モバP「あくまでも小悪魔」 (48)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSスレです。
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文香「……」ペラペラ
文香「…………!」ピタッ
文香「……ふむ」ペラッ
美波(お昼過ぎに事務所に戻ると、文香さんがソファで雑誌を読んでいました。文香さんにしては珍しいタイプの読書の様に思えます)
文香「…………」
美波(ドアの開け閉めにも反応しない文香さん。たとえ女の子向けのファッション誌であっても手を抜かないのは、さすがは文香さんといったところでしょう)
美波(勿論邪魔をしてはいけないのでしょうが――少しくらいこっちを向いてくれても、と思ってしまう私は、我儘なのでしょうか。それにしても――)
文香「ん…………」
美波(どうしたんだろう。文香さん、いつになく難しい顔をしています)
文香「…………」クワッ
美波「?!」
美波(じぇ、ジェスチャー? なんの?!)
文香「…………」SATSUGAI
美波(あ、悪魔的すぎます!! 19歳のCoアイドルがやっていいポーズじゃない!!)
美波「……ふ、文香さん?」
文香「―――――――え、ひゃぁ!!」ビクッ
美波「きゃあっ!」ビクッ
文香「すみません、すみません……少し、周りが見えなくなっていました」
美波「いえ、こちらこそ、驚かせてごめんなさい。でも、どうしたんですか? 怪獣みたいなポーズで」
文香(か、かいじゅう――)ガーン
美波「あと、その雑誌、普段は手に取らないような感じじゃないですか? ちょっと気になっちゃって……」
文香「……!」
文香「――です」カァッ
美波「え?」
文香「こ、こあくま、です」
美波「こ……こあくま、ですか?」
文香「――――――――っ!!」ブワー
美波「ちょ、ちょっとストップ文香さん茹ってきてるゆだってきてる!!」
美波「なるほど……バレンタインのイベントに向けてお勉強してたんですね」
文香「……」コクン
美波「ああ――もしかして今日の服も、そういったイメージですか?」
文香「これは――店員さんに勧められるがままに」
美波「ふぅん――もしかして、Pさんの趣味、だったり?」クスッ
文香「そ、そういうわけでは……っ!」
文香(褒めては――いただけましたけれど)
美波「でも、すごく似合ってますよ! 見立てのいい店員さんでよかったですね」
文香「それは――確かに。私独りでは、決して選べない洋服でした」サスサス
美波(肩、寒いのかな。やっぱりいつになく露出しているからなのでしょうか――陽の光を嫌うように、白い肌)
――――――――――こうも儚げは色は、きっと、私には出せない
美波「…………」ゾクッ
文香「しかし、装いだけ立派にしてみても、今一つ要領を得ないといいますか、知識を活用できていないと思うのです」
美波「な――なるほど。それで雑誌を……ふむ……」
文香「?」
美波「――こほん、実は私も以前、小悪魔、かじったことがありまして」
文香「――そういえば、プロデューサーさんから見せていただいた資料に美波さんの写真も」
美波「ああ、もう見られていたんですね。えへへ、今にしてみれば、少し恥ずかしい格好でしたけれど……」
文香「いいえ――女の私から見ても、蠱惑的で」
…………………………余りに眩く、目標と呼ぶのも烏滸がましくて
文香「――ひとつの完成型だったように思います」
美波「やだ、文香さんったら……まあ、完成型かはともかく、小悪魔に関しては、私に一日の長がありますよね」
文香「……はい」
美波「もしよかったら、一緒にお勉強しませんか?」
文香「一緒に………? でも、私などの為に時間を割かせてしまうのは」
美波「ひとりよりふたり、ですよ? それに私も、まだまだ磨きをかけたいと思っていましたから」
文香「そう、ですか……」
文香(――『先達はあらまほしきことなり』)
文香「あの、その…………」モジモジ
美波「はいっ」
文香「――ご指導、よろしく、お願いします」
美波「こちらこそ!」
美波「それで、まず文香さんは、小悪魔の重要なポイントはなんだと思いますか?」
文香「――誘惑、だと思われます。この雑誌にもそう書いてありました」
美波「その通り! 誘惑、がキーワードみたいですね。それで、誘惑するのは――」
文香「誘惑の対象ですが――そもそも悪魔とは、創世記戦争に敗れた神々の呼称とも言うべきものであり」
美波「はい――はい?」
文香「敗軍の将ルシファーと、その6人の副官に押し付けられた七つの罪……これが、原罪」カキカキ
『傲慢』――ルシファー 支配領域・太陽 真の特性・自信
『憤怒』――アラストル 支配領域・火星 真の特性・集中力
『嫉妬』――ベルゼブブ 支配領域・水星 真の特性・向上心
『強欲』――ベヒモス 支配領域・土星 真の特性・希望
『暴食』――モロク 支配領域・木製 真の特性・成長
『怠惰』――リリス 支配領域・月 真の特性・娯楽
『色欲』――ベルフェゴール 支配領域・金星 真の特性・恋心
文香「長所と短所は表裏一体。原罪も同じで、元はそれぞれの神の司る特性だったものです。それを罪と言い切るのは――勝てば官軍――ということでしょうか」キュッキュッ
美波(あっという間にホワイトボードが埋められちゃった。なんだか、蘭子ちゃんが好みそうな言葉がいっぱいに――)
文香「さて、そこから罪の――」ピタッ
美波(――ところで、この雑誌の小悪魔特集に今のお話が繋がるのかな?)
