幼女幽霊「バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!」DQN幽霊「!?」 (539)

~~~~ 廃病院 ~~~~



TV『きゃああああああああああああああああ!!!!!!』デデーン


幼女幽霊「...」

DQN幽霊「...」


幼女幽霊「このホラー映画くっそつまんないな」

DQN幽霊「完全にハズレっスね」


幼女幽霊「はぁ~...やっぱりアイドル物は駄目だな。下手くそな演技にお粗末なシナリオ、糞映画マニア以外に誰が見るんだこんなの」

DQN幽霊「やっぱりそのアイドルのファンとかじゃないっスか?」

幼女幽霊「いやぁ...それでも糞つまんないよこれ、拷問レベルだよ。とてもじゃないけど金払って見るもんじゃないね」

DQN幽霊「でも俺ら幽霊スから、金払ってないっスけどね」


幼女幽霊「HAHAHAHAHAHA!!!ナイスゴーストジョーク!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1466012540

幼女幽霊「ということでDQN、お前これTSUTAYAに返してきて。あとついでにスターウォーズ借りてきて」スッ


DQN幽霊「えぇ...たまには先輩が返してきてくださいよ」

DQN幽霊「誰にも見られずに返却ボックス戻したり、DVD借りてくるってかなり大変なんスよ?」


幼女幽霊「うるせぇ。元々このテレビもPCもカメラも私がパクって来たやつなんだからな」

幼女幽霊「それに私は幽霊としての格がお前とは違うんだよ。ほら見ろ、幽霊なのに足付いてんだぞ足」ピョンピョン


DQN幽霊「年下なのに人使いが荒いんスから...はいはい行って来ますよ」フワフワ


幼女幽霊「見た目はアレでも実年齢は高校生ぐらいだからな!お前とそんなに変わんないよバーカ!」

幼女幽霊「はぁ~...10年も幽霊やってると、さすがに目が肥えてくるな」カタカタ

幼女幽霊「ホラー映画は当たりハズレが激しくてキツいよほんと。人のオススメが信用できないジャンルだね」カタカタ


幼女幽霊「あ、ひき子さんちゃんのTwitter更新してる」



『世間では貞子vs伽椰子が注目されてるが「ひき子さんvs貞子」の映画はガチで誰も知らない説』



幼女幽霊「...あったな。そんな映画」

幼女幽霊「ひき子さんちゃんは映画に恵まれないなぁ...全部は見てないけど大体微妙だった記憶があるよ」

幼女幽霊「まあわりと新参の方だし、仕方ないよね。むしろ昔からいるのにもっと酷い惨状の人もいるし...」チラッ


幼女幽霊「...相変わらず口裂け女さんのTwitter病んでるなぁ」

『車で轢き逃げされて、バットを持った男に追いかけられるとかいくらなんでも酷くない?死にたい』

『こっくりさんと対決することになった。なんでどいつもこいつもvs物やりたがるんだろ...死にたい』


幼女幽霊「...」

幼女幽霊「い、一応口裂け女系は良作はいくつかあるんだけどなぁ...如何せん知名度の割に打率が低いよね」

幼女幽霊「まあでも、それを言ったら都市伝説系は大体酷いか。海外で例えるならサメとかゾンビ映画的な立ち位置?」


幼女幽霊「...いつか口裂けシャークとか作られそう」ゾクッ



DQN幽霊「DVD借りてきたっスよ~」フワフワ

幼女幽霊「お、来たか。じゃあ早速見るぞ」

幼女幽霊「...ん?お前も何か借りてきたのか?」


DQN幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「ウ、ウス...ちょっとアニメを...自分ジブリ好きなんで...」


幼女幽霊「なんだAVか、肉体がないのによくやるわ」


DQN幽霊「なっ...!?」


幼女幽霊「やるなら向こうの部屋で見ろよ。あとイカ臭いからこっちに来るな」


DQN幽霊「うぅぅ...少しは察してくださいよ...」フワフワ

幼女幽霊「さーて、私は念願のスターウォーズ見よっと」ポチッ

幼女幽霊「この近くは映画館がないから不便だよなぁ...気になる新作もDVDになるまで見れないもん」

幼女幽霊「あぁ...一度でいいから4DX体験してみたいわぁ。あれ席とか揺れるんでしょ?絶対楽しいじゃん」


ピー


幼女幽霊「!!!!」ピクッ

幼女幽霊「チッ...これから見ようって思ってた時にこれか。えーっと本日のお客様は...」チラッ




女『ねー!やめようよー!絶対ここ出るってばー!』イチャイチャ

男『大丈夫だって!幽霊なんて俺がワンパンで倒してやるからw』イチャイチャ




幼女幽霊「...カップルか」ニヤァ

TV『アーンイヤーン』



DQN幽霊「...」

DQN幽霊「むなしい」

DQN幽霊「はぁ...やっぱり借りてくるんじゃなかった。肉体がないのにAVなんて見ても仕方ないな...」

DQN幽霊「あーあ、せめて先輩みたいに足付きの幽霊だったらなぁ...あれなら自分の肉体を呼び出すことだって出来たのに」


DQN幽霊「...俺も強がってないでさっさと童貞卒業しておけば良かった...なんでバイクで事故っちまったんだろ」


幼女幽霊「おいDQN!!!!客だ!男女のカップルだぞ!!!!」バンッ


DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊「ちょっ...ノックしてくださいよ!!!!プライバシーの侵害っスよ!?」

幼女幽霊「うるせぇ!てめえは思春期の男子中学生か!んなことよりカップルだカップル!」

DQN幽霊「今晩も誰か来たんスか?最近、何だか多いっスね」


幼女幽霊「もうすぐ夏だからな!アホな若者共が刺激を求めて不法侵入する季節だ!」

幼女幽霊「さあ!頭の中がSEXとドラッグしかない歩く肉塊共を恐怖のどん底に陥れようじゃないか!」バーン


DQN幽霊「...何かテンション高いっスね」




幼女幽霊「えーっとあいつらは...あ、居た。5番カメラに映ってるな」

幼女幽霊「ということは1階の診察室か。パターン通りだな」

DQN幽霊「こんだけ隠しカメラと盗聴器を設置してよく気付かれないもんっスよね~。あそこの壁にくっ付けてるやつとか、絶対にバレると思ってたのに」

幼女幽霊「この病院は私達がいる部屋以外は電気を通らないようにしてるからな。懐中電灯だけじゃ細かいところまでは分からんよ」

DQN幽霊「ん...?動きがありましたね。どうやら写真を撮ってるみたいっス」

幼女幽霊「写真か、あそこの診察室ってオーブちゃん何匹居たっけ?」

DQN幽霊「えーっと確か...10匹くらいじゃないっスか?」




男『うわっ!?何だこれ!?』

女『ちょっと...これってオーブってやつじゃないの?テレビ見たことあるよ...』



幼女幽霊「どうでもいいけど、テレビでよく見るオーブってあれ絶対偽物だよね」

DQN幽霊「あれなんなんスかね?ホコリっぽいスけど合成?」

幼女幽霊「何かどっかの記事で読んだけど、ホコリがカメラのフラッシュに反射してるらしいよ。詳細は知らんけど」

DQN幽霊「あー...なるほど」

幼女幽霊「んじゃ、そろそろオーブちゃんに指令でも送ってみるか」

幼女幽霊「あー...あー...聞こえる?こちらリーダー、どうぞ」


『ヒョオオオオオオオオオオ』


幼女幽霊「うんうん、元気な返事ご苦労、とりあえず適当に物とか落としてくれる?」

幼女幽霊「んー...最初はあんまり大きくない方がいいね。本とかでいいよ、それじゃよろしくぅ」


DQN幽霊「...念波って便利っスよね。あのオーブ達に直接指示が出せるんスから」

幼女幽霊「これも足付きの特権だからね。そこらの雑魚霊とはスペックが違うのよ、スペックが」ドヤァ

ガタンッ


女『!?』ビクッ

男『な、なんだ...本が落ちただけか...』




幼女幽霊「...それにしてもこいつらイラつくな。カップルで心霊スポットに肝試しに来るとか舐めてんの?」イライラ

DQN幽霊「そっスか?結構ありがちな展開だと思いますけど」

幼女幽霊「はぁ?お前ホラー映画のルール知らんの?」


幼女幽霊「男女でイチャつくの禁止、酒やドラッグも駄目、すぐ戻るは禁句、常識だろ」


DQN幽霊「あー...確かにそういうのって真っ先に殺されるような」

幼女幽霊(幽霊ならスクリームぐらい見とけよ)イライラ

女『もう帰ろうよぉ...』シクシク

男『大丈夫だって、俺が付いてるから』ギュッ




DQN幽霊「言ってる側からイチャついてるっスね。何かもう、今にでもキスしそうな勢いじゃないっスか」

幼女幽霊「...駄目だわ、もうキレた。天罰を食らわせてやる」


幼女幽霊「もしもし?オーブちゃん?今すぐプランBお願い。うん、よろしく」


DQN幽霊「プランBってちょっといきなり過ぎないっスか?まだ一階なんスから、もっと軽めのジャブの方が...」

幼女幽霊「いいんだよ。今日はスピーディーにやりたい気分だから」

ガタガタッ...


女『』ビクッ

男『な、なんだっ!?』


ガタタタタタタッ


女『うぇぇん...もうやだぁ...』ブルブル

男『だ、大丈夫!大丈夫!ただの風の音...』



ハハハハハハハハハハッ...ハハハハハハハハハハッ...

ドンドンドンドンドン!!!!!!!!!




幼女幽霊「子供の声と廊下を何かが凄いスピードで走る音...突然こんな音が聞こえてきたら、そりゃ人間パニックになるよね」

DQN幽霊「オーブって便利っスよね~あの声も出してるとか、ちょっと信じられないっス」

幼女幽霊「オーブちゃんは万能だからね。とりあえずオーブちゃんのせいにしとけば大体当たってるから」

DQN幽霊「お、部屋から飛び出して二手に別れたっスね」

