まほ「実は……いや、やっぱりなんでもない」

エリカ「大丈夫ですよ。笑いませんから言ってください」

まほ「本当に笑わないか？本当か？」

エリカ「もちろんです！」

まほ「でもな……//」

エリカ「たにゃばた」

まほ「！？」

エリカ「すいません。聞こえてました」

まほ「くっ！よ、よくも弄んだな」

エリカ「可愛かったのでつい」

まほ「うっ……///エリカの馬鹿。もう知らない」ﾌﾟｲ

エリカ「拗ねないでくださいよ」

まほ「……」ﾌﾟｲ

エリカ「七夕の話だったんですよね？」

まほ「……」ﾌﾟｲ

エリカ「もう、機嫌治してくださいって」

まほ「……」ﾌﾟｰｲ

エリカ「困ったわね……」

エリカ「ほら、隊長。じゃあこうしましょう。七夕だから私が隊長の願いを叶えますよ。出来る範囲で」

まほ「……」ﾋﾟｸｯ

エリカ(お、反応した)

まほ「エリカが願いを叶えてくれるのか？笹の代わりに？」

エリカ「願いを叶えるのって笹でしたっけ……？織姫と彦星では……」

まほ「えっそうなのか……」

エリカ「くすっ」

まほ「……///」

まほ「もう怒った！！」

エリカ「あっ、いや可愛い間違いじゃないですか」

まほ「ま、またそうやって……///エリカは簡単に可愛い可愛いと！わた、言われる私の身にもなってみろ……！」

エリカ「だって可愛いから……」

まほ「前に尊敬してるとか言ってたじゃないか！あれは嘘だったのか！」

エリカ「尊敬も当然してます。同時にまた可愛さも共存してますから」

まほ「ううう……///」

エリカ「それで、願いはどうするんです？」

まほ「何でも叶えてくれるんだな？」

エリカ「現実的に可能ならですよ」

まほ「そうか……ふふ……」

エリカ(あ、怖い)

まほ「何をお願いしようかな……ふふふ」

エリカ「……あまり変なのもダメですよ」

まほ「変なの？変なって例えばなんだ？」

エリカ「なっ///」

まほ「エリカはどんな願いを想像してたんだ？ん？」ﾆﾔ

エリカ「べっ、別に他意はないですからっ」

まほ「なんだ？何を慌ててるんだ？」ﾆﾔﾆﾔ

エリカ「もう勘弁してください！」

まほ「照れてるのか？可愛いなあエリカは」

エリカ「くぅっ……//」ｶｧ

まほ「攻守交代だな、ふふふ」

エリカ「たにゃばた」

まほ「それはやめろ！」

エリカ「ふっ、痛み分けですね……」

まほ「もういい。願いを決めたから叶えてもらうぞ」

エリカ「はい……どんな願いでしょうか」ｺﾞｸﾘ

エリカ(ていうか機嫌治してもらうためだったんだけど、もう治ってるからこれ私だけ損してるような)

まほ「エリカ主催で隊員達を集めて七夕祭りを開催してくれ」

エリカ「えっそんな、黒森峰でそんなチャラチャラしたイベントを？」

まほ「悪いか？」

エリカ「いえ、悪くはないけど意外です」

まほ「たまには気分転換も必要だ」

エリカ「まあ、大洗に影響されたとかでしょう？」

まほ「んっ」ｷﾞｸ

エリカ「やっぱり」

まほ「そうとも……みほからのメールで、今日大洗では七夕祭りがあると知った」

エリカ「それでやってみなくなったけど自分で言うのは恥ずかしいから私を発案者ということにしたいと」

まほ「んぐんっ」ｷﾞｸｷﾞｸ

エリカ「んぐんっ！？どっから声出てるんですか！？」

まほ「とにかく頼んだぞ」

エリカ「もう、最初からそう言えば早かったのに」

まほ「エリカが茶化したからだ」

エリカ「そもそも隊長がいきなり噛むから……たにゃばた」

まほ「やめろーっ///」

しりとりの人かな？

エリカ「しかし七夕祭りって何をするんですかね」

まほ「四角くて長い紙に願い事を書いて笹にくっつける祭りだろう」

エリカ(語彙力が……)

