【艦これ】金剛「ワタシのテートクはサイボーグ、デース!」 (161)

※注意
・多分gdgd展開
・謎設定、キャラ崩壊、わかりにくい表現アリ
・攻殻機動隊などをちょっと読んだくらいのにわか知識
・某彼女がサイボーグな映画作品とは無関係

それでもよろしければ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1468303765

金剛「テートクが戦死してしまいマシタ……」

吹雪「私を…かばって……グスッ…ごめんなさい…司令官……」

天龍「ちきしょう…アイツ、無茶しやがって……ちきしょう……!」ウルウル



数日後…


サイボーグ提督「やぁ、ただいま。」

金剛・吹雪・天龍「!?」

吹雪「司令官!!よかったぁぁぁぁ!わたし、わたしぃ……グスッ」

金剛「テイトクゥゥ!生きてて良かったデース!ワタシとっても心配したんだからネ!(泣)」ダキッ

サイボーグ提督「あぁ…すまなかった…お前たちには本当に心配かけたな」

天龍「提督…お前、戦死したはずじゃ!?」

(以下普通に提督表記で)
提督「残念だったな、トリックだよ……と、ジョークでもいいたいところだが、実際俺は本当に一度死んだ。」

提督「しかし、俺はまだこんなところで死んでなどいられなかった。人類のため、お前たち艦娘のためにも。俺は生き続ければならなかった。」

提督「だから俺は地獄の淵から蘇ったのだ。そう……」


提督「この鋼鉄の身体を手に入れてなっ…!」ウィイン…

艦娘たち「アイエエエエエエ!サイボーグナンデ!?」

???、???「「ふふふ、説明しましょう」」

天龍「お、おまえたちは!?」

天龍「かつて深海棲艦を使った危険な極秘実験で本営に目をつけられ解体されかけた過去を持つ明石!通称マッドドクター明石!!」

吹雪「と、駆逐艦のみんなに変なスイッチを配って時たま鎮守府に混乱を呼び起こす、夕張博士じゃないですか!?」


明石「突っ込みどころ満載な長ったらしい説明をわざわざありがとうございます。」

夕張「ですが、今は一々突っ込んでいる場合じゃないですね。」

明石「瀕死状態…というかほぼバラバラ○体同然だった提督を回収し、極秘のサイボーグ技術で蘇らせたのは……」

夕張「ふふふ。何を隠そう、この私たちだったのさ!」


吹雪「……うん、なんとなく流れで知ってました。」

完結したらちゃんと依頼を出すこと。いいね?

何割機械なんだろ?

提督「ま、つまりだ。不幸中の幸いか、回収時に脳髄だけは生きていたみたいでな。」

提督「成功率は絶望的だったようだが、なんとかサイボーグ化手術によって一命をとりとめたんだ。」


明石「ぶっちゃけ奇跡ですよ。提督の脳神経と機械との適合がこんなにスムーズにいかなかったら駄目でした。」

夕張「そこは、提督の丈夫さに感謝ですね。」

>>6 アッハイ ガンバリマスン >>7 書いたとおり、脳髄とその周囲の一部の神経系以外はすべて機械です。

金剛「そんなコトどうでもいいデース!ワタシは、テートクが生きて帰ってきてくれただけでも十分ネ…」ダキツキ

提督「こら、はずかしいだろ。金剛。」

金剛「NO!もう絶対に離さないネ!」

提督「まったく……しょうがないな。」ナデナデ

吹雪「し、司令官……あの時はごめんなさいっ!私のせいでこんなっ…」ウルウル

提督「……謝ることはないさ。吹雪。あの時俺がかばわなきゃお前は確実に沈んでたんだ。」

提督「俺が提督になった時からずっと…どんな時でも俺の傍にいて、いつでも俺を助けてくれたお前を沈ませたくはなかったんだ…」

提督「この通り…俺もお前も生きて帰ってこられた。それでいいじゃないか。」

提督「だから泣くな、吹雪。」ナデナデ


吹雪「グス……はいっ、司令官!」ダキッ


天龍「ふっ、まぁ色々あったけど…とりあえずは一件落着か。心配かけさせやがってっ、このっ」ウルウル

龍田「あらぁ…天龍ちゃんも提督に抱きついてきたら?ずっと寂しかったんだものね?」ヒョコッ

天龍「うわっ、いきなり出てくんなっ。別に寂しくなんかなかったぜ!うらやましくなんかねぇよ!けっ!」ソワソワ

龍田「あらあら、うふふ。」


こうして、鎮守府を襲った『提督の死』という悲劇は唐突に去った。
そして、サイボーグとして蘇った提督の…第二の人生が幕を開けたのだった。

『サイボーグ提督と吹雪』

吹雪「それにしても司令官。サイボーグになったといっても見た目は以前とまったく変わっていませんね。」

吹雪「いえ、むしろ前より少しだけ格好良くなっちゃったかも///」

提督「基本的に、全体的なデザインは元の俺を再現しているからな。少し美形になったのは多分あいつらのサービスか願望のどっちかだろ。」

提督「皮膚なんかもクローンニングしたヒトの細胞を培養して作った生体皮膚ってヤツらしい。」

提督「詳しいことは俺自身にもわからないが、普通にしている分には俺がサイボーグだってことは周りにはわからないそうだぞ?」

吹雪「技術ってすごいんですね…改めてあの人達のこと、とんでもない人なんだと感じました。」

提督「普通にしてればどっちも…いや、なんでもない。」

吹雪「そうですね。でも、以前と変わりなくこうしてお話できて。本当によかったです。」

吹雪「あ、そろそろお昼の時間ですね。提督も一緒にどうですか?(やった。誘っちゃった///)」

提督「すまないな、実はあと少しだけ片付けないといけない書類があるんだ。」

吹雪「そうですか。それならしょうがないですね……」ガックシ

提督「…………いや、待てよ吹雪。すぐに終わらせられるかも。」

吹雪「え…?」


提督「system起動。multi arm modeに移行。」ウィイン

提督がそう呟くと、一瞬にして提督の両腕部の構造が切り替わる。
皮膚が裂け、内側から何本もの触手のようなアームが露出する。元あった腕はいつのまにかその形のほとんどを失っていた。
露出した複数のアームの先はそれぞれ違った系統の機能を有しており、それぞれに適した作業を即座に開始した。

???「説明しよう!提督は腕部を変形させることで、様々な作業に適した複数のアームを操ることができるのだっ!決して触手ではないぞっ!」


吹雪「す、すごい!(見た目はともかくして)」

提督「ふはははは。これは気持ち良いぞ。普段から梃子摺らされた書類仕事が次々と終わっていく!気分は最高にハイってヤツだぁ!ははははははは!」

吹雪「あ、あの…司令官…?性格まで変わっちゃってないですか?」

提督「そんなことはないぞ。あとちょっとだ。待っててくれよぉぉぉ!WRYYYYYYYYYYYY!」


吹雪「……やっぱり、司令官はもう普通の人間じゃないんですね…」ヘナヘナ

???「補足です。提督はサイボーグではあるが普通の食事もできるぞ。え?どうしてかだって?それは、アレですよ、核ホニャララがうんぬんでエネルギーを得られるんです!例のタイムマシンの車に付いてるアレみたいな感じです。」

こんな感じのお話がいくつか続いていきます。

『サイボーグ提督とお茶会』

金剛「ウェールカムデース!テートクゥ!」

霧島「提督。どうぞ、こちらへ。今、おいしい紅茶をお淹れいたしますね。」

提督「おう。ありがとな。」

榛名「提督。榛名もお待ちしておりました…こうしてまた一緒の時間を過ごせるなんて…榛名、感激です!」

比叡「金剛お姉さまも榛名も霧島も…すごく悲しんでいたんですよ!あ、私も心配したんですからね!司令。」

提督「お前ら、そんなに俺のことを……ありがとう。こんな艦娘たちに囲まれて俺は幸せだよ。」

金剛「ヘーイ、そんなしめっぽい雰囲気じゃtea timeは楽しめマセンヨー!」

霧島「それもそうですね。金剛お姉さまの言うとおりです。さ、提督。是非ゆっくりしていってくださいね。」

提督「(幸せだなぁ)」

比叡「司令。これは純粋な興味なんですけれど…司令のその新しい身体はどんな風にパワーアップしたんですかっ?」

提督「唐突だなぁ。まぁいいけど。」

提督「基本的には、生身の頃よりもずっと力が上だよ。それに、各感覚も強化されているみたいだ。」

榛名「不思議ですねぇ。榛名は未だに信じられません。提督が機械、だなんて。」

提督「……触ってみるか?」

榛名「え?い、いいのでしょうか?」

提督「ほら。」

榛名「で、では///」


榛名は提督が差し出した手をぎゅっと両の手で握り締めた。
しかし、そこに以前は感じられたものはもう…なかった。

榛名「冷たい…」

提督「あぁ、俺の身体にはもう暖かみなんてものはない。」

提督「こればっかりはショックを受けたよ。こんな冷たい身体じゃ、もうお前たちに触れてやることもできない。」


提督「……ははは。いや、すまない。また雰囲気が悪くなってしまった…そうだ、こんどは…」

今度はその機械の手を金剛の手が優しく包み込む。


金剛「テートク…それならワタシが暖めてあげマース…」

金剛「テートクは今まで頑張ったネ。ワタシたちはテートクから色んなものをたくさんもらいマシタ。」

金剛「だから、今度はワタシたちの番デース。テートクゥ……バーニングラーブ!、デスヨ?」チュッ


そういって金剛は俺の冷たい頬に優しいキスをしてくれた。

とても…とても暖かいキスだった……


榛名「っ……そうです! 榛名だって負けてられません!」ダキシメ チュッ

霧島「わ、私だって提督を暖めることくらいは…」ダキシメ

比叡「ひえぇー、ひえぇー」アタフタ

金剛「NO!テートクはワタシのものデース!離れるネー!」

金剛型姉妹の胸に挟まれる提督「ここが天国(ヴァルハラ)か……」


お茶会が一転。まるでキャバクラのようになってしまった部屋で提督は、その暖かみにただ感謝していた。

見た目がキカイダーなのかと

>>21 見た目は普通の人間です。ターミネーターの、脳部分のみ生身なのをイメージしてもらえれば

???「実は生命維持のために身体内部は人と同じくらい暖かいのは内緒です!」

連装砲ちゃん(俺と一緒か……)

>>24 連装砲ちゃんは元人間だった…?(本当は怖い艦これ)

すみません、このあと携帯で書き込むのでID変わります

チソコ切り落とすと性欲落ちるって聞くけどこの場合どうなるんだろ?

>>30
酉付けたら?

