冬馬「ハイファイ☆デイズ?」 (519)

山村「前に『天ヶ瀬冬馬にぜひ歌ってもらいたい曲プロジェクト』というのを行ったのは覚えていますね?」


冬馬「あ、ああ。そういえばそんなのあったな」


山村「その冬馬さんにぜひ歌ってもらいたい曲でNo.1に選ばれたのがハイファイ☆デイズだってプロデューサーさんが言ってました!」


冬馬「えっ?」


北斗「凄いじゃないか冬馬!まさかあのハイファイ☆デイズをカバーすることになるなんて!」


冬馬「えっ?」


翔太「これは責任重大だね♪生半可な気持ちで歌ったらせっかく選んでくれたファンのみんなが悲しんじゃうよ!」


冬馬「えっ?」

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冬馬「いやおいちょっと待ってくれ。マジで俺がハイファイ☆デイズを歌うのか?」


山村「はい、ちなみに2位はTAKE ME HIGHERでした」


冬馬「いやそうじゃなくて、なんかの間違いじゃないのか?俺がハイファイ☆デイズを歌うだなんて…」


冬馬「もふもふえんの間違いだろ、まさか俺が……」


北斗「冬馬、現実を受け入れろ」


翔太「恥ずかしい気持ちわかるよ、うんうん」


翔太「でもその恥ずかしさを乗り越えないと、トップアイドルとしてやっていけないと思うよ?」


冬馬「あっ…えぇっと……」




冬馬「……マジかよ」

冬馬「これは誰かの嫌がらせや陰謀じゃないのか?組織票でこうなっただけだろこれ!」


冬馬「どうせ『天ヶ瀬冬馬にカバーしてもらいたい曲でハイファイ☆デイズを1位にしてあまとうを泣かせようぜwww』とかくだらねーことをして1位にしたんだろ!そうだろ!」


山村「いえ、少なくとも不正は見当たらなかったようです」


冬馬「マジで?」


北斗「つまり、純粋に冬馬の歌うハイファイ☆デイズを聞きたい人がたくさんいるというわけだな」


翔太「残念だったね不正じゃなくて♪」


冬馬「くぅぅぅぅぅぅ!!!」

冬馬「……まあ、歌なら別にいいか。どうせみんなに俺が歌っている姿を見せるわけじゃねぇしな」


山村「ちなみにプロデューサーさんが言うには次の次のソロライブでハイファイ☆デイズを披露するそうですよ」


冬馬「はぁ!?」


山村「もちろん振付込みで」


冬馬「はあぁああぁあぁぁあぁあぁぁぁ!!?」


山村「あ、でも衣装はいつもの奴で大丈夫なので安心してください」


冬馬「何から安心するんだよ!そこじゃねぇよ大事なのはよ!」


北斗「冬馬がアレを踊るのか」


翔太「ちょっと見てみたいね!」


冬馬「えっ…あぁ……何でだよ?」

冬馬「えっと……俺、そのライブの日に予定があるんだ。だから…」


北斗「どんなライブでも全力全快で挑むのが冬馬のスタイルじゃないのか?」


冬馬「いや……それとこれとは話が別……」


翔太「逃げるの?自信無いの?恥ずかしいからってファンのみんなの期待を裏切るの?」


冬馬「あっ…その……でもぉ……」ウルウル


北斗「俺たちの知っている天ヶ瀬冬馬は、ジュピターのリーダーは」


北斗「決してライブを妥協しない、熱くてまっすぐな心を持ち、常に最高のパフォーマンスを見せつけることで頭が一杯な男だった」


北斗「だけど今のお前は何だ?たかがカバー曲一つ歌うのを躊躇っている腰抜けじゃないか」


冬馬「!?腰抜け……だと!?」

翔太「そうだよ!歌うのが嫌だからと言ってやりもせずに逃げるなんて卑怯だよ!冬馬君の腰抜け!」


冬馬「俺は…俺はァ……」




冬馬「恥かくくらいなら腰抜けで構わねぇよ!!!」ドォォォォン!!!



3人(開き直った!!!)

冬馬「やってられるか!今日はもう帰る!」


北斗「あっ!ちょっと!」


冬馬「うるせぇよ畜生!人がせっかく困っているのに茶化したりおもちゃにしやがって!」


冬馬「ふざけんじゃねーよバーカ!」ダッ


北斗「ああ…行っちゃった……」


翔太「なんかいつもよりもっと子供っぽくなってない?」


北斗「よっぽど歌うのが嫌だったのか……」


山村「でもライブの内容を変更することはできませんので」


北斗「意地でもレッスンさせないとな」

翌日


運動公園


冬馬「あぁ~~~……朝日が眩しいぜぇ…、芝生の匂いも中々いいぜ…」


冬馬「しかし、昨日はつい勢い余って飛び出してきたが…」


冬馬「今思い返してみると……」


冬馬「……やっぱだめだ、どうも歌う気が起きねぇ…」


冬馬「俺がレッツゴーっと言いながらジャンプしたりスマイルダブルピース噛ましたり……いや、これは普通にライブでやったりしてるか」


冬馬「だがどうもやる気が……あぁ畜生!一体どうしたらいいんだよ!」


冬馬「クソッ、考えても埒が明かねぇ……仕方ねぇ…寝るか」

冬馬「ZZz……ZZz……」


ムギュウッッ!!!


冬馬「ふごぉッ!!!」


千枝「あっ!ご…ごめんなさい!」


冬馬「おぉ…おごっ……おぉ…!」プルプル


千枝「だ、大丈夫ですか…?」


冬馬「がっ…き、ぐふっ…ぐぅおぉぉ…!」


千枝「どうしよう…転がるほどお腹を押さえて痛がってる」


薫「千枝ちゃーん!どうしたの?逃げないの!?捕まえちゃうよー!」


千枝「薫ちゃん!実はさっきうっかり人を踏みつけちゃって…」


薫「え、そうなの!?それじゃあ早く手当てしないと!」

冬馬「はぁ……はぁ……はぁ……」ゼェハァ…


千枝「あの…大丈夫ですか?」


薫「はいお水」


冬馬「ああ、サンキュウ。おかげで大分楽になったぜ。ふぅ…」


千枝「あの…ご、ごめんなさい!千枝、鬼ごっこしているときにうっかりお兄さんを踏んじゃって…」


冬馬「いいよ別に、わざとじゃないんだろ。だが次はちゃんと気を付けるんだぞ」


千枝「は、はい…」


薫「よかったね!じゅーしょーじゃなくて!」


冬馬「子供が踏んだくらいで重傷なんかにならねぇよ。それに俺は結構頑丈だしな」


薫「そーなんだ!お兄ちゃん強いんだね!」


冬馬「まぁな!」

桃華「ちょっと!二人ともどういうつもりですの!」


千枝「あ、桃華ちゃん」


桃華「さっきからずっと追いかけて来ないからこちらから参りましたわ!」


桃華「一体何があったのですの!」


仁奈「もう仁奈!待ちくたびれたのでごぜーますよ!」


みりあ「ねぇ。そこのお兄さんは誰なの?」


冬馬「え?俺は?俺は…」


桃華「もしかして……二人ともその殿方に絡まられて…」


冬馬「え?」


みりあ「そうなの?お兄さんもロリコンなの?」


冬馬「お、おい!待てよ勝手に話を進めないでくれ!」

桃華「成程、そういうことでしたの」


みりあ「千枝ちゃんって意外と慌てん坊だね!」


千枝「うぅ…ごめんなさい…」


冬馬「だからもういいってば」


仁奈「ところでおにーさんは誰でごぜーますか?」


冬馬「俺か?見てわからねぇか?」


5人「わかりません」


冬馬「くっ、いくら普段着だからってここまでざっくり言われると傷付くぜ…」


仁奈「おにーさん有名なんですか?」


冬馬「ああ、俺はジュピターのリーダー、天ヶ瀬冬馬だ!」


5人「えぇ―z______ッ!!!」

桃華「そ、そういえばよく見たら顔、同じですわね」


みりあ「凄い!本物初めて見た!」


薫「何でこんなところにいるの!」


仁奈「珍しいこともあるですね」


冬馬「人を珍獣扱いするんじゃない!」


千枝「お兄さん、ジュピターのリーダーだったんですか」


冬馬「ああ、そうだ……ん?」

冬馬「お前たち…まさか」


5人「えっ?」


冬馬「ハイファイ☆デイズを歌ったリトルマーチングバンドガールズじゃないのか?メンバ―全員同じだ」


桃華「ど、どうしてわかりましたの…?しかも正式名称まで把握しているなんて…まさかロリコン…」


冬馬「だから違えって!つーかこの最近の業界で知らないほうが珍しいんじゃないのか?」


みりあ「そうなの?」


冬馬「ああ、お前たちのことはあっちこっちで有名だぜ」


みりあ「そっかぁ!みりあたちもついに有名人かぁ!」


千枝「千枝たちがみんなから知られている有名人…」


桃華「悪くない、いえ、とても気分が良いものですわね」

仁奈「ところでおにーさんはどうしてこんなところで寝ていたんですか?」


冬馬「えっ?俺か?あ、いや…日向ぼっこに最適かなって思ってな」


仁奈「何かなやみがあるのですか?」


冬馬「うっ!何故それを…!」


仁奈「ここで寝そべっている人の気持ちになっただけですよ」


冬馬「何?」


薫「仁奈ちゃんはね!動物や物や人の気持ちを考えてなりきるのが得意なんだよ!」


冬馬「っ……」


桃華「どうやら、図星のようですわね」


みりあ「私たちなら話し相手になってあげてもいいよ!」


千枝「さっきうっかりふんじゃったこともありますし…その、罪滅ぼし代わりに」


冬馬「……」


冬馬(まあ、こいつらなら話してやってもいいだろ。それにこの組み合わせはなんか偶然とは思えねぇ)


冬馬(ここでチャンスを逃したら、一生後悔しちまいそうだ)


冬馬(正直女子小学生相手に悩みを話すのは屈辱的だが…数千人の前で醜態晒すよりマシだ。…マシだよな?うん、マシだな、よし)


冬馬「実はな…」

桃華「なるほど、あなたがわたくしたちの曲を歌うのが恥ずかしいから逃げてここで不貞腐れていたということですね」


冬馬「ああ、ざっくり言うとそんな感じだな」


みりあ「ええ!お兄さん私たちの歌歌うの恥ずかしいの?」


冬馬「あ、いや。その…ああいう歌はお前たちみたいな可愛いやつが歌うことで魅力があがるわけで…」オロオロ


薫「わーい!ジュピターのリーダーに可愛いって褒められた!」


冬馬「あぁいや、そうじゃなくてその…、俺みたいなカッコいい男が歌うと歌とのギャップが激しすぎて似合ってなくて…」シドロモドロ


仁奈「自分で自分のことをカッコいいって言うんですか?」


みりあ「私知ってる!ナルシストって言うんでしょ!」


冬馬「だあああもう!だからそうじゃなくて!」


千枝「みんな悪気があってやってるわけじゃないんです。その…大目に見てあげてください」


冬馬「うぅ…胃が痛ぇ…」


千枝「えっ!まだ千枝が踏んだところが…」


冬馬「いや、そうじゃなくて。精神的な問題だから。だからそんな顔するなって…」アタフタ


桃華「お互い苦労しますわね。あなたの気持ち、よくわかりますわ」ウンウン

桃華「それで話を戻しますと」


桃華「要は次の次のライブのために歌と振付をマスターしなければいけないということですのね?」


冬馬「ああ、だが今の俺には情けねぇことに正直歌う勇気がねぇんだ。この年じゃ人前で歌うのは、恥ずかしいんだ…」


薫「そうなの?かおるたちは気にならなかったけど」


桃華「なるほど、あなたの言い分はよくわかりましたわ」


桃華「あなたの悩み、もしかしたらわたくしたちなら解決できるかもしれませんわ!」


冬馬「マジか!」


桃華「ええ、つまりその恥ずかしさを無くせばいい。そういうことでよろしいのでしょう?」


冬馬「ああ、だがそれができたら苦労はしねぇぜ」


冬馬「俺がどんな思いでたった一人で女子小学生たちの歌をステージで歌わされなきゃいけないのか、女子小学生のお前らにはわからねぇよ」


桃華「歌ってすらいないのに諦めるのですの?ジュピターのリーダーが聞いてあきれますわね!」


冬馬「!?」


千枝「ちょっと桃華ちゃん!言いすぎだよ」

桃華「やりもしないで諦めるなんて、あなたそれでも男ですの?」


冬馬「うっ!」グサッ


桃華「あなたにとってしっぽ巻いて逃げる恥ずかしさより歌う恥ずかしさのほうが上ですの?」


冬馬「ぐっ!」グサッ


桃華「正直情けないですわ…。カバー曲一つ歌えないトップアイドルなんて…」


冬馬「う…うぁぁああぁああぁあ……」ガクッ


みりあ「あっ、心折れた」

冬馬「俺は……俺は、一体どうしたらいいんだ…」


桃華「どうにかする方法、わたくし、知ってましてよ」


冬馬「本当か!」


千枝「方法あるの?」


桃華「もちろんですわ!要はやる気を出させてあげればいいわけなのでしょう!」


桃華「この櫻井桃華にお任せなさい!」


みりあ「わぁ!桃華ちゃんなんかすごく頼れる感じがして大人っぽい!」


冬馬「…」


冬馬(小学生に助けられるなんて、この光景は絶対知り合いに見せたくないな)


冬馬「わかった。もう藁にでも縋りたい気分だ。よろしく頼むぜ。桃華」


桃華「大船に乗ったつもりでいなさいな。ですがその前に」


冬馬「その前に?」


桃華「アレを食してからにしましょう」


冬馬「………アレねぇ」

仁奈「アイスうめーです!」ペロペロ


みりあ「すごい!3つも乗ったアイスなんて久しぶりだよ!」パクッ


薫「ありがとうお兄ちゃん!」


千枝「すみません、千枝たちの分まで」


冬馬「良いぜ別に、これから助けてもらえるわけだし、これはせめてものお礼だ。」


千枝「そうですか」


冬馬「にしても誰もイチゴ頼んでないんだな。俺くらいしかいないじゃないか」


桃華「イチゴは影すら見たくありませんわ」


冬馬「ふ~ん、うめぇのに」ペロペロ

桃華「さて、お腹も満足致しましたし、早速特訓の開始ですわ!」


冬馬「よろしく頼むぜ!」


桃華「それではまずは試しに踊ってみてもらえます?」


冬馬「なっ!?いきなりか!?」


桃華「当然ですわ!見なければ判断できようないですわ!」


冬馬「だ、だが…俺は生憎……歌詞や振付がわからないんだ」


桃華「そうなのですの?」


薫「そういえば一度も歌ってなかったんだよね」


冬馬「ああ、情けねぇ話だぜ」

桃華「仕方ありませんわ。みなさん!こうなったらわたくしたちで見本を見せますわよ!」


みりあ「うん!わかった」


仁奈「腕がなるですよ!」


薫「なんだか桃華ちゃんリーダーみたいだね!」


桃華「えっ?そういえば…」


桃華「申し訳ありません千枝さん。リーダーの座、奪ってしまいましたわ」


千枝「ううん、もうリーダーじゃないから気にしなくていいよ」


冬馬(この子がリーダーだったのか。てっきり桃華かと思ったぜ)

桃華「それでは一度しかやりませんからよくご覧になってくださいね!」


冬馬「ああ、わかったぜ」


冬馬(何だろう、正直この場の雰囲気辛い)


冬馬(だが今そんなこと気にしている場合じゃねぇ。しっかり見てマスターしねぇとな)

https://www.youtube.com/watch?v=PIE7GG2qdbI

冬馬「……」


桃華「どうですの?よくわかりました?」


冬馬「ああいや。ついうっかり俺まで夢中になっちまった」


冬馬「すげぇよマジで。小さいのにすごいパワフルな動きをするんだな」


みりあ「えへへ!褒められちゃった!」


千枝「ジュピターのお墨付きをもらえました!」


仁奈「これも何度もレッスンしたおかげです!」


冬馬「だが…見れば見るほど躊躇っちまう…。俺にあのパワフルさを再現できるのか?」

桃華「歌とダンスは覚えました?」


冬馬「あ、ああ。一通りは」


桃華「それじゃあやってみてくださいな。今この場にいるのはわたくしたちとあなたの計6人、何の恥ずかしいことはないはずですわ」


冬馬「……」


桃華「まだ躊躇っているんですの?」


薫「それじゃあかおるが勇気をわけてあげるね!」


冬馬「え?」

薫「はい、手をだして!」


冬馬「お、おう」スッ


ギュッ!


冬馬「っ!?」


薫「かおるがステージにあがるとき、せんせぇがよくこうして勇気をわけてくれたの!」


薫「どう?勇気出た?」


冬馬「あっ、えっと…」シドロモドロ


冬馬(や、柔らかくてあったけぇ!)


薫「まだ勇気出ないの?勇気足りなかったのかなー?」


みりあ「それじゃあ今度はみりあが勇気わける!」ギュッ!


冬馬(うぉ!さっきよりあったけぇ!)


