花丸「あー、あったあった」善子「何があったのよ」 (33)

花丸「見て、懐かしいでしょ? 幼稚園の頃の写真」

善子「なっ! そ、それってヨハネもうつってる?」

花丸「? もちろんうつってるよ?」

善子「それ誰かに見せるつもり?」

花丸「ルビィちゃんが幼稚園の頃の善子ちゃんを見たいんだってー」

善子「ダメに決まってるでしょ! あと善子いうな!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1467548280

花丸「あの頃の善子ちゃんはいっつもマルの後ろをついてきてかわいかったずら」

善子「な、なな、何の話?」アセアセ

花丸「ほらこの写真とか、善子ちゃんが涙目でマルの袖を引っ張っててかわいいずら♡」

善子「っ!」カアアアアアアア

善子「そ、そそ、それをルビィちゃんに見せるなんて許さないんだから!」

花丸「なんで? こーんなにかわいいのに」

善子「ヨハネの堕天使としての威厳に関わるのよ!」

花丸「この時は確か――」

――――
――

よしこ「うええええええん」

はなまる「あっ」トテトテ

はなまる「よしこちゃん、どうしたずら?」ナデナデ

よしこ「マルちゃん、ひぐっ」ウルウル

はなまる「ひざすりむいてる、転んじゃったの?」

よしこ「ひっく」コクン

はなまる「よし、保健室にいくずら。歩ける?」

よしこ「うん……」

はなまる「せんせー! よしこちゃんが転んじゃった!」

「あら、痛かったね。すりむいちゃってる」

よしこ「ひぐっ、ぐすん」

「消毒してあげるね。ちょっとしみるわよ」

よしこ「っ!」ビクッ

はなまる「よしこちゃん、がまん。痛いってことはばいきんがやられてる証拠ずら」ギュッ

よしこ「マルちゃん……」ギュッ

「絆創膏をはって。よく我慢できました!」

はなまる「えらいずら!」ナデナデ

よしこ「え、えへへ」

はなまる「じゃあ、いこっか」

よしこ「うん」ソデキュッ

「ふふ、善子ちゃんはマルちゃんが大好きなのね」パシャッ

よしこ「ひっ」ビクッ

はなまる「よしこちゃん、写真とられただけだよ」

よしこ「で、でも写真を撮られると魂がとられちゃうって」

はなまる「そんなことないから平気。写真ってね、一瞬を永遠にできるんだよ」

はなまる「せんせーが写真を撮ってくれたおかげでこの瞬間が永遠になったずら」ニコッ

よしこ「うんっ!」パアアアアアアア

――

花丸「はあ、かわいかったずらー」ホワン

善子「なんでそんなこと覚えてるのよ!」

花丸「だって幼稚園では善子ちゃんとずーっと一緒だったし」

花丸「善子ちゃんは覚えてない?」

善子「お、覚えてるけど……」

花丸「あ、ほら。こんな写真もあるよ」

善子「え? ああああああああっ!」

花丸「善子ちゃんがマルのほっぺにキスした時の」

善子「なんでそんなのがあるのよ!」

花丸「先生が撮ってくれてたんだよ?」

善子「大体なんで私がマルのほっぺにチューなんか」

花丸「えっと、あれは確か――」

――――

よしこ「マルちゃん」ニヤニヤ

はなまる「よしこちゃん。どうしたの? なんだかにやにやして」

よしこ「お誕生日おめでとう!」ハイッ

はなまる「よしこちゃん! 覚えててくれたの?」

よしこ「マルちゃんの誕生日を忘れるわけないでしょ?」

よしこ「ね、開けてみて?」

はなまる「うんっ!」パカッ

はなまる「あっ」

よしこ「ぐちゃぐちゃ……」

はなまる「これ手作りケーキ?」

よしこ「うん、だけどぐちゃぐちゃになっちゃったみたい」

よしこ「ごめんね、こんなのもらってもうれしくないよね……」シュン

はなまる「そんなことない!」ガシッ