>>31 ???「よかれと思って、最低限の性機能は付けときました。ただ、残念なことに既に種無○ですが。」

>>32 そうっすね。そうします。

『サイボーグ提督と決闘』

天龍「やいっ、提督! 今日こそ決着をつけるぞ!」

提督「…いっくら俺がサイボーグになったっていってもなぁ。俺にだって疲れはあるんだぞ?」

天龍「うるせぇ。毎日毎日、吹雪や金剛とのイチャイチャでデレデレしやがって! 今日はその根性もついでに叩き直してやるぜ!」

提督「わかったわかった。お前も構って… 天龍『ちげぇよ!』 じゃあこうしよう。ジャンケンで勝負だ。三回勝負でお前が一度でも勝てたら、今日一日中決闘でも何でも付き合ってやる。」

天龍「へっ、なんだよ。楽勝じゃねぇか?いいのか?そんな余裕ぶっこいて?」

提督「構わんさ。その代わり…お前が負けたら、俺の言うことを何でも一つ聞いてもらうぞ?」

天龍「いいぜ。俺が負けたら何でも言うこと聞いてやるよ。(バカめっ、そのスケベ心が命取りだ。そうそう三回連続で負けたりするかよ。ククク……もらったぜ。)」

提督「いいか?始めるぞ?」

2人「じゃぁーんけーん……」

>>33
疑う奴はいないと思うけど日付変わる前にPCでも酉付き書き込みした方がいいかと

>>35 すみません。今日中にはPCは使えそうになくて… シンジデクダザイ!

2人「ポイ!」

提督「」グー 天龍「」チョキ

天龍「ちっ、最初は負けか。」

提督「どうした?早く二回戦目だ。」

天龍「わーってるよっ!」

二回戦目

天龍「(次は何を出す? ここはあえて同じチョキか?同じ手を続けては出しづらいだろうということを逆手にとって…いや、相手も同じ事を考えていたらどうする? だとするとその裏をかいてパーか? いや待てよ。そのさらに裏をかいてグーか? だとすれば最悪あいこにもってける可能性も)」ブツブツ

提督「早くしろよ?」

天龍「…いいぜ。」

2人「じゃぁーんけーん ぽい」

提督「」パー 天龍「」グー

天龍「うわぁぁぁ。負けたぁぁぁぁ!」

提督「ほら、最後だぞ?」

天龍「くそっ、次は絶対負けらんねぇ~」

天龍「(こうなったら奥の手だ。ズルはしたくないけど背に腹は変えらんねえ。)」

天龍「(艦娘モード限定解除!)」

???「説明しよう!艦娘モードとは、普段は封印されている艦娘としての圧倒的な超人的能力である。天龍は修行によって通常時でも限定的に能力を解放する事が出来るのだっ」

天龍「(動体視力、反射神経、その他感覚神経が超人的に鋭くなったこの俺にとっちゃあジャンケンなんか児戯も同然よ。わりぃな、提督)」

三回戦

2人「じゃぁーんけーん ぽい」

天龍「もらったあ!」

提督「」チョキ 天龍「」パー

天龍「はっ、えっ、俺の負け?(バカな!今確かにグーがみえたはずなのに)」

提督「そうだな。約束は守ってもらうぞ?」ニヤリ

天龍「クソー!ふっざけんなぁ!」

………

天龍「くっ、ころせ…!」

龍田「あらあら、天龍ちゃんいいわねぇ~?」

龍田「今日一日中、提督のお膝の上で過ごせるなんて…よかったわねぇ~?」

提督「ははは。甘えたかったんだろう?いいぞ。好きなだけ甘えても。」ナデナデ

提督「最近執務が早く終わりすぎて逆に暇を持て余していたんだ。今日は一日中可愛がってやるぞぉ(ゲス顔)」ナデナデ

龍田「あらあら…うらやましいわぁ…ふふ…」

天龍「くっ…ころせぇ…(涙声)」

提督「どうして勝てたかって? そりゃ、まぁ。俺のアイセンサーの精度と各種神経伝達速度が天龍型のそれを上回っていただけの話だ。 あとそれ以前に…アイツは単純すぎる。」

『サイボーグ提督と雨』

時雨「やぁ、提督。身体の調子はどうだい?」

提督「おう。時雨。調子はばっちりだ。朝、明石たちのメンテを受けてきたばっかりだしな。お前も意外と元気そうだな。」

時雨「うん。おかげさまでね。それに、今日は…とてもいい雨が降ってるからね。」

ザァアアアアアッ シトシト

提督「雨か…最近暑かったからな。確かに…ちょうどいいのかもな。」

時雨「…提督は暑さ寒さを感じるの?」

提督「んにゃ、その感覚はある程度以上はカットしてもらってる。」

時雨「へぇ。便利なものなんだね。」

提督「まぁな。でもそうじゃないと…」


提督「こんな激しい雨の中、お前をおぶって帰れないだろ?」

時雨「……」大破

提督「ここまでよく頑張ったな。俺がドックに連れて行ってやる。」

時雨「ありがとう。提督は優しいね…」オンブ

提督「せっかく頑丈な身体に生まれ変わったんだ。これくらい朝飯前だっての。」ヒョイッ

時雨「ねぇ、提督……」

提督「なんだ…?」

時雨「僕はずっと…提督のそばにいてあげるからね…」

時雨「例え、いつか提督の身体が朽ち果ててしまっても…」

時雨「ずっと…ずっと…///」


提督「ありがとな。時雨。」

提督「……でもちょっと怖い…」

時雨「」ガーン

今日はここまで

ぼちぼち再開していきます

『サイボーグ提督とマッドサイエンティスト』

明石「提督、メンテ終わりましたよ。調子はどうです?」

提督「どうやら問題はないようだ。」

明石「ならよかったです。何かあればすぐに報告してくださいね。」

明石「……爆発してからじゃ手遅れですから。」

提督「何それ怖い……俺の身体には陸奥の第三砲塔でも積んであるのか?」

明石「いやぁ、まぁ…冗談ですよ。ちょっとした小型の核融合炉を搭載しているだけですよ。ははは。」

提督「……この身体が、俺が思っている以上に危険な存在であることはわかった。」

明石「とびきり無茶なことはせず…ちゃんと定期的にメンテしてれば全然大丈夫ですよ。」

明石「特に、もう前みたいな無茶なことはしないでくださいよ。提督自らが戦場に出るなんて事は……」

提督「……反省してるよ。」

核融合炉は「制御された暴走」をしない限り爆発しないぞっと

夕張「あ、提督。もう起きてたんですね。明石さんもメンテナンスお疲れ様です。」

提督「おう、夕張博士。今日も怪しい研究でもしてたのか? ほどほどにな?」

夕張「博士はやめてください。最近はもっぱら提督のための研究開発ばっかりですよ。」

提督「そうか。ありがとう。」

夕張「いいんですよ。好きでやってるんですから。」

明石「そうですね。意外と私たちは楽しんでやってますからね。」

明石「でもまさか、以前冗談で言っていた『提督も修理ですかwwどこが壊れてます?www』ってセリフが現実のものになってしまうとは思いませんでしたよ。」

提督「まったく…その通りだな……」

>>49 まじですか。すんません。知識不足で。 なんだ。明石っていいヤツじゃん。

提督「おっと、そろそろ執務の時間だな。それじゃ、俺は行くぞ。」

夕張「あ、待ってください。これ、私からのプレゼントです。どうぞ///」

そう言って夕張が手渡したものは、いくつもの書類だった。
なにかの仕様書(?)のようなものだった。

夕張「実は今日のメンテで、提督の義体に大幅なアップデートを施しておきました。色んな機能を追加しといたので、あとで感想…聞かせて下さいね///」

提督「おいおい、それってメンテとは言わないだろ…もはやただの強化改造実験じゃねぇか。俺が寝てる間に何してくれちゃってんだよ……それと夕張、なんでそんな恥ずかしそうな顔してるんだ?」