桃華(相手がPちゃまじゃないと、ここまで見方が変わるものなのですね)


桃華「いつまで勇気をもらってますの?準備はまだかしら?」


冬馬「わ、わかった!今行くから!待ってろ!」アタフタ


みりあ「あはは!お兄ちゃん顔真っ赤だ!」


冬馬(くっ!こうなったら自棄だ!)




冬馬「あーしたへー!みーらいへー!」ビシッ


冬馬「きのーうーのーなーみーだーはー今日のー勇気ー」カクカク


冬馬「顔上げてー一緒にレッツゴー!」ブン!


5人(うわぁ…)


冬馬「ぜぇ…はぁ…どうだ!」


仁奈「……」ふるふる


薫(無言の目逸らし)


千枝「え、えっと…一生懸命やっていたところがよく伝わって…」オロオロ


みりあ(無表情)


桃華「はぁ…これは先が思いやられますわ…」


冬馬(えぇぇぇぇぇぇぇ……)ガクッ

冬馬「クソッ!やっぱ俺には無理なんだ!」


仁奈「諦めるのははえーでごぜーます!」


薫「そうだよ!まだ一回しかやってないよ!」


みりあ「ここで諦めたらみんなに笑われちゃうよ!」


冬馬「でもよぉ…」


桃華「正直、あれほど何がいけなかったのかわかりやすい歌とダンスは久しぶりに見ましたわ」


桃華「冬馬さん、あなたには足りないものがたくさんありますわ」


冬馬「俺に足りないものだと?」

桃華「ええ、情熱、キレ、歌、気品、優雅さ!」


桃華「そして何よりもあなたの歌から楽しんでいる思いが一切感じられませんわ!!」


冬馬「!?」


桃華「あなたもアイドルならわかるはずでしょう。アイドルにとって一番大事なのはファンのみんなに楽しさを伝えるのが大事じゃなくて?」


冬馬「あ、ああ。それは俺にもわかっている」


桃華「でもあなたにはそれが感じられない!感じられるのはまるで罰ゲームでもやらされているかのような負の感情ですわ!」


冬馬「ば、罰ゲーム…」


みりあ「そんなにこの歌歌うの嫌なのかな?」


仁奈「年頃の男子の気持ちはわからねーでごぜーますよ」

冬馬「確かにそうだ。今まで俺が歌ってきた歌は全部楽しんで歌うことができた」


冬馬「全部俺に、俺たちにマッチした歌と振付ばっかだったからな…」


冬馬「そしてこのハイファイ☆デイズはお前たちのために作られた歌だ。俺には合わねぇ」


冬馬「こんなの歌ったら…絶対ファンのみんなに笑われちまう!」


桃華「あのですね、歌に合う合わないもありませんことよ」


桃華「正直楽しんで歌えば、どんな歌もみんな合いますわ!」


冬馬「そんな馬鹿な…!」


桃華「嘘だと思うならこれを見てください」つスマホ


冬馬「これは?」


桃華「わたくしたち以外でハイファイ☆デイズを歌ったユニットのPVですわ」


冬馬「…」

瑞樹『あーしたへー!』


早苗『みーらいへー!』


美優『きのーうーの涙ーはー今日のー勇気―』


楓『かおあげーてー一緒に』


ウサミン『レッツゴー!!』


冬馬「っ!?」


桃華「どうですの?平均年齢が20代後半のハイファイ☆デイズは」


桃華「正直に答えてくださいな」


冬馬「うわキツ」


桃華「正直でよろしくてよ」


冬馬「だがなんだ?この感じは…」


冬馬「キツいのに…見てるこっちが辛いのに…」


冬馬「何でこんなに楽しさが伝わるんだ?どうして見てるこっちも元気になってくるんだ?年増なのに」


桃華「言ったはずですわ。歌に合う合わないはないと。年齢性別など関係ありませんわ」


桃華「要は楽しんで歌えればそれでいいですのよ。あなただってアレを見て楽しかったのでしょう?」


冬馬「確かに、あの年齢であのノリを物ともせず楽しんで歌っていやがった…」


冬馬「よく考えれば当たり前だよな…。全力で楽しんでいるところをファンのみんなにも味わわせる。アイドルとして当たり前のことだよな」


冬馬「だが俺は純粋に楽しむことができなかった」


桃華「あなたはファンのみんなに笑われるかもしれないというプレッシャーに押しつぶされて、自分のことを考えなかった。それが失敗の原因ですわ」


冬馬「あんな緊張しまくりのダンスでは、ファンからは嘲笑、失望の荒らしが巻き起こるだけ。だから次からは、自分のためにハイファイ☆デイズを歌ってみなさいな」


桃華「きっとあなたのファンもあなたの楽しさにつられて応援してくれるはずですわ!」


冬馬「ああ。そうさせてもらうぜ。しかし情けねぇな、こんな簡単なことを思いつかなかったなんて」


冬馬「おかげで助かったよ、ありがとな。桃華」


桃華「あら、わたくしにかかればこれくらい当然のことですわ!」


みりあ「うわぁ、桃華ちゃんすごく大人っぽい!」

冬馬「しかし楽しく歌うって一体どうしたら…」


みりあ「歌いなれてない歌を歌うって楽しくならない?」


薫「そうだよね!なんかワクワクするもんね!」


冬馬「子供って無邪気で良いな。童心に返りたいぜ…」


桃華「それなら童心に返る手助けをしてあげますわ!」


冬馬「え?」


桃華「しばらくわたくしたちと共にいるというのはどうかしら?」


冬馬「なぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁああ!!!」


薫「ねーねード―シンに返るって何?」


みりあ「子供の心のようにいたいっていう意味だよ!」


薫「ふーん。冬馬くんも子供なのにへんなの」


みりあ「男子ってやっぱりよくわからないね!」

冬馬「さ、さすがにそれはまずいだろ!」


桃華「あら?何か問題でも?」


冬馬「問題だらけだっつーの!第一大量の女子に囲まれてあーたらこーたら…!」


桃華「あなたはわたくしたちを襲いますの?」


冬馬「するか!」


桃華「なら何の問題もないですわね。見たところあなた襲うタイプではないようですし」


冬馬「くぅ…だが…幾らなんでもそれは…」


桃華「嫌ならそれでいいのですわ。あなたがファンの笑いものになるのを黙って見てるだけですので。もともとわたくしたち関係ないのですから」


千枝「そ、そんなの可愛そうだよ!」


冬馬「がっ!」


仁奈「容赦ねーでごぜーますな」


冬馬(か、可愛そうだと……年下の女の子から、こんな言葉を……)グサッ


みりあ「あ、また心折れた」

冬馬(…いや待てよ?よく考えてみろ。確かに今まで俺はライブで思いっきり楽しむことができた。だがそれは周りに北斗と翔太がいてからこそだ)


冬馬(今回はソロ、いやソロも何度かやったことあるが…。全部俺にぴったりの曲だったからその曲のイメージに合うような過ごし方をしていたな。雰囲気づくりのために)


冬馬(だが今回はそうはいかねぇ。雰囲気なんか作れたものじゃねぇし作ったところでイメージに合わなさすぎる)


冬馬(だけど桃華が教えてくれた、歌に合う合わないはない、楽しめればそれでいいと)


冬馬(俺が楽しむには曲に会った雰囲気を作るくらいしか方法はねぇ、そしてその雰囲気を作るには…)


桃華「さあ、どうしますの?」


冬馬「…力を貸してくれ」


桃華「交渉成立ですわね」スッ


冬馬「…」


  `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ

      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´

           ̄ー┴'^´

冬馬「今後、よろしく頼むぜ」


桃華「こちらこそ、トップアイドルがどのようなものなのか見せてもらいますわ」


薫「なんか歴史的瞬間を見た気がする!」


みりあ「よろしくね!冬馬ちゃん!」


冬馬「あ、ああ…よろしくな。あとちゃんはちょっと…」


桃華「まあこうして仲良くなれたのですわ。お近づきのしるしにあそこにあるクレープでもどうかしら?」


冬馬「そうだな、さっきアイス食ったばっかだがあれじゃ足りねぇしな」

仁奈「マンゴーうめぇです!」


みりあ「千枝ちゃん!一口あげるね!」


千枝「ありがとうみりあちゃん!」


薫「フゴゴ!フゴッ!」


桃華「実はわたくしたち、お金を持ち合わせていませんの!」


店員「3000円になりまーす」


冬馬「ははっ……は、嵌められた…」


桃華「ウフフッ♪」

続く

冬馬「だがなんだ?この感じは…」


冬馬「キツいのに…見てるこっちが辛いのに…」


冬馬「何でこんなに楽しさが伝わるんだ?どうして見てるこっちも元気になってくるんだ?年増なのに」


桃華「言ったはずですわ。歌に合う合わないはないと。年齢性別など関係ありませんわ」


桃華「要は楽しんで歌えればそれでいいですのよ。あなただってアレを見て楽しかったのでしょう?」


冬馬「確かに、あの年齢であのノリを物ともせず楽しんで歌っていやがった…」


冬馬「よく考えれば当たり前だよな…。俺たちが全力で楽しんでいるところをファンのみんなにも味わわせて一緒に楽しませる。それがアイドルだ」


冬馬「だが俺は純粋に楽しむことができなかった…」


桃華「あなたはファンのみんなに笑われるかもしれないというプレッシャーに押しつぶされて、自分が楽しむことを考えなかった。それが失敗の原因ですわ」


桃華「あんな緊張しまくりのダンスでは、ファンからは嘲笑、失望の荒らしが巻き起こるだけ。だから次からは、自分のためにハイファイ☆デイズを歌ってみなさいな」


桃華「きっとあなたのファンもあなたの楽しさにつられて応援してくれるはずですわ!」


冬馬「ああ。そうさせてもらうぜ。しかし情けねぇな、こんな簡単なことを思いつかなかったなんて」


冬馬「おかげで助かったよ、ありがとな。桃華」


桃華「あら、わたくしにかかればこれくらい当然のことですわ!」


みりあ「うわぁ、桃華ちゃんすごく大人っぽい!」

315プロ


翔太「こないね~」


北斗「そうだな」


翔太「このまましっぽ巻いて逃げるのかな?」


冬馬「誰が逃げるって?」


翔太「あっ、帰ってきた」


北斗「やる気になったのか?」


冬馬「当たり前だろ!個人的なわがままのせいでライブを中断するなんてアイドルとしてあっちゃならねぇ!」


冬馬「大体そんなことしたら俺のプライドが許せねぇ!だからハイファイ☆デイズだろうが何だろうが歌ってやる!」


冬馬「だがやるからには全力だ!全力で最高のパフォーマンスをみんなに届けてやるぜ!」


翔太「お~、熱いねぇ」


北斗「昨日の弱腰はどこに行ったんだ?」

北斗「まあでも、やる気になってくれたらそれはそれでこっちも嬉しいよ」


北斗「まだライブまでにはかなり時間があるけど、応援してるよ」


冬馬「おう!任せとけ!お前たちにも俺の凄さを改めて思い知らせてやるぜ!」


冬馬(うぇ……吐きそうだ……なんとかしてこの緊張を解かねぇと、死ぬ……)


冬馬(とりあえず、これで俺はもう逃げることはできなくなった。こうなったらやるしかない)

仁奈「今日は楽しかったでごぜーますな!」


みりあ「ねー!」


薫「お兄ちゃんふとっぱらだったねー!」


千枝「うん!」


みりあ「それにしても初めて会う人とあんな約束したり力を貸してくれたりするなんて桃華ちゃんってとっても優しいんだね!」


桃華「当然ですわ!わたくしの愛は総ての人に与えるためにあるもの。例外はありませんわ」


桃華「ここであの殿方を見捨てたら愛を与えなかったというわたくし自身のポリシーを破ることになりますし」


桃華「それにあんな女々しい状態でわたくしたちの曲を歌わせてしまったらファンからいい笑いものですし何よりわたくしたちの曲が怪我されてしまいますわ!」


桃華「あとあの殿方、Pちゃまとは性格が全くの真逆でしたので少し興味が沸きましたの」


千枝「桃華ちゃん、そこまで考えてたの?」


薫「すごーい!桃華ちゃんあったまいい!」


桃華「ウフフッ!それほどでもありませんわ!」

冬馬(さて……これからのことは一体どうするか……)


冬馬(……情けねぇが、やっぱり力を借りよう)


冬馬(自分たちの曲を一番理解しているのは歌った本人たちしかいねぇからな…)ポチポチ


冬馬(しかしあの櫻井桃華というアイドル、かなりの切れ者だ。ペースに流されたら何されるかわからねぇぞ。気を付けねぇと)ポチポチ


冬馬(……なんで俺小学生にメールなんかしてんだろ)




桃華「あら?早速冬馬からメールが来ましたわ」


みりあ「連絡先もう交換したの?」


桃華「ええ、でないと手助けしようがありませんからね」

桃華「………うん、こんなものでいいですわね」ポチッ


桃華「さて、プロデューサーちゃまがいない間、しばらく付き合ってもらいますわ♪」




冬馬「あっ、連絡来た」


冬馬「…………この日か、了解っと」ポチッ


冬馬「……今思い返してみると歌のお兄さんやったほうがまだよかった気がするな。ま、後の祭りか」


冬馬「はぁ…」

数日後


冬馬「よぉ…」


桃華「あら、ごきげんよう」


冬馬「今日はお前たちだけか?」


みりあ「うん!」


千枝「仁奈ちゃんたちはお仕事で今いないから」


冬馬(見た限り一番年下っぽいのになかなかやるな。あの二人)


桃華「では、先日話した通りあなたにはハイファイ☆デイズを歌えるように完璧に指導してあげますわ!」


冬馬「おう、よろしく頼むぜ!」


桃華「お任せなさいな!」

冬馬「……で」プルプル


桃華「何か?」ちょこん


冬馬「これのどこが、歌の…レッスンなんだ?」


桃華「まずは雰囲気づくりから始めるのが基本でしょう?」


冬馬「そうだが…そうなんだが…」プルプル


冬馬「何で俺が馬になってるんだ!?」


冬馬「幸いいつものスポーツ公園だから誰もいないからいいが、いやよくないけど…誰かいたらこれじゃあまるで!」


桃華「まるで何ですの?」


冬馬「…いや、いい。要するにただ俺と遊びたいだけなんだろ?」


桃華「まあ、結論からするとそうなりますわね」


桃華(それに一度でいいから、乗られる側から乗る側になりたかったのですわ!)


冬馬「…ま、いいか。いいぜ、付き合ってやっても」


冬馬「だがやるからには本気で馬になりきるからな!振り落とされないようにしっかり捕まっておけよ!」


桃華「望むところですわ!」


みりあ「終わったら次みりあの番だよ!」

トコトコトコトコ


桃華「ちょっと、もう少しスピードは出ませんの?」


冬馬(はぁ…はぁ…、かなり軽いが、この体勢で動くのはかなりキツイな…)


冬馬(そうだ!)ヒョイ!


桃華「えっ?」


冬馬「しっかり肩に捕まってろよ!」ダッ


みりあ「あれっておんぶじゃない?」


千枝「おんぶだね」


桃華「ちょっと!立って走る馬なんて聞いたこともありませんわ!」


冬馬「うるせぇ!これは立って走る新種の馬なんだよ!」ダダダッ


桃華「そんな自分勝手なルールを決めるなんて……って早すぎますわ!」


冬馬「これがトップアイドルのスピードってやつだ!」ダダダッ


冬馬「どうだ?もうギブアップか?なんなら降ろしてやろうか?」ダダダッ


桃華「こ、こんなことでわたくしが音をあげると思って…?」


冬馬「ならスピードアップだ!」ダダダダダッ!」


桃華「ちょ、ちょっと…キャアアアアアアアア!!!」


みりあ「速いねー」


千枝「二人とも楽しそう」

桃華「はぁ……はぁ……うぅ……」クラッ


冬馬「はぁ……はぁ……ど、どうだ!」


桃華「な、なかなかやりますわね…あなた」


冬馬「へへっ!」


みりあ「次みりあの番ね!」


冬馬「おう!いいぜ!」


みりあ「千枝ちゃんも乗る?」


千枝「え?でもそんなことしたら…」


冬馬「任せろ!二人同時相手にしてやるぜ!」


千枝「わ、わかりました…」

千枝「…」ギュウ


みりあ「~♪」ギュウウ


冬馬「…………」ガクガクガクガクガクガクガクガク


桃華「足が震えてますわよ」


冬馬「んなことわかってる!」


千枝「あの…やっぱり千枝、降りたほうがいいんじゃ…」


冬馬「俺を……舐めるなァ!」ダッ!


みりあ「きゃあ!!!」


冬馬「グオオオオオオオオ!」ダダダダダダッ!


千枝「す、凄い!」


みりあ「わーい!プロデューサーよりはやーい!」


冬馬「まだまだアアアアアアアアアアッ!!!」ダダダダダダッ!


