若松「ええっ!? 瀬尾先輩、しばらく部活に来ないんですか!?」瀬尾「うん」 (19)

若松「でもなんで急に……?」

瀬尾「いやそれがさ、ほかの部活の助っ人頼まれちゃってさー。 一週間ぐらいだっけ? 試合近いから来てほしいんだってさ」

若松「成る程……」

瀬尾「わりーな若。 もっとボールぶつけてやりたいんだけどさー」

若松「ぶつけないでくださいよ!!」

瀬尾「そんじゃ私、助っ人行ってくるから。 じゃね」ビュン!!

若松「は、はい……もう行っちゃった」

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若松「……」

若松「……」

若松(やった!!)

若松(久しぶりの瀬尾先輩がいない部活だ!!)

若松(これで何も恐れることなくプレイできるぞ!!)

部員「若松!! パス!!」

若松「はい!!」








部員「若松!! シュートだ!!」

若松「はい!!」









神代「若松、今日はいつになく元気だな」

若松「瀬尾先輩がいないからね!!」

向井「……めっちゃ笑顔だな」

野崎の家

若松「野崎先輩!! トーン貼り終わりました!!」

野崎「……若松、何かいい事があったのか? 嬉しそうだが……」

若松「瀬尾先輩がしばらく部活に来なくなったんです!!」

野崎「ああ……それでか。 けどどうして急に?」

若松「ほかの部活の試合が近くて……助っ人を頼まれたらしいです」

野崎「そういうことか」

若松「お陰で今日の部活、めちゃくちゃ楽しかったです!!」

野崎「そうか……なら良かった」

野崎(こんな嬉しい表情の若松、初めて見たな……それだけ瀬尾がいやだったということか)

別の日

若松(今日も先輩は部活に来ないんだよな……)

「いてて……」

「おい、大丈夫か?」

「実は昨日、助っ人で瀬尾が来たんだけどよ……すげー暴れ回ってさ」

若松「……」

若松(やっぱりどの部活に行っても被害はあるんだなぁ)

帰り道

田中「聞いたか? サッカー部のキャプテン、瀬尾先輩に顔面にボール蹴られたらしいぞ」

若松「ええっ!?」

山村「そりゃひでえな……」

若松「瀬尾先輩って今サッカー部の助っ人やってるの?」

田中「らしいぜ。 昼休みも朝練も参加してるらしい」

若松(道理で瀬尾先輩を見ないと思ったら……)

別の日

若松(瀬尾先輩が部活に来ないだけでこんなにバスケがちゃんとできるなんて……)

「いってえ……」

「瀬尾にやられた」

「あいつやり過ぎじゃないか?」

「おい、お前顔大丈夫か?」

「まぁなんとか……」

若松「……」

ふと気づけば周りのサッカー部の人達はみんな怪我をしていた。

若松(あっと言う間に一週間が経った……)

若松(ということは……)

瀬尾「よー若」

若松(やっぱり……)

若松「……今日からまたバスケ部に来るんですか?」

瀬尾「いや、それがさ。 またしばらく来れなくなってさ」

若松「えっ!?」

瀬尾「なんか私が活躍し過ぎて? 今まで声かけられなかった部活にも行くことになっちゃってさー」

瀬尾「つーわけでさ、バスケ部に戻るのはもうちょい先になるわ。 じゃ」ビュン!!

若松「あっ……」

若松「……」

若松「……」

若松(……あれ?)

若松(嬉しい……はず……でもなんだろうこの気持ち……)

若松(……なんか凄いモヤモヤする)

野崎「瀬尾が来ないのが嬉しくない?」

若松「はい……自分でもどんな気持ちなのか分からなくて……」

野崎(!! これはもしや……)

野崎「若松……お前、瀬尾のことが好きなのか?」

若松「やめてくださいよ野崎先輩!! 俺があんな人を好きなわけないじゃないですか!! 俺にはローレライさんがいるんですから!! 兎に角冗談でもそんなことは言わないでください!!!!」

野崎「す、すまない……」

野崎(凄い拒否反応だ……)

その後

若松(今日こそ瀬尾先輩に会える……)

若松(……ってなんで俺は嬉しそうなんだ!?)

若松(瀬尾先輩が帰ってくるんだから嬉しいはずが……)

若松「……!!」

瀬尾「そんでさーその時岡田が……」

若松(瀬尾先輩がほかの男の人と話してる……)

若松「……!!」

若松(またあの時と同じモヤモヤだ……本当に一体なんなんだ?)

瀬尾「うん、じゃーね。 また後で部活行くわ」

若松(……えっ? あの人はバスケ部じゃない人……瀬尾先輩は今日からバスケ部に来るはずじゃあ……)

瀬尾「おーい若」

若松「!! な、なんですか?」

瀬尾「また来れなくなった」

若松「えっ!?」

瀬尾「いやー流石私。 私のお陰でチームワークが良くなったからまた来てくれってさー」

若松「……」

瀬尾「そんで部活のやつとも仲良くなっちゃってさ。 今度そいつらと遊びに行くんだよね」

若松「!!」

若松(またこの気持ち……これで何回目だ?)

瀬尾「だからまた大分先になるかも。 じゃーね」

若松「……」













瀬尾『いや、それがさ。 またしばらく来れなくなってさ』












瀬尾『そんで部活のやつとも仲良くなっちゃってさ。 今度そいつらと遊びに行くんだ』











若松「……!!!」

若松(そうか分かったぞ!! この気持ちの正体!!!)

若松「……瀬尾先輩!!!」

瀬尾「ん? どした?」

若松(はっきり言うんだ……今こそはっきりと!!)

若松「俺……俺……」

瀬尾「……?」













若松「俺だけにボールをぶつけてください!!!」

瀬尾「は?」

野崎「……つまりその気持ちの正体は瀬尾による被害の拡大に対する不安だったということか?」

若松「はい!! これ以上先輩がほかの部活で暴れるとみんな大変な目に合いますし……それに遊びに行ったら何されるか分かりませんよ!!」

若松「だから反則してボールぶつけるのも……遊びに行って振り回されるのも……俺一人で充分なんです!!」

若松「だから俺、なんとか説得して先輩にバスケ部に来させるようにしました!! あと、土日は映画館と動物園に行きます!!」

野崎(カップルそのものじゃないか……)

和歌『だ、だから!! 私の側にいなさい!!』

尾瀬『は? なんでだよ?』

和歌『あんたがほかの人に迷惑かけないように私が監視するって言ってるのよ!!』

尾瀬『……面白えなお前』












佐倉「野崎くん!! いよいよこの二人もくっつくの!?」

野崎「ないな」

~終わり~

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