夕張「だって///私の研究データを見せるなんて…提督が初めてですよ///」

明石「はぁ…提督は乙女心がわかってないですね。夕張さんがこんなに勇気を出したというのに…」アキレ

提督「」


「こいつらやっぱあたまおかしい。」
提督はそう思いながら、彼女たちの秘密実験施設をあとにしたのだった。

『サイボーグ提督と酒』

その日の執務を終え、暇つぶしに鎮守府内を歩いていた提督。
そこへ、とある3人組が現れた。

隼鷹「お~っす!提督じゃーん。」

千歳「お疲れ様です。提督。」

那智「なんだ、提督か。貴様、執務はもう終わったのか?」

提督「げっ、出たな。酒Love勢。」

提督「演習の帰りか、ご苦労。俺も丁度先ほど執務を終わらせたところでな。なんだ、このあとは鳳翔の店か?」

千歳「えぇ。良かったら提督もこのあとどうです?」

隼鷹「いいねぇ~そういや例のアレ以来、提督とは一回も飲みに行ってなかったっけなぁ?」

那智「そうだな。よし。少し遅くなったが、ここは提督の快気祝いに一杯やろうではないか!」

提督「あぁ……しかしな、このあとな……」

隼鷹「んなのはあとでいいじゃん!ほら、行こうぜぇ~提督!」

提督「いや、でもな…そのな…」

千歳「遠慮なんかなさらないでください。提督が機械の身体になってしまったからって私達…気にしたりなんかしていませんから。ね?(上目遣い)」

提督「あ、いや…それは、うん…そうか…でもな…」

那智「せっかくの快気祝いだからな。飲み代は私たちに任せろ。それとも提督?まさか私達のついだ酒が飲めないとでもいうのか?ん?いつからそんな腑抜けになったんだ?」

提督「いや、そんなことは……うん……はい……わかりました……」

隼鷹「よっしゃあ~そうと決まれば早速! 隼鷹、出撃する! ひゃっは~!」ゲラゲラ

千歳・那智「ヒャッハ~!」

提督「(ダメだ。こいつらに絡まれたのが運の尽きだな。)」

提督「(まぁ、最近付き合ってやれなかったのは確かだし…少しくらいはな…はぁ…でもなぁ……)」


提督「(まぁ、ちょっとくらいならいいか、俺も酒…好きだし。うん、大丈夫大丈夫。)」

鳳翔「いらっしゃい。あら…今日は提督も一緒なんですね?」

提督「おう、鳳翔。久しぶりだな。どうだ、調子は?」

鳳翔「はい。おかげさまで。 提督もお元気そうでなによりです。」

提督「おうよ。伊達に提督業やってないからな。ちょいと死の淵を見てきたくらいでへこたれてられるか。」

鳳翔「うふふ、提督はやっぱり素敵ですね……今日はゆっくりしていってくださいね。」

隼鷹「鳳翔さぁ~ん!先ずは駆けつけ一杯!いつもの!」

千歳「私もいつものを。」

那智「キープしていたボトルを開けてくれ。」

鳳翔「は~い。わかりました。提督も、いつものでいいですか?」

提督「あ、あぁ。頼む。」


…………

提督「」

隼鷹「おいおい、提督ぅ。もうギブかぁ?まだ全然飲んでねぇじゃん。」ヒック

千歳「じゅんよう、あまりむちゃさせちゃらめれすよ? ヒック ていろくはやみあがりらんれすから~ ヒック」

那智「まったく、たるんでる!いつのまにこんなによわくなったんだ! あけがたすぎまでのんでいたいぜんのきさまはどこへいったんだ!」

鳳翔「……提督?大丈夫ですか?いま、お水をお持ちいたしますね。」


提督「(やってしまった。つい飲み過ぎてしまった。まずいな、これは。)」

回想

明石「いいですか…提督。 いくら以前のように飲食が出来るからって、飲酒だけは厳禁ですよ?」

明石「詳しいことはほにゃららですが、その身体ではアルコールの分解はは困難ですから。普通の身体に比べて脳への負担が大きいんです。」

明石「例え、隠れて飲んだとしても…その結果どんなことが起きても私は知りませんからね。はい。忠告しときましたよ。」

…………

提督「(駄目だ。意識が。すまない、明石……)」

……………………

提督「」

隼鷹「お~い、大丈夫かぁ~?無理させすぎたかなぁ?」

提督「」ピー、ガー

千歳「ろうしましたぁ?ていろく?」

提督「」ガガガガ、ピー

那智「なんだ?もっとはっきりとはなせ!」

提督「」ウイィィン、ガッガッガッ

鳳翔「大変!提督の様子がおかしいわ!すぐ明石さんに連絡しなくちゃ!」アタフタ

提督「」ガッガッガッ、ガシャン、ピ-


提督「お前ら…」

飲み勢・鳳翔「ヒッ…」

提督「お前ら…」

提督「お前らみんな可愛い過ぎるだろ!ふざけんな!」

「「「「え?」」」」

提督「隼鷹!」

隼鷹「ひゃ、ひゃいっ。」

提督「いつも軽口たたいてばかりのお前だけど、俺は知ってるんだぞ。それが照れ隠しだってことはなぁ!」

提督「その証拠にお前いっつもほっぺた薄ら紅いじゃねぇか!なんだよ!しらふでその紅さとか可愛い過ぎんだろ!」

提督「本当は心の中では少し恥ずかしがってる乙女だってことに気付いてからもうまともにお前のこと見られねぇよ!ふざけんな!可愛い!」

隼鷹「///」

提督「千歳!」

千歳「はっ、はいっ」

提督「お前は滅茶苦茶あざといっ! 見た目は素敵な大人の女性なのに、仕草が滅茶苦茶可愛い過ぎんだろ!」

提督「俺が近くに来るとさり気なく耳元の髪を掻き上げるその仕草が可愛い!酔ったときに甘い声で甘えてくるお前が可愛い!俺と目を合わせる度に無邪気な笑みを見せるお前が可愛い!」

提督「さっきだって、俺を誘うときにさり気なく上目遣いでこっちみただろ!そういう仕草がいちいち可愛い過ぎんだろ!ふざけんな!」

千歳「そ、そんな///」カオマッカ

提督「那智!」

那智「な、なんだっ?」

提督「普段のお前は可愛くない!」

那智「」

提督「一歩間違えればパワハラ寸前の態度ばっかりで、正直生意気だっ!どっちが上司なんだかわかったもんじゃない!」

提督「でもなぁ! 弱った時のお前の可愛さは半端ない!」

提督「中・大破で戻ってきた時のお前の弱々しさはとんでもなく可愛い!いつものお前とのギャップが凄い!」

提督「酒で酔っ払ったお前を介護した時なんて死ぬかと思った! 那智『たのむ!はなれないでくれ!きさまがいないとわたしはさみしくてしんでしまいそうだ!』 とか言われて抱きつかれた俺の気持ちを察してくれ!死ぬのは俺だ!お前じゃない!萌え死ぬ!」

那智「なっ、なっなっ///」

提督「今もちょっと弱ってたじろいでる様もとんでもなく可愛い!ふざけんな!」

提督「そして鳳翔!」

鳳翔「な、なんでしょう?」ドキドキ

提督「お前は完璧だな。」

鳳翔「えっ」

提督「全てを包み込む母性と、同時に匂わせる少女のような健気さ。なにも言うことはない。」

提督「だが、あえて言わせてもらおう……ふざけるな。可愛い過ぎるだろ、と。おm」

ドサッ

提督「」

鳳翔「///」

鳳翔「はっ…て、提督! しっかり!」

飲み勢「///」ポカーン

アカシサーンアカシサーン

…………

明石「馬鹿ですか?脳味噌までいじります?」

提督「本当に申し訳ないと思っている。」


あれから提督は明石のもとに緊急搬送され、何とか一命をとりとめたのだった。

夕張「次やったら怪人化手術を施しましょう、明石さん。」

明石「そうですね。ショッカーぐらいにしたほうが大人しくなるかもしれませんね。」

提督「それは…嫌だな。」

……

隼鷹「こ、こんにちは。提督。ごきげんよう///」

千歳「提督。お、おはようございます///」

那智「///」←提督の前に出られない

鳳翔「提督。お元気ですか?今日も頑張りましょう!」←なぜか以前より積極的になった。

提督「なんかあいつらの様子がおかしい。この前何があったのか誰も教えてくれない…」

テイトクゥ!バーニングラーブ! シレイカン!キョウモステキデス!


しばらくの間この4人の様子がおかしかったその理由を……提督は全く覚えていなかったのだった。

今日はここまで

どうでもいいけど、こんにちはとごきげんようは多分同じ意味ですね。
半端にお嬢様言葉を使おうとした隼鷹のミスってことにしといてください。

ごきげんようは会った時なら「体調はいかがですか?」とか別れ際なら「お元気で」って感じの意味合いだからヘーキヘーキ

>>71 なるほど、なら大丈夫ですね。ありがとうございます。

おまけ『提督と金剛』

執務室

金剛「テートクゥ…」Zzz…

提督「こいつは…こんなところで寝やがって。」

金剛「テイトクゥ…ワタシサムイネ…」Zzz…

提督「……」

提督「」ダキシメ

金剛「フフッ…アタタカイネ……テイトクゥ…ダイスキデース……」Zzz…

提督「……おやすみ、金剛…」


…………

チュンチュン

サイボーグ提督「夢か……随分昔の夢を見たものだ……ん?」

金剛「テイトクゥ…ハナレチャダメネ……」Zzz… ダキツキ

サイボーグ提督「……金剛、いつもありがとう。」ダキシメ

金剛「エヘヘ……シアワセデース……ウフフ…テイトクゥ……」Zzz…

…………

また再開していきます。

『サイボーグ提督と風になった島風』

夕張「先に謝っておきます。ごめんなさい。」

提督「……わかった。必要以上に責めることはしないと約束しよう。 それで、俺の留守中に一体何があった?」

夕張「私の作ったスイッチのせいで、島風ちゃんが暴走しました。おかげで鎮守府は滅茶苦茶です。」

夕張「恐らく…今の彼女を止めることが出来るのは、強化型サイボーグと化した提督しかいません。」

夕張「お願いします。この未曾有の危機をなんとかしてください提督…!何でも島風!」

提督「よし、ならとりあえず一発殴らせろ。」ビシッ

夕張「グエッ」

数時間前


夕張「できたよっ、島風ちゃん! 押している間だけ徐々に速度が無限に加速していくスイッチだよっ!」

島風「夕張すっごーいー! さっそく使わせて下さいよ!」

夕張「ふふふ…くれぐれも悪用するんじゃありませんよ。それと、あとで感想聞かせてくださいね?」

島風「はーい!」


…………

島風「さっそく使ってみよ!」ポチッ

島風「キーーーーン!」タッタッタッ

島風「……あんまりかわんないや。本当に効果あるのかな~」ポチッポチッッポチッポチッ

ポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッポチッ

バキッ

島風「あっ、ボタンがめり込んじゃった。」

島風「ま、いいや~元から不良品だったし。あとで夕張に返しとこ。」

島風「提督もいないから暇だな~なにしようかなっ~」

数十分後

島風「おっ!」

島風「なんかいつもとちょっと変。」

島風「なんかみんなおっそーい!止まっているみたいだよー。」

島風「みんな何言ってるの~?全然わからないよ~」


島風は全く気付いていなかったが、壊れていたと思っていた例のスイッチの効果は当然続いたままだった。
そして……この時の島風のスピードは既に通常時の十倍以上にもなっていた。
つまり、島風の感覚の中では…他の艦娘の方が十倍遅くなっているように感じているのだ。

島風「みんな無視ー?ひどいよ…」

十倍も速度が違うということは、既にそれだけある種の異なる時流の世界にいることになる。
島風からの言葉も、他の艦娘から言葉も、徐々に伝わらなくなるレベルにまで達していたのだった。

島風「」ビューン

金剛「? 今何か通ったデース?」キョロキョロ

榛名「? さぁ、気のせいじゃないですか?」


島風「」ビューン

時雨「あれ? 島かz……みたいのが通った気がしたんだけど……」

夕立「多分気のせいっぽい。それよりお昼ごはんが楽しみっぽい!」

時雨「…うん、そうだね。僕も楽しみだよ。」


島風「」ビューン

北上「うわっ。すごい風がっ……大井っち大丈夫?」

大井「はい…大丈夫です。北上さんこそっ…!?怪我はっ…!?(一瞬北上さんのスカートがめくれて下着がっ……)」ハナヂタラー

北上「うんー…大丈夫ーー……って大井っち鼻血でてるよ。」



島風の速度は徐々に増していき、そしてついに……

島風「なんかちょっと体痛いなー」ビューン


ブワッ!

比叡「ひ、ひえぇ~、せっかく作ったカレーが!ぐちゃぐちゃに!」

ブワッ!