桃華「だ、男子って…何であんなに見栄っ張りなのかしら?」


桃華「強がらなくても一人ずつにしたらいいですのに…はぁ……はぁ……ふぅ」

冬馬「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"~~~…」グッタリ


みりあ「あー楽しかった!」スッキリ


千枝「大丈夫ですか?」


冬馬「ありがとな…心配してくれて……」グッタリ


冬馬「正直見え張りすぎた…小学生相手に何であんなにムキになってたんだろうな俺って」


桃華「所詮はあなたも子供ということですわ」


冬馬「うるせぇほっとけぇ…」


みりあ「それじゃあ冬馬ちゃんのためにちょっとお昼寝しようか」


千枝「うん!」


桃華「ま、少しは休んだほうがいいですわね」


冬馬(ああ……まだ頭がガンガンする……)

冬馬「………」


冬馬(やっと楽になった。無理はするもんじゃねぇな)むくり


冬馬「………」


桃華「ZZz…ですわ……」


みりあ「ZZz……」


千枝「ZZz……」


冬馬「……」


冬馬(小学生3人が川の字でお昼寝か。それにしても本当にいい笑顔だな)フッ


冬馬(なんかこいつらの寝顔見てると悩みが一気にぶっ飛んだぜ、俺ってマジでくだらねーことで悩んでいたんだな)


冬馬(今の俺ならハイファイ☆デイズを歌える気がする…)


冬馬(…やっぱまだ無理だな、うん。まだ恥ずかしい)

冬馬(正直なところ、この場で女子小学生たちと一緒にいるのも恥ずかしいんだよな)


冬馬(この恥ずかしさが無くなればハイファイ☆デイズも歌えるようになるかもしれねぇが…)


冬馬(まあ、一緒に寝ていたりしている時点で恥ずかしさもへちまもねぇか。やっぱそう簡単に慣れねぇかぁ)


冬馬(とりあえず、考えても埒が明かねぇからもうひと眠りしておくか。お休み)


冬馬「ZZz…」



千枝「ZZz…」ゴロン


桃華「ZZz…」ゴロン


みりあ「ZZz…」ゴロゴロゴロゴロ


ムギュウ

桃華「ん…んぅぅぅぅ!!!よく寝ましたわぁ…」ギュウ


桃華「…って、ちょっと重いですわ!何なんですの一体!」


千枝「あれ?私、どうして……ってみりあちゃん何してるの!?」


みりあ「あれ?私なんで千枝ちゃんたちの上に乗っかってるの?」


千枝「ちょっとどいて!重たいよ!」


みりあ「わ、わかった!よいしょ!」ぴょん


冬馬「ぐぇっ!」


桃華「あら?何なんですの今の?」


みりあ「千枝ちゃん!早く降りて!」


千枝「わ、わかった!えい!」ぴょん


冬馬「ぐぇっ!」


千枝「次は桃華ちゃん……って!」


千枝「冬馬さん!大丈夫ですか!」


桃華「えっ!?」


冬馬「うぅうぅぅうぅ……」ぐったり


桃華「い、いつの間に3人がかりで押しつぶしてしまいましたの?」

みりあ「冬馬ちゃん大丈夫!?」


冬馬「はぁ……はぁ……なんか全然休んだ気がしねぇぜ…」


千枝「ごめんなさい!千枝たちの寝相が悪いせいで!」


桃華「ちょっと!わたくしはそんなに悪くありませんわよ!」


冬馬「別に気にしてねぇよ、寝相の悪さは誰にだってあるしな」


桃華「だからわたくしは寝相は悪くありませんわ!」プンプン!


冬馬「じゃあそういうことにしておいてやるぜ」


桃華「何ですのもう!」

桃華「全く…レディーの扱いがなっていませんわ!」


千枝「それじゃあさようなら、冬馬さん」


みりあ「また一緒に遊ぼうね!」


冬馬「おう、今度はあの二人も連れて来いよ!」


みりあ「わかった!それじゃあね!」


冬馬「じゃあな!」

冬馬「………」テクテク


冬馬(いい匂いだったな…)テクテク


冬馬「………」ピタッ


冬馬(やべぇ、俺重症かもな)


冬馬(気晴らしにどこかカラオケでも行って邪念を振り払うか、でねぇと目覚めそうだ)


冬馬(そうだ、ハイファイ☆デイズ歌えるか試してみるか。流石に一人なら平気だろ)

城ヶ崎家


(泊まりに来たパジャマ)みりあ「それでねそれでね!そのお兄さんとっても力持ちで私と千枝ちゃん二人をおんぶして走ったんだよ!」


莉嘉「本当!?それってゴリラ!?」


みりあ「ううん違うよ、普通のお兄さんだよ」


みりあ「後ね後ね!力持ちだけじゃなくてものすごくカッコいいんだよ!」


莉嘉「Pくんとどっちがカッコいいの?」


みりあ「う~ん、どっちだろ?たぶん同じくらいだと思う。あっ、でもお兄さんはPくんと違って変態じゃなかったよ」


莉嘉「そっかぁ」


美嘉「ねぇねぇ二人してなんの話?お姉ちゃんも混ぜてほしいなー★」

みりあ「あのねあのね、凄くカッコよくて速いお兄さんの話だけど」


美嘉「うん★」


みりあ「私たちに優しくしたりおんぶしたりアイス買ってあげたりしてね!」


みりあ「ちょっと目が怖いけど私たちみんな一緒に遊んでくれたんだよ!」


美嘉「うん」


みりあ「後ね、そのお兄さん私たちと同じアイドルやってるんだって!」


美嘉「うん…」


みりあ「それにそのお兄さん、あの大人気の男性アイドルグループのリーダーなんだよ!」


みりあ「えっと確かグループの名前は……えっとぉ………」


みりあ「あっ!思い出した!確かジュピターだ!」


美嘉「そう…」

美嘉「二人とも、おしゃべりに夢中になるのもいいけど、そろそろ寝る時間だよ!」


美嘉「もう何時だと思ってるの?夜更かししていたら朝起きるの遅くなるよ、だからほら、お休みお休み★」


みりあ「はーい!」


莉嘉「お休みー!」


バタン


美嘉「……すーーーっ」


美嘉「ふぅぅぅぅぅ…」

美嘉「許さない」

続く

数日後


美嘉「…」チュルルルルルル


冬馬「…」


美嘉「…」ジュルルル


冬馬(城ヶ崎美嘉、言わずと知れたトップアイドル)


冬馬(カリスマギャルとも言われ男はもちろん女子からの人気も高い)


冬馬(誰にでもフレンドリーな話し方するおかげで誰とでもすぐ打ち解けるのが彼女の個性と特徴だ)


冬馬(北斗が持ってたグラビア雑誌をこっそり見た時紹介文にはそう書かれてあった。正直マジですげぇプロポーションだしエロい)


冬馬(それに写真やテレビ越しのあいつは仕事を楽しんでいる感じがして物凄く輝いて見えた。マジやべぇ)


冬馬(そんな彼女がなぜか俺の目の前でシェイクを飲んでいた)


冬馬(だが今俺の前にいるのはカリスマギャルでも輝いているアイドルでもエロいJKでもない)


冬馬(修羅だ)

美嘉「…」ジュジュージュージュージュー


冬馬(シェイクが尽きても吸うのをやめない。それに眼が初対面に対して向けるような眼じゃない)


冬馬(正直直接的な面識はない。どこかの会場でチラッと見かけた程度だ)


冬馬(なのに何で怒っているのかさっぱりだ。あのチラ見が腹に立ったのか?)


冬馬(そもそも何でこんなことになってるんだ?確か後ろから声かけられてマックに連れて来られてこんなことになってたよな?)


冬馬(あの時匿名からの電話だったがまさかこいつのだったなんて…てか何で電話番号知ってるんだ!?)


美嘉「…」ペキペキペキペキ


冬馬(カップがぺしゃんこになってもまだ吸い続けてる。もうこの空気耐えられねぇ!)


冬馬「な、なぁ…」


美嘉「…」ベコンッ!


冬馬「っ!?」ビクッ!

美嘉「……」


冬馬「…な、なぁ。何で俺を呼んだのか、聞かせてくれないか?」


冬馬「正直いきなりこんなところへ呼び出されても困るんだが…」


美嘉「……」


冬馬「…自己紹介がまだだったな。俺は天ヶ瀬冬馬、知っての通りアイドルだ」


冬馬「アンタのこともわかるぞ、城ヶ崎だろ?」


美嘉「……」


冬馬「なぁ。もう一度言うが、何で俺を呼んだのか、教えてくれないか?」


冬馬「俺が何かお前に気に障るようなことをしたか?」

美嘉「ぷはっ。それじゃあ単刀直入にいうけど」


冬馬「おう」


美嘉「アンタ、最近アタシの後輩たちに手を出してるらしいじゃない」


冬馬「ぶっ!?」


美嘉「図星のようね」


冬馬「ちょっと待て!何の話だ!?俺はそんなことした覚えがないぞ!」


美嘉「この子に身に覚えがないとは言わせないよ」


冬馬「!?」


冬馬(それは、城ヶ崎と赤城が二人一緒に写った写真だった)


冬馬「あっ!」


美嘉「ほら、身に覚えがあるじゃない」

冬馬「誤解だ!手なんか一切出してねぇ!」


美嘉「嘘付きなさいよ!アンタみりあちゃんたちをおんぶしたりしたそうじゃない!」ドンッ!!!


冬馬「それは手を出してるとは言わないだろ!」


美嘉「あっ、それもそっか。でもアンタと同じ年頃は同世代やそれ以下の女の子を何振り構わず襲うらしいじゃないの!」


冬馬「襲ってねぇって!しかも偏見だろ!大体そんなことしたらアイドルどころか人間失格じゃねーかよ!」


美嘉「どうだか、男性なんてもう信用できないわ!そもそも幼女5人に囲まれて手を出さないって不可能に近いでしょ!」


美嘉「第一どうしてアンタがみりあちゃんたちと一緒にいるの!どういう経緯?」


冬馬「そ、それは…」

冬馬「………」


美嘉「言えない理由でもあるの?」


冬馬「あぁ…いや……」


美嘉「嫌なら別にいいけど、アンタがみりあちゃんたちと一緒にいたこと、事務所かネット、どっちかにバラすよ」


冬馬「何!?」


美嘉「しょうがないもの。これもあの子たちの安全のため、思春期男子一人に幼女5人の面倒を見させるなんて、事案以外何物でもないわ」


冬馬「くぅ…卑怯な…」


美嘉「さあどうするの?言うの?それともバラされたいの?」


冬馬「…わかった。話してやるよ」


美嘉「物分かりがいいわね。嫌いじゃないよそういうの」


冬馬「実は…」

冬馬「俺ににぜひ歌ってもらいたい曲プロジェクトで一位がハイファイ☆デイズになってソロでライブをすることになったんだがどうも恥ずかしくて自棄になって事務所から逃げ出したところハイファイ☆デイズを歌った五人組のあいつらにあって何かの縁だと感じて悩みをぶつけたら俺に恥ずかしさを克服させハイファイ☆デイズを歌えるようにしてやると言ってくれて恥ずかしさを取っ払うためにあいつらから色々教えられたり遊んだりしていたんだ。これが俺とあいつらが会うことになった経緯だ」


美嘉「よし、両方にバラそう」

冬馬「何でだ!正直に話したじゃねーかよ!」


美嘉「そんなんでアタシが信じると思う?バッカじゃないの!」


冬馬「本当だって!なんなら赤城に聞いてみろよ!」


美嘉「気安くみりあちゃんのことを苗字で呼ばないで!」


冬馬「じゃ、じゃあみりあに聞いてみろよ」


美嘉「気安くみりあちゃんのことを名前で呼ばないで!」


冬馬「どうしろっていうんだ!!!」

美嘉「うん。うん、そうだったんだ!」


美嘉「わかった、ありがとうみりあちゃん!うん。はーい、それじゃあね★」ピッ


美嘉「どうやら本当のことのようね」


冬馬「だろ。これで信じてもらえたか?」


美嘉「まだ全部信じたわけじゃないわ。そう簡単に信用できる人間とは思ってないもの」


冬馬「あーそうですか…」

冬馬「つーか、お前の気持ちもわからなくないぞ。小学生たちが一人の男と一緒に遊んだりしているのはどう見ても男から犯罪臭が漂うし」


冬馬「もちろんこの俺自身もわかる。実際にあいつらと一緒にいるだけで通報されないか寿命が縮みそうだった」


美嘉「ふ~ん、自分でも悪いことをしているって自覚があるんだ」


美嘉「だったら罪悪感があるならあの子たちの前から離れてよ!今すぐ」


冬馬「そういうわけにはいかねぇ!あいつらの力がねぇと俺はハイファイ☆デイズを歌えることができねぇんだ!」


美嘉「熱い思いとは裏腹に言ってることが寒いわね」


冬馬「それに約束もしたんだ。ちゃんと歌えるようにしてやるって言われて…」


美嘉「それじゃあアンタはあの子たちと一緒にいたせいで謹慎処分になってもいいというわけね、彼のように」


冬馬「彼?」

美嘉「いいわ、この際だから教えてあげる」


美嘉「ちょっと前にある男がいたの。彼はとっても仕事ができみんなから慕われてた、もちろんアタシもね」


冬馬「おう」


美嘉「だけど仕事ができる反面問題も多かった」


美嘉「アイドルをスカウトする際女子更衣室とか男性なら絶対入ってはいけないような場所に入ったり嫌がっている女の子を追いかけたり見た目でポン引き呼ばわりしたり」


美嘉「スカウトするまでストーキングをしたりいい年したアイドルたちにスモックやランドセル着せたり」


美嘉「チャック下したりこっそり着替えを見たり混浴でもないのに一緒に温泉に入ったりポロリ見たり普通触らないような場所を触ったり」


美嘉「そんな行為がエスカレートして……ついに謹慎処分を食らったのよ」


冬馬「おいそれってまさか…」


美嘉「そう、あたしたちのプロデューサーよ」


冬馬「マジかよ」

美嘉「正直アタシたちも悪いと思ってる。アタシたちが誘惑したりからかったりしたせいで…プロデューサー、我慢できずにあんなことをしたんだって思うと…」


美嘉「でもそれでも、あの子たちは、みりあちゃんたちは…笑顔でずっと帰ってくるのを待ってるのよ。プロデューサーを」


美嘉「あんなことをしても、あの子たちにとって、アタシたちにとってはたった一人の大切なプロデューサーなんだから」


美嘉「でも、これはアイドルの問題じゃなくて事務所側の問題、アタシたちにどうすることもできないわ」


美嘉「アタシたちにできることはアイドルを続けるか、みんなを守るかくらいしかできない」


美嘉「だからアタシはプロデューサーのような男が現れないようにあの子たちを守るって決めたのよ!例えばアンタみたいな!」


冬馬「だから俺はそんなことは絶対しねぇっつーの!!!」

美嘉「大体ハイファイ☆デイズが歌えないからってあの子たちに頼るって何!」


美嘉「歌うことよりあの子たちの力を借りているほうがよっぽど恥ずかしいじゃないの!」


冬馬「ぐっ…。正論すぎて何にも言えねぇ…」


冬馬「ああそうだよ。確かに今の俺は俺は恥に恥を上書きしてさらに恥を書いている状況だ」


冬馬「だが、俺には生き恥を晒してもやらなきゃいけないことがある」


美嘉「何?幼女たちとキャッキャウフフ★すること?」


冬馬「違う、ハイファイ☆デイズを歌って俺のファンのみんなに喜ばせることだ」


美嘉「ファンに?」

冬馬「俺はアイドルとして、どうしても次のライブでハイファイ☆デイズを歌いたい!」


冬馬「なんか腑に落ちねぇが、ファンのみんなが一番聞きたがっていた曲を、聞かせてやりたいんだ。俺の声で」


冬馬「ファンの期待を答えるためなら俺は生き恥だろうが何だろうが晒してやる!」


冬馬「それに今ここでやめたら、あいつら5人との約束が、ハイファイ☆デイズを歌えるようにさせたい約束が果たせないままになっちまう!」


冬馬「だから頼む!どうか今回の件は見逃してくれ!」


美嘉「…」

美嘉(天ヶ瀬冬馬、言わずと知れたトップアイドル)


美嘉(熱血系アイドルと言われ男性アイドルの中で最も熱い心を持っている)


美嘉(妥協を嫌い最高のパフォーマンスをするためなら自分の都合さえも削ると言われている)


美嘉(その少年らしい熱さ故に惹かれるファンも多く、兄にしたいアイドル、彼氏にしたいアイドル、チョコをあげたいアイドルランキングで常に2位をキープしている)


美嘉(アイドル特集に乗っていた彼のプロフィールにはこう書かれてあった。雑誌の記事に書かれてあったことだけを見ると彼は純粋にアイドルのことだけを考えていた)


美嘉(テレビ越しの彼はあまりの熱さでこっちまで熱狂しそうになった。まさに頂点に立つのに相応しい、アタシでさえそう感じた)


美嘉(だけど今、目の前にいるのは熱血アイドルでもなく彼氏や兄に相応しい男でもなく頂点に立つ存在ではない)


冬馬「頼む!」


美嘉(同世代にこれでもかというくらい頭を下げている少年だ)