文香「……あ」カアッ
美波(『また周りが見えなくなっちゃった』って顔してます! やっぱりちょっと脱線しちゃったんですね!)
文香「すみません、また、私、その――これらの感情に誘惑することが、小悪魔的な態度へのヒントになるものと、考えまして――」
美波「――なるほど、いいですね! 私には思いもつきませんでした、博識な文香さんならではのアプローチですね」
文香「い、いいえ、そんな――」
美波「つまり、このカッコ書きに誘惑していこうってことですね?」
文香「は――はいっ」
美波「それで、誰を誘惑するんですか?」
文香「それは――」
P(そろそろ休憩いれるかなー)カタカタ
美波「…………」
文香「…………」
―――――――――――くすっ
『暴食』
美波「美波、ただいま戻りました!」ガチャッ
美波(うそです!)
P「おう、お疲れ様――あれ? ソファのところに文香いなかったか?」
美波「いえ? 見かけませんでしたけれど」
美波(大うそです!)
美波「ところでプロデューサーさん、おみやげがあるんですよ」ゴソゴソ
P「ありがとう。なんだなんだ?」
美波「それは――コレです! 『デビルズチョコケーキ』っていうの、テレビで紹介されてて、とても人気らしいですよ」
P「まっ黒いケーキだな。ほう、濃厚でおいしそうじゃないか」
美波「コーヒーも買ってきたので、ご一緒にどうぞ!」
P「いかにも合いそうな組み合わせだなー、ますますありがたい――あれ? 一個しかないけど、美波の分は?」
美波「え、ええと――これ、人気過ぎて中々お店に残ってないみたいで、今日もやっとひとつだけ見つけてきたんですよ」
P「悪いなあ。でも美波も食べたことないんだろ?」
美波「私は大丈夫ですから、プロデューサーさん……Pさん、是非」
P「む……半分こしなくていいか?」
美波(は、はんぶんこ?! なんて魅力的な響き!! だめ、だめよ美波、今日の目標はPさんを暴食の誘惑で貶めること。逆に誘惑されるような醜態なんて文香さんに示しが)
美波「じゃ、じゃあ……お言葉に甘えて一口だけ」
美波(意思弱!)
P「もっといいのに――まあ、そしたら」サクッ
美波(い、いいえ、むしろよくもった方です。はんぶんこの誘惑に勝った私は意思の強い女の子――)
P「はいアーン」
美波(あーん!?!?)ガタッ
P「ほらほら、おいしいぞー」フリフリ
美波「あ、あの……Pさん、ひとくちにしては、随分大きくないですか? 四分の一くらいありますけれど……」
P「俺にとってのひとくちはこれくらいだからなー、それに、美波も大きい方がスキだろう? 遠慮するなよ」
美波「あ、ふあぁ……」ウズウズ
美波(だめ!! だめなの美波!! はしたなく口を開け黒くて大きなモノを咥え込む顔をお昼からPさんに見せるようなことじゃ小悪魔先輩としての威厳が)
美波「……あ、あーん」クパァ
美波(私のばかぁ!!)
P(なんで目を閉じるんだろう)
はむっ、
美波「は、んむ……っ」
れろっ、むちゅ……
美波(ああ――濃厚で苦くて、でも、同じくらい甘い……っ)
P「……お、ひとくちで頬張れたな」
美波「んん……っ」フルッ
美波(フォーク、引き抜かれたのに……まだ、濃いの、舌に絡みついてるの……!)
