くどさはあったわね」

奏「エンディングテーマも歌っていたわね。作品の雰囲気に合っていて、私は良かったと思うわ」


小梅「新キャラも…いっぱい出てたね……」

奈緒「今回も個性豊かなキャラ満載だったなー」

奏「キャラは多いけれど、掛け合いと線引きが上手いから、混乱することなく観れるわよね」

文香「キャラについてなのですが……今作のテーマはかなりエグイものがきましたよね」

奈緒「エグイ?」

文香「はい……今作のテーマはズバリ、『障がい者のいる社会』についてではないでしょうか」

ヘレン「ふむ…」

文香「ドリーの忘れっぽさは知的障害を思わせますよね」

奏「パイプ管を通っていくシーンなんかはかなりえげつない感じだったわよね…」

文香「ニモの小さな片ひれ、弱視のジンベイザメ、エコー能力を失ったシロイルカ、足を一本失ったタコ、ちょっとおかしな鳥とアシカ……そして物語の舞台は海洋生物研究所。怪我や病気の魚を治す施設……」

奈緒「はぁ~…なるほどなぁ」

文香「その生涯を抱えたキャラたちが工夫と協力で困難に立ち向かい、問題を克服していく……と」

小梅「そう捉えると…ふれ合い広場のシーンとかは……障害で困ってる人たちに…勇気を与えてくれる場面……だったね…」

ヘレン「いつも通り、社会的テーマを入れてきたって感じね」

文香「最近では障がい者へのヘイトクライム…憎悪殺人ですね。これも問題になってきているみたいですので、丁度良い時期の公開だったかと」


ヘレン「では、評価に移りましょうか」

奏「Aランク。出来は素晴らしいものだけれど、続編だし、あともう一味欲しかったかも」

小梅「A+……です…やっぱり…キャラクターが…魅力的…」

奈緒「Aランクかなぁ。演出にちょっとやりすぎ感を感じた」

文香「……私もAランクです。少々、日本向けの演出がわざとらしかったかと…」

ヘレン「A+。では、総評価はAランクってところかしら」

一同「異議なし」

奈緒「いやー…やっぱり2本連続は疲れるなぁ」

小梅「お尻…痛い…」

奏「今頃、5回目の上映を観てる加奈は大丈夫かしら…」

奈緒「明日、フラフラで事務所に来そうだよな」

ヘレン「なってないわね。アイドルにはパワー、情熱、根性が必要よ」

文香「ヘレンさんは有り余りすぎかと……」

ヘレン「当然よ!世界レベルだもの!」ヘーイ

小梅「よっ……世界レベル…!」

ヘレン「ありがとう、小梅。さあ、夕飯にしましょう。ここのお店はメニューにカーシャがある本格派よ」

奏「カーシャ?」

文香「…ロシアのおかゆみたいな食べ物ですね」

ヘレン「なかなか出してくれるお店がないのよね、カーシャ」

奈緒「ふーん、じゃあそれとビーフストロガノフでも食べようかな」

ヘレン「牛、牛を使うのよ」