美嘉「…こんなに頭を下げられちゃ、流石に断れないよね~…」


冬馬「それじゃあ…!」


美嘉「ええ、アタシの負け。アンタの熱意に負けたわ」


美嘉「同じアイドルだからわかるもん、アンタの熱い気持ちが。動機は寒いけどね」


冬馬「礼を言うぜ…!」


美嘉「いいってば!だから頭を上げてって!ほら、カッコ悪いよ★」


冬馬「ああ、すまねぇ」


美嘉「でも、あくまで男性としてのアンタじゃなくてアイドルとしてのアンタを信じたわけだから」


美嘉「勘違いしないでよね」


冬馬「お、おう。わかった」

美嘉「まあ、アンタも見る限り苦労してるようだし、みりあちゃんたちもアンタと一緒にいるの楽しかったみたいだし」


美嘉「それにアンタ自身も手を出そうとはしないらしいしね。一応信じてあげる」


冬馬「それでいいぜ、正直少しだけでも信じて貰えてくれるだけで充分だ」


美嘉「……う~ん」


冬馬「どうした?」


美嘉「なんか、アンタってもっと強気なタイプだと思っていたから…こう控えめに言われるとこっちが悪役みたいで、ちょっと申し訳ない感じがする…」


冬馬「別に気にしてねぇよ。正直こんな日が来るかもしれない予感はしてたぜ、こんな形だとは思わなかったが」


美嘉「だから、お詫びとして何かできることない?アタシにできることがあるなら一応何かするよ」

冬馬「それじゃあ、いくつか質問をさせてくれ」


美嘉「何?」


冬馬「城ヶ崎はハイファイ☆デイズを歌ったことはあるか?」


美嘉「もちろんあるけど?」


冬馬「恥ずかしくなかったか?」


美嘉「恥ずかしい?別に、楽しく歌えたよ」


冬馬「そうかぁ…。楽しくか…」


美嘉「あれ?もしかして歌えるコツを教えてもらいたかったの?」


冬馬「まあ…な。アイツらだとなんだかズレている気がして…やり方は間違ってないと思うんだが…かなりオーバーっていうか」

美嘉「楽しく歌えるねぇ。方法なら結構あるけど」


冬馬「なんかあるのか!?」


美嘉「その中で一番入り込めやすいのは、ファンになることね」


冬馬「ファン?」


美嘉「キミ、アイドルの立場にのめり込みすぎてファンってどういうものなのかよくわかってないでしょ」


冬馬「知ってるぞ!ファンはアイドルを応援していてアイドルにとっては大切な存在だろ!」


美嘉「それもあるけど~、あっついなぁ。いい?ファンというのはキミが思っている以上に深い存在なの」


美嘉「アイドルに関連するものだったらグッズを買ったり、チケット買ってライブ会場まで出歩いたり」


美嘉「テレビに出ているなら録画したり、CDが発売されたら買って歌を聴いたり」


美嘉「そしてアイドルと少しでも共通点を持つためにそのアイドルの曲を歌ったり…ね」


冬馬「まさか…!」


美嘉「そういうこと!つまりファンになっちゃえばいいんだよ★L.M.B.Gの!」


冬馬「そ、そんな方法が!?」

美嘉「どう?あの子たちのファンになれば少なくとも歌えるようになるはずだと思うけど?」


冬馬「確かにそうだ。だがファンになるというのは、それはそれで恥ずかしいな…」


美嘉「は?今更何言ってるの?」


美嘉「そんなこといつまでたっても言い続けたら、一生歌えないままだよ?」


美嘉「アタシから見たら、同世代の前でウジウジ悩んでいる今のキミのほうがよっぽど恥ずかしいと思うけどぉ?」


冬馬「っ!?」


美嘉「大丈夫だって!恥ずかしさは一瞬だよ。その一瞬が過ぎれば、世間の目や羞恥心なんて気にならなくなるって!」


冬馬「だ、だが…」


美嘉「ファンになればキミのその悩みやストレスから解放されるよ★ほら、なっちゃいなって!」


冬馬「…」

冬馬「わかった。なってやる」


美嘉「本当!?」


冬馬「ああ、それで何かが変わるなら、恥を捨てることができるなら…俺はファンになってやるぜ」


美嘉「そんな死にに行く覚悟を決めるような顔と言い方しなくてもいいのに」


冬馬「ワリィ、俺結構不器用なもんでな」


美嘉「でもこれでキミもL.M.B.Gのファンということになったよね」


冬馬「ああ、正直実感がないが」


美嘉「大丈夫!アタシが色々教えてあげるから★それにこうしておけば君のこと、完全に信じてあげられるかもしれないし」


冬馬「城ヶ崎…」


美嘉「それじゃあ、ここに名前と住所、電話番号etcを書いて」


冬馬「ああ」サラサラ


美嘉「これでよしっと」

美嘉「あと、これもあげる」


冬馬「これは?」


美嘉「L.M.B.Gファンクラブに入会したときにもらえるワッペン」


冬馬(桃華が描かれてるが…なんか季節外れな衣装だな)


冬馬(これがキミが手に入れた最初のファングッズか…)


美嘉「これを機会に完璧にハイファイ☆デイズを歌えるようにしてよね★」


美嘉「そうじゃないとキミだけじゃなくて曲を借りさせたあの子たちも恥を書くかもしれないから」


冬馬「わかってるって」


美嘉「うん、その熱意。キミのファンにもぶつけてよね!」


冬馬「おう!」

冬馬(こうして、城ヶ崎は席をはずし俺の前から去っていった)


冬馬(ファンか。そういやアイドルはともかくアイドルのファンにはなったことはなかったな)


冬馬(これを機会にファンの気持ちを理解するのもいいかもしれねぇな)


冬馬(それにしてもあいつらのファンか)


冬馬(悪くねぇな。全力で楽しんでアイドルをしている奴らを見てるとこっちも応援したくなるぜ!)


冬馬(よし、せっかくだからなってやるか。あいつらのファンに!)


冬馬(そして今度こそハイファイ☆デイズを歌えるようになってやるぜ!)





冬馬(…そういえば何で城ヶ崎はどうやって俺の電話番号を聞き出したんだ?まあ、後で聞けばいいか)

冬馬(こうして、城ヶ崎は席をはずし俺の前から去っていった)


冬馬(ファンか。そういやアイドルはともかくアイドルのファンにはなったことはなかったな)


冬馬(これを機会にファンの気持ちを理解するのもいいかもしれねぇな)


冬馬(それにしてもあいつらのファンか)


冬馬(悪くねぇな。全力で楽しんでアイドルをしている奴らを見てるとこっちも応援したくなるぜ!)


冬馬(よし、せっかくだからなってやるか。あいつらのファンに!)


冬馬(そして今度こそハイファイ☆デイズを歌えるようになってやるぜ!)





冬馬(…そういえば城ヶ崎はどうやって俺の電話番号を知ったんだ?まあ、後で聞けばいいか)

続く

翔太「最近冬馬君前のようなやる気と笑顔取り戻してきてるね」


北斗「何かあったのかな?」


翔太「さあ?ひょっとしてあれが原因かも」


北斗「あれ?」


翔太「個人的な事情で詳しくは話せないけど知り合いが冬馬君の電話番号を教えてほしいって頼まれたんだ」


北斗「ふーん」


翔太「アイドル、というより芸能人の電話番号は普通教えてもらえないから僕から聞き出そうとしたんだって」


北斗「それで、教えたのか?」


翔太「はじめは理由を聞いても言ってくれなったから教えなかったけどシめられそうだったから自白した」


北斗「それはおっかないな。まあ何があったにせよ、いつもの冬馬に戻ってよかった」


北斗「だけど翔太、いくら知り合いだからと言ってそう簡単にアイドルの個人情報をばらすのはダメだぞ。シめられても守り通せ」


翔太「はぁい、気を付けまーす」

冬馬「えっと…桃華、みりあ……番組…っと」カチッ


冬馬(ファンになれって言われてもそう簡単になれるものじゃねぇと思うんだよな)


冬馬(要するに興味が沸くか沸かないかの問題だからな、興味がないのにファンになるのはさすがに酷だ)


冬馬(この俺を心の底から震えさせるようなことをしない限り、そう簡単にファンにならないぜ)


冬馬(とりあえずあいつらは普段どんなことをやってるのか、動画でも見てみるか)


冬馬(普段のあいつらの様子は結構見ているが、テレビではどうだろうな?)

薫『はい!龍崎薫です!先生と一緒にがんばりまーす!』


仁奈『市原仁奈です!よろしくでごぜーますよ!』


千枝『えっと……あの、みんなに喜んでもらえるように頑張ります!あっ…佐々木、千枝です』


桃華『ごきげんようですわ!この櫻井桃華に不可能はありませんわよ!』


凛『渋谷凛……です……、その…今日は、ゲストとしての出演ですけど……///よろしく…お願いします///』


冬馬(全員チャイルドスモックって……どんな番組なんだ)


みりあ『ねぇねぇ!凛ちゃんは何か好きなことある?』


凛『す、好きな事は……えっと……』


桃華『硬くならなくていいですわよ。大丈夫、みんな同じ衣装です、恥ずかしいことなんてありませんわ!』


凛『くぅっ…こんなはずじゃ……』


冬馬「……」

冬馬(今思い返してみれば、あいつらの中の一人だけでも普通に会うのが奇跡みてぇなものなのに)


冬馬(一気に5人、しかも全員知り合いの関係になるなんて……普通ならファンに殺されてもおかしくねぇんだよな)


冬馬(見る限り普段のあいつらそのままなのに、何で俺はこうも惹かれなかったんだろうな)


冬馬(…いや、惹かれなかったんじゃない。惹かれることができない状況だったんだ)


冬馬(思えばあの時は周囲の目だのハイファイ☆デイズだの腹が痛くなるようなことばかり考えて頭が一杯だった)


冬馬(女子小学生と戯れて笑う余裕はなかったし、当時の俺は完璧なライブをするために切羽詰まってた)


冬馬(だが今は違う、頭空っぽにして見ている俺にはわかる)


冬馬(あいつらは、子供パワー全開で妥協しないで総てを楽しんでいる)


みりあ『ねぇねぇ!物真似やって!仁奈ちゃんの真似!』


凛『えっ!?』


冬馬(…っと、動画はここで終わりか)


冬馬(続き続き……)カチッ

冬馬「…ちっ、続きが見当たらねぇ。やっぱ動画サイトじゃ全部は見れねぇか」


冬馬「しゃあねぇ、DVDを買いに行くか」




アイドルグッズ専門店


冬馬(写真集とCDとポスター…そしてDVD)


冬馬(関連する商品4つ買ったら3割引きになるのか…)


冬馬(DVDのついでに色々買っておこう、ファンっていうのはそういうものだしな)


冬馬「……」キョロキョロ


冬馬(知り合いはいないな、いるわけないか)


冬馬「……」ササッ


冬馬「お願いします」


店員「10800円になります」


冬馬「どうぞ」


店員「ありがとうございました」




冬馬「ふぅ、これを買っているところを知り合いに見られたら、間違いなく誤解されちまうだろうな」


冬馬「おっと、こんなことをしている場合じゃねぇ。続き続き…っと、よし!」ピッ



みりあ『凛ちゃんは何か好きなことある?』


凛『す、好きな事は……えっと……』


莉嘉『あれ~?顔真っ赤だよ~?風邪でも引いたの?』


凛『そ、そうじゃなくて……』オロオロ


みりあ『ねぇねぇ!物真似やって!仁奈ちゃんの真似!』


凛『えっ!?』


仁奈『仁奈の気持ちになるですよ!』

凛『えっと……ウ、ウサギの気持ちになるですよ…?』


凛『ぴょんぴょんぴょん…』


薫『ウサギってぴょんって鳴くの?聞いたことないよ』


凛『…………ぴょん……』


仁奈『………』


仁奈『ハァ……』


凛『うぅ………』


莉嘉『ま、物真似とかしなくても今の恰好が一番面白いと思うけどね☆』


凛『うぅぅぅぅうううぅぅ…///』


冬馬「やっぱパソコンより大画面のテレビのほうが映りいいぜ!」

「以上、とときら学園でしたぁ!」


冬馬「あっ?もう終わったのか?マジかよ時間経つのはえーな」


冬馬「仕方ねぇ、えっと…確か別の番組だが買っておいたやつがあったよな」ガサゴソ


数時間後


ありす「むぅ……もう終わりですか、もっと取って料理したかったのですが、仕方ないですね」


ありす「そろそろ時間なのでここで終わりにしておきます」キリッ


桃華「そ、それではみなさん……ごきげんよう………」ウップ




冬馬「ふぅ…」

冬馬「たくさんの元気を、貰った気がする。いや、貰ったな」


冬馬「ハイファイ☆デイズが恥ずかしくて歌えない、そんなので悩んでいた俺が馬鹿みてぇだ」


冬馬「まさか女子小学生がこんなに熱いものだったなんて、今まで遠ざけていたのを後悔したくなるぜ」


冬馬「おっと、もう夜か、飯食ってシャワー浴びたら寝るか。そのあとは…せっかく買ってきたポスター貼るか。場所は……俺の部屋でいいか」

冬馬「よし、この位置なら朝目が覚めて起き上がったら桃華が目の前で起こしてくれるような感覚を味わえるぜ!」


桃華のポスター『』


冬馬「なんか、こうして見ると俺しかいなかったこの家に家族が増えたような感じがしないでもないな、へへっ!」


桃華のポスター『』


冬馬「…一枚じゃ物足りないな、また別の買ってくるか」


冬馬「それじゃ、お休み」


桃華のポスター『』

続く

翌日


冬馬「うっ…くぅ、眠っ…」ガバッ


桃華のポスター『』


冬馬「はっ!?」ビクッ


桃華のポスター『』


冬馬「ああ、そうか。昨日俺が貼ったんだったっけ」


冬馬「しかし昨日の俺はどうかしていたな。今思い返すと気持ち悪いな…」


桃華のポスター『』


冬馬「まあ、目の前に笑顔で起こしてくれるアイドルがいるっていうのは、案外悪い気分じゃないな!」


桃華のポスター『』


冬馬「…ポスターとはいえ、女子小学生相手にじろじろ寝起き姿を見られるのは恥ずかしいな」


冬馬「さっさと着替えて飯食って出かけるか」


冬馬「お気に入りのスニーカーの靴紐結んでっと」ぎゅっ


冬馬「ドアを開けて、スタートダァーッシュ!!」ガチャ


冬馬「…誰も見てねぇな、セーフ…」


冬馬「さて、今日はどこに行くか……、翔太はどうせめんどくさがって外にでねぇし」


冬馬「北斗はたしかどこかのピアノコンサートに行くって言ってたな」


冬馬「だとしたら俺一人か、まあ例の奴を買うのにはちょうどいいか。誰かに見せられねぇし」

アイドル専門店


冬馬「CDと写真集とポスターを買うことで貰えるぷちストラップが手に入るのか」


冬馬「よし、これとこれとこれで…」


冬馬「会計お願いします」


店員「6800円になります」


冬馬「7000円で」


店員「ありがとうございました。特典はこの中のうちどれにしますか?」


冬馬「…じゃあ、2番で」


店員「2番ですね。ちょうど最後の一個です」


冬馬(っしゃあ!)

ぷち桃華『』


冬馬「特典としてこれもついてくるなんて、なんか得した気分だな」


ぷち桃華『』


冬馬「せっかくだから携帯に付けとくか。えっとここをこうして…」


カチッ


ぷち桃華『ごきげんようですわ!』


冬馬「うぉっ!喋った!すげぇな!」

カチッ


ぷち桃華『ちょっと!お腹を押さないでくださる!?』


冬馬「よくできてるなぁ」


カチッ


ぷち桃華『全く…、仕方ないですわね。今回だけですわよ』


冬馬「これって、いくつ種類があるんだろうな?」


カチッ


桃華「何してますの?」


冬馬「おお、バリエーションが豊富だな」

桃華「ちょっと、聞いてます?」


冬馬「何だ?今一瞬ダブったような?」


桃華「ねぇったら!」


冬馬「うぉっ!?何だ?って、本物!?」


桃華「全く…。偶然見かけたから挨拶でもしようと思いましたら……」


桃華「このわたくしを無視するなんて失礼にもほどがありますわ!」


冬馬「すまねぇ、ちょっと気が散っててな」


桃華「それでわたくしを無視ですの!?」

桃華「失礼な殿方ですわね」プンスカ


冬馬「だから悪かったって!つーかなんで桃華がこんなところにいるんだ?」


桃華「先程この近くで午前中のお仕事を済ませましたので少し外に出て休憩をしていましたの」


桃華「そしたら何やら不審な行動をしているあなたを見かけましたわ」


冬馬(不審って……そんな風に見られていたのかよ。気を付けねぇとな)


桃華「一体何をなされていましたの?」


冬馬「えっ?あ、ああ…」


冬馬(流石に本人のグッズを買ったなんて言えねぇし…)

冬馬「ちょっと買い物だ」


桃華「買い物?一体何を買っていらしたの?」


冬馬「えっ?あ、ああ。えっと……CDとか本とか…」


桃華「あら?その携帯ストラップは確かこれは限定物のわたくしのミニストラップ」


冬馬(やべっ!?)


桃華「L.M.B.G関連の商品をいくつか買わないと手に入らない代物…」


冬馬(げっ!やべぇ!俺が勝ったものバレちまった!)


冬馬(そりゃそうか、限定物だからどうやって手に入れるのかわかるもんなボイス提供者なら…!)


