コナン「犯人の行動がおかしい」 (16)
prrrrr
服部「おう、工藤。なんかようか?」
コナン「……なぁ、服部」
服部「どないしたん。そんな声出して」
コナン「……最近さ、自分の推理に自信が持てねぇんだ」
服部「なんやねん、いきなり」
コナン「最初のころは、どんなトリックでも解いたさ。運任せだったり穴だらけのトリックだとしてもな」
服部「せやな」
コナン「でもな、近頃は違うんだ。犯人のトリックがおかしいんだ」
服部「おかしい?」
コナン「知恵じゃないんだ。身体能力なんだ。解きがいがないんだ。なんで俺がそんなものを解かなきゃならねぇんだ。犯罪をするならな
んで考えて行動しなんだ。本当に殺したいならきちんと計画を練ってから行動しろよ。俺の手をわずらわすんじゃねぇよ」
服部「落ち着け工藤、きっと疲れとるんや。少し休み」
コナン「俺は冷静だぜ服部! 犯人の野郎が異常なんだよ!」
服部(あかん、手に負えへん)
コナン「……ぁ、麻酔銃の練習の時間だ。またな、服部」
服部「あ、おい、ちょぉ待――」
プツッ ツーツーツー
服部「切れよった……だいじょぶかいな、アイツ……」
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小五郎(コナン)「あなたは被害者が逆らえないことを利用して土下座させたんだ。熱した鉄板の上でね!」
小五郎(コナン)「あなたはこの装置でモンスターを実体化させて殺したんだ! 心臓を患っていた被害者をね!」
小五郎(コナン)「あなたは屋上から飛び降りたんだ。五点受け身をすることで傷一つ負わなかったんだ!」
小五郎(コナン)「あなたは竜巻を起こしたんだ。そこのロープとギロチンを使ってね!」
コナン「なんなんだよっ!」ガシャーン
博士「落ち着くんじゃバーーーローー。物に当たるんでない」
コナン「これが落ち着いてられるかってんだ。なんだよ、『ボルタリングの名手だからビルの側面のタイルを登ることができる』って。たまたま足跡が発見できたからよかったけど、普通にやってたらわかるわけねぇよ」
博士(ああ、せっかく買ったパソコンが)
コナン「いくらマウンテンバイクの世界チャンピオンだからって『建物の上をバイク』で走行するって無理だろ! 下見ができたならともかく、衝動的な犯行だぞ! ビルの上を何かが走っていたって証言がなければ無理だったよ!」
博士(スケボーでアクロバットするバーーーローーも人のこと言えないような)
コナン「俺が求めているのは知恵と知恵のぶつかり合いだ! びっくり人間じゃないんだよ!」
灰原「だいぶ荒れているようね、名探偵さん」
博士「あ、哀くん。君もバーーーローーを止めるのを手伝ってくれんか」
コナン「灰原ぁあああ! 黒の組織の情報はないのか! あいつらなら普通の身体能力で多少の知恵がある!」
灰原「そんなに簡単に手に入ったら苦労しないわね」
コナン「ああっぁぁぁぁああああ! 知恵比べがしたい! 知恵比べがしたい! 目撃証言を集めること以外のことがしたいぃぃぃ!!」
灰原「どうしちゃったの、彼?」
博士「犯人の行動が常識の範囲外にあるらしいんじゃ。目撃証言を集めて犯行を立証するしか方法がないらしい」
灰原「ふぅん、じゃあ良いモノを作ってあげるわ」
コナン&博士「良いモノ?」
灰原「ええ、組織にいた時に必要があったから作ったんだけど――」
白鳥警部「それで、犯人は誰なんですか。毛利さん」
小五郎(コナン)「犯人は―――主人、あなたです」
主人「証拠は? わしがやったという証拠はどこにあるんじゃ」
小五郎(コナン)「現場の凶器からあなたの指紋が検出されました」
主人「……そこの家政婦に脅されたんじゃ」
家政婦「えっ!?」
主人「私はそこの家政婦に変装して行動してたんじゃ。家政婦には私の恰好をさせての。指紋でばれないように指紋つきの手袋をして。だ
から殺したのは家政婦で、わしは彼女のアリバイ作りのために動いてただけなんじゃ!」
白鳥警部「はははっ、バカを言っちゃいけません。普通の人にそんなことができるわけが」
妻「いいえ、たしかに主人は怪盗キッド並みに変装ができます。声だって変えれますし、相手の仕草だって真似することができます。指紋つきの手袋もそうですが、目の網膜でさえ真似する道具も持っております」