日向「イタッ… !? 完成したばかりの瑞雲プラモデルが跡形もなく! 一体何が…?」

ブワッ

妙高「キャー!」ワタシニドウシロト…

那智「あぁ!? 謎の衝撃波によって妙高姉さんが中破ポーズのまま吹っ飛んでいったぞ!」




島風の速度は音速を超え……ついにソニックブーム現象を引き起こすまでになっていた。
そのせいで島風の通った場所は次々と破壊され、鎮守府は今まさに壊滅しようとしていた。

夕張「……やばいですね。絶対アレのせいですよ…このままじゃ。」

夕張「提督になんとかしてもらいましょう。手遅れになる前に……」

数分前の日向「やはり瑞雲は完璧だな。デザイン・機能性・その名前の響き。どれをとっても最高に魅力的だ。たのしいぞ~、ブーン、ブーン!」

現在

提督「なるほどな。状況は理解した。」グググ

夕張「いたい、いたい…アイアンクローはやめてっ…」

夕張「と、とにかく。今の時点で島風ちゃんの速度は既に50倍以上にはなっているはずです。」

夕張「あのスイッチの原理的には、島風ちゃんは別の時流に飲み込まれているようなものだと思ってください。」

提督「そこで……アレを使うしかない、と。」

夕張「ええ、一刻の猶予も残されてません。この状況を打開するには、提督のあの機能が必要です。」

夕張「このままでは、この鎮守府が壊滅するよりも先に島風ちゃんの身体が持ちません。」

夕張「スイッチの効果で、使用者へ負担がかからないようG制御によってバリアのように保護されているのですが…今の状態ではいつその限界がくるかわかりません。多分スイッチは壊れているでしょうし。」

提督「具体的には、どうすれば島風を救える?」

夕張「多分、アレを使っても…提督の身体自体は島風ちゃんの世界には完全にはついていけません。なので…」

夕張「スイッチを捨てるように島風ちゃんをなんとか説得してください。 スイッチがある程度身体から離れれば、効果が消えるように設定されているので…」

夕張「ですが本当の問題はそのあとの…ゴニョゴニョ」

提督「……なるほどな。わかった。それは頑張るしかないな…」

提督「任せろ……俺が全部なんとかしてやる。」

夕張「お願いします…島風ちゃんを助けてあげてください…」


金剛「テートク…気を付けてネ……」

提督「あぁ、必ず戻るさ。信じてくれ。」

金剛「オフコース!もちろん信じてるネー。」

吹雪「司令官…私も信じています。ご武運を。」

提督「……」ウナヅキ


提督「よし、久しぶりの厄介事だ。この身体、試させてもらうとするか。」

島風「誰もなにも反応してくれない。」

島風「どうしよう。多分この壊れたスイッチのせいだよね。」

島風「きっと島風が速くなり過ぎちゃったから…誰もついてこれなくなっちゃったんだよね…」

島風「……寂しいよ。」

島風「さっきから身体中チクチク痛いし…」

島風「このまま、一人で寂しく死んじゃうのかな……嫌だなぁ…」

島風「誰か……誰か助けてよ…」

島風「提督……」



提督「すまない、島風……遅くなった。助けにきたぞ。」キィィン

島風「!? 提督…!」

数秒前

提督「このあたりか……」

提督「それにしてもまさか…昔見た漫画の主人公と同じ能力を、俺が持つことになるなんてな。」

提督「ご丁寧に、スイッチの場所まで同じにしてくれちゃってな。」

提督「かがくのちからってすげー、っと。よし、そろそろやるか。頼むぜ、もってくれよ。俺の身体!」

そういうと提督は奥歯の底にあるスイッチを噛み締めた。


提督「神経加速装置-アクセラレータ-……起動-オン-!」キィィン

今日はここまでです。なんか展開が少年漫画みたいですが気にしないでください。

おまけ『サイボーグ提督と黒歴史日記』


○月×日 天気:雨

今日の出撃は散々だった。途中で豪雨に見舞われて、みんな色々と酷い目に遭った。
いくら雨が好きな僕でも、これにはさすがに参ったよ。おかげで僕のせいで大破撤退を余儀なくされてしまった。みんなに迷惑かけたかな…

でも。僕はこの雨に感謝しているんだ。だって、そのおかげで提督が迎えに来てくれたんだから。

強がる僕を軽くいなして、提督は傷ついた僕の身体を優しく背負ってくれた。
それが僕にはとても嬉しかったんだ。僕と提督だけの特別な時間……素敵だったよ。

あぁ…提督……愛しいよ…狂おしい程に僕はキミを愛している……いつか僕のこの想いが提督に届くといいな…
…そうか。いっそ、提督のあの機械の身体に……僕の脳味噌の一部分でも分けてあげられないかな。そうすれば、ずっと…終わりの時まで一緒にいられるよね…?

…なんて時折思っちゃったりするんだ。はは、少し重いかな。

また…明日も雨が降るといいな。 おやすみ。


………………

提督「」

提督「みなかったことにしよう。」パタン


時雨「あれ、提督…… !? それ、僕のなんだけど……その……みた…?」///

提督「ミテマセン。ヒトノニッキミルノ、ヨクナイデス。」ウィィン サシダシ

時雨「そっか…よかった。ありがとう。」

時雨「もしみられてたら……危ないところだったよ…それじゃあね、提督///」


提督「今度、恐怖心を薄れさせるプログラムを組み込んでもらおう。そうしよう。」

遅くなりました。
またぼちぼち再開していきます。

回想

提督「なぁ夕張。この前もらった仕様書の中に胡散臭そうなのがあるんだが…?」

夕張「あぁ、もしかして加速装置のことですか?そうですよね。気になりますよね!」

夕張「安心してください。本物ですよ。某九番目のサイボーグが持ってるのとほぼ同じヤツです。」

提督「一体何を安心すればいいのか……というかお前凄いな。」

夕張「へへん!(無い胸張り)」

提督「仕様書は読んだが…ちょっと危険じゃないか?これ。」

仕様書概要『起動する事で、神経伝達速度の超加速と限定的な重力加速度の操作により最大マッハ5の速度で行動する事ができるようになります! ただし、加速中は空気摩擦の影響をモロに受ける上にエネルギーの大量消費によってオーバーヒート状態になって非常に危険なので…最大起動時間として3分の制限時間を設けてあります。 ブラックな幽霊的な組織的な何かが出てきたときに是非使ってみてくださいね!』

提督「なぜこんな危険なの搭載したし。」

夕張「ロマンでしょう、そりゃあ。まぁ、半分趣味で付けたようなものです。ちなみに、マジで危険なので使わない方がいいですよ。」

提督「…………」拳を構え

夕張「ひっ……暴力反対! わかりましたから!今度のメンテナンスで出来るだけ安全な加速装置と取り替えますから!」

提督「全然反省してねぇな…お前。」ゴッ

夕張「いった~~い!」

回想終わり

夕張はほぼ同じとか言ってますが、原理は個人的な解釈でそれっぽいことを書いてるだけなので悪しからず。

提督「アクセラレータ、起動!」キィィン

提督が奥歯のスイッチを噛み締めたその瞬間、提督の体内の鋼鉄で構成された神経系が一瞬にして活性化を始める。それと同時に提督の脳内のニューロンは爆発的に超加速し、思考速度が高速化する。

不意に周囲の時間が止まったかのようにありとあらゆるものの動きが停止する。
島風の暴走によって辺り一面に散らされ続ける様々なモノが空中で動かなくなる。
そして提督の目の先にゆっくりと一歩ずつ…よろよろとさまよい続ける島風の姿が現れたのだった。


…………

提督「助けに来たぞ、島風。」キィィン

島風「!? 提督!」

提督「ぐぎぎ……やっぱり辛いな……身体がもう軋み始めているぞ…」

島風「提督……怖かったよぉ……何時間も……ううん、多分何十時間もこんな状態で……」グスン

提督「何があったのかは大体把握している。辛かったな……(何十時間…?スイッチが壊れただけじゃなくバグまで発生していたのか…そのせいで時間の感覚まで……)」

島風「ねぇ、提督……どうすれば私助かるの?」

提督「簡単だ。お前の持っているスイッチを適当なところに放り投げろ。そうすればそのスイッチの効果は解除される……だが、一つ大きな問題がある…」

島風「えっ?」

提督「…そのスイッチのおかげで守られていたお前の身体は加速した状態から一気に放り出されることになる。まさに音速を超えた世界に今度はお前が放り出される事になるんだ。そうしたらきっとお前の身体は今の俺が受け続けているものより大きな衝撃で跡形もなく吹き飛ぶ事になる。」

島風「そっか…結局助からないんだ…」

提督「だから助けるって言ったろ…?そのために俺がいる…」

提督「俺がお前の身体を、衝撃を受け止めてやる。お前の加速がなくなるまでな……ぐっ……」

島風「…そんなことしたら提督は!?」

提督「当然ただじゃすまない。今でさえ正直厳しいんだ。無理やりお前の加速についていっているだけだからな……ぐぎぎ…」

島風「……」

提督「これは賭けだ。下手すれば俺もお前も一緒にあの世ゆきだ。」

提督「でもこれしかないんだ。お前を救う方法は……ぐっ…あっ……」

島風「…………」

提督「さぁ早く! スイッチを捨てるんだ。このままじゃどの道お前はっ…ぐあっ」

島風「……だったらそれでいいよ…私のせいで提督が死んじゃうくらいなら…いっそこのまま…」

提督「バカなこというなっ…」

島風「提督、ごめんなさい。今まで色々あったけど…楽しかったよ…」

提督「……やめろ、やめてくれ。そんなことを言うのは…(くっ、どうすればいい…どうすれば島風は納得してくれる……?)」

提督「(制限時間ももう半分を切った。クソッ…俺には結局何もできないのかっ!?)」グググ

提督「(せっかくこの身体になってまで生き返ったのに…なんとか島風に追いつくことが出来たっていうのに…)」グググ


島風「提督……もう無理しないで。提督がボロボロになってく姿なんて見たくないよ。」

提督「(本当にここまでなのか……?)」

…………テー…クゥ…テート…!…テートクゥ!

…………ファイトォ、デスヨ!ユー、キャンドゥーイット!シンジテルネー!

(ん?なんだ?この声は…金剛なのか?)

…………シレイカン、ガンバッテクダサイ!オウエンシチャイマス!

(今度は吹雪か!?)

…………マケンジャネェゾ!コノヤロウ…

(天龍っ……)

…………ボクハイツダッテキミノソバニイルヨ、ダカラガンバッテ

(時雨まで……)

…………ガンバレー………テイトクー………

(あいつらの声が、聞こえる。)


…………テイトク…キコエマスカ?