桃華「つまりわたくしたちのグッズをたくさん買ったということですの?」


冬馬「あぁ…まぁ……ああ、そうだ。たくさん買った」

桃華「あなた……もしかしてわたくしたちのファンになりましたの?」


冬馬「えっ?あ、ああ。まあな」


桃華「まあ!あのトップアイドルがわたくしたちのファンになってくださるなんて光栄ですわ!」


桃華「このわたくしもようやくトップに実力を認められるほどの存在になったということですわね!」


冬馬「まあな。この俺が言うから間違いないぜ」


桃華「そこまで言われるとなんだか以前より自信ややる気が溢れてきましたわ♪」


桃華「トップアイドルに認められたというこのモチベーションを維持したまま、次のお仕事を頑張ることにしますわ!」


冬馬「頑張れよ!俺も応援してるぜ!」


桃華「感謝致しますわ。それではそろそろ時間ですので。ごきげんよう!」


冬馬「おう!またな!」

冬馬(ふぅ、一時はどうなるかと思ったが、変な風に思われなくてよかったぜ)


冬馬「さて、そろそろ俺も帰るか。今日はいいことがたくさんあったな」


「冬馬か?」


冬馬「っ!?」ビクッ!


北斗「こんなところで何をしているんだ?」


冬馬「北斗!?何でお前がここに!?」


北斗「ピアノコンサートの休憩でちょっと何か食べようと思って外に出たんだ」


冬馬(お前もこの近くだったのか!?)

北斗「だけどまさかこんなところに冬馬がいるなんて想像もしてなかったよ。一体何をしてたんだ?」


冬馬「ああ、えっとこれは…」オロオロ


北斗「その鞄からはみ出ているのは、ポスターか?しかもその袋…この近くの…」


冬馬「いや……その……」オロオロ


北斗「……まあ、何を買ったかは聞かないでおくけど、あんまり目立つ行動はやめてくれよ。一応アイドルなんだからさ」


北斗「今日ここで会ったことは、見なかったことにするから」


冬馬「す、すまねぇな……恩に着るぜ」


冬馬「それじゃあ」ダッ!


ポロン

北斗「全く、冬馬にはあんな隠れた趣味があったなんてね」


北斗「翔太が知ったらいいおもちゃにされそうだ」


コロン


北斗「……ん?これって」


ぷち桃華『』


北斗「さっき冬馬が落としていったのか?」カチッ


ぷち桃華『ずっとわたくしだけを見てくださいな♪』


北斗「……」

冬馬宅


冬馬「ない……ない!ない!!!」


冬馬「確かにあったはずなんだが!!どこかで落としたのか!?」


冬馬「クソッ!今日手に入れたというのに!最後の一個だったのに!すぐに失くしちまうなんて…」


冬馬「こんなの……あんまりじゃねぇか……」


冬馬「興味を持ち始めた矢先からこのざまかよ」


冬馬「はぁ…ついてねぇぜ…」

翌日


冬馬「…ッス」


翔太「冬馬く~ん、おはよう!」


冬馬「…よぅ」


翔太「あれ?どうかしたの?何だか今までの中で一番暗いけど」


冬馬「別に、なんでもねぇよ…」


翔太「変な冬馬君」


北斗「………」

ダンスレッスン


冬馬「うおっ!」ドン!


翔太「ちょっと!一体どうしたの!?」


冬馬「すまねぇ、こけちまった」


翔太「見りゃわかるよ!今までこんなことは一度もなかったのに一体どうしちゃったのさ!」


翔太「やっぱ今日の冬馬くん変だよ!」


冬馬「なんでもねぇっつってんだろ!」


翔太「!?」


冬馬「…すまねぇ、当たっちまって…」


翔太「いいよ…別に……」


北斗「ハァ…」

冬馬(まいったな…心では失くした事実を受け入れても体が受け入れてはくれねぇのか)


冬馬(関係ねぇ翔太に八つ当たりしちまうなんて……)


冬馬(やべぇ、思い出して来たらまた落ち込みそうになってきやがった……)


冬馬(ネットオークションで探すか……)


冬馬「はぁ…」

北斗「冬馬」


冬馬「ぁあ?何だよ…」


北斗「探し物は、これかい?」


ぷち桃華『』


冬馬「それは…!」


北斗「昨日、落としただろ?」


冬馬「拾ってきてくれたのか!?」


北斗「ああ」


北斗「大事なものなんだろ?」


冬馬「ああ…」

冬馬「何だよ…もっと早く渡してくれてもいいだろ。水臭いじゃないか」


北斗「ごめん、ちょっと意地悪しちゃったね。まさかあんなに凹んでいたなんて」


冬馬「凹むに決まってるだろ!大事なものなんだからさ…」


北斗「大事なものか、俺にもわかるさ、大事なものを失って凹む気持ち」


北斗「俺のはもう二度と戻らなくなったけど、冬馬は違う。こうしてちゃんと手元に戻ったじゃないか」


冬馬「ありがとな、北斗。失くしてわかる本当に大切なもの、見つけた気がするぜ」


北斗「次はちゃんと付けておくんだぞ」


冬馬「ああ!もう二度と落とすもんか!」




翔太「どっちも変」

続く

ある日のこと


冬馬「やっぱショップに行って買ったりするのはダメだ」


冬馬「誰かに見られたりうっかりグッズを落としたりしたらダメージがでけぇし俺の面子にかかわる」


冬馬「こっそり買う時はネットショッピングに限るぜ!」


冬馬「これなら人目に留まる心配せずに物を買えるしな!」


冬馬「よし、購入っと」カチッ


ピンポーン


冬馬「何だ?宅配便か?もう届いたのか?んなわけねぇよな」


冬馬「多分別の奴だな、今行きまーす」

冬馬「結構でけぇ箱だな、何が入ってるんだ?」パカッ


冬馬「!? これって…ファンクラブ入会特典じゃねぇか!」


冬馬「すげぇ!店じゃ見たことねぇグッズがたくさんあるじゃねぇか!」


冬馬「ブロマイド、カレンダー、メンバーズカード……他にもあるじゃないか」


冬馬「ファンクラブってすげぇな!入ってよかったぜ!」


冬馬「なんか……これで本当にファンになったという実感が沸いた気がするな、へへっ!」

冬馬「カレンダーをここに貼ってっと…まあこんなものか!」


冬馬「にしても今日はまだ買ってないのに随分とグッズが増えたな」


冬馬「特典でついてきたポスターのおかげで、見事にコンプしたぜ!」


冬馬「これが桃華だろ?みりあだろ?そして千枝に仁奈に薫に……よし!完璧だ」


冬馬「俺もよくこんなに集めたな、昔の俺だったら絶対やらなかっただろうな。JCアイドルの魅力は怖えぜ」


桃華のポスター『』


千枝のポスター『』


仁奈のポスター『』


薫のポスター『』


みりあのポスター『』


冬馬「……他人には絶対見せたくねぇな」

冬馬「さて、他にも何か箱の中にねぇかな?他にすげぇこと…」ガサゴソ


冬馬「ん?これは?ファン感謝イベントのチラシ?」


冬馬「抽選で300名様に、L.M.B.Gのアイドルのファンミーティングに参加可能か」


冬馬「締め切りは………っ!?やべぇ!後3時間しかねぇじゃねぇか!」


冬馬「何で今になって教えてくれるんだよ!急いでやらねぇと!」


冬馬「えっと…ここをこうして……名前や電話番号とかいれて……送信!」カチッ!


冬馬「ふぅ、何とか間に合った。当たればいいな」


ピロリ~ン


冬馬「んっ?メールか?」


『冬馬君、北斗君が休みの日にお寿司をご馳走してくれるって言ってるけど一緒に行く?』


『早く連絡よこさないと僕たち二人だけで行って全部食べちゃうもんね♪』


冬馬「…行くに決まってるだろっと…よし」ピロリーン


冬馬「最近はいいことずくめで気分がいいぜ!」

回転寿司店


冬馬「本当にたくさん食っていいのか?金払わなくていいのか!?」もぐもぐ


北斗「ああ、ここに前にコンサートの時に知り合いから貰った5000円分の割引券があるからね」


北斗「5000円ギリギリまでだったらたくさん食べていいよ」


北斗「そろそろライブだからね、寿司食べて思いっきりをが出せればいいかなって思ったんだ」


冬馬「サンキュウ北斗!本当にお前が仲間でよかったぜ!」モグモグ


翔太「北斗くん太っ腹~♪」モグモグモグモグモグ


冬馬「…ってもう俺の倍以上食ってる!?」


北斗「落ち着いて食べなよ、寿司は逃げないから」

翔太「それで冬馬君今どうなってるの?」モグモグモグモグモグモグモグモグ


冬馬「何がだ?」


北斗「食べながら話すのは行儀悪いよ」


翔太「ほら、ハイファイ☆デイズ」ゴックン


冬馬「ああ、あれか」


北斗「冬馬のことだから大丈夫だと思うけどちゃんと歌っているのかい?」


冬馬「もちろんだ!曲は完璧に歌えるようになったし振付も覚えた。もう完全に自分のものにできたぜ!」


冬馬「今では風呂に入りながら鼻歌したりしているくらいだ!」


翔太「そ、そう…凄いじゃん」


北斗「かなり自信があるみたいだね。それなら後で歌やダンスを見せてくれないか?」


冬馬「ああ、お前たちにも俺のダンスを見て評価して貰いたいしな。俺からもお願いするぜ」

翔太「しかしあれほど嫌がってた以前の冬馬君じゃ考えられないね、何かあったの?」モグモグ


冬馬「別に、ただアイドルとしてリクエストされた曲はちゃんと歌わねぇといけねぇって思っただけだ」


冬馬「それに俺より遥かに上回るすげぇアイドルが堂々と楽しそうにお願い!シンデレラを歌ったんだ」


冬馬「彼ができたのに俺が逃げてやらなかったら、腰抜けアイドル扱いされていい笑いものになるかもしれねぇしな」


翔太「ふ~ん、なんか普通すぎてつまんないの」モグモグ


北斗「いいじゃないか、前向きな理由で」モグモグ


翔太「ま、頑張ってね。僕たちにできることは応援するくらいだし」モグモグ

冬馬「しかしなんか変わった寿司が流れてきてるな」


翔太「どれもこれも奇抜だね、まあ回ってきたものは食べるけどね」モグモグ


北斗「この回転寿司店の新たな取り組みみたいだね」


冬馬「これもすげぇな!こんな寿司初めて見たぜ!」


http://i.imgur.com/HYpBpLY.jpg

北斗「斬新すぎるね」


翔太「流石に僕はパス」


冬馬「寿司なのかデザートなのかよくわからねぇ寿司だな」


冬馬「だが美味そうだな、一つ貰おうか」スッ


翔太「えっ…食べるんだ……」


ガッ!


冬馬「…!?」


ありす「…!?」


冬馬「…」ジロッ


ありす「…」ジロッ

翔太「冬馬君どうかしたの?」


ありす「これは私が先に取りました。だからその手を放してください」ググッ


冬馬「俺の席に流れていたものを取ったんだ。放すのはそっちだろ」ググッ


ありす「いいえ、お皿の半分以上がこっち側に入り込んでいました、だからこれは私のです」ググッ


冬馬「いや元々俺のところに流れてきたのを取ったから俺のだろ!」ググッ


ありす「いいえ、私のです!」


冬馬「いや俺の!……って、お前は!?」


ありす「何ですか急に?話を逸らそうとしても無駄ですよ」


翔太「ねぇ、一体どうしたの?喧嘩?」


北斗「いい歳してみっともないよ。譲ってあげなよ」


冬馬「だが…」

美嘉「ちょっとありすちゃん、どうかしたの?」


冬馬「っ!?」ゾクッ!


ありす「この人が私のイチゴを取ろうとしているんです」


美嘉「そうなの?ちょっとアンタ、女の子相手に何ムキになってるの!」ひょい


冬馬「……」


美嘉「あ、なんだ君かぁ」


桃華「最近よく会いますわね」


冬馬「よ、よぉ…」

美嘉「何やってるの?苺軍艦の奪い合い?」


桃華「よくそれを食べる気になりましたわね?」


美嘉「アンタねぇ、別に一つくらい渡してあげてもいいじゃん、どうせまだあるんだからさ、ね?正直カッコ悪いよ」


冬馬(カッコ悪い……)


冬馬「…」


パッ


ありす「…何ですか?さっきまであれほど頑固なに手放そうとしなかったくせに」


冬馬「悪ィ、俺が大人げなかった。欲しいものは自分で頼めばいいだけだったしな」


ありす「わかればいいんですよ。わかれば」


翔太「喧嘩終わったー?」


冬馬「ああ、俺が悪かった…。確かに少し大人げなかったな」


翔太「もう、せっかく人が気持ちよく食べてるのにあと少しで台無しになるところだったじゃないの」


冬馬「すまねぇ…」


北斗「それじゃあ無事に仲直りしたところで、また食べ始めようか」


冬馬「あ、ああ。そうだな」

美嘉「こんなところで会うなんてこの街って狭いよねー」


ありす「あの失礼な人を知っているんですか?」


美嘉「知ってるも何も、ありすちゃんも知ってる有名なアイドルだよ」


ありす「アイドル?そうなんですか?」


桃華「名前を聞いたらきっとびっくりしますわよ」


ありす「ふ~ん、そうですか」


美嘉「それにしてもよく取るね、苺軍艦」


桃華「見てるこっちが気持ち悪いですわ」


ありす「私が何を取ろうが私の勝手です!」

冬馬「ふぅ、食った食った」


翔太「もう食べられないよ~」


北斗「これ絶対5000円じゃすまないよね…」


冬馬「まあいいじゃねぇか、多少はオーバーしたってさ」


北斗「う~ん…」


お会計


店員「6500円になります」


北斗「やっぱり」


冬馬「言っておくが俺は14皿しか食ってねぇぞ」


翔太「でへへ~、ごちそうさま」


北斗「はぁ、まぁ…いいか」

美嘉「もうお腹いっぱい?」


桃華「はい、今日はごちそうさまでした♪」


ありす「新しいレシピの研究に使えそうでした」


美嘉「二人とも満足でよろしい。さっ、アタシたちも行こっか★」


ありす「そうですね、お腹も膨れましたし」

北斗「それじゃあ俺たちはこれで」


翔太「じゃあね」


冬馬「ああ、また事務所でな」


冬馬「次のライブ、絶対成功させようぜ!」


翔太「その言葉もう聞き飽きたよ~。どうせ失敗なんてありえないし」


北斗「凄い自信だね。ま、俺もヘマするつもりはないけど」


冬馬「よし!次のライブが終わったらまた寿司食いに行こうぜ!」


方と「今度はおごらないよ」


冬馬「わかってるって!じゃあまたな!」


翔太「それじゃ~ね~」


北斗「またね」

冬馬「さてと……、俺も帰るか」


「ねぇそこのキミィ★」


冬馬「!?」


美嘉「やっほー、元気?」


冬馬「何だ……俺に何かようか?」


美嘉「ハイファイ☆デイズ、歌えるようになったんだって?」


冬馬「ああ、だからどうしたんだ?」


美嘉「ならアタシたちの前で歌ってみせてくれないかな?」


冬馬「はあ!?何で俺がそんなことを…!?」


美嘉「だって君、歌を聞かせている相手はいないみたいじゃないの」


美嘉「自分ひとりだけ満足して得意げになってさ、ちょっといい気になってるんじゃない?」


冬馬「何…!?」


美嘉「それにアタシたちはその手に関してはプロだよ。プロの意見を参考にしたほうがキミのためになると思うんだけどな~」


冬馬「プロ……言われてみればそうだな…」

ありす「彼がハイファイ☆デイズを歌う?そんなことが本当にできるんですか?」


ありす「正直見た目と曲のギャップが激しすぎてまともに歌うことができるかどうか怪しいのですが?」


冬馬「お前は…本物の橘ありすか?」


ありす「初対面にお前とか言ったり呼び捨てするなんて礼儀がなってない人ですね本当に!」プンスカ


冬馬「何だと!」


美嘉「はいはい、喧嘩はそこまで、子供っぽいよ」


ありす「むっ、確かに少し子供染みてましたね。度が過ぎました」


美嘉「キミもそうだよ、さっきもそうだけど女子相手にムキになりすぎ」


冬馬「ちっ、我ながらカッコ悪いぜ…」

冬馬「いいぜ、そんなに言うならやってやる!」


冬馬「ちょうど誰かに出来具合を評価して貰いたかったところだ!俺のパフォーマンス見て度肝抜かれるなよ!」


桃華「ならお手並み拝見致しますわ」

続きは明日

――――――――――――

冬馬「れ…れっつ……」


美嘉「……」じーっ


桃華「……」じーっ


ありす「……」じーっ


冬馬「っ………」ガクッ


桃華「あ、ギブアップしましたわ」


冬馬「……」


ありす「歌詞も途切れ途切れになっていましたし振付も途中から雑になってました」

美嘉「やっぱりこうなっちゃうよね」


冬馬「何がだよ…」


美嘉「緊張しちゃったでしょ」


冬馬「…!!?」


美嘉「シちゃったよね?」


冬馬「お、お前たちがジロジロ見続けるから…!」


美嘉「アタシたちのせいにするの?言っておくけど本番のライブは数千人の前で見られるんだよ!」


美嘉「たった三人に見られて恥ずかしがってたら本番なんてできるわけないじゃない!」


冬馬「くっ…」


美嘉「でもやっぱり一人で歌うのは恥ずかしいという思いがどこかで引っかかってるんだね、ね?ありすちゃん」


ありす「何で私に言うんですか!私はあんな子供っぽい歌が似合わないだけです!」


桃華「ちょっと!それってまるでわたくしが子供みたいな言い方じゃありませんの!」


美嘉「はいはい喧嘩は後でね」


冬馬「いつも通りにやっていたはずなんだが…何がいけないんだ」


冬馬「レッスンの時は完璧に歌えていたんだ!なのになんでこんな!」


ありす「だから恥ずかしいからだって結論がでましたでしょう」


ありす「そもそもあなたくらいの年齢でハイファイ☆デイズを歌うという時点でおかしすぎます」


ありす「はっきり言ってキツすぎです!見てるこっちが恥ずかしくなりました!」


美嘉「ちょっと言いすぎだよありすちゃん!ほら、彼がテストで全教科赤点取ったような悲惨な顔してるからやめなさいって!」


冬馬「」ガーン


ありす「むぅ、確かに言いすぎました」

美嘉「完璧に物にしたって言ってたけど、どうせ褒めてもらった相手ってトレーナーか君のプロデューサーくらいでしょ?


