はじめまして。
『魔法少女まどか☆マギカ』外伝、『魔法少女すずね☆マギカ』(GAN先生)からの小説です。
1巻3話「迷い」に登場する、茜ヶ咲中学校のいじめっ子トリオ、ミカ・エリ・レイが主役となりますが、作品と
キャラをご存じないみなさんのために、ここでちょっとご説明いたします。
『The Diffarent Story』(ハノカゲ先生)をのぞくと、外伝シリーズの第3弾となるこの『すずね☆マギカ』は、
茜ヶ咲中に転校してきて、魔法少女の殺戮を繰り返す中学1年生の魔法少女・鈴音と、同じ茜ヶ咲中に通っている
4人の魔法少女の対決を中心に、シリーズ最大級の衝撃的結末へ向かうストーリーとなります。
ミカ・エリ・レイの3人は、設定上学校一のワルとして、魔法少女4人のうちの1人、亜里紗を手ひどくいじめた
ことで、キュウべぇとの契約のきっかけを気づかぬままに作り、結果として返り討ちで深手を負わされたばかりか、
それまで気弱な地味っ子だった彼女を、凶暴なおてんばっ子に変え、立場を逆転させてしまいました。
しかし2巻の発売以降、この3人は完全に忘れられたキャラとなってしまい、Wikipediaに名前やデータが載らない/
Pixivの『すずね』関連イラストに上がらない/ネットでほとんど話題にならない、などあまりの空気ぶりです。
同じようなポジションにいて、1巻1話「表裏」で鈴音に魔女を倒してもらった後に殺される魔法少女・佳奈美が、
Wikipediaに名前&データが載り、Pixivにイラストが数枚上がって、ネットで話題にさえなったことを考えてみると、
扱いの差はもはや歴然に過ぎると感じました。
そこで、そんな不遇極まりない彼女たちの知名度と話題性を、少しでも上げるべく考案したのがこの小説です。
主なストーリーは、下記のような設定になっています。
>1巻3話「迷い」の1年後(本作)を描いた、いわゆるパラレル後日談。
>亜里紗に立場を逆転され、肩身を狭くしたミカ・エリ・レイのもとに、キュウべぇが契約を求めてくる。
>"亜里紗への仕返し"の全会一致の願いのもとに、ミカ・エリ・レイは魔法少女として一緒に契約する。
>本編では実現しなかった、亜里紗たち4人との対決が実現。
>佳奈美は鈴音に殺されず、生存して戦い続ける。
>茉莉(亜里紗の仲間)の双子の姉、華ヶ莉が乱入してくる。
以上となります。
拙い文章になるかもしれませんが、ご期待のみなさんも、そうでないみなさんもぜひお読みください。
なお3人の名前、ミカはコミック1巻の時点で判明していたもので、エリ&レイはGAN先生のブログにてご教授いただきました。
また佳奈美の漢字名も1巻の時点で判明(新聞記事)しており、さらに一般的には不明とされている名字に関しては、GAN先生に
よりますと※"穂香"(ほのか)だったかもしれない、とのことでした。
※1巻の新聞記事に書かれていたのですが、インクがつぶれたようになっていて、そのままでは判読不能でした。
もし1巻をお持ちでしたら、ぜひご確認ください。
≪PM5:00 ホオズキ市・茜ヶ咲公園≫
ミカ「はぁ~………。」
エリ「退屈だよね~。」
レイ「ほんと。」
市立茜ヶ咲中学校2年3組の悪友トリオ、ミカ・エリ・レイは、学校帰りに公園に寄り道していた。
ミカ「毎日、毎日授業ばっかりでさ。たるいよねぇ……。」
エリ「なんか、もっと面白いことないのかなぁ?」
レイ「去年は、やりたい放題だったんだけどね………。あいつに、やられるまではさ。」
彼女たちは昨年まで、学校一のワルとして名の知れた存在で、弱いとみなした生徒は容赦もなくいじめにかかり、
定番の喝上げなども平然とやっていた。
しかし、ある1人の少女の存在が、その栄光を破壊し、そればかりか立場までも奪われてしまったのである。
成見 亜里紗。
クラスは違うが、同じ茜ヶ咲中の2年1組にいる少女だ。
気弱で地味だった彼女は、ミカたちの恰好のえさとして、喝上げはもとより机に"[ピーーー]"と殴り書かれ、大量のごみを
無造作にぶち込まれたりした。
それがある日、いつものように亜里紗の教室に赴き、10万円を喝上げしようとしたところ、突然「もういじめ
ないで!」と言われ、逆上したミカがその腕力で殴りにかかった。
普通なら、そのまま大人しくパンチを食らって大けがをもらうところ。
違ったのが、その次だ。
亜里紗は飛んできたミカの右手を、素手で受け止めたのである。
悪あがきと単純に思った3人だったが、状況はさらなる不測の方向に進んだ。
経験したことのない、右手の強烈な痛みがミカを襲い、指の骨が砕ける音がエリ&レイの耳に届いた。
激痛と恐怖に動揺した3人は、命からがら自分たちの教室に逃げ帰った。
ミカは右手の複雑骨折で、全治3か月の重傷となった。
直接ケガを負わされなかったエリ&レイも、あまりの想定外の事態にショックを受けてしまい、しばらく大手を
振って歩けなくなってしまったのである。
立場が逆転したのは、それからだった。
あの一件を境に、亜里紗の容姿と行動が大きく変わったのだ。
ピンクのお下げを、赤いリボンのついた巨大なツインテールに変え、ちょっと長めにしていた制服のスカートも
パンチラ上等のミニスカートにしただけでなく、廊下を歩く生徒を威嚇したり、飲食禁止場所では平然と飲食。
さらには学校を無断で休んで遊び歩き、他校のヤンキーたちにケンカを売るなどまさに傍若無人の所業。
それまでミカたちのいじめを傍観する立場にあった、クラスメイト始め茜ヶ咲中の生徒や先生たちは、誰1人と
して声のひとつかけられず、成り行きにまかせるしかないほどであった。
そんな亜里紗も、最近はどうしたものか少しばかり大人しくなり、所業もほぼ沈静化はした。
しかし残り火はまだくすぶっているようで、現在でもときたま荒っぽい行動に出ることもあった。
3人は、亜里紗に立場を奪われたことを今も根に持ってはいたが、下手に手を出すとまたなにをされるかわから
ないので、なりをひそめていたのだった。
ミカ「ったく………。亜里紗の野郎………。」
レイ「なんとか、仕返しできないかな?」
エリ「無理だよ。あいつ、もう昔の弱いあいつじゃないし………。」
話していると、不意に声がした。
「どうか、したのかい?」
3人が声のするほうに目をやると、ネコのような、しっぽの太い白い生き物がそこに座っていた。
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