(夕張か…)

…………イマ、アナタノノウナイニチョクセツ…ナンテ、ジョウダンイッテルバアイジャナイデスネ

…………イッポウテキニデスガ、コチラノオンセイヲテイトクノチョウオンキニハッシンシテイマス

…………ミンナ、テイトクノコト…オウエンシテイマスヨ…

…………ガンバッテクダサイ、テイトク……コノメッセージガ、テイトクノモトニトドイテイルコトヲネガイマス…


(お前ら……)

(ありがとう。そうだよな…諦めるわけにはいかないよな。)

(なぜなら……)



俺はお前たちの提督なのだから。

提督「……島風、聞いて…くれ。」グググ

島風「……っ」

提督「俺は…やっぱり…お前を諦めることなんて…できない…」グググ

提督「思い…出したんだ…ぐっ…俺の…本当の使命を…」グググ

提督「俺は…俺だけは……ぐあっ…」グググ

提督は一歩ずつ島風に向かって歩を進める。
歩くたびに提督の鋼鉄の肉体はみしみしと悲鳴をあげる。

提督「俺は…提督だ…艦娘たちの…お前たちの命を預かる身として…」ピシッピシッ

島風「もう…やめてよ…こないで…来ちゃダメだよ!」

ついに提督の身体から明確な滅びの音が奏でられ始めた。
人工皮膚の一部は焼け爛れ、裂け、機械の骨格が露出しかけていた。

提督「絶対に…諦めちゃ…いけないんだ!」グッグッグッ

島風「あっ…」

提督はボロボロになりながらも、ようやく島風の元に辿り着いた。
そして……彼女を抱きしめた。

提督「さっきは怖がらせるようなこと言ってごめんな。」

提督「大丈夫だ。絶対にお前を助けてみせる。」

提督「そして俺も……絶対に死んだりなんかしない。絶対にいなくなったりなんかしない。」

提督「なんたって俺は、不死身のサイボーグ提督だからな。」

提督「だから島風……俺を……信じてくれないか……?」

島風「……」

島風「うん、わかった…信じる。」

島風「だから…助けて……」

提督「よし。任せろ!」

島風「提督!行くよ。」

提督「このまま受け止めてやる!島風!お前も衝撃を覚悟しろ!」

島風「うわぁぁぁぁ!」ポイッ

提督「タイムアウト…」

島風がスイッチを放り投げると、即座にスイッチの効果が切れる。
同時に提督の加速装置も制限時間を迎える。

彼女をまとっていた重力力場によるバリアは消え…2人は約マッハ5以上の音速を超えた世界に投げ出され、その衝撃をモロに喰らう。

島風「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

提督「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」ミシミシ

衝撃で提督の身体の中の何かが壊れた。そしてそれは次々と提督の体内の機械を破壊していく。
衝撃で脳が揺さぶられ、あらゆる感覚が狂っていた。
身体中が焼け爛れ、鋼鉄の肌が完全に露出していた。
右脚はいつの間にか千切れ飛び、立っていられなくなっていた。
機械の眼球の機能は完全に停止し、視界はブラックアウトした。

衝撃は一瞬。けれども、彼らにとっては永遠のもののように感じていた。

しかし、それでも提督は島風を離さなかった。離すことはなかった。

そして、永遠のように思われた一瞬が過ぎ、彼らの周囲の時間は再び動き出したのだった。

………………………………

………………………………

艦娘たち「」ダッ

艦娘たちが助けに来たとき、そこにはボロ雑巾のようになった1人と何かが転がっていた。

島風「う、う~ん……」大破

提督のような人型機械の塊「」


明石「すぐに2人に処置を施します!2人を運んでください!特に提督は危険な状態です。気を付けて!」

金剛「oh……」失神

吹雪「ちょ、金剛さん!しっかり!」

そして1週間後…

サイボーグ提督ネオ「いやぁ、今度こそマジで死ぬかと思った。俺の脳味噌頑丈過ぎ。」

明石「脳味噌が頑丈とか。もはや人間じゃないですよ。あれですか、脳味噌岩人間ですか?柱の男なんですか?」

金剛「この際なんでもいいネ…生きてたんデスからワタシは満足デース…」げっそり

吹雪「金剛さんしばらく寝込んでましたからね…そういう私も数日はごはんが喉を通らなかったし…」

提督「……俺も今回ばかりは流石に大分疲れたな…艦隊運営ほっぽって温泉にでも行きたいなぁ…」

吹雪「し・れ・い・か・ん…?」

提督「イヤダナァ、ジョウダンデスヨ、ハハハ」ウィィン

金剛「前から気になってマシたけど、何か誤魔化す時に出るその機械音どこから出るネー…」

提督「気にしてはいけない。サイボーグだから機械音が出るのは当たり前、いいね?」

金剛「アッハイ」

コンコン

島風「ていとくー!復帰おめでとー!」

提督「あぁ、ありがとう。お前も今日から復帰だったか。元気になってよかったな。」

島風「高速修復材のおかげー (小声で)ソレト…テイトクガチャント、マモッテクレタカラ…///」モジモジ

提督「ま、お前たち艦娘ならそうだよなー。今回のも高速修復材ありきの作戦だったしなぁ。」ドンカン

提督「とはいえ、島風。これに懲りたらしばらくは大人しくしてるんだぞ。廊下でかけっこ、とかもう禁止だからな」

島風「は~い!」

金剛「これで万事オーライ!ネ! コングラッチュレーション!ぜかましー!」

島風「もう~ぜかまし~じゃないし~」

提督「ははは。いつも通りの光景だな。」

島風「じゃぁ、私はもう行くね。色々迷惑かけた人に謝りにいかなきゃ!」

提督「おう、気を付けてな。」

島風「よーし、行くよー、連装砲ちゃん!」

島風「キーーーーーーーーーーン!」ダッ

提督「」

吹雪「やっぱり島風ちゃんは島風ちゃんでしたね。」


こうして、『風になった島風事件』は無事解決した。
そして各自…徐々に元の生活に戻っていったのだった……一人を除いて。


指令書『一か月間の謹慎処分を言い渡す。ついでにお前の開発した危険物(スイッチ)とかメカとか設備とかデータ、寝てる間に全部処分しといたからな。あと、壊れた鎮守府の設備全部お前一人で修理な。』

夕張「…………」レイプ目

夕張は泣いた。でも解体されずに済んでよかったと、心の底ではそう思っていた。

以上、ちょっと長めのお話でした。

以下、このお話のちょっとした捕捉

・連装砲ちゃんは島風がスイッチを押した時点で置き去りにされました。忘れていたわけではない、いいね?
・島風はほぼ静止した世界でほぼ1~2日分くらいの体感時間、孤独と戦っていました。『仮面ライダーカブト』の『クロックアップ』の世界に取り残されたイメージです。
・夕張の開発したスイッチは、提督の加速装置の強化安全版として作られたものでしたが、実際は問題だらけの不良品同然のものでした。
・『無限に加速する』というのは方便で、本来スイッチにも制限時間はついていたのですが、壊れていたため危険なものになってしまいました。
・提督の加速装置の表現は、『アクセルワールト』とか観るとイメージがつきやすいかもしれません。無理やり動いていた時のは『フィジカル・フル・バースト』みたいなイメージでした。
・提督へのメッセージが、時間の流れる速度の違うとこから来たのにちゃんとそのまま届いていたのは…メロンちゃんの謎技術ということで堪忍してつかぁさい…
・夕張が解体されなかったのは、やっぱり夕張も提督にとっての大事な仲間の一人だからです。
・その他おかしいところは多分たくさんありますが、すべて夕張博士の謎技術のおかげです。ということにしといてください。

今日はここまでです。

『サイボーグ提督と天龍』

娯楽室

望月「……」ピコピコ カタカタ

響・天龍「……」ジー

大型TV「Rules of nature!!!!」ゴゴゴ

望月「うへぇ…ついにメタルギアが投げ飛ばされる時代になっちゃったよ…」カタカタ

TV「ハーラショー!サスガダライデン!」ボリス=サン

響「ハラショー、こいつは凄い。」

天龍「最近のゲームってすげぇんだな。なんというかさ。迫力が違うっていうか。」

望月「まぁ、こんなもんだよ。おっ、まだ動けんのかこいつっ…」

…………
ゲーム後 食堂

望月「そういやぁさ、我が鎮守府の司令官もサイボーグになったわけだけど…」

望月「あの人実際のところどのくらい強いのさ?教えてよ、天龍?」

天龍「……少なくともさっきのゲームの主人公と同じことができても俺は驚かねぇ。」

天龍「それに、あいつあんな身体になる前からとんでもない強さだったからなぁ…」

望月「えぇぇ……マジかよぉ…」

天龍「マジもマジ、大マジ。というか、あいつが強くなかったら俺は多分この鎮守府にはいないからな。」

響「天龍が着任した頃のことか。よければ詳しく聞かせてほしい。」

天龍「いいぜ、ちょっとした与太話だけどよ。たまには昔話も悪くない。」

天龍「俺とアイツとこの鎮守府のの昔話だ。一度きりだ、よーく聞いとけよな!」

…………

あれは五年前…当時の俺はとんでもなく手の付けられない問題艦娘だった。

何故だかそのときの俺は、あらゆることに無性に腹が立って仕方がなかったんだ……
理不尽に破壊を尽くすクソ深海棲艦ども、無能なくせに虚勢ばかり張る軍のお偉いさん方、偉くなったつもりでいるのか知らんが…艦娘に無茶な要求をするクソ提督に、そんなクソ野郎に盲目的に従い続ける他のクソ艦娘ども。
その他にも色々あったが、まぁ省かせてもらう。とにかく…その時の俺にとっちゃこの世界はそんなクソ野郎どもばかりの理不尽なモノでしかなかった。

……だから俺は、気に入らないものは片っ端からぶちのめしてやった。相手が誰であろうとな。

元々『天龍』ってのは旧式の軍艦だから、正直なところそんなに強い艦娘ってわけじゃないんだけどよ。
はっきりいって俺はそんじょそこらの戦艦様なんかと比べてもらっちゃ困るくらい……そう、強かった。

戦果だけは挙げてたからな、解体されることはなかった。
だから俺はありとあらゆる前線をたらい回しにされ続けた。そこでも俺が沈むことはなかったけどな。

そしてそれすらもされなくなるほど多くの問題(ほとんどが暴力行為)を起こしていた俺は……ついに解体されることが決まった。


……その時だったんだ。俺とアイツが出会ったのは。

牢屋

提督「お前か…多くの問題を起こして拘束された『解体待ち』の艦娘というのは。」

天龍「…あ?それがどうした、わりぃかよ? ここはてめぇみたいなガキの来るところじゃないぜ…さっさと失せな。」キッ

提督「やれやれ、ガキ扱いか。これでももうすぐ20も半ばなんだがな…予想以上に生意気な奴だ。」

提督「だがそんなことはどうだっていい。単刀直入に用件を言う。俺と一緒に来い、天龍。お前が必要だ。」


その時の俺は、白い軍服を着たその若い男の言い放ったことにただただ呆れかえっていた。なんて馬鹿な野郎なんだと。
俺についての話を聞いていたなら、俺がどれだけ扱いにくい奴なのかくらいは分かるはずだからな。


提督「申し遅れたが…俺は先日、お前たち艦娘を取りまとめる提督になったばかりの○×だ。階級は中佐。」カチャカチャ

そういうとそいつは牢屋の鍵を開けた。

提督「さぁ、出ろ。天龍。今日からは俺の元で深海棲艦と戦ってもらうことになる。まだ艦娘は揃っていないから当分は……」

天龍「……あははははは。」

提督「…何がおかしい。」

天龍「馬鹿かお前はよ。いきなり現れて…出ろだの戦え、だの……誰がてめぇみたいなひよっこの勝手に従うってんだ!ふざけんな!」

天龍「俺はもういいんだよ。少し疲れた…ほっといてくれよ。こんな下らない世界で生き続けるくらいなら解体された方が100倍マシだね。」

天龍「それに……今までの奴らには適当に手加減してやってたが、次は容赦しないぜ。」

天龍「きにいらねぇことがあったらそれこそ今度は……ぶっ○しちまうかもなぁ……ククク」

提督「……」

天龍「どうした?ビビッて声もでねぇか?あん?」

提督「いいだろう。やってみろ。」

天龍「は?」

唐突にそいつは俺の目の前に何かを差し出した。

俺の剣だ……
艦娘が海戦の時のみに装備することを許された艤装。艦娘が本来の力を使うことが出来るようになる特殊な武装が俺に差し出されたんだ…

天龍「おいおい、何かの冗談か?」

提督「冗談なものか。気に入らないならそいつを手に取れ。」

提督「だが……」

提督「俺を斬るならば…最低限、抵抗だけはさせてもらおう。」シャキッ

そういってそいつは腰に差していた軍刀に手を掛けた。
その瞬間、雰囲気だけでわかった。かなりのやり手だ、と。

そいつはこれまで会ってきたどの提督とも明らかに異質な雰囲気を纏っていた。

…………

しばしの沈黙のあと、俺は牢から一歩外に踏み出した。
俺のやる気を感じ取ったそいつは剣をこちらに投げて寄越す。

それを受け取った俺は即座に剣を構える。
その瞬間。俺の中の力の流れが変わる。そう。艦娘としての戦闘態勢だ。陸で使うのは初めてだったが、何の問題もないように思えた。