白鳥警部「ということは、主人が家政婦で家政婦が主人で……あれ?。いけません、頭がこんがらがってきましたよ」
家政婦「私、そんなこと頼んでいませんっ!」
コナン(またか……なんでキッドのような変装技術を一般人が持ってるんだよ。……でも大丈夫。今日はこれがあるからな)
小五郎(コナン)「コナン、あれを」
コナン「は~い」
白鳥警部「なんなんですか、毛利さん」
小五郎(コナン)「なぁに、腕時計型の嘘発見器ですよ。コナン、主人の腕に装着してくれ」
コナン「んしょ、んしょ。できたよおじさん」
小五郎(コナン)「ご苦労。では主人、イイエで答えてください。あなたは変装なんかしてなかった。そうですね」
主人「……イイエ」
―――ウソダヨ ウソダヨ
白鳥警部「イイエで反応したということは」
主人「………」
小五郎(コナン)「ご主人、いい加減認めたらどうですか」
主人「……あいつに脅されていたんじゃ。断ったらこの家を奪うって言われての、つい……」
白鳥警部「後の話は、署の方でお聞きします。さぁ、パトカーへ」
コナン「嘘発見器ぃ~?」
灰原「そうよ」
コナン「それで犯人を見つけろってのか? 『あなたが殺しましたか?』とかなんとか聞いて」
灰原「バカね。『殺した方法も動機もわかりません。アリバイもしっかりしてます。でも、嘘発見器が反応したから逮捕しました』なんて供述、裁判で通ると思う? 機械の誤作動だと判断されて終わりよ」
コナン「じゃあ、なんでこんなもの」
灰原「嘘発見器はあくまで補足よ。あなたが犯人のトリックを暴いて、それをできるかできないか犯人自体に証明させるの。これで今の状態より少しはましになると思うわ」
コナン「……そうか」
灰原「相手がどんな状況になっていようが精密度は保障するわ。もっとも、探偵として使えないって言うなら返してくれてもいいけど」
コナン「いや、ありがたくもらっておくぜ。サンキューな、灰原」
灰原「肌に触れてるだけでもきちんと使用できるから、腕がなくても使用できるわよ」
博士(ぶっそうなこと言うでない)
コナン「で、使い方は?」
灰原「相手の肌に当てて質問するだけ。一応、ハイでもイイエでも反応するけど、一般的な機械はイイエだけだからそうしたほうがいいわね。組織に感づかれても困るし」
コナン「……あいつらが来てくれた方が嬉しいんだけど」
灰原「やっぱり返してくれないかしら」
~とある日~
小五郎(コナン)「あなたは建物から建物へと飛び移ったんだ!」
目暮警部「バカな!? 彼にそんなことができるわけが」
小五郎(コナン)「それができるんですよ。ねぇ、犯人さん」
義足の男「俺にそんなことができるわけ」
小五郎(コナン)「質問にはイイエで答えてください」
義足の男「……イイエ」
―――――ウソダヨ ウソダヨ
義足の男「あいつが悪いんだぁ!」
園子(コナン)「あなたはそこの通気口から出入りしたのよ」
山村警部「えぇ!? でも、そこは通れないはずじゃ」
ぽっちゃり「そうだ…ヒック。そこは通れないって…ヒック。さっき試しただろ……ヒック」
コナン「でも、僕なら通れるよ」
山村警部「あのねぇ、それは君が子供だからで、大人の彼に通れるはずが」
園子(コナン)「子供だとしたら?」
山村警部「えっ!?」
園子(コナン)「パイカルを飲んでるのがその証拠ですよ」
山村警部「ぱ、ぱいか」
園子(コナン)「パイカル。彼が飲んでる酒の名前です。それを飲むことで子供になるのを防いでるんですよ」
ぽっちゃり「嘘だ! そんなでたらめ言うな!…ヒック」
園子(コナン)「あなたは酒を飲んで子供になるのを防いでいますね。イイエで答えてください」
ぽっちゃり「……イイエ」
――――――ウソダヨ ウソダヨ
ぽっちゃり「……すいません。俺がやりました」
山村警部(子供にはどうやってなったんだろう?)
~山奥の旅館~
小五郎「いや~、いい露店風呂だったなぁ」
コナン「そうだね」
小五郎「どうだ、このあと何か食べにでも行くか?」
コナン「えぇ~。お風呂入ったばっかりなのに~?」
???「キャー!!!!」
小五郎「どうした!?」
ダッ ドタドタ ガラッ
小五郎「どうしましたぁ!」
仲居「お、お客さんが……首を絞められて死んでるんです」
小五郎「なにぃ!? こ、これは!?」
コナン(なっ!? 何かが割れて散乱している!? 首には何かで絞められた跡が!)