幼女幽霊「あまりの恐怖でまともな思考が出来なくなったんだろうね。孤独になるほどの死亡フラグはないのに」

DQN幽霊「男の方は正面玄関、女の方は2階に逃げましたけど...どっちから先に行くっスか?」

幼女幽霊「ならまず先に女を捨てた男の方から行こうか。一応出口は封鎖してるけど、万が一壊されたら面倒だしね」




男「クソッ!どうなってんだよこれ!なんでドアが開かねぇんだッッ!!」ガチャガチャ

男(ンだよ...!せっかく噂の心霊スポットであの女をビビらせて、ホテルに連れ込んでヤるつもりだったのに...!)

男(本物が出てくるなんて冗談じゃねえぞ!!さっさとこんな場所から出て行ってやる!!!!)


男「何か扉をぶっ壊せる物...何か...」キョロキョロ


男「!!!! あった!あの椅子だ!」ダッ

男「へへへ...これならあのガラス扉をぶち破って外に出られるはずだ...!」グッ


『889』


男(...なんだこの椅子?でかでかと"889"って書いてあるが...何かの番号か?)

男「って!今はそんなことどうでもいい!これでここからおさらばだっ!!!」ガンッ


シーン


男(なっ...ビクともしねぇ...)

男「ク、クソッ!!クソッ!!」ガンガン


シーン


男(ハァ!?このくらい叩けば普通ならヒビくらい割れるはず!一体どうなって...)

『ね...ね...ね...ね...』




男「」ビクッ

男「...な、なんだ?今、何か聞こえたような」




『ね...ね...ね...ね...』




男(げ、幻覚じゃない...確かに「ね」って聞こえたぞ...)

男「ぐっ...クソォ!!!!クソォ!!!!」バンバン


シーン


男「壊れろぉ!!!!壊れろよぉ!!!!」ガンガン




『ね...ね...ね...ね...』

男(声が段々大きく聞こえる...なんだよ「ね」って!意味分かんねぇ!!!)バンバン

男「ハッ...!ハァッ!!!!」ドンッ


バキッ


男「!?」ボキッ

男(い、椅子が...壊れ...)




『ね...ね...ね...ね...』




男(...よ、よく聞いてみたらこの声...ねが4つ聞こえる...)

男(『ねが4つ』...『4つのね』...『四のね』...『しね』...死ね!?)


男「ハ、ハハハ...んだよそれ...」ブルブル

男(...そ、そういえば椅子にも889って書いてあったな...889...『はち』と『や』と『く』で...)
















『早 く 死 ね』














男「」バタッ




幼女幽霊「ふっー...気付いてくれて良かった。でも、あれだけヒントがあったら余程のアホじゃない限り気付くか」フワァ

DQN幽霊「ちょっと分かりやす過ぎないっスか?自分はもうちょっと抑え気味の方が好きっス」フワァ


幼女幽霊「あんまり分かりにくいと、ただ『ね』を馬鹿みたいに言ってる意味不明な幽霊になっちゃうからね。このくらいがちょうどいいんだよ」

幼女幽霊「ほら、よく言うでしょ?ホラーとギャグは紙一重だって」

DQN幽霊「なるほど...ホラーって難しいっスねぇ~...」

幼女幽霊「んじゃ次は女の方に行こっか。何かあの男の思考を聞いてたら同情しちゃったから、今度はあんまり怖くないやつで」

DQN幽霊「うっす」

............................................................
................................................


バタン


女「はぁ...はぁ...」ゼェゼェ

女「うぅ...な、なんだったの...さっきの音..幻覚じゃないよね」ヘナッ

女「...ど、どうしよう。急いで部屋から出てから男くんとはぐれちゃった...」キョロキョロ

女「それにここ...入る時は気付かなかったけど、よく見たらトイレだ...」



コツン...コツン...



女「ひぃっ!?」ビクッ

女(だ、誰か来た...!とにかく個室に隠れよう!)バタン



コツン...コツン...



女(まさか男くん?いやでも足音が軽いような...まるで子供みたい...)

コツン...コツン...


コツンッ



女(足音が止まった...音の距離からすると止まった場所は...)

女(このトイレの前...)ゾォー



ギィー...



女(は、入ってきた...で、でもまだ男くんが探しに来たって可能性も...)



ドンドンドンドンドンッッッ!!!!!!!!!!



女(ひぃっ!?や、やっぱり違ったぁ!!)

ドンドンドンドンドンッッッ!!!!!!!!!!!

ガチャ



女(あわわ...あわわわわ...)ガクガクブルブルブル

女(ひ、一つ一つ前から順にトイレの扉を叩いてる...私が入ったのは一番奥だから...あ、あと3つ...)ブルブル



ドンドンドンドンドンッッッ!!!!!!!!!!

ガチャ



女(お、お願い...早く出てって...!私はここには居ないからっ...!)



ドンドンドンドンドンッッッ!!!!!!!!!!!

ガチャ



女(あっ...あっ...も、もう駄目だ...つ、次で私が入ってる扉...)

女「...っ!」ギュッ



ドクンッ...ドクンッ...



女「ぃっ...ぃっ...」ブルブル




ドクンッ...ドクンッ...




女(...あれ?)バクバク

女(こ、来ない...?なんで?)

女(まさか居ないと分かって帰った?は、はは...嘘でしょ...)

女(あ、あと5分待って何もなかったら外に出よう。うん、うん...大丈夫、きっと何も起こらないはず...大丈夫...)


ゴンッ


女(えっ?上から音が...)クイッ













『ミ ツ ケ タ』













女「」バタッ



DQN幽霊「...どこがあんまり怖くないんスか。めちゃくちゃ怖いじゃないっスか」

幼女幽霊「え?そう?こんな使い古された手法でビビるやつなんて居るの?」

DQN幽霊「いやまあよくある手っスけど...よくあるってことはそれだけ効果があるってことじゃないっスか?」

幼女幽霊「そうかなぁ?私なんてこんな場面になったら、あまりにもベタで笑っちゃうと思うけど」

DQN幽霊「...伊達に人間より幽霊をやってる期間の方が長いだけあるっスね。ちょっと引くレベルっス」

幼女幽霊「ははは、もっと褒めろ」


男「」

女「」


DQN幽霊「...で、この二人どうするっスか?」

幼女幽霊「うーん...そうだねぇ、じゃあまずは財布を拝借っと」ガサゴソ

幼女幽霊「ほー...男の方は意外と金持ってんじゃん。よし、カード以外全部貰おっと」スッ

幼女幽霊「女の方は...半分で許してやるか。せめてもの情けだ」スッ


DQN幽霊「毎回思うんスけど、なんで財布の中身を盗る必要ってあるんスか?俺らには要らないものじゃないっスか」


幼女幽霊「そりゃあ...こいつらは不法侵入っていう立派な法律違反を犯してるわけだからね。それなりの罰は必要っしょ」

幼女幽霊「それに、お金が貯まっていくのは見てるだけでも楽しいからね。ぐふふ...もう500万くらいあるんじゃないかな?儲かる商売ですわ」グヘヘ

幼女幽霊「まあいつかどこかで役に立つ日も来るかもしれないしぃ...来ない可能性の方が高いけど」


DQN幽霊「...不良の俺が言うのもなんスけど、先輩ってかなりの"ワル"っスよね」

幼女幽霊「命を取らないだけマシってもんよ。どっかの家に入ったら絶対殺すウーマンより、よっぽど良心的でしょ」

幼女幽霊「さて後は記憶処理だな。うーん...そうだな...病院からの記憶は消して、女の方は男に嫌悪感でも持たせとくか」スッ


DQN幽霊「人の記憶にまで干渉できるって、本当に足付きってスゴいっスよね~...もう幽霊のレベル越えてないっスか?」


幼女幽霊「そう?足付きじゃなくても大体のやつは持ってるって聞いたけど」

幼女幽霊「だって記憶を消さないと、噂を過剰に広めないためには口封じで殺すしかないからね。でも殺しちゃったら余計に面倒なことになる確率がほぼ100%だし」

幼女幽霊「あんまり目立つと人が殺到して、その生気で幽霊は成仏しちゃうからね。これは私達が持ってる防衛機能みたいなもんよ」


DQN幽霊「ってことは...俺の力が弱いってだけっスか。はぁ...自信なくすっス」ズーン

幼女幽霊「よし、終わりっ!男は公園の方に、女は駅の方に飛ばしとくか」ピッ


男「」シュンッ

女「」シュンッ


DQN幽霊「...地味にそれもスゴくないっスか?ワープさせてるじゃないスか...」


幼女幽霊「ふふーん!私くらいになると空間操作から時間操作、はたまた時空を歪めることすらできるからね!」ドヤァ

幼女幽霊「ま、これは足付きの特権ってやつだよ。相当強力な霊じゃないとここまではムリムリカタツムリ」


DQN幽霊「いやほんと...何でもアリっスね...敵じゃなくて本当に良かったっス」


幼女幽霊「ははは!もっと褒めろ!」

幼女幽霊「さっ、もう今日は誰も来そうにないしスターウォーズでも見るか。お前も見るか?」

DQN幽霊「い、いや俺は遠慮させて頂いて...」

幼女幽霊「あー...そっか。ふーん...」



幼女幽霊「ほれ、これやるよ。部屋を汚すなよ」スッ

DQN幽霊「...幽霊にティッシュはいらないっスよ」


幼女幽霊「んじゃこれ」スッ

DQN幽霊「...ローションってどっから持って来たんスか。一応、見た目は幼女なんスからちょっとは自粛してくださいよ」


幼女幽霊「ならこれは?」ウィンウィンー

DQN幽霊「...もろアウトっす」