よしこ「マルちゃん!? いきなり手掴みして――」

はなまる「形がどうでも、もぐ、おいしいもん!」モグモグ

よしこ「無理しなくてもいいよ……」

はなまる「無理なんてしてない! よしこちゃんの気持ちがつまってるのに、おいしくないわけないずら!」

よしこ「マルちゃん……。ありがとう」パアアアアアアア

はなまる「お礼を言うのはこっちずら」

はなまる「おいしいケーキをありがとう、よしこちゃん」ニコッ

よしこ「あっ」

はなまる「なに?」

よしこ「んっ」チュッ

はなまる「!?」

はなまる「な、い、いい、今ほっぺに――!?」カアアアアアアア

よしこ「ほっぺにクリームついてたから」

はなまる「とんだ天然小悪魔ずら……」

よしこ「あく、ま……?」

はなまる「悪魔じゃなくて小悪魔。自分の魅力で周りを振り回す人のことずら」

よしこ「そうだ、あくまだ!」

はなまる「へ?」

よしこ「よしこね、ずっと不幸だなって思ってたの」

よしこ「よく転ぶし、迷子になるし、今日だってケーキはぐちゃぐちゃだし」

よしこ「でもそれってよしこがあくまだからなんだ!」

はなまる「ずら!?」

よしこ「えへへ。あ、せんせー! よしこあくまなんだよー」

「あらあら、かわいい悪魔ね」ニコニコ

はなまる「あわ、あわわ」

よしこ「あくまだったら何かよしこ以外の名前考えなきゃ」

よしこ「えーっと、ヨハネ! 何かできいたことあるしかっこいい!」

よしこ「ねーマルちゃん。よしこね、あくまのヨハネなの!」

よしこ「今日だてん? したから今日がヨハネの誕生日なの!」

はなまる「え、えっと、堕天するのは天使じゃないかな」

よしこ「てんし? だてんし!」

よしこ「だてんしのヨハネ!」パアアアアアアアア

はなまる「なんだか取り返しのつかないことをしちゃったような……」

よしこ「えへへー」ニコニコ

はなまる「……。まあ嬉しそうだしいっか」

よしこ「マルちゃんかっこいいチョキ考えた! ヨハネチョキって名付けるね!」ジャーン

はなまる「え? それどうやってるの?」グヌヌ

よしこ「……できないの?」

はなまる「難しいずら」グヌヌヌ

よしこ「やっぱりよしこ、いやヨハネが特別ってことね!」

――

http://fsm.vip2ch.com/-/hirame/hira113147.png

花丸「あー、ごめんなさい」フカブカー

善子「なんで謝るのよ!?」

花丸「善子ちゃんをそんな風にしちゃったのってマルだったみたい」

善子「何よ、マルには感謝してるのよ?」

善子「堕天使のヨハネの誕生日はマルの誕生日と一緒なんだから」

花丸「他に良い写真は――あっ!」

善子「今度は何?」

花丸「ほらこれ」スッ

善子「これ、卒園式? 懐かしいわね」

花丸「善子ちゃんがマルと離れたくないーって泣いちゃって」

善子「は? 泣いたのはマルでしょ?」

花丸「写真では善子ちゃんは堕天使ポーズしてるしマルはピースしてるけど」

善子「絶対泣いたのはマル!」

花丸「善子ちゃんずら!」

――

よしこ「……マルちゃん」

はなまる「……なに?」

よしこ「最後だね」

はなまる「うん。そうだね」

よしこ「小学校は別々なんだよね」

はなまる「うん、よしこちゃんは沼津の小学校」

よしこ「マルちゃんは内浦の小学校」

よしこ「そうするときっと中学校も別だよね」

はなまる「……。よしこちゃんは平気?」

よしこ「よしこじゃなくてヨハネ。マルちゃんがいないのは寂しいけど、平気」

はなまる「よしこちゃん、不幸で泣き虫だから。マルがいなくて大丈夫?」

よしこ「な、泣き虫じゃないわよ!」

よしこ「その証拠にほら、今だって泣いてない!」