P「幸せそうな顔だな。そんなにおいしかったか……どうだ? もうひとくち」
美波(もうひとくち――あとひとくち? ひとくち、くらいなら、だいじょうぶなハズ――)
美波「ふぁい…………は」チラッ
文香(ドアの隙間)「………………」ジー
美波「ひいっ?!」ビクッ
美波(ドアの隙間からじっと窺われてたー!!)ガビーン
P「ど、どうした?」
美波「い、いいえっ、なんでも……」チラッ
文香「……シャイニング」ボソッ
美波(19歳のCoアイドルがやっていい表情じゃない!!)ブフォ
P「うわぁ!!」ビシャー
美波「ううぅ……ごめんなさい、本当にごめんなさい。私、わたし……」グスッ
P「いや、気にしないでくれ、俺が一気に押し込み過ぎたんだ。悪かった」フキフキ
P(『新田美波に咀嚼物を吹きかけられる権利』とかクッソ売れるんだろうなあ……絶対やらないけど)
P「ところで、文香はどこに行っていたんだ?」
文香「勉強が一段落したので、気分転換に買い物を――これ、おみやげです」
P「ふん……? ああ。たこ焼きかあ!」
文香「英語で言うとデビルフィッシュ……です」
P「あ、ああ……?」
P(なんで英語で)
P「ありがとう、文香。まあ小腹も空いてたし、これくらい軽くいっちゃいそうだ――よし、チョコケーキは最後に取っといて、熱いうちにたこ焼きを頂こうかな」
美波「ふふっ。Pさん、食べるものがいっぱいで困っちゃいますね」
文香「あ、あともうひとつ――」ゴソゴソ
美波(ふふふ……これぞ『暴食』です。おやつをいっぱい食べすぎて、お腹が重たくなってしまう――文香さん、素敵です!!)
文香(ここで……畳みかけます)
P「……え? ま、まだ買って来てくれてるのか? 嬉しいが、けっこうお金かかったんじゃないのか?」
文香「いいえ……ちょっと目に付いただけですから、どうぞ、一緒にこの……」
ごとん、
文香「タンドリーチキンも是非」
P「?!」
美波「?!」
文香「プロデューサーさんから日頃お世話になっていることを考えれば、これ位しか出来ない私が悔しくて」
P「は、はは……気持ちだけで嬉しいのに、文香は律儀だなあ」
美波(タンドリーチキンがちょっと目に付く状況って?)
文香「……おいしい、ですか?」ハムハム
P「あ、ああ、うん……」モッチャモッチャ
P(……塩辛い)ガビーン
美波(しっかり三人分……)ガビーン
文香「よかった……ちなみに『devil』には『香辛料などで味付けする』という意味があるそうです」
P(勉強のさせ方間違ったかな……)
『嫉妬』
P「あー、ごちそうさま。おやつなのに満腹になっちゃったよ」
美波「そうですね、えへへ……レッスン、頑張らないと」
文香「……はい。沢山運動しなくては、ですね」プニプニ
美波(やりました! Pさんお腹いっぱいで、まだしばらくお仕事に戻らなさそうです!)
文香(これでまだ暫くは構ってもらえ……もとい、小悪魔研究を続行できます)
P「しかし、なんだな……こうやって事務所のソファで向かい合って、ゆっくりするのは久しぶりかもな」
美波「言われてみれば、そうですね! 出先のちょっとした時間に付き合って頂くことはありますけれど……」
P「文香は、俺が付いて行かなくてもいいことが多くなってきたな。成長と実績の証だ」
文香「……そう、ですね。ある程度の成果は、あげられているのかもしれません」
P「…………ふぅ」
美波「――――」チラッ
文香「…………」コクン
文香「……ところで美波さん、少し、相談したいことがありまして」
美波「こほん――どうしたんですか?」
P「俺、外そうか。おやつ、ありが――」
文香「あ、い、いえ、できればプロデューサーさんにも居てもらった方が……!」ドキドキ
P「……そうなのか? 仕事のことなのか?」
美波「ま、まあ文香さんもこう言っていることですし……ね?」アセアセ
P「あ、ああ……」
文香「………ほっ」
美波「ふぅ――さて改めて、どうしたんですか?」
文香「実は。その、最近学校で男子学生に――おそらく、歳はひとつ上と思いますが――えぇと、ご、ごうこん、なるものに誘われてしまいまして」
美波「合コン、ですか?」
P「…………」
文香(うそです)
文香「はい、何しろ全く、そういった集まりに無縁なものでしたから、どうしたことかと……美波さんは経験が?」
美波「サークルの身内だけの打ち上げならよくありますけど、合コンは私も――パパが厳しいから、たぶん、ダメって言われるでしょうし」
P(合コン、か……まあ、誘いが殺到したところで何の不思議もない)
美波「ちなみに、どんなグループの主催なんですか?」
P(ふむ、文香の性格的に、いかがわしいところとは接点もないだろうが――)
文香「確か――『ムラカ●ミハルキを語ろう会』といっていましたか」 ※『●』には好きな言葉を入れてね!!
