男「幸せってなんだよ」 (23)

男「いや、馬鹿じゃないのかと思うがね」

男「現代日本に於いては、小中高大と出て、そこそこの会社に就職して、結婚して、子供生んで、って」

男「こんな感じの線路じみた観念が存在してるわけだけどさ」

男「それって幸せなの? もうすでに誰かがやったことをなぞってるだけじゃないの?」

男「たとえばありがちな情景だとさ」

男「結婚式場にこう、ばーっと親族がならんでさ。キリスト教徒でもないくせに神父なんか呼んじゃってさあ」

男「あなたは彼彼女をずっと愛し助け合うことを誓いますかなんて言ってさあ」

男「キスしてさあ」

男「ねえ?」

男「はっきりいって見飽きたよね」

男「何回同じことやっとんのだヒューマン。結婚っつったってどうせそのうちの数十パーは虐待やら家庭不和やらで後々不幸になることわかりきってんだよ?」

人間をクローンみたいに言うな

男「でさ」

男「たっっっっけぇー金払って買い込んだ指輪はめてさ。ジャップのくせして西洋のウェディングドレスなんか着ちゃってさ」

男「はいそこの新婚夫婦? なーんか私たち素晴らしいものをてにいれてますと言わんばかりに幸せそうな顔してますけどぉ? その身に付けてるものの内いくつがなくなったらそれは糞みたいな不機嫌顔に変わるんですかっ」

男「ってさあ」

男「言いたくならない?」

男「利益のみがはっきりした力を持つ人間社会においてわざわざそれ以外のものをさも尊いとばかりに誇示する必要が何処にあるの? どうせメスジャップだって今腕組んでる男が貧乏だったら結婚なんかしてないでしょ」

>>7
男「いくらでも代替えが効くからあながち間違ってもないよね」

男「どうせ幸せなんて一時のものだよ」

男「あと一年もすれば、お互いに目配せするその期待に満ちた目線はお互いを疎ましく思う嫌みな目線に変わるんだよ」

男「結婚と言う、現代社会に於いてひとつの幸せのかたちひとつをとって見てもこんなにも不完全なんだよ」

男「結婚と言うその一概念つまみ上げてみるだけでも、幸せと言う薄っぺらいまやかしの内側からこんなにもクソみたいなヘドロがどろどろ溢れてくるんだよ」

男「でもかわらず結婚は幸せ、だろ?」

男「ブァァアアアアッカじゃあねえの」

男「幸せって言うのは、突き詰めるとまやかしで、クソッタレな世界を作っちまった神様が、人間をだまくらかすためにばら蒔いたペテンなんだよ」

男「実際、そんなもんないんだよ」

男「神様のばら蒔いたペテンに踊らされて必死乞いて働いて、結婚して、子供生んでさ。自分がそこに至るまで歩んできた事をそっくりそのままなぞるように育ててさ」

男「馬鹿じゃねぇの」

男「幸せでもなんでもないじゃん」

男「結局、畜生どもが草を食べてたり狩りをするのと変わらないじゃん。それが人間って言う動物の生態ってだけじゃん。それで済むじゃん」

男「そこにくっついた神様のペテンにだまくらかされてさ。内側のそれ以上の汚いものが出たら責任を押し付けあってぎゃあぎゃあさわいで、やれ親権だやれ慰謝料だと」

男「自分の利ざやが少しでも多くする為に惨めったらしく駆けずり回るわけじゃん」

男「結婚も結局、利益を求めるという人間固有の性質が昇華された結果の生態に過ぎないわけよ」

男「幸せだとか、そんな特別なものじゃなく。亀が卵生むときに涙流したり、猫が春になったらんなあーおって騒ぐのと変わらんわけじゃん」

男「そんなもんじゃん」

男「むしろしないやつとか、人間という畜生と変わらぬ存在より上と言えるかもしれないじゃん」

男「......」

男「できないんじゃない」

男「しないんだよ」

男「俺は」

男「ペテンの皮被ったヘドロなんかにこれっぽっちも魅力なんか感じない」

男「彼女ができなかろうが」

男「一生一人だろうが」

男「俺は、ペテンの一分もない真の幸せを求める求道者といえるのだから」

男「できないんじゃない」

男「彼女なんかいらないだけだ」

男「つまらない人生を歩んでる訳じゃない」

男「幸福というまやかしに踊らされているお前らこそが、真につまらない人生を歩んでいるのだ」

男「お前らはそうしていればいい」

男「俺は一人で本当の幸せを見つける」

男「大金稼いで、お前らが必死乞いて手に入れるものを湯水のように使い捨ててやる」

男「お前らの一生を一分で無にしてやる」

男「そして笑ってやる」

男「まやかしに踊らされて、本当の幸せを手に入れる機会を永遠に失ったお前らをな」

男「それだけが幸せだ」

男「人間という生き物の生態に沿えなかった俺にとっては、今やそれだけが幸せなのだ」

男「クソッタレが」

ああ

死にてぇ

オチなんてねぇぞ。なに期待してんだ馬鹿ども
ほれ散れ。蛍の光が鳴ってるぞ

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