文香「は、はぁ…?」



『映画部とお待ちかねのサメ』に続く


奈緒「やったーー!サメだーーーーーーー!!!」

ヘレン「ヘーーーーーーーーーーイ!!!」

文香「ついに公開しましたね……ロスト・バケーション…!」

奏「この2016年にまさかの正当派サメ映画が公開されるとはね…」

小梅「どんな作品なんだろう……ね…」ワクワク

奈緒「待ってられない……さっそく映画館に行こう!」



『映画部とお待ちかねのサメ』


奏「PVを観る限り、バカンスに来た先でサメに出くわす、というリゾートパニック系に思えるわね」

小梅「サメの…行動周期を…予測してるシーンがあった…」

ヘレン「『サメの動きが読めたわ…!』」

奈緒「ヘレンさんなら普通に出来そうで怖いよな」

ヘレン「出来るわ。試したことはないけど」

文香「しかし、正当派のサメ映画を今公開するなんて……正気なんでしょうか…」

奏「うーん……」

ヘレン「まあ、観てみないことにはなんとも言えないわね」

小梅「足とか…食べられたりする…のかな…!」ワクワク

奈緒「サメ映画だし、捕食シーンはあるだろうなぁ」

映画館


ヘレン「席は予約済みよ。チケットを発券してくるわ」スタスタスタ

奈緒「サメグッズあるかなぁ」

奏「ないと思うわよ」

文香「今日も混雑してますね……」

小梅「夏休みは…始まったばっかり……だからね…」

奏「夏だし、ホラーものを観に行くのもありかもね」

奈緒「貞子vs伽椰子の他になにかあったっけ?」

小梅「高慢と偏見とゾンビとか……死霊館とか……」

文香「ああ……ゾンビ、いいですね……」

ヘレン「お待たせ。そろそろ予告も終ったころでしょう。入るわよ」

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館内



奈緒「うわぁ…ガラガラだぞ…」

奏「私たちの他に1、2、3……3人ね」

文香「ポケモンとワンピースにみんな集中しているのでしょうね…」

小梅「サメ…いいのにな…」

ヘレン「みんなサメの素晴らしさを解ってないのよ。サメとゾンビはマストで観るべきよ」

奏「始まるわよ」

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上映中




奈緒(思っていたより演出に凝った作品だな……スマホ画面の出し方や、色使いが良い…)

奏(主人公はサーファーなのね……波と音を上手く使った演出……いいわね)

小梅(背びれだけしか見えないのにサメの存在感が凄い……)

ヘレン(ほぼ主人公の独演……度胸ある女優ね…)

文香(岩礁に取り残された状況……物資はほぼ無し……良い絶望的状況ですね…)



一同(ほぅ…………)