~~~~ 翌日 ~~~~


幼女幽霊「ゲ、ゲ、ゲゲゲのゲ~♪」


DQN幽霊「....」


幼女幽霊「楽しいな♪楽しいな♪お化けにゃ学校も~♪」

幼女幽霊「試験も何にもない♪」


DQN幽霊「...何かご機嫌っスね」


幼女幽霊「いやぁ~!もうすぐ私が見たかった映画の続編が公開するんだよね~!」

幼女幽霊「一応続編の企画はあって、予告まで作られたんだけどさ!何かポシャったみたいで何年も続報がなかったんだよ!」

幼女幽霊「前作とはちょっと違う感じになりそうなんだけどさ!やっぱり楽しみなんだよね!公開したら、初日に見に行こうと思ってるんだ!」


DQN幽霊「...この近くに映画館ないっスから、最低でもレンタルになるまで半年近く待たないと駄目っスよ」


幼女幽霊「あっ...」

幼女幽霊「あークソ!!何それ!?ファッキューサノバビッチ!!」

幼女幽霊「なんでこの近くに映画館ないの!?あり得なくない!?今時どこにでもあるでしょ普通!」

幼女幽霊「ファックファック!ファーーーーーック!!!!」


DQN幽霊「人に取り憑いて見るとか出来ないんスか?」


幼女幽霊「できないことはないけど...あれ人間側にかなり負担がかかるから、最悪死んじゃうんだよね」

幼女幽霊「まあ無理矢理に身体を乗っ取るんだから当たり前なんだけどさ...そこまでしてやるのはちょっと可哀想っていうか...」モジモジ


DQN幽霊(幽霊のくせにそういうところは気にしてるんだよなぁ...この人)

DQN幽霊「ならあの例の"肉体"を出して行くのはどうっスか?あれなら誰にも迷惑かからないと思うっスけど」

幼女幽霊「あー...あれね。確かにあれは元々私の身体だからいいんだけどさ...」

幼女幽霊「格好が格好だからね...あんなので街を出歩いたら、職質からの現行犯逮捕されちゃうよ」


DQN幽霊「...確かにあの姿だと厳しいっスね。コスプレのレベルをはるかに越えてるっス」


幼女幽霊「クソ~ッ!!!!ファーック!ファーーーーーーーック!!!!」

幼女幽霊「...はぁ、今何時?」


DQN幽霊「夜の10時っス」


幼女幽霊「なら今日も来るとしたらこのぐらいの時間だな。最近は夏が近くて客が多いから準備しとくか」スッ


DQN幽霊「そんなに毎日来るもんっスかね~?冬場とか数週間に一組のペースだったじゃないっスか」

幼女幽霊「...お前死んでからどのくらい経った?」


DQN幽霊「えーっと...10月くらいに逝ったから...8ヶ月くらいっスね」


幼女幽霊「なら幽霊になってから初めての夏ってことか。じゃあ知らんのも無理ないな」

幼女幽霊「...幽霊の夏はヤバイぞ?まさに飛んで火に入る夏の虫状態だ」


DQN幽霊「...そんなにっスか?」


幼女幽霊「あぁ、毎日のように客が来て、下手をすると十数人も集まる時がある」

幼女幽霊「それに空気も読めないガキ共が昼間にも来るからな...幽霊が成仏する一番の季節が夏だし」

幼女幽霊「マジで休む暇がないからな。歴戦の私でも毎年夏には身を構えるレベル」


DQN幽霊「...」ゴクリ

幼女幽霊「まあ逝かないように注意するこったな。もう一度死んだら線香くらいはあげてやる」

DQN幽霊「ちょ、ちょっと脅かすのやめてくださいよ...不安になってきたじゃないっスか...」

幼女幽霊「ところで話変わるけどさ、私この前『キャビン』って映画見たんだよね」


DQN幽霊「...本当に突然話が変わったっスね」

DQN幽霊「で、どんな映画なんスかそれ」


幼女幽霊「簡単なあらすじを言うと、ホラー映画に出てくる怪物達を管理してる組織があって、その組織のシナリオ通りに監視されてる若者がコロコロされるんだけど...あーここから先はネタバレだね!」

幼女幽霊「いやー面白かった!特に後半の怪物共が解放されるシーンとか最高だったよ!」


DQN幽霊「へー...そうなんスか。面白そうっスね」

DQN幽霊「...ん?」

DQN幽霊「何か俺らのシチュエーションって、その映画に似てないっスか?」


幼女幽霊「」ギクッ

幼女幽霊「そ、そそそそそそんなことねぇよ!!!!まったく似てねぇよ!!!!」


DQN幽霊(この反応...まさか...)


