異星人「今からあの惑星『地球』を破壊します」 (32)

月の裏側・宇宙船内

異星人「というわけです」

男「はぁ」

異星人「あの惑星に大した恨みも何もありません、あなた達で言うとくじを引いたら当たったくらいの感覚ですね」

男「意味わからないんですが」

異星人「あなたはあの惑星のうち、ある程度高度な文明と社会性を持った種族から無作為に選ばれたいわば『勇者』です」

男「えっ」

異星人「あの星を見事救えたらあなたには賞品を贈呈します。頑張ってくださいね」

男「ははーんこれ夢だな?」

異星人「夢じゃない あれもこれも」

男「なぜB'z…」

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男「質問いいですか?」

異星人「どうぞ?」

男「あなたの見た目は普通の人間の女性のように見えますが、本当に異星人ですか?」

異星人「はい。あなたが腰を抜かさないように3次元迷彩を投影させていただいております」

男「あ、お気遣いありがとうございます」

異星人「いえ」

男「あ、あと。本当に地球を破壊できるのでしょうか」

異星人「当然の疑問ですね。こちらの資料映像をどうぞ」ヴーン

惑星『……』

宇宙船『……』ビー

惑星『』ボッ

異星人「いかがでしたか?」

男「はい、驚きました」

男「もう一つ。なぜ破壊するのでしょうか」

異星人「先程も申し上げましたが、なんとなくです。あなたもなんとなくレバニラ炒めが食べたくなる時とかありますよね?」

男「惑星破壊=レバニラ炒めなんですか」

異星人「はい」

男「カルチャーショックでした」

異星人「まあ、何億光年も離れていますから」

男「はぁ」

異星人「他にご質問は?」

男「今は無いです」

異星人「結構。では只今から開始です」

男「うおおおお」

異星人「そんなパンチ当たりませんよ?」

男「そんな気はしていました」

異星人「私を攻撃して惑星への攻撃を止める。原始的で短絡的ですが、理にかなっています」

男「さすがにこんなに簡単にはいきませんね」

異星人「はい」

男「では次に」

異星人「はい」

男「この作戦はちょっと準備いるので地球に返してもらっていいですか?」

異星人「構いませんよ」

男「」ヴーン

30分後

男「」ヴーン

異星人「おかえりなさい」

男「はい、ただ今帰りました」

異星人「ではどうぞ」

男「はい。『地球を破壊しない方が良い3つの理由』」

異星人「」パチパチパチパチ

男「我々が住む太陽系第三惑星、地球。表面のほとんどを液体の水が覆い、他の惑星に比しても生物の発生に適した星であると言えます」

男「そこで今回は、自然的要因から地球破壊の阻止を図りたいと思います」

男「1つめ、豊かな景色。こちらの写真たちを見てください」

異星人「ふむ、多様な景色ですね」

男「はい。地球は大きな星ではありませんが大気を持ち、各地に多様な気候を有し、景色の違いを生んでいます」

男「これらの海原、森林、草原、砂漠、氷原などと言った景色を同時に有する星は少ないです。なぜなら、恒星との距離の関係で水が液体を保てないと海原などは存在しえないからです」

異星人「確かに」

男「破壊活動に疲れたときはぜひ立ち寄って癒やされてください」

異星人「なるほど」

男「2つめの理由、多種多様な生物」

男「こちらの映像をご覧ください。これは、魚類、両生類、爬虫類、哺乳類などと言った地球上の生物の生態を追った映像です」

異星人「ほほう、この『サケ』という魚は劇的な一生を送るのですね」

男「はい、川で生まれた後海へ下り、成長したら、再び川を遡上します。道中では他の魚や鳥に食べられたり、川にたどり着いても熊に食べられたり、人に捕まったり、ダムに行く手を阻まれたり、とにかく困難な旅をします」