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上映終了



ヘレン「…………」

文香「……………」

小梅「……………」

奈緒「……………」

奏「……………」

ヘレン「移動しましょう。近くに世界レベルのコーヒースタンドがあるわ」

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コーヒースタンド




奏「感想戦よ」

ヘレン「まさに正当派、といった感じね」

文香「はい……まさか本当に正当派だとは思いませんでした」

奈緒「バカンスに来た主人公。サーフィン中に鯨の死骸を発見。サメ登場。逃げている最中に足を噛まれ負傷。岩礁に登るも、そのうち潮が満ちて岩礁は海に沈んでしまう……」

小梅「圧倒的……絶望感…♪」

奏「小さな絶海の孤島、といった感じかしら」

ヘレン「頼りになりそうなものがほとんど無い、というのもいい絶望感を生んでいるわね。それに孤独感」

奈緒「助けに来た人もサメに食べられちゃったりしてな。背びれしか見えないのに、サメの存在感が凄いんだ、また」


小梅「良いシーンがいっぱい……あったね…」

奏「そうね。サーフィンのシーンとかかなり良い演出だったわ。流れているBGMが海に潜った瞬間に消えて、あがったらまたBGMが流れる、とか」

文香「音の演出と色使いに凝った作品でしたね」

奈緒「あたしはあの、サメが燃えながら海を泳ぐシーンがよかったなぁ」

ヘレン「あれ、最高だったわね。主人公の『ファックユー』からのサメ炎上」

小梅「いいよね……」

文香「はい……素晴らしい……芸術的でした…」

奏「アクションだけでなく、お話もなかなか良かったわよね」

文香「はい……冒頭の主人公と父親の会話が、岩礁での決意に繋がる……」

ヘレン「この映画は思っていた以上に良作だったわ。観て良かった」

奈緒「本当にな~」


奏「では、評価よ」

奈緒「A+。予想以上の出来栄え。とにかくオシャレで、カッコいい」

小梅「Aランク……私は、もうちょっとグロテスクでも…よかったかも……」

ヘレン「A+。色使いが素晴らしいわ」

文香「A+です……お話のまとまりと、映像美のバランスがとても良かったです」

奏「私もA+。じゃあ、総評価A+で問題ないかしら?」

一同「異議なし」


奈緒「今年も良作ぞろいだな~。まさかサメものでクソ映画じゃないなんて」

ヘレン「良い流れが来てるわね。このまま乗っていくわよ、このビッグウェーブに!」ヘーイ

奏「はぁ…あの映画を観ていたら、海に行きたくなってきちゃったわ」

奈緒「おっ、海か!いいな~!」

文香「海ですか……肌が弱いので、私はパラソルの下で読書がしたいですね」

小梅「おなじく……あっ、でも…砂から首だけ出して……生首ごっこしたい…かも」

奏「面白いの、それ…」



『映画部とガッズィーラ』に続く

新宿



ヘレン「ガッズィーラ……ようやく貴方の姿を観ることができるのね…」

小梅「あの映画館の…大きいゴジラが観れるんだね…」

ヘレン「ええ、まさかの庵野監督によるガッズィーラ…」

文香「…シン・ゴジラ…どのような作品になるのでしょうね」

奈緒「今日で邦画の進退が決まると思うと……!」

奏「大げさね……」

文香「いえ、決して大げさなどではありません……このアニメ界からの異例なキャスティングは、全邦画ファンを警戒態勢にさせるほどの事件なのです」

奈緒「ついに来たかって感じだよな~」

ヘレン「さあ………行くわよ…待ってなさい、ガッジィーラ!」


『映画部とガッジィーラ』

映画館


ヘレン「チケットは予約済みよ。一番良い席をとってあるわ。発券してくるわね」スタスタスタ

奈緒「ゴジラグッズが一杯だなあ」

奏「エヴァンゲリオンとのコラボ商品も多いわね」

小梅「ゴジラTシャツなんかも…あるね…」

奈緒「お~、いいなぁゴジラTシャツ。買っていこうかな…」

奏「ちょっとダサくないかしら、それ」

奈緒「えぇ~?カッコいいじゃん」

小梅「奈緒さん……ダサいTシャツが……似合うよね……」

奈緒「なんだそれ!もういいよ、買ってくるから!」

小梅「買うんだ…」


文香「見てください、ゴジラのポップコーンも販売しているみたいですよ……ポップコーンは苦手ですが、ちょっと惹かれますね…」

奏「あそこのカップルが持ってるやつがそれじゃない?」

小梅「うわぁ……すごい…おっきい…」

奏「あれ、絶対途中で飽きるわよ」

文香「持ち帰るにしても、邪魔になりそうですね…」

ヘレン「お待たせ。では、いきましょう」

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館内



奈緒「トイレで着替えてきた。どう?」

小梅「本当に買ったんだ…」

奏「似合うわね、可愛いわ」

奈緒「そうか?やっぱり買ってよかったー!」

奏(ダサいけど)

ヘレン「始まるわよ…!」

文香「……いよいよですね」

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上映中



奏(テンポが良い…むしろ良すぎるくらい……俳優がベテランだろうがなんだろうがお構いなしって感じの飛ばしっぷりね……)

奈緒(この用語の字幕…エヴァって感じするなぁ………カメラアングルもアニメっぽい……)

文香(かなり内政的なシーンが多いですね……駆け引きが面白い……)

小梅(でた…ゴジラ………キモカッコいい……)

ヘレン(……!!!)


一同(………………ッ!)