ピー


幼女幽霊「ハッ!?客か!ほら来たじゃん!私の言った通りだ!」

DQN幽霊「二日連続なんて久しぶりっスね。今日はどんなやつらだろ」




不良共『『『ウェーーーーーーイwwwwwwwww』』』』




幼女幽霊「うわぁ...」チラッ

DQN幽霊「...こっち見るのやめてもらっていいっスか」

今日はここまで
こんな感じでホラー映画ネタとかを挟みつつ進みます
今考えるとスレタイの幼女幽霊は半分詐欺みたいなもんですねごめんなさい

幼女幽霊「不良とかマジでないわ...金髪とかマジでないわ」チラッ

DQN幽霊「...」

幼女幽霊「何あの格好...かっこいいと思ってんの?ダサッ」チラッ

DQN幽霊「...」

幼女幽霊「回りからどう思われてるか、客観的に判断できない悲しい人達なんだな...可哀想に」チラッ


DQN幽霊「...すんません」


幼女幽霊「はぁ...私ああいうタイプって苦手なんだよね。ゴミは片付けずに散らかして行くし、スプレーで落書きはするし」

幼女幽霊「ほんとマジで勘弁してほしいよ。人間だけならともかく、幽霊にまで迷惑かけるとか」


DQN幽霊「か、返す言葉もないっス...」

幼女幽霊「いや、DQNくんはいいよ?一応真面目にパシリしてくれるしさ、私はむしろ気に入ってるくらいだし」

幼女幽霊「でも不良は論外だな。うん、ないわ」


DQN幽霊「も、もう許して...」


幼女幽霊「しかし数が多いな。六人組とか舐めてんのか」

幼女幽霊「心霊スポットに来るなら最高でも三人組が限度だろうが...多人数で来るとかお祭りじゃねえんだぞコラ」


DQN幽霊「...ん?」ピクッ

幼女幽霊「どした?知り合いでも居たか?」

DQN幽霊「...いえ、何でもないっス」


DQN幽霊(アイツは...まだあんなことやってんのか...)

幼女幽霊「ああいう輩はすぐにでもご退場を願いたいね。もう今から直接脅かしに行っちゃダメかな」

DQN幽霊「さすがに開幕1分で出てくる幽霊は前代未聞っスよ」

幼女幽霊「...む、あいつら何か変な動きしてない?」

DQN幽霊「どれどれ」




不良A『うっひゃーwwwwwここすげぇよwwwww花火の勢いやべぇw』パチパチ

不良B『お前ら下がってろwwwww打ち上げ花火やるからwwww』




幼女幽霊「」ポカーン

DQN幽霊「は、花火っスか...さすがにここでやるのは非常識っスね」

幼女幽霊「いや、おま...花火って。心霊スポットで花火って...」プルプル

幼女幽霊「...ちょっと試してみるか」スッ

DQN幽霊「な、何するんっスか?」

幼女幽霊「...私も鬼じゃないからね。仏の顔も三度まで、あいつらに最後のチャンスを与えてやるよ」

幼女幽霊「やつらの目の前に、明らかにお供え物と分かる花とお菓子とジュースを置く」

幼女幽霊「もしあいつらが自分の行いを反省して、手でも合わせれば今回のことは見逃してやるよ...」プルプル

DQN幽霊(せ、先輩久しぶりにキレてるな)




シュンッ


不良A『ウェーーーーーーイwwwwwww...ん?』

不良A『...おい、誰かここに菓子とジュースを置いたか?』

不良B『あぁ、それ俺が持って来たやつだわ』

不良A『なんだよwwwwwならちょっと貰うわwwww』ゴクゴク

不良B『うwwwwそwwwwだwwwwよwwww』

不良A『って嘘かーーーーいwwww』




幼女幽霊「...」

DQN幽霊「...」


幼女幽霊「マジかあいつら」

DQN幽霊「マ、マジみたいっスね」


幼女幽霊「いくらなんでも罰当たり過ぎるだろ...限度ってもんがあるぞ、限度が」

DQN幽霊「いやぁ...いくら俺でもあそこまではやらないっスよ。幽霊なんてこれっぽっちも信じてないっスね...」

幼女幽霊「怒りを通り越して呆れるわ...非常識ってレベルじゃねえぞ」

幼女幽霊「ちょっとこれはキツいお仕置きが必要だな...プランJで行くぞ」

DQN「J...かなりエグいやつっスね。確か限界を越えた恐怖を与えると、記憶を消しても強烈なトラウマが残るみたいっスけどいいんスか?」

幼女幽霊「まあ大丈夫だろ、あいつら馬鹿っぽいからすぐ忘れそうだし」


幼女幽霊「よし、まずは私の肉体を出すか。久々だから上手く行くといいんだけど」ポキポキ

幼女幽霊「スゥー...セイッ!!!!!」


ボンッ


長髪白装束娘「」


幼女幽霊「よっしゃ出た!」

DQN幽霊「黒髪で長髪で白装束...何か女の幽霊って全員こんな感じっスよね」

幼女幽霊「あとはこの肉体に入れば...」スゥ

長髪白装束娘「」ピクッ


長髪白装束娘「じゃんじゃじゃーん!物理攻撃もできる最強の幽霊の完成!この状態の私なら、どんな相手でも勝てる!」


DQN幽霊「おぉ...いいっスね。身体があるってどんな感じっスか?」


長髪白装束娘「やっぱり自分の身体っていいね!こう...馴染み方が違うって感触?」

長髪白装束娘「ちょっとモヤシ気味なのは気になるけど...まあ許容範囲内!ポップコーン食ってれば太るでしょ」モグモグ


DQN幽霊「あぁ...何で部屋の中に大量のポップコーンが閉まってるのかと思ったら、そのためだったんスね」

長髪白装束娘「で、どう?この身体って成長した私なんだけさ、可愛い?」


DQN幽霊「うーん...可愛いかどうかって言われても...」

DQN幽霊「その髪で、毎回顔が隠れて見れないから分かんないっスよ」


長髪白装束娘「ほら、髪上げたぞ。これならどうだ」ファサ


DQN幽霊「いやそれでもまだ隠れてるっス...どんだけ髪の量多いんスか」


長髪白装束娘「やっぱりダメか。何か知らんけど、私この髪のせいで一度も自分の素顔見たことないんだよなぁ...」

長髪白装束娘「目まではギリギリ見えるんだけど...むむむ」

長髪白装束娘「まっ、いいや。私のことだからきっと仲間由紀恵似のすごい美人だと思うし」


DQN幽霊(ポジティブだなぁ...)


長髪白装束娘「さて後は...あった!このホッケーマスクを被って.. 」カパッ

長髪白装束娘『フハハハ!どうだ?すっごい怖いだろ!』


DQN幽霊「あー...うっす。和と洋のコラボレーションって感じでイカすっス」


長髪白装束娘『フフフ...そうだろ、そうだろ。最後に武器の山刀を持てば完璧だ!』ジャキッ


DQN幽霊「武器ならチェーンソーとかの方がいいんじゃないっスか?あっちの方がインパクトありそうスけど」

長髪白装束娘『確かに恐怖心を煽るならあっちの方がいいけど、あれ音が反響するから病院内では向かないんだよね』

長髪白装束娘『それにジェイソンと言ったら素手か山刀だからね。チェーンソーは一度も使ったことないし』


DQN幽霊「あー有名な話っスね。それぐらいなら俺でも知ってるっス」


長髪白装束娘『お前は念波使えないんだっけ。なら監視カメラであいつらの場所をマイクを使って教えて』

長髪白装束娘『このマスクの下にイヤホン付いてるから』コンコン


DQN幽霊「うす、了解っス」


長髪白装束娘『さあ...恐怖の惨劇の始まりだよぉ!!!!』


DQN幽霊「...」

DQN幽霊(...迷走してるなぁ)