冬馬「ああ、まあ…そう、だな」


美嘉「たった二人に褒めてもらったくらいでいい気になってるんじゃないの?」


冬馬「今までずっとそうしてきたんだが、どうやら今回は勝手が違うみたいだ」


冬馬「最悪の事態になる前に前もって確認できてよかったぜ」


桃華「それで、そのあとどうしますの?」


冬馬「…練習するしか、ないよな」


ありす「効果がなかった今まで通りにですか?」


冬馬「……」


ありす「だんまりじゃ何を伝えたいのかわからないですよ」


美嘉(小学生に叱られるなんて屈辱的よね)

桃華「正直これに関しては慣れるしかないですわね」


美嘉「恥ずかしさを克服するのって練習とかじゃどうにもならないしね、気持ちの問題だから」


桃華「でも、もし困ったことがあったら遠慮なく相談してくださいな。この櫻井桃華、貴方の助けになりますわ」


冬馬「いいのか?」


桃華「ええ、それにこっちにも面子がかかっていますの」


冬馬「面子?」


桃華「わたくしたちの曲を歌わせている以上、生半可な気持ちで歌ってほしくないですわ」


冬馬「俺だってそれくらいわかってるさ!俺だって曲を借りた以上完璧に歌いてぇ!」


冬馬「だがだからといって手伝ってもらうのは気が引ける。それにこれは俺の問題だ、お前たちを巻き込みたくないぜ」


桃華「強がる必要はありませんわ。わたくしたちの曲を歌うという時点でわたくしたちも立派な関係者ですわ」


桃華「確かにあなたの言う通りこれはあなた自身の問題ですが、もし力が欲しかったら遠慮なく頼ってくださいな」


桃華「何でも自分ひとりで解決できるわけではありませんのよ」


桃華「それに、わたくしたちもあなたの歌うわたくしたちの曲を聞いてみたいのです」


冬馬「桃華…お前…俺のために」


美嘉「まあ時間があるからゆっくり考えてよ。もし決心したら教えてね」


冬馬「ああ、わかった…」


美嘉「じゃあね★」


冬馬「またな」

ありす「あれがさっき言ってたあの天ヶ瀬冬馬ですか?もっと自信家だと思っていましたが…イメージとはだいぶ違っていました」


桃華「今日はたまたまああなっていただけで普段は自分に自信を持っている殿方でしたわ」


ありす「そうだったんですか。それにしても彼、本当に助けを求めてくるのでしょうか?」


美嘉「どうだろうね~、彼無駄にプライド高いようだし」


美嘉「自分ひとりの問題だからという理由で誰かに任せず結局全部背負っちゃうタイプっぽいしね」


桃華「誰かに、なんか誰かにそっくりですわね」


美嘉「いるよね、うちの事務所にも何人か」




冬馬「もう、俺だけの問題じゃなくなっちまったのか」


冬馬「なんか前よりやりにくくなった気がするぜ…」

315プロ


冬馬「ウッス」


翔太「あれ?冬馬君が一番最後?珍しいね」


冬馬「いや、ちょっと考え事をしてて夜更かししちまった…」


北斗「考え事って?」


翔太「何か悩みでもあるの?」


冬馬「ああ…、ちょっと俺のダンス見てくれないか?」


翔太「ダンス?まあいいけど」

――――――――
――――
――


冬馬「ぜぇ…はぁ…どうだ?」


翔太「前にハイファイ☆デイズは完璧に自分のものにしたって言ってなかったっけ?」


北斗「全然言ってることが違うじゃないか。勢いがあったのは最初だけであとは全然ダメ」


冬馬「やっぱりそうか…そうなのか」


翔太「それが悩みの種なんだ」


冬馬「なあ、一体どうしたらいいんだろうな?」


北斗「どうしたらいいって言われても……今まで通り楽しく歌えばいいんじゃないのか?」


翔太「ファンのみんなに自分の凄さを見せつけるって前から言ってたじゃん」


冬馬「確かにそうなんだが…」


翔太「もしかして恥ずかしいの?」


冬馬「………」


翔太「恥ずかしいんだ」


北斗「まあ、気持ちはわからなくもないかな」

冬馬「どうやったら恥ずかしがらず歌えるか、わかるか?」


翔太「そんなこと言われても僕たち今までそんな経験味わったことないし」


北斗「すまない、流石に今回は力になれそうにない」


翔太「ごめんね~、手助けできなくて」


冬馬「そうか…」

冬馬「なあ、思ったけどさ。俺たち、この事務所に入ってからずっと三人で活動してきただろ?」


北斗「ああ、そうだね。たまに他のユニットと混ざったりしたけど」


冬馬「俺としてはどんなことがあろうがこれからも三人で一緒にステージに立ちたいんだ!」


冬馬「だがら…」


冬馬「冬馬、これはお前のライブだ、俺は今回関係ないし参加する気もない」


翔太「手助けすることはできるけど参加は流石にNG、ハイファイ☆デイズをみんなの前で大声で歌うの恥ずかしいし」


冬馬「(´・ω・`)」

冬馬宅


冬馬「クソッ!あの薄情者!仲間だと思っていたのに見損なったぜ!」


冬馬「やっぱ俺一人でやらないとダメか…でもよく考えたら昔も一人でやってきたんだよな」


冬馬「だが961プロの時は一人でやるのには限界があった。仲間の力のおかげで限界を超え、俺たちは三人揃ってトップになれたんだ」


冬馬「やっぱ誰かに手伝ってもらったほうがいいよな。だが北斗たちじゃ参考にならなかった。今回はジャンルが違う」


冬馬「かと言って桃華たちの手を借りるのもな、小学生に教えるのはいいが教えられるのは気が引ける……プライドが邪魔だぜ」


冬馬「プロデューサーはだめだ。前の失敗を引き起こすだけだ、今まで通りにはいかねぇ」


冬馬「はぁ……詰んだな…。なあ、桃華。俺は一体どうしたらいいんだろうな?」


ぷち桃華『』

冬馬「ああクソッ!悩んでいたって仕方ねぇ!」


冬馬「こういう時にはテレビでも見て気を紛らわすのに限るぜ!」ピッ


歌のお兄さん『はーい!みんな、今日もお兄さんと一緒に歌を歌いましょ~!』


子供たち『はーい!』


冬馬「これだ!」

数日後


冬馬「というわけでよろしく頼む」


美嘉「プライド安すぎでしょ」

続く

面白いからずっと作者いきてよ

半日後続きだします

冬馬「プライド捨てねぇとやってられねぇ状況になってるんだ、仕方ねぇだろ」


冬馬「つーか何で城ヶ崎までいるんだ」


美嘉「子供だけを放ったらかしにさせるわけにはいかないでしょ!だからアタシが付き添いで来てるの」


美嘉「一応アタシはこれでも保護者なんだからね」


冬馬(にしては保護者の見た目じゃねぇな。どっちかっつーと不審者だ)


冬馬(変装しているせいだと思うが、わざわざ言う必要ねぇか)

美嘉「しかし前はあんなに恥ずかしがっていたのにどういう心境の変化?」


冬馬「俺は思いついたんだ、どうやったら抵抗なく歌えるのかをな」


美嘉「ふ~ん、どんな方法?」


冬馬「歌のお兄さんの真似をするんだよ!つまりみんな一緒になって歌う、そうすれば恥ずかしがらずに歌えると思うんだ!」


美嘉「そっちのほうが恥ずかしくない?アタシは平気だけど」


冬馬「みんなで歌えば恥ずかしさなんか消えてなくなると思うんだ!」


美嘉「…へぇ~」


美嘉(それ、ソロの練習にならないと思うけど…)


美嘉(まあ、自転車の補助輪感覚としてみればいいのかな?)

桃華「むっ…」


千枝「えっと…」


美嘉「微妙な反応だね」


冬馬「い、嫌か?」


桃華「いえ、ただわたくしが教育番組の幼児のような扱いになっているのには癪に障っただけですわ」


冬馬「よっ…!お、俺はそんなつもりはなかったが…」


桃華「わかっていますわ、ただ少しむっとしただけですので気になさらないでくださいな」


冬馬「すまねぇ…」

千枝「教える経験はなくて…うまくできる自信がないです」


みりあ「大丈夫だよ!私たち5人で力を合わせばきっと冬馬ちゃんも楽しく歌えるようになるよ!


仁奈「仁奈たちがしっかりお兄さんの面倒みやがりますので安心してほしーです!」


冬馬「お、おう」


薫「なんかおおきな弟ができたみたいだね!」


冬馬「おっ!?」


美嘉「プッ…!」


みりあ「それじゃあおっきな弟のためにお姉ちゃん頑張るね!」


冬馬「ああ…」


冬馬(小学生5人に頼らざるを得ない状況になってるってなんだか情けねぇな)


冬馬(でもまぁ、子供の視点に合わせることで何か得るものもあるかもしれねぇし、それに言い出したの俺だしな)


冬馬(ここは全力で頼られるか、そしてこの借りは何倍にしてライブで返すぜ)


冬馬「じゃあ早速始めようぜ!」


5人「おー!」

薫「振付はぜんぶおぼえてる?」


冬馬「ああ、振付も歌詞も全部頭の中に叩き込んである」


千枝「それじゃあ教えることは少ないですね」


みりあ「後はどうやって楽しく踊れるようになるかだね!」


薫「今までは歌っても恥ずかしくなかったの?」


冬馬「一人だけだとそうでもねぇが周りに誰かいるとな…」


薫「いちいち気にするから変になっちゃうんだよ!」


桃華「そうですわね、細かいことを気にしていては動きがきこちなくなってしまいますわ」


冬馬「開き直っちまえばなんとかなると思うんだが…」


仁奈「それができたら苦労しねーと思いますよ」


冬馬「だな」


桃華「さあ、話すのは切りがありませんのでそろそろ始めましょうか」


冬馬「おう!」


美嘉「アタシはそっちで見てるから、何かあったら呼んでね」

美嘉「…とまあ初めは意気がっていたけど」


桃華「ちょっと!動きがぎこちないですわよ!」


冬馬「わりぃ、自分でもなんか変だと思うんだが」


みりあ「何がいけないんだろうね?」


美嘉「そう簡単にうまくいくわけないか」

薫「どうしたらいいんだろうね?」


千枝「まずバラバラなのを何とかしないと…」


仁奈「簡単ですよ!みんな同じ気持ちになるですよ!」


冬馬「同じ気持ち?」


仁奈「心がバラバラだからうまく歌えねーのはあたりまえでごぜーますよ!」


仁奈「だから心を一つにするんですよ!」


冬馬「そういえば、俺はまだこいつらと心を一つにして歌ってねぇな」


冬馬「単純なことなのにそれすらできてねぇとは…。まずいな、スランプにでもなったか?」

みりあ「でもどうやって心を一つにするの?練習?」


仁奈「もっと簡単な方法があるでごぜーますよ!ここに仁奈の着ぐるみの帽子の部分をみんなの分持ってきたでごぜーます!」


仁奈「みんなおそろいの帽子を被って心を一つにしやがるのですよ!」


薫「さすが仁奈ちゃん!みんなお揃いなら心も一緒になれるね!」


冬馬「んな馬鹿な!」


桃華「気が利きますわね!ありがたく使わさせてもらいますわ!」

みりあ「どうしたの?冬馬ちゃんも早く被ってよ」カポッ


冬馬「こ…これを被るのか?」


仁奈「嫌ですか?」


冬馬「いや、嫌というか…被っても動きを合わせられるとは思えねぇが」


みりあ「でも私、みんなと同じ衣装を来たら何だか心が一つになれた気がするよ?」


冬馬「気のせいだろそれ!」


桃華「どんなことでもまずは形からですわ。たとえ気のせいでも全員同じ条件ならある程度やりやすいはずでしょう?」


冬馬「確かにそうなんだが…」

桃華「まさか恥ずかしいのですか?」


冬馬「うっ…!」


桃華「はぁ…今更何を恥ずかしがっているんですの!」


桃華「往生際が悪すぎですわ!」


冬馬「いや、その……お揃いの帽子を被る以外にもっといい方法はないのか?」


仁奈「あるわけねーです」


冬馬「んな馬鹿な!」


桃華「どうやら完璧に歌えるようになるためにはまずはその恥じらいを取り払ったほうがいいですわね」


桃華「こうなったら無理やり被せてあげましょう!」


みりあ・薫「おー!」ガバッ!


冬馬「ちょ、おまっ……待て!うわぁ!」ドスッ


美嘉「……!」

みりあ「ふぅ、なんとか被らせたよ」


冬馬「…」ピヨッ


千枝「これは!」


冬馬「何だよ…、変か?」


仁奈「とっても似合ってるでごぜーますよ!」


冬馬「に、似合ってる?そうか?なんかすげー恥ずかしいんだが…」


みりあ「そんなことないよ!とっても可愛いよひよこさん!」


冬馬「か、可愛い…?」


薫「うん!とってもかわいい!」


千枝「お兄さんって意外とそういうものも似合うんですね!とっても可愛いです!」


仁奈「仁奈のキグルミだから可愛いのはあたりまえですよっ!」


桃華「流石ジュピターのリーダーですわね、どんな物を着ても可愛く着こなすなんて」


冬馬「ま、まあな!それほどでもねぇよ!はははっ…」


美嘉「っ……!っ……!」プルプル

続きは明日

夕方あたり投下します

あと、変なのがなりすましてますので次からは酉をつけることにします

冬馬「……マジでこれで歌えるようになるのか?」


仁奈「仁奈のことが信用できねーとでもいいてーのですか?」


冬馬「いや、そうは言ってねぇぞ。ただこれで心を一つになれたとしてもだな…」


冬馬「最終的には俺がソロで歌うことになるから、これを被る意味はないと思うんだ」


仁奈「離れていたって、仁奈たちの心は常に一つに繋がっているですよ」


みりあ「うん!離れていてもずっと一緒だよ!ってずっと前に転校していってた子が言ってたから大丈夫だよ!」


千枝「つまり気持ちの問題ですよ!たとえソロでも心の中に千枝たちがいる限り一人じゃありません!」


冬馬「結局心の問題かよ!」


桃華「さあさあ、無駄話はおしまい。早速始めますわよ!」グイグイ


冬馬「わ、わかったら引っ張るな」

千枝「だけど恥ずかしさを克服したいのに観客なしで練習になるのかな?」


みりあ「じゃあ次やるときはみんなを呼んでみよっか!」


薫「さんせーい!やっぱライブにはお客さんがいないと盛り上がらないよね!」


冬馬「みんなって…?」


仁奈「みんなは事務所のみんな、仁奈たちと同じアイドルでごぜーますよ」


冬馬「マジかよ」


美嘉(公開処刑だね)

冬馬(冗談じゃねぇ!誰が好き好んで人前で恥さらさなきゃならねぇんだ!ふざけるな!)


冬馬(…って思いっきり大声で言いてぇ気分だが、こいつらの前だとどうしても口が開けねぇ)


冬馬(こいつらにも都合があるというのに全員わざわざ俺のために時間を空けて付き合ってくれてるんだ)


冬馬(それを冷たく返すなんて、死んでもできるわけがねえ…)


冬馬(だがこのまま他のアイドルに見られてダメ押し喰らうのも御免だ)


冬馬(力付けまくって見せつけるならともかく、この状態で見せつけても笑われるだけだ!)


冬馬(だが断ったらこいつらきっとがっかりするに違えねぇ。そんな顔は見たくない)


冬馬(だったら選択肢はこれしかねぇ…!)