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上映終了



奏「……………」

奈緒「……………」

小梅「……………」

文香「……………」

ヘレン「…………ブラボー」パチパチパチ

奈緒「凄い……やった…やったよ……」パチパチパチ

奏「……………」パチパチパチ

小梅「……………」パチパチパチ

文香「……………」パチパチパチ

ヘレン「パンフレットを買ってくるわ」

奈緒「あたしも!」

ヘレン「なら、ついでに買ってくるわよ」

奈緒「いや……この映画のパンフレットは、自分で買いたい…!」

ヘレン「……グッド。では、パンフレットを買ったら移動しましょう。世界レベルの良い店があるわ」


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良い店



ヘレン「感想戦よ」

奈緒「最高!最高最高!よくやってくれた!」

文香「お見事です……まさか、ここまでのものを魅せてくれるとは……」

小梅「なんか……観ちゃいけないものを…観ちゃった感じ……」

奏「そうね……自分の邦画観を変えられたわ」

奈緒「初っ端からの軽快なテンポと、あの字幕演出の連続でガンガンに突き進んでいくのは凄かったなー。ベテラン俳優陣への配慮一切無しなのがまた潔い」

奏「あのカメラアングルも独特だったわね。私はアニメをあまり観ないから詳しくはないけど、あっ、これはアニメの人の画の撮り方だなっていうのはすぐに解ったわ」

ヘレン「あれは斬新だったわね。ただ、カメラワークが少し拙いのが惜しい」

文香「あれはちょっと残念でしたね……画のアングルは良いのですが、ブレるべきでないところでブレるのがなんとも…」

ヘレン「邦画特有の、あの芝居がかった演技も残念だったわね。モブなんか特に酷い。まあ、途中のシーンでその問題も解決されたけど」

奈緒「キャラの掛け合いもアニメっぽかったな。特にコメディ部分でそれがよく目立つ」


小梅「ゴジラのデザイン……凄く良かったね。グロテスクで………圧倒的な恐怖って感じで……最高…」

奏「最初のあの姿はびっくりしたわ。公開されていたゴジラの姿と違うんだもの」

文香「でも、そこからまたどんどん進化していって……最終的には、という。リアルでしたね」

小梅「ね~……本当に生きてるって…感じ……」

奈緒「ゴジラの東京大破壊のシーン、凄かった…。凄いものを観た、観てしまった」

文香「圧巻でしたね……美しかったです」

奈緒「完全にやってることはエヴァなんだけど、もうそんなのどうでもいい。素晴らしいシーンだ。芸術だよ、あれは」

ヘレン「ビュリフォー」


奏「ストーリーは思っていたよりも政治的な展開が多かったわね」

文香「ええ……現在の日本の政治体制を再現しているのでリアリティがありました。そしてそれが、日本の現状の皮肉にもなっているという……」

奈緒「あれを見てると、政治の世界って大変なんだなぁって思うよ」

ヘレン「キャラクターも実に人間的だったわね。リアルな現場を映し出しているというか」

奏「そうね。全キャラがしっかりとした設定を持っていて、その掛け合いが面白かったわ。首相官邸のシーンとか、主人公のゴジラの対策本部とかね」

文香「事実をキチンと積み重ねているからこそ、説得力があるんですよね……そこにスッと虚構をいれてくるんです。それが虚構だと思われないくらい丁寧に……だからこそ違和感を感じることなく観れるんですよね」

ヘレン「そしてやっぱり出てきたわね、自衛隊」

奈緒「熱かったよなー!ちゃちな演出にならなくて本当によかったよ」

小梅「ガルパンおじさん……大喜びだね……」

ヘレン「最後のゴジラとの決戦も熱かったわね。そこに至るまでの展開もまた熱い」

奏「最後の方も、ああいう風な終り方をしてきたのは意外だった………いえ、意外というか、むしろあの終わり方が大正解なんだけれど…」

奈緒「最近のクソ邦画テンプレに毒されてきちゃったなぁ、あたしたち」

文香「今作はそのテンプレ演出が一切無いのが大変素晴らしいですね」

ヘレン「そう、それもこの映画の最大の功績の一つよ。長尺のパン、叫び、過度な息遣い、変な恋愛要素、奇跡……このテンプレこそ、最近の邦画がクソだといわれる要因だと私は思うわ」