今日はここまで

ピピピッ


『テストテスト...先輩、聞こえるっスか?』


長髪白装束娘『ん、ばっちり聞こえるよ』


『今、あの不良グループは二人組になって離れて行動してるっス』

『例の花火してた馬鹿共が一階、金髪の男女が二階...ピアスをしてる男と派手な格好をしたギャルが三階に居るっス』


長髪白装束娘『ってことは...私が居るのが地下だから、一番近い一階から順番に潰していくか』

長髪白装束娘『OK、分かった。一階のやつらはどの部屋にいる?』


『えっーと9番カメラだから...救急処置室っスね』


長髪白装束娘『りょーかいっと、んじゃそこまでワープするか』シュンッ

~~~~ 1F 救急処置室 ~~~~


不良A「うぇぇ...なんだよここ、蜘蛛の巣がすげぇな」

不良B「まさに廃墟って感じだな。うっ...くっさ、なんだこの臭い」


ガタンッ


不良A「ん?なんだ今の音、部屋の外から聞こえたが」

不良B「風の音だろ。ここつまんないし、俺らも上の方に探索に行こうぜ」

不良A「そうだな...ってやべ、ちょっとションベンしたくなって来た」ブルッ

不良B「おいおい、こんなところで立ちションはやめとけよ。イチモツがかぶれるぞ」

不良A「しねーよバーカwwwwちょっとトイレ行ってくるから待っててくれや」

不良B「ここ水流れないと思うから、うんこはやめとけよwwwwww」

不良A「うんこじゃねーよwwwwwすぐ戻るわwwwwww」ダッ

バタンッ


不良B「ふーっ...しかし、こんな薄気味悪いところで一人ぼっちはちょっと気持ち悪いな」キョロキョロ

不良B「幽霊なんて信じないが...こういうところは不安になるっつーか、本能的にヤバいと感じるんだよな」

不良B「まっ、キチガイが住み着いててもおかしくはないからな。映画だったら真っ先に殺人鬼が出てきそうな場所だし」



ギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!



不良B「」ビクッ

不良B「な、なんだ今の叫び声...あいつの声に聞こえたが」

不良B「...」


不良B「さてはトイレでゴキブリでも出てビビったなwwwwwからかいに行ってやろwwwww」

コツンッ...コツンッ...


不良B「おいどしたwwwwwwうんこでも漏らしたかwwwwww」ヒョイッ


シーン


不良B「あれ、居ないのか?」キョロキョロ

不良B「おっかしいな...一階のトイレはここしかないと思ったんだが」

不良B「先に二階に行ったのか?ったくあの野郎...行くなら一言くらい声かけろよ」ブツブツ


『~~~♪~~~♪』


不良B「ん?なんだ...?何かの音楽...どこから流れてるんだ、このキッキッキって音は」クルッ



ボカッ!!!!!!



不良B「」バタッ

長髪白装束娘『まったく...こいつらアホか、なんで一人で行動してるんだよ。死にたいのか』

『あの先輩、さすがに効果音はマズいっス』

長髪白装束娘『え?ダメなの?これかけるとモチベ上がるんだけど』

『いやいや...普通に不審がられるっス。流すなら自分の脳内だけにしてください』

長髪白装束娘『ちぇっ...うるせえなぁ。分かったよ、止めればいいんでしょ』


長髪白装束娘『オーブちゃん、効果音ダメだって。止めていいよ』


オーブ「」ションボリ


長髪白装束娘『私も流したいんだけどねぇ...あのファッキンヤンキーがダメだって言うから』

長髪白装束娘『さて次は二階か。サクサクっと行きましょうかね』スタスタ

~~~~ 2F 病室 ~~~~


金髪男「ひゃー...んだよここ、気味悪いなぁ」

不良女「ウチ、こういうところマジで無理だって...絶対出るよここ」ギュッ

金髪男「なーに言ってんだよ、幽霊なんて出るわけねぇだろ。そんなことより...」


金髪男「なぁ、ここで一発ヤらないか?」


不良女「ハァッ!?マジで言ってんの!?」 

金髪男「マジマジ、大丈夫だって。先輩なら3階だし、不良AB共もまだ探索に夢中だろうし」

不良女「でも...いや普通に駄目っしょ、こんなところで...」




DQN幽霊「...」ジー

DQN幽霊「マジかこいつら」

DQN幽霊「いやいや...さすがにないわ。不謹慎って言葉を知らないのか、こいつら」

DQN幽霊「というかよくこんなところでヤろうと思えるな。幽霊の俺でも夜の廃病院は怖いのに」

DQN幽霊「何か先輩の気持ちが分かる気がする。確かにこれはムカつくわ、さっさと先輩に知らせて...」チラッ

DQN幽霊「...」ジー


DQN幽霊「も、もうちょっとだけ様子を見てみるか」




金髪男「なぁ?いいだろぉ...なぁなぁ」サワサワ

不良女「ちょ、ちょっと...さすがにヤバいって...」




DQN幽霊(もうちょっと...もうちょっと)

ピピピッ


DQN幽霊「」ビクッ


『おいDQN、いつまで待たせるの?早く次の獲物の位置教えろよぉ』


DQN幽霊「えっ...あっ...そ、そうっスね。えーっと場所は...」

DQN幽霊「あ、あれれ~?おかしいなぁ、どこのカメラにも写ってない...死角かどっかに入り込んだんスかね?」


『は?何言ってんの?そこの監視カメラは病院内ならどこに居ても見つかるように設置してるから、死角なんてないんだけど』


DQN幽霊「」ギクッ

DQN幽霊「そ、そうっスね...ちょっと待っててください。すぐ見つけますから」


『まったく早くしろよなぁ...こっちは狩りたくてウズウズしてるんだから』

DQN幽霊(クソッ!もう時間を稼げそうにない...早く脱げ!おっぱい見せろ!)




金髪男「いいだろ?なぁ...」

不良女「あんっ...もう、本当にちょっとだけだからね...」




DQN幽霊「!!!!!」

DQN幽霊「よっしゃ!イエス!ナイス!」グッ


『おいまだ見つけられないの!?本当お前は無能だな!さっさとしろよ!』


DQN幽霊「うるせぇ!!!!今大事なところだから少し黙ってろッ!!!!」イラッ


『ああんっ!?おい!お前今なんてった!?ぶっ殺すぞこの下級霊が!!!!』

不良女「...」ヌギッ



DQN幽霊(み、見えたああああああああああああ!!!!!ふぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!)

DQN幽霊「先輩スンマセン!見つけました!2階の病室、番号は201号です!」


『...お前さっき私に暴言吐いただろ。忘れてないからな』


DQN幽霊「いやマジでちょっと見つけられなくてイライラしてたんス!本当ごめんなさい!」


『...まあいいや。201号室な、すぐ行くわ』


DQN幽霊「何かあいつら部屋で一発ヤろうとしてるっスよ!早く行かないと先輩が来る頃にはギシアンかも!」


『マジでっ!?あの野郎共...ぶっ殺してやるわ!!!!』

シュンッ


金髪男「へへへ...どうだ?雰囲気出るだろ」

不良女「...ちょっと悪趣味じゃない?」

金髪男「それがいいんだよ、じゃあさっそく...」



カンカンカンッ



金髪男「...なんだ?」クルッ



長髪白装束娘『ハロー、アイムチャッキー』フリフリ



金髪男「...」

金髪男「えっ」ポカーン



長髪白装束娘『きるゆうううううううううううううううう!!!!!!』ダッ

金髪男(な、なんだこのホッケーマスクを被った女!?手に持ってるのは...刃物っ!?)


ザクッ


金髪男「グハッ...」バタッ

長髪白装束娘『』チラッ


不良女「ひっ...」ビクッ

不良女「う、うわああああああああああああああああ!!!!!!!」ダッ


シュンッ


不良女(な、何が起こったの!?アイツが...斬られた!?)

不良女(と、とにかく逃げないと...一刻も早くここからっっっ!)



長髪白装束娘『♪』フリフリ



不良女「!?」

不良女「な、なんで...さ、さっきまで後ろにいたのに...」ブルブル

長髪白装束娘『』スタスタ


不良女「あっ...あっ...」ビクビク

長髪白装束娘『...』サワッ

不良女「!?」ピクッ

不良女(な、なに...髪を撫でて...)


ボキッ


不良女「」プラーン



長髪白装束娘『まったく...人んちで堂々とよくヤれるな!恥ってもんはないのか!』


『せ、先輩...普通に一刀両断したり、首を折ったりしてましたけど大丈夫ですか?』


長髪白装束娘『あぁ、カメラ越しにもそう見えたのか』

長髪白装束娘『安心しろ、あれは私とオーブちゃんの力で見せた幻だよ。私がやったのは山刀を振り上げたり、髪を撫でただけだ』

『えっ...どういう意味っスか?』


長髪白装束娘『あの最後はあいつらが想像したイメージ、それを私達の力で現実にしただけに過ぎないってことよ』

長髪白装束娘『もうすぐ幻覚も解ける頃だと思うけど』チラッ



金髪男「」スゥ

不良娘「」スゥ



『うぉぉ...スゴいっスね。そんなことまで出来るんスか』

『それにしても先輩、普通に目の前にワープしたりしてたんスけど...あれも大丈夫っスか?一応、幽霊じゃなくて実物の殺人鬼って設定だと思うんスけど』


長髪白装束娘『いいんだよ、本物だってワープしてるんだし』

長髪白装束娘『さて残りはあと二人だ。このままガンガン行こうか』

今日はここまで

そういえば今日6/18(土)からあのJホラーの二大看板『リング』シリーズの貞子と『呪怨』シリーズ伽椰子が対決する『貞子vs伽椰子』が公開されましたね
監督はあの『ノロイ』『オカルト』『カルト』『コワすぎ』と独自の世界観を持つ数々の名作を生み出した白石晃士監督
一部の映画館では4DXにも対応してて絶賛全国ロードショー中だそうです
これは是非見たいですね!(ダイレクトマーケティング)

すみません、ここ数日は諸事情により更新出来そうにないです
すぐ戻ってくると思うので気を長くして待っていただけると嬉しいです

生存報告...待たせてしまってごめんなさい
週末には更新できると思います

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..........................................