小五郎「仲居さん、早く救急車と警察に電話を」
コナン「待っておじさん。救急車はいらないみたいだよ」
高木刑事「直接の死因は絞殺ですね」
小五郎「絞殺ぅ?」
高木刑事「ええ、柔らかいなにかで首を絞められたらしいです。散乱しているのは部屋の置物である壺です」
小五郎「壺?」
高木刑事「どうやら殴られた後に絞殺されたらしいです」
小五郎「壺で殴って意識がもうろうとしているところを首を絞めて殺したって事か。んで、凶器は見つかったのか?」
高木刑事「いえ、それがまだ」
コナン(障子紙はほどよく古い。犯行後に貼られた可能性はないな)
高木刑事「死亡推定時刻は午後8時半前後。通報があったのとほぼ同時刻です」
小五郎「ということは、俺たちが見つけるほんの少し前に殺されたってことか」
コナン(外は雨で地面はぬかるんでる。地面に誰かの足跡は見られない)
小五郎「犯人の目星はついてるのか?」
高木刑事「いえ、ただ、外からの侵入の線はないかと。部屋も濡れてませんし」
コナン(外にある敷石から窓までの距離は約10メートル。走り幅跳びの世界記録が8メートル95だから、外からの侵入の線はないか)
鑑識「高木刑事、テレビが映りません。」
高木刑事「……コンセントが抜けてますね」
小五郎「どうせ犯人と争った時にでも抜けたんだろ」
コナン(いや、壁際に置かれたテレビのコンセントがぬけるのはおかしい。これはなにかのトリックに)
コナン「えっ? あたぁっ!?」
小五郎「まぁたうろちょろしやがってこのガキィ! 邪魔だからあっちいってろ!」
ポイッ、ピシャ
コナン「あっ……まぁ、いいか」
コナン(とりあえず、旅館の中に機械に詳しい人がいないか探そう。凶器がテレビの中に隠されたかもしれないし)
~その後~
高木刑事「犯人が分かったんですか、毛利さん」
小五郎(コナン)「ええ。殺したのは――息子さん! あなただ!」
仲居「まさかっ」
鑑識「!」
息子「そんな!? 俺じゃない!」
小五郎(コナン)「さて、事件の真相を話しましょう。その前に――コナン、これをつけてもらえ」
コナン「は~い。じゃあ、お兄ちゃん。これをつけてね」
パチンッ
小五郎(コナン)「さて息子さん。あなたは被害者であるあなたの父親を絞殺しました」
高木刑事「でも毛利さん、凶器はなんなんですか?」
小五郎(コナン)「いぐさですよ」
高木刑事「いぐさって、あの」
小五郎(コナン)「そうです。畳の原材料ですよ。息子さんはいぐさで被害者を絞殺したあと、それを畳表へと変えたんだ」
高木刑事「たしかに、それなら証拠を隠滅できる」
息子さん「刑事さんまでそんなこと……。だいいち、犯行があってからすぐに探偵さんたちが来たんでしょ。畳を作るなんてそんな短時間でできるわ けないじゃないですか」
小五郎(コナン)「それができるかどうかを決めるのはあなたじゃない。質問にはイイエで答えてください。息子さん、あなたは犯行後、畳を張り替 えましたね」
息子「イ・イ・エ!」
シーーーーーーーン
コナン(バカな!? 反応しないだと)
息子「イイエ。イイエイイエイイエ。これで満足ですか探偵さん」
コナン(俺の直観があいつが犯人だと叫んでるのに、なぜ機械が反応しないんだ)
高木刑事「どうしたんですか毛利さん?」
コナン(待てよ、そういえばあの時―――――
―――――――――そうか! わかったぞ!
コナン「あれれ~。おかしいぞ~」
息子「な、なにするんだ」
コナン「腕時計がしっかりはまってないぞ~」
高木刑事「なんですって!?」
息子「知らない! 俺はきちんとしている!」
コナン「僕がしっかり着けてあげるね―――はい、できたよ」
小五郎(コナン)「では改めてお聞きしましょう。息子さん、あなたはご主人を殺してませんね」
息子「だからそう言って」
小五郎(コナン)「質問には」
息子「わかってますよ……イイエ」
シーーーーーーーン
息子「はぁっ!?」
高木刑事「あれ、今の質問に反応しないってことは」
息子「ちょっと待ってくれよ。これはなんかの間違いだって!」
高木刑事「続きは署で聞きますよ。さぁパトカーへ」
コナン「これは返してもらうね」
息子「俺は無実なんだぁぁあああっ!!」
バタンッ ブロロロロロロロ
蘭「さすがお父さんね。また事件を解決しちゃった」
コナン「そうだね」
蘭「それにしてもその嘘発見器もすごいね。……ねぇ、コナン君。イイエで答えてね」
コナン「えっ」
蘭「コナン君は私に何か隠し事がある」
コナン「イイエ」
蘭「あれ、反応しない。……コナン君、冷蔵庫の中のケーキ食べなかった?」
コナン「それならおじさんが食べてたよ」
蘭「もう、お父さんったら~」
コナン「♪~」
灰原「今日はやけにご機嫌なのね」
コナン「いや~、灰原様様だぜ。この機械のおかげで事件がスムーズに解ける解ける」
灰原「あらそう、それはよかったわ」
コナン「そうそう、これを直してくれないか」
灰原「ええ、いいわよ。……って、電池がないじゃない」
コナン「ああ、こっちで捨てといたぜ」
灰原「あれ充電式なんだから捨てないでよね」
コナン「わりぃわりぃ」
灰原「まったく、本当に反省してるのかしら。……どうやら電池が無くなってるだけみたいね。はい、直ったわよ」ポイッ
コナン「サンキュ」パシッ
灰原「それにしても快調のようね。あなたに解けない謎はもう一つもないんじゃない?」
コナン「もちろん! 真実はいつもひとつ、だからな」
―――――ウソダヨ ウソダヨ
以上です、ありがとうございました。
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