奈緒「うんうん」


ヘレン「さて、では評価に移りましょう」

小梅「Sランク…です……私の時代の映画なんだって痛感した……いつまでも残る映画だったと…思う…」

奏「同じくSランク。小学生、中学生の子達にこれを観てもらって、良い意味でのトラウマを与えたいわね」

文香「……すみません、A+です。大変素晴らしい作品ですが、まだまだ改善の余地があると感じました。次への期待を込めて、A+で…」

奏「今日はちょっと辛口なのね」

ヘレン「辛口になれるまで真剣に観れる作品なのよ」

奈緒「あたしはSランク!2016年の邦画界にこれを出してくれただけでもうなにも文句はないよ……ありがとう、庵野監督…最高…」

ヘレン「私もSランク。総評価、Sランク!満場一致とはいかなかったけれども、世界レベル映画に認定!」

一同「わー!!!」パチパチパチ


ヘレン「ブラボー!ブラボー、ガッズィーラ!今日は祝杯をあげるわ!」

小梅「祝杯…あげるね…♪」

ヘレン「日本映画の夜明けよ!マスター、テキーラを頂戴」

奈緒「いやぁ、本当に良い瞬間に立ち会えた……この作品を映画館で観れて幸せだよ」

文香「…今度は極上爆音で観たいですね」

奏「いいわね、それ」

奈緒「最高だなあ!楽しみだ!」


バターーーーーン!!!


奏「えっ!?」

文香「な、なんの音ですか…?」

小梅「ヘレンさんが…テキーラを飲んで……倒れちゃった…!」

奈緒「なっ!?だ、大丈夫か!?」

ヘレン「んぁ~?……らいじょうふよぉ~、私は世界れへる……ヘーイ!」ヘーイ

奏「お酒弱いのならテキーラなんか飲まないでよ…」

文香「お水です……ゆっくり飲んでください」

ヘレン「今日は良い日だわ!今年もいい年よ!」ヘーイ

奏「はいはい、今タクシー呼ぶから…」



外伝『文香とありすと怒りのデスデート』に続く

渋谷



ありす(ちょっと早く来すぎたちゃった……)

ありす(勇気を出して誘ってみてよかった……)

ありす(映画好きの文香さんに映画デートを誘う……)

ありす(そして映画のチョイスは文香さんにゆだねる…我ながら完璧な作戦……自分の才能が恐ろしい…)

ありす「…文香さん、まだかな」


『文香とありすと怒りのデスデート』

文香「…お待たせしました、ありすちゃん」

ありす「あっ、文香さん!い、いえ、私が早く来すぎてしまっただけですから…」

文香「今日も暑いですね……さっそく移動しましょうか」

ありす「はいっ!あの…不束者ですが、今日はよろしくお願いします…!」

文香「そ、そんなに固くならなくても…」

ありす「さっそく行きましょうか!」

文香「はい、では……」


渋谷駅


ありす「え…あの、電車乗るんですか?渋谷にも映画館はありますよね…?」

文香「……今日観る映画は、とある場所でないと観れないのです」

ありす「そんな映画があるんですか…いったい何処へ?」

文香「立川です」

ありす「立川…ってどこですか?」

文香「東京都立川市……八王子の近くですね」

ありす「立川…立川……渋谷から40分くらいかかるんですか!?遠いですね…」

文香「ええ、少々遠いですね……その間、電車の中でなにかお喋りでもしていましょうか」

ありす「は、はい…!お話したいことがいっぱいあるんです!この前のお仕事のこととか…LMBGの皆さんと遊びに行ったこととか…」

文香「ふふ…楽しみです…」

電車


ありす「酔ったぁ~……」グッタリ

文香「大丈夫ですか…?」

ありす「うぅ…すみません…」

文香「…あまり混雑していなくてよかったですね……私の膝でよろしければ、横になりますか?」

ありす「えっ!?い、いいんですか!?」

文香「え、ええ……」

ありす「で、では失礼して…」ポスッ

文香「……着いたら起こしてあげますから、ゆっくり休んでください」

ありす「はい…」

ありす(はぁ…お話はできないけど…これえはこれで、幸せ……)スーッ

立川 映画館



ありす「着きましたね、立川!初めて来ましたが、結構栄えてますね」

文香「具合はもうよろしいのですか…?」

ありす「はい!おかげさまですっかり良くなりました」

文香「良かった……」

ありす(どんな映画を観るんだろう……文香さんのことだから、難しい映画かな……もしかして、恋愛映画…とか?)