ガタンッ


ギャル「」ビクッ


ピアス男「...」スゥー


ギャル「ね、ねぇ...今さっき何か下から変な音しなかった?」


ピアス男「...」スゥー


ギャル「...よくこんなところでキメられるね、アタシなら絶対無理」


ピアス男「...ハァー」ピクッ

ピアス男「あぁ...気持ちぃ...やっぱ辞めらんねぇわこれ」


ピアス男「今の俺ならなんでも出来るわぁ...どんな相手にも負ける気がしねぇ」


ギャル(...幽霊よりアンタの方がヤバイよ)

長髪白装束娘『よいしょ、よいしょっと』ズルズルー


『先輩?誰運んでるんスか?』


長髪白装束娘『あぁ、これ?人じゃなくて人形だよ、人形』

長髪白装束娘『この中にはたっぷりの血糊とソーセージが入っててね、それをこの山刀で切ると殺人シーンの完成ってわけよ』

長髪白装束娘『ついでに私の力で手足の部分を動かして、オーブちゃんの叫び声のおまけ付き』

長髪白装束娘『フフフ...暇な時に作っておいて正解だったな。これはインパクトあるぞぉ~』ニヤニヤ


『何か海外のドッキリ動画みたいっスね』


長髪白装束娘『で、最後の一組は今どこ?』

『えーっと...三階のリハビリ室っスね。ん?これは...』

長髪白装束娘『どした?何かあった?』

『...先輩、もしかしたらあいつらここでヤクやってるかも知れないっスよ』

長髪白装束娘『ヤク?ヤクってあの...ヤクルト?』


『違うっスよ...麻薬、クスリの方っス』

長髪白装束娘『ああっ!?麻薬だ?
とっ!!?』


『先輩声大きいっス!聞こえるっスよ!』

長髪白装束娘『マジ?確証あんの?』


『...多分間違いないと思うっス。ストローにあの粉っぽいもの、男の方の様子も少しおかしいし、それに...』

長髪白装束娘『それに?』


『...いえ、何でもないっス』

『とにかくやってるのはほぼ100%間違いないと思うっスよ。どうするんスか?』


長髪白装束娘『んー...どうっすっかな~だって不良からの女連れからのドラッグコンボでしょ?ちょっとやり過ぎでしょ。なら...』

長髪白装束娘『これはこっちもやり過ぎなくらいがちょうどいいな』ニヤァ







ギャル「へっくしゅん!」ブルッ

ギャル「な、なに...?急に寒気が...」

ギャル「ねぇ、もう帰らない?ここ気味が悪いよ」

ピアス男「なーに言ってんだ。最高じゃねえかここ」

ピアス男「カビの臭いに薄汚い床にこの冷たい空気、まさに俺にピッタリだ。...決めた!明日から集会はここでするぞ」


ギャル(勘弁してよ...)


ガタン


ギャル「」ビクッ

ギャル「...なに?部屋の外から物音が」



ピッ

ジャンガジャンガ!!!!!ジャジャーン!!!!!


ピアス男「ん~やっぱりこのバンドはいいな。いつ聞いても最高にロックだ」

ギャル「さっきまた音が聞こえなかった?今度は部屋の外から...」


ピアス男「ああん?聞こえねぇよ。俺のビートの邪魔すんな」

ピアス男「YEAH...いいねいいね、やっぱりここは俺に合ってる。いつも以上にノれるぜ」コクコク


ギャル「...そ、そう。ならいいや」





長髪白装束娘『...なぜ誰も部屋から出てこない』

『先輩、あいつら部屋の中で大音量で流してるっスよ』

長髪白装束娘『...は?』

長髪白装束娘『クソがッ!私の外で物音を鳴らして誘き寄せ作戦が失敗じゃねえか!!!』イライラ

長髪白装束娘『あーもう...お前らがその気ならこっちも容赦しないからな。もっと怖い方法でやってやる』

長髪白装束娘『DQN、音楽が出てるのってスマホ?それとも別のやつ?』


『スマホっスね』


長髪白装束娘『よし分かった。オーブちゃん、あいつの再生リストに例の曲入れて流して来て』

オーブ『』コクリ


ヒュンッ

『...オーブに機械操作なんて出来るんスか?』

長髪白装束娘『お前オーブちゃん舐めたらダメだぞ。あの子達って結構現代っ子だからな』

長髪白装束娘『この前なんて私のPCで勝手にプログラミングとかしてたぞ』


『...ヤバイっスね』

ジャンジャーン!!!!!ジャジャンジャーン...ピッ


ピアス男「...あ?なんだ?急に止まったぞ」

ピアス男「んだよバグったのか?クソが...」ポチポチ


ギャル「ちょっ...それってまさか幽霊の仕業じゃ...」


ピアス男「んなわけねぇだろ。スマホを弄くる幽霊なんてどこにいんだよ」

ピアス男「...よし、これでいい、戻ったはずだ。まったく水差しやがって」ピッ



テン♪


チャンチャンチャンチャン♪チャンチャンチャンチャン♪チャンチャンチャンチャン♪チャンチャンチャンチャン♪




DQN幽霊「うわすっごいベタなやつ流れた」

ギャル「!?」ビクッ

ギャル「ちょっ...何やってんの!?やめてよ!!!!」

ピアス男「あ?なんだこれ...こんなやつ入れた覚えねぇぞ」ポチポチ

ギャル「これあの着信がある映画のやつじゃん!!アタシをおどかそうとしてんのっ!?」

ピアス男「だから知らねぇっつってんだろ...止まんねぇな、なんだこれ」ポチポチ


ギャル「...ッ!もう無理!アタシ先帰るっ!!!!」ダッ


ガチャ


ギャル(無理!無理!無理!もうぜっっっっったいに無理!!!!!)

ギャル(金持ってるからアイツと付き合ってたけど、クスリはやってるしヤクザとも繋がってるし、予想以上にヤバいやつだった!その上すごい悪趣味!)

ギャル(もう別れてやる!ふんだ、キープは何人もいるからそいつらからまた金を吸えば...)

ギギギ...ギギギ...



ギャル「」ピクッ

ギャル(なに...前から金属音が...)



ギギギ...ギギギ...

ペタッ...ペタッ...



ギャル(足音っ!?)




長髪白装束娘『...』ギギギ



ギャル(...えっ)

ギャル(ジェイソ...貞...どっち?)






DQN幽霊「先輩...やっぱりその格好はギャグっスよ...」

ギャル「そ、そっか...そういうことか...」ブツブツ

ギャル「アンタら、アタシをビビらせようとドッキリ仕掛けてたんだ...てっきり本物かと思った...」ホッ


長髪白装束娘『...』





DQN幽霊「...そりゃ死の着信メロディの後に、ホッケーマスクを被った白装束の女が出てきたら普通ドッキリ疑うよな」





ギャル「分かった、分かった...もう充分驚いたよ。これで満足した?もうやめようよ」


長髪白装束娘『...』ブンッ


ドサッ


ギャル「え?何その袋...」

袋『ンーーーーーー!!!!!!ンン~~~~~~~!!!!!』バタバタ



ギャル「」ビクッ

ギャル「えっ...ちょっ、何入ってんのそれ」



長髪白装束娘『...』スッ



ギャル「なっ!?やめっ...」



長髪白装束娘『...ッ!!!!!!!』ブンッ


グチャーーーーーン!!!!!!!