剣のみの展開では若干、力不足感が否めないものの…それでもちっぽけな一人の人間を相手するにはやり過ぎなくらいだった。

天龍「悪いが、手加減はしないぜ。てめぇをぶっ○せば俺は晴れて即処刑だ。清々するぜ。」

提督「うだうだ言っていないでさっさとかかってきたらどうだ?」

提督「こちらこそ手加減はしない。全力でやらせてもらう。」ジリジリ

天龍「はっ。舐められたもんだな。艦娘様と闘うこと自体が間違いだったってことをあの世で後悔するんだな。」ジリジリ

ジリジリと互いに間合いをつめる。
その最中、俺は確信していた。この勝負は一瞬で決着が着く。

どちらかのみが断末魔と共に血飛沫をあげ、どちらかのみが勝利の余韻と共にその鮮血を浴びることになる。

それは俺の中で確定的だった。

だが自殺願望者の俺でも、この勝負には負けたくなかった。必ずヤツをこの手でぶった斬り、ヤツの返り血を浴びながら勝利の美酒に酔うその時までに死ぬわけにはいかない、そう思えるほどにそいつは強者であることもまた確信していた。

かつてない緊張と興奮の中、その瞬間は訪れる。
緊張が限界にまで張り詰めたその一瞬。俺はそいつの一瞬の隙を見逃さなかった。
艦娘の能力だからこそ感覚出来る…コンマ一秒にも満たない一瞬の隙、俺の隙を伺うヤツの視線がほんの一瞬俺のこの邪魔でしょうがない大きな胸に移ったその時…
俺は神速ともいえる速さでヤツに斬りかかった。

俺は勝利を確信した。同時に、偶然だが色仕掛けに負けるヤツのことを憐れみ、幻滅した。

しかし…その瞬間、俺は信じられない光景を目の当たりにした。

ヤツは既に剣を抜き放っていた。普通の人間が艦娘の初速に反応できるはずがないにも関わらず…
まるでこちらが動くことが最初からわかっていたかのように。ヤツは居合の要領で剣を疾らせる。

一転…今度は死を覚悟した。己の慢心を悔やんでいる時間なんてなかった。だから、ありのままを受け入れた。

しかし、俺が死ぬことはなかった。

パキン

互いが交錯した後、その場に響いたのは断末魔でも血飛沫のあがる音でもなかった…

……俺の剣が壊れ、砕け散る音だった。

天龍「…てめぇ、なんで……」

提督「あえて隙を作っただけだ……随分と単純な性格みたいだからな。隙さえあればかかってくるのはわかって…」

天龍「違う!どうして俺を斬らなかった!舐めてんのか、てめぇっ!?」

提督「……全力でいくとは言ったが、お前を斬るとは一言も言っていない。」

提督「お前はこれから俺の部下になるんだ。こんなところで死なれてもらっちゃ困る。」

提督「……それに…仮にもお前は女の子だろ?傷はその左目だけでもう十分過ぎる。」

提督「お前を傷つけず、戦闘不能になってもらう…そのための最善の一手を打っただけだ…」

天龍「…………」

天龍「なぁ…もし本気で俺を殺そうとしていたらどうなる?」

提督「小細工なんか使わない。お前が剣を構えた瞬間に首を刎ねていた。」

提督「いくらお前たち艦娘が丈夫だろうと、鋼鉄を斬るよりも難しいはずはない。一瞬でお前は絶命していた。」

天龍「はは。あんた、艤装でもなんでもない普通の刀で鉄斬れんのかよ…」

提督「コツさえ掴めばそのうちお前でもできるようになるぞ?」

天龍「…………」

その時、初めてそいつ…提督のことを意識しだした自分がいることに気付いた。
敗北したことなんていつの間にかどうでもよくなっていた。提督のことをもっと知りたいと思った。