冬馬「あのさ、観客をお前たちのクラスの友達……とかじゃダメか?」


みりあ「う~ん、どうする?」


千枝「お兄さんがそれでいいなら」


桃華「それによく考えたらそっちのほうが人が集まりそうですものね」


冬馬(ホッ…、なんとかなったか。少なくとも見られてもダメージが少ない子供相手ならやりやすいぜ)


美嘉(うわっ…、そういう趣味があったんだ…)

桃華「それじゃあわたくしたちが歌いますからそれに続きなさいな、準備はよろしくて?」


冬馬「おう!いつでもいいぜ!」


数分後


冬馬「今日のーゆうきぃぃぃぃ!!!」


桃華「ストップストップ!ちょっと!音程が滅茶苦茶ですわよ!!」


冬馬「そ、そうか?」


みりあ「なんか無理して歌っているみたい」


薫「首を絞めた鶏みたいな声で歌ってたよ」


冬馬「そんなにひどいのかよ!」


千枝「気づかなかったんですか?」


冬馬「いや、だがそこまでひどいとは思わなかったぜ…」


仁奈「まだまだ練習不足でごぜーますな」


桃華「はい、もう一度!」


冬馬「くっ…」

冬馬「レッツゴー!」ドン!


千枝「わわっ!」


桃華「ストップストップ!動きがとてもぎこちないですわよ!それに乱暴すぎですわ!」


冬馬「すまん、俺もそう思った…」


桃華「全く…、これじゃあ前と変わりませんわ!」


仁奈「心を一つにするどころか、ダンスを一つにすることすらできねーなんて」


仁奈「本当にトップアイドルなんでごぜーますか?」


冬馬「っ…!」


美嘉(ちょっ…それ言い過ぎ)

冬馬「いいぜ、だったら俺の全力見せてやるよ…」


みりあ「あ、やる気出した」


冬馬「お前たちに俺の力がどれほどのものなのか見せてやる!」


冬馬「今までは半分の力しかだしてなかったんだ!次は全力だぜ!」


桃華「だったら最初から全力で練習してくださいな!時間の無駄じゃありませんの!」


冬馬「ご、ごめんなさい…」


桃華「はぁ…男子ってよく自分はまだ本気じゃないアピールをしますわね。みっともなくて心底呆れますわ」

しばらくして


冬馬「………」ずーん…


桃華「ちっとも改善しませんね」


みりあ「何がいけないのかな?」


仁奈「仁奈たちと踊るのが嫌とかじゃねーですか?」


冬馬「そんなことはねぇぞ!むしろ一緒に踊れて嬉しいくらいだ!」


千枝「千枝たちに気遣ってくれているのはわかります…でも…」


千枝「正直千枝は…お兄さんと踊っても楽しくありません…」


冬馬「なっ!?」


みりあ「そうだよね、顔も硬いし辛そうで無理しちゃってるように見えるもんね」


薫「そんな状態で一緒に踊るとこっちまでかたくなりそうだよね!」


冬馬「いや、その…」

桃華「皆さん、ちょっと口が過ぎますわよ!」


桃華「この状況を一番何とかしたいと思っているのは冬馬ですわ!助けるはずのわたくしたちが彼をもっと追いつめてどうしますの!」


みりあ「…それもそうだね、ごめんなさい」


冬馬「いや、別に謝る必要は…」


桃華「ただ、一緒に歌っても楽しくないのは同意しますわ」


冬馬「っ…!」


桃華「さて、そろそろお昼ですので休憩にしましょうか」


4人「うん!」


桃華「冬馬もしばらく休みなさいな」


冬馬「ああ…」

美嘉「お疲れさーん」


冬馬「はぁ……」ずーん


美嘉「うわっ!ひどい顔!あんなにきつく言われたことが効いたの?」


冬馬「アレで効かない奴ってどんな奴だよ、なんなら城ヶ崎も言われてみるか」


美嘉「遠慮しておく、立ち直れなくなるし」


冬馬「そうかい」

美嘉「にしても歌いなれてない曲だけであそこまで不調になるの?」


美嘉「もうあれスランプの領域だよ」


冬馬「恥ずかしいから……ってもうそれ言い訳にもならねぇな」


冬馬「なぁ、お前だったら歌いなれてない曲を歌うことになったらどうするんだ?」


美嘉「え?アタシだったらその曲を自分のスタイルに合わせて歌うけど?」


美嘉「どうせならアタシらしく歌いたいからね。演歌でも電波ソングでもみんなの心をときめかせちゃうような歌い方をするだけだよ」


冬馬「おお、すげぇ説得力あるな」

冬馬「よし!なら俺も俺らしいハイファイ☆デイズを披露すれば…!」


冬馬「…俺らしいハイファイ☆デイズって何だよ。バク転でもしたらいいのか」


美嘉「そんなの何度も練習しないとわかるわけないでしょ。たくさんのレッスンを重ねてやっと形になるんだから」


冬馬「そっか、そりゃそうだよな、はぁ…」


美嘉「また落ち込んじゃって、すっかり熱血が冷血になってるわね」


美嘉「なんならお姉さんがいくつか基本のアドバイスしてあげようか?」


冬馬「基本のアドバイス?」

美嘉「一つ、人の目を気にして失敗を恐れないこと」


美嘉「二つ、誰のために歌うのか再認識すること」


美嘉「三つ、タガを外して弾けること」


美嘉「わかった?」


冬馬「最後がなんか適当っぽい気がするが…つーかお姉さんって、俺たち同い年だろ」


美嘉「キミ、生年月日は」


冬馬「ひな祭り」


美嘉「似合ってないね」


冬馬「ほっとけ!」


美嘉「ま、アタシのほうが4か月前に産まれているからアタシがお姉さんね」


冬馬「なんでそこで張り合うだ!まあ、どうでもいいか」

冬馬「だが、こんな初歩的なアドバイスを言われるほど今の俺ってそこまでダメになってきてるのか」


冬馬「人の目か、確かに人の目に気を取られているせいでみっともねぇ真似を見せてるな」


冬馬「そして誰のために歌うか…それはもう決まってる。俺はファンのために歌っているんだ」


美嘉「他には?」


冬馬「他には……あいつらだな。あいつらも俺たちのために頑張ってるからな」


冬馬「そうだよな、あいつらも頑張って手伝ってくれてるのに何で俺ってそれを踏みにじるようなことをしてるんだ」


美嘉「おっ、表情かなりよくなったじゃん!」


冬馬「ああ、おかげですっきりしたぜ。このまま一人で抱え込んでたら俺は絶対挫折してた」


冬馬「サンキュウな城ヶ崎!おかげで吹っ切れた!今なら歌える気がするぜ!」


美嘉「元気になってくれたのはいいけど、それ、口だけじゃないよね?」


冬馬「もちろんだ!ならその証拠、後で見せてやるぜ!」


美嘉「楽しみにしてるよ★」


冬馬「おう!」


冬馬(とは言ったが、できるか?いや、やるしかねぇか)

続く

冬馬「……」


5人「………えっと…」


冬馬「……すまなかった!」


千枝「えっ?」


冬馬「俺が不甲斐無いせいで、お前たちに迷惑を掛けちまった!」


冬馬「お前たちだって一生懸命俺のために付き合ってくれてるというのにこんな仕打ちじゃあ…、謝っても謝りきれねぇ…」


千枝「こっちこそごめんなさい…。千枝、ちょっときつく言いすぎました…」


千枝「この状況を一番なんとかしたいのはお兄さんなのに、千枝たちが冷たくしちゃって…」


桃華「後で思い返すと、わたくしたちの言い方にもトゲがありましたわね。申し訳ありませんわ」


冬馬「謝る必要はねぇ!悪いのは全部歌えなかった…」


薫「はいはいそこまで!」


みりあ「これ以上やってもきりがないよ!」

仁奈「べつに仁奈たちは気にしてねーから大丈夫ですよ!」


冬馬「すまなかった…次はちゃんと踊るから、迷惑かけた分それ以上の恩を返すから、一緒に続けてくれないか?」


桃華「もちろんですわ!約束ですものね」


美嘉「うんうん、仲直りできてよかったよかった!」


みりあ「それじゃあまた練習しよっか!」


冬馬「おう!」


冬馬(こんな無様な俺のことを見棄てず、まだ助けようとしてくれるなんて…)


冬馬(情けなくて悲しいがそれ以上に嬉しいぜ!もう絶対ヘマはしねぇ!してたまるか!)


冬馬(こうなったらとことんやりきってやる!こいつらのためにも俺なりのダンスを完成させてやるぜ!)


美嘉(それにしてもJCたちに教えられる男子って……何だかとっても情けないわね)

冬馬「顔上げてー一緒にレッツゴー!」ビシッ!


みりあ「いい感じいい感じ!」


千枝「その調子です!」


美嘉「おお、踊れてるじゃん」


美嘉「しかもやけくそになって歌ってるんじゃなくて純粋に楽しんで歌っているのが伝わってくるね」


美嘉「にしてもあの短時間でここまで変わるなんて…」


美嘉「まさかアタシの一言が原因?それともあの子たちの影響?まあ、どっちでもいいけど」


冬馬「とーびだーせー!!!」バシッ!

冬馬「ふぅ、大分気持ちも身体も楽になったな」


桃華「はぁ…はぁ…、ちょっと疲れましたわ」


みりあ「大丈夫?はいお水」


桃華「いただきますわ…」


冬馬「それにしても、まさか俺がここまで踊れるようになるなんて」


冬馬「やっぱお前たち最高だ!マジサンキュウな!」


薫「どういたしまして!」


千枝「そ、それほどでもないですよ」

冬馬「ふぅ、大分調子が良くなってきたぜ」


桃華「はぁ…はぁ…、ちょっと疲れましたわ」


みりあ「大丈夫?はいお水」


桃華「いただきますわ…」


冬馬「それにしても、まさか俺がここまで踊れるようになるなんて」


冬馬「やっぱお前たち最高だ!マジサンキュウな!」


薫「どういたしまして!」


桃華「それほどでもありませんわ」

冬馬「お前たちに会えてなかったら、今頃俺はしっぽ巻いて逃げ出していたと思う」


冬馬「これはせめてものお礼だ、受け取ってくれ」


千枝「これって…」


仁奈「チケットですか?」


冬馬「ああ、次の俺たちのライブのチケットだ。なんか色々世話になっちまったな」


冬馬「もし予定が空いてたら、見に来てくれないか?」


みりあ「いいの!本当に貰っちゃってもいいの!」


冬馬「おう!遠慮するな!」

桃華「それならありがたく頂ましょう。せっかくなのでぜひ見に行きますわ」


冬馬「おう!俺たちの最高のパフォーマンスを見せてやるから期待してくれよな!」


美嘉「うんうん!みんなの笑顔を見てるとアタシも笑顔になっちゃうな~★」


美嘉「で、アタシの分は?」


冬馬「え?」


美嘉「え?」

美嘉「いや、この流れだと普通アタシの分もあるんじゃないの?」


冬馬「何でだ?」


美嘉「え?」


冬馬「え?」


美嘉「いや……ほら、アタシがいないと誰がこの子たちの面倒を見なきゃならないの」


冬馬「ああ~……」


冬馬「……じゃあ、後で一枚渡しておくぜ」


美嘉「ありがと」


美嘉(最初から渡す気なかったって酷くない?)

ライブ


北斗「チャオ☆ここだと相変わらずエンジェルちゃんたちの顔がはっきりと見れて最高だよ!」


翔太「それじゃあ、そろそろ派手に始めちゃおっかな!!」


冬馬「っしゃあ!今日も飛ばすぜ!」


キャアアアアアアアア!!!


みりあ「うわぁ、すっごい歓声!」


千枝「千枝たちのライブとは全然違う、特に観客が」


仁奈「暑苦しくなさそうな人たちばっかですよ。優しそうなお姉さんたちでうらやましいですよ」


薫「それにしてもお兄ちゃんも気が利くよね!こーんないい席に座らせてくれるなんて!」


桃華「まさに特等席ですわね。ここならわざわざ立つ必要ありませんし、ゆっくり見れますわ」


美嘉(嘘…、こんなところからアレを踊るの……、思っていた以上にハードル高すぎでしょ)


美嘉(参ったなぁ。あの時彼のことよく知らずにアドバイスしちゃったけど、これじゃあ役に立たないかも)

冬馬「……」チラッ


桃華「……」


冬馬「……!」ウィンク!


みりあ「あっ!今、私たちにウィンクした!」


千枝「なんか、今までお兄さんと会った中で一番活き活きしてるね」


仁奈「今まで悲惨な顔ばかり見ていたからなんか新鮮ですよ」


桃華「あ、今バク転しましたわ!」


薫「かっこいいいいい!!!」


みりあ「ほら、ペンライト振らないと!」


千枝「うん!」


薫「見てるこっちも楽しくなるね!」


美嘉(本当にすごい熱狂、ちょっとびっくり)

みりあ「美嘉ちゃんも振って!」


美嘉「え?あ、うん!」


冬馬(そうだ、これだこれ!この調子を、次のライブに叩き込んでやる!)


冬馬「よし!次行くぜ次ィ!」


ワアアアアアアアアアアア!!!

ざわざわざわざわ


薫「楽しかったねー!」


みりあ「うん!男の人のライブ初めてだけど面白かったね!」


桃華「やっぱり直接会場で見たほうが迫力ありましたわね!」


みりあ「なんかファンになっちゃいそう!」


美嘉「また機会があったら見にいこっか!」


5人「うん!」

北斗「お疲れ、冬馬」


冬馬「おう!二人ともお疲れ!今日もよかったぜ!」


北斗「冬馬はいつも以上に張り切ってたな」


翔太「なんかいいことあったの?」


冬馬「まあな!」


翔太「そっか」


北斗「それじゃあその調子を維持して次のソロライブ、しっかりやれよ」


冬馬「言われるまでもねぇぜ!」


翔太「もう克服できたの?」


冬馬「当たり前だろ!いつまでもウジウジしてちゃカッコ悪いしな」


翔太「そっか、頑張ってね」


冬馬「おう!」

冬馬家


『今日のあなたたちのライブとっても素敵でしたわ!』


『あんな迫力あるライブを見せてくれて、本当に感謝しますわ!いい経験になりました』


『次のライブも期待していますわ!』


冬馬「へへっ」


冬馬「へへへっ!」


冬馬「めっちゃ清々しい気分だぜ!メール越しとはいえこれほど褒められて嬉しいってことは一度もねぇ!」


冬馬「大切に」


冬馬「この調子を維持し続けて次のソロ、完璧にしてやるぜ!」


冬馬「おっと、そうだ!」


『実はお前たちのファンミーティングのチケットが当たったんだ』


『今度は一人のファンとして会いに行くからよろしく頼むぜ!』


冬馬「これでよしっと!」


冬馬「いや~、最近ノリに乗ってて気分がいいぜ!」

日後


体育館


みりあ「約束通り友達たくさん連れてきたよ!」


千枝「ライブの練習に丁度いいと思います」


桃華「みんなあなたのファンらしいですわよ」


冬馬「マジで…!?」


女の子たち「ジュピターの冬馬君?」「本物だー」「ほかの二人はいないの?」「カッコいい!」


美嘉「モテモテじゃん、このスケコマシ」


冬馬「誰がスケコマシだ、それは北斗のほうだ」


「あくしゅしてー!」「サインしてー!」「写真とってー」


冬馬「まあまあ握手もサインも写真もなんでもやるからその前に俺の歌を聞いてくれよな!言うこと聞けばちゃんとやるぜ!」


女の子たち「はーい!」


冬馬「物分かりがよくて助かるぜ。やっぱ子供って良いな」

みりあ「大丈夫?一人で踊れる?」


冬馬「心配してくれているのか?サンキュ、だが大丈夫だ」


千枝「本当ですか?」


冬馬「まあ見てなって!俺の100%の力、お前たちにも見せてやるぜ!」


桃華「それじゃああっちで座って見てますから頑張ってくださいな」


冬馬「おう!」

美嘉「ここが一番よく見える場所だよ、みんなこっちにおいで!」


「あ!美嘉ちゃんもいる!」「何で?どうして?」「何だっていいよ!せっかくだから座っちゃおう!」「うん!」「お姉ちゃんいい匂い」


美嘉(ふぅ…。最ッ高★)

~~♪~~♪~~♪


冬馬「あーしたへー!」


冬馬「みーらいへー!」


冬馬「きのーうーのー涙ーはー今日のー勇気ー」


冬馬「顔あげーてー一緒にレッツゴー!」ビシッ!


冬馬(よし、完璧だ。あいつらのおかげでもう平気で踊れるようになったぜ!」


冬馬(もう俺を遮るものは何もない、もう何も怖くねぇ!)

冬馬「きざんでーくーストーリーハイファーイなデェェェイズ!!!」ビシッ!


女の子たち「きゃああああああ!」パチパチパチ


冬馬(決まったぜ!)