袋『アッ...アッ...』ピクピク





DQN幽霊「うわっ...グロ!」

ギャル「あっ...あっ...」ブルブル

ギャル「そ、それ...まさか入ってるの人...な、なにそれ」




長髪白装束娘『...』ギロッ




ギャル「ひぃ!?た、助けてぇっ!!!!」ダッ




長髪白装束娘『...』

長髪白装束娘『...どう?完璧だった?』


『いやぁ...迫力ハンパないっスね。さすがに目の前で人間が叩き斬られるのを見たらダメージヤバいっスよ』


長髪白装束娘『フハハ...そうかそうか。よし、あのギャルの後ろまでワープしてから最後の獲物を仕留めるとするか』シュンッ

ギャル「はぁっ...!はぁっ...!」ダダダッ

ギャル「な、なんだよアイツ...!ヤバイよ!早く逃げないとっ...!!」




ピアス男「ヒュー♪ヒュー♪なんだここ。すっげえ口笛が響くな」


バンッ


ギャル「ねぇっ!!!大変だよっ!!!!」


ピアス男「あ?なんだお前、帰ったんじゃねぇのか」


ギャル「そんなこと言ってる場合じゃない!!ここヤバいやつが居るんだって!!!早く逃げないとヤバいよ!」


ピアス男「ヤバいヤバいうっせぇんだよ、何言ってるか全然分かんねぇ」

ピアス男「んなことよりお前の後ろにいる、ハロウィンみたいな格好してる女誰だよ」

ギャル「えっ、何それ...」クルッ



ザンッ!!!!!!

ブシューーーーーー!!!!!!!!



ギャル「」バタンッ


ゴトッ


ピアス男「...おぉ、首が飛んだ」



長髪白装束娘『』ギロッ



ピアス男「なんだお前?廃病院に住む不審者ってやつか?ハハッ、映画みてぇ」



長髪白装束娘『...』

長髪白装束娘(なんであんまりビビってないんだこいつ)

長髪白装束娘(ねぇ、なんでだと思う?こんなパターン初めてなんだけど)


(クスリでハイになって感覚が麻痺してるんじゃないっスか?)


長髪白装束娘(うわマジかよ...薬中ってやりにくいな)

長髪白装束娘(ならあんまりビビらせること出来ないじゃん。勿体ないけどチャッチャと終わらせるか)


ダッ


長髪白装束娘(ん?何の音...)


ピアス男「オラァ!!!!!」ブンッ

長髪白装束娘『!?』ドゴォ




DQN幽霊「...」ポカーン

DQN幽霊「せ、先輩が殴られた...」

長髪白装束娘(へぶちっ!?)ズサー



ピアス男「結構細いな。体重軽すぎだろ」ブンブン



長髪白装束娘(な、なにこいつなにこいつなにこいつ!?な、殴りやがった!この私に腹パンしやがった!!!!)

長髪白装束娘(普通殴るかぁオイィ!?この格好したやつを殴るなんてかなーり少数派だぞ!?普通やらねぇよ!!!!)

長髪白装束娘(というかめっちゃ痛い!お腹めっちゃ痛い!!よく考えたら私の生涯って今までまともに殴られたことなかった!幽霊だけど!)

長髪白装束娘(ああああああああああぁぁっっっ!!!!!クソがぁ!!!!一旦退却じゃボケェ!!!!)


シュンッ



ピアス男「...あ?消えた?」キョロキョロ

ピアス男「成仏したか?でもアイツ殴れたから人だよな?」

ドサッ


長髪白装束娘「あああああああああっっっ!!!!お腹痛いよおおおおおおおおおおお!!!!!」ゴロゴロ

DQN幽霊「ちょっ!?先輩大丈夫っスか!?」

長髪白装束娘「大丈夫なわけないだろうがぁっ!!!!腹パンされたんだぞ!めっちゃ痛いわ!!!!」ゴロゴロ

DQN幽霊「そ、そっスよね...全然大丈夫じゃないっスよね」


スゥ


幼女幽霊「クソォォォ!まさかあんなやつに実体の弱点を突かれるとは思わなかった!!!!ムカつくぅ!」

DQN幽霊「弱点?先輩に弱点なんてあるんスか?」

幼女幽霊「私のあの肉体は普通に物理攻撃が効くんだよぉ!痛みもダメージも霊体の方にフィードバックされるんだ!」

DQN幽霊「え、えぇ...普通そういうのって効かないんじゃないっスか?」

幼女幽霊「私は元は幽霊(ゴースト)!怪物(モンスター)と違って耐久力は脆いんだよ!」

幼女幽霊「攻撃は道具や能力を使えばある程度カバーできるけど、防御は無理!不死身の肉体じゃないんだぞ!こっちは!」

DQN幽霊「そ、そうなんっスか...」


幼女幽霊「ぐぉぉ、久々の痛みで何か気持ち悪い...吐きそう...」

DQN幽霊「いや、今の先輩じゃ吐けないっスよ」


幼女幽霊「...」


DQN幽霊「ん?先輩?どうしたんスか?」


幼女幽霊「うぇぇ...ぐすっ...いたいぃぃ...」シクシク

DQN幽霊(泣いてるっ!?いや涙出んの!?)


幼女幽霊「もうやだぁ...後はお前がやって来てぇ...」シクシク


DQN幽霊「え、えぇ...俺がっスか?でも俺、幽霊の経験はまだほぼ素人なんスけど」


幼女幽霊「お前あのピアス着けてる男と知り合いなんだろぉ...いいじゃん別にぃ...」


DQN幽霊「」ドキッ

DQN幽霊「ど、どうしてそのことを...」


幼女幽霊「あんな思わせ振りな態度取られたら誰だって気付くわアホぉ...」

幼女幽霊「分かったら早く行けよぉ...もう一人にさせろ...」


DQN幽霊「...うす、じゃあ行ってくるっス」フワフワ

DQN幽霊「...」フワフワ


DQN幽霊(あの男は...生きていた頃の先輩だった)

DQN幽霊(まあ先輩と言っても...今の先輩とは違って、正真正銘の人間のクズだったんだけど)

DQN幽霊(ヤクザの親戚が居るとかで、ここら辺では誰もあいつに逆らえなかった)

DQN幽霊(それをいいことに好き放題やってて...死んで当然の人間ってやつはああいうやつのことなんだと思う)

DQN幽霊(まっ、今ではどうでもいいことだけどな。俺はもうあいつらとは関係ないんだし)


DQN幽霊「しっかしどうやって気絶させるか。先輩と違って俺は肉体ないから、反撃を食らう心配はないけど...こういうのってシチュエーションが大事だよな」

DQN幽霊「...それに生前の仕返しも少しはしたいしな」

DQN幽霊「方法はとりあえず移動中に考えるか。あーワープが使えるって楽なんだろうなぁ」フワフワ

............................................................
.............................................


ピアス男「...飽きてきたな、ここ」

ピアス男「ヤクも切れてきたしそろそろ帰るか。にしてもあいつらはどこに行ったんだ?」

ピアス男「この俺を置いていくなんていい度胸してるわほんと、後でシめてやるか」スタスタ




「おーい!せんぱーい!」




ピアス男「...あん?」クルッ



DQN幽霊「もうどこ行ってたっスか?探したっスよ!」



ピアス男「...誰だお前」

DQN幽霊「忘れるなんて酷いっスね~...自分はあんたに散々こき使われたのに」


ピアス男「は?」

ピアス男「...おいお前、何か透けてねぇか?それに足がないぞ」


DQN幽霊「そりゃそうっスよ。だって幽霊スからね」

DQN幽霊「ということで先輩、早速で悪いんスけど死んでくれないっスか?」


ピアス男「...は?」


ドンッ!!!


ピアス男(っつ!!何かに突き飛ばされた!?)バタッ

ガシッ!!!