生まれて初めて、心の底からついていきたい、と思った人に出逢えた。それが不思議と悪い気分じゃなかった。




天龍「…えと…………けだ……」

提督「ん?」

天龍「お前と決着を着けるためだけだ!そのためだけに俺はお前について行ってやる!」

天龍「決着はまだついてない!今の勝負。お前も、もちろん俺だって…まだ本気なんて出してない。いずれ本気でやりあって決着をつけてやる!」

天龍「だからそれまでの間…お前のもとでこの天龍様が戦ってやる。感謝しろよなっ!?」

提督「……そうか。それならそれでもいい。お前がそうしたいならこちらとしても願ったり叶ったりだ。」

提督「では、これからよろしく頼む。お前の活躍…期待しているぞ。」

天龍「へっ、当たり前だろ。バリバリ深海棲艦どもを蹴散らしてやるさ。ただし、勘違いすんなよ。俺は馴れ合うつもりはねぇ。あくまでてめぇを倒すまでの間だからな!?」

提督「ふっ。そうかそうか。そうだな(笑)」

天龍「て、てめぇ、笑うんじゃねぇ!今にみてろよな!」

提督「なんかそのセリフどっか別の人から聞いたな…」


この提督なら付いていける。どんな相手にも負けない強さとどんな相手にも揺らがない優しさを兼ねそろえたコイツとならやっていける、俺はそう思った。

そうして俺はこの鎮守府にやってきた。そのあとも色々とやっかいな出来事が起こるのはまた別の話だけどな…

……………………

……………………

天龍「ってことがあったわけよ!どうだ…面白かったろ?そういうわけで俺と提督の因縁が始まったんだよ。」

望月「……提督が強かったってのと、天龍が提督大好きなのはわかったよ…」

望月「でもさぁ、肝心の昔の鎮守府の話を省くってどういうことさ…ホントはそっちの方が聞きたかったんだけど…」

天龍「んなこたぁどうでもいいだろ!ほら、なんか感想ないのかよ! 負けたけど、俺…滅茶苦茶かっこよかったろ!」

響「ダメだね。興奮して自分の話ししか頭の中にない…」

望月「あぁ~~めんどくせぇ~~~」イライラ

天龍「でさ、でさ。そのあとも俺がうんちゃらかんちゃら、提督がなんたらかんたら……」

………………………

……………………

望月「って話を天龍がしてたんだけど…実のところどうなのさ、提督?」

サイボーグ提督「嘘に決まってるだろ。9割9分あいつの妄想による脚色だよ。」

提督「確かに…あいつが喧嘩で謹慎処分くらってるところを俺が拾ってやったのはほんとだし、出会い頭にそれをバカにした俺とアイツが殴り合いにはなったりはしたさ。」

提督「でも冷静に考えてみろ。そんな互いに刃物を向けての殺し合いなんて事件があったら問題にならないはずがないだろ?」

提督「それにな。サイボーグになった今ならいざ知らず…人間だった頃の俺にそんなことができるわけないじゃないか。」

提督「なんだよwww『コツを掴めば鉄すら斬れる キリッ』ってwww漫画の読みすぎだろwww」

提督「というわけで、だ。あいつの話は冗談半分に聞いとけ。お前まであいつみたいな厨二病になるぞ。」

望月「あぁ~やっぱそう?まぁ、そうだよねぇ~~。わかったよぉ。」

提督「ちゃんとした昔話なら、また今度してやるからな。」

望月「期待しないで待ってるよぉ~。」

提督「あ、そうだ望月。一つ聞きたいことがある。」

望月「んん~、なに~?」

提督「……天龍のヤツ、最近またおっぱいでかくなったよな…お前、あいつのサイズわかる?」

望月「…………本人に直接聞けよ…」ドアガチャン

提督「…………行ったか…」

提督「天龍のヤツ、余計なこと喋りやがって…」

提督「あとで適当にいじって遊んでやるか……」



提督「それにしても……」

提督「あいつも随分丸くなったよなぁ……うん。」


提督「天龍…お前は今、幸せか……?」

提督「なんてな……さて、仕事仕事。」ウィィン ガチャ

『サイボーグ提督と改装』

明石「提督、改装しましょう。」

提督「随分と唐突だな…ぶっちゃけこれ以上この身体をいじる必要あるか……?」

明石「もちろんです!私たちの飽くなき知的好奇心の充足と人類進歩の可能性のその先は…提督のその身体にかかってるんですから!」

提督「どうせあっても9:1くらいの比率だろ…俺はお前たちのおもちゃじゃねえんだぞ!」

明石「というわけで… 提督『スルーはやめて…』 …提督に行う次の改造について、どんな風になって欲しいか。その案を皆さんに考えてきてもらいました。どうぞっ」


ゾロゾロ ゾロゾロ


提督「多っ……なに?なんでこんなにノリノリなのキミたち?」

明石「さて、早速順に紹介してもらいましょう。まず一人目は吹雪さんです。」

提督「!?」

吹雪「はい。私の案は……」

提督「ちょっと待って、ふーふーきーくーんー。キミは何しているのかな?」

吹雪「なにって…もちろん提督のための改造案を発表したいのですが…」

提督「キミってそんなに乗り気だったっけ?最初の頃、割とこの身体の機能にドン引きしてた気がするんだけど…」

吹雪「……流石にもう慣れました!今ではむしろ提督の新しい機能を見れることを楽しみにしてます!」

提督「」

吹雪「ゴホン では続けますね。私の案は…『千変万化!甘い提督フェイス!』です!」

明石「おぉ。いったいどんなものなんですか?」

吹雪「内容は単純です。提督が様々なタイプのイケメンに一瞬で変装できるようになる機能です。」

提督「ふぶきがこわれた。」

吹雪「提督は…その…今のままでも十分イケメンですけど///」

吹雪「たまには違った提督も見て見たい……より自分の好みのタイプに近づいた提督とお話ししたい。」

吹雪「そんな提督LOVE勢に向けた、文字通りの魅力的な改造案だと思います! 毎日キラキラ間違いなしですよっ!」

艦娘たち「ゴクリ……」

明石「なるほど…一気にみなさんのハートを鷲掴みにしましたね。これは最有力候補案ですよ!流石は初期艦ですね!」

提督「なにこれ、スピーチコンテストか何かなの?」

明石「では、次いってみましょう。次は時雨さんです。」

提督「(いやな予感がする)」

提督「………」ガタガタ

時雨「うん。最初に断わっておくけど、実は…僕は別に提督の身体をこれ以上改造して欲しいなんて思っていないんだ。」

提督「!? 時雨…まさか……やっぱりお前は天使だったんだな…!」

時雨「天使だなんて///やめてよ。照れるじゃないか///」

明石「おっと~、ダメですよ時雨さん。ここに来たからにはきちんと発表してもらわないと~」

時雨「勘違いしないでもらえるかな?僕がここに来たのにはきちんとした理由があるんだよ。」

時雨「今日はね、僕は怒っているんだ。こんな馬鹿げた催しが開かれるって聞いて、みんなにどうしても言いたいことがあって来たんだ。」

ざわざわ…  
      ざわざわ…

提督「……時雨…俺のために…」グスッ

時雨「提督をこれ以上みんなの好き勝手にさせるわけにはいかないよ。」




時雨「だって、提督のその身体はもう…この僕だけのものなんだから…」ハイライトオフ

提督「え」

時雨「みんなが悪いんだよ?みんながよってたかって提督に無理させるから…」

時雨「僕には聞こえるんだ…提督が僕に助けを呼んでいる声が。」

時雨「最近は、起きているときも、寝ているときも……ずっとずっと。」

時雨「僕は提督に選ばれたんだよ。提督のことを救ってあげる存在として。」

時雨「提督には僕がいないとダメなんだ。僕だけが提督のことを癒してあげることができるんだ。」

時雨「だからね。もう誰にも提督に近づけやさせないよ。」

時雨「安心してよ提督、キミのことは僕が守ってあげる。ううん…これから先ずっと僕が傍にいてあげるんだ。」


時雨「ね、提督♡」ニコッ


提督「」ゾクッ

艦娘たち「」ドン引き

シュバッ

???「イヤーッ!!」アテミ

時雨「!? ……」ガクッ


提督「お、おまえは!? センダイ=サン!?」

川内「ドーモ。サイボーグ・テイトク=サン。センダイです。」

提督「おぉ。とにかく助かった…なんだよ、時雨のヤンデレ度が急激に上昇してたんだけど…」

川内「なんかね。夕張の作った『提督の好感度が上昇するスイッチ』が壊れたらしくてね。」

川内「一部の艦娘が暴走しちゃってるみたいなんだ。」

提督「ま た あ い つ か」ギリギリ

吹雪・明石・艦娘たち「…………」

提督「吹雪を含めた、ここにいる奴らがなんかおかしいのはそのせいか。」

川内「私はこれから元凶の夕張をハントしてくるから、提督も頑張ってね。」

川内「多分そいつら、提督のこと襲って無理やり改造しようとしてくるから。」

提督「」

川内「じゃ。」シュバッ

提督「ちょまっ」

オタッシャデー カラダニキヲツケテネ!

明石「まさかこんなに早くバレてしまうとは、川内さんはやはり優秀ですね。」

提督「ははっ、そうだな…」

明石「提督。私、変なんです。今朝からずっと…ずっと…提督のことを改造したくてしたくてうずうずしてるんです」

明石「提督の身体をいじっているのを想像するだけで…もう色々なんだかおかしくなっちゃいそうなんですよ」ハイライトオフ

吹雪「えへへ。イケメン…イケメンな提督がいっぱい……ジュルリ」ハイライトオフ

千歳「ショタですよ!提督をショタに改造です!」ハイライトオフ

利根「提督を吾輩のカタパルトに改造するのじゃ…」ハイライトオフ

島風「改造……提督をはっやーいバイクに改造……」ハイライトオフ

榛名「はい。榛名は提督がクレーンになっても大丈夫です!」ハイライトオフ

日向「瑞雲……提督を瑞雲に改造して突撃…これだ!」ハイライトオフ

全員「」ジリジリ


提督「や、やめてくれ。あと、ほとんどの連中は俺のことをトランスフォーマーかなんかと勘違いしてないか……」

とりあえずここまでです。

あと、吹雪のセリフは 提督→司令官 です

また再開していきます。

ジリ…… ジリ……ジリジリ……

提督「くっ、こいつら…どんどん迫ってくる。このままじゃ…」

提督の背後には徐々に壁が迫っていた。まさに四面楚歌とも呼べる状況で提督は自分が何者であるかを改めて思い出した。

提督「待てよ。俺はサイボーグだぞ。あのターミネーターとほぼ同じ身体を持っているんだ。」

提督「よし……仕方ない…ええい、ままよ!」

提督は後ずさりをやめ、一転壁に向かって走り出す。
そして……その鋼の身体を体当たりの要領で思いっきり壁に叩きつけたのだ!

ドガァァン

ボロボロ ボロボロ

なんと…提督の並外れた義体の出力によって頑丈な壁は脆くも崩れ去った。そして壁の向こうの廊下で埃にまみれながらも提督は傷一つなく立ち上がった。

提督「……さすがサイボーグ。なんともねぇぜ。まるでシュワちゃんにでもなった気分だ。」ウィィン

艦娘たち「!!」アゼン

提督「おっと…こうしちゃいられない。あいつらがポカンとしているうちに逃げなきゃな…」

提督「神経加速装置-アクセラレータ-(出力超低下版)起動…同時に補助システム起動!チェック……OK…即座にロケットブースターmodeに移行!」キィィン!

提督は一連の高速移動用補助システムを即座に起動する。
予め決められたルーチンに従って提督の身体は複雑な変形を一瞬にして完了させる。

提督の脚部は機械部分が完全に露出し、すねまで覆われた鋼鉄の皮膚がブーツを象っていた。
背部にはブースタータンクが現れ、それに応じて提督の身体の至る部分が衝撃を外に逃がす為ののシャープな構造へと変形していく。

提督「よし!いくぞっ!」

シュバッ!!!

一瞬にして提督の姿がその場から消える。塵すら残さずに。
そしてその場には静寂と…唖然とした顔つきの艦娘たちが残された。

明石「…………」ピッピッピッ

トゥルルルル…

明石「…提督が逃走しました。ええ…そうです…すぐにアレで追いなさい。」

明石「手段は問いません。多少荒っぽいことをしても大丈夫です…えぇ。そこは開発者である私が保証します。」

明石「分かりましたね…では、期待していますよ…」ピッ


明石「あぁん、提督ぅ……随分焦らすんですねぇ……」

明石「でもすぐにみつけて私が解体(バラ)して、改修(いじくりまわ)して、改造(つくりなお)してあげますからねぇ……」

明石「ふふっ…みなさんもたのしみですよねぇ……」

艦娘たち「うふふふふふふふふふふふ」ニタァ

明石「ではいきましょう…私たちの理想の提督を作り出すためにっ!!」


ゾロゾロ… ゾロゾロ…



……………………

時雨「うっ…ここは……」スクッ

時雨「確か夕張からもらったスイッチを押して…それから……」


時雨「…………!!」

時雨「思い出したよ…僕はなんてことを…」

時雨「こうしちゃいられないっ、まだ変になってないみんなにこのことを伝えなきゃ…」

時雨「待ってて…提督。 どうか無事でいてね…」フラフラ

鎮守府訓練場


シュバッ

提督「ふぅ…ここまでくればとりあえずのところは大丈夫だろ。」

提督の身体はまた即座に変形し、普段通りの姿へと戻る。

提督「さっきのモードもエネルギー消費が激しすぎて長くはもたない。次使うのはもっと追い詰められた時だけだな。」

提督「…さて、ここならたしか……いたいた…」

提督「おーい!長門!!助けてくれーーー!」





走り込みをしていた長門「ん?なんだ、提督か……」

長門「すまんが、見ての通り訓練中でな…用があるなら金剛にでも……」

提督「うわぁぁん、ナガえもん~~!こわかったよぉ~~」ダキツキ

長門「うわっ、やめろっ…いい大人が情けない!」

長門「それにっ…今の私はきっと…汗臭い…から…その…はなれて…くれ…///」

長門は乙女だった。

提督「かくかくしかじか」

長門「まるまるうまうま」


長門「……なるほど。それで提督は明石達から逃げてきた、と。」

提督「あぁ。それでとりあえず居場所を把握している限りで一番頼りになりそうなお前のところに来てみたんだ。」

提督「天龍は今遠征に出ていてここにはいないし…金剛は、こんなときに限ってどこにいるかわからんし…」

長門「そうか。」


長門「よし、わかった!ここから先の提督の護衛はこの長門に任せておけ!」

長門「ふっ、何人たりとも提督に触れることは敵わんさ。このビッグセブンがついている限りはな!」

提督「おぉ。その自信…さすがはうちの最強艦娘候補。その名は伊達ではないようだな。期待しているぞ。」


長門「ところで、もう一度確認するが…この事態を収める手段はまだ判明しているわけじゃないんだな?」

提督「あぁ…だが、みんながおかしくなった元凶の夕張博士を捕まえれば状況は変わるだろう。」

提督「夕張に関してはセンダイ=サンに一任してある。あいつならまぁ、なんとかしてくれるだろう。」

長門「ふむ。つまり問題はその間の時間稼ぎだな。それくらいならばたやすい。」

提督「あぁ…お前がいてくれて本当に良かったよ。ありがとう、長門。」

長門「よしてくれ…照れる///」

長門「さて、ここに長居するのはよくない。そろそろ移動を……」


2人が移動しようとしたその時だった…

ドドドドドドドドドドドド ドドドドドドドドドドド

2人の耳に何か巨大な駆動音が響く。
まるで重機かなにかのような…そんな謎の存在が高速でこちらに近づいていたのだった。

2人「な、なんだ…?」

そしてそれはついに2人の前に姿を現す。

モーター・連装砲=サン「ガガガ ピー ドーモ。サイボーグ・テイトク=サン。モーター・連装砲です。」

2人の前に現れたのは、全長数10m以上はあろう巨体を持った歩行型戦車であった。
その姿は、いつも島風の傍にいる連装砲ちゃん…に一見似てはいるものの、その実…巨大で禍々しいまでの重武装を各部に搭載しており、最早モデルとなったモノの原型など残ってはいなかった。

提督「アイエエエエエエ! メタルギアナンデ!?」

長門「なんなのだ、これは…一体どうすればよいのだ!?」センリツ

モーター・連装砲=サン「今なら随時投降を受け入れています。アカシは寛大です。」ガチャコン

そう欺瞞めいた勧告をしながらもモーター・連装砲は、搭載された主砲・46cm三連装砲の砲口を一斉に提督たちへと向ける。アブナイ!