男「その他にも体色の豊かな昆虫類、我々の生活を支える微細なプランクトンなど、地球に息づく命はまさに千差万別」

男「人生に疲れたときは地球に立ち寄って生き物のパワーや美しさを見てがんばれます。ぜひ」

異星人「はい、そうかもしれませんね」

男「では3つめの理由……うおおおお」

異星人「だからそんなパンチ当たりませんよ」

男「そんな気はしていました」

男「3つめの理由は、美味しい食べ物…」

異星人「確かに興味深いのですが、私達とあなた方では身体構造が違いますので、食事に関しては……」

男「ああ、そうでしたか。すいません」

異星人「どちらかというとチューブワームとかのほうが食事の内容近いかもしれません」

男「なんと」

男「どうですか」

異星人「え?」

男「破壊する気、無くなりました?」

異星人「いえ」

男「そうですか」

異星人「では破壊で…」

男「待ってください」

異星人「はい?」

男「僕はどうなりますか」

異星人「サンプルとして飼育ですかね?」

男「ちょっと嫌ですね」

異星人「ちょっとですか」

男「あ、そうだ」

異星人「なんですか」

男「地球、壊す前に降り立ってみませんか?少しは気持ちが揺らぐかも」

異星人「揺らぎますかね?」

男「デートしましょう。デート」

異星人「デート、ですか。構いませんよ」

男「やった 」

異星人「では」ヴーン

男「」ヴーン

男「いや、地球降りようとは言いましたけど」

異星人「なんですか?」

ゴビ砂漠

男「なんで砂漠なんですか」

異星人「さっきの資料、いいなぁと思いまして」

男「それはよかったです。でももっと人のいるとこでお願いします」

異星人「はい」ヴーン

男「」ヴーン

男「あの」

異星人「はい」

男「わがまま言ってるみたいで申し訳ないんですけど」

異星人「はい」

男「もうちょっと僕の知ってるところでお願いします」

フランス・ブルゴーニュ地方

異星人「ここ、素敵ですねぇ」ヴーン

男「そうですねぇ」ヴーン

男「惜しい!すごく惜しい!」

異星人「またですか?」

韓国・釜山

男「ここすごく惜しいです!」

異星人「もう、わがままさんですね」

男「地球出身だからって全土を知ってるわけじゃないんですよ?」

異星人「そうなんですか」ヴーン

男「」ヴーン

日本・長崎県

男「はい、端島です。軍艦島と言う名前の方が一般的です。明治時代当たりから日本の文明化を支えた炭鉱がありました。現在は無人島ですが」

異星人「この荒れ具合…我が星の異星廃墟おたくさんには垂涎だと思います。なぜ軍艦島というのですか?」

男「この島のシルエットが軍艦……たしか戦艦『土佐』に似ていたとかでそう呼ばれています。この資料をご覧ください」

異星人「ふむ。我が星の軍用船とはだいぶ形状が異なるのですね」

男「それは軍艦島と言われてもピンと来ませんよね。次行きましょう」

異星人「はい」ヴーン

日本・沖縄県

男「はいめんそーれ」

異星人「はい」

男「ここは首里城。かつて沖縄が日本ではなかった頃、沖縄を治めていた琉球王朝の居城でした。赤瓦が見事ですね」

異星人「ほう。でも結構新しそうですね」

男「戦災で完全に破壊されましたからね。これは復元されたものです。この度もう一度チリも残らず破壊されそうですけど」

異星人「あなたのがんばり次第です」

男「そうですね。次行きましょう」

異星人「すみません、あそこで『海人』って書かれたTシャツ買ってきてからでいいですか」

男「どうぞ」

日本・鳥取県

男「はい砂丘」

異星人「砂丘!砂丘!」

男「おっテンション高いですね」

異星人「砂っていいですよね」

男「左様ですか。あっ今日はラッキーですね。すり鉢のところに池が出来てます。あとここポケモンGOやり放題ですよ」

異星人「砂に池が……。あとポケモンGOはやってないです」

男「残念です。あっアーボック出た」

異星人「次行きましょう」

男「はい」ヴーン

日本・東京

男「あれがスカイツリーです。僕は東京タワーの方が好きですけどね」

異星人「私が言うのも何ですが、近未来的なフォルムですね」

男「そうですね。ただの観光用ではなく、電波塔としての働きもあって、周辺にはお土産屋さん、水族館、オフィスなども立ち並んでいます」

異星人「ただの塔に人が集まるのは不思議です」

男「人間は高いものが好きなんですよ」

異星人「ほほー」

男「次行きましょう」

異星人「はい」ヴーン

日本・岩手県

男「これが金色堂です。この辺りを治めていた奥州藤原氏のミイラが安置されていました」

異星人「この表面を覆う鉱物はとても安定していますね。それでいて展・延性にも優れています。そして熱伝導性と電気伝導性も高い」

男「そんな観点からこれを見た人あなたが初めてではないでしょうか」

異星人「照れます」

男「褒めてはいないです」

異星人「しょっくです」

男「すみません、では次に行きましょうか」

異星人「はい」ヴーン

日本・京都府

男「これが銀閣です。室町幕府8代将軍足利義政の建立とされています。わびさびです」

異星人「銀ではないんですね」

男「いぶし銀です」

異星人「はぁ」

日本・滋賀県

男「どうです?大きい湖でしょう。ビワマスやビワコオオナマズなど、この湖周辺特有の生き物もいます」

異星人「海で良くないですか?」

男「良くないです!!琵琶湖止めるぞ!!」

異星人「す、すみません」

日本・熊本県

男「これが熊本城。猛将加藤清正の居城です」

異星人「ちょっと壊れていますね」

男「先ごろ地震がありまして…」

異星人「完全に修復された姿が見たいですね」

男「それあなたが言います?」

異星人「む」

男「どうしましたか」

異星人「貴国の軍のアクティブレーダーの波に引っかかったみたいですね」

男「えっ」

異星人「空間跳躍は周辺に高エネルギー残渣が排出されますからね。心配ありません。母艦に戻りましょう」ヴーン

男「自衛隊は軍隊では無っ」ヴーン

月の裏側・宇宙船内

男「いです!」ヴーン

異星人「そうでしたか」ヴーン

男「破壊の意思は変わりませんでしたか?」

異星人「はい。確かに様々な文化的建造物を拝見させて頂きましたが、あの程度のものは数億光年にひとつやふたつありました」

男「それ多いんですか。少なくないですか」

異星人「けれど…あなたの解説と共に見て回るのは…その…悪くありませんでした」

男「おっ?」

異星人「破壊は、地球上の全ての文化的建造物と自然構造物を見て回ってからにすることにします」

男「やったー!」

異星人「もちろん、あなたも一緒にね」

男「えっ」

異星人「その間、あなたはこの船内で飼育することにします」

男「それはちょっと」

異星人「私の気が変わらないように、機嫌は損ねないほうがいいと思いますが?」

男「うぐっ…でも仕事とか家族とか」

異星人「はい?」

男「なんでもないです」

異星人「では決まりですね」

男「は、はい」

異星人「では次はサハラ砂漠に行きましょう。あそこはタトゥイーンのタスケンレイダーの住処によく似ています」

男「タトゥイーン実在したんだ」

異星人「その次は……その後は……」

男「地球は守れたけど自分の生活が守れなかった…」

おわり

フワッとした話が書きたかったんです。山無し落ち無しですいません…

>>1の過去ssです。なんなりとお使いください

男「異世界来た」

榛名「鼻毛提督?」

榛名「鼻毛提督改」

初霜「提督が基地航空隊につきっきりです」

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