エリカ「でしたら笹と短冊が必要ですね。短冊は適当に紙で作れるとして、笹はどうやって手に入れましょう……」

まほ「こんなこともあろうかと」

エリカ「まさかもう持ってるんですか？さすが隊長、準備いいですね」

まほ「赤星に頼んでおいた」

エリカ「なんか思ったのと違った！」

まほ「赤星なら大丈夫だろう」

エリカ「あの子、笹を持ってる知り合いでもいるんですか？」

まほ「いや、赤星小梅だから、梅だから……」

エリカ「えっ？」

まほ「ほら、松竹梅って言うだろう？竹と梅で、ほらあの」

エリカ「……」

まほ「何か言ってくれないか」

エリカ「何とも言えないというか、まず名前ネタが強引すぎて微妙なのと、そもそも竹と笹って別の植物です……」

まほ「……」

まほ「よし、帰る」ｽﾀｽﾀ

エリカ「待って！恥ずかしいのはわかるけど帰らないでください！」ｶﾞｼｯ

まほ「帰る！そして死んでやる！」

エリカ「死ぬつもりなの！？こんな下らないことで！？」

まほ「下らないって言うな！！竹槍で胸を貫いて死んでやる！」

エリカ「竹槍で！？準備が大変でしょその自殺は！」

まほ「じゃあ竹串で！昨日食べた焼き鳥のやつ！」

エリカ「いきなりしょぼくなりましたね！？っていうか捨てましょうよ！」

ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ

小梅「いちゃついてるところ申し訳ありません。失礼します」

まほ「赤星か。報告しろ」ｷﾘｯ

エリカ「今更キリッとしても遅いですよ」

小梅「笹は用意できましたよ」

まほ「よくやった」

エリカ「どこから持ってきたの？」

小梅「レプリカの笹ですけど、雑貨屋さんで売ってましたよ」

エリカ「あ、そういうの売ってるのね」

小梅「こんな感じです」

笹「」ﾇｯ

まほ「おお、少々小さいが立派な笹だ。これで七夕祭りが出来るな」

小梅「これ、領収書です」ｽｯ

まほ「あっ、うん」

エリカ「今『あっ』って言いましたよね？まさか笹の購入資金のこと考えてなかったんですか？」

まほ「いや、そ、そんなこと、な、ないぞ」

エリカ「明らかに動揺してるじゃないですか！」

小梅「あのー、私が支払いしたので料金もらえないと困るんですけど」

エリカ「ほら、とりあえず小梅にお金を……」

まほ「そ、そうだな」

ｺﾞｿｺﾞｿ

まほ「結構な額だ……ほら、赤星。助かった」ｻﾂﾀﾊﾞｯﾁｬﾘﾝ

小梅「ありがとうございます、ではこれで……」

エリカ「今のお金は？」

まほ「生徒会から戦車道用の諸経費として支給された予算だ……」

エリカ「経費として認められたんですか？笹は」

まほ「そもそも申請してない」

エリカ「ダメじゃないですか！」

まほ「仕方ないだろ！買ってしまったものは！」

エリカ「どうするんですか？笹の領収書を提出してはたして認められるかどうか……」

まほ「戦車の燃料ということで誤魔化せないだろうか」

エリカ「笹を燃料に！？無理がありますよ！」

まほ「いやでも燃やそうと思えば燃やせるし」

エリカ「燃えるゴミの分別が面倒な人の言い訳みたいなことを……」

まほ「この件はもう生徒会に素直に言うしかないみたいだな……」

エリカ「どうなっても知りませんからね……」

まほ「生徒会に怒られるときはエリカも道連れにするからな」

エリカ「すでに怒られる気ですか！？」

まほ「いつだったか、『隊長に一生付いていきます！』と言ってたな？」

エリカ「言いましたけど……」

まほ「生徒会にも付いて来てくれ」

エリカ「そういう意味で言ったわけでは……」

まほ「一人で行くのが怖いんだ……ダメなの？」ｳﾙｳﾙ

エリカ「うっ///」

エリカ「わかりましたよ……」

エリカ（結局この人に弱いな、私）

まほ「よし、行こう」ﾌｷﾌｷ　ｽｯ

エリカ「切り替えが早いですね！？なんか一芝居終わったみたいな感じですごい騙された気分なんですけど！」

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

ｻﾞﾜｻﾞﾜｻﾞﾜ

エリカ「ふう……」

まほ「みんな七夕祭りを楽しんでいるみたいだな」

エリカ「そうですね。生徒会の了承も得ましたし」

まほ「『レクリエーション』として申請したらあっさり認めてくれるとは」

エリカ「ウチの生徒会も丸くなったものです」

まほ「それをエリカが言うか？」

エリカ「なんです？」

まほ「ふふ、なんでもない」

小梅「隊長、副隊長！まだ短冊書いてないのは、お二人だけですよ」

まほ「わかった。行くぞエリカ」

エリカ「はい。小梅は何をお願いしたの？」

小梅「秘密です」

エリカ「まあどうせチャーハンをたらふく食べたいとかでしょうけど」

小梅「違いますよ！？そんなこと言うなら副隊長はハンバーグになりたいとか書くんですか？」

エリカ「なりたくは無いわよ！？どんな願望よそれ！」

まほ「私は書いたぞ、エリカ」

エリカ「何を書いたんですか？」

まほ「もちろん秘密だ」

エリカ「なら私も秘密です」ｶｷｶｷ

まほ「ふんっ」ﾊﾞｯ

エリカ「させるかっ！！」ｻｯ

まほ「赤星今だ！」

小梅「はい！！」ｶﾞｼｯ

エリカ「ぐえっ！？あなた裏切ったわね！」

小梅「隊長命令です！」

エリカ「こんなことに隊長命令を！？」

まほ「よし、奪ったぞ！！」ﾊﾞﾊﾞｯ

エリカ「ぬあー！返せ！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

まほ「ふむふむ……『まほ隊長と一緒にずっと戦車道が出来ますように』」

まほ「……//」

エリカ「……//」

小梅「チッ。ごちそうさまでした」

小梅「みんな、隊長と副隊長を残して撤収！！！」

ﾊｰｰｰｰｲ

ｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛｿﾞﾛ

まほ「そ、そのエリカ。私は来年、卒業してるが……」

エリカ「はい……」

まほ「エリカさえ良ければ、個人的に、また……」

エリカ「えっ……//」

まほ「たにゃばたっ……あっ」

エリカ「！」


まほ「なんでもない。帰る」ｽﾀｽﾀ

エリカ「たいちょぉおおおお！！！」



おわり

七夕短編でした
いやー、七夕に間に合ってよかった！！！！