提督「くそっ、おいおい。やるしかねぇのかよ!」チャキッ カタナカマエ

長門「…いや、待ってくれっ…中に、妖精さんがいるぞっ」

よく見れば、コックピッドのようなところにいつもは工廠で働く妖精さんたちが乗っていることに長門は気付いた。

妖精さんたち「スミマセェン スミマセェン」ガクガクブルブル

どうやら、明石によって無理やり乗せられたらしい。

提督「それじゃあ戦えないじゃないか!妖精さんたちを戦闘の巻き添えになんかできない!」

提督「明石め……なんて卑劣なメカを……!」

モーター・連装砲「ガガガ ピー 今もなお投降を受け入れています。実際投降は早い方が得です。」

提督「くっ、どうすればいい…(逃げること自体は出来るが…長門を置いていくわけにはいかないっ)」


長門「……提督。今、私をおいて逃げるわけにはいかない…なんて想像をしたな…」

提督「…どうやら筒抜けみたいだな。」

長門「提督はお人好しだからな……こんな状況なら誰でも一目散に逃げるのが当たり前だ。」

長門「それでも提督はなんとか戦おうとしている。」

長門「だが、その心意気だけで私は満足だ。これであなたのために全力で戦うことができる。」

提督「長門…まさか…やめろっ、これはあまりにも予想外すぎるっ。第一お前は今艤装はないだろ!?」

長門「さっき約束しただろう?あなたは私が守る、と。艤装など必要ない。私には限界まで鍛え上げた己の肉体と、誇りという立派な武器がある。」

長門「それに、私はあなたの艦娘だ。こんなところで死ぬわけにはいかない。」

長門「私を信じて、先に行ってくれ。提督。」ニコッ

提督「な、長門……お前…(そうか、そうだな…今俺がするべきことはただ信じることだったんだ。)」

提督「(わかった。俺はお前を信じることにするよ。)」

提督「長門、ここは頼んだぞ。」

長門「あぁ、任せてくれ。」

長門「あぁ、そうだ提督。時間を稼ぐのはいいが……」

提督「ん?」


長門「別 に ア レ を 倒 し て し ま っ て も 構 わ ん の だ ろ う ? 」



提督「…………………………」

提督「さよなら、長門。」

今日はここまでです。

次回、長門死す! デュエル、スタンバイッ!

おまけ『サイボーグ提督と妖精さん その1』

吹雪です!普段は秘書艦をやらせていただいています。これでも結構強いんですよ?
自己紹介はこれぐらいにして、今回はサイボーグとなってしまった司令官と、とある妖精さんとの悲劇についてお話したいと思います。

さて、まず前提から。司令官が提督たるために必要な条件についてです。

第一に、非常に優秀な人物であること。肉体面においても精神面においても強さが求められます。当然仕事の速さや頭の良さもある程度以上は必要です。

次に、艦娘との親和性を持っていること。艦娘を統率するためにはどんな形であれ、ある種のカリスマ性や魅力が必要なんです。
艦娘が提督に好意を持つのではなく、艦娘から好意を持たれる人物だからこそ提督になれるんです。

最後に…霊的存在である、「妖精さん」を知覚し、会話することが出来る…ということ。多少の霊感も必要です。
妖精さんは、私たちとともに戦ってくれる頼れる味方です。縁の下の力持ち、ですね。


結論から言うと、司令官は実は最後の条件に関しては提督失格なんです。
正確には、「今は」ですね。

そう。提督はサイボーグになって霊感をほぼ失いました。
悲しいことに、このことによって彼らに別れが訪れることになったのです…


回想 工廠にて

提督「いつもご苦労さん。ほら、お前の欲しがってたお菓子だよ。わざわざ取り寄せたんだ。」

吹雪の初期装備の12.7cm連装砲の妖精さん「アリガトウ ウレシイ」ボリボリ

提督「もうそろそろ5年も経つのか…お前と俺が最初に出逢ってから。」

妖精さん「ソウダネ アノコロテイトクマダワカカッタ」

提督「はは。今でもまだ全然若いさ。人生は三十路からが本番なのさ。ここからどう生きるかでそいつの価値が決まる。」

妖精さん「ワタシ ニンゲンジャナイカラワカラナイ」

提督「くっくっくっ 人間はいいぞ。こんなにも可能性にあふれる存在は人間だけだ。その気になりさえすればなんだって出来る。」

妖精さん「ヘー ナラワタシニンゲンニナリタイ ドウスレバイイノ」

提督「さぁな……頑張ればいつかはなれるんじゃないか?」

妖精さん「テイトク テキトウ キライ」

提督「すまんすまん、許してくれ。今度またお菓子もってくるからさ。」

妖精さん「ホントウ」

提督「本当だって。じゃがりこもおまけするからさ。」

妖精さん「ナラ テイトクユルス」

提督「よかったよかった。」

提督「まぁ、本音をいうならさ。お前にはこのままでいて…」

提督「この戦争が終わるまで…吹雪のヤツを守ってやって欲しい。」

妖精さん「ン ワカッタ テイトクガソウイウナラ」ボリボリ

提督「よっしゃ、それじゃ頼んだぜ!親友!」

妖精さん「シンユウ…」ボリボリ

提督「これからもよろしくな……」


回想終わり

現在

吹雪「作戦完了です。司令官!」

妖精さん「…………」

サイボーグ提督「おう、おかえり。どうやら無事みたいだな。」

吹雪「はい!」

提督「そういえば……妖精さんも頑張っているか?」

妖精さん「!?」

吹雪「はい。いつもお世話になってます。本当に。今日もここにいますよ。」

吹雪「けど、最近はあんまり元気ありません。やっぱり司令官とお話し出来なくなったのがショックみたいで…」

提督「…………」 妖精さん「…………」

吹雪「あの…よろしければ私が通訳しますよ!それなら問題はな……」

提督「吹雪。もう下がっていいぞ。今日は疲れただろ。ゆっくり休むといい。」

吹雪「……司令官…」

提督「前に言っただろ。もう俺があいつの親友である資格なんてない。」

提督「傍にいることすら認識できない親友なんてものはない。」

提督「妖精さん、そこにいるなら聞いてくれ。」

提督「もう俺のことは忘れるんだ。恨んだって悲しんだってもう意味はない。俺は認識できないのだから。」

提督「そうなってもお前が辛いだけだ。だから…もう忘れてくれ…」

妖精さん「テイトク…グスンッ」ウルッ

吹雪「わかりました…ではそろそろ失礼します……司令官、おやすみなさい。」

提督「あぁ、お休み」

妖精さん「グスンッ……テイトク…オヤスミ」


私だってわかっています。司令官だって辛いということは。

でも、いつかは。そうきっと。彼らがまた親友に戻れる日が来る、と。私はそう心から願っています。

ぼちぼち再開していきます

提督「前回までのあらすじ」

提督「明石たち一部の艦娘が狂って、危うく襲われかける」

提督「長門に助けを求めるも、すぐにメタルギア・連装砲ちゃんの襲撃を受ける」

提督「間髪入れず長門が死亡フラグをたてる」

提督「あらすじおわり」

提督「…………」

提督「さよなら、長門…」

提督「加速装置起動!」キィィン

モーター・連装砲=サン「ピガガ 逃がしません。主砲、一斉射。」

提督が加速装置を起動するタイミングを計ってモーター・連装砲は即座に超威力の大口径主砲を発射する。
通常ならば絶望的な状況だ。しかし、結果的にその砲弾が彼らに命中することはなかった。

長門「ぬおぉぉぉぉぉ!」ドンッ!!

提督に向かって高速で飛来する砲弾を……あろうことか長門は素手で殴り飛ばした。
…しかも、彼女の殴り飛ばした砲弾はまた別の砲弾に当たり…その場で爆発した。

提督は高速化する意識の中で確かにそれを目撃したのだった。

提督「(流石だな、長門。まさに神業だ。なら、俺も…少しは格好つけさせてもらうか。)」チャキッ

依然として脅威はもう一つ残っている。長門が撃ち漏らした(?)巨大な砲弾が提督の目と鼻の先に迫っていた。
けれども、たった今意識の高速化が完了し…周囲の光景がまるでスロー再生のように映っている提督にとってそれはただの的にしか過ぎなかった。

提督「…………!!」スッ

提督は居合の要領で刀を抜く。その瞬間、神速の斬撃がその腕から繰り出された。
大胆に、かつ流麗に。銀円が幾重にも弧を描き……飛来する弾丸を切り刻んだ。

モーター・連装砲「ピ…ガガ…? ターゲット、両名生存。ナンデ…?」オロオロ

長門「今だっ! ここから離れろっ!」

提督「……死ぬなよっ!?」ダッ


長門「さて、さっさと倒してしまうか。」

長門「提督から与えられた依頼は遂行する。妖精さんたちを救う。両方やらなくてはならないのが戦艦の辛いところだな…」

長門「覚悟はいいか? 私はできてる。」


モーター・連装砲「ピガガ 状況更新。ターゲット変更。優先抹殺対象、戦艦長門。」

モーター・連装砲「次発、装填。」

モーター・連装砲「戦闘、開始。」

提督「と、とりあえず追っては来ていないみたいだな…」

提督「長門……」

提督「いや、大丈夫。露骨な死亡フラグは逆に生存フラグにもなったりするし…」

提督「……なんてジョークはやめよう。今はアイツを信じるんだ。」


???「見つけましたよ。」

提督「お前は…」

吹雪「しれいかぁ~ん……ふふふ。」

千歳「この鎮守府にいる以上、私の艦載機からは逃げられませんよ。て・い・と・く」

榛名「勝手は、榛名が、許しません♡」

吹雪「さぁ、大人しく私たちと一緒に来てください。提督に「いいこと」たくさんしてあげちゃいます!」


提督「そいつは楽しみだなぁ。こんな美少女たちに囲まれてる今も十分楽しいけど。」

提督「普段通りだったらな…」

再開します

提督(俺に出来ることは限られている。)

提督(俺にこいつらを傷つけることはできない。仮にも大切な部下達だ。)

提督(だからといって、いつの間にか艤装を持ち出してるこいつらから延々と逃げ続けることは不可能だ。)

提督(ならやるべきことは一つ)


提督(今ここでこいつらを正気に戻す。それしか方法はない。)

提督「なぁ、お前たちは本当に自分の意志でこんなことがしたいと思ってやっているのか?」

吹雪「当然ですよ。私たちの目的は、司令官を自分好みに改造すること。そのためならどんなことだってしてみせます。」

提督「そんなはずはない。お前たち3人はもっと他人想いで優しい性格の女の子だったじゃないか。少なくともそんな自分勝手なことができるようなタイプじゃない。」

千歳「そんなのは提督の勝手な妄想です。私たち艦娘は元々こんなものですよ。」

榛名「えぇ。本当にその通りです。提督には私たちのことなんかわかりっこないです。」

3人「「「だから早くあなたを改造しなくちゃ 私好みになるように」」」


提督(やっぱりどうもおかしい。たかが好感度がどうとかでなるような状態じゃない。)

提督(なぜなら、今のこいつらには一切のデレがない。いや、正確には感情を感じられないといった方が正しいか。)

提督(それに元々こいつらにこんな性癖は持ち合わせてはいないしな。)

提督(なるほど。少しだけ読めてきた。こいつらに今何が起きているのか…)

提督(それならば……)

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