P(おう……)モヤモヤ
以下、~根暗で人間嫌いを自称する『僕』が行き着けのバーで出会った女とそのまま街にしけこむイメージ~
P(偏見です、偏見)
美波「んー、そうですね……Pさんは?」
P「え?」
文香「どう、思われますか? きっと、アイドルとしての私に、関係が出てくるのですよね?」
P「……そうだな、文香の言う通りだ。『アイドル鷺沢文香』を預かる身としては、その話は簡単には認めがたい。どういうグループなのかはよく知らないが――」
文香「…………」
P「もう文香は――もちろん美波もだが――『お金をもらって参加する』のが仕事の人間なんだ。それに、スキャンダルも怖い)
美波「…………」
P「いくら気を付けても、な。飲酒、煙草――学生は時に加減を知らないものだから、暴走する場に居合わせたら、どうなるか分からん。そういった意味で難しい」
文香「そう、ですか。なら――」
P「――とまあ、ここまでが頭の固いプロデューサーとしての見解だ」ニコッ
美波「――え? と、いうと」
P「『良識ある大人』の意見としては――プライベートを全て犠牲にする事は無いと思う。もちろん節度は必要だが、二人はその辺心配ないと思うしな」
美波「……そう、ですね」シュン
美波(うまく躱されてしまった気がします……せっかく、面と向かってPさんのお気持ちに触れられると思っていたのに)
P「だから文香も、もし参加したいんだったら注意して――」
文香「では――『Pさん』としては?」
P「……え?」
美波「…………!」
文香「『真面目なプロデューサー』のペルソナでも、『良識ある大人』のペルソナでもない――美波さん、そして私、鷺沢文香と接してきた一人の男性としては」ギュッ
美波「――Pさん」
文香「――どう感じていますか」
P「……それは」
P「……嫌、だな」
美波「!」キュン
文香「……っ」トクンッ
P「俺の目の届かない所で、大事な大事な美波と文香が、知りもしない男に触られたら――って、ははっ、まったく、いい歳して学生に嫉妬なんて、何やってんだか」
美波「…………」スクッ
文香「…………」スッ
P「そもそもスキャンダルだのなんだの言ってる人間から出る台詞じゃ――ってなんでふたりして立ちあがうわっ!」
ぎゅっ、
文香「――じゃあ、行きません。それに……私が見ているのは……っ」ギュー
美波「……嫉妬、しちゃいました? ふふ、Pさんったら――みっともない……」ギュー
P「たしかに……みっともないな」ギュッ
――ぎゅう……っ
『傲慢』
美波(よーし……っ! もう目的もほとんど忘れかけていましたが『嫉妬』の感情も無事呼び起こせました! さて文香さん、次は……)チラッ
文香「Pさん……改めてこの服、いかがですか……? さっきまでと比べて、より、着こなせているように見えますか……?」ギュー
P「あ、ああ……文香も分かってきたじゃないか……」ドキドキ
美波(ちょ、ちょっと文香さん!! 完全に目的忘れていません?! というか私のこと忘れちゃ嫌ですよ?!)
文香「……はっ」
文香「…………」チラッ
文香「…………」ペコッ
美波(本当に忘れてたんですね!!)ガビーン
美波「それにしても、やっと、口にしてくれましたね……Pさん自身のキモチ。いつも、周りを気遣ってばかりだから」キュッ
P「まあ、仕事だからな。というか、美波もだろう?」
美波「私、ですか?」
P「ああ、お姉ちゃん的な役割を買って出てくれるから、いつも助かってる」
美波「やだ、私、大したことしてません……」テレテレ
美波(酔った楓さんを介抱するのにも慣れてしまいましたが……)
文香「いいえ、いつも闊達で……同い年なのに、導いてもらってばかりです」
美波「そ、そうですか? えへ、なんだか照れちゃいます……」
美波(って、私が傲慢になってもダメじゃないですか。文香さん、乗っかるのはそこじゃないですよ!)
文香「…………?」ハテ
美波(可愛らしく首かしげてもダメですよかわいい!!)
美波(こうなったら――私が修正してやる!! みなみ、いきます!!)