はなまる「それにしては目がうるうるしてるずら」

よしこ「マルちゃんだって目が潤んでる」

はなまる「マルは強いから泣かないずら」

よしこ「ヨハネだって泣かない」

はなまる「……」

よしこ「………」

はなまる「小学校中学校は離れちゃうけど、高校は一緒のところに行こうね」

よしこ「うん」

はなまる「それに小学校が違くても遊べるし」

よしこ「それは待って」

はなまる「へ?」

よしこ「こーこーで会うまで会わない」

はなまる「なんで!?」

よしこ「だって、そっちのほうがまた会った時嬉しさが増すもん」

はなまる「それはそうだけど……」

はなまる「そっか、はやく高校生になれないかなー」

よしこ「ねー」

はなまる「……」

よしこ「………」

はなまる「うえ、ひくっ……」

よしこ「な、なに泣いてるのよ、ぐすん」

はなまる「よしこちゃんだってぇ……」

よしこ「泣いてないっ!」プイッ

はなまる「マルだって!」プイッ

はなまる「うえぇ」ポロポロ

よしこ「ひぐっ、えぐっ」ポロポロ

はなまる「こ、これは涙じゃなくて汗ずら」ウルウル

よしこ「ヨハネのだってそうよ」ウルウル

はなまる「よしこちゃあああああああああん」ダキッ

よしこ「マルちゃああああああああああん」ダキッ

はなまる「うええええええん! ずっとずっと友達ずら!」

よしこ「こーこーせーになったらいっぱい遊ぼうね、ぐすっ」

――

花丸「どっちもだったね」テヘッ

善子「そうね、ヨハネも確かに泣いてたわ……」

花丸「さて、ルビィちゃんがそろそろくる頃だし見せる写真を選ばないと」

善子「はあ!? ルビィちゃん来るの!?」

花丸「あれ? 言ってなかった?」

善子「聞いてないわよ!」

善子「それに写真は見せないでって言ってるでしょ!」

花丸「なんで? どれもみんなかわいいのに」

善子「恥ずかしいからに決まってるでしょ!?」

花丸「でもルビィちゃんに見せるって約束しちゃったし」

善子「それを、寄越しなさい!」バッ

花丸「わ、わわっ」

善子「きゃっ」

花丸「いたたー」

善子「しゃ、写真は取ったわ……!」

花丸「善子ちゃん、痛いからマルの上からどいてほしいずら」

善子「あぁ、ごめんなさい」チラッ

ルビィ「」

花丸「あっルビィちゃん」

ルビィ「よ、よよ、善子ちゃんがマルちゃんを押し倒して」カアアアアアアア

善子「ち、ちがっ!」

ルビィ「幼稚園の頃からの付き合いって言ってたもんね、ご、ごめんね、お邪魔しました」ソロソロ

善子「あっ、ちょっと、まっ――」

花丸「? ルビィちゃんは何を言ってるずら?」

善子「ヨハネとマルが付き合ってるって誤解されたの!」

花丸「あーそっかー」

善子「そっか、って誤解されたままでいいの!?」

花丸「うーん、確かに誤解されたままじゃまずいずら……」

善子「でしょ? じゃあ誤解を解きに――」

花丸「じゃあ本当に付き合っちゃえばいいずら」

善子「へ?」

花丸「不束者ですが、よろしくお願いします」フカブカー

善子「い、いやいやいや!」

善子「マルはそれでいいの!?」

花丸「マルは構わないよ? 善子ちゃんは嫌?」

善子「嫌ではないけど」

花丸「じゃあ付き合っちゃうずら!」

花丸「ゼロから1歩は勇気が必要ずら!」

善子「そ、そうよね」

善子「……不束者ですが――」

善子「ってそんなわけないでしょ!?」

花丸「ずらっ!?」

善子「誤解を解きに行くわよ!」

花丸「あ、待って善子ちゃん!」

善子「善子言うなー!」

おわり

あんなのマルよしに可能性感じざるを得なかった。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom