再開 ダンガンロンパーズ part5 渚「それでも、人間は簡単に死んでいく」 (421)

このスレは
【安価】ダンガンロンパーズ part4 神谷「違う…向き合う時が来ただけなんだ!」
【安価】ダンガンロンパーズ part4 神谷「違う…向き合う時が来ただけなんだ!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436358910/)
の続きであり中断した
【安価】 ダンガンロンパーズ part5 渚「それでも、人間は簡単に死んでいく」
を再開するものです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466947352

主人公(アンテナ族)

渚 薫(なぎさ かおる) 男
推理力:S コミュ力:E 身体能力:B 精神力:A

超高校級の探偵として希望ヶ峰学園に通っていた。現在は立ち上げた探偵事務所で生活している
人並外れた推理力と洞察力を持っており、様々な難関事件を解決へ導く
一方、人の気持ちには疎く、人好き合いも苦手な模様。冗談が通じない。性格はクール、いや暗いと言うべきか
そう簡単に人は信用せず、必要であれば単独行動も辞さない
星を眺めることが好き
時間が経つにつれ他の人の事を理解し、信用できる人物も増えたようだ
断片的に蘇る記憶には、デザートイーグルに触れた時謎の記憶、アナの記憶がある
過去に右町の父親を殺害していた事が判明する
(謎の力を持っている……?)

神谷 新(かみや あらた) 男 DEAD
推理力:A コミュ力:A 身体能力:(E) 精神力:A

超高校級の医学生として希望ヶ峰学園に通っていた。現在は才能の通り医者になり。様々な人の命を救っている。
すべての科に精通するほか、驚異的な手術成功率を記録する
断固としてコロシアイに参加しないことを心に決めている
人の気持ちをよく考えられ、思いやりがある。だが感情的になりやすく、思わず口走ったりしてしまうことも
断片的に蘇る記憶には、沢山の人を救えなかった記憶がある
モノクマに無関係の人物とされ脱出する権利を与えられたが、それを良しとせず留まる決意を決めたが
何者かに殺されてしまう


柿生 小雪(かきえ こゆき)女
推理力:A コミュ力:A 身体能力:D 精神力:B

超高校級の画家として希望ヶ峰学園に通っていた。現在はフリーの画家。絵の種類は風景画だろうがイラストだろうがなんでもいいらしく幅広いジャンルからの依頼が来る模様
明るい性格でとても人当たりが良く、基本的にみんな仲良くあればいいと思っている
だが、絵を書くこと以外では自分に自信を持てないでいる
また天然でドジな他、極度の寝坊助でサイレン並みに大きい音が鳴らないと朝起きることもままならない
大切な人(右町、藤原)を2人失い、少し不安定になるが、月宮と和解し、明るさを取り戻しつつあった
だが、頭から血を流して美術室に倒れている所を発見される
断片的に蘇る記憶には、デザートイーグルに触れた時の謎の記憶、荒廃したどこかを彷徨う記憶、誰かに選択を迫られる記憶がある

神谷が死亡してから、まるで人が変わったようだ
宍戸いわく目つきが違うとのこと

男子

相良 明(さがら あきら) DEAD
推理力:D コミュ力:A 身体能力:S 精神力:A

超高校級の体育委員として希望ヶ峰学園に通っていた。現在は高校の体育教師をしている。その明るい性格から人気教師らしい
明るく前向きな性格で、暗い雰囲気が流れた時はすぐに打開しようと心がけている。また非常に行動力があり、とても頼りになる存在
なぜか天城によくいじられている
ツッコミである
白川により殺害されそうになった天城を守るが、誤って白川を殺害、クロとなる
オシオキではモノクマに血まみれになった生徒の死体の写真を見せられ、その後、銃で心臓を撃ち抜かれ絶命する


舞丈 千人(まいじょう せんと) DEAD
推理力:A コミュ力:C 身体能力:C 精神力:?

超高校級のプログラマーとして希望ヶ峰学園に通っていた。学園にスカウトされる前から自ら製作したアプリケーションが次々にヒットしていた
物事を人とは違う視点で捉えることができ、まさにその姿勢は研究者
たまに謎めいた意見で他人を戸惑わせることも
電子手帳に通話機能を実装するなど改造をすることができる
裏で何やらやっているのか、何かと知っていることが多い
校則違反とみなされ、オシオキ場に連れていかれるが、彼の作戦により退ける
はずだったが、黒幕がそれすら読んでいため、失敗に終わり爆死する
ヨイクマの人口知能を神谷の電子手帳にインストールされるように仕向けていた

宍戸 清磨呂 (ししど きよまろ)
推理力:E コミュ力:B 身体能力:B 精神力:B 

超高校級の狂言師として希望ヶ峰学園に通っていた。現在は知り合いに誘われて歌舞伎師となったが、狂言師の才能は存分に生かされている
目立ちたがりで、かっこつけたがりだが、あと先考えず行動するためどうにもうまくいかない
そのせいで、モノクマからの攻撃により重症を負うが、神谷によって命を取り留めた
4日を保険室で過ごし、人当たりはいいので、神谷と愛野と仲良くなっている
基本的にアホである?


円山 幸近(まるやま ゆきちか)
推理力:D コミュ力:A 身体能力:C 精神力:C

超高校級のベルボーイとして希望ヶ峰学園に通っていた。現在は様々なホテルからオファーを受けながらベルボーイをしている
人へのおもてなしの心、敬意を忘れず、人への気配りはピカイチ
誰にとっても良き相談相手で、的確なアドバイスをくれる
少々臆病ではあるが、人のことになると恐怖などは問題じゃない
人に尽くすことが彼にとっての生きがいなのかもしれない
右町の死の影響で、放心状態になったが渚によって一瞬で正気を取り戻す
が、たびたび狂気に陥るようになってしまう
料理がとても上手


藤原 皆仁(ふじわら みなひと) DEAD
推理力:A コミュ力:C 身体能力:C 精神力:A

超高校生級の皇族として希望ヶ峰学園に通っていた。現在も天皇後継者
他人への振る舞いが常に上から目線で偉そうな奴、だがその気迫溢れる発言力は人を直ちに行動に移させる
皇族とはいえ、自分の身の回りのことまで使用人に頼りきることはなく、だいたい自分でできる。
この現状をみんな揃って脱出することを心に誓っている
両親を誰よりも尊敬している
武器庫から銃が持ち出された時に何かに気づくが、恐怖に飲まれた右町に絞殺される

女子

アナスタシア=ロスチャイルド
推理力:B コミュ力:B 身体能力:B 精神力:B

超高校生級の資産家として希望ヶ峰学園にノヴォセリック王国から留学してきた。現在なにをしてるかは不明
なかなかの美貌を持っている
彼女自身はとても親しみやすいラフな性格だが、資産家であるため、周りからは特別扱いを受けることが多かった。
その扱いへの抵抗なのか、他人にことを肩書きで呼ぶ癖がついた。別に名前を覚えていないわけではない
自分の肩書きを気にしないと言ってくれた渚を気に入っている模様
クールでありつつも人情のある渚に惹かれやがて恋だと自覚し
渚に真意を隠しつつ思いを告げたが、渚にはバレている
服にはこだわりがある


愛野 心愛 (あいの ここあ)
推理力:B コミュ力:(D) 身体能力:D 精神力:?

超高校級のパティシエとして希望ヶ峰学園に通っていた。現在はとあるケーキ屋に勤めている。
神谷に一目惚れし、溺愛しているが、
彼女は両親からネグレストを受けていた経緯があり、そのせいか愛されることに極度に執着している。神谷に抱くその気持ちは恋愛感情でもあり恋愛感情とは違ったものなのだ。
純粋な気持ちで神谷と恋仲になった
何かに怯えているようだ…
第二の事件までモノクマに裏工作をやらされており、それを暴露される
後に宍戸の提案で神谷を脱出させようと行動するが、失敗に終わる
神谷が死亡した同日、意識不明で目を覚まさない

右町 緑 (みぎまち みどり)DEAD
推理力:? コミュ力:D 身体能力:D 精神力:D

超高校級の図書委員として希望ヶ峰学園に通っていた。現在は本屋を経営している
無口、とても無口、必要最低限のことしか言葉を発しない。活字依存症であり、自由に本が読めないこの状況に悶々としている。何処と無く子供、いや小動物っぽい
本を良く読むせいか、幅広い知識を持っている
言葉をあまり発しないことから、非合理的であると藤原をイラつかせる
最近は微妙に喋るようになってきている
武器庫から銃が持ち出された事が恐怖に飲まれ藤原を殺害してしまう
オシオキでは、モノクマに巨大な本で潰される

月宮 しぐれ(つきみや しぐれ)
推理力:A コミュ力:A 身体能力:C 精神力:A

超高校級の数学者として希望ヶ峰学園に通っていた。現在も数学者
この生活の中のリーダー的存在
クールで冷静、仲間の事を良く考えることができ、とても頼りになる
人を疑う事が嫌い
お人好し、頼まれたら断れない性格で、無茶な頼みでも躊躇なく聞いてしまうことがある
自分が冷静な事を自負している
藤原を黒幕の関係者と疑っての行動が、藤原と右町の死を招くキッカケとなってしまう
命の危機に陥るがなんとか生存する


白川 鈴芽 (しらかわ すずめ) DEAD
推理力:C コミュ力:C 身体能力:B 精神力:C

超高校級の映画監督として希望ヶ峰学園に通っていた。現在も映画監督、数々のヒット作を生み出している
映画を作るためであれば、どんな行動でも躊躇しない、まさに映画のために生きる人間
この生活から脱出したら、コロシアイを映画にしようと心に決めていたが、
動機提供の映像を観た後から様子がおかしくなり、天城の殺害を企てるが、相良により阻止され、再び不意打ちをしかけるも、誤って包丁が胸に突き立てられ、絶命する


天城 泉 (あまぎ いずみ)
推理力:C コミュ力:A 身体能力:C 精神力:B

超高校級の科学者として希望ヶ峰学園に通っていた。現在も科学者
ひょんな事から、科学者の才能が覚醒してしまったため、科学者としての目的がなく、苦悩している
イタズラ好き、誰に対しても名前で呼ぶほどフレンドリー
とても悪趣味な冗談を連発し、他のみんなを困らせているが、根は真面目で良き人間になりたいと思っている
彼女が料理を作ると、すべて違う料理の味になる。原因は不明

体格は細かくは決めてません

背丈

右町<愛野<相良<舞丈<月宮<柿生<神谷
<円山<白川<宍戸<天城<アナスタシア<<渚<藤原



右町<<<柿生<月宮<<天城<愛野<白川<<<アナスタシア

髪色

渚:黒
神谷:赤
柿生:オレンジ
相良:灰色
舞丈:白
宍戸:黒金混合
丸山:緑がかった黒
藤原:紫
アナ:金
愛野:ピンク
右町:黄緑
月宮:青
白川:黒
天城:銀

灰色、銀髪とも言うんでしょうか?のネープレスカット
赤色のジャージにハーフパンツにランニングシューズ、朝日奈みたいな感じです

舞丈 千人(マイジョウ セント)
完全に白髪です。いたって普通の髪型
メガネをかけています
ワイシャツに青のネクタイ上から灰色のセーターを着ていて、カーキ色のチノパンを履いてます
ちょっとオヤジくさい感じでしょうか

宍戸 清麻呂(シシド キヨマロ)
黒と金でところどころシマシマな髪、葉隠まではいかなくてもボサボサです
基本的に縦ラインの入った、赤めのじんべいを着用し、靴ではなく下駄です
腰にモノクマからもらった十手が差してあります

円山 幸近(マルヤマ ユキチカ)
微妙に緑がかった黒髪、それなりにショートで前髪は全部後ろへ、つまりオールバックです
ベルボーイ用のトレンチコートのようなジャケットに下はスラックス、そして赤色の蝶ネクタイをつけています
ポケットには割といろんなものが入ってます

藤原 皆人(フジワラ ミナヒト)
腐川より少しだけ明るめな紫色の髪の毛、アシンメトリーできっちり決めてます
高級感のある黒いスーツに腕時計、高級感のあるブローチをつけていたりします
色以外は渚に似てるかもしれません

アナスタシア=ロスチャイルド
鮮やかな金髪、ウェーブロングヘア、前髪にヘアピンを1つ付けています、髪はサラサラです
どっかのまな板とは対照的なダイナマイト
服装はカッターシャツに青いジーンズ(スカートはとかなりラフ、靴はスニーカー
なんだか意味ありげなネックレスをつけています

愛野 心愛(アイノ ココア)
ピンク色の髪、ボブカット
あまり縦長じゃないパティシエの帽子を被っています。
現在は苗木のパーカーを着てその上から白いエプロン、少し短いスカートもピンクです

右町 緑(ミギマチ ミドリ)
黄緑色の髪、ワンサイドアップで前髪ぱっつん
上は白いワイシャツの、下は少し長めの黄色スカート、さらに黒タイツ
大体いつも本を手に持っています
背が小さい

月宮 しぐれ(ツキミヤ --)
青い髪の毛、三つ編み、メガネ着用
灰色のベスト、下は黒いニーソックスに短めの白いキュロット
靴はヒールです
腕には、普通の腕時計をつけています

白川 鈴芽(シラカワ スズメ)
渚と同じく黒のストレートロング、頭にはベレー帽
ワイシャツ、上からカーディガン、首にスカーフを巻き、下はミニのプリーツスカート?(曖昧)
ビデオカメラを携帯…
映画のカッチン、メガホンなど映画関係のグッズを渡すと大体携帯するようになります

天城 泉(アマギ イズミ)
銀髪、相良よりも少し鮮やかといった感じでしょうか?のショートカット(そんなに短いわけでもないけど)
上は白衣、ボタンは閉めず中には「化学!!」と書かれたTシャツ
下はデニムのパンツです、靴は長靴


何かあれば質問してください

渚 薫(ナギサ カオル)
十神の髪型を少し短くした黒髪
天辺に例のアンテナが立っています
灰色のスーツに黒い革靴です
少し特徴に欠けるぐらい特筆する点がありません

神谷 新(カミヤ アラタ)
赤色の髪の毛、髪型はガンダムビルドファイターズトライのカミキセカイの髪型に似ています
もちろん天辺にアンテナ
白衣を纏い、薄くチェックの入ったスラックスを履いています
あとは、聴診器を下げて、携帯医療セットを肌身放さず持ってます

柿生 小雪(カキエ コユキ)
オレンジ色の髪の毛、ポニーテール、天辺にアンテナです
水色スモックを着ていて、青いスカートは膝丈です
恥ずかしいのでミニにはしないようです
スモックには大きなポケットがあって、そこにスケッチブックが入ってます

chapter4「おぼろの殺人」




捜査は始まった

まずは、どこに行くべきだろうか?

アナ「探偵くん」

渚「なんだ?」

アナ「何すればいい?」

渚「…助手気取りか?」

アナ「ま、まぁ…//ていうか、そうじゃなくても探偵くんに頼まれたこと調べるほうが上手くいきそうだしさ」


まぁ、一理あるか
制限時間もある、むしろ何かをアナに任せて俺は他の事に専念するほうがいいかもしれない


渚「わかった、では愛野の様子を見てきてくれないか?」

アナ「パティシエちゃんの?」

渚「ああ、早い話愛野が起きれば全てがわかる可能性が高い」

アナ「確かに」

渚「何かわかったら連絡する」」

アナ「りょーかい」


アナは保健室に走っていった



アナ「って、うわぁ!?」


それからすぐにそんな悲鳴が聞こえる

校舎へと続く扉の前でアナと円山が何かを見ていた

渚「どうした」

アナ「…これ」

円山「愛野様の…」

そこには、愛野の飼っていたヘビの死骸があった

円山「どういうことでしょうか?愛野様は倉庫にいらっしゃったのに…」

渚「…このヘビ、普段は愛野に付きっ切りだったな」

円山「たしかそうだったと思いますが…」

アナ「元々医者くんのヘビなんだよね?」

渚「アナ、昨夜教室から自室に戻るとき、保健室の電気はついていたか?」

アナ「保健室?…うん、ついてたよ」

渚「俺が戻った時もついていた、おそらく神谷と愛野はそこにいたんだ。」

そしてそこから戻るときに襲われた、ここで愛野のヘビが死んでいるということは、ここで待ち伏せた犯人からの攻撃を受けていた
倉庫までは逃げたが…
なぜ、愛野がそうこで寝ていて、神谷が倉庫の前で死んでいるんだ?
今考えればかなり迂闊だったが、帰り道のアナと俺は単独行動だったはず、なぜ狙われなかった?
初めから標的を絞っていた?

それに、愛野のヘビは愛野の部屋に置いて行かれていたはずだ
愛野は一回わざわざ部屋に戻っている、その時の愛野、保健室に残った神谷も単独行動だった可能性が高い

どういう意図がある?

渚「ヘビはなんとかしよう、アナは愛野のところに向かってくれ」

アナ「うん」

渚「円山、手伝ってくれ」

円山「かしこまりました」

ヘビの処理…といっても今は大したことはできない
ひとまずはビニール袋に入れ、俺の部屋に持ち帰ることにした
埋める場所すらない、植木はいくつかあるが、そこに埋葬するのは少しお粗末だ
焼却炉で火葬したほうがまだマシか

しかし、黒幕は今までの事件の遺体を一体どうしたんだ?
わざわざ、埋葬しているんだろうか?

そんなことを考えながら戻っていると柿生と遭遇した

渚「柿生、どうしたんだ?その服装は」

柿生はいつも上に着ていたスモックを脱いで
ブラウスとスカート姿になっていた
当然特徴的な大きなポケットもなければスケッチブックも持っていない
長めだったポニーテールもさらに短くまとめていた

柿生「このほうが動きやすいので、着替えてきました。あなたの銃は離さず持ってます」

渚「…」

柿生「私情で時間を使ってすいません、私も捜査に戻ります」

宍戸じゃないが、柿生の雰囲気が異様だったのは明らかだった
神谷が死んだからだろうか?神谷だけが特別だというのも腑に落ちない
考えられるきっかけといえば

渚「思い出したのか?」

俺は通り過ぎようとする柿生にそう問った

柿生「…!」

図星だったようだ、柿生は立ち止まった

柿生「…ええ、思い出しましたよ。この事件が終わったら全部話します」

渚「そうか」

遠まわしに自分が犯人じゃないと言っているようなものだが
アナウンス条件が消えた今、あいつも容疑者には変わりない
片隅に置いておく事にしよう

~現場~

天城と宍戸が熱心に調べている

渚「どうだ?」

宍戸「畜生…」

天城「まあ、見て分かる通り失血死だよ、なんだけど…」

渚「…!」

神谷の体にはところどころに小さな穴のような傷がある
ハッキリ言うと、銃で撃たれたそれ、銃痕だった

渚「どういうことだ?」

天城「分からないよ、でもそういう傷があるんだから…」

天城「あと、足見て」

渚「…」


神谷の足…義足のほうだ、完全に破壊されていた
これでは歩くどころか、這うのも厳しくなる
徹底されている


宍戸「クロの野郎は、神谷を狙ってやがったんだ、そうに決まってるぜ!」


その可能性もあるかもしれない

宍戸「俺がもっと早く起きていれば、もしかしたら助けられたかもしれねえのによ…」

天城「みんな疲れてたし…といってもね…」

渚「他には何かあるか?」

天城「ズボンのポケットにこれが入ってたんだよ」

ボイスレコーダーだった

宍戸「つっても、点かねえんだけどな…」

天城は首を振りながら俺にボタンをカチカチやってみせた

渚「手掛かりにつながりそうなものが、潰れていくな」


少し周囲を見渡すと、小さな鉄球がいくつか落ちていた
全部に血痕が付着している

鉄球はおそらく凶器と関係しそうだが…

神谷の医療キットの鞄は開いていて、道具も散らばっていた


渚「任せた」

天城「わかったよ」


もう一度倉庫に行ってみるか

~倉庫~

愛野が眠っていた場所だ

今度は奥まで行って電気をつけてみる
だが、結局入り口付近以外に変わったところは見受けられない

もう一度神谷の白衣を調べてみるが、残っているものはなかった
そういえば、神谷の持ってる錠剤は何だったんだろうか?

ポケットから取り出してみる、どうやら一つだけ使用されているようだった
といっても、アルミニウムのフィルムに包まれている状態では俺が見ても分からない
ならば

俺は保健室にいるはずのアナに電話をかけた


・・・・・

アナ「はいはーい」

渚「愛野はどうだ?」

アナ「ぜんっぜん起きない、俗にいう植物状態だったらどうしよう・・・?」

渚「俺には分からないが…外傷は?」

アナ「無傷だよ、モノクマが教えてくれたのはそれだけ」

渚「そうか…、調べてもらいたいことがある」

アナ「うん、どしたの?」

渚「神谷の白衣から一つだけ使用済みの錠剤のフィルムが見つかった」

アナ「使用済み?」

渚「ああ、だがなんの薬か特定はできない、パッケージもない。神谷のことだ、薬品の管理はしっかりしてるはず」

アナ「ちょうど保健室にいるからその薬の手掛かりを探してくれってことだね」

渚「話が早い、頼む」

アナ「助手ですから♪了解」


これで何かわかればいいが…
今この状況でも推理できることがありそうだが…
引き続き手掛かりを探そう、一つでも多くのピースを見つけて
学級裁判中に組み合わせればいい




ここから先が続きになります

倉庫から出ると、おびただしい量の血にまみれた神谷の遺体が一番最初に目に入る

天城「そういえば止血した痕跡があるんだけど、これはだれが…」

確かに包帯で大きな損傷だけでも処置はしてあった、恐らく神谷が自分でやったんだろうか

柿生「…」

そもそも、周りに散らばる歪な鉄球は一体なんだ?おそらくはアレを凶器に使ったんだろう、だがどこにあるものなんだ?

そういえば先ほど回収したヘビにも同じような傷が…あれは一体…?

【止血の痕跡】


~物理準備室~

やはりだ、いくつあったかは知らないが天秤用の丸形の重りが一種類だけ極端に少ない。ここから使われていることは明白だ
【丸形の重り】

月宮「捗ってる?」

後ろから声をかけられた、過剰かもしれないが警戒しながら後ろへ振り替える

渚「ああ、遺体の周りにちらばっていた歪な鉄球の正体はこれらしい」

月宮「なるほどね、昔よく使ったわまさかこんなに種類があるものだとは思わなかったけれど」

渚「ああ、その中でこの大きさの者だけが減っている」

月宮「…渚くん、ここの図書館って銃に関する本って置いてあるかしら?」

渚「ここの図書館だ、何冊かあってもおかしくはないだろう」

月宮「そう…」

渚「やはりその線で考えるか?」

月宮「ええ、可能なのかは知らないけれど」

渚「手製の銃を作った…か」


月宮はなにも言わずに去っていく
そう、一番可能性があるのは銃だ。まさかスリングショットのような物でとばしたわけではないだろう

でも、もしそうなら…なぜあの回数神谷に攻撃する必要があったんだ、致命傷の数が見るからに多すぎる
あの回数の攻撃をするなら時間がかかる、犯行の時間が長引けば見つかるリスクだって大きいはずだ
それにうしろで愛野が無傷で意識を失っていることへの関連性がわからない…

手間と制度はともかく、火薬で鉄球を打ち出す仕組みぐらいは驚くほど簡単にできる
だが材料はどこだ?火薬は天城が作っていた、盗みだせば使えないことはないが


まて、攻撃した回数? なんだ、何かを見落としている気がする…

~科学室~

ガラララ…

天城「あ、カオルくん」

渚「天城、どうしてここに?」

天城「ユキチカ君に変わってもらったんだよ、気になることがあって」

渚「火薬か?」

天城「火薬じゃないよ!爆薬!!」


そこはどうでもいいんだが


渚「まさか、なくなっているのか!?」

天城「全部じゃないよ!量は…明らかに減っているけど」

渚「じゃあ持ってはいるんだな」

天城「うん、ドクロのマークの袋に入れてここの棚の隅に置いておいたんだけど」

渚「もっと分かりにくいものに入れて保管してくれ」


だが、迂闊に触れたくはないほど危険ではあるな


天城「まだ使えるかどうかも試してなかったのに…」

火…爆薬はすでに作られていた、あとは銃身をどこで手に入れたかだ、それなりの強度が必要な筒状のもの

やはりここしかないだろう…がれきの中からいろいろ拾い上げてみる
鉄パイプのようなものならいくつも見つかる
誰かに結びつく手がかりはないものか…

ピピピッ!

電話か、アナだな

渚「なんだ?」

アナ『あったよ薬品のリスト!』

渚「そうか、保健室の中にあるものを一つずつチェックしてくれないか?」

アナ『もう、やったんだけどリストに載ってるものは全部保健室にあるんだよね…』

渚「そうか…」

だとするとあれは保健室にあったものではないのか?


モノクマ『ピンポーンパンポーン!はい時間だよ、例の扉の前にあつ(ry』

アナ『はしょった…』

渚「ここまでか、とにかく向かおう、持てる手掛かりは持って行ってくれ」

アナ『パティシエちゃんはどうすればいいの?』


どうするか、眠ったままでも車いすなどで裁判所に連れていければ、途中で目覚めてくれる可能性もあるが…


渚「モノクマ」

モノクマ「はいはーいってか、愛野さんね?いいよ目覚めたら連れて行ってあげる」

渚「だそうだ」

アナ『じゃあ寝かしておくよ、またあとで』

渚「あとはこの鉄パイプと…モノクマ」

モノクマ「まだなにか?」

渚「モノクマファイルを見せてくれ」

モノクマ「いいの?天城さんが検死してくれてるのにそれを無下にするの?うぷぷ」

渚「手掛かりは多いほうがいい」

モノクマ「嘘が書いてあるかもしれないよ?」

渚「見破ればいいだけの話だ」

モノクマ「あそう、はい」

つ【モノクマファイル】


大したことは書かれていないんだな

~エレベーター~

エレベーターの中は酷く閑散としている気がする
エレベーターの音だけはうるさいぐらいだが

円山「ついにこれしかいないのですね」

宍戸「6人ってとこか?」

月宮「ここにいない愛野さんを入れて7人ね」

宍戸「最初は14人いたんだぜ?信じられるか?」

アナ「だれも死ぬつもりなんてなかったよね」

渚「特にあいつはな」


あいつは神谷は死ぬ気なんてなかったはずだ


柿生「…本当にそうでしょうか?」

渚「なに?」

柿生「…」


柿生はその硬い表情を崩さずにそう言っていた、その手には先ほどはなかったスモックを抱えている


天城「もうこれで終わりだといいね…」


~裁判場~

モノクマ「おかえりなさいませぇ、生徒諸君ウププ…」


俺たちはモノクマのあいさつを無視して各々の場所についた
いつものように×がされた神谷の遺影も立っている
愛野の所には欠席という札がある


モノクマ「無視かよ、ただでさえ人数が少ないんだから盛り上がっていこうよ!!」




モノクマ「…え~、例によって学級裁判の簡単な説明から」

モノクマ「今回の事件について話し合い、最終的には投票によりクロを決定します」

モノクマ「正しいクロを指摘できれば、クロだけがおしおきですが・・・」

モノクマ「間違った人物を指摘した場合は、クロ以外がおしおきとなり・・・」

モノクマ「みんなを欺いたクロだけが、晴れて卒業となります!うぷぷ、頑張ってね」


始まるのか、また学級裁判が…正直言って俺もまだわからないことだらけだ
愛野が眠っている理由と神谷が殺された件はどのように結びつくのか
そもそも関係性はあるのだろうか?ハッキリしたピースが足りない
全てがぼやけている

この事件はおぼろげだ

<<<学級裁判開始>>>


アナ「それで、例によってまず何からやればいいの?」

宍戸「なにからってか、愛野が意識を取り戻すのをまちゃあいいんじゃねえのか?」

天城「心愛ちゃんに語らせるわけにはいかないでしょ、私が見る前に運ばれて行っちゃったけど。起きる確証もないんでしょ?」

宍戸「んな演技でもねえこと言うなよ…」

天城「ぐっすり眠っているうちに解決させたいよ」

円山「私は最後に来た身ですので、最初どのような状況だったのかまだわからないのですが」

月宮「まずは第一発見者に状況を説明してもらったほうが良さそうね、柿生さんお願いできる?」

柿生「それはできません」


柿生は相変わらずの表情といつもより低い声でそう言った


月宮「…どういうこと?」

アナ「いや、画家さんなんで?意味わからないんだけど…?」

柿生「…」

月宮「柿生さん、何か理由があるとして、それはあなたの心証を悪くするものだけど、それを分かって?」

柿生「はい、それでもです」

宍戸「おいおい…」

月宮「仕方ないわ、いつも通りみんなで話し合っていきましょう?」

宍戸「いつも通りって言える回数になっちまったんだな…」


柿生…なぜだ、何を隠す理由があるんだ?

<<<議論開始>>>


円山「神谷様は倉庫前で亡くなられていました」

アナ「倉庫の中では何故かパティシエちゃんが気を失っているんだよね」

渚「しかも外傷はない」

天城「アラタくんの死因は…あれだけ負傷してたから見ればわかると思うけど、失血によるものだったね」

宍戸「事件って夜中に起こってたのか?夜時間によ」

月宮「だとしたら神谷くんは夜時間のうちに亡くなった、という事かしら?」



渚『それは違う』論破!



月宮「どこが違うの?渚くん」

渚「まず、これを見てくれ」

つ【モノクマファイル】

渚「これによると、何かが原因の失血死、襲われたのは真夜中、死亡推定時刻は不明、毒物の検出はなしだ」

宍戸「手抜きか?ほとんど役に立たねえなそれ…」

円山「しかし襲われた時間は書いてあるのに、死亡推定時刻を濁しているのはなぜでしょうか?」

月宮「かといって死亡推定時刻が濁されているだけでは、神谷くんがしばらく生きていた証明にはならないけれど?」

渚「ああ、それだけじゃない」

おれは覚えていた
あの時、俺が現場に辿り着いたとき、柿生は確かに「渚くん…今…神谷くんが… 」
確かに『今と言っていた』
あれはきっとそういうことだろう、だが柿生が隠している以上、それを話しても仕方がない。確証もないのにこじれるだけだ
別の観点からの…証明が必要だ

天城「そもそも、モノクマファイルなんて、そんなもの信用できないよ。なにか他に根拠でもなきゃ」

モノクマ「失礼しちゃうなぁ、そこに書いてあることは全部事実だよ!隠したいことは濁すけどね、うぷぷ」

天城「そうだとして、見たでしょ!あれだけ負傷してたんだよ、そんなに持つはずがないよ…」


渚『これで明らかだ』証明!
【止血の痕跡】


渚「覚えているか?神谷の体にはいくつか止血した痕跡がある」

天城「…あ」

宍戸「そういや包帯が巻いてあったな」

渚「犯人がその場にいたらまずそんなことはできない、犯人は神谷の殺害を果たせたと判断し立ち去ったあと、神谷は生きていたんだろう」

渚「それも正確なものだったはず、他の誰かが止血したわけじゃない、あれは神谷自身の手によるものだ」

月宮「そう考えると、ある程度の延命ができた可能性が高いわね」

アナ「だったらなんで誰にも助けを求めなかったの?這いずってでも…電子手帳で電話したって」

円山「動けなかったのは…義足が破壊されていたからですね」

渚「おそらくな、電子手帳もさっき見せた通りこの有様で、しかも愛野に被せてあった白衣のポケットに入っていた」

アナ「じゃあ、無理なんだ…」

アナ「ていうかそのファイル、死因が何かが原因の失血死って…随分テキトーじゃない?」

天城「失血死の原因なんてピンからキリまでたくさんあるのにね」

月宮「ピンのほうは想像したくはないけれど、使われた凶器ぐらいはハッキリさせるべきじゃないかしら?」

柿生「やっぱり、周りに散らばっていた小さな鉄球のようなものが、死因と関係してくるんでしょうか?」

円山「しかし、あのようなものでどうやって…まさか投げつけたわけではないでしょうし」

アナ「あの鉄球をもっと威力が出るように細工して発射したんじゃないかな?…なんて」


渚『異論はない』同意


アナ「えぇ!?自分で言っといてアレだけど、そんな突拍子もないことできるの?」

月宮「ということはやはり、材料はそろっているのね」

渚「ああ、割と簡単に手に入るようだ」


犯人が凶器を作るために使ったもの、それは


渚『考えるまでもない』

【天城の爆薬】
【鉄パイプ】
【丸形の重り】


渚「仕組みはいたって簡単だ、パイプに火薬をつめ、さらに小さな丸形の重りをつめ、火薬に点火する。火縄銃のような仕組みだ」

柿生「あの周りの鉄球って物理準備室の重りだったんですね。火はマッチでもライターでもなんでもいい…」

宍戸「天城が作ってた爆薬や、重りはともかく。さらっと言ったけど、その鉄パイプどこにあったんだよ?」

天城「どこかから外したり壊したりして使ったんだとしたら、学校の物壊したとか因縁つけられて校則違反になっちゃうんじゃ」

渚「ああ、初めから壊れていて、誰でも調達できる場所にあった。爆破された場所にな」

アナ「そっか!爆発跡地だ!」

渚「実際これ以外にも似たような鉄パイプがあった、男子トイレだからな」

月宮「加えて爆発の跡地から取ったものなら、火薬の跡が残ってたとして何も違和感がない、凶器を隠し持つ必要がなくなるわ」

柿生「使った鉄パイプをそのまま爆発跡地に放置してしまえばそれだけで証拠隠滅になるんですね」

円山「日時、凶器…あとは愛野様ですね」

一番の謎だ…だれの仕業によるものなのか
この事件とどう関係してくるのかがわからない


月宮「愛野さんは意識を失っていた」

アナ「医者くんが殺害された後ろでね」

宍戸「でもケガなんざしてなかったんだろ?目覚めねえけど…」

円山「では…犯人の手によるもの、というわけではないのでしょうか?」

天城「もしかして!」

天城「じ、自殺するつもりだったんじゃないのかな?ほらアラタくんが死んじゃったから」

宍戸「まさか神谷が殺されて、自分だけ助かっちまったからってことか…?」

アナ「恐ろしい話だけど、十分考えられるのかな…パティシエちゃんなら」



柿生『その推理は描けません!!』


ここで否定するか…

柿生「違いますよ!愛野さんがそんなことをできるはずがないんです!だって…」

天城「でも、何を根拠に?」

柿生「根拠はあるんです、でもそれは…」


またしても柿生だけが知っている事情ということか


渚「ああ、愛野が自殺するつもりだったわけではないと裏付けることはできる」

天城「え?」

渚「俺も今気づいた。愛野には白衣がかけられていた。愛野が神谷を殺害されたあとになって自ら意識を失うような事をしたのなら、あの血まみれの白衣をかけたのは犯人か愛野自身か」

渚「物騒な話だが、神谷の遺体からその白衣だけ回収する必要もある」

円山「そ、想像するだけで鳥肌が立ちますね…」

渚「だが、愛野にかけられていた【血まみれの白衣】あれが神谷が殺された後だとすると辻褄が合わないんだ」

月宮「辻褄…なるほどそういうことね」

渚「柿生、お前にもわかるはずだ。あの時、神谷を上半身を抱え、まじかで見たお前なら」

柿生「わたしにも……わかることですか?」

スモックは持ってきている、ついでに中のポケットに入っているスケッチブックに絵でも書いてくれると分かりやすいが


柿生「凶器は銃のようなものなんですよね?神谷くんの白衣…いくつ穴が空いていました?」


…どうやら期待通り描いてくれるわけではないようだが


天城「あ!」

宍戸「そういや神谷の体にはおっかねえ数の致命傷が…」

渚「そうだ、血まみれとはいえ、遺体の体に比べれば白衣の損傷は少なかった」

天城「じゃああれはアラタくんが死ぬ前にかけられた物だったんだ」


月宮「時系列も難しくなるわね、神谷くんはあの白衣を着用した状態で一度襲われ…さらに脱いだあとに殺害された」

宍戸「なんか、頭ぐちゃぐちゃになりそうだな」

天城「しかも心愛ちゃんはアラタくんが殺される前に意識を失ったことになるよね?それってありえるの?」

円山「その間に何があったのでしょうか?」


そこがこの事件のわからない部分だ
ピースが足りない…なにか一つあれば思いつきそうだが
繋がらない



柿生「…だれか愛野さんがあの状態になった原因を知りませんか」

円山「確かにどうやってあの状態になったのでしょうか、外傷もなく意識を失って、しかも起きないだなんて」

渚「柿生、お前は知ってるのか?」

柿生「えと…憶測でしかないとしか…」



愛野の意識不明と関係するもの…確かに俺は持っているはずだ

渚『考えるまでもない』


渚「実は見つけていたものはある」

【錠剤】

月宮「これは?」

天城「錠剤?」

渚「ああ、なんの薬かは不明だ、白衣のポケットに入っていた」

アナ「保健室にあった医者くんの薬品リストと照らし合わせてもわからなかったんだよね…」

渚「愛野が自殺した線が消えた今、謎は深まるばかりだ」

宍戸「毒薬とかじゃねえのか?」

アナ「モノクマの話だけど、意識が戻らない以外はいたって健康らしいよ?毒って言うのは…」


しばらくの間沈黙が流れる
行き詰ってしまったと考えるべきか
モノクマが何か言いださないうちに考えを整理しよう


が…沈黙は思ったよりも早く崩された

月宮「渚くん…」

渚「なんだ?」

月宮「私はあなたが犯人だと思っている」

一同「!?」

なに…?

渚「…理由を聞こう」

月宮「さっきの手製の銃の理論…確かに筋は通るわ、でも私はずっと気になっていることがあったのよ」

月宮「デザートイーグルの口形は44マグナム版だった」


……!


渚「…盲点だった」

柿生「…!」

宍戸「ん?なんだ?どういうことだ?」

アナ「え、まさか…?」

円山「で、デザートイーグルとは、あの拳銃のことですか!?」


月宮「調べてみたけど、天城さんの持ってる爆薬、当然衝撃でも燃焼反応を起こすはずよね?だったら拳銃だって火縄銃と同じように扱えるはずよ」

月宮「火なんかなくたって、オートマチック拳銃に火薬を詰めれば、拳銃のハンマーで事足りる。もちろん壊れる可能性はもあるけど、強度も制度も鉄パイプよりもよっぽど優秀」

月宮「あの【丸形の重り】見た瞬間にピンときたわ、渚くんの所持している拳銃にピッタリだって」

なるほど、あの時銃の本があるかどうか聞いてきたのはこういうことか
俺への揺さぶりをかけるために
…だがあの銃は柿生が持っている、おそらく今も肌身離さず


柿生「…!」


確かに様子がおかしかったが、本当に柿生の犯行なのか…?
あいつが神谷を殺めた犯人なのか?

アナ「ね、ねえ探偵くん、今その銃を持っているのって…」

渚「ああ、柿生だ」

月宮「柿生さん?」

柿生「……」


柿生は素直にその拳銃を席に置いてみせた


円山「あ!あの時の拳銃!!」

月宮「いつから…なぜ渡っていたの?」

柿生「少なくともこの事件が起こる前に、渚くんが弾丸を隠し持っていたので、合意のもと没収しました」

月宮「え?」

渚「事実だ」

俺は弾丸を見せた

月宮「渚くん、あなた…いえ、後にしましょう」


当然にらまれる、ごまかしていたわけだからな


天城「じゃ、じゃあ犯人は…?」

柿生「違います…犯人は私じゃありません、本当です」

宍戸「…やっぱりそうだったんだな」

円山「し、宍戸様、どうかされましたか?」

宍戸「柿生、…目が違うんだよ前のお前と」

柿生「目…ですか?」

宍戸「ああ、前のお前はもっとあったかくて優しい目をしてたんだよ。それがどうだ今のおまえは?」

宍戸「目だけじゃない、てか誰が見てもわかるだろ、なんで柄にもなくスモック脱いでるんだよ?何があってそんな…覚悟を決めた顔つきになったんだよ?」

柿生「確かに覚悟を決めましたから」

宍戸「それは俺たちを欺く覚悟か?」

柿生「…!違います!私はそんなつもりは!」

宍戸「じゃあ第一発見者のくせになんで話さねえんだよ!!!神谷がどんな状態で…逝っちまってたかぐらい話したって」

アナ「死体発見アナウンスのルールは消えた、第一発見者でも犯人の可能性はあるんだよね?」

月宮「柿生さん、話してなにがあったのかを、まさかあなたが犯人だなんて」

柿生「本当に…本当に違うんです」


本当にそうなのだろうか?
まだ、明らかになっていない部分は多い
柿生を犯人だと断定する証拠も少ない

何より…あいつが神谷を殺すなんてとても考えられない


だめだ、先入観は捨てなくてはならない
俺はずっと気になっていたものを指摘することにした

渚「柿生、そのスモックに包んであるものはなんだ?」

柿生「…!」

渚「スケッチブックか?それとも別のものなのか?」


わずかな違和感、柿生が神谷の白衣をなぜか絵で再現しなかった、あの時の…
その正体は?


柿生「こういうことだったんですね…」

柿生は手に抱えるスモックに包んでいた、あるものを出した


【ロヒプノールと書かれた薬のパッケージ】


柿生「これを渡されたんです、神谷くんに」

渚「ロヒプノール…」

天城「それって…あのロヒプノール?」

渚「柿生、それを神谷に渡されたのか」


柿生「はい、実は私が神谷くんを見つけた時…彼はまだ生きていたんです」

柿生「これ…何なんですか?行き詰ったらみんなに見せろって、それだけでいいって言われたんですけど」

天城「ロヒプノール錠、睡眠導入剤だよ」

渚「仕事がら俺でも知っている、アメリカでは違法薬物に指定されているほどの強力な薬だ」

月宮「睡眠薬…じゃあ愛野さんが眠ってる理由って」

アナ「でもいったい誰が使ったの?パティシエちゃんでもなくて、犯人でもなくて…」

宍戸「てかなんで神谷が持ってて、柿生に渡すんだよ!?」



なにかの意図があったことは明らかだ、あれを見せるだけでなにか分かるはずと踏んでいたのか?

俺が足りないと思っていた最後のピースがあれだとするのなら…






まて…まて、まさか…

円山「神谷様は犯人についてを…その、語らなかったのですか?」

柿生「それが…知ってはいるみたいなんですが、最後まで教えてくれなかったんです。何度も聞いたんですよ!でも決まって…」

渚「待て、柿生、それは本当だな?」

柿生「本当ですよ、何度聞いても…」

渚「そこじゃない、神谷は犯人を知っていたのか!!?」

柿生「え……はい、知っていました」


少し力が抜けた、確信した
神谷が言いたかったことは


渚「そうか…みんな、振り出しだ」

天城「え?なに?今ので何かわかったの?」

渚「この事件はコロシアイなんかじゃない!!歴とした殺人事件だ」


俺はたまらず大きな声で言った


宍戸「いや、何言ってんだよ?コロシアイだし殺人事件だろ」

渚「違う、そういうことじゃない…」

アナ「コロシアイじゃなくて、殺人事件…うーん相変わらず探偵くんのいうことは難解だなぁ」


渚「みんなコロシアイにおいて、俺たちの目的はなんだ?」

宍戸「ほかの奴にバレないように…殺すことか?」

渚「その後は?」

柿生「学級裁判で自分以外の人をクロにすることでしょうか?」

渚「ああ、そうすると何ができる?」

円山「ここから脱出できるはずです」


月宮『その計算では解は導けない!!』反論!


月宮は険しい表情で俺を見る


渚「…どうした、月宮」

月宮『その計算では解は導けない!!』反論!


誰かが指摘してくるのを待ち構えていた俺は特に驚かなかった


月宮「あなたの言いたいことは分かったわ、でもさっきの錠剤が違法薬物だったからといってなぜそこまで分かるの?」

月宮「渚くんだからないとは思うわ」

月宮「でも果たしてその推理、少しのこじつけもないと言うの…?」


渚「違法薬物…はこの際どうでもいい、問題はこの錠剤が睡眠薬であることだ」

月宮「違法薬物は関係ない…だめね、私では想像もつかないわ」

宍戸「なぁなにが言いたいんだよ濁してないで直球で来てくれよ」

月宮「神谷くんが殺された理由は脱出するためじゃない、そう言いたいのよ」



円山「脱出が目的じゃない…ですか?」

アナ「じゃあ理由ってなに、え…」

柿生「………え、そんな」

宍戸「…おいまて、どういうことだよ?それって…う、ウソだろ?」

みんなその意味に気づき始めたようだ
この事件は外の世界とは関係のない、個人的な動機によるもの


渚「ああそうだ、状況を考えると神谷だけを殺すこと自体が目的だっt…「嘘!!そんなの絶対違います!!!」

柿生「なんでですか!!シンちゃんがなんで殺されなきゃいけないんですか!?なんで…そんな…う」

宍戸「柿生…」


さっきまでと打って変わって、柿生は涙を流し始めた


アナ「じゃあパティシエちゃんは誰が?睡眠薬って言うならそれが原因なんだろうけど…」

渚「あれは犯人でもない愛野自身でもない、神谷がやったんだ」

アナ「医者くん!?」

円山「渚様…神谷様の行動の意味が分かりません、最初から説明してもらえないでしょうか」

渚「分かった」

渚「まず神谷と愛野は昨日の真夜中に犯人に襲われた、先ほど議論した通り恐らく銃撃だ。

渚「ここで愛野のヘビが死亡し、血痕の跡から多分神谷も撃たれている」

渚「さっき言った手製の銃は精度が高くないはずだ、一発で仕留められなかったと考えていい、おまけに次の弾を装填するにも時間がかかる」

月宮「渚くん、拳銃の線は?」

渚「その線は消えた、この先でわかる」

渚「二人はなんとか倉庫まで逃れた、だがそう遠くない位置にいる犯人も血の後を追ってくるだろう」

柿生「…だ、誰かの部屋に助けを求めたりはしなかったんでしょうか?」

渚「負傷した状況では、難しいだろうな。近くの部屋に助けを求めたとしても時間も時間だ、怪しまれるか、寝ているか…すぐに避難できるとは限らない」

アナ「パティシエちゃんにかかってた白衣…医者くんが殺される前の白衣を見ると、この時点で立つのも厳しいだろうしね」

円山「これは私の経験上ですが、切羽詰まった状況ですと人は一番近くの安全と思われる場所に避難したくなるものです、そこが本当に安全とは限らなくても」

渚「倉庫で神谷は持ってたその睡眠薬を愛野に飲ませて寝むらせた、愛野は多分神谷の言うことなら何でも聞くだろう」

渚「そして一人で倉庫から出ていき、犯人に殺害された」


宍戸「まさかあいつ、愛野を守るために…そうしたってのか」

柿生「自らを犠牲にして愛野さんを…それで」

月宮「だとすると渚くん、やはり犯人が神谷くんを狙ってたとは断定できないんじゃないかしら?」

渚「ああ、だが神谷は愛野を確実に守るために自らを犠牲にしたわけじゃないと言ったらどうなる?」

月宮「…まだ続きがあるのね」

渚「これはおそらく神谷の作戦だった。愛野と神谷、二人同時に生き残るためのわずかな希望だったんだ」

今日はここまで~

再開します~

宍戸「生き残るための作戦だ?この絶体絶命の状況でか?」

渚「そうだな、例えば俺が犯人だとしよう。俺はさっき話した通り神谷と愛野を倉庫に追い詰めた」

月宮「さっきの話の通りだと次に神谷くんは愛野さんを眠らせて、あなたの前に現れることになるわね、負傷してる状態で」

渚「その通りだ。当然愛野が倉庫で眠っていることを俺は知らない。この状況で俺は神谷を撃てるか?」

アナ「…いや、普通にう…撃てばいいんじゃないかな?」

月宮「特に障害となる要素は見つからないようだけど?」


そうだ、これだけでは何も変わらない


渚「では現れた神谷がすごい形相でこう言ったとしたらどうだ?」

神谷はこの一言だけで犯人を無力化させてしまうつもりだったんだ






渚「神谷はきっとこう言った。『さっきの銃撃のせいで愛野が死んだ』

月宮「…!」

宍戸「おいおい、勝手に愛野を殺すなよ、あいつ意識を失ってるだけで生きてるぞ」

柿生「校則違反…!」

天城「そっか、犯人は一人しか殺せないんだったよね」

渚「そうだ、愛野の安否を確認できない以上ここで神谷を殺すことはできない。もしも愛野が本当に死んでいた場合、自分も校則違反で処刑されてしまうからな」

天城「でも眠らせる必要まであったの?」

渚「この作戦は少しでも愛野の気配が相手に感づかれてしまうと破たんする。恐らくこの作戦を愛野に提案したら危険だと猛反対をくらうだろう」

円山「犯人も近づいてきているから、有無を言わさないために早急に眠らせてしまったとおっしゃるのですか?」

月宮「あなた…よくそこまで思いつくわね、正直恐ろしいわ」

渚「神谷は最後まで生きる方法を模索したはずだ、こればっかりは俺の勝手な先入観からだが。探偵失格かもしれないな」


アナ「信頼してたんだね、医者くんの事」

柿生「…渚くん」


渚「問題はここからだ。結果どうなった?」

柿生「神谷くんは結局…」

月宮「その状況でも殺害されてしまった。だから目的は脱出でもなく、神谷くんさえ殺せればなんでもよかったようにも思えるわね」

渚「犯人は自分が死んでも構わなかった…とまでは言いきれないが、並大抵の決断じゃなかったはずだ」

柿生「なんで…動機はなんなんですか…脱出が目的なら納得はできませんけど、理解はできるんです。でもこれじゃ…」

宍戸「あいつに殺されるほど恨まれるとか、憎まれるとか、そんなことあるか?」

渚「さぁな、動機は犯人のみぞ知ると言ったところか」

アナ「目星はついてるの?」

渚「ああ、神谷が残した手掛かりからある一人の人物が挙がった」


ロヒプノール…あれのおかげで導き出せた犯人はあいつだ




渚「神谷を殺した理由…語ってもらおうか、天城」


天城「…え?私?」


いかにも驚いた風な顔をした


渚「なんで愛野が眠っていると断定していたんだ?」

天城「え、眠ってるんでしょ?」

渚「お前は愛野の方は見ていないと言っていたな、いやおそらくあの時倉庫にいた愛野を調べられたのは俺しかいなんだ」

天城「うん?」

渚「愛野が眠っていることは月宮と円山にしか言っていない、あと知っているのは保健室で愛野についていたアナだけだ」

天城「…!」

渚「おれも間近でみてやっと眠っているのではないかと仮定しただけなんだ、まさかロヒプノールが出てくるなんて思わなかった」

天城「じゃあ、その三人が言ってたのを聞いて…」

渚「ロヒプノールの存在が明らかになるまで、三人とも決まって愛野の状態を『意識を失っていた』としか言ってなかった」

月宮「ええ、実際に見たわけじゃないから確信が持てなくて」

アナ「アタシはモノクマに原因不明って言われて」

モノクマ「うぷぷ…」


天城「ちょ、ちょっと待ってよ!そんな、眠ってるって思っただけで」




渚「思ってる?いいや違うな、お前は序盤にハッキリ言ったんだ。愛野の状態を『ぐっすり眠っている』と」


天城「…うぐ!」

天城「確かに爆薬作ったのは私、物理準備室に弾丸に使えそうな重りがあるのも知ってたよ!!」

天城「でも、そんなの状況証拠だけじゃん!!」

天城「それにほら、小雪ちゃんだって犯人かもしれないんでしょ!!私とは限らないって」


渚「柿生が犯人だとするなら、神谷はロヒプノールを渡しはしない!」

柿生「・・・!」

月宮「神谷くんが犯人の顔を見たのならたしかにそうね」

渚「医療セットも散らばっていた、薬の知識もないやつがあの中から睡眠薬に関係するものを見つけ出すのは困難だ」

渚「天城、真っ先神谷の検死がしたいと言い出したな」

天城「…それが、どうしたの?」

渚「例えばお前が回収したそのボイスレコーダー、ほんとは壊れていないんじゃないか?」

天城「ボイスレコーダー…!」

宍戸「いやでも見ただろ、あの時確かに何も流れなかったぞ」

渚「宍戸、あのボイスレコーダー、直接調べたか?」

宍戸「いや…見ただけだけどよ」

渚「今日になって神谷の包帯を見たおまえは、神谷がすぐに死んではいなかったことを知った。だから自分へとつながる手掛かりを残されたんじゃないかと危惧したんじゃないか?」

渚「神谷の所持品を回収できるだけ回収したお前は科学室に向かった、ずっと不思議だったんだモノクマファイルすら拒んだお前があっさりその場を交代してもらったのが」

天城「う、うぅ…」

渚「あの時は遠目で見ただけだ、ほんとにボタンを押してるかどうかは分からなかった。今も持っているはずだ、出してもらおうか」

天城「…」(ゴソ



天城は観念したようにボイスレコーダーを出しボタンを押した

???『こちらの音声を再生したのは誰だろうな。できればこの音声は公にせず秘密裏に聞くのだ。単刀直入に言う、このコロシアイは一度やり直されている』



天城「…あれ?」

月宮「この声って…」

宍戸「なんてこった」

円山「間違いありません、この方は」

それは神谷の声ではなかった

柿生「藤原君!」

渚「…馬鹿な」


藤原『一度目はなにもかもが順調に進んでいたのだ、黒幕の思惑など関係なかった・・・・』


そうか、あのボイスレコーダーは第2の事件の藤原の物。神谷が回収していたやつだ
迂闊だった…決定的証拠としては少し弱くなってしまう
内容は気になるが…



天城「あ、あれ?壊れてなかったよ、へへへ…」

渚「くっ…」

天城「これでもまだ私が犯人だと疑われるのかな?うん?」

月宮「…」
宍戸「…そりゃあ」
円山「…」
アナ「…」

そうだ、これは最終的には投票で決まる
証拠があろうがなかろうが、そのルールに変わりはない
みんなが納得してしまえばシロの勝ちなんだ

天城「な、なに。みんな…」



柿生「天城さん、神谷くんがなんで犯人が誰なのかを言わなかったんだと思いますか?」

天城「し、知らないよそんなこと」

柿生「神谷君…嫌だったんですよ、人の死に加担してしまうのが、それがたとえ自分を殺そうとした犯人でも無理だって言ったんです」


そんなことを…

天城「……なんだよ、いつもいつも誰にでも寄り添いやがって」

柿生「え?」




天城「心愛ちゃんが内通者だったことを知った時、私は許せなかった。頭ではわかっていても、心の底では納得できなかった」

天城「だって、あれのせいでアキラ君は死んだんだよ!!?緑ちゃんも皆人くんも、やっぱりおかしいよ!」

天城「許せなかった、心愛ちゃんじゃなくて、心愛ちゃんのしたことをいとも簡単に許してしまうアラタくんが」

天城「許せてしまうアラタくんが」

天城「許せなかった、人殺しを絶対に許さないアラタくんが、そのくせ誰も憎んだりしないアラタくんが」

天城「陰で泣いてるアラタくんが…」


天城「1人で脱出しちゃえばよかったんだ、なんで無関係だと分かっても逃げようとしないんだよ」



天城「カオルくん、前に話した実験覚えてる?」

渚「偽りの開放だったか…」

天城「あの実験、私が考えたんだよ」

渚「なに?」

天城「本当は偽りなんかじゃない、本当に開放したかったんだよ。死刑囚が正体をばらされても、周りのみんなは離れていかない…そうなる予定だった」

渚「なんでそんな実験を…」

天城「人を改心させる薬を作れって言われたからかな?それって薬品どうこうの問題じゃないと思うんだよ」


じゃあ、あの実験は失敗がマッドな実験として残ったものなのか


天城「それがどう?アラタくんが心愛ちゃんを許した瞬間みんな寄ってたかって心愛ちゃんの味方」

天城「キヨマロくんが槍で貫かれた時も、小雪ちゃんとしぐれちゃんが死にそうになってた時も」

天城「アラタくんは覆した」

天城「アラタくんは希望を持ってた、みんなと一緒にここから出たいって本気で思ってたみたいだったよ」



天城「でもだめじゃん!!!」

天城「実際にここまで人数は減っちゃったよ、アラタくんも割と簡単に殺せちゃったしぃ!!」

天城「カオルくん、なんでだと思う?」

渚「どういう意味で聞いている…?」

天城「私たちは生きてちゃいけない人間なんだよ、絶望キラーだったんだから!!」


絶望キラー…またそれか


アナ「なに…?さっきから何言ってんの?」

月宮「とても正気には見えないけれど」

宍戸「絶望…」

円山「絶望…ですか…」


柿生「…天城さん…やっぱり…」

モノクマ「はーいはーい!!盛り上がったようだけどそろそろ終わりにしてもいい?」


渚「みんな…念のため振り返るぞ」

<<<クライマックス推理>>>

渚『…遊びは終わりだ』


渚「犯人は昨日の夜中、自室に帰ろうする神谷を待ち伏せ、愛野と一緒にやってきた神谷を後ろから銃撃した。凶器につかったのは爆発跡地に落ちている鉄パイプ、物理準備室にあった重り、そして自分で作った爆薬で作った手製の銃のような物だ」

渚「それほど制度の高くなかったその銃から放たれた弾はいくつか神谷や愛野のヘビに当たったものの、仕留めるにはたりなかった。ゆっくりながらも倉庫の方に逃げられてしまったんだ」

渚「犯人は新たな火薬と重りをまた鉄パイプに詰め直し、血の跡を辿って倉庫に向かった」

渚「倉庫からは神谷しか出てこなかった。そして神谷に愛野が死んだというハッタリをかけられた犯人は、それでも構わず神谷に発砲し、致命傷を与えた」

渚「その後犯人は倉庫にいた神谷によって愛野が眠らされただけだったのを確認しその場を去り、そして凶器に使ったものをただ元あった場所に戻しに行ったんだろう」

渚「だが神谷はまだ生きていた、あいつは自分の力で延命を図り、朝、柿生に発見されるまで耐えたんだ。そしてこの事件のカギを柿生に託した」





渚「このカギ、ロヒプノールの存在から結びつく犯人…それは天城泉、お前だけだ」


complete

who is found guilty?

ジャガジャガジャガジャガ

ジャン!

「 天城」
(^O^)/

guilty!!!!







閉廷!!

今日はここまで~

少し書きます

モノクマ「あー長かった…というわけでクロは天城さんでした~」

円山「モノクマ様、まだ投票しておりませんが…」

そうだ、俺たちはまだ事件を振り返っただけだった

モノクマ「いいのいいの、てかここまで来て覆るわけがないでしょ、誰が天城さん以外に投票するの?え?」

月宮「あんなボタン押したくなかったからこれはこれでいいけれど…そう勝手なことばかりされるのは困ったものね」

モノクマ「困る?困っちゃうの?そりゃよかった、うぷぷ…」

モノクマ「募る話ももうないでしょ?さっさとオシオキしちゃおうか!!こっちとしてはこれだけが楽しみなんだから」

宍戸「どこまでもいけ好かねえ…」

天城「じゃあ!!まあグチャッとやっちゃってよ!フヘヘ…」

天城はなぜか目を見開かせ、生き生きとしている

モノクマ「お、乗り気だね!嫌いじゃないよそういうの、絶望的状況でも楽しもうとするその感じ!!それじゃあさっそく…」

柿生「やめてください!!天城さん」

叫んだのは柿生だった

天城「なあに?どうしたの?フフ…」

柿生「狂ったふりなんかしないでください!冗談言って強がらないでくださいよ!あなたはもう直ぐ…死ぬんですよ…?」

天城「…そっか、もうバレてたんだ」

天城はそう言いながら柿生に何かを渡した

柿生「これ…」

天城「多分、小雪ちゃんが持ってるべきだよねこれ」

天城「あ、そうだこれも預かってよ」


今度はみんなにも見えるように出してきた


アナ「また…薬?」

天城「アラタくんから貰った【解除薬】これで心愛ちゃんが起きると思う。でも本来ロヒプノールは強いだけで、そんな危険な薬じゃないと思うんだけどね…」

天城「起きたら、謝ってもらっても…」

渚「断る」

天城「え?」

渚「断ると言ったんだ、謝るくらいならやらなければいいだけの話だったんだ」



天城「そう…だよね」

モノクマ「では張り切っていきましょう!!オシオキターイム!」


円山「天城様…その…」

天城「ごめんユキチカくん、失った者同士だなんて言って。私そんなに強くなかったね…」

円山「私には何が正しいのかもう、わかりかねます」

円山「私は本当に狂ってしまっているから」

天城「…違うよ、みんな狂ってるんだよここにいる人」

円山「え?」

天城「じゃあね」

game over

アマギさんがクロに決まりました、オシオキを開始します

<<<アマギ<<<

ここに来て初めて、考え込む
なんであんな事をやってしまったんだろう
そりゃ外の世界で色々やってきたけど
別に友達を殺す必要なんてなかったはず

結局私は何がしたかったんだろう?
うっすらとした卒業後の記憶の中では何を目標に生きて行こうと思ってたんだろう?

「元超高校級の科学者、天城 泉の処刑。最っ高にマッドな贈り物(科学より)」

そんな文字を見た私はというと何かをボロい電気椅子のようなものに拘束されていた
右手にはその電気椅子のスイッチみたいなものが握らされていた

(100万ボルトォオオ!!が流れるスイッチ。いつでも押してどうぞ?)

とても100万ボルトなんか流れるような作りには思えないけれど、スイッチを押そうものなら人の体なんか簡単に焦げついちゃう

目の前ではなにか怪しい音を立てまくる謎の機械が動いていた

チーン

電子レンジのような音が鳴る。するとそこからは、ドス黒い色の液体が入ったビーカー出てくる
空いてる左手につかまされたビーカーには雑な字でオレンジ味と書かれていた

天城「な、何これ。飲めって言うの…?」

多分断る選択肢はないんだと思う
少し興味もあった
自分の体でこんな本格的な人体実験なんてやったことがない

あれ?私本当にマッドサイエンティストなのかな……?

気がつくとそれはもう口の中へ流しこまれていた。
驚くほど飲みやすかった

数十秒が経つ、特に体に異変は…

「天城さん!」






そんな声が、私の大好きな声が聞こえた

天城「ア、アキラ君…?」

相良「こっち向いてくれないかな?天城さん」


私は直ぐに首だけそっちに向けた、すごい勢いだったのか少し首が痛い


天城「アキ…!あ…あ…そんな」

そこには…

アキラ「なんで死んじゃうんだよ!僕は生きて欲しいって言ったのに!!!!」

胸から血を流していたアキラくんがいた…
彼だけじゃ済まなかった

カミヤ「おい、なんで俺を撃ったんだよ天城」
天城「え…」
ミギマチ「良い…科学者じゃ…なかったの…?」
天城「え…何これ…?」
フジワラ「アキレタモノダナ」

全身傷だらけのアラタくん
首にテグスの跡がくっきりと残ってるミナヒトくん
噛みつかれた跡がたくさんあるミドリちゃん

心なしか誰かはわかるのに声は歪んで聞こえてくる

マイジョウ「アマギサン…ワカルカイ?これが絶望だよ…」

天城「え…こんなの…無理…」

アキラ「アマギサン…」
天城「なんで!?やめて!!どうして?目を閉じてるのに!!」

そっか…さっきの薬…幻覚剤か何かなんだ

アマギサンアマギサンアマギサン…

天城「もう、もう許してみんなをこんな風に映さないでぇえ!!こんなの耐えられないよぉ!」

拘束されているから動けない
逃げられない
声が頭に響く
辛い

天城「…そうだ…電気椅子のボタン…」

私は恐怖から絶望から逃れるために迷わずボタンを押s…





モノクマ「どっひゃあ!あの電気椅子すっごい音だね、カミナリが鳴ったのかとびっくりしたよ」

一旦ここまで
また後で来ます

書きます~


モノクマ「あhっひゃはやはや!!!エクストリィィィム!!!そしてアッメイジイイイング!!!今回は僕の考える中でもかなり自信作なんだよ!!」

円山「う…うう……こ、こんな」

月宮「…」

アナ「で、電気椅子…」

なんだ…?
何かを口に含んだと思ったら突然、今までに死んだ奴らの名前を叫び始め…
そして…焼け死んだ

宍戸「離せ!離せって、もう見たくねえんだってこんなの!!!」

モノクマ「無理やり目をそらそうとしてるけどそんなの勿体ないからねえ、うぷぷぷ…」

柿生「また…減ってしまった…天城さん」

モノクマ「ところで意味わかった?天城さんが突然悶えだした理由わかる?あれは別に毒薬とかそういうんじゃないんだよ」

渚「…幻覚剤か」

モノクマ「ご名とーう、あの電気椅子のスイッチは天城さんが自分で押すようなもの…何を見たのかなぁ、僕もみたいなぁ」

なるほど…何を見たかはよくわからないが
それが天城には耐えられないものだったんだろうな…

これでこの事件も幕引きか…
どっと疲れが噴き出てくるようだ

21日目(早朝)

<<<カキエ<<<

ガバッ…!!

柿生「…うう」

最近、明らかに夢見が悪くなっている気がします

私は時間が気になり時計を見てみます
時間はまだ起きるにはだいぶ早かったです

もちろん寝直そうとも考えましたけど
すんなりと眠れる気がしませんでした
無理やり寝ても…寝坊につながってしまうような気もするし

仕方なく立ち上がり、着替えて部屋の外に出ます

その違和感にはすぐに気づきました
…なぜか、嫌な感じがする

思わず速足になります

柿生「…!」

目の先には血のようなものが見え始めます

柿生「誰か…誰かいるんです!?」


その先に…まさか神谷くんが倒れてるなんて思いませんでしたが

柿生「か、神谷くん……神谷くん!!!」

私はいそいで駆け寄って抱き起します
服は神谷くんの血で染まります

血だらけの神谷くんはピクリともしません

柿生「神谷くん!!返事してください!神谷くん!!」

神谷「…う、うう…」

柿生「神谷くん!生きてますね?なにがあったんです!?どうしてこんなに…」

神谷「…その…声、柿生…か?悪い…な、もう目が…ッ…見えないんだ」

柿生「あ!!神谷くん!!しっかりしてください!!今人を呼んで…」


人を呼ぶ…誰を?
医者である神谷くんはこの状態です…
じゃあ…どうすれば…


柿生「か、神谷くん…どうすれば…」

神谷「いい…もう…無理だ」

柿生「そんなことないです!!諦めないでください!きっとなにか方法が!!」

神谷「いいん…だ、そんなこと…より聞いて…くれ」

【ロヒプノールと書かれたパッケージ】

神谷「裁判…行き詰ったら これを…見せろ。きっとあいつなら…」

柿生「そんなことしなくても、誰が!誰がこんなことをしたんです!?」

神谷「言えねえよ…俺が言ったら…そいつ死ぬ…だろ?俺が殺すようなもん…じゃねえか…嫌だ」

柿生「で、でも…でも!!」

声が震えてきます
認めたくはないですけど、これから神谷くんが死んでしまうと確信してしまっていました




神谷「ユキ」

柿生「え?」

神谷「覚えてるか…俺たち、ずっと…一緒だったんだぜ?」

柿生「え?神谷くん、まさか思い出して…?」

神谷「お前、俺とナギがいないと、ダメダメで…自信がなくて…優柔不断で…」

柿生「…」

神谷「お人よしで…バカで…泣き虫で…」

柿生「グスッ…かみやくん…」

神谷「はは、泣き虫は…今もか」

柿生「そうですよ…泣かずになんかいられませんよ」

神谷「でも、今はなんかこう、行動力もあって…自信もついたみたいじゃねえか、たくましくなったっていうか」

柿生「そんなことないですよ!私なんて…」

神谷「本気でそう思ってるか?」

柿生「思ってますよ…きっと何も変わってない」

神谷「いや…強くなったよお前は、昔のお前を知ってる俺には分かるんだ」

柿生「…私たち、どうして知り合ったんですか?」

神谷「ガキの頃、落ちてたスケッチブックの持ち主をナギと探してたら、ユキだったんだよ」

柿生「…!!!」

__________________________

柿生「…どこに…あるの?ヒック…私のスケッチブック」

そう、昔、お気に入りのスケッチブックをなくして
公園で一人で泣いていたころ

神谷「よぉ!」

柿生「ひっ!」(ビク!

神谷「そ、そんなびっくりしないでくれよ…」

柿生「だ…何です…?」

神谷「いや、これひょっとしてお前のじゃないか?」

柿生「あ!…わ、私のスケッチブック!!」

神谷「ほんとか!?すげえやナギの言う通りだ!!」

渚「だから言っただろ、俺の勝ちだな」

神谷「いや、まさかお前にこんな才能があるなんて!探偵とかやれよ!!」

渚「探偵は…ちょっとなぁ」


柿生「え…えっと」

神谷「ああごめんごめん、俺は神谷、こっちは渚、あっ苗字な」

渚「4年だ」

柿生「私も、4年…です」

神谷「同い年か、よろしくな」

柿生「え、ええ…」


あの日から始まり




すいません、寝落ちします

二人は友達がほとんどいなかった私の事をすごく気にかけてくれて
学校が違うのに度々会うようになり

中学は同じ学校に上がることになって
それからはいつも2人は一緒にいてくれて
私が困ってるときはいつも助けてくれて…

私にとって神谷くんと渚くんはなくてはならない存在だったんです
二人の事が好きだった、大好きだった


神谷「そういえばこの前スケッチブック、見せてもらったぜ?」

柿生「ええ!?か、勝手に見ないでくださいよ…」

神谷「ははは、悪かったな、でも凄いじゃないかあんな絵を描けるなんて」

柿生「ただ…好きなだけですよ、私の絵には何か足りない気がするんです」

神谷「凄いと思うけどなぁ」

渚「人…じゃないか?」

柿生「え?」

渚「性格には人の顔だろうか…はっきりと表情まで描き込まれてる絵がなかった」

柿生「…」

神谷「ほんとだ、なんでだ?」

柿生「…人、描いたことないんです。キッカケっていうか、モデルがいないっていうか…」

神谷「ないって…見つからないなら」

柿生「え?」

神谷「どうしても見つからないなら、普段の俺たちを描いてみたらいいじゃないか」

柿生「ふ、普段の私たち…ですか?」

神谷「うん、ユキ自身含めて」

柿生「えぇ!?私もですか!?」

渚「どうしたんだ?」

柿生「私…普段どんな顔してるか…」

神谷「普段はともかく、笑顔でいることは多くなったんじゃないか?」

神谷「それこそ今のナギより全然いい表情してると思うけどな」

渚「放っておけ」

柿生「…そうですか?」





神谷「おお!いいじゃねえか!この絵!」

渚「この前の花火大会のやつか」

柿生「ちょっと大げさに描いちゃった気がするんですけど…」

神谷「いやいやそんなことないって」

渚「写真じゃないんだ、これがあの時をお前なりに表現した絵」

柿生「表現…」

渚「それでいいと思う」

神谷「それに、こんな表情を浮かべるほど楽しかったんだろ?」

柿生「あ…」

神谷「…そうでもなかったのか?」

柿生「いえ…とても、とても楽しかったです!」

渚「フッ」

神谷「はは、そりゃよかった。また3人で行こうぜ」

柿生「はい!……

私の絵が上手になったキッカケも
私の日常を明るくしてくれたのも…

私は彼らにたくさんの物を貰いながら生きてきました
今の私があるのは彼らのおかげでした

でも、私は何も返せていない…

世界絶望で崩壊した後
崩壊した町で生き残った私が救出されたあの後…
神谷くんと渚くん、希望ヶ峰学園で出会った大切な友達
の良くない状況を聞いても
その時の私はなにもできなかった、絵が描けたってなんになるっていうんですか

~???の射撃場~

赤羽「柿生さん?どうしたんっすか?」

「私の手元には今これしか残っていないんです」

赤羽「???」

柿生「 私にこの銃の使い方、戦い方を教えてください!」

赤羽「お、教えるのは構わないっすけど…何をする気っすか?」

柿生「助けたいんです…大切な人を、だから決めました」

柿生「私をあなた達の所へ入れてください」

_________________________

柿生「…シンちゃん」

神谷「ユキ…、俺の名前は…アラタって読むん…だぜ」

柿生「シンちゃんのほうが良いです!」


このやり取りをいままで何度もしました
私が神谷くんの名前を読み間違えてそのまま定着して


神谷「なつかしいな…これ」


神谷「お前…密かに戦隊モノとか…好きだったろ?」

柿生「え?」

神谷「チームだとか…なんとかーズって響きも好きだったんだろ?」

柿生「は、はい」

神谷「希望ヶ峰学園に入るとき、何があっても一緒…だとか、私たちは…チームだとか言って、チーム名付けてたよな…」

柿生「…ロンパーズ。二人とも、口が上手かったので、どんな困難も言葉だけで解決できないかと、論破できないかなって思ったんです。変ですよね?」

神谷「ははっ、そりゃ…変…だな」

柿生「ふふ…ごめんなさい」

柿生「シンちゃん、私強くなんてなってませんよ…論破どころか、銃なんかに頼るようになりましたし」

神谷「そんなこと…ねぇって…」

柿生「違うんですよ!!私はあなた達がいないと何もできないんです!!だから!!」

神谷「俺たち…会うために強く…なったんだろ?」

柿生「戦えるようになっただけなんですよ、私は…ただそれだけで…」



神谷「…なぁ、一つ約束してくれ…ないか?」

柿生「嫌です!!絶対守れません!!」

神谷「ナギを…頼む、あいつは…辛いことが多すぎたから…だれかが見てないと」

柿生「ならシンちゃんが見ていてください!!私と…一緒に…」

神谷「愛野も…心配だな…自暴自棄にならないで…くれよ」

柿生「なりますよ!!あなたは彼氏なんですよ!?自覚してくださいよ!!」

神谷「厳しいな…ゲホッ!ゴホッ!」

柿生「シンちゃん!どうすれば…どうすればいいんですか…」

神谷「ありがとうなユキ」

柿生「お礼なんて言わないでください!私まだ何も返せてないじゃないですかぁ!!」

神谷「お前が…親友で…良かったよ…」

柿生「そんな風に言わないでください!!ずっと親友ですよ!これからも…これからも、ずっと!」

神谷「そうか…そりゃよか…った…」


急に神谷くんはズシンと重くなりました


柿生「シンちゃん…?やめてくださいよ…嫌です…黙らないで!!しゃべってください!!」

神谷「」

柿生「お願いだからぁ!!シンちゃん!!」

神谷「」

柿生「ううッ…嫌ああああああああああああ!!!!!!」

21日目 (裁判終了後)

みんなに…話さなくちゃいけません


柿生「みなさん!聞いてください!!」


<<<ナギサ<<<


始まったか…

アナ「画家さん…話って、今?」

月宮「後日ではいけないの?」

柿生「大事なことなんです」

モノクマ「ん~?」

宍戸「はぁ…大事な話っていうけどよ、ここにはモノクマもいるぞ?」


みんな酷く疲弊している様子が伺える
まあ、当然だろうが話など後回しにしたいだろう


柿生「望むところです。どうせ、いつどこで話したって監視されてます」

円山「……何についてなのですか?」

柿生「記憶と私の正体についてです」


正体?


月宮「正体って、あなたは柿生さんよね?」

柿生「はい、順を追って説明します」

柿生「もう薄々感じてると思いますが、この学園の外は崩壊しています」

柿生「そもそもの始まりは超高校級の絶望、江ノ島盾子が起こしたと思われる。人類史上最大最悪の絶望的事件でした」

宍戸「人類史上最大最悪の絶望的事件…、な、なんだその想像もできねえ事件は」

モノクマ「へぇ…」

柿生「それから日本は急激な治安の悪化、大気汚染、やがては外国までなぜか悪いことが頻繁に起こるようになったんです」

柿生「仲でも絶望に飲まれた人による大規模な暴動は町を壊滅させるほどでした」

渚「なるほど、それでは壁に貼られていた記事は」

柿生「その事件の数々です、全部実際にあったことです」

アナ「東和シティが壊滅したとか書いてあったね」

柿生「え?東和シティ・・・?」

モノクマ「うぷぷぷぷ~」

柿生「…続けます」


柿生は一瞬モノクマを睨むとさらに話を進めた


柿生「でも人類は絶望に屈したりはしてませんでした。希望ヶ峰学園の卒業生が主体となった団体ができました。世界に希望を取り戻そうとしているその団体は後に未来機関と呼ばれるようになります」

月宮「未来機関…どこかで聞いたわね」

柿生「当時私の住んでいた町でも暴動が起こり壊滅し、その中で私はたった一人生き残ったんです」

月宮「一人で…?」

柿生「はい、それくらいの規模なんです」

柿生「私は未来機関の方に救出されました」

柿生「私はそこで『絶望キラー』について知りました」

円山「先ほど、天城さんおっしゃっていた言葉…ですね」

柿生「はい、あなた達のことです」

渚「…なに?」

俺たちが絶望キラー?
確かどこかで報告書をみたな…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

絶望キラーについての報告書

作成者××××

絶望被災地にて、絶望側にいる人間及び兵器に対して攻撃を行う謎の集団が確認されている
情報によれば、その集団の規模は11人に過ぎないが、その集団に殲滅させられたと思われる絶望側の集団も確認されている事から、それ相応の戦闘能力を持っていることが伺える
彼らの行動理念は掴めていないが、その標的は絶望である事から以後彼らを「絶望キラー」と明記することにする

詳しい話は私が帰還してから直接伺うが
この集団に対して接触するべきなのか、それとも関与せずにいるべきかを検討する必要がある

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

たしか、これが
俺たちは…

だが、11人と書かれていた…
人数が合わなくないか?

柿生「そして、あなたたちはみんな高校生活を共に過ごした、私大切な友達だったんです。みんな会ってるんです」


ああ、俺たちは全員会っていた


宍戸「…それ、神谷もか」

柿生「はい」

宍戸「あれだけ必死に俺は関係ある人物だって言ってたもんな…なんですぐに信じてやらなかったんだよ俺ってやつぁ」

円山「やはり…そうだったのですか…」




柿生「私は今、絶望キラーである、あなた達を拘束するために、助けるために、会うために動いてたんです」

アナ「…画家さん、キミは一体?」








柿生「私は未来機関第14支部所属、特務、柿生小雪です」

間が空いてすいません、今日はここまで~

円山「未来機関…ですか?」

宍戸「この前、モノクマも言ってなかったか?それ?」






未来機関…希望を追い求める団体

希望?


柿生「はい、モノクマ…いえ、絶望側が知らないわけではないはずです」

モノクマ「うぷぷぷ…へぇ、そう君未来機関だったの?」

柿生「惚けないでください!11人の絶望キラーを拉致、これは計画的なものだったはずです!このメンバーに私を紛れ込ませた事が偶然なはずがありません!」




絶望キラー、絶望を殲滅する集団





月宮「柿生さん、ここに連れてこられたのは14人だったはずだけど?」

柿生「………確かに」

アナ「簡単に引き下がるんだ…」

宍戸「柿生!結局このコロシアイの目的はなんなんだよ!?黒幕は誰なんだ?」

月宮「確かに柿生さんはどこまで知っているの?」

柿生「正直なところ黒幕が誰だとか、目的は分かりません…」

円山「江ノ島盾子…様でしょうか、先ほどの超高校級の絶望の方が関係しているのでは?」

柿生「それが、江ノ島盾子は既に亡くなっているはずなんです。超高校級の絶望は他にもいたという話は聞きましたが、確証はありません…」

アナ「とりあえず、黒幕は世界を崩壊させたって言う絶望ってやつなんだね?」

柿生「はい、間違いありません」





敵は絶望…

モノクマ「そう、こっちは絶望さ。君たちが……おっと危ない、ここから先ははお楽しみかな」

モノクマ「それで、ご立派な演説はもう終わりかい?」

柿生「演説…というなら一言言わせてもらいます」

柿生「あなたが誰だろうと関係ありません!あなたには屈しません!私はみんなを連れ帰って見せます!」

モノクマ「結構死んじゃったけどねぇ?」

柿生「希望はまだあります!もう誰も私の前で…絶対に…」




今までに…6人死んだ


モノクマ「希望?うっぷっぷ、そんな幼稚なものを信じてるの?」

柿生「かつて江ノ島盾子は希望によって倒されました、それが何より希望の強さを証明しています」

モノクマ「君が見たわけじゃないくせに?」

柿生「見たことないから何だって言うんですか!」

キボウ…?

そんなもので絶望に打ち勝つことはできるのか?

キボウ…今までの犠牲者だってそれを信じていたはずだ

いやチガウ、キボウなんてものにすがっていたから死んだんだ



では、キボウに意味なんてあるのか?

モノクマ「本当に死んだのかな?」

柿生「…え?」



こんな状況にキボウなどあるものか

ゼツボウしかないじゃないか…?

ゼツボウに屈してはナラない



モノクマ「江ノ島盾子って本当に死んだの?」

柿生「何を言ってるんです…?だって苗木君達が…」



キボウナンテナイ…



柿生「…い、いえそんなこと関係ありません、私はそれでも希望を信じてます」

モノクマ「うぷぷ、果たしてみんなそう思ってるかな?」

柿生「っ!みんなだって!」







ナラ ゼツボウ ヲ センメツ スルヒツヨウ ガ アル





<<<カキエ<<<



渚「希望なんてあるものか」




柿生「…え?」


私は背筋がゾッとする感覚を憶えました


渚「あるのは殲滅するべき絶望だけだ」

アナ「探偵くん、目が!」

円山「…」

宍戸「…」


それは目の青く光らせている渚くんでした


モノクマ「ぶひゃひゃひゃひゃ、滑稽だねぇ柿生さぁん!君は絶望キラーの事を理解できてないようだよ」

柿生「絶望キラーを理解…?」


そうです、私は彼らが絶望キラーであること、絶望を…壊したり殺したりしていた事しか知りませんでした
なんでそんなことになったのか…何が目的かとかそういうことは全く…


渚「黙れモノクマ、いや絶望」

モノクマ「おお怖い怖い」

円山「渚様、今、何をお考えになられていますか?」

渚「黒幕を…殺す」

柿生「…えぇ!?」

渚「絶望キラーは11人、未来機関の柿生を1人、関係ないと言われた神谷を1人とカウントしても、1人余る」

月宮「ええ、確かに」

渚「では残り1人はなんだ?」

モノクマ「うぷぷ…」

渚「その奇怪な笑いも聞き飽きた。言うまでもないが、決まっている。黒幕自身だ」

アナ「そんな…それじゃ、アタシたちの中にその黒幕がいるって言ってるようなもんじゃん」

渚「だからそうだと言っている」

柿生「そんなわけが…!!」


渚「未だにこの茶番が続いてることが、そいつが生きてる何よりの証拠だ」

宍戸「じゃ、じゃあ…」

渚「そいつを見つけて、確実に殺害してみせる。それで終わりだ」

違う、こんな方向に向かわせたいわけじゃ…


柿生「や、やめてください渚くん!そんな事をさせたいわけじゃないんです」

宍戸「何が悪いんだよ柿生?」

柿生「何って、宍戸君!」

宍戸「俺たちをこんな目に合わせてきたんだ、ぶっ殺されて当然だろ。死んだ奴らにとってもめでてぇ話だ」

柿生「そんなわけ!」

円山「異論があるのですか?柿生様?」

柿生「円山君も…なんですか?」

円山「右町様や天城様の無念を晴らす絶好の機会ではありませんか?」

柿生「で、でも…復讐みたいな…」


渚「お前は一体何がしたいんだ?」

柿生「それは!み、みんなで力を合わせて脱出を」


あれ?
声が震えていました
なんで?本気でこんなのは違うって思ってるのに

ハッキリと声がでません…


渚「黒幕を殺せば脱出も叶うんじゃないか?他にどんな方法があるんだ?」

柿生「それは…そ、それはっ!」


渚「やめろ柿生、見苦しい」

柿生「…っ!」

渚「お前は綺麗ごとに身を任せ、この場を治めようとしているだけだ」

渚「それでは今と変わらない、また意義のない探索をし、崩壊した外の事や無意味な記憶を取り戻し、また次のコロシアイが起こって人が減る、空しいだけだ」


何も言い返せません、具体的にどうするかなんて考えもしなかった
ただ、いい方向に向かってくれればそれでよかったんです
みんながもっと強く団結できればそれで…


渚「なにより、覚悟を決めたなどと言っておきながら、自信なさげに無理やり希望などを信じてるお前は…」


渚「滑稽だ」

柿生「…っ!」



私は俯いて、黙っているだけでした
完全に打ちのめされたそんな気分です



渚「先に、戻る」

アナ「ちょ、ちょっと探偵くん…!」

円山「私も失礼させていただきます」

宍戸「俺も帰るわ、いつまでもこんなとこに居たくねぇ」

柿生「私は…」


柿生「私は、これ以上誰にも死んでほしくないだけで…!!」



渚「俺は死んでも構わない」

柿生「!」

渚「その代わり命に代えても、このコロシアイの黒幕は殺して見せる」

円山「どうせ、外は崩壊しているのですよね?」

宍戸「おうよ、決死の覚悟で黒幕を潰すってのも男の生き様よ」



月宮「何?みんな様子が…おかしい…?」



柿生「え…あ…」

声すらもう出ませんでした…

アナ「な、なんだよ…男たちは、ねぇ?」

柿生「…」

月宮「柿生さん、あなたを否定したいわけではないけれど」

柿生「…」

月宮「あなたはやっぱり無理をしてるように感じるわ」

柿生「…」

アナ「数学者さん…」

月宮「それに私には、渚くんの言ったことも否定はできない。正気かどうかはともかく、短絡的だとも思うけれど」

アナ「…うん」

月宮「みんな考える必要があるのよ、この先のこと、今までとは違う視点で」





気が付くと誰もいなくなっていました
もう何分ここに立ち尽くしていたのか分かりません

モノクマ「無様だね、柿生さん」

柿生「…」

モノクマ「君が望むなら決戦の場を与えようと思ったんだけど、そんな気力もないって感じ?」

柿生「…」

モノクマ「まぁいいや、適当に部屋に戻ってよね。全員いなくなるまでここの照明消せないから、電力の無駄ったらありゃしない」

モノクマは去っていきました


柿生「…何してるんですか…私」



何が未来機関ですか

私は今まで何のために…


22日目(?)

~柿生の部屋~

私はベッドでずっと蹲っていました
いま何時でしょうか?朝…いや昼?
分かりません…

どうすればいいんですか?せっかく記憶を取り戻したのに
私は結局一人じゃなにもできないままです
シンちゃん、私やっぱりだめですよ…

『死んでも構わない』

そもそも、おかしいじゃないですか死んでも構わないなんて!
宍戸君なんてシンちゃんに命を救われておきながら…



だったら本当に死んじゃえば…



柿生「!」

柿生「ち、違う!私何考えて!!」

柿生「う、うわあああ!!」

柿生「狂いそうです、誰か助けてください!今まで私にとってみんなが希望だったんです!それを滑稽だなんて言われたら!もう何を信じて生きてけばいいんですかぁ!!」



ポトッ…



柿生「え?」



ポケットからなにか落ちました

柿生「ボイスレコーダー?」



(天城「多分、小雪ちゃんが持ってるべきだよねこれ」)



柿生「…あ」



(???『こちらの音声を再生したのは誰だろうな。できればこの音声は公にせず秘密裏に聞くのだ。単刀直入に言う、このコロシアイは一度やり直されている』)

そうです、これには藤原君の伝えたかったことが

私は恐る恐る再生ボタンを押してみます



藤原『 これから、武器庫に出入りした人間を、順を追って記録していく、もしも我が死んだ時は、手がかりにしてくれ、既に持ち……』


あ、あれ?これって2回目の裁判の時に聞いたはずですよね?

えっと…次へボタンを




トラック2

藤原『こちらの音声を再生したのは誰だろうな。できればこの音声は公にせず秘密裏に聞くのだ。単刀直入に言う、このコロシアイは一度やり直されている』


分けて録音してたんですか…


藤原『理由が知りたいか?黒幕にとって上手く行かなかったからだ。白川が活躍し我々の団結力は恐るべきものだった。動機提供映像も奴が先に全部見てしまうという…いやとにかく黒幕にとってよほど都合が悪かったのだろうな』


あの白川さんが…


藤原『我々はもう一度記憶を消去され、そして今に至っている。重要なのは、我がそれを断片的ではあるが思い出したということだ。つまり奴らの記憶操作は完璧ではない。故に、キッカケがあればすべて思い出すことができるはずだ』


あの時に判明すれば確かに大きな情報だったかもしれません
そうです。現に私は全部思い出せました
でもそんなの全く意味がないじゃないですか
それに、うまくいったらやり直されるなんてどうしようもないじゃないですか


藤原『(ガコッ)やはりな…倉庫の一番奥の右の角だ、木箱の下のタイルが一枚外れるようになっている』


え?


藤原『すべてを思い出したなら、見るがいい。どうやら、やり直される前に我がここに何かを隠したらしい。内容は見ていないがなにかの手掛かりになるかもしれん』


あの時、藤原君はもしかしてそれを確認するためにあの場に残って…


藤原『うむ、一応…もしだれかが、これを聞いたとき我が生存しているならば。聞かなかったことにし、何も言わずにこのボイスレコーダーを我に渡すように』

藤原『今度こそ、本当に以上だ。検討を祈る』


どうしましょう?


やっぱり、確認しに行ったほうがいいですよね

私はやっとのことで重い腰をあげました

~倉庫~

倉庫に到着するまで、誰にも会うことはありませんでした、ホッとしたような
さびしいような…


倉庫の奥の角…あの木箱ですかね?


柿生「よいしょ」


それほど重くない木箱静かにをどけると、不自然にずれたタイルが見えます

ここに…いえ、やめましょうか

それがどんな物だとして、今更なんになるっていうんですか…

急に虚しさに駆られた私は一度その場を離れようとしました


『フン、ここまで来て怖気づいたのか?見損なったぞ』


柿生「え!?」


振り向くと誰もいません。
当然です、いるはずがないんですから


柿生(………ゴクッ)


私はなんて優柔不断なんでしょう…見ないって決めたのに
結局タイルをどかしてしまっています

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
手に取るべき人に届くことを願う

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

そう書いてある紙切れと
沢山の写真が入っていました


こ、これって…


私たちの高校生活の写真がたくさん入っていました


柿生「え、なんで?どうしてこんなに…?」


藤原君が…見つけていたんでしょうか?

みんな、楽しそうな写真が


眩しいです。もうこれはどう足掻いても過去…

あの頃に戻りたいなんてなんども思ったことです


柿生「この写真」


そこには、藤原君が珍しく顔を真っ赤にして大慌てしてる写真がありました、奥のほうに私も写ってます…

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柿生「なんですか?話って…」

藤原「フン、やっと来たか、待ちくたびれたぞ柿生」


柿生「待ちくたびれたって…まだ5分も早いんですけど…」

藤原「なに?」


その日は夕方
卒業が迫り、一緒に学校で過ごす日はもう数えられるほど少なくなっていました


藤原「う、うるさい!普段は遅れてくるのに、こういう日に限って早く来るなど、非合理的だ」

柿生「そんな、むちゃくちゃな」


柿生「それで、どうしたんです?」

藤原「う、うむ、そうだな。卒業も迫っているのだ。貴様に言うべきことを言っておくべきだと思ってな」

柿生「言うべきこと………ですか?」

藤原「ああ、前々から言うべきかどうか迷っていたのだ、あえて言わないでいたが、愚かなことについに気づきはしなかったようだからな」

柿生「…えっと?」


なんのことかさっぱり分かりませんでした


藤原「コホン…お前、今の自分の事をどう思う?」

柿生「今の自分ですか?…えっと、どういう意味で?」


さっきから聞き返してばかりですが、分からないものは分かりませんでした


藤原「そうだな、希望ヶ峰に入る前と比較してみるがいい」

柿生「希望ヶ峰に入る前…」



超高校級の画家として、スカウトされた時は
それはもう衝撃でした
それも、シンちゃんとナギくんが先にスカウトされてたので
離れ離れになってしまうと絶望してた最中です
まさに一筋の光でした



私が好きでやっていた事が認められた?

正直何かの間違いだと思いました
でもそれでも構わなかったんです
あの二人についていけるなら…


柿生「私は…ただ二人についてきただけだったんです」

藤原「だろうな、我にもそう見えた」

藤原「今はどうだ?なぜ今までここに通い続けてきた?」

柿生「今も根底にあるものは変わりませんよ、あの二人はそれほど私にとって大きな存在です。でも、確かに他にも理由ができました。友達が増えて、会いたい人が増えました。藤原君もです」

藤原「……う、うむ//、いや期待した答えではないが、まあ褒め言葉として受け取っておいてやる」

柿生「期待した答えとは違うんですか?」


私の素直な考えだったんですが…


藤原「我はもっと根本的な話をしているんだ」

柿生「根本的な?」

藤原「柿生よ、お前の特技はなんだ?」

柿生「?特技って、私の才能の通り、絵を描くことですけど…?」

藤原「ほう…スカウトされた時は何かの間違いだと思っていたのにか?」

柿生「…え?」

藤原「わからないか?お前はいま何の疑いもなく言ったのだ、絵を描くことが特技であると、才能であると」

柿生「え、えぇ…そうですね…え?」

藤原「その状態の事をなんと言うと思う?」

柿生「…わ、分かりません」

藤原「呆れたものだ、『自信がある』ということだろう?」

柿生「自信…」


それは私が今の今まで、嫌いな言葉でした


藤原「お前はこの高校生活を通して変われている。それも比較良い方向にだ。それをあろうことか当の本人が自覚できていないう、なんとおかしな話だ。非合理的だ」


その言葉の一つ一つは力強く、説得力にあふれていました


柿生「私、いいんですか?自信を持っても…」

藤原「それを人に聞くのか、ややこしい奴だな」

柿生「そんな事言わずに、教えてくださいよ」

藤原「自信だと?フハハ、たわけめ、貴様に自信などという言葉はまだ十年は早いわ!」

柿生「な!」

柿生「そんな事ありませんもん!私だって……あ」

藤原「…そこで言い返せるならもう自明の理だろう」

柿生「そうですね…」


なんか…これでいいんでしょうか?というか


藤原「解決したはずなのになぜかしまらないな…」

柿生「はい…」

藤原「致し方ない、特別にもう一つ助け舟をだしてやる」

柿生「お願いします」

藤原「絵の他になにか特技はあるか?」

柿生「いえ、特には」

藤原「即答するな、少しは考えろ。いや面倒だ構わん」

柿生「ごめんなさい」


藤原「お前は人をよく見ている」

柿生「見る…ですか?」

藤原「うむ」

柿生「それって…特技なんですか?」

藤原「ああ、紛れもなくお前が誇るべき才能だ」

柿生「えぇ…?」

藤原「まぁ聞くがよい」

藤原「お前の絵は、人の魅力を最大限までに引き出している」

柿生「は、はい!いつもそうできるよう頑張っています」

藤原「それはすなわち、人の良い部分を的確に見つけ出しているということだ」

柿生「人のいい部分を…見つけ出す」

藤原「誰にでもできることではない、事実、お前の絵を見るまで我自身が気づいていなかった長所も見つかったこともある」

柿生「え、どんなところですか!?」

藤原「ひ、秘密だ」

柿生「なんですか…それ」


藤原「人の長所を見抜くお前のようなやつがリーダーをやれば、良い集まりになる」

柿生「そんな大げさですよ、私にリーダーなんて」

藤原「別に大げさではない」


藤原「フン、いい顔をするようになったな柿生」

柿生「え」

藤原「いいか、今からいうことをよく聞くのだ」

柿生「は、はい!」

藤原「お前は自分の短所を短所と認めることができている」

藤原「短所を自覚できる人間は、長所を自負する資格がある」

藤原「いや義務と言ってもよい」

藤原「いい加減自信を持て、胸を張れ」

藤原「お前は上手くやっていける、自信の塊の我が保証する」

柿生「ふふ、自信の塊って、どうなんですか…?」

藤原「仕方がなかろう、その通りなのだからな」

柿生「でも、ありがとうございます、藤原君」

藤原「ふん、ここまで言わせたのだ、もう否定することは許さんぞ」

柿生「はい、頑張ります!」


藤原「しかし、愚かなのは渚と神谷だ。本来この役回りは奴らのはずだ」


神谷「誰が、愚かだって?」

藤原「」


パシャ


右町「写真…撮った」

白川「当然、ビデオにも納めているわ!!カットなし永久保存版ね」


藤原「お、おのれ、貴様ら…


-----------------------------------------------


なんで、こんな大事な事忘れてたんでしょうか…


写真のみんなは笑っています

諦める?この笑顔を?そんなことできるわけないじゃないですか

絵が描きたいです、今生きてる友達の絵を…

希望なんて未来機関なんてそもそも関係なかったんです


私がするべきことはもっと違うこと

私にしかできないことを、私が諦めるわけにはいきません


柿生「藤原くん、私、もう少し頑張ってみます」


私は写真をすべて持って立ち上がりました


今日はここまで~

まず何から、やっていくべきなんでしょうか…?

結局具体的にはなにも考えていないんですよね…


(モノクマ「君が望むなら決戦の場を与えようと思ったんだけど、そんな気力もないって感じ?」)

決戦の場…あれはどういう意味だったんでしょうか?


他にできることは…今なにを持ってましたっけ?

そう思いながら、ポケットの中を確認すると…

【解除薬】

そうです!まず愛野さんを起こさなくちゃいけません!



何をしましょうか?
↓2


1天城さんからもらった【解除薬】で愛野さんを起こしに行く

2モノクマと「決戦の場」について話す

3誰かと話す(人物名も)

~保健室~

愛野さん…目覚めてくれるでしょうか?

待ってください、愛野さんが目覚めたら…シンちゃんのことなんて言えば…ハッ!

私は自分のほっぺをパンパンと軽く叩きます


…いえ、ウジウジするのはやめましょう!そんな事を考えてたら愛野さんはいつまでも眠ったままになってしまいます


ガララ…



アナ「え?」

柿生「あ…アナさん…」





アナ「そっか…写真、なんかいいねそういうの」

柿生「はい、私はそれを取り戻したくてまずは愛野さんを起こそうとここに」

【解除薬】

アナ「解除薬!そうだ、この薬があれば」

柿生「はい」


愛野「…」


愛野さんはちょっとやそっとでは起きる気配がまるでありません

その顔も気持ちよさそうに眠っているというよりは…


アナ「こう言っちゃあれだけどさ、まるで死んでいるみたいだよね」

柿生「早く起こしてあげましょう!」

アナ「うん!あ、待って!医者くんのことは…」

柿生「分かってます、アナさん。私は全部話します」

アナ「…分かったよ」

柿生「それでは…」

アナ「…」

柿生「…」

アナ「…?画家さん?」

柿生「あの…眠っている方に、これどうやって、飲ませるんです?」

アナ「…さぁ?」

がさがさ…

アナ「医者くんが亡くなった影響がこんな所で出てくるなんて!」

私たちは保健室にあった医学書とかを必死に漁りました
右町さんがいれば必要な情報なんてすぐに出てきたかもしれません

柿生「机の中にもなにか手掛かりはないでしょうか?シンちゃんもあの薬は使っていた筈ですし…」

柿生「え?これは…」


また…写真、それも卒業の時の集合写真…

柿生「シンちゃんも見つけてたんですね…」


アナ「あ、これじゃない?画家さん!」

柿生「は、はい!」





柿生「だ、大丈夫でしょうか?これで」

アナ「うん、あとは流し込むだけ…」


愛野(ゴクッ…)


アナ「ふぅ…」

柿生「これでしばらくすれば…」

数分経ちました…


柿生「愛野さん、気が付きませんね…」

アナ「う、うん…」


なぜ目覚めないんでしょうか?
【解除薬】はどんな薬品の効果も打ち消すという、規格外の万能薬…だったはずです
じゃあなんで…
これが意味することは…

柿生「ななな、何か間違えたんでしょうか!!?」


アナ「お、落ち着いてよ画家さん!」

柿生「で、でも…」


薬の使いかたを間違えるなんて、考えただけでも恐ろしいです


アナ「・・・パティシエちゃん自体が、目覚めたくないのかもね」

柿生「え?」

アナ「どこかで、悟ってるんじゃないかな…医者くんが亡くなってるって」

柿生「…」


アナ「あ、実際そうなのかは分からないけどね!」

柿生「でも、だとしてもこのままというわけには…」

アナ「ううん」

柿生「…」


ここで否定されるとは思っていませんでした
アナさんの目はどこまでも真っすぐです

アナ「だからこそ、やっぱり今はそっとしておくべきなのかも…」

柿生「そうなんでしょうか…?」

アナ「画家さんはさっき、全部話すって言ってたけどさ」

アナ「それって、画家さんは覚悟できていても、やっぱりパティ…愛野ちゃんにはきついんじゃないかな」

柿生「でも隠しているわけにもいきませんよ、こんな大事なことを…」

アナ「あ、うん、そりゃもちろん話すべきだとは思うよ!でも、それは今じゃないって思う」

柿生「いまじゃない?」

アナ「うん、愛野ちゃんがそれを聞いて…どんな行動に出ると思う?」

柿生「…アナさん、それどういう意味で言ってるんですか?」

アナ「もちろんコロシアイだよ、怒らないでこれは真面目に考えて言ってるんだから」

アナ「ここはこんな辛い事実を受け入れるには環境が悪すぎるよ。だったらもっと落ち着ける場所じゃないと…だって、あのシロクロに茶々入れられたと思うと…」


そうでした…私たちや愛野さんが良くても、ここには奴がいます
私は目先の事だけで、やっぱり何も考えていませんでした


柿生「確かに、そうかもしれません」

アナ「薬飲ませた後にいうことじゃないかもしれないけどね、このまま寝ててくれるなら好都合だよ」

柿生「でも本当にいいんでしょうか?先送りしてるだけみたいです」

アナ「うん、先送りしてるんだよ」

柿生「…」


アナ「柿生さん…脱出するんでしょ?」

柿生「え?」


意表を突かれたので変な声が出てしまいました


柿生「あ、はい!もちろんです、みんな一緒に」

アナ「なら、後は外に出てからにしよ?」


柿生「…アナさんは、脱出を考えてくれているんですか?」

アナ「アタシはもう、ここから出てやりたいことが決まってるからね。ここに居たってしょうがない」

柿生「そうですか、よかったです」

アナ「それじゃ、パティシエちゃんはアタシが見ておくから、結局起きるかもしれないし」

柿生「あ、アナさん、その…」

アナ「うん?」


アナさんに聞いていいのかどうかは分かりませんが聞いてみることにしました


柿生「渚くんは、どんな様子ですか…?」

アナ「思ったよりも普通に話せるよ」

柿生「え?そうなんですか?」

アナ「でも明らかに前とは…別人じゃないけど考え方が変わっちゃったよ」

柿生「…」

アナ「なんか訳のわからないこと呟いてるし…」


アナ「ねぇ…探偵くん、どうなっちゃうのかな?」


柿生「…

↓2

1正直に、分からないと返す
2根拠もなく、大丈夫と断言する
3自由安価(選択されたら、さらに安価)

柿生「大丈夫です」

アナ「何でそう言いきれるの?」

柿生「特に理由はありませんよ、なんとなくです」

アナ「なんとなくって…そんなんじゃ…」

柿生「だって、渚くんにも言われましたけど。希望がある!だとか、いろいろ強がりを言ってた私ってちょっと変じゃないですか」

柿生「きっと正直でいるほうが私らしい、強がりや見栄っ張りはもうやめようと思ったんです」

アナ「そっか」

柿生「逆に考えてみてくださいよ」

アナ「え?」

柿生「私いま、見栄でもなく強がりでもなく、心からきっと大丈夫だって言ったんですよ?」

アナ「…そうなるのかな?はは、ややこしいや」

柿生「私もうちょっと頑張ってみます、また挫折するかもしれませんけど、きっと何度でも立ち直りますから」

アナ「頼もしいんだか、頼もしくないんだか」

柿生「ふふ、微妙な感じでごめんなさい」

言い方はあれかも知れませんけど、ひとまず愛野さんは後回しです!

次はどうしましょうか?↓1

1モノクマと「決戦の場」について話す

2誰かと話す(人物名も、アナを除く)

柿生「あ!」

アナさんは普通に話せるって言ってましたけど


柿生「渚くん!」

渚「…柿生」

柿生「えっと、会話はできますか?」

渚「何か…勘違いしているようだが、俺はお前の敵になるつもりはない」

柿生「…その手に持っているのは?」

渚「天城が作った火薬だ、何かに使えるかと思って回収しておいた」


それはドクロマークの袋でした
もっと…ほかの入れ物はなかったんでしょうか?天城さん…


柿生「これから何を?」

渚「新たに開放された部屋を見てくる、今となっては有益なものが見つかるかは疑問だがな」

柿生「どこか開放されてるんですか?」

渚「ああ、もう行けない所はないようだ」

柿生「そう…ですか…」


そうですよね、コロシアイが起こったんだから今まで通り場所が開放されてもおかしくないです


渚「…柿生、銃を返せ」

柿生「かっ!返せるわけないでしょう!?」

渚「そうか、だったらこれはお前が持て」


そう言うとナギくんは何かを軽く投げてきました


柿生「こ、これ…」


それは銃弾でした


渚「使えない状態の武器に意味はない」

柿生「つ、使いませんから!」

渚「好きにしろ、俺は奴らに対抗する手段を探す」


やっぱりなんだか毒々しい雰囲気です
少し深く呼吸をしてみます


柿生「…ナギくん、今日はなんだか不機嫌な感じですね、何かあったんですか?」


私は、いつもの私のつもりでそう言いました


渚「…?なんのつもりだ?」

柿生「いつも通りですよ、いつもこんな風に話してました。私すぐに分かるんですよ?ナギくんの機嫌が悪い時」

柿生「周りのみんなはいつもと変わらないって言ってましたけど」


ナギくんは感情が表に出にくい人なので、シンちゃんすら気づかなかったりします


渚「もう前のようにはいかない、この世界は常識から変わってしまった。俺もな」

柿生「でもあなたは私の親友です、それは変わりません」

柿生「あなたの事を見ててくれ、もう一人に頼まれたんです。私はあなたを助けてみせます」

渚「それは、キボウとやらでか?」

柿生「いえ、そんなの関係ありません、私がやりたいようにやってみるだけです」


柿生「今度こそ絶対に、絶対のぜーったいに!誰も死んだりさせません」

渚「…俺は知っている。お前みたいな奴がどれだけ強くそう思っていても…願っていても」


渚「それでも、人間は簡単に死んでいく」



ナギくんはそう言いながら去っていきました

ナギくんの話では、新しい場所が開放されてるらしいです

次はどうしましょうか?↓1

1モノクマと「決戦の場」について話す

2誰かと話す(人物名も、アナ、渚を除く)

3開放された場所を調べる

開放された場所…もう行けないところはないって言ってましたけど、じゃあ校舎の5階と…

あ!そう言えば寄宿舎の2階ってどうなってるんでしょうか?行ってみましょう

~寄宿舎2F~

柿生「………ゲホ、ゴホ、何なんですか、ここ?」

寄宿舎の2Fは想像を絶するほどのボロボロさ、全体が校舎の爆発跡地みたいです。
一言で言えば廃墟、何年放置したらこうなるんでしょうか?

この壁ちょっとやそっとで簡単に壊れそう…ここから脱出できるんじゃ?
そんなことを考えてしまいます

少し歩くと、学園長室がありました。
あれ?学園長さんもここに住んでたんでしょうか?
あ、でも十神くんの話では、学園長さんがここのシェルター化を考えた張本人、でしたよね
だったら一緒にいて当たり前ですね…

とにかく調べてみましょう

ガチャ…

~学園長の個室~

ここが、学園長さんの個室…
確か名前は霧切仁さん

奥には開かれた隠し扉
手前の机には今にも壊れそうなパソコンが一台置いてあります

-----------------------------------------------
【絶望】
 絶望だけを行動理念にし、希望を駆逐し絶望を拡げる為に活動するテロ集団

画面に写っているのは絶望について書かれた文書ファイルです
未来機関にあったデータにも負けず劣らない…こんなに下調べを…

パソコンを見ていると
誰かが背後から近づいてくる気配に気が付きます

柿生「そこにいるのは誰ですか?」

↓2(渚、アナ以外)

すいません↓1で

月宮「あら、気づいていたの?ごめんなさい」

柿生「つ、月宮さん」


月宮さんでした、こっそり近づいてきていたんでしょうか?


月宮「先にここに来ていたものだから、絶望については分かったけど、【絶望キラー】って何なの?」

柿生「【絶望】が絶望だけを行動理念にし、希望を駆逐し絶望を拡げる為に活動するテロ集団なら」

柿生「【絶望キラー】は絶望に関する物を殲滅することだけを行動理念にしてる集団です」

月宮「それが、絶望に捕まる前の私たち…」

柿生「初めは未来機関にも、強大絶望に抵抗するレジスタンス的なものとして扱われていました」

柿生「でもそれ以上に【絶望キラー】も異常だったんです。人間をやめているというか…」

月宮「今の渚くん達みたいに?」

柿生「分かりません、私は【絶望キラー】となったあなた達を間近では見ていないので…あなた達がなんでそうなったのかも分かっていないんです」


私は、絶望キラーは狂っていると、そう言う話を聞いただけです。


月宮「原因は、やはり渚くんだと思うけれど」

柿生「え?」

月宮「思い出して、円山くんと宍戸くん、どちらも絶望しそうになった瞬間に渚くんのあの超能力のようなものを受けて、一旦正気を取り戻しているように見えるわ」

柿生「あれが…正気なんでしょうか?」

月宮「ええ今は正気じゃないでしょうね、円山くんはそれから不安定になって事件を起こしてしまうし、まあもっともこの極限状態にいたらおかしくなるのも無理はないけれど」

月宮「その挙句、彼らはそろって黒幕に無謀な攻撃を計画している。渚くんも自覚はしていなかったけれどあの能力こそが原因、という風に考えられる」

柿生「でも私、渚くんがあんなことできるなんて知りませんでしたよ」


少なくとも昔のナギくんは、そんな事をできる人じゃ…


月宮「…あいにく、私は記憶がもどってないからなんとも言えないけれど、もしかしたら希望ヶ峰学園にすべての原因があるんじゃないかしら」

柿生「希望ヶ峰学園に?」


月宮「柿生さん、カムクライズルプロジェクトって知ってる?」

柿生「カム…なんです?」

月宮「カムクライズルプロジェクト…簡潔に言うと、この学園が密かに行っていたと思われる人体実験よ。その資料が残っていたわ」

柿生「人体実験!?希望ヶ峰がですか?」

月宮「ええ、絶望的事件が起こったのもここ、そして現にコロシアイが起こっているのもここ」

月宮「希望ヶ峰学園は何かがおかしいわ」

柿生「この学園が…そんな事に…」


私たちの学校が…そんなことに…


月宮「まぁ、それは今の私たちには直ちに関係するこどではないけれど…」

月宮「柿生さん、どうするつもり?あれだけ長く引きこもってたのに、部屋から出てきたってことはいろいろ考えたんでしょう?」

柿生「え、あの私どれくらい…?」

月宮「二日ほど、心配でなんどか部屋を訪ねたけれど返事がないんだもの」


あ、あれぇ?てっきり1日も経ってないかと…

24日目(昼)

月宮「自殺でもしてしまったのかと肝を冷やしたわ」

柿生「だったら、無理やりにでも確認してくださいよ……」

月宮「あら、本当にあなたが自殺していたらまた学級裁判が開かれてしまうじゃない?あんなのもうこりごりだわ」

月宮「それにモノクマの話ではあなたが生きてることは分かってたから」

柿生「やっぱりどこでも見てるんですね」

月宮「モノクマもいよいよ待ちくたびれたのか、今日でここを含めた立ち入り禁止区域すべてを開放してしまうし、黒幕は明らかにあなたを意識しているようよ、柿生さん」

柿生「モノクマが言ってたんです。望むなら決戦の場を用意するって」

月宮「決戦の場…どんな事をするの?」

柿生「いえ、実はまだ聞いていないんです」

月宮「内容によっては慎重に考えるべきだけど…今はどうするつもり?」

柿生「それがここからの脱出に繋がるなら答えは一つしかありません。決戦でもなんでも受けましょう」

月宮「そう、じゃあ私の命はあなたに預けるわ」


すごくさらっと言われました…


柿生「そ、そんなあっさり?」

月宮「私何しても空回りしてしまうもの。あなたを信じるわ、柿生さん。なんでも言って?できない事はやらないけれど」

柿生「月宮さん、私がんばりますね!」


月宮「それはそうと、あなた」

柿生「はい?」

月宮「お腹空かないの?」


グゥウウ…


柿生「な、何か食べ物…//」

月宮「ちょっと柿生さん、当然水分補給はしてきた…のよね?」


先が思いやられます…

~食堂~

バクバクバクバク…
食べ始めると止まりませんでした
空腹を通り越せば、かえってお腹は空かなくなるもの。
なんてことを聞いたことがありますが、私はそうではないらしいです

柿生「月宮さん、すいません食事を用意してもらっちゃって…」

月宮「簡単な物だから、私も済ませようかと思っていたところだからちょうど良かったわ」

柿生「とっても美味しいです!!」

月宮「まぁ、空腹の状態で食べれば何でも美味しく感じるものよ」

月宮「この後どうするつもり?」

↓1

1モノクマと「決戦の場」について話す

2誰かと話す(人物名も、アナ、渚、月宮を除く)

3さらに開放された場所を調べる

柿生「モノクマと話してきます」

月宮「そう、私も付いてい…」

柿生「いえ、今回は私一人で行きます」

月宮「…大丈夫?」

柿生「けじめって言えばいいんでしょうか?とにかく、これをキッカケに私自身とも決着をつけたいんです」

月宮「そう」

柿生「ごめんなさい、気を使ってもらって。また頼ることがあると思います、その時はお願いします」

月宮「ええ」


こうして私は自室に戻りました

~柿生の部屋~

ここなら誰の介入もないはず

柿生「モノクマ、出てきてください」

私は照明もつけずにモノクマを呼び出しました







柿生「あれ?」


モノクマが現れません…
今まではどんな小さな声で呼んでも、絶対に来たのに

柿生「モノクマー?どこにいるんですー!?」

気合を入れていただけに少し焦って大きな声を出しました


すると…ドアの方からカサッという音がしました

そこを見てみると…紙が一枚落ちています


柿生「メモ…?」


暗かったので、なんて書いてあるか読めませんでした…
結局証明を点けます


柿生「…これ!」

---------------------------------



未来機関の柿生小雪、理事長室に来い
決戦の話はそれからだ



---------------------------------

訂正:正しくは学園長室です


柿生「なんで、学園長室…?」

わざわざ、場所を指定する理由って、何でしょう?

柿生「呼び出したのは私なのに」

とにかく…行かないといけません


カチャ…


椅子から勢いよく立つと、ポケットからそんな無機質な音がします

ポケットに入れっぱなしのデザートイーグルと弾丸の音

そんな時、机の上には長い間置きっぱなしのスケッチブックと画材がたまたま目に入りました


↓1

1銃を持っていく

2スケッチブックを持っていく

柿生「きっと…今の私にこれはいりませんよね」


私は銃と弾丸を置き、ハンガーにかけてあったスモックを羽織ると、大きなポケットにスケッチブックを入れました
なんだか落ち着きます
そういえばしばらく絵も描いてませんよね

でも、先に目の前の事をを片付けないと


行きましょう


~学園長室~


つきました、でもここでも人の影もモノクマの影もありません

柿生「来ましたよ!」

直接の返事はありませんでした


その代わりに…


ピピピ…

柿生「電話?」

少し迷ってから、電話に出ます

柿生「はい」

???「やぁ、柿生さん」

それは電子的な声で誰だかは分かりませんでした

柿生「誰です?」

???「この状況で誰と聞くとはねぇ…






???「ご存じ、超高校級の絶望にしてこのゲームを君たちに仕向けた黒幕さ」




柿生「あなたが…黒幕、超高校級の絶望…」

超高校級の絶望と言えば…

柿生「江ノ島盾子ですか?」

???「その辺はまぁ、話が難しくなってくるしこれからの話にも関わってくる。黙秘させてもらうよ」

柿生「…」

???「そういえば、銃は持ってこなかったようだね?弾丸も手に入ったみたいなのに」

柿生「今の私には必要ありませんから」

???「…なるほどね、元に戻ったわけだ、弱虫の絵描きさんに」

柿生「!戻ってなんかいません、私は変わります」


この人、やっぱり私を知っている…


柿生「そんな話に興味はありません、なんで私をここに呼びだしたんですか?なんでモノクマを使わなかったんです?」

???「いやなに、重要な話をするのにモノクマ口調でやるのは流石にどうかと思ったんでね、AIモノクマはもう使ってないしね」

柿生「決戦の場ってなんですか?」


???「そうだね、パソコンが置いてあるだろう?それを見てくれ」


???「話を始めよう」

今回はここまで~

乙現状黒幕は誰か推理できるん

>>155
現時点ではノーコメントとします

私はパソコンの画面を見ます。
すると何かの映像が流れ始めました。

それは、苗木君達のコロシアイ、そして何か知らない方たちの…無人島?でのコロシアイ…

柿生「コロシアイ…」

???「そう、君たちも今直面しているコロシアイは他にも起こってるんだよ、まあ校舎の映像は結構タイムリーなんだけどね」

柿生「何が言いたいんです?」

???「そうだね、後者の方々は超高校級の絶望の残党達だよ」

柿生「絶望の残党!?なんで、絶望の人達がコロシアイを…」

???「そこに江ノ島盾子は残っていた」

柿生「・・・」


江ノ島盾子…超高校級の絶望
…やっぱり何度思い返してみても十神君は「江ノ島盾子は死んだ」と言っていた筈です


柿生「何です、超高校級の絶望は不死身だとでも言いたいんですか?」

???「ちょっと違うかな、本体は死んだよ。ただ代わりを残していたんだ」

柿生「変わり…」

???「前者のコロシアイ、君の知ってる人達のコロシアイには超高校級のプログラマーが参加していた」

柿生「超高校級のプログラマーって、舞丈くん…じゃなくて不二咲千尋さん?」

???「ご名答、ここら辺は聞いてるみたいだね。彼はコロシアイ生活の中で江ノ島盾子もアッと驚くようなものを作ってしまった」

柿生「…アルターエゴ」

???「その通り」

14支部でも何度か見かけたことがあります。まるで画面の中に本物の人間がいるような、人工知能…映像をみると確かに似ている姿の女の子がいます
女の子?あれ確か、聞いた話では不二咲さんは男の子だったような…

???「江ノ島盾子は最終決戦の前に保険をかけたんだ、そのアルターエゴを利用してね」

柿生「アルターエゴを利用…」

アルターエゴを利用…不二咲さんのアルターエゴに何かを仕掛けたんでしょうか?
(???「ちょっと違うかな、本体は死んだよ。ただ代わりを残していたんだ」)
…いや、そんな…まさか、もしかして…

柿生「江ノ島盾子のアルターエゴを…作った…?」

???「へー、あっさり気が付くものだね、柿生さんを侮っていたよ、大正解だ」

柿生「…それが本当なら、このゲームの黒幕は」

???「そうだね、元を辿ればだけど江ノ島盾子だと言えるかな」

柿生「そんな…」

???「ただ実はこの情報は重要なように見えてさほど、そうでもないんだ。当然だけど重要ならこちらからバラしたりしないからね」


柿生「……」

冷や汗が噴き出てきます…敵は何よりも恐ろしいものだったと言えるでしょう
その上これが重要じゃない?だったら、この先何が…


???「さて、先ほどAIモノクマと言ったね、今まで君たちの相手をしていたモノクマの中に入っていたのはこの江ノ島アルターエゴだ」

柿生「さっき使ってないって、言いませんでしたか?」

???「うん、使う必要がなくなったからね」

柿生「・・・」


分かりません、話に謎が多すぎるのもそうですし、何が目的でこの話をしてくるのかも分かりません。


???「君たちをさらってきたのはこの江ノ島アルターエゴによって動かされたモノクマ達だ」

???「他にも東和シティに特別性を何体か送ったり、ここにやってきた未来機関の救援部隊と交戦してたりする」

柿生「あ、救援部隊!彼らはどうなってるんです!?」


パソコンのモニターがまた切り替わります


???「まあ中々粘るねぇ、でも安心してよ彼らは絶対に助けに来ないから」

柿生「なぜ!」

???「簡単だよ、これ以上近づいたら希望ヶ峰学園を爆破するって勧告したからさ」

柿生「私たちがここにいるから、ということですか?」

???「柿生さん、君の存在はさして重要じゃない、元希望ヶ峰生で、特務という例外的な職務についているとは言え、君は壊滅した町での不自然な唯一の生き残り」

???「上にとっては疑わしき人物だろうしね」

???「未来機関にとって重要なのは絶望キラー達の事だよ。絶望とも違う謎の行動理念を持った彼らをみすみす全滅させるわけにはいかない」

柿生「だから仕掛けてこないと」

???「そうさ」




???「君たちのコロシアイは勝手ながら一度やり直させてもらった事も忘れないで欲しい」

???「想定外の出来事が起こったからね」

柿生「コロシアイが発生しなかったんですよね?」

???「いや、コロシアイの有無はどうでもいいんだ」

柿生「ち、違うんですか…?」

???「これもこれ以上についてはもノーコメントだ。今回についてもモノクマの中のアルターエゴがバグって心変わりしてしまうという想定外が起こってるけど、前回のコロシアイは根幹を揺るがす想定外だったとは言っておこう」


???「想定外ついでに言っておこう。君たちと絶望キラー達をターゲットにして拉致したのにはちゃんとした理由があり目的もある。絶望キラーでない人物は3人」


???「そのうちの1人は柿生さん、未来機関に所属していて尚且つ、絶望キラー達と密接な関係にあったからだ」

???「1人は名前は明かせない、がこの人物も同じく絶望キラーと密接な関係にあった。そしてこの人物は君たちが拉致された場所とは違う場所であらかじめ拉致していた」

???「そして1人は神谷くん。だが神谷くんに至っては狙ってすらいなかった。ターゲットではなくたまたま紛れ込んだだけの人物なんだよ。彼もまた絶望キラー達と密接な関係にあった。でも、これは偶然だ。いやぁ偶然とは恐ろしいものだね」


???「もちろん、片っ端から、絶望を殲滅していく絶望キラーという存在はこちらにとって厄介極まりなかったということも、絶望キラーをターゲットにした理由の一つだ」


???「どうしたんだい?さっきから黙りこくってるようだけど?」

柿生「頭がパンクしそうなんです!何が目的なんですか!!決戦の場の話はどこに行ったんです!?」

???「なるほど、いや悪いね。おしゃべりが過ぎたようだ。江ノ島盾子も相当うるさかったらしいが影響は少なからずあるということかな?」

柿生「なんの話です?」

???「いや、気にする必要はないよ。さてお待ちかね決戦についてだ」

???「その前にさっき説明したことをまとめておくよ、モニターをみて?」


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・君たちの他にもコロシアイが起こった。無人島でのコロシアイは比較的最近の出来事だ

・江ノ島盾子はアルターエゴとしてまだ残っている

・江ノ島アルターエゴは、死した超高校級の絶望の保険だ

・本コロシアイ生活は想定外な要素により一度やり直されている。コロシアイの有無は「想定外」には該当しない

・「神谷新」を除く、このメンバーの選出にはれっきとした理由がある。

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???「こんな感じでいいかな?」

柿生「…ええ」


???「いくつか話をしたが、柿生さんは全貌を理解はしていないと思う、この謎が謎を呼ぶような状態だろう?」

柿生「ええ、結局あなた達の目的が何もわかりません」

???「決戦の場…そこはいつもの裁判場だ」

柿生「裁判場…?学級裁判ですか?」

???「そう、君たちは今までと同じように議論をしていき、こちらが出した謎の答えを導き出し、そして君たちの状況を理解してほしい」

???「その上で最後の選択をしてもらう。これこそが決戦だよ」

???「その結果に応じて、簡単な条件付きではあるけれど、君たちの脱出を認めよう」

???「ああ、因みに。君がこの申し出に了承した瞬間にさっきのまとめはすべての電子手帳にも送信されるようになっている」

???「この決戦での公平性は約束しよう。どうするんだい?」

柿生「…」


このまま、受けてもいいものなんでしょうか?
少なくとも学級裁判形式なら、戦闘による勝負じゃないんでしょうけど…


???「そうだねぇ、迷ったほうが良い。忠告をしておくと、今現在はこちらの思い描いていたベストシチュエーションだ。絶望キラーとして覚醒しつつある人物3人と、そうでない3人」

???「この極めて不安定な状況こそ、こちらの目的を達成するに絶好のチャンスだからね」

柿生「そんなこと言われて、了承するとでも思ってるんですか?」

???「忠告その2だ。この申し出を断れば、君たちの脱出は絶対に不可能になる」

柿生「…っ!」

???「こちらは別の手段で目的の達成を試みるが、君たちの脱出だけは抹殺してでも止めるからね」


ウソは言ってないんだと思います。実際にこの学園内には私たちを秒殺する手段が無数にある
本気を出されたらきっと…

いいえ、そもそもそっちの心配をする必要はありませんよね


柿生「私は初めからこの勝負を受けにきたんです。絶対に勝って見せます」

???「それはつまり?」

柿生「受けます」

今日はここまで~

???「そうか、それは安心だ。まあせいぜい頑張ってみたまえよ」

柿生「それは…いつです?」

???「明日だ。こちらも事は早急に済ませたいんでね、異論はあるかい?」

多少余裕がなくなってしまいますが、早く済ませたいのはお互い様です

柿生「…いいえ、いいでしょう明日で決着をつけます」

???「すでに知っているとは思うけど、すべての部屋を開放してある。まあ色々調べてみるといいよ。ここにはこちらで入手した未来機関の資料やらが散りばめられてあるからね、それじゃ」


こうして電話が切れました。
明日に決まってしまった以上もはや寝ている暇はありません。
二日も引きこもってしまったことが悔やまれます…

でも、やらないと、もう後には引けません!


さあ、本腰を入れましょう!
希望ヶ峰学園は広いです、開放された場所はまだまだ残っていて、手掛かりだってたくさんあるはずです。
それにまだ話してない人もいます。様子を見に行かないと


次は…↓1

1誰かと話す(愛野、アナ、渚、月宮を除く)

2さらに開放された場所を調べる

~植物庭園~

ここが校舎5階
確か植物庭園があったはずです

な、何です…これ
私が想像した物は残っていませんでした
そこには枯れて朽ち果ててしまった植物が散らばってました

ここは手入れされてなかったんですね…そう言えばここにも倉庫が

ガタッ!

柿生「きゃ!」

つ、鶴橋が落ちてきました
ここも埃っぽい…

柿生「あ!」

倉庫に置いてあるには、不自然な紙の束があります

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ジャバウォック島について

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

島…なんでこんなところにこの資料が…

(「すでに知っているとは思うけど、すべての部屋を開放してある。まあ色々調べてみるといいよ。ここにはこちらで入手した未来機関の資料やらが散りばめられてあるからね」)

そういえばそんなことを、言ってましたね
こうやって最後の学級裁判に使う情報を集めろと…そういうことでしょうか?
だとしたらそれだけでいいんでしょうか?

(「今現在はこちらの思い描いていたベストシチュエーションだ。」)

このまま謎を説いて、学級裁判を上手く進めたとして、それじゃやっぱり絶望側の思い通りに…

私は資料に軽く目を通すとポケットにそれを突っ込んで、倉庫からでました


柿生「なんでしょう?この不自然なすす…ここで爆発でも…」

…そう言えば私は二日間も閉じこもっていた、渚くんたちはその間にどこまで進めてるんでしょうか
最後の学級裁判の話が決まった以上今は穏便に進んでほしいんですが…

次はどうしましょうか↓1

1誰かと話す(愛野、アナ、渚、月宮を除く)

2さらに開放された場所を調べる

~武道場~

桜の花が散っています…かつてここに一回しか来ていないわたしでも分かります
明らかに武道場としての風流が足りない…というか


宍戸「よぉ、柿生じゃねえか」

柿生「宍戸君、ここでなにを…?」

宍戸「ああ、こいつを全部運び出そうとな…何かに使えるかと思ってよ」

それは弓と大量の矢でした。

柿生「何かって…」

宍戸「そりゃあもちろん絶望をぶっ殺すためだ」

柿生「弓と矢なんかで太刀打ちできると思ってるんですか!!?」

宍戸「相手が生身の人間ならこれでも十分だろうよ?それに渚の話じゃ場合によっては使わなくなるってな」

柿生「渚くん…進んでるんですか?そういう話」

宍戸「さあ、お前には教えらんねえな」

柿生「でも、もう決まったんですよ!ちゃんとした決戦の話が」

宍戸「おう、知ってるよ。で、なんだ?」

柿生「なんだって…」

宍戸「それは結局絶望が持ち出した話なんだろ?」

柿生「分かってますよ!そんなこと、それでもなんとか」

宍戸「…いいって」

柿生「え?」

宍戸「あ、いや。まあ心配すんなよ柿生!あ、この宍戸清磨呂様ぁがぁ、この世に蔓延る悪党どもにぃ、一矢、報いて見せるぜぇ!!」

宍戸「この矢でなぁ!!はーっはっはっはっは…」



柿生「一矢報いるだけじゃ…ダメじゃないですか」

やっぱりなにかやってるんですね、ナギくん達

さて、ここにも何か…

柿生「あ!」

飾ってある額縁の裏になにかあります

…届かなくないですか?あれ
何か長いもの
そう言えば矢があるじゃないですか!

持っていかれましたね…





わざわざ、脚立を持ってきてやっとの事で取りました
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー――

絶望ファイル
宍戸清磨呂 男

多数の狂言及び歌舞伎役者仲間と共に、道場が壊滅
何もできずに逃げ、生き延びる

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー――

これ…なんです?
宍戸君のもとに起こった事実なんですか?

これも黒幕が用意した情報なんでしょうか?
だとしたら他にも…

(「君は絶望キラーの事を理解できてないようだよ」)

なぜか、そんな言葉を思い出します…

私…あと何をしらないんですか?

私は、みんなの事をよく分かってるつもりでした
ほら、藤原君にも人のいいところを見つける才能があるって言われるほどですし

少なくともシンちゃんと…ナギくんのことぐらいはなんでも知っていると思っていたんです
でも、今は正直何も分からない

他にも探さなきゃいけません


次はどうしましょうか↓1

1円山と話す

2さらにさらに開放された場所を調べる

~5階教室~

柿生「!」

この教室…いったい何が…!
5階の教室は荒れに荒れ…荒れ果てていました
ここで大量の人が死んだ、それはもう一目瞭然です



円山「柿生様、どうかされましたか?」

柿生「どうかって…円山くんはここで、何を?」

円山「私もなんとかして、渚様の力にはなりたいのですが特に思いつくこともなく…何か武器になるものを探しているといったところでしょうか、そしたらここに辿り着いたもので」


円山君はこんな場所にいても、不気味なほどに落ち着いています


柿生「大丈夫なんですか?円山君」

円山「私はもう慣れたもので」

柿生「な、慣れる…?」

円山「柿生様、何やら絶望と話をつけたそうですが」

柿生「は、はい!ですからもうやめてください!あなた達がこうなるかも知れないんですよ?」

円山「ふふ、それでは、まるで脅迫されているようですね」

柿生「脅迫だなんて…」

円山「一体何が気に入らないのですか?」

柿生「嫌なんですよ、みんなが狂気のままに戦う様子は想像もしたくないんです」

円山「私たちは狂気だなんて思ってません、打倒絶望を掲げる、それは当たり前のことです 」

柿生「…」

円山「絶望は私たちの大切な友人達を奪ったんですよ?まさにこの教室のように、いいのですか?それでやり返すなと言うほうが…」


確かにその通りです
ひょっとしたら私のいうことは綺麗ごとでしかないのかもしれません
でも、やっぱりこんな暴力的なのは…


柿生「それでも、嫌なんです。だってキリがないじゃないですか…あなた達はいつまでそうやって戦い続けるつもりなんですか?」



円山「柿生様、あなたは戦うつもりはないのですね。あれほどお強いのに…」

円山君はそう言いながら私の横を足早に通って行きました

私は円山君が去ったのを確認してから、この教室を調べ始めました

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絶望ファイル
月宮 しぐれ 女

兄が自分の身代わりになり目の前で焼死
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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
絶望ファイル
円山 幸近 男

務めていたホテルからの避難時、身代わりにされ死にかける
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やっぱり…みんな何かがあって…
私以外…みんなってことでしょうか?

ほかの教室もひどい荒れようの中同様の物が見つかりました

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絶望ファイル
アナスタシア・ロスチャイルド 女

父親が絶望に堕ち、莫大な資金を使った大量殺戮
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
絶望ファイル
愛野 心愛 女

務めていたケーキ屋のオーナーが自殺
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そして…

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絶望ファイル
渚 薫 男

恩人の死亡
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~生物室~

最後に残った目ぼしい場所

ここが生物室…少し薄暗く空気が冷たい感じがします

奥の引き出しには7つのランプが点灯しています。

7つ…今まで亡くなった人数と同じです…やっぱり遺体が入ってるんでしょうか?


開けてもいいんでしょうか?
私はその中の一つのつかんでゆっくりと引いてみました


1~7を選んでください↓1
1白川
2相良
3藤原
4右町
5舞丈
6神谷
7天城

ガタ…

やっぱり、結構重い…


柿生「うーん…しょ!」

なんとか引き出せました…まだ中は見てません


柿生「ゴクッ」

意を決して除いてみます


ああ…この紫色の髪の毛は…

柿生「藤原君…」

少しだけ肌に触れてみましたが、今まで触れた誰のどんな肌よりも冷たかったです

柿生「お互い記憶が戻ってから話せたら…もっと仲良くなれたでしょうか?藤原君…」

当然答えてはくれません
あれだけ喋れば止まらない人だったのに…


代わりに藤原くんの胸の一に置かれている不自然な書類が目に入ります

柿生「これって!絶望ファイル!!」






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絶望ファイル
藤原 皆人 男

両親が無残に処刑される
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

柿生「ああ…そんな…」


(柿生「藤原くん!ご家族は絶対生きています!!そんな素晴らしい方なんです、死ぬわけがありません!!」)

(柿生「私は見てないけど、モノクマの映像なんて知ったことですか!関係ありません!」)


あの時の私…無責任だった

柿生「ごめんなさい、藤原くん」

もうこの声は届きません

柿生「ありもしない希望なんて信じちゃだめだったんです、私…今まで…」


希望…そんなものはこうやって潰れていきます

希望を信じるだけじゃだめなんです

絶望に打ち勝つためには希望なんかじゃ…


柿生「絶望キラー…」



分かった気がします

そうだったんですか…皆さんはひょっとしてそんな希望も絶望でもない、行き場のない思いを悲劇の原因となった絶望にぶつけてたんじゃ…?



でもだとしたら悲しすぎます…こんな思考は何も生まないじゃないですか!

私は藤原くんを元に戻そうとしました


カタッ

その時藤原くんのブローチが取れて落ちました

柿生「…これ、もらってもいいですか?」


答えが返ってくるわけでもないのはとっくに分かってます
わかってるのに聞いてしまいます


柿生「私、みんなを助けてみせます、絶望キラーから救って見せます」


私には似合わなすぎるブローチを胸につけ、藤原くんを元の場所に戻しました
他の人も見ていきたいけど…きっとこことはもうお別れするべきなんだと思います

他に書類がないことを確認してから、足早に立ち去りました

今回はここまで~

~保険室~

私はその後、月宮さんアナさんと保健室に集合していました。
月宮さんとお互いに集めた情報を共有したり、明日の事を話したりするためです

月宮「壁に張り出されていた暴動やテロの記事…かれこれこれだけ集まった訳だけど」

柿生「絶望が起こした事件はこれでも多分ごく一部…」

アナ「結局黒幕の規模ってどれくらいなのかは計り知れない…ね」

アナ「ねぇ、江ノ島盾子って一体何者なの?」

柿生「えっと、何回か言いませんでしたっけ?超高校級の絶望です」

アナ「いやそれは分かるんだけどさ…超高校級とはいってもただの高校生でしょ?高校生一人にこんな世界を巻き込む大規模な事件なんてどうして起こせたんだろうなって思ってさ、だからどんな奴なの?」

柿生「私は会ったことがないので分からないんですが、性格が掴めなくてとても飽きっぽい人だったと聞いています」

月宮「飽きっぽい人がここまで手の込んだ事をできるなんて考えにくいけれど…」

柿生「それだけ謎多き人物なんですよ」

アナ「じゃあ家族とかどんな人なんだろ、アタシなんかはお父様とは真逆に育っちゃったわけだけど…まさか生まれたときから超高校級の絶望ってわけじゃないだろうし、少なからず身近にいた人の影響を受けてると思うんだよなぁ…」

そんなことを話しながらみんなで資料を確認していきます
塔和シティの壊滅、キリバタウンの壊滅、カムクライズルプロジェクト、希望ヶ峰学園史上最大最悪の絶望的事件
次第に話声はなくなり、みんな黙々と…音と言えば資料を手に取ったり動かしたりするときの静かな紙の音ぐらいになったころ

アナ「それにしても…今集まってるメンバーって」

月宮「どうかしたの?」

アナ「いや、アタシと画家さんと数学者さん…あとパティシエちゃん」

柿生「女の子だけですね」

アナ「とんだ女子会になったもんだよね…まったく本当に男どもは…」

月宮「そうかしら?まだ彼らはこちらの味方ではあるけれど」

アナ「そうかなぁ?」

月宮「まぁいずれ…」

柿生「?」

月宮「でも、女子会ね…気が付かなかっただけでもともとは同窓会だったとも言えるわね」

柿生「同窓会…なんだかんだで楽しかったこともありましたよね」


私たちはいろんなものを失ってきました
でも…本当に失っただけだったんでしょうか?

さらに時間は経ち、大体資料も見通し終わり

月宮「今できることはこれくらいかしらね、自室に戻って休みましょう」

柿生「え、でも他にも出来る事がことがあるかもしれません!」

月宮「いいえ、ない」

月宮「明日が本番、今は備えて休むべきだわ。無理に色々やろうとしても空回りになるだけよ」

柿生「空回り…」

確かに月宮さんはその空回りをその身で経験した人物です
その言葉にはとても説得力がありました

柿生「わかりました」

月宮「焦ることはないわ柿生さん、あくまで本領を発揮しなきゃいけないのは明日なんだから」

柿生「ええ」

アナ「あ、でもアタシはここに残るよ。ベッドはあるし」


ということでアナさんと愛野さんを残して私と月宮さんは保健室から出ました

柿生「そういえば月宮さん」

私は気になっていたことを聞こうとします

月宮「どうかした?」

柿生「お兄さん…いるんですよね?」

聞いた瞬間に少し懸念します
ひょっとしたら聞かなかった方が良かったのかもしれないと
実はというと月宮さんにもアナさんにも絶望ファイルは見せていなかったんです

月宮「あら?私、話したかしら?」

柿生「あ…いえ、その…」

どこで知ったかなんて聞かれたら一巻の終わりです

月宮「いえ、あなたは記憶を取り戻しているのよね…学生時代に私が話したのね」

月宮「呆れるほど変な兄よ、意味がない事ばかりを研究してて…すぐに思いつくものだと納豆をいくらかき混ぜればペースト化するのかだとか」

柿生「あ、あはは…納豆…」

月宮「計算すればすぐに結論が出るなんて言っても頑なに拒否してきたり…そんな兄」

柿生「ふふ、なんだか面白そうな人ですね」

月宮「…柿生さん」

柿生「はい?」

月宮「いえ、なんでもないわ」

月宮「そうね、そんな兄だけど、あの人はいつどんな時だって私の味方でいてくれた、そんな人よ」

柿生「…はい」


月宮さんのお兄さんは既に亡くなっている
絶望ファイルに書かれていたことを思い返すと、それは多分月宮さんの目の前で起こったこと


月宮「それじゃあね柿生さん、また明日」

柿生「はい、また明日」


挨拶を交わし月宮さんは自室に戻っていきます

また一人になりました

ナギくん達はどうしているんでしょうか?ここまで見かけませんでしたけど
自室に戻っているんでしょうか?

私はこれからどうしましょう?

↓1

1自室に戻って休む
2戻らない

24日(深夜)

月宮さんの言う通りすぐにでも自室に戻って休むべきなのかもしれません
でも、このまま戻る気には、なれませんでした
このまま何もしないでいるというのもそうですが
このまま明日の決戦に臨んでいいのか、黒幕がいうベストシチュエーションを崩せる確信が未だにありません
自室に戻ってねようと思っても、いや多分寝ること自体は簡単なんでしょうけど
夢見が悪くなりそうです

そうだ、こんな時こそ…あの場所に行ってみましょう

~教室(プラネタリウム)~

真っ暗な教室の天井がスイッチ一つで綺麗な星空に早変わりします
特に星の専門的な知識があるわけじゃないんですが、やっぱり惚れ惚れとしてしまいます

私は座席じゃなく、床に座って壁に体を預けます

黒幕にとって今の状況は絶好の機会
そもそも黒幕の目的はなんなんでしょうか?

(「この極めて不安定な状況こそ、こちらの目的を達成するに絶好のチャンス」)

不安定な状況…
そもそも黒幕の目的は何なんでしょうか?
前もって私たちを標的に定めて、実行に移したコロシアイ
これで何が得られるんでしょう?

仮に仕掛けられたとして私が打開する方法…付け入る隙

まだ絶望キラーについても完全に理解したわけじゃないんですよね
彼らと話をして、確かに考え方は変わってるけど、人間をやめてると言われるほどに狂っているとは思えませんでした

でも結局これも明日になったら答えを出すことになる
黒幕は私に状況を理解してほしいと言った
だったらきっと遅かれ早かれ理解することになると思います

私が考えるべきことは…

希望って何だろう?
私は今日闇雲に希望を信じてはいけないものだと実感してしまいました
だったら私…私たちは何を目指せばいいんでしょうか?





わかりません

柿生「はぁ…」

ため息をつくほど、思い詰めてみても
目の前に広がる光景はとても輝いていて
こんな壮大な悩みすらちっぽけに思えてしまいます

柿生「絵でもかきましょうかね」

私は久しぶりにスケッチブックに鉛筆を走らせます
何の絵を描くかも決めず、ただ直観で…

柿生「…え?」

しばらく無心で描いていた私の手が止まりました

そこに描かれていたのは、14人の人影と、星空…?

証明を点けます、そもそも暗い中でなんでこんな正確な絵を描いたのか疑問でした

鮮明に見えるようになったその人影は、やはり私たちで14人で満天の星空を眺めていました


柿生「あれ?こんな事しましたっけ?」

ひょっとしたら、私の願望なのかもしれません
でもだったらこんな違和感は感じないような…

柿生「やっぱり…知ってる?」

私はこの状況を知っている、不思議とそう確信は持てるのに思い出すことができません


(月宮「いえ、あなたは記憶を取り戻しているのよね…学生時代に私が話したのね」)


そうですよ、普通学生時代を一緒に過ごした仲なら家族の話ぐらいしてもおかしくないです
月宮さんも特に隠してたがっていた様子もありません



記憶は完全には戻っていない
私、まだ思い出してないことがあるんじゃ…?






ドガアアアァァァァン!!!!!

柿生「!?」


突然の凄まじい音と共に少しの揺れを感じます


柿生「なにが…!?まさか、ナギくん達!」

私はスケッチブックを戻し、すぐに走りだしました




爆音が聞こえた方向に向かえば向かうほど
私の嫌な予感は確信に変わっていきます

というのも道中にバラバラになったモノクマが何体もあったからです
間違いなくナギくんたちによる襲撃が始まった、そう考えるのが一番自然です


~倉庫~

音はここから聞こえてきました
爆発か衝撃か何かで崩れた壁のかけらにつまずきそうになりながらも中まで走りました

柿生「…ッ!」


破壊されてます
封鎖されていた武器庫の扉が砕け散っていました

唖然としていると…


ピピピ…

柿生「着信…?」




???「いやぁ、やってくれたね彼ら」

柿生「黒幕…」

???「どうしたらいいかなぁ、当然校則違反でオシオキしなきゃいけなくなるんだけど…」


焦りからか怒りからか私はさっさと通話を切ってしまいました


止めないと!どうやって…?


ピピピ…

柿生「もう!」


一応通話に出ます、ああ言いつつも黒幕からまた何か提案があるかもしれません


柿生「…はい」

アナ「あ!よかった電話でた!寝てなかった!大変なことになってるよ画家さん!」

柿生「あ、アナさん…」

黒幕じゃありませんでした

アナ「今、凄い音が聞こえて、様子を見に行こうと思ってるんだけど…」

柿生「だめです!愛野さんから離れちゃいけません!」

アナ「だけど!」

柿生「武器庫の扉が破壊されました」

アナ「…え!?」


ピピピ…

え?通話中に?

月宮「柿生さん、無事?」

柿生「月宮さん!」

アナ「数学者さん!」

柿生「え?」

アナ「え?」


月宮「・・・いえ、これ地味にグループ通話機能が備わってるようなのだけど、知らなかったかしら?」

知りません!

柿生「月宮さん、さっき武器庫の扉が破壊されました」

月宮「やはり…ね、マズい状況だわ」

アナ「二人ともどうするつもり?」

柿生「私がなんとかみんなを止めてみます、でも今どこにいるのか…」

月宮「いいえ、柿生さん戦闘状態にあるかも知れないところに自ら近づくのは危険だわ」

アナ「じゃあ、待ち伏せるとか!」

柿生「でもどうやって…」

月宮「柿生さん、画材は持ってる?」

柿生「が、画材ですか?持ってますけど…」


月宮「じゃあ、私の言う通りにできる?」

柿生「何をすればいいんです?」


月宮「…絵を、描いてほしいの」

今回はここまで~





どこかからいくつもの銃声やら爆発音が聞こえています
そんななかちょっとした仕掛けを施した絵を描き終え、私はボロボロの倉庫で待ち伏せていました。

すると

渚「…」

柿生(来た…!)

月宮さんが言っていた通りナギくんが現れます
そして同じく月宮さんに言えと言われた言葉を叫びます

柿生「助けてください!!」

渚「!」

走ってくるナギくん
そして…

渚「なに!?」

倉庫の目の前で立ち止まります
すかさずそこめがけて私は突っ込み…

柿生「えい!」

渚「くっ…」

組み伏せます

渚「このモノクマはトリックアートだったのか…一杯食わされたな」


月宮さんの提案した作戦は上手く行きました

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

月宮「渚くんに電話をする、『柿生さんが爆発音を聞いて倉庫に向かった』と」

アナ「それで…?」

月宮「さらにこう付け加えるわ、『そこに大量のモノクマも向かっていった、このままでは柿生さんが危険だ』といった具合にね」

柿生「な、なるほど…恐ろしいアイデアですね」

月宮「ええ、でもこれくらいしか思いつかなかったわ、手段は選んでいられないし」

アナ「でもそれだけでいいの?探偵くんのことだから倉庫まで呼ぶことはできてもすぐに見破られちゃうんじゃ?」

月宮「ええ、あとは柿生さん次第よ」

柿生「私の絵が決め手になるってことですか?でもどうすれば?」

月宮「柿生さんにはトリックアートを描いてもらうわ、床と壁を使って立体的に見えるモノクマの大群をね」

柿生「トリックアート…画力はともかく、描き方はいまいち…」

月宮「だから、壁と床にこれから私の言う通りの比率で描いて、計算が合っていればそれで上手く行くはずよ」

アナ「そっか、トリックアートで探偵くんを騙せれば、向こうから近づいてくるかも!」

柿生「わかりました!やってみます!」

月宮「では柿生さんはさっそく行動に移って、描けたらもう一度私に連絡して。アナさんあなたにも頼みたいことがあるのだけど」

アナ「もちろん!なんでも…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうして今に至ります

渚「電話してきたアナもグルだとはな、なにかあるとは思っていたが油断した」

柿生「ええ、作戦通りです」

柿生「なにしてるんですか渚くん!よりによってこのタイミングに!!」

渚「…」

柿生「もうすぐ、やっとのことで最後の学級裁判なのに!!」

渚「そんなものに何の意味がある!向こうから提示してきたものならば、どう考えても黒幕の思い通りになるだけだ!」

柿生「そんなこと分かってます!!ていうか言われました!」

渚「な!?だったらなぜ!学級裁判なんて奴らにとってはお遊びでしかない」

柿生「戦う必要がなくて、脱出にも近い手段だと思ったんです!あなた達が傷つく必要もない」

柿生「渚くん!あなた絶望キラーって呼ばれてるんですよ!?ただ絶望を殲滅することが行動理念のただ、ただこうやって暴力的な戦いを続ける存在」

渚「ああ、そうだ。奴らにとって論理も対話も無駄だった。絶望を倒す手段は武力だけだ!」

渚「推理になんて何一つ役に立たない…探偵でいた俺は何も救えなかった。事実この生活において、起こる事件がいくら解決しても人の死は増えていっただろう」




そう語るナギくんの目は青く…それはとても綺麗とは言えない、濁った青い瞳でした


柿生「だったら、振りほどけばいいじゃないですか」

渚「…ッ」

柿生「なんで抵抗一つしないんです?」

渚「…」


ナギくんの目線の先には
私が組み伏せた拍子に落としたスケッチブックがありました
開かれたページは、さっきプラネタリウムで描いた絵


柿生「…ナギくん、アレを見て何を思ってるんですか?」

渚「!」

柿生「私、知っている気がするのにあの絵の状況が全く思い出せないんです。おかしいですよね…私が描いた張本人なのに」

渚「柿生…いくら願ってももう戻ることはできない」

柿生「え?」

渚「だから俺は…」

柿生「でもあなたは止まってるだけじゃないですか!!」

渚「なに…?」

柿生「こんな事続けていたらいつ死んだっておかしくないですよ?実際このままじゃ校則違反で黒幕に殺されてしまいます!」

渚「構わない…俺は死んでも、脱出路を開く、その後お前たちが脱出すれば…」

柿生「あなたが死んだら私はここから出ませんよ?」

渚「何を言っている…?」

柿生「だって私はもう誰の犠牲もなくここから出ることが目的なんです、それが果たせないなら…ここから出る気はありません」

柿生「あなたが死んだら、あなたはそこで止まってしまい、私も立ち止まります」

渚「………」

柿生「もう本当の意味で戻ることを願うこともありません」

柿生「でも、私はそもそも戻る気も止まる気もありません!」

渚「…!」

柿生「私たちは戻るんじゃない!進むんです!!」

渚「進む…」


柿生「ナギくん…どうせ死ぬ気なら、その命を私に預けてくださいよ」

渚「…お前に何ができるんだ?」

柿生「わかりません…正直言ってしまうとまだ結論は出てないんです。あなたに滑稽だと言われたこと言い返すこともできません」

柿生「でも、お願いします。またあの時のように私のわがままを聞いてください」

渚「…」

柿生「…」

渚「…好きにしろ」

柿生「はい!」

ピピピ

早速かかってきました


柿生「…もしもし」

???「もしもし?渚くんは止まってくれたようだけど、結局校則違反には変わりないんだ。これから彼らを拘束し、オシオキしなくてはいけないわけだけど」

???「何か言い訳はある?」

柿生「本当にjそんな事していいんですか?」

???「なんだって?」

柿生「渚くん達を処刑したら、ここまで長い時間をかけた絶好の状況が崩れてしまうんじゃないですか?」

???「…なるほど、痛いところをつくね。確かにその通りだ」

???「だけどね、こっちの誇る戦力である大量の戦闘型モノクマや玄関の機関銃、その他諸々を難なく破壊していく渚くん達はそれなりに脅威でもあるんだよ」


そんなに強いんですか…ナギくん達


???「まあ自爆すればまとめて排除できるけどね。できればそんな手段は打ちたくない」

柿生「つまり?」

???「彼らがまた暴れださないように保証はできるかい?」

柿生「はい、もしもそうなったら私を処刑しても構いません」

???「…全然釣り合わないけど、まあそこまで言う柿生さんに免じるよ」


???「じゃあ、日もまたいだし、早速学級裁判を始めようか。例のエレベーターにどうぞ」

通話が切れます




月宮「上手くいったみたいね」

柿生「月宮さん!」


宍戸「よぉ」

柿生「…宍戸くん?」

月宮「事情を説明すると、宍戸くんはもともと正気よ」

柿生「えぇ?」

月宮「ええ、彼は狂気を演じて渚くんと円山くんの動向を私に報告してくれていたの」

柿生「そ、そうだったんですか?」

月宮「私も前回の学級裁判後の宍戸くんの行動が演技だったとは後から知ったのだけどね、でもおかげで円山君も観念してくれたわ」

円山「……」

宍戸「おうよ!まあ、演じることが俺の真骨頂だからよ!」

月宮「改めて彼の演技力には感服するわ、でも驚く様子を一つも見せないところを見ると渚くんには既にばれていたみたいね」

宍戸「は!?まじかよ」

渚「…」



柿生「とにかく、これから学級裁判を始めるみたいです!向かいましょう」

渚「…」

宍戸「おい、柿生」

柿生「はい?」

宍戸「そろそろ降りてやれよ、渚から」

柿生「…あ、ご、ごめんなさい!!」


月宮「やっぱり、どこか締まらないわね」

今日はここまで~

~エレベーター~


ゴゴゴと響くエレベーターの大きな音
逆に私たちは静まり返っていました

そう言えば毎回どんな気持ちでここに乗っていたんでしょうか?
犯人を見つけ出してやる!って意気込んでいた?
それとも犯人がまた処刑されてしまうのを恐れていた?

よく思い出せません…でもどちらかと言えば不安のほうが大きかったんだと思います
今だって不安です。
これが最後の学級裁判になる。でもどんな形で終わるのか、どんな結末を迎えるのか?
それはまだ誰にもわかりません。

黒幕の思い通り…そうなってしまうかもしれません
ひょっとしたらこのエレベーターが向かっている先は絶望なのかもしれません

エレベーターが止まり、ドアがゆっくりと開いていくと
薄暗いエレベーターに眩しいほどの光が差してきます

どちらにしても私はまだ知らないことがたくさんあります
黒幕は私たちの状況について理解してほしいと言っていました
全部、なにもかも把握しないと答えは多分でないんでしょう

だったらどれだけ楽だとしても、ここに立ち止まるわけには行きません

柿生「行きましょう」





chapter final 「殺人者達の行方…」



アナ「あ、みんな!…探偵くん」

柿生「先に来てたんですか?それに…」

愛野(…)



そこにはアナさんだけではなく、車いすに乗せられた愛野さんもいました
意識が戻ってるわけではないようですが…

アナ「君たちがドンパチ始めて、画家さん達と電話した後、モノクマがやってきて無理やりここに連れ出されたんだよ」

アナ「パティシエちゃんも…」



モノクマ「はーいはーい!みんなごきげんよう!!」

宍戸「ゲッ!」

モノクマ「いやゲッ…て、そりゃでてくるでしょ」

モノクマ「まあアナさん達についてはおとなしくしてたし、巻き込まれちゃうのは流石に不憫だからとボクが配慮したんですよ、はい」

月宮「意識の戻らない愛野さんまで連れてくる必要はあるのかしら?」

モノクマ「それはだってさぁ…今回が最後だし、ねぇ?」




柿生「あなたはAIですか?それとも黒幕本人が操作しているんですか?」

次にしゃべるモノクマがいたら最初に確認しようと思っていたことです

一同(!?)


円山「ど、どういうことですか?」

渚「黒幕にすでに会っている…いや、違うな?」

柿生「はい、話しただけです。機械声だったので誰だかは全くわかりませんでした。」

アナ「だったら結局ロボットかなにかなんじゃないの?」

柿生「いえ、あの話し方は人間だと思います。私にこの学級裁判を提案してきたのはその黒幕本人でした」

モノクマ「まぁまぁ、とりあえずみんな席に着こうよ。ボクがなんなのかはその後その後、うぷぷぷぷ…」




みんな席に移動し始めます…そんな中ナギくんだけが私に耳打ちしてきました

渚(あのモノクマ…本人だ)

柿生(え?)

渚(油断するな)


みんな席に着きます
愛野さんもいるので、人数は前回の学級裁判と変わらず7人です


モノクマ「それじゃあみんな席に着きましたね、ということで今回の学級裁判について説明します」

モノクマ「今回はボクが出していく問題に答えていってもらいます。問題についてみんなで議論するのは自由ですが、答えるのはこちらが指定した回答者です。」


柿生(なるほど…)


ナギくんが、あのモノクマが本人だと断言する理由がわかりました。
口調が違う…些細なことですが、いつも私たちの事を言うとき「オマエラ」と言っていました
でもこのモノクマは「みんな」と言っています

このモノクマは、黒幕が実際に操作しているということです



モノクマ「回答が正解であれば、そのまま次の問題に進めますが…回答が間違っていた場合は、その回答者はオシオキされ、その後で次の問題に進みます。」

アナ「処刑されても次に進むんだ…」

モノクマ「そうだよ、だからチャンスは6回あるってことだね」

月宮「チャンスと言っても、回答者は間違った回答をしたらその時点で終わりじゃない」

モノクマ「うぷぷ、まぁね。でもさ…それっていつも通りじゃないかな?」

円山「これがいつもと違わないとおっしゃるのですか?」


柿生「今までの学級裁判では間違ったクロを指摘したら、他の全員は皆殺し…そうですね。今回は問題の数は増えたけど、間違えても処刑されるのは一人…個人にかかるリスクはいつもと変わらないのかもしれません」


どちらにしても、一度たりとも間違えることはできないです

モノクマ「さて…すべての問題を終えることができれば、残ったメンバーには最後の選択をする権利が与えられます!その選択によってここから出ることができるのです!」

渚「ここがどうも腑に落ちない」

モノクマ「なにが?」

渚「選択によって…それはどういう意味だ?」

モノクマ「うぷぷぷ…まあそれはお楽しみだよお楽しみ」

モノクマ「それじゃあ始めるよ!えーとまずは…」


これが最後の学級裁判、決戦
そして全てを知ることができるはずです

きっと…



<<学級裁判開始>>

モノクマ「では記念すべき第1もーん、モニターをご覧ください」


モニターにはのどかな無人島、私たちのように誰かが学級裁判を行っている映像が流れます

モノクマ「えー、みんなにも情報は渡してあるからわかると思いますが、これは超高校級の絶望の残党が繰り広げたコロシアイです!」

モノクマ「この裁判には超高校級の絶望、江ノ島盾子も関わっています。てゆーか江ノ島盾子も最終勝負を仕掛けました。この学級裁判みたいにね」


月宮「確かジャバウォック島だったかしら」

アナ「昨日見た資料にはそう書いてあったよね」


モノクマ「うぷぷ…では、この無人島のコロシアイにおいて、江ノ島盾子は目的を達成すること…うーん、もっと簡単に勝ったか負けたかを答えてください」


え、コロシアイの結末…書いてありましたっけ?


モノクマ「回答者は…ポチっと」


『#$%&  月宮 しぐれ  &%$#』


モノクマ「あ、集めたヒントはここで見ても構わないよ?」

柿生「待ってください!そんな情報どこにも…!」

モノクマ「ぶっひゃっひゃ…そりゃ書いてあることを問題にするわけないじゃん、そんなに簡単だと思ったの?」

柿生「…!」



議論して答えを導き出す、そうですよ学級裁判なんだから
考えてみれば当然の事です


アナ「うーんやっぱりどこにも、そもそもジャバウォック島でのコロシアイでその絶望さんが勝負を仕掛けてたなんて…」

渚「アナ、資料を見せろ」

アナ「え?あ…うん」


なんとか月宮さんを…


月宮「やはり、一筋縄ではいかないようね…それにしても」

月宮「モノクマ、問題はこれだけかしら?」

モノクマ「うぷ?」

月宮「この問題、結局は絶望にとって何を勝ちとするか負けとするのか…価値観が分からなければ単純な2択ではなくなってしまう」

月宮「ハッキリ言って私には絶望の考えることなんて分からないわ」

モノクマ「ふーん、つまりどうしろと?」

月宮「そうね、ヒントのようなものが出てくると思うのだけど?」

モノクマ「うぷぷぷ…月宮さんったら口がうまいね」











モノクマ「そうだね、答えはここで起こった一つ前のコロシアイの結果と同じでどう?」


柿生「…え?それって」

アナ「画家さんが知ってるんじゃ?」

月宮「随分踏み込んでくるのね」

モノクマ「うぷぷぷ…」


私の記憶では、江ノ島盾子は死んだ
いえ…黒幕もハッキリ言っていたはずです。江ノ島盾子本体は死んだと


渚「単純に考えれば柿生の言った通りになると思うが」

柿生「だとしたら絶望側の負けってことに…」


宍戸『てやんでーい!!』

宍戸「ちょ、待てって、ほんとに柿生の言った通りで合ってるのか?前回のコロシアイの後だってモノクマが『ほんとに、江ノ島盾子って死んだの~?』って言ってたじゃねえか!」

渚「ああ、柿生の記憶が正しいかどうか。前提が間違っていれば結局は同じだ」


柿生「つまり…、絶望…江ノ島盾子が負けたことを証明できれば…!」


月宮「モノクマ、もう一つ質問いいかしら?」

モノクマ「なに?これ以上ヒントはやらないよ?」

月宮「私はいつでも答えていいのかしら?」


モノクマ「あーそうだね、投票ボタンを見てよ」

月宮「なるほどね…回答ボタンになってるわ」

モノクマ「答えたかったらそれを押してよ、そのかわり一度押したら。やっぱもうちょっと後でっていうのはなしだからね?うぷぷ」

月宮「ええ、わかったわ」



これでシステムはわかりました
苗木君達のコロシアイで江ノ島盾子が負けたことは明白です
みんなで探せばその証拠だって見つかるはず

柿生「じゃあ、なんとか絶望側が負けたことの根拠を集め…

そこで私は衝撃的な音を耳にします





ピコーン!!




柿生「え!?」

円山「つ…月宮様、議論はこれからですが…」



月宮「…」

モノクマ「あのさ…聞いてた?押したからには答えてもらうよ?」

月宮「案ずることはないわ。そうするつもりで押したのだから」

柿生「ど、どうして…?」

月宮「柿生さん、私の答えは決まってるわ。言ったでしょう?私はあなたを信じるって」

柿生「じゃあ!でも、まだ合ってるかどうか…」

月宮「2択なのよ、正答率は五分五分。考えたってこの確率は変動しないし…何より私はもう、空回りはしたくないの」

柿生「月宮さん…」



モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」


月宮「私の答えは…ここでかつて起こったコロシアイでも、ジャバウォック島で起こったコロシアイでも…」

月宮「江ノ島盾子は敗れた…よ」





モノクマ「さてさて、果たして月宮さんの答えは正しいのでしょうか?はたまた…オシオキとなってしまうんでしょうか!?」

モノクマ「うぷぷ、答え合わせです!どーぞ!!」




O━d(・∀・)━K!!!
ピンポンピンポン!!
O━d(・∀・)━K!!!



モノクマ「はい…というわけで大正解、なんだよ、このヒントが原因で疑心暗鬼になってくれれば面白かったのに…あっさり柿生さんを信じちゃうなんてさ」


宍戸「それが狙いであんなヒントを!!」

月宮「私を回答者に選んだのが運のつきだったわね」


渚「そもそも、この程度で疑心暗鬼になんてなるわけがないだろう」

円山「とおっしゃると?」

渚「そもそもジャバウォック島のコロシアイで江ノ島盾子はアルターエゴとして残っているということだった。」

渚「書いてあるだろう?『江ノ島アルターエゴは、死した超高校級の絶望の保険だ』と」

アナ「確かに…最初のコロシアイで買っていたなら保険も動くわけがないよね…」

モノクマ「ぐぬぬ」



柿生「月宮さん…よかったです」

月宮「まだ1問目よ、これからが本番だわ」

柿生「はい!」

今回はここまで

モノクマ「では第2問、人工知能アルターエゴという形で死亡してなおこの世に残った江ノ島盾子。各地で起こった惨劇にも関係しています」

モノクマ「では、さっきのジャバウォック島のコロシアイにおいて、このアルターエゴ江ノ島盾子の果たせなかった目的とは何だったんでしょうか?」



『#$%& アナスタシア・ロスチャイルド &%$#』



モノクマ「名前長ッ!危うく枠に収まりきらないかもしれなかったよ」

アナ「長くないし普通だしー!…回答者はアタシなんだね。」

月宮「この問題は、二択ではないのね?」

モノクマ「ペーパーテストなら所謂記述問題だよ、評価は甘くしてあげるからさ」

アナ「超高校級の絶望の目的って、ようは人々を困らせることだよね?」

円山「困らせるという言い方だと聞こえはいいですが…」

柿生「人々を絶望に落とす、行動理念は絶望です」

宍戸「ならそれでいいんじゃねえのか?」

アナ「もうちょっと考えてよ、間違えたらアタシ死んじゃうんだから」

円山「理念は理念であって、目的となるともう少し限定的なものなのかもしれません」


渚「…コロシアイの参加者は絶望の残党と書いてある。絶望させる相手としては矛盾している」

月宮「ここではジャバウォック島のコロシアイと限定されていて、さっきの問題の答え通りに敗北したせいで目的は果たせなかった」



そういえば、なぜジャバウォック島という場所で起こったコロシアイについての問題を出してくるんでしょうか?
私たちにどんな関係が…


宍戸「じゃあ単純にコロシアイでその参加者を全滅させたかったとかじゃねえか?」

アナ「あ、そっか、それならおかしなところは…」


渚『それは違う』


宍戸「おん?」

渚「わざわざ人工知能にまでなって絶望の残党を抹殺したところで何も残るものはない。アルターエゴの江ノ島が保険とするなら不自然だ」

月宮「保険…確かに引っかかるわね」

渚「お前たちは覚えてないかもしれないが、絶望に落ちた人間の行動は常軌を逸していた」

モノクマ「絶望キラーに言われたくないよ」


まあ先ほど、あのモノクマの軍勢を破壊して回ってたナギくんもとても常識的とは言えませんが


渚「だが記録を見る限り、参加者である絶望の残党達のコロシアイはルールに乗っ取り進行されている。特におかしなところはない」

アナ「…なにか変なの?」

渚「絶えず絶望を求めるような連中がこんなゲームをまともに行っていたとは思えない」

柿生「うーん…まともにコロシアイをするっていうのも少し変なニュアンスですけど、言いたいことはわかります」




宍戸「なぁおい…その絶望の残党って奴らは根っからの絶望なのかよ?」

柿生「!」

宍戸「だってよぉ、さっきの問題でも言ってたけどよ、そいつらに江ノ島盾子ってのは負けたんだろ?絶望の残党なのに、むしろ超高校級の絶望?ってやつに抗おうとしてたみてえじゃねえか」

月宮「なるほど、彼らが元々はまっとうな人間だとするなら…私たちと状況が似るのかもしれないわね」

円山「ど、どういうことでしょうか?」

宍戸「ん?え?本当にそうなのか?」

渚「柿生、お前の知っている未来機関のコロシアイ経験者の記憶はどうなっていた?」

柿生「消されていたようです」


確か学園生活を送った2年間の記憶が取られたと言っていました


渚「未来機関の奴らのコロシアイでも、その絶望の残党のコロシアイでも、そして俺たちも。全てが黒幕によるものなのかはわからないが、確信に迫る記憶は消去されていた」

アナ「人の記憶を弄るのってそんなに簡単だったんだ…」

渚「そうらしいな、恐らくその逆も…」

柿生「え?逆?」

渚「ああ、それこそが人口知能である江ノ島盾子の目的なんだろう?わかるか?柿生」


記憶を消す事の逆が…江ノ島盾子の目的

円山「つまり偽りの記憶を植え付けること…でしょうか?」

モノクマ「うぷぷ…」

渚「いや、それだけでは済まないはずだ」

偽りの記憶を植え付けるだけじゃ済まない…それって、もしかして…!?


柿生「江ノ島盾子のアルターエゴを…生身の人間に上書きする事…ですか?」


アナ「え…?」

渚「そうだ、江ノ島盾子は肉体を持って復活しようとしたんだ」

宍戸「は…はぁ!?そんなことできるのかよ!?」

月宮「宍戸君例えばあなたの記憶を全て消されて、0の状態にから別の人物の生きてきた記憶を丸ごと入れられたとする」

月宮「そうなったとしたら…あなたは誰なのかしらね?」

宍戸「そ、そいつは…少なくとも俺じゃないのか」

月宮「ここまで単純な仕組みではないとは思うけど」

渚「だが人工知能となった江ノ島盾子に絞るなら、これしか考えられない。これが保険だったというのにも合点がいく」

円山「まるで受肉…ですね…」


あれ?これが私たちにも関係するのなら…この黒幕も…まさか私たちに



アナ「えっと、じゃあ、それで答えてもいいの?探偵くん」

渚「他に考えがあるなら言ってくれ、最終的な判断は回答者であるお前がするべきだ」

アナ「いや別にないけど、これ以外にはなにも…」

アナ「…本当にいいの?探偵くん」

渚「…」


ナギくんは答えません
多分、背中を押してほしいんでしょうけど
ナギくんの目は未だに曇ったままで…


柿生「アナさん、大丈夫ですよ」

アナ「え?」

柿生「私にも確信があるんです」

アナ「…はは、そうかな?そうだよね!よ、よーし」


ピコーン!!


モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」

アナ「あ、なんて言おうかまとめてなかった…えっと、江ノ島盾子は肉体を手に入れたかった?」


モノクマ「さてさて、果たしてアナさんの答えは正しいのでしょうか?はたまた…オシオキとなってしまうんでしょうか!?」

アナ「え、ちょ…今のでいいの!?」

モノクマ「うぷぷ、答え合わせです!どーぞ!!」

アナ(ごくり




O━d(・∀・)━K!!!
ピンポンピンポン!!
O━d(・∀・)━K!!!



モノクマ「コングラチュレイション!大正解、そう江ノ島盾子は絶望の残党達の脳に江ノ島盾子のアルターエゴをそのまま上書きし復活しようとしていたのです!!」


アナ「ふ、ふぅぅぅ…心臓に悪すぎ、これ。数学者さんよく平気でいられたね」

月宮「あら、私もそれなりに恐怖を憶えたつもりだけど?」

アナ「ウソぉ?」


これで二つ目…黒幕はもしかしたら、この果たせなかった目的を私たちで達成しようとしているのかもしれない…

でもだとしたら、黒幕の言った「上手く行っている」というのはどういう意味なんでしょうか?私たちはまだ誰も…


モノクマ「はいでは3問目!では今回のコロシアイの意義はなんでしょうか?漢字2文字でお答えください!」

渚「!」


『#$%&  宍戸 清磨呂  &%$#』


宍戸「き、きたか俺のヤマ…」

アナ「漢字2文字?」

円山「また妙な指定が入りましたね」


このコロシアイの意義…?この場合の意義ってどういう意味でしょうか?

渚「・・・」

月宮「…渚くん?」

渚「…」

月宮「あなたひょっとしてすでに検討が付いてるの?」

柿生「え?」

宍戸「なに!?そうなのか?じゃあ教えてくれよ!!」

渚「…ああ、すごく簡単だ」


なぜだか、ナギくんの表情が今までのなかでも最も暗いような…


渚「漢字2文字、薄々そんな気はしていたが、ここまで言われたらもはや疑いようがない…そう、全部同じことだったんだ」

アナ「同じこと…何と?」

渚「その2文字の言葉は、すでにこの学級裁判中に何度も出てきている。江ノ島盾子は極めて用意周到な人物だ。すでに2手3手先を考えてある。こんな事になってもおかしくはない」

宍戸「何度もだと?あーくそ、どんな話してたっけなぁ」

円山「用意周到…2手3手…は!」

宍戸「お、なんだ?なんだ?」

円山「渚様…それは『備えていた』といったような意味合いでしょうか?」

渚(コクッ

円山「は…はは…」

月宮「…つまりそういうことというわけね」

アナ「えっと…『備えていた』だから…えっと?まだ日本語微妙な意味合いが…」



やっぱり私が考えていたことは間違ってはいないようです
江ノ島盾子はジャバウォック島で果たせなかったことをここで成そうとしている
彼女が人工知能という自らの保険を残したように

このコロシアイもまた




柿生「保険…!」

月宮「!」

宍戸「2文字だな、保険、保険かぁ…なんのだ?」


渚「このコロシアイは予備の舞台だったんだ、つまり江ノ島盾子は俺たちの肉体を乗っ取るつもり…だな?」

モノクマ「ふふふ…」

アナ「な、なにそれ!?さっきの記憶の上書きで?」

月宮「だんだん雲行きが怪しくなってきたわね…」


宍戸「ん?おい!予備でも保険でもどっちでも通るじゃねえか、どっちで答えりゃいいんだよ!」

モノクマ「そんな同じような言葉ならどっちでもいいよ、答えは別に一つじゃないんだから」

宍戸「お、おう…」


ピコーン!!


モノクマ「はいはーい、じゃあ答えをどうぞ」

宍戸「あ、ずばぁり!保険だ!」

モノクマ「…はい、正解」

宍戸「おいなんかだんだんテキトーになってねえか?」


宍戸君に同感です。
どうもとんとん拍子に進みすぎてる気がします
ひょっとしたらこのゲーム自体は黒幕にとってさほど意味がないのでは…?
だって…まるで飽きてしまってるような…


飽きる…?

モノクマ「じゃあ次の問題に移ろうか」

モノクマ「ここに連れてこられたメンバーにはちゃんと意味があるんだけどね、そのうち14人のうち11人は絶望キラー、1人は未来機関、1人は無関係、ではもう一人は一体なんだろうね?円山くん、キミの意見を聞こうか」

円山「それは…回答者という意味ですか?」

モノクマ「まだ続けるかい?このクイズ形式…まあ回答者かどうかと言われればそうなるね」


モノクマの話し方が崩れてる…!


アナ「…なに?この言い回し…凄く心当たりがあるような?」

柿生「え、そうなんですか?」

アナ「いや、機械声だからよく分かってはいないんだけど…?なんというか…」



月宮「毎度毎度、問題をもう少し明確にできないの?」

モノクマ「確かに、これだけでは苦しいかな?こちらの認識としては、絶望キラーは消して絶望することのない人物達、未来機関の人は並大抵の絶望では太刀打ちできない強い希望を持った人物」

モノクマ「無関係は置いておくとして、もう一人は超高校級の才能を持つ平凡な人物とでも言えばいいのかな?この目的を達成するための最初の標的かな?」

宍戸「もう答え言ってねえ?」

モノクマ「といっても前からだいぶ感づいている人物がこの中にいるからね、もはや隠していてもしょうがないというか」

モノクマ「言ってしまえばここまでは出来レースなんだよ。全部正解してもらわなくては都合がわるくてね」

アナ「となるとやっぱり探偵くん?」

渚「………」

宍戸「なんだ?絶望キラーってやつでも未来機関の人間でもないやつって事か?」

円山「……モノクマ」

モノクマ「なんだい?」

円山「『絶望キラーは消して絶望することのない人物達、未来機関の人は並大抵の絶望では太刀打ちできない強い希望を持った人物』というのは理解できます」

円山「ですが、最後の平凡、すなわち希望でも絶望でもない人物…神谷様でもあてはまるのではないのですか?」

モノクマ「あーなるほどね、気づいてない人もいるかもしれないが神谷くんも気質としては、後者の希望側に当たるのさ。むしろこの点は柿生さんに勝ると言ってもいい」

柿生「うっ…」


確かに私なんかよりシンちゃんの方が、希望に溢れていたような気はします


月宮「気にすることはないわ、柿生さん」

柿生「え、ええ…」



円山「ですが…最初の標的とはどういう意味でしょうか?」

渚「最初の標的…つまり、最初に江ノ島盾子が上書きされる人物だな。それがいつの事かは…」

円山「最初に…江ノ島盾子が上書きされる人物」


モノクマ「もうそれを答えとして受け取っていいかな?僕はね、次の問題に行きたくてうずうずしてるんだからね」

円山「え、ですが…」

モノクマ「はい正解、どうも僕も我慢強くはなくなったようだ。そう…その絶望キラーでも未来機関でもない一名とは、江ノ島盾子が最初に上書きされた人物」


柿生「され…た…?」

今、過去形で言ったような…

モノクマ「言ったよね?全部僕の思い通りと」


(???「なるほど、いや悪いね。おしゃべりが過ぎたようだ。江ノ島盾子も相当うるさかったらしいが影響は少なからずあるということかな?」)


まさかあれは…私が話してたあの人は…江ノ島盾子が入れられたこの中のだれかって事ですか!?

モノクマ「さあ、いい加減この姿でみんなの前にいるのにも飽きたころでね、やりずらいったらありゃしない」

モノクマ「さて…黒幕、江ノ島盾子が上書きされた人物とは誰かな?」

モノクマ「渚くん?」


渚「…」

宍戸「お、おいちょっと待てよつまり生きてるやつの中に、超高校級の絶望がいるってことだよな?」

円山「この中に黒幕…になってしまった人物が?」

アナ「おかしくない?だってみんなこうやって話してるじゃん、変な人なんて…」

柿生「そうです、あのモノクマは間違いなく本人、ここにいる人が話しながら、黒幕のセリフもにこなしていたなんてとても…」



月宮「話していない人物がいるようだけどね」

柿生「…え」

月宮さんが視線を向ける先には…未だに意識を取り戻さない愛野さんがいます

円山「ま、まさか!?」

月宮「あくまで状況的にだけれど、あてはまるわ」


確かに愛野さんはここに来てから唯一一度も口を開けてません
いえ、それどころかもっと前私が黒幕と話した時も

でも、本当に…?


宍戸「でもあんな話し方しないだろ!?」

アナ「話し方…そうだよ、あの話し方…やっぱり」


話し方…そう言えば江ノ島盾子ってどんな話し方をするんでしょうか?
正確が掴めないって言われてたのに、性格に特にぶれが感じられません…


なにかがおかしいです、なにか根本的に間違ってるんでしょうか?


モノクマ「君たち、少し黙っていてくれないかな。渚くんが答えを出すようだからね」

<<<ナギサ<<<


渚「………」

黒幕
超高校級の絶望をやらされる羽目になった人物なんて奴以外に考えられるはずがない




人物を指摘しろ!↓1

今回はここまで~

この書き込みは安価下

渚「…違和感を感じ始めたのは最近の話じゃない、前々から奴は知っていることが多かった」

渚「ほかの奴を見るときと俺を見るときの態度も少し違った気がする」

アナ「あれ?アタシ…じゃないよね?」

円山「アナ様、お静かに…」

アナ「あ、ごめん」

渚「元々、俺たちの中に黒幕がいるという線は考えてはいたんだ。もしも黒幕だったらと全員分をシミュレートした。何度も…俺を含めてな」

語りながら、みんなが神妙な顔でこっちを見ているを感じる
これを聞いて今何を考えているのか…ただ聞いて俺の結論をまっているのか、あるいは必死に俺の思考に辿り着こうとするのか
万が一自分が指名されてしまった時のことを懸念しているのか

渚「俺が特定の人物を本気で疑い始めたのは…三つ目の事件の後だ。なぜかあのタイミングでモノクマ達が姿を晦ました事が引っかかっていてな」

だが俺が指摘する人物が思い浮かべることは、そのどれにも値することはないはずだ

渚「今はもう確信している、わざとなんだろう?遺体安置室なんてものを開放し、自由に捜索できるようにしていたのは」

円山「い、遺体安置室…?」

月宮「生物室のことよ、知らないなら知らないままの方がいいかもしれない場所」

宍戸「あの異常に寒ぃ部屋か!?…一つだけランプがついてる引き出しを開けたんだけどよ、なんつうか見ちゃいけねえものが…」

柿生「私も行きました、藤原君の…遺体だけこの目で確かめたんです。多分あの中には今までに亡くなった人が安置されてるんです。」

宍戸「おい勘弁してくれよぉ…じゃあ俺が見たのは死、死体なのかよ…」

渚「宍戸は運が悪かったな、誰とは言及しないでおくが原型をとどめていないものもあった」

円山「……」

アナ「ねぇ、ちょっと待って…遺体安置室なんて事柄が出てくるってことは…」

渚「全員分と言ったな、あれは文字通りの意味だ。例えばあいつは本当に…死んでいたのかどうか」

円山「ですが!モノクマはこの中にいると…!」

モノクマ「ふふふ、くくく…ウソは言ってないけどね」

円山「……あ、あ」

渚「柿生の不注意による居眠りが許されて、花瓶を不可抗力で割った事はアウト。今までと同じだ、お前の都合がまかり通りすぎている」

渚「分かってみれば、この問題をわざわざ俺に突きつける辺りが特に白々しく感じてくるな」

俺は満を持して、黒幕の名前を口にする

渚「元超高校級のプログラマー、舞丈…千人」

<<<カキエ<<<

柿生「舞丈…くん…?」

ナギくんは、そう言いました…よね
元超高校級のプログラマー、舞丈千人
それは確実に私の知っている人物です

モノクマ「」

宍戸「おい!モノクマが止まってるぞ!微動だにしねえ」

モノクマ達「「「クマぁ!」」」

柿生「え?」

月宮「モノクマがあらゆる所から!」


円山「な、何を!?おわ…!」

宍戸「ちょ、よせって!おい!」

渚「…!」


アナ「た、探偵くん!!」

渚「いや、問題ない。武装を取り上げられただけだ」

武器庫で装備を整えていたナギくん達を無力化した…?
ということは…


チン!

アナ「見て!エレベーターが!」

月宮「…!」

宍戸「幽霊じゃねえよな…」

円山「ああ…そんな…そんな!!」


舞丈「やあ、みんな久しぶりだね」

アナ「あの話し方はやっぱり…プログラムくんそのままだったんだ」

渚「そもそも隠す気もなかった、といったところか」

舞丈「ご名答だ、おめでとう渚くん」


柿生「な、なにしてるんですか…」

私たちにコロシアイをさせていた人間が…まさか

舞丈「やぁ柿生さん、元気だったかい?」

柿生「元気…?ふざけないでくださいよ!!あなたは私にとって…あなたにとっても大切な友達を!!何人もォ!!!!!」

舞丈「…いや、すこしがっかりだね。これだけ前置きを準備しておいたのに、まだ状況がわかっていないようだ」

状況…?



円山「ふぅ''…!お前ェ!!!」

舞丈「おっと、もうモノクマは使いたくないんだけどなぁ」

モノクマ「拘束拘束ぅ!」

円山「くぅ!この…離…せ、はなせ」

舞丈くんは円山君に襲い掛かられそうになったにも関わらず、マイペースな速さで舞丈くんの席まで足を運びます

舞丈「よっと、この遺影…持ってっちゃっていいよ」

モノクマ「オッケイ」

モノクマを手下の如く扱っています、さもそれが当然であるかのように


舞丈「さて、少し答え合わせをしていこうか。渚くん、僕の事を舞丈千人と言ったけれど、その心を聞かせてもらえるかな?」

月宮「その心…?あなたは紛れもなく舞丈くんよね?」

アナ「まさか、双子の兄とかクローンとか?」

宍戸「もうよそうや…考えるのもいい加減億劫になってきたぜ、結局俺にはなんもできなそうだしな…」

渚「…毎回お前の質問は語弊を招く、正確に黒幕と言えるのはお前がオシオキされた後…か?」

オシオキ…それは舞丈君が死んだあの後ってことでしょうか?

渚「あの後しばらくモノクマが活動を控えていた。つまり、そこで『お前』がでてきたんだろう?」

舞丈「悪いね、説明するのは下手な方なんだ。そして合格、この分なら明かしてもいいだろう」


そうだ…、さっきまで話してたじゃないですか
冷静になってみれば分かることでした
あれはもう私たちの知っている…



舞丈「僕は舞丈千人であり、そして…」



舞丈「江ノ島盾子でもある」


私たちの知っている舞丈君ではありませんでした

柿生「江ノ島盾子…!」

月宮「つまりあなたは江ノ島盾子の記憶が上書きされた舞丈くん、ということ?」

舞丈「まあ、それで正しいとも言えるけどね。今の僕は江ノ島順子の記憶や思考さらに舞丈千人の人格、記憶も併せ持つ存在なんだよ」

宍戸「な、ならよお、お前ん中の舞丈がこんなことを許すわけが…!」

舞丈「それはどうかな?僕が…いや江ノ島順子がなぜ僕に最初から黒幕をやらせなかったんだと思う?」

宍戸「は、はぁ?」


舞丈「じゃあ、君たちが解いてきた問題を追って話していこうか」


舞丈「そう、事の発端は江ノ島盾子がここで起こした78期生のコロシアイで敗北したところだね」

舞丈「だけど江ノ島盾子は保険として自分の人格、記憶を持つ人工知能アルターエゴを残していた」

舞丈「そしてカムクライズルというルートを駆使して、ジャバウォック島に侵入、そこで絶望の残党達を殺し合わせ、生き残ったものに江ノ島盾子を上書きして復活を果たそうとしていた」

舞丈「しかし、それも失敗」

舞丈「だけど備えあれば患いなし、もう一つの保険としてキリバタウンで絶望を殲滅してまわっていた、絶望キラー達と柿生さんをあらかじめ拉致し」

舞丈「そしてもう一つ、まったく別の場所から未来機関に向かっていた『僕』を拉致」

舞丈「ジャバウォック島の方から失敗の知らせを受信し、こちらのアルターエゴは78期生の時と同じ手段で君たちの記憶を消し、僕に江ノ島盾子を植え付け」

舞丈「このコロシアイを開始した」

舞丈「だけど、そのコロシアイは進行せずに中止することになったんだ」

柿生「想定外、ですか?」

舞丈「その通りさ、絶望するほどではなかったけど、これは上手くいかなかった。分析が足りなかったんだよ」

舞丈「希望ヶ峰学園を卒業し、それぞれ職にまでついて君たちはの記憶の量は、当然在学中だった78期生に比べたら莫大な容量だったんだ」

舞丈「そんな大きな容量の記憶は消そうとしても消えなかった。今ですら記憶を取り戻す人がいるくらいだから、想像できると思うけどね。君たちはすぐに元の記憶を取り戻していったんだよ」

舞丈「柄にもなく白川さんが高校生活中に培った常識を持っていたり、右町さんもトラウマを克服していたり、コロシアイが起きるような要素はなくなってしまった」

舞丈「そして何より、僕が絶望化しなかった」


舞丈「だからやり直した、もしも江ノ島盾子が人工知能としてプログラムされていない生身の人間であったなら、この望まない展開も絶望として楽しんでいたのかもしれないね」

舞丈「でもアルターエゴ江ノ島盾子はあくまでプログラム、設定に沿って動くものだ」

舞丈「江ノ島盾子はこの結果を再分析。君たちの記憶の消去は、あくまで高校生活と人類史上最大最悪の絶望的事件発生後に絞ること。そして僕に江ノ島盾子を植え付けるには時間をかけて徐々にやっていく必要があるという結論を出した」

舞丈「…どうかな?」

今回はここまで~

舞丈「これで、僕の根端も大体はわかったかな?」

柿生「……」

私たちを絶望に陥れる…確かにここまでは私たちを正確に分析し綿密な計画を練って、それを実行し成り立ったのかもしれません

でもいくらここまでが上手く行ったからといって…どんな手段で私たちを絶望させるつもりなんでしょうか?

月宮「これから私達はどうなるのかしら?」

舞丈「おっと、結論を急いじゃいけないよ?まだ勝負は決してはいないのだからね」

円山「今更ながら、本当に勝負と言えるものなのでしょうか?」

舞丈「こちらに分があることを承知で勝負に乗ったんだろう?なら文句は言えないはずだと思うけれどね」

アナ「なんか、いちいち癪にさわるなぁ…」

舞丈「柿生さん、お待たせしたね。君に問題を出すよ」

柿生「…問題」

舞丈「それは君の考えている疑問を解決してくれるものでもある、ぜひ自分で考えてみてほしい」

柿生「私の疑問…ですか?正直疑問だらけなんですが」

舞丈「違いないだろうね、では一言」

舞丈「前に言ったよね、君は絶望キラーを理解していない」

柿生「…!」

舞丈「実はね、絶望キラーは本来一人なんだ」

柿生「え?」

舞丈「うん」

柿生「でもあなたは、散々11人の絶望キラーと…」

舞丈「ああその通りさ、でも『本来』の絶望キラーは一人だ。…根源と言ってもいい」

柿生「…元々一人しかいなかったって言うんです?」

舞丈「考えてみなよ、絶望だって元々は少数さ。それがどんどん伝染して広がっていった。絶望キラーにも…同じように希望だってそう」

舞丈「プログラムコードが文字一つから始まるように、宇宙がビックバンという一つの現象から始まったように、どんな事象だって元々は一つの物なんだ」

舞丈「そしてその絶望キラーの根源は、この中にいる。無論生きている人たちの中にね」

柿生「その人を指摘しろと?」

舞丈「君なら分かるはずだ」


柿生「…」

ここにいる私以外は絶望キラー
絶望に関するものを破壊し、絶望に飲まれた人間たちに対する殺戮を繰り広げていた人たちです
その根源となる人がいるのなら
それはやっぱり、この生活内でも妙な力で、絶望を封じ込めるようなことをしたあの人しか…!

↓人物を指摘しろ!

~~~~~~~~~~~~~

渚「ゼツボウニノミコマレルナ」

~~~~~~~~~~~~~

あの目…円山君の様子がおかしくなったのもやっぱりあの時からです

そして今も

渚「…」

何度見直しても目の色が違う…
大した根拠ではないのかもしれません
でもそんなものいらないほどに
みんな確信を持っている
そんな力を持っているのは…

柿生「渚……渚 薫くん」

渚「ああそうだ俺だ」

柿生「!」

アナ「…そう…なんだ」

渚「いつしか俺は、お前たち絶望を一つ残らずこの世から消し去ることだけを考えるようになっていた」

舞丈「先に言っておくけど正解だ、おめでとう全問正解だよ」

舞丈「で?それはなぜだい?渚くん」

渚「決まっているだろう、お前が起こした数々の惨劇が…」

舞丈「そう、君はそれをいくつも目の当たりにし、絶望しかけた」

舞丈「だけど彼は拒否したんだ。江ノ島盾子が大好きな…いや、今となっては僕が愛しくてたまらないこの絶望という感情を!!」

舞丈「莫大な絶望という感情の代わりにあふれ出たものは、絶望への憎しみ恨み狂気だった。これが絶望キラーの正体だ!」

舞丈「江ノ島盾子が超高校級の絶望、何人かいる希望的な存在の事を超高校級の希望というならば、渚くんは超高校級の絶望キラーってことさ」

宍戸「てやんでい!!高校なんざとっくに卒業してるだろ!」

月宮「そこは大した問題ではないわよ」

宍戸「う」

舞丈「僕は知っているんだよ?全部ね。なぜなら僕もかつては柿生さんと同じように君を助け出そうとしていたからね」

柿生「そうなんですか!?」

舞丈「ああそうだよ、僕は未来機関には入らなかったけど独自で絶望キラーを研究していたんだ。まあだから不甲斐なく捕まってしまったんだけどね」

柿生「だから私に絶望キラーを理解していないなんて…」

舞丈「当然だね。君にそう言えたのも、僕が絶望キラーについて熟知しているからこそだ」

舞丈「それは、渚くん以外の人についても」

アナ「え?」
円山「…!」
宍戸「俺たち!?」
月宮「どういう意味かしら?」

舞丈「疑問に思わないのかい?始まりは渚くん、では君たちはどういった過程で絶望キラーになったのか」

柿生「…」



そうです…他の皆さんはどういった過程で…
何が原因で…



(舞丈「…絶望しかけた」)


え?なんでこの言葉が引っかかるんでしょうか?
絶望しかけた…






【絶望ファイル】

あ、これです…!
みんな大切な物を失ってる
絶望する理由がある…

舞丈(ニヤッ)

柿生(!)


柿生「ま、待って!やめてください!!」

舞丈「うん?何をやめてほしいのかな?」

柿生「何をって!あ…」


しまった…


アナ「画家さん?」

円山「どうか…なさいましたか?」

柿生「あ、いえ、えと…」

月宮「…」


舞丈「どうしたんだい?柿生さん?みんなも怪訝な目で君をみてるよ」

柿生「は…違うんです!その…」



月宮「柿生さん」

柿生「は、はい!!?」

月宮「隠してる事がある…のよね?」

柿生「…っ!」



舞丈「その通り、柿生さんは君たちにとって重大な事実をあえて言わなかったんだ」

宍戸「そ、そうなのか!?」

柿生「いえ、だからこれは!」

舞丈「大丈夫!そんなに知りたいなら開示するよ、全問正解の景品その1だ」


すると舞丈君は何かの書類…いえ【絶望ファイル】をばらまいたんです

柿生「だ、だめ!」



みんな次々とそれを手に取ります



アナ「こ、これって…うそ、お父様が?」

円山「あ…あ…」

アナ「べ、ベルボーイ君?どうし…



円山「あ、あああああああ!!!」
宍戸「頭が…痛ぇ!」



柿生「み、みなさん…!」


円山くん、宍戸君それから月宮さんが頭を抱え呻いています


月宮「う、うぅぅ…!!」

柿生「月宮さん!大丈夫ですか!しっかりしてください!」


円山「そ、そうです。逃げ出したお客様の一人に置き去りにされて…死ぬところだったんだ…私はお客様のために避難誘導をしていたのに!!!」

宍戸「そうだ、そうだ…!!みんな死んじまったんだ!!」


柿生「円山くん、宍戸くん…」

宍戸「おい柿生ぇ!!知ってたのかよお前!?なんで言わなかったんだよぉ!!こんな…こんな事を」

柿生「だ、だってこんな事言えるわけが…」



月宮「柿生さん…」



柿生「月宮さん!私はただ…」

月宮「実はというと、なんとなく分かっていたの」

柿生「え、どうして…?」

月宮「だって…あの時の柿生さんの言動には違和感を感じずにはいられなかったもの」


月宮「あなたが私に兄の事を訪ねたとき、やはりあなたは兄の事を知らなかった。もしくは覚えていなかった」

月宮「そうでしょう?」

柿生「……」



月宮「これで、はっきり思い出したわ」

月宮「私の兄は目の前で焼け死んだ…もう、お兄ちゃんは…グス…いないのね」


私は月宮さんの顔から眼を背けてしまいました
変わりに舞丈君の方をむくと…


舞丈「ふふふ…くくく…これが絶望か、絶景だね」


円山「ああ…あああ…」

宍戸「もう…無理だろこんなん、俺ぁなんのために…」

月宮「うっ…うう…」






アナ「ちょっと!アタシ、思い出せないんだけど!」

舞丈「うーん、その辺は個人差があると言わざるを得ないね」

アナ「なにそれ…アタシ、お父様がこんな事したなんて信じないから」

舞丈「他の三人はしっかりと絶望してるね、渚くんはどうかな?」

渚「絶望…く…!」

舞丈「まだ理性はある…か、さすが柿生さんと約束しただけあるね」


でも、こんな状況でこれ以上何を

舞丈「さて柿生さん、ひょっとしてこれで破たんしたと思ってるのかい?」

柿生「…」


見透かすように聞いてきます



舞丈「だとしたらそれは間違いだよ。全問正解なんだ、規約通り君たちには最後の選択をしてもらう。ここから脱出するか否かね」

柿生「…脱出!」


そうです…こんな状況でもみんなで外にさえ出てしまえば!

柿生「どうすればいいんですか?」

舞丈「投票だよ。学級裁判の最後はいつだってみんなの投票で終わってきただろう?」

舞丈「選択肢は三つだ。確実に脱出するための選択肢、もう一つはここに残るための選択肢、そしてここで全滅する選択肢だ」

柿生「…?そんなの一つ目を選べば…?」

舞丈「そんな単純だと思うかい?まあこれを見ればわかるだろう。君たちの席にボタンを出すよ」

すると目の前に投票ボタンが3つ現れます

そこには…



1渚をオシオキし、残ったもので脱出する

2柿生をオシオキし、残ったものはここで一生を過ごす

3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う

柿生「…意味が…わ、わからないんですけど」

舞丈「一目でわかるように書いたのに?」

アナ「これじゃ探偵くんや画家さんが明らかに不利じゃん!!」

舞丈「彼は超高校級の絶望キラー、脅威だからね、そう簡単に脱出されちゃ困るよ。彼を脱出させるなら3番を選んで僕を殺し、モノクマ達を振り切るんだね」



カチッ

ピコーン!



舞丈「ん?もう一票入ったようだよ?」



1渚をオシオキし、残ったもので脱出する

2柿生をオシオキし、残ったものはここで一生を過ごす

3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う(1)



渚「…」

舞丈「なるほど君が入れたのか、渚くん」

渚「お前を殺してそれで終わりだ」

舞丈「終わらないけどね」

アナ「た、探偵くん…」

柿生「これじゃ…どれを選んだって…」



でも、だったらせめて2番で…み、みんなを…

私は2番に手を伸ばします

アナ「だ、だめだって画家さん!!」

柿生「でも、でもこれしかみんなを守る術が…」



宍戸「ハッ…ここにいようが、外へ出ようが変わんねえよ…」

円山「私は…!私は!」

月宮「」


みんなまだボタンを押す気力すらないようです


アナ「大体3番ってなに!?どうなるの?」

舞丈「そうだね。ではどれを選べばいいか分からない君たちに、一つ一つどうなるかを説明してあげるよ」

舞丈「まず3番、これが江ノ島盾子の愚かなところでね、なぜか自分にも不利な選択肢を用意してしまおうとする。ゲームという形式を重んじてるからね」

舞丈「これを選ばれたら僕は処刑される。そして君たちも戦闘型モノクマ達の手によって皆殺しというわけさ」


舞丈「続いて2番、これを選べば柿生さんは処刑される。さて残されたメンバーはどうなるかね?」

舞丈「未来機関もいなくなり、渚くんが生き残るんだ。なら決まっているよね?君たちは再び絶望キラーへと返り咲く。だけど当然そんな脅威達を外に出すわけにはいかない」

舞丈「だから君たちにはこの中に死ぬまでいてもらうよ。大丈夫、ちゃんと生活はできるようになってるからね」




舞丈「そして1番、これが肝だ」

舞丈「なぜ君たちが絶望しきれてないかわかるかい?君たちは絶望は渚くんが封じているんだ。絶望キラーを伝染させた事によってね」

舞丈「だけど1番の選択肢では、渚くんは処刑されてしまう。するとどうだろう?」

舞丈「根源を失った君たちは今度こそ絶望に堕ちるだろうね。そしてそのまま脱出。世界に放たれる」

舞丈「アナさん、君だって例外じゃない。個人差があるとはいえ記憶は必ず戻る。保証する」

アナ「う、そうなの…?」

こ、これが黒幕のやりたかったこと…


舞丈「さて、柿生さん。質問がある」

柿生「……」

舞丈「君は彼らが絶望したとして…」







舞丈「君に絶望を始末できるかい?」








柿生「………え?」

舞丈「忘れてはいけないよ?君は未来機関の人間なんだ。戦闘訓練も受けている。脅威となる絶望の駆逐、当然の事だろう?」

柿生「で、できるわけないじゃないですか」

舞丈「そうだ君には絶対にできない。だが…彼らならどうだろう?」



モニターには外の様子が映し出されます

柿生「…な!?」

舞丈「この学園の外は未だに未来機関の機動隊に包囲され常に厳戒態勢を保たれている」

舞丈「彼らは元希望ヶ峰学院生の絶望なんか絶対に許さないだろう。包囲は完全なものだ。きっと彼らだけでは逃げられない」

舞丈「なら君は、嘘をついてでも、虚偽の報告をしてでも、絶望達を庇い。そして機関の中に侵入させてしまうだろうね」

舞丈「超高校級の絶望達を…」


納得せざるを得ませんでした。だって、私はきっとその通りにしてしまう…



舞丈「これで分かっただろう?君たちを全員始末してもいい、絶望キラーを閉じ込めてもいい、絶望を機関に送り込んでもいい」

舞丈「どう転んでも一切の損はない!どう転んでも絶望!」




絶望の計画は…もう覆せない…

柿生「でも…」

舞丈「ん?」

柿生「でも、私だって彼らと同じ立場です!私自身が絶望したり、キラーになったりするかもしれないじゃないですか!!」

ほとんどやけくそな気持ちでした
だからなんだという話です


舞丈「…やっぱり君も全てを思い出したわけじゃないようだね」

柿生「どういうことです?関係ないじゃないですか!」

舞丈「ああ関係ない、君は彼らとは違う、決定的に違う点があるんだよ」

柿生「…?」

舞丈「君は絶望しないよ、絶望キラーにだってならない」

柿生「なんでそう言いきれるんです?」

舞丈「君の家族は全員ご存命だ」

柿生「…え」

舞丈「何も失っていないんだよキミは、おまけにどういうわけか神谷くんを初めとした友達たちを失ってもなお平然とそこに立っている」

柿生「…」

舞丈「君が絶望する要素は僕にはわからないよ。そもそも住んでた町が壊滅したって特に精神的な影響はほとんど見られなかったみたいだしね」

舞丈「不思議だよ、君は…」



柿生(ガクッ

私は崩れ落ちました、この状況をどうにもできないどころか、みんなと同じ立場にも…

一端休憩します

またこうなっちゃいました…もう何度目の挫折でしょうか…
なんどでも立ち直るって言いましたけど

ほんとに何度立ち直ればいいんでしょうか

どっち道こんなのを打開する方法なんて思いつきませんよ
やっぱり、2番でみんなに生きのこってもらうしか…
そうすればきっと、いつか外にいる機動隊がみんなを助けてくれるはずです

それならもう、いいですかね?
ちょっと疲れちゃいました…



ピピピピピ・・・・!!!!!


柿生「え?何の音?」

舞丈「ううん?これは…電子手帳?誰のだい?」

アナ「アンタの仕業じゃないの?」

舞丈「いやいやしらないな」



音の鳴る方には…


??「ん、んあ…ここ…は?」

ピピピピピ!!

それは何をしても目覚めることのなかった愛野さんでした


柿生「愛野…さん」

アナ「お、起きた…」

舞丈「…」



愛野「…え?私…なんでここにいるんだっけ…」

ピピピピピ…!

愛野「え、電話?」



???『ごめん!!電話じゃないよ!!』

アナ「も、もしかして」

柿生「この声って舞丈君…?」



舞丈「…これは、どういうこと…なんだ?なぜ奴が…」

ヨイクマ『ボクだよ!ヨイクマだよ!!舞丈君がビジュアルと声を舞丈君に似せちゃったから紛らわしいけど、正真正銘の僕だよ!!」

愛野「え…なによ?なんなの?」

柿生「ヨイクマさん!!でも、どうして!?」

シンちゃんの壊れた電子手帳は愛野さんのポケットに入れてありました
壊れた状態で…

舞丈「だが君は!神谷くんの電子手帳は起動しなくなっていたじゃないか!!」

ヨイクマ「ここぞって時まで、壊れたふりをしててくれって神谷くんに頼まれたんだよ、ね!神谷くん!」

柿生「あ…その…」

アナ「…」



舞丈「馬鹿な!君は僕が設定したものだぞ!?そんな事ができるなんて…」

ヨイクマ『僕はもともと人工知能のバグデーターだよ?予想していなかった挙動を起こしてもおかしくはない。それを見越した上でこうしたんでしょ?舞丈君』

舞丈「そうか、一切手を抜いたつもりなんてなかった、でも僕のプログミング技術では君を完全に制御することはできなかった。ということか…」

舞丈「いや、むしろかつての僕がそれを狙って…?思い返してみれば…そんな気がしてきたぞ。思考が違いすぎて、あの時の事なんか考えもしなくなっていたんだ…」

ヨイクマ『それで…神谷くんは?』

愛野「ねえ…どういうことなの?」


愛野さんは既に見つめていました
バツ印が付けられたシンちゃんの写真を…

愛野「ねえ、どうして!!どうして神谷くんの写真があんなことに!?どうして神谷くんがいないの!!!?ねえ神谷くんはどこ!!!???」

柿生「神谷くんは…」

愛野「いや!聞きたくない!いやぁ!」

愛野さんは激しく取り乱しています
そりゃそうですよ、何も知らなかったんですから

ヨイクマ『じゃあ、やっぱりだめだったんだ…』

アナ「やっぱりって…?」

ヨイクマ『うん、あの時神谷くんが愛野さんを眠らせた後、こうして壊れたふりなんて頼んだのには理由があるんだよ』





ヨイクマ『だれか…ボイスレコーダー持ってる?』

今回はここまで
もうすぐ完結します

柿生「ボイスレコーダー…藤原くんのですか?それなら私が…」

天城さんが最後に渡してきたこのレコーダー
私が立ち直るきっかけになったこれが
まだなにか…

ヨイクマ『柿生さんが持ってるんだね、よかった!』

舞丈「…まさか、あれは神谷くん差し金か!」

柿生「差し金…?でもこれは藤原くんの音声しか…」

ヨイクマ『神谷くんはなんらかの方法で見つからないようにしてたんだよ!ボクにはそこまでわからないけど」

私は次のトラックに回して再生してみました

トラック3「……………ブツ」

柿生「確かに…無音ですけど、まだ記録されてます」

確かめてみるとトラック2までの藤原君の音声のあと、トラック3、4、5…といくつもの無音の1秒が録音されていました

柿生「これはどういう…」

トラック30番に差し掛かった時
ついに…

『ブツブツ…あー?あー?…はぁ…ふぅ…」

柿生「流れました!!」

アナ「ちょっと待って、これ!」

『はぁ…く…、これで…録音できて…るのか?」

渚「この声は…」

愛野「神谷くんの声!!」

アナ「な、なんか苦しそうだよ!?」

ヨイクマ『多分、撃たれたあとなんだと思う…何もなければ、こんな事せずに戻ってくるはずだったんだもん!』

舞丈「なるほどやってくれたね、監視カメラじゃ倒れてる神谷くんの動きなんて把握できなかったけど…つまりこういうことをしていたのか」

柿生「じゃあ、瀕死の状態でこんな…」

神谷『みんな…聞いてるか?誰…が、どこで…聞いて…るんだかはわかんねぇ』

神谷『まずは…謝らせてくれ、死ぬつもりは…ないとか言ったのに、本気でそう思ってたのに、結局…気づいたらこのザマ…くっ…だったよ」

神谷「痛つ……簡単に手当はしてみたけど、身動きもとれない。どれだけ持つかはわかんねえ』

神谷『でも俺はべつに、犯人が誰だとか、そういうことを言うためにこの音声を残したわけじゃない』

神谷『情けないけど、そんな事はしたくないんだ…だって俺…が犯人をばらしたら、そいつは死ぬだろ?右町…が犯人だって指摘したとき、正直結構参ってたんだ」

神谷『だから…勘弁してほしい』


神谷『ゴホッ…カハッ!』

愛野「こんな…こんなの…」

愛野さんは口を抑え今にも叫びそうになっています
私も正直体の震えが止まりません

神谷『こういうときって…何を…言えば良いんだろうな』

神谷『はは…自然と言葉が浮かぶもん…だと思ってたけど…そうでもねえな』

神谷『えと、じゃあ…そうだな、円山』

円山『私は…わた…くしは…』

神谷『知ってるか?俺、結構…お前の事頼り…にしてたんだぜ?』

円山「私は…私…は?」

神谷『最初、宍戸の…緊急オペをした時、お前に…タンカを持ってきてもらっただろ?』

神谷『あれ、何となくで…頼んだんじゃないんだ。ベルボーイのお前なら適切な…判断が…下せるって思ったからなんだよ』

神谷『俺の期待通り、タンカだけ…じゃなくて、他にも水や道具いろんなもの…を持ってきてくれた。あれが宍戸の生存を確実にしてくれたんだ』

神谷『料理が上手かったり、誰に対しても協力…を…惜しまなかったり」

神谷『この個性的な面々…のなかでお前ほど、気づかいのできる奴…はいないと思ったよ。凄い奴だと思ってたんだ』

円山「…」

神谷『だからさ、簡単に腐んないでくれよ。悲観的にならないでくれよ。どんな時もを頼れるお前でいてくれ』

円山「ですが…私はもう…」

神谷『アナ』

アナ「う、うん!」

神谷『お前には頼みがある。渚を助けてやってくれ』

神谷『まだ思い出してないかもしれないけど、お前はあいつにとって大きな存在だったんだと思う』

神谷『あいつは、学園を卒業してからも何かに取り憑かれてるんみたいなんだ』

渚「お前、な、なにを…」

神谷『情けないことに俺は最後までそれが何かわからなかった。無責任で悪いけどさ。お前なら、きっとなんとかしてくれるんじゃないかって』

神谷『期待してるんだ。押しつけがましくて悪いな』



アナ「…」

アナ「謝んなくていいよ、それにアタシは…」

アナ「やりたくないことは一切やらない主義なんだ」

アナ「探偵くん…そういうことなんだよ?」

渚「…アナ」

神谷『月宮、無理はするなよ』

月宮「…!」

神谷『この先、想定外のことなんていくつも起こると思う、でもさ、それはお前の失敗だけじゃないんだ』

神谷『俺もそうだ。医者だけど救えなかった人はたくさんいる。俺の力不足もある。でも、あんなのどうしようもなかった!!って思ったこともあるんだ」

神谷『だけどそれって悪いのか?仕方ないことだってあるじゃないか』

神谷『だってそうだろ?お前は明らかに渚なんかより一人で抱えすぎなんだぜ?そう見える』

神谷『頼れる人はいっぱいいるよ。そして頼ってたつもりでも、便り切れてなかったことも』

神谷『少しぐらい頼りっぱなしになるくらいで丁度いいんじゃないか?』

月宮「……」



月宮さんは無言で私を見てきました

柿生「…」

だけど私は不覚にも大した返事はできなくて…

神谷『天城』

柿生「え?」

だって天城さんは…あなたを…

神谷『俺はお前を許さない』

神谷『当然だろ!だって俺は許せねえもん」

神谷『でもさ、ほかの奴はなんだかんだで許してくれるんじゃないか?』

神谷『だってみんないいやつだと思うからな。お前だってきっと悪い奴じゃないんだ』

神谷『だから、俺の事は忘れていい。ああそれがいい!な?』



神谷くんは、ひょっとしたら願っているのかもしれません
自分を殺した相手だろうと…生きていることを

でもその願いは空しく、声は既に届きません

神谷『宍戸』

宍戸「神谷ぁ!俺ぁどうすりゃいいんだよ!!」

神谷『お前は、何を言えばいいんだろうな…?』

宍戸「はぁ!?」

神谷『お前は、もっとなんとかならなかったのかよ…って部分も多いしなぁ。迂闊な行動で簡単に死にかけるし…』

神谷『俺を脱出させようとしたあの寸劇も、やっぱりアレはねえよ』

宍戸「…」

神谷『でも、なんでもかんでも本気でやってたよな」

宍戸「!」

神谷『お前がいつでもそんな調子だから、この思い雰囲気の生活も、ある程度前向きに過ごせた気がするぜ』

神谷『ありがとな』

宍戸「…なんだ…そりゃ…結局俺は…なにも」


神谷『愛野』

愛野「神谷くん…」

神谷『正直、なんでお前が好きなのか分からなかったんだ』

愛野「え…?」

神谷『でも、記憶を取り戻して思い出したんだよ。俺お前に凄く助けられたことがあるんだ』

神谷『は、恥ずかしいから、さすがにみんなが聞いているかもしれない、この状況では言えねえ//』

神谷『でもお前もいつかきっと思い出すよ。学生時代ではお前が俺を好きになったんじゃなくて…俺がお前を好きになり始めたこと』

愛野「そ…そうなの?」

神谷『あと、俺がいないからって間違えてもじ、自殺とかするんじゃねえぞ!俺、あの世とか信じてないけど、こっちに来たら許さねえからな!』



神谷『もうお前は独りぼっちじゃないんだからさ』

愛野「……でも…」

神谷『ナギ』


渚「……」


神谷『約束は覚えてるよな?』

渚「勝手に死んだくせに何を言っているんだ、アラタ」

神谷『ここでした約束じゃねえ、もっと前のやつ。卒業する前のやつだ』

渚「…」

神谷『破るなよ?我儘言ってるのは重々承知だ。でもあいつにはもうお前しかいないんだ』

神谷『お前以外にどれだけいても…やっぱりお前の存在は大きいはずだと思う』



渚「アラタ…お前が何を思おうと、もう俺は…」






柿生「ちょっと待ってください…誰の話をしてるんですか…?」


ここまで言われてしまえば、私がどんなに鈍くてもわかると思います


柿生「何を勝手に約束してたんですか!!」

怒りと悲しみを叫びます
いままで出したどんな大声よりも大きな声で…


柿生「ええそうですよ!!ナギくんは私にとって特別大事な存在ですよ」

柿生「あなたはどうなんですかぁ!!何が約束ですか!卒業の時?卒業前からいなくなる予定だったんですか!?」

柿生「ふざけないでくださいよ!あなたなんか、そんなシンちゃんいなくなっても構いませんよ!!」

柿生「…いなくなっても…生きていてくれれば、それでよかったのに…我慢したのに…」

神谷『ユキ』



柿生「………………なんですかぁ!!」


神谷『藤原がさ、お前に自信を持てって言ってただろ?』

神谷『ついでに親友のナギや俺が、なんで言ってやらないんだ、だの、愚かだ、だのディスってたけどさ…』

神谷『俺はお前の成長に気が付かなかったわけでも、言えなかったわけでもねえ』

神谷『俺は藤原とは別の考えをもってたんだ』


柿生「…なんです…?まだまだ自信なんか持つなとかうぬぼれるなとでも言うんですか?」




神谷『俺に言わせりゃ、お前はまだまだだ!!!』



柿生「…え、えぇ?」(ビク!


神谷『お前は結局他人ありきなんだ!!自分じゃなにもできないとか、それだけじゃねえ!!』

神谷『お前からはいつだって、自分なんかどうなったっていい、他の人のためになればいい!』

神谷『極端に言えばそんな心が、見えてくる気がするんだ…』

神谷『他人の良いところばかり見つけちまうのだって、自分の周りの風景を描くのが上手いのだって』

神谷『いつだって、なんとなくそこにはお前自身ってのが感じられなくて』

神谷『記憶の片隅に銃を構えるお前を思い出すたびに、思ったんだ』


神谷『お前は他人のためとはいえ、銃を手に取って戦うようなやつじゃ、戦わせていいような女の子じゃないんだよ!』

神谷『だから…自分のことも思いやってくれよ』

柿生「…」

神谷『俺が今生きてるって確信を持てるメンバーはこれだけだけど、もしも他にも実は生きてたって奴がいたら、よろしく言っといてくれ』


神谷『あと、黒幕!残念だったな!!』

神谷『俺は死ぬ気はなかったし、たとえ死ぬことになってもただで死ぬ気はなかったってことさ!!』

神谷『ざまぁ、みやがれ…』




神谷『ユキ』

神谷『それでも、やっぱり他人のことばかり考えちまうなら、こんな場所から助け出そうって思うなら』

神谷『そこにはお前も必要不可欠だ。間違っても命に代えてもなんて考えるな!』

神谷『みんなを助けるのは「お前の力」だ!そして藤原も言ったみたいに、みんなを引っ張っていくのもお前だ!』

神谷『形からでもいい、いつもと違う一歩を踏み出してみろ!!』



神谷『殻を破ってみろ!!!!』

『ブツ…』

柿生「…」

命に代えても…確かに心のどこかでは思ってたのかもしれません
自分が死ぬかもしれないってことに、さほど恐怖は感じてませんでした
それでも誰かのためになれれば、こんな私でも役に立てば…そんな風に思ってたのかもしれません


――――――――――

渚『だがお前は、まるで殺されても平気みたいな印象を受ける』

――――――――――


そういえば、いつだったかこの生活の中で、ナギくんにもそう言われてしまったことがありました
ならやっぱり、言ってることは少なからず正しいんでしょうね…
なんだか、納得できてしまいます
自分は死んじゃうくせに、なんかずるいです



なんでこんな穏やかな気分なんでしょう?
思いっきり叫んだからでしょうか?
でもなにか、つっかえが取れた気もします



柿生(…見ててください、シンちゃん)

私は変わってみせる
形から変える…だったら…




柿生「……みんな!私の話を聞いて!!」

今回はここまで

柿生「私の話を聞いて」

みんなは未だに俯いたままです
顔も心も、どうすればいいかわからないという気持ちがにじみ出ています

舞丈「…神谷くんの演説は大層見事だったね、君も感化されたようだけれど。だからと言って話し方を変えただけで、どうにかなると思うのかい?」

柿生「これはあくまで一つの形。親友のアドバイスに従っただけ、そして今の私は何をするべきなのか、それがやっとの事で明確になったから」

柿生「いままで、私たちは失いすぎてきた」

柿生「時間も…」

宍戸「…おうさ、こんな世の中になんなきゃよ…もっと普通に楽しくやってたのによ…」

柿生「宝のような記憶も…」

アナ「うん…アタシ、なにも覚えてない。みんなと一緒だったことは知ってるのに、実感がわかない」

柿生「大切な友達を、家族をも失った人だっている」

月宮「ええ…」

円山「もう、二度とお会いすることは叶いません」

愛野「もう、どうすることもできないの」


柿生「たくさんの希望を失った」

渚「…」

生「だけど、それは果たして取り戻せないもの…?」

渚「…?」



舞丈「何を言っているんだい?時間も、友達も、取り戻すことなんてできるわけがないじゃないか、オカルト的な話でもしようというのかい?」

舞丈「君たちはもう元には戻れないのだから」


柿生「ううん。私にはそうは思えない」

舞丈「…」

柿生「確かに取り戻せないものだってある。亡くなった人は帰ってこないし、過ぎた時間はどうやっても遡ることはできない」

舞丈「…うん、そうだね?」

柿生「でも私は記憶を取り戻してる」

舞丈「…!」

柿生「取り返せている。亡くなった人も、いなくなるわけじゃない。いまならあのころの思いでも鮮明に描くことができる」

柿生「みんなだってそう。これから記憶を取り戻すなら、それはなくなった彼らが次第に帰ってくるようなもの」

舞丈「屁理屈だね。まあいいよ?百歩譲って、仮にそれが彼らを取り戻す手段だとして…時間はどうだというんだい?」

舞丈「みんな絶望キラーとして、狂気のままに破壊を繰り返す日々を過ごしてきた。君だって本来ただの絵描きが、銃をとって戦うように。僕だって、君たちを助けようと尽力したが、今はこのザマだ」

舞丈「とても有意義に過ごした時間ではないと思うがね」


柿生「それはこれからの私たちがどうやって生きていくかだと思う」

舞丈「ふむ?」

柿生「いつか、あの時の時間が無駄な時間なんかじゃなかったって思えるようになれれば。そう言う風に生きていければ…失った時間なんてなかったことになる」

舞丈「へぇ、それで?君がそう思っていても他の人達はそれで納得できるかな?言っただろう?どう転んでも絶望なんだよ」


舞丈「彼らには支えとなる肝心な希望がないんだ、どうするつもりなのかな?」

柿生「だったら、いっそ…」





柿生「私がみんなの希望になってみせる」

舞丈「……なんだって?」

柿生「宍戸くん!」

宍戸「俺…?俺はやっぱりそんな風には考えられねえよ…だってよ、いねえものはいねえんだ」

宍戸「しかも俺は俺の目の前から消えてく奴に、何にもできちゃいないんだ」

宍戸「いつも俺ばかり助かっちまう、神谷に救ってもらったこの命は誰かのためにならねえ!」


宍戸「俺寂しがりなんだぜ?もう、いやなんだよ。誰かが目の前で死んじまうのは…それを見るのは…」




柿生『それは違います!!』論破!!




柿生「私はあなたの目の前から消えたりしない!」

宍戸「てやんでい!そんなこと分かんねえじゃねえか!何が起こるかなんて!!」

柿生「だって、あなたはみんなに生きていて欲しいって願ってるから」

宍戸「…?」

柿生「あなたの抱くその願いに…そのみんなへの希望を、裏切ることなんてできないから」

宍戸「希望…?」

柿生「だから、少しの間、私についてきて。私を信じて」

宍戸「……」

柿生「円山くん!」

円山「私は…わかっているのです。見捨てられても仕方ない器なのだと…」

円山「ご存知の通り…私は、ベルボーイの才能を持っております。様々な方の些細な助けに長けると自負しております」

円山「ですが…それは所詮、些細なことに過ぎず、補助的なもの。私の力だけでは、その方にとって大きな助けにはなれないのです」

円山「右町様の助けにはなれず、天城様の苦しみにも気が付かず…かと思えばかってに我を失い。月宮様と柿生様にも危害を加えてしまいました」

円山「であれば、あの時見捨てられて死にかけたのも、妥当なのでしょう」

円山「私はどうなろうと構いません。いっそ…」


柿生『それは違います!!』論破!!


円山「何が…違うのですか?否定の余地がないのは私が一番…」

柿生「だって私には円山くんのようなことはできないから!!」

円山「…!」

柿生「その、私も周りばっかり気にする方だけど…大きな助けは愚か、些細な手伝いなんていくつできたかどうか」

柿生「私なんておっちょこちょいだし、むしろ迷惑をかけた事のほうが多いと思う」

柿生「でもその点あなたのする事は、あなたが他の人のためにしたことはいつだって完璧で、それは些細なことなのかもしれないけど」

柿生「でも…とても大きな助けになってる」

柿生「それにあなたは、とてもやさしいから…ちょっとだけ卑怯な手を使います」

柿生「これからも…助けて」

円山「……あ…」

柿生「アナさん!…はー」

アナ「ん…そうだね、みんなに比べたら平気だよ?楽観的すぎるだけなのかもしれないけど」

アナ「でも何か一言押してくれれば…もう少し踏ん切りがつく…かな?」

柿生「じゃあ…」


柿生「私の、親友の一人は少し頭が固いというか…融通が利かないというか」

柿生「一人じゃ骨が折れそうだから…」


アナ「乗った!!」

柿生「!」

アナ「そういうことならアタシに任せてよ!実はもう一人の親友とやらにも頼まれちゃったんだ」

アナ「ね、柿生さん?」

柿生「ふふ…はい!」

柿生「アナさん!…はー」

アナ「ん…そうだね、みんなに比べたら平気だよ?楽観的すぎるだけなのかもしれないけど」

アナ「でも何か一言押してくれれば…もう少し踏ん切りがつく…かな?」

柿生「じゃあ…」


柿生「私の、親友の一人は少し頭が固いというか…融通が利かないというか」

柿生「一人じゃ骨が折れそうだから…」


アナ「乗った!!」

柿生「!」

アナ「そういうことならアタシに任せてよ!実はもう一人の親友とやらにも頼まれちゃったんだ」

アナ「ね、柿生さん?」

柿生「ふふ…」



柿生「愛野さん!」

愛野「…神谷くんはいなくなっちゃった…ヘビさんも…」

愛野「せっかく、何となく人との付き合い方が分かってきたのに、今までの私と決別できそうだったのに」

愛野「私はやっぱり一人ぼっち…」



柿生『それは違います!!』論破!!



柿生「一人なんかじゃない!!」

愛野「わかってるよ…でも…でもやっぱり、神谷くんがいないと私…」

柿生「だけど、シンちゃんがさっき言ってた記憶…あなたはまだ思い出してない!」

愛野「……」

柿生「シンちゃんの方から好きになったって…とても素敵なことだと思う!」

柿生「そんな素敵な思い出をあきらめていいの…?」

愛野(フルフル!!

柿生「だったら、一緒に行こう?一人ぼっちなんかじゃないのは…わかってるんでしょう?」

愛野「……」


柿生「月宮…さん」

月宮「グスッ…柿生さん、私…どうすればいいのかわからない」

月宮「私はいつも…実は臆病で…他人の事を、疑ってしまって…」

月宮「何かあっても私一人…の力…でやらなきゃって…」

月宮「でも、一度失敗すると…計算はどんどん狂って…いく」

月宮「いつからか…私の行動はなぜだか…いつも悪い方向へ…向けてしまうような、そんな気がしてしまうの!」

月宮「藤原君や…右町さんは私が殺したと…思ってしまって…」

月宮「あの時、柿生さんを信じるって決めた事も!決めた…はずだったのに…さっきはやっぱり、疑ってしまって…」

柿生「でも、だってあれは私が…!」

月宮「…いいの、分かってる…私だってそうするもの」

月宮「でも…もう…どう思えばいいのか、どう考えていけばいいのか…私は…分からない」

柿生「月宮さんは自分を追い詰めすぎてる…」

柿生「他人の事を疑わなきゃいけないのは当然だと思う!そのたびに嫌な気分にもなるし…こんな生活の中、自分自身がって張り切ってしまうのも…気持ちは分かる」

柿生「私は、疑ったり警戒したりするのは苦手だし、嫌だったから、そこから逃げちゃっていた。でもあなたは疑うことにひたすら向き合い続けていた」

柿生「でもそんなの、やっぱり精神的に疲れてしまうと思う。厳戒が来たって悪いことでもなんでもない!」
月宮「だったら!!!」




月宮「私は…これから、どうすればいいと言うの…?」

柿生「…どうしたい、ですか?」

月宮「…ここにいるみんなと…一緒の生きたい」

柿生「じゃあ、そうすればいいと思います。私には止める理由はありませんよ?月宮さん」

月宮「…柿生さん…グス…ありがとう」


アナ「そうだよ!そもそもアタシ達は被害者なんだから」

愛野「ここで、諦めちゃったら…絶望しちゃったら、なにもかも終わりなのよね」

円山「ええ、私たちの存在は何にもつながらなくなってしまいます」

月宮「希望は見えたから、せいぜいそれを追いかけさせてもらうわ。柿生さん」


柿生「みんな…!」

柿生「舞丈君、私たちはまだ…」

舞丈「フフフ…」

柿生「…?」


なぜ彼は笑っているんでしょう?
だって私たちは決めたんですよ?
ならもう…


舞丈「ハハハハッハッハ!!!」

柿生「な、何がおかしいの?」

舞丈「いやいや、見事だね。ここまでやってくれるとは…」

舞丈「本当に…」






舞丈「想定通りだよ」

今回はここまで~

柿生「想定通り…?あなたはこうなることまで考えていたと…?」

舞丈「いやさすがに神谷くんの遺言が残ってたり君がこんな行動に出るとは考えなかったさ。でも僕は状況を理解しろと、どう転んだって絶望となんども言っていたはずなんだけどね」

宍戸「けっ、往生際が悪いだけか?」

舞丈「状況は変わってないんだよ。この学園の玄関は特殊な仕組みでね、あるボタンスイッチがないと絶対に開かないんだけど…それは誰かさんに持っていかれてしまっていてね。この学園にはないんだ」

円山「それでしたら一体、どうやって、私たちの脱出が約束されるのですか?」

舞丈「当然、この投票によってだよ。1番目と3番目の選択肢なら、扉は開く。もっとも3番目だと、全力で殺しにかかってくるモノクマ軍団をかいくぐる必要があるけれどね」

舞丈「全員が脱出するには一番リスクの高い3番しかない、でも君たちは本気でそれをやってのけようと言うんだろう?」

どういうことでしょう…?確かに状況は変わっていませんが
でも私たちは3番目の選択肢に投票して、なんとか全員での脱出を目指す
リスクは限りなく高いのかもしれませんが…

そういうことが言いたいんでしょうか…?

柿生「リスクがどれだけあろうと…、やってみせる!!みんな!3番に投票を…」

舞丈「ああ、ならやってみるといいよ。3番を選んで『僕を殺してから』なんとか脱出してみるといい」

柿生「な……!」


3舞丈をオシオキし、学園内のモノクマ達と戦う

そうだ、この方法だと…舞丈君は…



舞丈「気づいたようだね。そう、君にできるのかな?舞丈千人を殺すことが…」

柿生「あ…そうだ舞丈君は…」

愛野「で、でも私たちをこんな目に合わせた黒幕なんでしょ!気にする必要は…」

円山「愛野様…実は彼そのものが悪いわけではないのです」

愛野「え?」

アナ「そっか、寝てたからまだ知らないんだよね…」

月宮「よく考えてみると、舞丈君だって被害者のうちの一人…」

舞丈「その通りさ、僕は勝手に江ノ島盾子という絶望の存在を植え付けられたんだからね」

舞丈「その投票を終えれば、僕はまもなく処刑される。君たちにできるのかな?そんなことが…」

舞丈「だったらいっそ、そこで黙りこくってる彼を犠牲にするのも手だと思うけどね?そっちの方が確実だ」

渚「……」

柿生「な、何を言って!!」




ヨイクマ『みんな!!大丈夫だよ!!』

舞丈「…ふむ?」

ヨイクマ『3番を選んでも舞丈くんは死なないようにしたよ!』

柿生「そんなことどうやって…?」

ヨイクマ『舞丈君がなんでオシオキされても生きていられたんだと思う?』

柿生「…江ノ島盾子の思惑ですか?」

ヨイクマ『舞丈君は、江ノ島盾子の人格を上書きする予定だったから…オシオキを受けても死なないようにリミッターがかかってたんだよ!』

ヨイクマ『あのオシオキの衝撃で…気を失った舞丈君はモノクマ達に回収されて、密かに、ケガの治療をされ…超高校級の絶望として覚醒させられたんだ』

ヨイクマ『だから、そのリミッターの部分をちょちょいとね!』

舞丈「また君か…もとのAI完成度が高いのが、今に邪魔になるなんて…」

月宮「少なくとも、私たちの舞丈君の思惑は果たせているみたいね」

ヨイクマ『うん!』





柿生「みんな3番に投票を!!」

月宮「ええ!」

愛野「うん!」

宍戸「おっしゃ!」

円山「はい…!」

アナ「よーし!」

who is found OSHIOKI?

ジャガジャガジャガジャガ

ジャン!

「 舞丈」
(^O^)/

oshioki!!!!







閉廷!!

舞丈「…ふむ、オシオキマシーンは起動しないか…やられたね」

柿生「これで…」

宍戸「でも、ここからが山だぜ!?なんとか逃げ出さねえと!」


舞丈「いいや、違うね。まだ届かない」

舞丈「なぜなら、この選択はあくまで手段でしかない!僕か渚くんが死なない限り…扉のロックは解除されないからね」

宍戸「じゃ、結局意味ねえじゃねえかよ!!!」






渚「…なら、やることは決まっている」

<<<ナギサ<<<


俺は自分の席を離れ、不敵な笑みを浮かべる舞丈にゆっくりと近づく

そしてさっきは見つからなかったのか、それともなにかの意図があって回収されなかったのか

懐に入っていたそれを突きつけた



アナ「探偵くん…、その銃…!」

舞丈「ふふ…」

柿生「…デザートイーグル…!でも、なぜ!?だってそれは、私の部屋に!!」



渚「お前はあの日『すべての部屋を開放した』と言っていた」

舞丈「ああ、言ったね」

月宮「まさかとは思うけれど…」

円山「私たちの個室も開放していたというのですか!?」

宍戸「え、ちょ、み、見られたら困るものとかあるだろ!!」

愛野「どうしよう…なんのことかわからない」

ヨイクマ『まあ、そりゃ愛野さんはね…』

渚「俺は、柿生が銃を手放したことを確認してから、その足で柿生の部屋に向かった。部屋の机には、銃と弾丸…揃えておいてあった」

俺はコッキングを済ませ、再度銃口を向ける

舞丈「いいね、絶望的だ。先に言っておくけれど、僕を殺せば君はただの殺戮マシーン、絶望キラーに戻ってしまうと思うよ」

舞丈「そうなった君が、彼らにどんな影響をもたらすか…まあ、彼らは希望を抱いてるようだし、今となってしまっては僕にも分からないよ」

舞丈「でも…少なくとも、いい影響は与えないだろうね。それでも引くかい?その引き金を」


アナ「た…渚くん!!」

俺は引き金を…

↓1

1引く
2引かない

渚「……」



頭の中に、全てが崩壊していく中で、死んでいった人間達を思い出す

―――――――――

あの人たちが、何をしたというんだ…
むごたらしく殺される理由があるというのだろうか?
子供だっている…まだ、この先を長い時間を生きていくはずだった

なぜ…関係のない人がこんな絶望を背負わなくてはならないんだ…


ふざけるな…
絶望を…一つ残らず消し去ってやる…

―――――――――


渚「…ふん」

俺は銃を下した


舞丈「…な、何を…しているン……だい?」

渚「これで決別だ」


渚「俺はもう二度と約束は破らない」

今日はここまで~

次でおわるかな?

俺が向き直るとみんな深刻な顔でこちらを見ていた

渚「…なんだ?」

ただ一人は比較的笑顔でこう聞いてきた

アナ「探偵くん、これでいいの?」

渚「ひとまずは…みんなが望んでいるわけでないのなら、これで構わない」

アナ「なーんだ、本気で心配しちゃったじゃん」

柿生「ナギくん…ありがとう、これで全員揃って動ける」

渚「安心するのはまだ早い、こうなった以上なにが起こるかわからないぞ」

愛野「じゃあ、モタモタしてないでここから逃げないと!」


舞丈「逃げる…?何を馬鹿なことを言っているんだい?玄関は開かないさ、僕か君が死なない限りはね」

渚「さぁ、どうだろうな」

舞丈「何か…勝算でもあるのかい?」

渚「ふん」

舞丈「まあいいやってみなよ!…ただし」

ビーストモノクマ「「「「ウププ!!!」」」」

宍戸「な、なんだありゃああ!?」




どこからともなくモノクマの亜種が大量に出現した
なるほど…見るからに凶暴だ




舞丈「キリバタウンや塔和シティも襲わせた戦闘モノクマの一つ、ビーストモノクマさ」

舞丈「ここだけじゃない、既に学園全域にモノクマ達を解き放ってるからね、ケガで済むといいけどね!」


月宮「まずいわ、ここから出ましょう!」

円山「ですが、ひとまず裁判場から移動するにしてもどうやって?」

ヨイクマ『学級裁判自体は終わっているから、エレベーターは動くよ!』

宍戸「じゃあ、ずらかるってことでいいんだな?」

柿生「ええ!みんな!エレベーターに走って!!」

愛野「あれ?…足が…うまく」


愛野は車いすから立ち上がろうとしたが、大きく体制を崩してしまった


渚「!…愛野!」



しまった
愛野は寝たきりだったんだ、いきなり動くのは無理がある



柿生「愛野さん!」

円山「お任せください、私が援助します!柿生様は早くエレベータへ!」


円山は今まで見せたことはないほど素早く愛野の元へ駆け寄った


円山「愛野様!こちらへ」

愛野「う…うん!」


だがビーストモノクマとやらはみるみるうちに距離を詰めていく


アナ「早く!急いで!!モノクマが…」

渚「くっ…」

俺はエレベーターの中から銃を構えてみる


銃の弾は一発しかない…ここで使うしかないのか?
しかし、そもそも一発ではなんとも…

やはり直接…


宍戸「ちくしょう!!見てるだけでいられるか!!!」

アナ「あ、歌舞伎君!!」


俺が判断を渋っている内に、宍戸が向かっていってしまった



ビーストモノクマ「がるる…死んじゃえぃ!」

愛野「いや…!」

円山「うわぁ、愛野様!」

宍戸「うらああああ!!!」

宍戸は間一髪のタイミングで、モノクマに十手を振り下ろす


ビーストモノクマ(ガツン!!
ビーストモノクマ「うわっ…トホホ…」

モノクマはそんな言葉を発しながら、ピ…ピ…ピ…とタイマーのような不吉な音が聞こえてきた

柿生「いけない!爆発する!」

宍戸「なっ!?」


ドカーン!!

宍戸「うぉわ…!!!」

愛野「きゃ!!」

円山「ひぃぃ」



月宮「今よ!渚くん、エレベータの閉ボタンを!」

アナ「ちょ…!」
柿生「ええ!?」

渚「…!」

エレベーターは閉じきった…

アナ「ほ、本当に間一髪だったね」

渚「ああ…」




愛野「うぅ…」

宍戸「痛つつつ…」

円山「し、死ぬかと思いました…」


爆発の衝撃で三人とも奇跡的に閉まる直前のエレベーターの中へとふっ飛ばされてた


月宮「さすがに冷や冷やしたわ、渚くんがボタンを押してくれなければ、あのままモノクマ達もなだれ込んできたかもしれなかった事を考えると」

アナ「ああ…なるほどね、焦ったぁ」



柿生「………」

渚「…柿生?」

柿生(プルプル…!

渚「どうした?」

柿生「!」



どちらを操作しますか?↓1

1渚
2柿生

柿生がなぜか震えている…なにか様子が…



柿生「ぷはぁ・・・・!!」

渚「?」



柿生「疲れました!慣れない話し方はするもんじゃありません!!」


アナ「あ、戻った」

柿生「皆さんいつもどうやってこんな話し方を続けてるんです!?」

愛野「どちらかというとそっちの方が変よ…」

柿生「で、でも!だって円山君だって敬語じゃないですか」

円山「え、ええ確かにそうですが…こちらの方が少数派なのは確かです」

柿生「そんなぁ」


月宮「…く、ふふふ」

宍戸「ふ、あははは、なんだよそれおかしいぜ!」

ヨイクマ『でも確かにちょっとぎこちなかったよね』

柿生「そ、そうですか…?」


なぜだか、みんなの緊張感がほぐれていく
ここからも危険なのだが

エレベーターはもうすぐ到着するだろう



渚「ヨイクマ、上の状況はどうなってるんだ?」

ヨイクマ『うーん、至るどころにモノクマはいるみたいだよ?大丈夫?』

渚「どこか安全な場所はないか?」

ヨイクマ『体育館なら、なにもいないけど…あれ?なんでだろ?」

渚「…ひとまず、そこまで行くしかないか」


愛野「扉…どうするの?」

宍戸「開かないんだよね?」

柿生「えっと…ごめんなさい、実はそこまでは考えていなくて」

月宮「まあ、当然ね。ここまでは想定できないわ」



渚「二つほど、手がある」

柿生「そのうち一つは絶対に容認しません!」


鋭いな…


渚「なら、なんとかして破壊するしかない」

宍戸「てやんでい!!」

宍戸「さらっと流すなよ、もう一つはなんだ!?」


渚「俺が死ねば扉は開く」

宍戸「おお、そりゃスルーだわ」


ヨイクマ『もうすぐ着くよ!みんな』

柿生「まずは体育館までですね」

円山「愛野様、大丈夫ですか?」

愛野「だいじょ…」

アナ「走れはしないよね、医者くんなら止めそう」

円山「では今一度私が…」


宍戸「いいや、俺がおぶってやらぁ」

愛野「ええ?宍戸が?」

宍戸「なんで微妙に不満そうなんだよ」

月宮「でも、状況的にみて誰かが背負っていった方がよさそうね」


愛野「私…そんなお荷物みたいな」

宍戸「なんなら、ここから出てから旨いもん食わせてくれよ、神谷ばっかりで羨ましかったんだ」

愛野「…もう」

アナ「それいいね!パティシエちゃんのケーキおいしいから」

渚「宍戸、さっきの十手を貸してくれ」

宍戸「おう?」

渚「俺が前に出る、武器が欲しい」

アナ「大丈夫なの?」

柿生「だったら私も!」

渚「だめだ」

柿生「でも渚くん一人じゃ」


渚「いや、一緒に前に出てもらう役は円山に頼みたい」

円山「わ、私ですか!?」

渚「ああ…周りの警戒を頼みたい、俺は前を向く」

円山「…かしこまりました」


チーン


扉は開く

モノクマ「クマぁ!!!」

渚「はぁ!」


エレベーターから飛び出した俺は一番近くにいたモノクマを蹴り飛ばした

それほど重いものではない、なんとかなりそうだ


円山「皆様!こちらです!」

宍戸「オラオラオラ!!」

月宮「モノクマだらけね…」



円山「は!渚様、左方に!」

渚「くっ」

モノクマ「がるる!!」


流石に、物量が…

すみません、今日はここまで

渚「邪魔だ!」

モノクマ「うぷぅ!?」

ドカーン…!



渚「くっ…リーチの短い武器だけじゃ丸腰も同然か…?」

なんとか蹴散らしていくが、次第に限界が見えてきている
このままでは…


宍戸「ったく、なんつーバリエーションだよ!?」

アナ「あっちは火炎放射器みたいなの持ってるよ!!」

愛野「他にも武器ないの…!?」

アナ「流石に武器庫までは行けないよ!」

ヨイクマ『気を付けて!ここにはジャンクモノクマっていう厄介なのもいるから!』

月宮「さらに厄介なのとなると、あまり想像したくはないわね…」


柿生「…ジャンク…そうです!」

円山「な、渚様!!後ろを!!!」

渚「なに…!?」

モノクマ「エクストリィィム!!」

俺は背後から迫っていたモノクマに気が付かず反応が遅れてしまった
鋭いかぎ爪が目に入る、くらってしまえばひとたまりもないだろう

万事休す…か…

ただ…これでも扉は開くだろう


最悪の展開だけは免れるはずだ…






だが俺の考えていた通りにはならなかった

柿生「ええい!!」

ガン!!

モノクマ「うがぁ!!」

ドカーン


柿生「大丈夫ですか!?」

渚「か、柿生、お前…」

いつの間にか柿生は釘バットを持っていた

柿生「これですか?ナギくんが倒してバラバラになったモノクマから取ってきたんです」

柿生「少し下がっててください!」

渚「…な、馬鹿な事を言うな!下がっているのはお前…」

柿生「言います!…みんなを守るためならいくらでもバカになってみせます!」


柿生「えい!」
モノクマ「ノウ!」

柿生「や!」
モノクマ「そんなぁ…」

柿生「通してください!!」
モノクマ「絶望的ぃ!」


信じられないことに、柿生は無数のモノクマ達を適切に対処していた
未来機関で受けたであろう戦闘訓練の影響か…?

渚「……」


あいつは、ずっと俺たちの後ろをついてきていた
そんな奴だった…

お人よしで、怖がりで、鈍感で、自信が持てないでいて
虫も殺せないほど優しくて…

ただひたすらに、俺たちと一緒に居たがっていた
引き剥がされないように必死だったような印象があった

そんなあいつが…


柿生「皆さん!ついて来れてますか!!」

あいつはここまで変わったのか



柿生「離れないでください!一緒じゃないと意味がないんです!!」

いや、きっと根本は変わっていないんだ
ただあいつは、みんなと共にありたいだけ

こんな簡単なことは初めから分かっていたはずなんだ

渚「…俺がモタモタしていた内に、逆に抜かされたのかもしれないな、アラタ」

ふん、なら俺も止まるわけにはいかない
ましてやあいつの後ろで腐っているわけにはいかない!

渚「柿生、左は任せるぞ」

柿生「はい!」


俺たちは戦っていった…



愛野「なに…?あのデタラメな戦闘力…」

アナ「これって無双系アクションゲームの画面かなにか?」

宍戸「なあ、俺たちも渚と同じ絶望キラーだったんだろ?…本当にあんな感じだったのか…?」




月宮「…おかしい」

愛野「どうしたのよ?」

月宮「舞丈君はあの後何をしてるの?無事でいるのなら、このまま何も仕掛けて来ないとはとても考えられないのだけど…」

円山「皆さま、もうすぐ体育館です!」


ヨイクマ『…ヤバい!』

宍戸「んあ?」

ヨイクマ『あいつが来た!』

ミシミシ…ズガーン!!


柿生「か、壁が…!?」

体育館も目前に迫ったところで
突如真横の壁がすごい勢いで破壊される


巨大ジャンクモノクマ「シュー…」

柿生「え」

まずい…!

俺はとっさに柿生の腕を引っ張り
柿生と場所を入れ替える形で庇った


巨大ジャンクモノクマ「!!!!!!」

そして


ザシュ

渚「うぐっ」

ザシュ

渚「ぐああああああああ…」

右腕を中心に鋭い斬撃を受けてしまった
目でしっかり見える量の血が噴き出す

アナ「た、探偵くん!!!」

柿生「ナギくん!!!!」

裏返るほどの悲鳴が聞こえ
意識が朦朧とする
右腕は焼けるように熱く…

ただ…それでも足は止めないでいた

~体育館~

渚「く…?」

アナ「探偵くん!よかった…死んじゃったのかと思ったよ」

渚「どれくらい経った?」

アナ「いや全然、3分ぐらい!」


体育館の扉の外からは、ドアを叩く大きな音が怒号のように響いている


渚「あまり状況は良くないな」

アナ「うん、いまみんなどうするか考えてる」

渚「…やはりここに来たのは正解かもしれないな」

アナ「え?モノクマがいないから?」

渚「ああ、あれだけ量がいながら、なぜここだけあの兵器が配備されていないか」

アナ「…黒幕、舞丈くんにとって都合が悪いから?」

渚「それくらいしか理由がない。普通のモノクマであればここにも出入りしていたからな」

アナ「そうなると、それはなんで?」

渚「単純だ…邪魔なんだろう」

渚「ここは元々シェルターだと聞いた、シェルターからの脱出手段が用意されていてもおかしくはない」

渚「当然黒幕にも使用可能ななにかだ」

アナ「そうか!あんなのがいたら、アタシ達の脱出の邪魔だけじゃなくて、黒幕にとっても邪魔だから!」

渚「あとは…それを見つければ、くぅっ!!」

右腕から激痛が走る

アナ「無理しないで!応急処置も満足にできてないんだから」

ケガ部分を見ると、不十分ではあるが包帯が巻かれていた

渚「この包帯は…?」

アナ「アタシ、学級裁判の前に保険室にいたから、何かに使えると思って救急箱を持ってきてたんだ」

アナ「でも医者くんじゃないと、こんな大きなケガどうしたらいいのかわからないよ!」

渚「落ち着いてくれ」

アナ「落ち着けるか、バカぁ!!アタシがさっきどれだけ冷や冷やしたと思ってるんだよ!」

渚「俺は死なない、まだアナスタシアになにも返していない」

アナ「え?なんの…こと…?」

渚「正直、先ほどまでは死んでもいいと思っていた。俺が死んでも扉は開く」

渚「だが、今は俺にも希望ができた」


渚「ここで死んだら、あいつの願いを踏みにじってしまう」

渚「柿生!」


愛野「ねえ!渚が起きてるわよ」


柿生「あ、ナギくん、目が覚めましたか?」

渚「気が付いているかも知れないが、ここにある違和感の正体を突き止めろ。お前ならできるはずだ。お前の才能なら…」

柿生「私の才能…?」


柿生「は!」


柿生はスケッチブックを取り出すと最初のページの方を開く

円山「柿生様、どうなさいました?」

柿生「私、実はここの風景をスケッチしてるんです、照らし合わせればもしかしたら!」



柿生「あれ…?あの壁の木の絵…どこか…違う?」


ドカン!ドカン、バキバキ

宍戸「おいそろそろ扉がやべえぞ!!」


柿生「ここ…押せる?」

何をおもったのか柿生は教壇の後ろの壁を思いきり押し出している


ガガガガ…

柿生「ひ、開いた!」


宍戸「おお!?」

月宮「警戒は怠らないで!罠の可能性も…」


柿生「なんか、見るからにデラックスな車があるんですけど…」

円山「これはまた、大層ご立派なスーパーカーですね」

愛野「これで…強行突破するの?」

月宮「…」


ブロロロロ…


月宮「エンジンはかかるみたいね、問題は誰が運転するかだけど」

柿生「私、免許取った記憶はありません」

宍戸「お、俺?無茶いうな」

愛野「私も、車なんて運転したことないし」

円山「わ、私はできますが…しかし、こういった車は…」

月宮「私も、運転自体はできるけど、適正とは言えない…渚くんもあの状況だし、そうなると…」


渚「アナ、お前。走り屋をやっていたと聞いたが」

アナ「え?ちょ…誰から?」

渚「夜の亡霊」

アナ「……」

モノクマ「「「うぷぷ」」」

巨大ジャンクモノクマ「!!!!!」


ドンドンドン…!!!


依然としてモノクマ達は体育館の扉を破壊しようとしていた
いかに希望ヶ峰学園の扉が頑丈であろうとも限度というものがあり
いよいよ、扉も朽ち果てようとしていた
その瞬間…

ドカーン!!!

モノクマ「「「ぎゃー」」」

巨大ジャンクモノクマ「ウブブ!!」


アナ「とばせとばせェ!」

愛野「凄い、モノクマ達が吹き飛んじゃってる」

宍戸「てか俺も吹き飛ぶうううう、死ぬうううう!!!」


ガン!ガツン!


円山「ひぃぃ!」

アナ「ヒャッホオオオ!!」


アナの運転は想像以上に荒々しかった
だが、技術は確からしく、細い道も難なく走り抜けていく
モノクマ達も太刀打ちできないようだ

円山「扉です!」

渚「月宮、たのむ今だ」

月宮「ええ!」


―――――――――

宍戸「あらよっと!準備はできたぜ!」

愛野「それで、玄関の扉はどうするのよ?」

渚「破壊するしかない」

月宮「簡単にいうけれど…なにか手段は?」

柿生「それに確か機関銃が・・・」

渚「あれは学級裁判前に俺が破壊した」


アナ「でも、凄く頑丈な扉なんでしょ?」

渚「ああ、シェルターなら、外側からの耐久力は計り知れない、破壊することは難しいだろう」

渚「外側からならな」

円山「…どういった意味でしょうか?」

渚「外側からの衝撃に対しての耐久力に特化しているなら、内側からはそうでもないと考えられる」

柿生「でも、さすがにそれだけじゃ、この車で特攻なんてしても危険なだけです」

渚「だから、これを使う」


【天城の爆薬】

柿生「あ、これ!」

アナ「あれ?武器庫を爆破するのに使ったんじゃないの?」

渚「あれにはモノクマを爆弾替わりにしたんだ。こちらは一切使っていない」

愛野「もう、なんか色々凄いんだけど…」

渚「これを、扉に向かって投げ…」


俺はデザートイーグルを取り出して言う

渚「狙撃する」

―――――――――


月宮「計算通りなら…まさか、ダーツを猛練習した成果がこんなところで生かせるとはね」

月宮「えい!」


月宮の投げた爆薬は丁度扉の前を浮かんでいる


渚「今だ…くうっ!?」


まずい、右手の負傷のせいで上手く狙いが定まらない…!


柿生「ナギくん」

そこに一人の腕が添えられた

柿生(コクッ!

――――――――

渚「だが、単純に考えて成功率はかなり低い、失敗すれば死ぬだろう」

アナ「…」

愛野「…」

宍戸「…」

円山「…」

月宮「…」


柿生「大丈夫ですよ!!」

柿生「だってみんなでやるんですよ!」

柿生「この最高のメンバーで失敗するなんて思いません!」

柿生「自信を持って言えます!保証だってできます!」

柿生「だから…行きましょう!」

―――――――――


渚「ふん、行くぞ」

柿生「はい!」



銃身はぶれなくなった
限りなく小さい的に自然と狙いが合う

あとは引き金を引くのみだ

月宮「渚くん、柿生さん!」

円山「どうか、お願いします!」

愛野「お願い!お願いっ!」

宍戸「うおおおお、突っ込めえええ」

アナ「アクセル全開!!」



渚「行け!」

柿生「行けええええええええええ!!!」



バン!

――――――――――――――

<<<マイジョウ<<<

舞丈「ははは、どうやら…またしても負けたみたいだね、超高校級の絶望さん」

舞丈「さぞ、つまらないだろうね…いやがっかりさせてごめんよ、僕は驚きもしなければ、絶望もしていないんだ」

舞丈「だって、『僕』はなんとなくこうなるって思っていたからね。僕だって彼らのことを結構分かってるつもりなんだよ」


ヨイクマ『それで、どうするの舞丈くん?』

舞丈「さあ、わからないさ?僕は舞丈千人でも江ノ島盾子でもない不安定な存在だからね、どんな意思従うべきなのか…」

舞丈「当然君たちと一緒に行くことはできないよ…僕にはもうその資格がない」

舞丈「だからといって、絶望にもなりきれないみたいだ」

ヨイクマ『舞丈君…』

舞丈「君は彼らの元にいるといいよ、そのためにモデルをアホ毛を加えた『僕』に設定したんだし」

ヨイクマ『でも…』

舞丈「ほら、彼らがあまり遠くにいってしまうと端末間の転移ができなくなってしまうよ?僕のことは、知らないふりをするか、まあ死んだとでも言ってくれれば構わない」

舞丈「いずれ、彼らの前に再び立ちはだかるかもしれないし、それともそうならないかもしれない。どちらがいいのかもわからないけどね」

ヨイクマ『君は、ボクをモノクマから逃がしてくれた。いつかきっとお返しを…」

舞丈「はい転送」

ヨイクマ『え!ちょ…(シュン!


転送完了!


舞丈「これでいい」


僕はこうして、希望と絶望の間を歩いていく
少しでもバランスを崩すことがあれば、どちらかに染まるかもしれない
でも決して自分からそれを起こすことはできないだろう

とにかくここから動いてみようか
これが、前に進んでいるのか、それとも後ろに下がっているのか
それすらわからないまま…

~希望ヶ峰学園の外~

「で、動きはあったか?」

赤羽「いや、結局なにもわからないままっすよ、ついに黒幕からの反応もないっす」

「ならいっそ、こちらからしかけてみるのもありではないのか?」

向井「ったく、特務ってやつは何やってるんだ?神谷さん生きてんだろうな?」

赤羽「な、柿生さんはきっとうまく…!」


ドッカーン!!!!


「前方にて爆破!!前方にて何か爆発が確認!!」

「なんか出てくるぞ!!」

「体制を整えろ!向かい撃つぞ!!」


赤羽「あ!待つっす!あれは!」



宍戸「うわぁぁああ!!」

愛野「ああ!宍戸が吹っ飛んだわよ!?」

アナ(><)

月宮「ケホッ…ケホッ!凄い衝撃だったわね…」

渚「ふぅ…なんとか、うまくいったの…か?」




円山(ぽー……)

柿生「円山君?円山君しっかりしてください!!」

円山「このようなお花畑…私には勿体ないの…ではない…でしょうか?」

柿生「わぁぁ!戻ってきてください!!あわわわわ」



赤羽「か、柿生さん!じゃなくて…生存者確認っす!直ちに救助を!!」








<<<カキエ<<<


柿生「ふ…うーん、ここは?」


気が付くと、私はヘリコプターの中にいた
辺りを見回すと、見慣れたビルが…

柿生「じゅ、14支部!!?」


~未来機関~


あの後、希望ヶ峰を脱出したその後、私たちは外で待ち構えていた機関に救出され
私はというとヘリコプターですぐに寝てしまい、ここに到着してもなお起きなかったので
そのまま寝かせてもらっていたということらしい

つまり…寝坊です


柿生「ああ、もうもう!!なんで最後まで私は!」

柿生「そうだ、皆さんは?」

「他の方なら順番に事情聴取を受けています。聴取を終えた方、まだの方は決まった範囲内での自由行動とのことです」

柿生「ありがとうございます!」


みんなの様子を見に行こう

誰に会いますか?↓1

1アナ
2月宮
3愛野
4円山
5宍戸
6???
7???

柿生「あ!いました!」


最初に見つけられたのは円山くんでした

円山「柿生様、もうよろしいのですか?」

柿生「睡眠はまたあとでたっぷり取ります、もう気兼ねなく眠れますし」

円山「………………」


柿生「いま、私ならどこでも寝れるとか思いませんでしたか?」

円山「い、いえ!滅相もない!」

柿生「ふふふ、冗談です」

円山「……」

柿生「?」

円山「柿生様、今までまことに申し訳ありませんでした」

柿生「ええ?」

円山「私はといえば、この心の弱さから、我を失い。あなた様に傷を負わせたほか、皆さまにたくさんのご迷惑をおかけしてしまい」

円山「いくら謝っても、足りることはないでしょう…そのうえこんな事をいうのは不謹慎とは承知しているのですが、抜け抜けと助かってしまいました」

柿生「…」

円山「柿生様の頭の傷は、きっと残ってしまいます。そのことが、どうしてもやりきれません。私は…」


柿生「言いたいことはそれだけですか?」

円山「え?」

柿生「じゃあ、全部水に流します!」

円山「柿生様!?」

柿生「あ、いえ月宮さんの頭の傷については私にはどうしようもないですけど…」


柿生「でも、私は死んだわけじゃありませんし。ほらこうやって」

私は、円山くんの手を取った

柿生「手を取り合えます」

円山「か、柿生様」//

柿生「もうコロシアイ生活は終わりました。なら、今の円山くんに間違える理由はありません」

柿生「あなたは絶望キラーでもなくなって、頼りになるベルボーイです!」

柿生「これから、よろしくお願いしますね!」

円山「…いいのですか?」

柿生「だって、私を信じて付いてきてくれたんでしょう?」

円山「…はい」

柿生「なら、私もあなたを信じたっていいじゃないですか。それだけですよ?」

円山「わかりました、では今は粉骨砕身して皆様のお手伝いをさせていただきます」

柿生「はい!」


↓1

1アナ
2月宮
3愛野
5宍戸
6???
7???

月宮「あら、柿生さん」

柿生「月宮さん!!よかったです」

月宮「なにが?」

柿生「いえ、思ったより元気そうで」

月宮「ええそうね、あの場所から離れたのは大きいのかも、重いものが全部おりたようなそんな気分」

月宮「それにしてもこんな場所があったなんてね、とても興味深いわ」

月宮「研究部の質の高さも伺えた、私はまた数学者としての能力を発揮できそうでひと安心ね」

柿生「学園にいた時も十分すごかったじゃないですか?」

月宮「あら、私はあの程度ではないわよ?見くびってもらっては困るわ」

柿生「ふふ、期待しておきます」

柿生「私の画家の才能って特に役に立たないんですよねこの機関では…」

柿生「なぜか、戦闘の技術ばかり身についちゃって…拉致されるまで、絵は一度も描かなかった気がします」

月宮「でもまた描いてくれるんでしょう?絵」

柿生「え?」

月宮「あなたの絵、好きよ?私はあなたとあなたの絵に何度も勇気づけられてきたのだから」

月宮「描かないなんて勿体ないと思うけれど?」

柿生「そうでしょうか?」

月宮「ええ、きっと私だけじゃない。あなたの絵はみんなの力になると思う」

柿生「…じゃあ、見たいって言ってくれる人がいるなら、描いてみようかな…」

月宮「楽しみにしてるわ。ついでに描き方を教えてくれるともっとありがたいけれど」

柿生「わかりました、今度一緒にやりましょう!」

月宮「ふふ、楽しくなりそうね、これから…」

月宮「私も…世界に希望を取り戻す組織…あの悲劇をなくせるのなら協力は惜しまない」

柿生「もう、一人では悩まないでくださいよ?」

月宮「これだけ人がいると一人で悩むほうが難しい気すらしてくるけれどね」

月宮「特に…あなたがいると」

柿生「でも、ここに来てしまえば、私なんかより頼りになる方は腐るほど…」

月宮「いいえ、あなたが一番よ。柿生さん」

柿生(//

月宮「それでは、またあとでね」



なんか、照れちゃうな…

↓1

1アナ
3愛野
5宍戸
6???
7???

柿生「し、宍戸くん…?」

宍戸「ヒック…うらぁ、もっと持ってこぉい!!!」

柿生「お、お酒臭いです!」


「おい、誰だ!?奴に焼酎なんか与えたのは?」

「勝手に持ち出したんじゃないのか?管理もっとしっかりしろよ!!」

「知るか、救助されて早々機関の酒に手を付けるなんて予想できるか!?」


柿生「ええぇ…」

宍戸「おうおう、柿生じゃねえか!祝いだ、一緒に飲もうぜぇ?」

柿生「もう何やってるんですか!宍戸くん!!」

宍戸「うるせえ!飲まねえとやってらんねえんだよ!!ヒック…」

宍戸「ほら!一杯、俺の酒が飲めねえのかぁ!?」

柿生「飲めませんよ、お酒苦手なんですから…」

宍戸「たくっ、なんでこうなんだ、一緒に酒を酌み交わしたかった奴は何人も死んじまったのに…生きてるやつすら飲んでくれねえのか…ウィック」

宍戸「みんなぁ、帰って来いよぉ、なんで死んじまったんだよぉ、俺ぁなあいつらと騒ぎたかったんだ!それなのにそれなのに」

宍戸「酒は旨いはずなのに、なんでこんなに涙が出てくるんだよお、うおぉおぉおお…」

柿生「…あの宍戸くん?」

宍戸「あん?、一緒に飲んでくれるのか?あわよくば泣いてくれるのか?」

柿生「い、いえ…今日は無理ですけど、また今度ならお付き合いさせていただきますよ?」

宍戸「んだよぉ、つれねえな…俺とは飲みたくねえんだろ?神谷ぁ、飲もうぜ、チキショウ…」

柿生「だってどうせ飲むなら、他のみんなも誘って、涙流しながらとか、悲しみながらじゃなくて…もっと楽しみながらやりたいじゃないですか?」

宍戸「…ヒック」

柿生「その方が、お酒もきっと、おいしいと思いません!」

宍戸「柿生…お前ってやつはぁ!」

ダキッ!

柿生「ちょ、ちょっと待ってください!?お、お酒の匂いが…」

宍戸「お前の言うとおりだぜ!こんな不味い酒なんかやってられっか!!本当にお前はすげえ奴だ、俺たちの希望だ!」

柿生「…ええ、だから、いつでもおいしいお酒が飲めるように頑張りましょう?」

宍戸「おうよ!」



宍戸「よっしゃあ、あ、この元超高校級の狂言師なおかつ歌舞伎名人の宍戸清麿呂様ぁが、世界に希望と旨い酒を取り戻してやろうじゃねえかぁ!!」

宍戸「わーはっはっはっは・・・・・!」


「おい、あの焼酎…支部長代行の物らしいぞ?」

「と…十神さんじゃないスか!!ど、どど、どうするんです!?」

「しかも不味いつったぞあいつ!」



柿生「………これは、これでいいんでしょう…か?」

↓1

1アナ
3愛野
6???
7???

柿生「うーん…」

赤羽「あ!柿生さん!気が付いたんですか!」

柿生「赤羽くん…」


赤羽 霧矢(アカバネ キリヤ)超高校級の通信士予定だったという男の子です
崩壊した町で生き残った私を救助してくれた人でした


柿生「ええ、おかげさまで」

赤羽「いやぁ!よかったっす、ボクが銃の扱い方なんか教えたばかりに、無茶して拉致されて殺されてしまったかと考えてしまうと夜も眠れなかったっす…」

柿生「ご、ごめんなさい…」


柿生「そういえばアナさ…保護対象のアナスタシア・ロスチャイルドさんはどこに?」

赤羽「アナスタシアさん、なら今支部長を交えた事情聴取を受けてるっス」

柿生「事情聴取…」

赤羽「心配しなくても大丈夫っすよ、彼らには疑いの目は全くかけられてはいませんし、支部長も代行のほうじゃないっすから」

柿生「じゃあ、霧切さんが…?」

赤羽「はいっす、また後で会えると思います」

柿生「わかりました」


アナさんは、また後で尋ねましょう

↓1

3愛野
6???
7???

愛野「……」

柿生「愛野さん…大丈夫ですか?」

愛野「柿生さん…」


愛野「あの場所で目が覚めてから、緊迫した状態がつづいたからごちゃごちゃしてたけど…」

愛野「神谷くん…死んじゃったんだよね…」

柿生「はい…」

愛野「誰が殺したの?」

柿生「…!」

愛野「お願い教えて!私犯人が誰だか見てないの!柿生さん!!」

柿生「知って…どうするんですか?」

愛野「…わからないよ」

柿生「…天城さんです」

愛野(グッ…

愛野「私が、あの時神谷くんに言われたとおりにしなければ…あの時、神谷くんを止められたのは私だけだったのに!」

柿生「でも、シンちゃんは最後まで死ぬつもりじゃなかったみたいです、あなたと一緒にいたかったんだと思います」

愛野「…でも、死んじゃった…神谷くんが…しんじゃったよぉ!」

柿生「愛野さん…」








柿生「あの…愛野さん、あなたは…」

愛野「生きるよ」

柿生「え」

愛野「だって、神谷くんに自殺とかするなって言われちゃったし…」

愛野「癪だけど…宍戸においしいケーキ作る約束しちゃったし…」

愛野「高校時代の神谷くんの事、まだ全部思い出してないし…」

愛野「それに…」

柿生「そ、それに?」


愛野「私もう、独りぼっちじゃない…みたい…だし…」//

柿生「…っ!」


愛野「だ、だから仕方なく生きていくっていうか・・・」

柿生「…ぷ、ふふふふ」


愛野「な!笑い事じゃないでしょ!!?」

柿生「だって、なんだか今の愛野さん凄く可愛くて!」

愛野「可愛い!?」

柿生「そうですよ!私たちはだれも独りぼっちなんかじゃありません!もちろんあなたも」

愛野「・・・・」

柿生「だから、いなくならないでくださいね?私たちもあなたから離れはしませんから」

愛野「…う、うん」

↓1

6医者みたいな人
7電子手帳

すいません、意外と終わらないのでまた明日
今回はここまで

???「おい」

柿生「え、はい私ですか?」

???「あんた以外に誰がいるんだ?」

柿生「すみません」

???「………」

柿生「あの…何か?」

向井「向井佐助(ムカイ サスケ)ってもんだ。予備学科上がりの元超高校級の外科医」

柿生「外科医…」

向井「神谷さんと同じ医師団にいた」

柿生「あ、あの医師団に…」

向井「死んだんだってな、神谷さん」

柿生「ええ。私じゃ助けられませんでした。申し訳…」

向井「別にあんたを責めるわけじゃない。あんたあの人の親友なんだろ?あんたの方が辛かったはずだ。それに、俺だって奴らの恐ろしさは知ってる」

柿生「……」

向井「ただ危なっかしかったとはいえ、あんな奴でも死ぬもんなんだなって思っちまったんだよ…んで、どうだったんだ?コロシアイとやらの中であの人はどんな奴でいた?」

柿生「多分、あなたも知ってる通りの人です。コロシアイを否定し、人を救うことに全てをかけていました。私も死にかけたんですが、彼に命を救われたんです」

向井「そうかよ。っち、最後までいけ好かねえ奴だ。助けるだけ助けて自分はどっかいっちまうなんてな、アフターケアもないなんて無責任もいいとこだぜ」

柿生「…あ、あの!」

向井「ああ、だから別に貶してるわけじゃない。あんたの話が本当なら神谷さんは俺の尊敬に足る人間だったってことだよ。話が聞けてよかった、まああんたも救われたなら救われたなりに生き抜きな、あと敬語使わなくて悪かったな、どうも苦手なんだ。じゃ…」


・・・今度、医師団の事も聞いてみないと
シンちゃんどんな目に遭ってきたのか…

『柿生さん、柿生さん!』

電子手帳から声が聞こえる

柿生「え?」

ヨイクマ『や、やぁ』

柿生「ヨイクマさん!?私の手帳にいたんですか?」

ヨイクマ『うん、無理やり転送されちゃって…』

柿生「だ、誰に?」

ヨイクマ『えっと……バ、バグに?』

柿生「バグ…?」

ヨイクマ『それより凄いねここ!僕の他にもアルターエゴがいるみたいだし』

柿生「ふふ、お友達できそうですね」

ヨイクマ『うん!』


ヨイクマ『あのさ…舞丈くん、どうなったっと思ってる?』

柿生「…わかりませんよ、結局あの後は見かけることすらなかったので」

ヨイクマ『そう…そうだよね…」


柿生「私、今度もう一度希望ヶ峰学園に訪れようと思ってるんです」

ヨイクマ『え!?なんで!?』

柿生「みんなの物とか回収したいし、まだ、何かあると思うんです…その時舞丈くんの手がかりも見つけて!そして、居場所も突き止めて!助けに行ければ…なんて」

ヨイクマ『…』

柿生「もしそうなれば、いいんですけどね…」

ヨイクマ『何言ってるの、出来るよ!きっと』

ヨイクマ『僕も手伝っていくから、モノクマやあの学園のことならなんでもわかるしね!』

ヨイクマ『だから、どんどん頼っちゃって?そのために僕はここにいるんだから』

柿生「……はい、お願いします!」





~外~

柿生「…ここにいたんですねナギくん」

ナギくんは、座って夜空を見上げていた
いなくなってしまったのかと大慌てで探していた私はホッと安堵の息を漏らす

渚「用事があったからな」

柿生「用事?」

渚「約束しただろう」

ナギくんはそういうと指を指すように空に目を向けます

柿生「…ああ、3人で見るんでしたよね…星空」

私もナギくんの隣に座って夜空を眺めてみます

柿生「大気汚染のせいで、大して見えないんですよね、星」

渚「ああ、見え方でいえばプラネタリウムの方が何倍もマシだ。1人欠けているしな」



柿生「シンちゃんは言い出しっぺの癖に約束破りの最低野郎です!」

渚「全くだ。だが、あいつの言葉は俺たちが生涯忘れる事はできなそうだ…困ったな」

柿生「忘れるわけがありませんよ、親友なんですから」



渚「どうするんだ?これから」

柿生「そうですね、みんなと再会する事はできましたし、私の目的はあらかた終わってしまいました」

柿生「月宮さんに言われたんです、私の絵を楽しみにしているって…」

柿生「だから描こうと思います。そのためにまずは描きたくなるような風景を取り戻したいです」

渚「そうか…」

渚「…強くなったな」

柿生「そうですか?なんか最近そればかり言われる気がします…」

渚「前のお前ならここらで泣いていたと思う」

柿生「今まで泣きすぎて、涙が枯れただけですって」

本当、たくさん泣いた気がする
とはいえ私は多分本当に強くなったんだと思う



柿生「ナギくんは、未来機関に入るんですか?」

渚「……」

柿生「きっと受け入れてくれると思います、他のみんなもいますし…

渚「俺は未来機関には入らない」


なんとなく分かっていた、この人はそういう人


柿生「そうですか…」

渚「驚かないんだな?」

柿生「ほら、ナギくん絶望的に付き合い悪いですし」

渚「放っておけ」

渚「俺は逆に弱くなったと思う」

渚「だから、もう一度先に世界を見て回ってくる、この世界がどんな状況なのか、何をどうしていくべきなのか、それを見極めたい」



そういうとナギくんは立ち上がった

柿生「え、もう行くんですか?」

渚「ああ、じゃあな」

あっさりとナギくんは離れていきます

渚「そうだ、アナに『意味は知っている』と伝言を頼む』

柿生「意味は知っている…?」

私にはその意味を教えてくれないまま彼は離れていく

柿生「あ、あの!!」

渚「?」

呼びかけると振り返ってくれた
ひょっとしたら私が止めれば行かないでいてくれるかもしれない



でも…

柿生「また…会えますか?」

渚「さぁな」

なんて素っ気ない人なんだろう
そう思ったけど…

渚「…いや」

柿生「!」

渚「必ずまた会おう、小雪」

柿生「…約束ですよ?」

渚「ああ、必ず…」


今度こそ、去っていく
もう何も言う事はない
そんな風に…


柿生「ナギくん!私、大好きですよ!!ナギくんの事!!」

私の方は言いたい事がありすぎる私はというと
全部まとめて叫んだ
親友としての叫び
今はこれが精一杯


渚「ふん…」

ナギくんは振り返えらずにそのまま手を振ってくれた
今は…これで十分かな?



アナ「あ、画家さん!」

柿生「アナさん?」

アナ「探偵くん知らない!?大事な用事があるんだけど」

柿生「ナギくんならさっき出て行きましたけど」

アナ「出て行ったのか、なんだ…って、ええ!?なんで止めなかったの!?」

柿生「や、やっぱりダメでした?」

アナ「うん、凄くダメ。アタシの用事はともかくとしても、探偵くんまだ事情聴取すら受けてないんだよ?」

柿生「あららら…あ、アナさん、なんかナギくんが『意味は知っている』と伝言を…」

アナ「意味は知ってる?…ま、まさかネックレスの…」

アナ(カチン…//

柿生「アナさん?あ…」

さらに後ろから、困り果てた表情の1人の男の子が歩いてきます


柿生「ごめんなさい、始末書なら私が書きますよ?苗木くん」

きっと幾度の困難や、試練が待ち受けていると思う
もしかしたら絶望してしまうような事もあるかもしれない

でも多分やっぱりその度に私は立ち上がる

それでも私は歩き続ける、いつか希望の風景を取り戻して、また最高の絵を描けるその日まで
立ち止まってなんていられない
希望はきっと潰えることはない


絵を描くように、私はこの胸にいつだって



希望を描いていく





ダンガンロンパーズ「殺人者たちの行方」 the end

<<<ナギサ<<<


デザートイーグルを眺める
あれから一度も使ってはいない

すでにこの銃はお守り同然のものとなっている

荒廃している地域はどこを歩くにも困難だ
どこを見るにも苦しいものがあり、その度に現実を見る
絶望をみる

それでも俺は目を向ける

この世界で俺が何をするべきか


どうすればあいつにとっての「希望」を取り戻すことができるのか
この拳銃以外に何か方法があるなら
その手段を見つけるまで

俺は歩いていく…



ナギサ カオル end

これについにやっとの事で完結です
長く長く時間をかけてしまい申し訳ありませんでした
文才もなく、見苦しいものがあったと思います
それでも読んで頂けたなら幸いです
ありがとうございました

プロットも紛失していたため矛盾だらけだと思っているので、何か質問があれば無理やり保管します

その他感想は後ほど書きます

お疲れ
もし黒幕当てを間違えたり渚が引き金引いたりしてたら展開が変わったのか気になる

完結乙
過去の仲の良さと現在の環境とのギャップがキツかった(誉め言葉)
個人的にアイテム募集が何でもありすぎて面白かったけど(ヘビが準レギュラー級の扱いとかww)、あれってアイテムが決まるたび全キャラ分好みかどうかとか決めてたりする?
だとしたら見えないところでの手間が凄そう…

乙乙乙~
実は終盤だけ読んでたんですが、無事に完結してくれたので安心最初から読み直してみます!
ところで最後なんで始末書?

>>407
渚が事情聴取バックれたからじゃね?

さて、それでは全体の総括みたいな事を
まず何回もエタってしまい申し訳ありませんでした
用事があったり、はたまた別の趣味に浮気していたり
理由としてはいろいろな事がありますが、どれをとっても皆さんをお待たせしていたことには変わりません。くどいようですが申し訳ありませんでした

この話を始めようと思った時に3人主人公にした理由は特になく、ただ誰もやってなそうだなってだけでした。思いつきです
その他についても絶望キラー関係以外は特に何も決めていなかったので、いい加減だったなぁと思い知らされました。
安価キャラについても、もう少し口調に特徴をつけて書いていたらなぁって思ったことは何度もありました。

ちなみに中盤と最後にでてきた、通信士の赤羽と外科医の向井は当初主人公にしようとして没にしたキャラです。変わりに柿生さんと神谷が入りました。

続く

プロットも紛失、その他にいろいろな要因を言い訳にエタって違うもの書こうかなとも思ったんですけど
安価キャラ含めこのメンバーに愛着を持ってしまったんでダラダラと続けてしまいました
後にやりたい事もこのメンバーじゃないと書ける気がしませんし

ちなみに勝手な設定ではありますが、この後柿生達は苗木達が再建する希望ヶ峰学園の教師役を務めるんだと思います
渚については何をやり始めるか俺も正直イメージできません


質問に答えます
>>403
黒幕は当たるまで答えてもらうだけですが
引き金を引いた場合はバッドエンドになります
この後書きます

>>404
雑ではありますが、好みは決めていました
それ以外のアイテムの設定はその都度その都度です
俺がもっと詳しく決めていればもっと洗練できたと思います

>>407
最後の始末書は>>408さんがおっしゃる通り
渚が事情聴取バックれて旅に出てしまったからです

一番愛着わいたキャラは誰?

>>411
凄い難しいんですけど主人公なら柿生、それ以外だと宍戸ですかね
でもどのキャラもどっこいどっこいです

<渚が引き金を引いた場合>

引き金を引くと銃声と共に
目の前で血しぶきが上がる

後ろから悲鳴も上がる

ああ、こういう事か…俺はこの行為に使命感、達成感、誇りを持ってしまっている

この銃はなんだったか…
確か死んだ先生から貰ったものだったな…
あの人が自分が希望ヶ峰学園の調査に乗り込む前に俺に渡してきたんだ。二丁あるから一つは持っていろと…
今回のは危険なヤマだの言っていた気がするが…よく思い出せない

その後絶望事件が起こり、先生は行方不明になり
父親の様子がおかしいとノヴォセリック王国に向かったアナを、俺も追うために飛行機に乗った
なぜか飛行機は引き返し、そしてなぜか墜落した、沢山の人が死んだなかで俺は生き残った

アナとは連絡がつかなくなり、世界を飛び回っていてどこにいるのかわからない神谷と連絡をつけるのはさらに難しかった
そしてなぜか柿生にも…

だから直接柿生の元に向かった
その町は大規模なテロ崩壊していた

思えばそこからだったかもしれない…俺は絶望に激しい憎しみを抱いた


今も目の前にゼツボウが倒れていく、不敵な笑みを浮かべたまま倒れたそれはもう動かない
ああ、そうだ…これが俺のやるべき事なんだ
ゼツボウを……殲滅しなければ…

不意に首を何かで掴まれた
依然として俺の背中からは悲鳴や泣き声が絶えない
奴らが何かを言っている
だが俺が耳を傾ける前に、そいつらはどこかへ遠ざかっていく





いや…違うな、俺が引っ張られているのか

game over

ナギサくんが校則違反(学園長に危害を加える)を犯しました、オシオキを開始します

「元超高校級の探偵 渚 薫の処刑 ジュウサツケイ」

俺はあっという間に壁に貼り付けられてしまった

目の前には無数のモノクマが立っていて
銃を俺に向けている

この位置関係には違和感しか湧かない
どうしてこうなっているんだ

ふざけたことを…逆だろう
俺が貴様達を殲滅していくべきなんだ

だが身動きは取れない

横にいたモノクマが上げていた黄色の旗が振り下ろされた

一つ目の銃声が聞こえ
足に激痛が走る

ナギサ「ぐっ……!」

なぜ動けない…奴らに攻撃などを許してなぜ俺は黙っているんだ
一体、この世界で何人が奴らによって無残に殺されたと思っている
俺の友人も…新も!全部あいつらの所為だった

なのになぜ俺はここで腐っているだけなんだ
俺は…やはり無力でしかないのか……!?

横にいたモノクマのもう片手に持っていた赤い旗が振り下ろされた

残りの銃弾が全て発射される






ナギサ「……ゼ…ツ……ボ……ウ…」

モノクマが俺の頭に銃口を向けている

ナギサ「…憎…い……貴…様ら……」

モノクマ「隊長よろしいでしょうか?」

モノクマ「うぷぷ、いつでもいいよ!」

ナギサ「……殺し……て…や…る


そこで俺は終わった

~未来機関~

<<<カキエ<<<

あれから
渚くんが処刑されてから…私達はすぐに未来機関の機動隊によって救出されました

今はそうですね……


この機関のどこを弄くれば
もっと……



こんな絶望を楽しむ事ができるのかを必死に考える毎日です

厳重な管理下に置かれている未来機関で、そんな企みは実現できるわけがない?
本当にそう思いますか?


いえ、私は思いません
だってここには私は1人じゃない

愛野「ウフフ…」
円山「クフフ…」
アナ「アハハ…」
月宮「フフ…」
宍戸「ハハハ……」


みんな一緒にやるんですから……

「殺人者達の行方」bad end

少し短くしましたがこんな感じです

ところで先ほどにも言ったこの後のことなんですが
見たいと言う方が多ければ本家にもあるアイランドモード、スクールモードみたいに日常編を描いたモノをやってみたいと思ってますが、どうですか?

ちなみに主人公は柿生と舞丈です

その他他の人にもスポットを当てた番外編なども挟む予定です

なぜ主人公が柿生はわかるが舞丈なんだ…?
気になる

【ロンパーズ】柿生「楽しい学校生活です!」舞丈「らしいね」【カントリーモード】
【ロンパーズ】柿生「楽しい学校生活です!」舞丈「らしいね」【カントリーモード】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1476149006/)

こちら立てました、どうぞ
まだ始めるまでには時間がかかると思います

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