美波「でもでも、Pさんには及びませんよ! パパも言ってました、『まだ若いのにあれだけ気を遣えるなんて、みなみのプロデューサーは大したもんだ』って」
文香「…………!」ピク
P「ほー、プロデューサー冥利に尽きるな」
美波「『あれなら安心して任せられるな』、っても言ってましたよ。パパは厳しいから、認められるなんてスゴイです!」
美波(まあ、最近は逆に、『これだけ影響を与えたなら責任を取って貰っていただかないと』、なーんて言い出してますけど。外堀ですね!)テヘペロ
文香「わ、私も……!」
美波(ん! 文香さん、さすがです! ここでPさんを褒め殺して、『傲慢』の感情も曝け出しちゃいましょう!)
文香「私の叔父も、『プロデューサーさんはいい人だな』と、度々」
P「文香の叔父さんからも認めてもらえてるか……突然押しかけた身としては、身に余る光栄だ。まったく鼻が高いよ」
美波(そうそう、その調子です)
文香「『文香の認めた人なら間違いないだろう』、『実家にも報告しとかないとな』、あと『式はいつごろ?』とも」
P「うんうん……うん?」
美波(うん?)
文香「だから私――負けません」フミフミッ
美波(いや文香さん私に張り合ってもしょうがないですよ?! また脱線してますよ?!)
『怠惰』
P「あ……もうこんな時間か、そろそろ戻らないと」
美波「も、もう戻っちゃうんですか?」
美波(そんな、まだまだ全然足り――もとい、ノルマを達成していないのに!)
P「『ちょっと休憩』って言って抜けてきたからな。さすがにもう言い訳きかない時間になってきたような」
文香「そう……ですか、名残惜しいです」
P「ああ、だから」
P「二人とも、そろそろ離してくれないか?」
美波「…………」ギュー
文香「…………」ギュー
P「おーい」グイグイ
美波「むぅ……」フニュー
文香「ん……」ムニュー
P「もう、二人とも今日はどうしたんだ? いつもの落ち着いたお姉さんらしくないぞ?」
文香「……今日は、私も美波さんも、小悪魔ですから」
美波(あ、ソレ普通にバラしちゃうんですね)
P「小悪魔――ああ、さっきの研究の続きか」
文香「先達である美波さんのご指導のもと――このような振る舞いを」ギュー
美波(?!)
P「そう――なのか? 美波」
美波「え、えーと、その……」
美波(文香さんを誘ったのは事実だし、でもなんか納得いかないような……えーい、もう、やぶれかぶれです!)グルグル
美波「――はい、今日はまとめやくでも、聞き分けのいいお姉さんなんかでもありません」
すりすり、
美波「小悪魔みなみ、Pさんのお仕事を邪魔しちゃいますから……カクゴしてくださいねっ」フニュフニュ
P「おう……」
P(あ、ヤバいほんとに仕事したくなくなる)
文香「…………」ムゥ
ぷにぷに、
文香「Pさん、誘惑されたい……と、思っているんですね? こういうのは、慣れませんが……いかがですか」ムニュムニュ
P「うお、あう……」
美波「ふふ……両手に花ならぬ、両手に小悪魔」スリスリ
文香「あ……Pさんのカラダ、カタい……」キュウキュウ
美波「大丈夫ですよ、一時間くらい、二時間くらい……一日くらい」
文香「私たちと一緒に……今日は、おやすみしませんか?」
P(~~~~~~~~~~~~ッ!!)
P「今日の業務は…………美波と文香と『ミーティング』…………ということにしよう」ガクッ
むにむに、すりすり……
美波「ん……はぁ……っ!」ピクッ
もにゅもにゅ、さすさすっ、
文香「ふっ、う……んんっ!!」フルッ
美波「…………」
文香「…………」
――――――――――――――――――――――堕ち、た
美波「ふふ……っ、二人とも……いっしょに?」ドキドキ
文香「なんと……『強欲』な」ゾクゾク
美波「まだ陽も明るいのに……事務所でなんて……っ!!」ジュンジュン
文香「『色欲』の限り……乱暴な方、ですね……ふぁ」ムラムラ
美波「……」
文香「……」
…………くすっ、
美波(この後滅茶苦茶)
文香(場面は――――暗転)
「………………………………………………………」
美波「?!」ゾクッ
文香「?!」ゾワッ
美波(いまの……? なに?)
文香(何か……なにか……忘れているような)
がちゃっ
ちひろ「」
美波「あ」
ちひろ「………………………………………………………」
文香「あ」
ちひろ「………………………………………………………」
P「…………あ」
ちひろ「………………………………………………………」
ちひろ「………………………………………………………」
ちひろ「………………………………………………………」
ちひろ「」ニコッ
『憤怒』
文香(その日……私たちは、小悪魔がいかに矮小なものか思い知らされました)
これでおしまいです。
ご支援くださった方、お読みくださった方、ありがとうございました。
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