文香「……では、チケットを発券してきます」

ありす「あ、あの……」

文香「…はい?」

ありす「今日観る映画ってなんなんですか?このポスターの中にありますか?」

文香「……今日観る映画は……これです」

ありす「えっ!?」

文香「マッド・マックス 怒りのデス・ロード……!」

ありす「」

文香「では、チケットを発券してきます……」スタスタスタ


ありす(えっ、なにこれ……マッド?デスロード?……えっ????)


文香「……発券完了です。なにか飲み物でも買いましょうか……ありすちゃん?」

ありす「ぇあっ!?」

文香「……大丈夫ですか?」

ありす「え、あ、だ、大丈夫です……」

文香「ならいいのですが……あっ、お手洗いはとても混みやすいので先に済ませておいたほうがいいですよ」

ありす「はあ…」

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館内



ありす「…………」

文香「楽しみですね…」ワクワク

ありす「あの、これってどういう映画なんですか…?」

文香「観ればわかります……それよりも、映画が始まる前に一つ忠告を…」

ありす「忠告?」

文香「この映画は極上爆音上映という上映スタイルです……映画が始まったら、歯を食いしばってください。気を抜くと持っていかれます…」

ありす「な、なにをですか…!?なにを持っていかれるんですか!?」

文香「色々です……始まりますよ」

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上映中




ドオオオオオオオオオオオオオオオオン



ありす「!!!??」ビリビリビリッ

ありす(な、なにこの音圧……お腹の底に響くような重低音……!?)

文香(やはりこの作品は爆音で観るに限りますね……4DXも良いですが、疲れてしまいますし…)


< ウィットネーーーーース!!!

< プシィィィィィィィィ!!! ワッタラブリーデイ!!!


ありす(???…なにあのスプレー……ど、どういう……???)

文香(この脳みそが蕩けんばかりのマッド……最高ですね……)ズズーッ


ドカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン

ガシィィィィン バコオオオオオン

ドギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン


ありす「」

文香(ウィットネス イット……)V8のポーズ

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上映終了


文香「ふぅ……では、移動しましょうか」

ありす「」

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館外



文香「いやぁ、やはりすばら……」

ありす「なんですか、あの映画…車に乗って、行って帰って来ただけじゃないですか……」

文香「」

文香「………行って帰っ……えっ」

ありす「世界観もよくわからないですし……やりたいこともよくわかりません…謎です……」

ありす「それに凄くうるさい……登場人物も急に変な人たちが出てくるし……説明もないですし……」

文香「」


ありす「なんなんですか、あの銀のスプレー……なんなんですか、あの女の子……」

文香「……ありすちゃん」

ありす「なんなんですか、あのぐよんぐよんしてたギターの人………わけわかんないです」

文香「……ありすちゃん」

ありす「車も変なものばっかりですし……正直あの映画で視聴者に何を伝えたいのか理解できません。謎です」

文香「ありすちゃん」ガシッ

ありす「へっ?」

文香「娯楽に」

文香「マジレスを」

文香「するな」

ありす「ひ、ひゃいっ…!」ビクッ


文香「人それぞれ合う合わないがあるのは解ります……解りますが、ジョークや娯楽にマジレスやクソリプをしてはいけません」

文香「マジレス、クソリプは破滅を呼びます……横から失礼しないでください、余計なお世話だと思ったのなら言わないでください、相手は友達ですか、気持ちの悪い長文ではないですか」

ありす「えぇぇ……」

文香「ハッ!……と、突然怖い思いをさせてすみませんでした……お詫びにいちごパフェをご馳走させてください。近くにパフェが美味しいと有名な喫茶店があるので……」

ありす「は、はい……あの、私もすみませんでした。せっかく文香さんが選んでくれた映画だったのに…」

文香「いえ、私も映画初心者にいきなりハードルの高いものをお見せしてしまいました…反省ですね……今度は一緒に観たいものを選びましょうか」

ありす「はいっ!あの、私、植物図鑑っていう映画が気になってて…!」

文香「そんなもの死んでも観ません」

ありす「えぇーーーっ!?」



終劇

これにて終了ですー
ちんぽー

ハッピーバースデー日野

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