美嘉「ねぇ、どうだった?」


女の子たち「迫力あったね!」「うん!」「普段と違った冬馬さんのダンスが見れて面白かったね!」


冬馬「よし!」

「でも歌が冬馬君とあってなかったね」「なんかねー」


冬馬「あ?」


「ノリノリで歌ってるところがちょっと気持ち悪かったね」「ねー」「おかしすぎてちょっと可愛い」「うん!」


「お兄ちゃんや先生だったら恥ずかしくて絶対やらないと思う」「可愛い曲と顔が似合ってない」「よく考えたらS○APの彼も無理があった」


冬馬「」


桃華「ちょ、ちょっと!」


冬馬「気持ち……悪い…………」

桃華「せっかく冬馬が調子を取り戻したというのにそんなことを言ったら…」


冬馬「…なあみんな!せっかく来てくれたんだ、もっと俺の歌を聞いてみたいと思わないか?」


「え!?もしかして歌ってくれるの?」


冬馬「ああ!今日はお前たちのためにライブをやってやるぜ!思いっきり楽しんでくれ!」


「きゃああああああああ!!!」


桃華「えっ……えっ?」


冬馬「それじゃあまずは…!」


――――――――
―――――
――

「今日はありがとー!」「楽しかったよー!」「またねー!」


みりあ「またねー!」


千枝「大丈夫ですか?顔色が悪いですけど…」


冬馬「ちょっと、暑くて熱中症になっちまったっぽいな。へへっ!」


桃華「本当に?」


薫「ねっちゅうしよーはまずいって!ちゃんと冷やさないと!」


冬馬「そうだな、後でアイスでも食うか?」


仁奈「わーい!」


みりあ「食べる食べる!」


冬馬「よーし!今日は俺のおごりだ!好きなの頼んでいいぞ!」


薫「うん!」

桃華「えっと…」オロオロ


美嘉(笑ってるふりしてるみたいでなんか見てられないんだけど)


冬馬「お前も食うか?」


美嘉「パス、今ダイエットしてるから」


冬馬「そうか、うめぇのに。じゃあ行くか」


みりあ「うん!」


仁奈「やっぱりこの味が一番うめーです!」


桃華「そうですわね!」

桃華「えっと…」オロオロ


美嘉(笑ってるふりしてるみたいでなんか見てられないんだけど)


冬馬「お前も食うか?」


美嘉「パス、今ダイエットしてるから」


冬馬「そうか、うめぇのに。じゃあ行くか」


みりあ「うん!」

次で最後

仁奈「やっぱりこの味が一番うめーです!」


薫「うんうん!やっぱマンゴーだよね!」


千枝「うん!」

冬馬「『冬馬 ライブ ハイファイ☆デイズ』…twiiter、検索」ポチッ


『すっごく楽しみ!ハイファイ☆デイズと冬馬くんのギャップが激しすぎて想像するだけで笑いそう!』


『やっぱイケメンだから許されるんだろうなぁ、でもやっぱきつそう』


『もっとカッコいい歌が良かった』


『あれをロリ以外が歌うなんてキツイ』


冬馬「……」


みりあ「何見てるの?」


冬馬「ただの天気予報だ、そんなことよりほら、アイス垂れそうだぞ」


みりあ「あわわ!ほんとだ!」


冬馬「全く、桃華も早く食べないと地面に落ちてアリの餌になるぞ」


桃華「え、ええ…」パクッ

×JC
○JS

冬馬(たかがネットの評価、気にするなと言ったらそれまでだが、俺にも思うところもある)


冬馬(歌やダンスのキレはもう充分、だがアレには根本的な問題があった)


冬馬(元々アレはロリが躍るためにある曲……)


冬馬(俺みたいな男が歌っても、そもそも合うわけなかった。最初から自分でもわかっていたじゃないか)


冬馬(ズレていたんだ、ファンと俺の認識のズレが)


冬馬(俺らしいパフォーマンスを期待していたんじゃなくて、俺が普段歌わない曲を歌うというギャップ萌えを楽しみたかったんじゃないのか?)


冬馬(そうだ、そうだよな。でねぇとハイファイ☆デイズが一位になるはずがねぇ)

冬馬(俺らしく踊れば踊るほど茶化されまくる。だが棄権することはもう今更できねぇ)


冬馬(何をどうやっても全部俺に不都合な展開になる。こんなことは初めてた)


冬馬(俺はファンのみんなに喜んでもらいたいが、ファンに笑われたくはない)


冬馬(なんか、もうどうでもよくなってきた)


千枝「お兄さん、アイス垂れそうですよ」


冬馬「おっと……」パクッ

315プロ


冬馬「お疲れ様でしたー」


翔太「冬馬君最近口数少なくなってない?」


北斗「次のライブのことで神経を尖らせてるんだろ」


翔太「まだ悩んでるんだ」


翔太「力になれたらいいけど、僕たちに何ができるんだろ?」


北斗「う~ん……」

ファンミーティング


ウオオオオオオオオオオオオ!!!


桃華「……」キョロキョロ


仁奈「どうかしたですか?」


桃華「いえ、ちょっと冬馬の姿が見当たらなくて……」


薫「そういえば見当たらないね。メールで来るって言ってたのに」


みりあ「どこかに隠れてて見えないだけかな?」


仁奈「あそこに一つぽっかり空いてる席あるけど、あそこじゃねーですか?」


千枝「風邪でも引いたのかな?」


桃華「あんなに誰よりも楽しみにしていたのに…」

冬馬宅


冬馬「……」


冬馬「……」ゴロン


千枝のポスター『』


冬馬「……」


冬馬「……」<you got a mail.


冬馬「……」ピッ


『次の日曜日、わたくしたちと会ったあの公園にきてくださいな』


『来なかったら承知しませんわよ! 桃華より』


冬馬「……」


冬馬「……」むくりっ

公園


桃華「……」イライライライラ


冬馬「よぉ……」


桃華「何がよぉ……ですの!最近連絡がないから心配しましたのよ!」


桃華「前のイベントにも来てくれませんでしたし、一体何をしていましたの!」


桃華「前のイベントだって、貴方が一番会いたがっていたのではなくて?」


冬馬「ああ……」


桃華「何がああ……ですの!貴方のその顔、今まで見たことない暗い顔してますわよ!」


桃華「全く、何をそんなに落ち込んでいますの?」


冬馬「……」

桃華「とりあえず話して見なさいな、もしかしたら何かできるかもしれませんわ」


冬馬「ああ、実は……ファンと俺の認識が……かくかくしかじかで」


桃華「それでどうでもよくなってきて元気がなかったのですね?」


冬馬「ああ……」


桃華「う~ん……」


冬馬「……と、子供相手に何言ってるんだろうな、柄にもねぇ」


冬馬「すまねぇな、愚痴っちまって、後はもう……」


桃華「……そうですわ!」


桃華「ちょっと、わたくしと少し街に行きませんか?」


冬馬「何だって?」


桃華「そんな暗い顔していたら幸運が逃げてしまいますわ」


桃華「さあ、行きますわよ!」


冬馬「お、おい…!」

ゲームコーナー


桃華「もうちょっと右ですわよ!」


冬馬「わかってるって!」ポチッ


ボトン


冬馬「よっしゃあ!ほら、取れたぜ、クマのぬいぐるみ」


桃華「感謝しますわ!貴方、クレーンの才能ありますわね」


冬馬「当たり前だろ!俺は完璧だからな、何やっても楽勝だぜ!」


桃華「それじゃあ次はあれを所望しますわ」


冬馬「おう!」



桃華「~♪」


冬馬「やれやれ」

ハンバーガー店


冬馬「ほらよ」


桃華「どうも」パクッ


冬馬「次はどうするんだ?」パクッ


桃華「そうですわね…」モグモグ



美嘉「………ん?」ちゅーちゅー

道端


婦警「ちょっと君ィ、小さい女の子連れまわしてどういうつもり?」


冬馬「いや、その……これには訳が…」オロオロ


桃華「ちょっと!お兄様に何かようですの?」


婦警「あら?兄妹だったの?ご、ごめんなさい。勘違いしちゃった」


冬馬「いや、わかればいいんだ」



冬馬「助かったぜ…」


桃華「どういたしまして」




美嘉「……!?」

映画館


ゴォォォォォォォォ!!!


桃華「まぁ…、そんな……」


冬馬「やっぱマグロ食ってるやつとは違うな」



カラオケ


桃華「~~~~~♪~~~~~♪~~~~!!!」ブンブンブン!!!


冬馬「流石だな」


桃華「それほどでもありませんわ」


冬馬「今度は俺の番だな」




冬馬「~~~~~~♪」シュバッ!


桃華「お見事!」パチパチ


冬馬「へへっ!」

公園


桃華「ふぅ、今日は楽しかったですわね!」


冬馬「ああ、俺もメンバー以外と一緒に遊ぶのは久々だったから楽しかったぜ」


冬馬「今日はありがとな、桃華」


桃華「どういたしまして。それで、胸のもやもやはなくなりましたか?」


冬馬「ああ、お前と一緒じゃなかったら今でもくすぶってたと思うぜ」


桃華「ええ。もうあなたは一人じゃありませんわよ。だから辛いことがあったら、なんなりと申してほしいですわ」


冬馬「俺にもう辛いことなんて……」


ポロッ


冬馬「…あ?」

冬馬(元々アレはロリが躍るためにある曲……)
他のも24歳のセクシーアイドルが踊っても合うわけないしね

桃華「……」


冬馬「…なんだ?雨でも降ってきたのかな。ははっ、顔が、濡れて…」


ぎゅっ


冬馬「…!」


桃華「…」ぎゅっ


冬馬「…」

冬馬「…」


桃華「少しは落ち着きました?」


冬馬「ああ…」


冬馬(暖けぇ……)


桃華「もう、迷いはなくて?」


冬馬「ああ…」


桃華「……もう少しだけ、このままにしましょうか」ギュッ


冬馬「ああ…」ギュッ

冬馬(いるじゃねぇか。茶化さず、冷やかさない、俺にとって最高のファンが)


冬馬(最初からファンのためじゃなく、桃華たちのために踊ればよかったんだ)


冬馬(桃華たちだけが、俺のハイファイ☆デイズを笑わずに、真剣に見てくれる)


冬馬(他の誰かの評価なんかいらねぇ、誰の目も気にしねぇ。俺には桃華たちがいれば、それでいい……)


桃華「よしよし…」ナデナデ




美嘉「Σ(゚Д゚il!)」

ライブ当日


ワイワイ ガヤガヤ


仁奈「いよいよでごぜーますね」


千枝「お兄さん大丈夫かな?」


桃華「大丈夫に決まってますわ!わたくしたちが一生懸命レッスンに付き合ってあげたのですのよ!」


桃華「これで失敗したらただじゃおきませんわ!」


みりあ「冬馬ちゃんのライブが上手くいくようにみりあたちもたくさん応援するよ!」


薫「うん!かおるもせいいっぱい応援する!」


美嘉「……」イラッ

でもあなたアニメの17話で似たことされてましたよね
男なら事案?まぁそうだな

「準備はいいですか?」


冬馬「大丈夫です。いつでも行けます」


「頑張ってください」


冬馬「はい」


冬馬(あいつらにたくさんの元気をもらった、今の俺には恐れるものはねぇ)


冬馬(行くぜ!これが最後だ!)ターン

ワアアアアアアアアアアアア!!!


桃華「―――――――!!!」


4人「―――――――!!!」


冬馬「……(!来てくれたのか、礼を言うぜ!)」


冬馬「今日は、俺一人のためにわざわざ全国からはるばる来てくれて、ありがとな!」


冬馬「そして、俺に歌ってもらいたい曲を選んでくれたことにも礼を言うぜ!」


冬馬「だがらその礼に答えて、今日はみんなが選んでくれた最高の一曲を歌うぜ!」


ワアアアアアアアアアアアアア!


冬馬(見ていてくれ、これが俺の全力だ!)

~~~♪~~~♪~~~~~~♪


冬馬「うぅぅぅぅぅぅうう!!」


冬馬「Let's go!」


~~~♪~~~♪~~~~~~♪


冬馬「Wow wowo...Uh...Yeah!!!」


~~♪

冬馬「お気に入りのスニーカー 紐結んだ~ら~」


冬馬「ドアを開けてースタートダッシュ!!」


5人「いっせーの ハイ!!」


冬馬「弱音は」


みりあ「No!!」


冬馬「吐かないよ」


仁奈「Yes!!」


冬馬「そうさ!約束をしたー場所へーとー止まらないEmotion!」


冬馬「泣きたくて~壊れそうな~想いをぎゅっと抱きしめてく~」


冬馬「いつかダイヤのように~ 輝く日まで~!」


5人「 Let's go!」

冬馬「明日へ~」


薫「Jump!!」


冬馬「未来へ~」


千枝「Hey!!」


冬馬「昨日の涙はー今日のー勇気ー」


冬馬「顔上げて~一緒に」


桃華・冬馬「Let's Go!!」

冬馬「最初のStep!」


五人「by Step!!」


冬馬「踏み出そう!」


5人「Stand Up!!」


冬馬「みんなでー夢描ーこーう!!It's all right!」


冬馬「手をつないで一緒にHi-FiなDays!!!」ウィンク


ワアアアアアアアアアアアアア!!!


冬馬(桃華たち、本当にありがとな)

「迫力あったね!」「ちょっと声無理ありすぎ」「マジ笑いそうになったんだけど」「これは伝説になったね」


「やっぱイケメンだけにしか許されないね」「また見てみたいかも」「もうアップロードされてるんだけど…」「マジ?DLしてから通報しよ」


「アイドルって大変なんだね」「見てるこっちが恥ずかしくなったんだけど」「やっぱプロだよ彼」「投票した甲斐があったのう」

スタッフ「今日はお疲れ様でした」


冬馬「ありがとうございました」


バタン


冬馬「ふぅ…」


みりあ「冬馬ちゃん!」


冬馬「お前たち!」


桃華「本当に素晴らしいライブでしたわ!」


仁奈「文句なしでごぜーますよ!」


冬馬「ああ、ここまで来れたのは桃華たちのおかげだ。桃華たちがいなかったら、俺は多分壊れていたと思う」


冬馬「ただ、散々手伝ってくれたのに結局俺がしてやれることはライブ一つくらいだけだったのが心の残りだが……」


桃華「確かに物足りないですわね。だからこれからももっとライブをわたくしに見せてくださいな」


冬馬「おう、もちろんだ。これからもずっと聞かせてやるぜ!」

美嘉「……」(ゴミを見る目)


冬馬「城ヶ崎、お前にも礼を言わないとな。お前からのアドバイス、本当に役に立ったぜ!」


美嘉「うん、どういたしまして」(ゴミを見る目)


冬馬「これからもよろしく頼むぜ!」


美嘉「うん、よろしくね、それじゃあね」(ゴミを見る目)


冬馬「おう、またな!」

数日後


桃華「ふぅ、かなり疲れましたが、おかげでいいものが見れましたわ」


千枝「うん、また見に行きたいよね」


桃華「ええ」


みりあ「みんな!プロデューサーが帰ってきたよ!」


桃華「何ですって!?」


みりあ「やっと謹慎処分が解除されたの!これで今までと同じようにまた一緒にお仕事できるよ!」


仁奈「遅すぎでごぜーますよ!でもとっても嬉しいですよ!」


薫「早く会いにいこ!ねえ!」


千枝「いこっか」


桃華「ええ!」


桃華「全く、プロデューサーちゃまったら本当に人騒がせなんですから、もう!」ダッ

冬馬「全く、この短い間、一生分の苦労を味わった気がするぜ」


冬馬「だが、、ちびっ子たちに会ったおかげで、見えないものが見えてきた」


冬馬「あいつらは、俺に新しい道を開かせた恩人だ。これからもあいつらのことを応援し続けるぜ」


ピンポーン


冬馬「ん?何だ?」ガチャ

翔太「ライブお疲れさま!」


冬馬「翔太、北斗!」


北斗「この前のライブ、本当にすごかったよ」


冬馬「ああ、だが正直今回は一人だと楽勝とまではいかなかった」


翔太「あんなに暗い顔してたのにね、それが一気にあれだもん」


翔太「一体どうやって踊れるようになったの?誰かに手伝ってもらったの?」


冬馬「ああ、とっておきの助っ人がな!」


北斗「それは気になるな、誰なんだい?」


冬馬「こんなところで立ち話はアレだろ?中に入れよ、詳しく教えてやるから」


翔太「わーい!お邪魔しまー………す……!?」


北斗「冬馬の家に入るのは久しぶりだ……ね!?」

千枝のポスター『』


桃華のぬいぐるみ『』


ももありのマグカップ『』


冬馬と5人の写真『』


一部ページが貼り付いて開かないL.M.B.Gの写真集『』


DVDの山『』


翔太「あっ……えっな、何これ……」

冬馬「どうだ?俺の自慢のコレクションの山は、集めるのに苦労したんだぜ」


北斗「お前そんな趣味があったのか…!」


冬馬「実は最近趣味について語れる仲間が欲しかったんだよな」


北斗「仲間が欲しいって……まさか!?」


翔太(嫌な予感…)


冬馬「改めて紹介するぜ、俺を手伝ってくれた大切な助っ人だ!」


冬馬「一人ずつ順番に説明していくぜ!」


2人「……!」ゾクッ

とあるライブ


桃華「みんな、いきますわよ!」


4人「おー!」


ワアアアアアアア!!!


冬馬「―――――!!!」ブンブン


北斗「―――――!」フリフリ


翔太「………」ゲッソリ

冬馬(頑張れよ桃華たち!俺もこれからさらに頑張るからな!)


冬馬(これからもずっとお前たちのファンとして応援し続けるぜ!)


桃華「――――!!!」キラッ☆


冬馬(やっぱJSは315だ!)


終わり

完結乙乙
羞恥心とプロ意識と芽生えた趣味でピピンよく頑張った勘当した!
ああお前らはギルティな

「投票した甲斐があったのう」
北斗「お前そんな趣味があったのか…!」
翔太「あっ……えっな、何これ……」

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