ピアス男「!?...ぐ、ぐびが...」バタバタ

DQN幽霊「そんなに暴れないでくださいよ。余計苦しいっスよ?」

ピアス男「誰だよ...!でめぇ...離しやがれ...!!」ググッ

DQN幽霊「嫌っスよ。今までずっとあんたにこうしたかったんスから」グイッ


DQN幽霊「先輩、人に恨まれる行為はやめた方がいいっスよ?そういうのはいつか自分に帰ってくるもんス」

DQN幽霊「この世界には呪いも祟りもある、今まで先輩は運がよかっただけっス」


ピアス男「がっ...がっ...」ブンブン


DQN幽霊「これも因果ってやつっスかね~...まさか死んでから報復出来る日が来るなんて」

DQN幽霊「先輩、あんたは今から死ぬっス。今どういう気分っスか?」

DQN幽霊「このままずっと馬鹿やって、自分だけ幸せに暮らせると思ってたっスか?さすがにそれは虫がよすぎるっスよ」


ピアス男「誰が...誰が...ごんなとごろで...!!!!」ジタバタ


DQN幽霊「惨めで醜い最後っすね。じゃあそろそろこの辺で終わりにしてあげるっス」グッ

DQN幽霊「俺からの手向けの言葉は一言だけ、ずっと言いたかった言葉っス」




DQN幽霊「死ね」



ピアス男「あガッ...!?」ピクッ

ピアス男「」シーン

DQN幽霊「...ふっー、終わった」



幼女幽霊「あんまり無茶すんなよ、さすがに首絞めて落とすのは危ないぞ」



DQN幽霊「あっ、先輩居たんスか、どうでした?俺の劇は」



幼女幽霊「...恐怖は恐怖でもお前がやったのは死に対する心理的な恐怖だな」

幼女幽霊「悪くはなかったけど殺気が漏れてたぞ。プロなら私情を挟むな」



DQN幽霊「プロって...俺らただの幽霊っスよ?」



幼女幽霊「...正直ちょっと心配した。お前があのピアスの男を本気で殺すように見えたから」

DQN幽霊「...本当のこと言うと、生前は本気でこいつを殺したいと思ってましたよ」チラッ

DQN幽霊「俺や俺のダチもこいつに恐喝されたり、いじめられたりしてました...でも今はそこまで気にしてないっス」

DQN幽霊「なんてったって今の自分はもう死んでるんスからね。死者の自分が生者のこいつを殺したら、まるで生に嫉妬してるみたいで気持ち悪いっスもん」

DQN幽霊「こんなゴミみたいな人間に嫉妬する要素なんてないっスからね。そこら辺のラインはちゃんと分かってるつもりっスよ」

DQN幽霊「...まあ私情があったのは否定しないっス」



幼女幽霊「...そっか、安心した」



DQN幽霊「で、こいつらどうするっスか?」



幼女幽霊「麻薬は犯罪だからね。証拠品も含めて警察署の前に送ってやるよ」

幼女幽霊「あと更正するように、これから犯罪行為をする時は今日の夜のことを思い出すように深層心理に恐怖を植え付けておく」スッ

シュンッ


幼女幽霊「さて今日の夜は終わりだな。私は適当にネットでもしてよっと」

DQN幽霊「...あの、先輩。もしかして俺に仕返しのチャンスを与えるためにわざと殴られてくれたんスか?」

幼女幽霊「...」ピクッ

DQN幽霊「わざわざ俺のために痛い目に遭ってくれたなんて...先輩は本当に優しいっス!先輩の鑑っス!」


幼女幽霊「あー...うん、そうだな。バレちゃったら仕方ない」


DQN幽霊「さすが先輩っス!幽霊なのに人間が出来てる!」

DQN幽霊「あっ!この前見たいDVDがあるって言ってましたよね!?俺ちょっと借りに行ってくるっス!」フワフワ



幼女幽霊「...」

幼女幽霊(何か勝手に勘違いしてるけどまあいいか)

今日はここまで
いつも書いてる機種が変わったのでちょっと変なところがあるかも
間が空いてしまってごめんなさい

~~~~ 翌日 ~~~~



幼女幽霊「にゃんにゃんにゃーん♪」スリスリ

黒猫「ニャー」


幼女幽霊「にゃにゃにゃにゃーん♪」スリスリ

黒猫「ニャー」


幼女幽霊「にゃあにゃあああああああああああああ!!!!!」スリスリ

黒猫「ニャー」


幼女幽霊「んにゃあああああああああああ!!!!!ほにゃあああああああああああああ!!!!!!」スリスリ



DQN幽霊「...」

DQN幽霊「あの先輩」

幼女幽霊「にゃっ...あ?何か用?」

黒猫「ニャー」


DQN幽霊「いえ...猫可愛がるのもいいっスけど、もう少し自重というか静かにした方がいいと思うっス」


幼女幽霊「うるせぇなぁ、誰も迷惑してないからいいじゃん。猫を可愛がる時ぐらい好きにさせろよ」


DQN幽霊(俺が迷惑してるんですけど)


幼女幽霊「クロちゃんごめんねぇ、あの腐れDQNが邪魔しちゃって」

黒猫「ニャー」


DQN幽霊(黒猫だからクロちゃんって...安直な名前だな)

DQN幽霊「...ん?その猫ってもしかして俺らのこと見えてるんスか?」

幼女幽霊「当たり前だろぉ、猫だって見えないモノに可愛がられるほど間抜けじゃないよ」ヨシヨシ

黒猫「ニャー」スリスリ


DQN幽霊「へー...猫って俺らのこと見えてるんスね。初めて知ったっス」


幼女幽霊「動物は大体見えてるぞ。何か何もないところを猫とか犬が見てる時ってあるじゃん?あれ大体幽霊だから」

幼女幽霊「あと人間の赤ん坊も見えてる話を聞いてことあるな。大人になるとほとんどが見えなくなるらしいけど」


DQN幽霊「へー...不思議なもんっすね」

DQN幽霊「そういや人間にも俺らのこと見えてる人って居るんスよね?俺は見たことないっスけど、先輩はあるんスか?」


幼女幽霊「んー...10年幽霊やってるけど、ほぼ見たことないな。両手で数えられるくらいじゃないの」


DQN幽霊「...少ないっスね」

幼女幽霊「まあこういう心霊スポットに来るようなやつは大体信じてないからな。霊感がないのも当然と言えば当然でしょ」

幼女幽霊「本当にたまーに見えてるやつも居たけど...それでも何かが居るってのを感じられるだけで、厳密に言えば見えてるってわけじゃなかったからな」


DQN幽霊「ほー、なら見えるやつってほぼ居ない感じなんスね」


幼女幽霊「まっ、霊感があるとか言ってるやつってインチキ臭いのが大半だからね」

幼女幽霊「テレビとかに出てくる霊能力者っているじゃん?あれ、私から見れば全員偽物だよ」

幼女幽霊「だから正直、私は霊能力者とか除霊とかの話は一切信じてないんだよね。幽霊だけど」


DQN幽霊「...何か幽霊になってこんな真実を知るとは思わなかったっス」

黒猫「ニャー」スリスリ

幼女幽霊「おーよしよし、お前はインチキ霊能力者と違って可愛いなぁ...」


黒猫「ニャー」

幼女幽霊「にゃー」


黒猫「ニャー」

幼女幽霊「にゃー」



DQN幽霊(こうやって猫と戯れてる姿は見た目通りで可愛いらしいのになぁ...)



黒猫「ニャー」

幼女幽霊『ニャー』



DQN幽霊「!?」

DQN幽霊「えっ...ちょ、先輩!?今、猫の声出しませんでしたっ!?」

幼女幽霊「え?出したけど何か?」


DQN幽霊「いやいやいや!なんでさりげなくリアルな猫の声出せるんスか!!物真似ってレベルじゃなっスよ!!」


幼女幽霊「いやそこまで驚く?私ってワープしたり、時空を操ることができるんだよ?」

幼女幽霊「そんなスゴいことができるなら、リアルな声真似しても別に不思議じゃないでしょ」


DQN幽霊「...た、確かに」


幼女幽霊「猫の声以外にも色々できるぞ ...ちょっと待ってろ」グッ

幼女幽霊『ワンワン!!ワンワン!!』


DQN幽霊「スゲぇ...今度は犬だ...」

幼女幽霊『カーカー』


DQN幽霊「カラスだ...」


幼女幽霊『カロロロロロロロ...』


DQN幽霊「ん?どっかで聞いたことあるような...ハッ!?もしかしてプレデターっスか!」


幼女幽霊『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』


DQN幽霊「それ知ってるっス!伽椰子っスよね!!」


幼女幽霊『アオーン!!!!!』


DQN幽霊「ゴジラだ!ゴジラの鳴き声だ!」

DQN幽霊「先輩スゴいっスね!それだけ出来たらテレビに出られるっスよ!」


幼女幽霊「馬鹿言え!私は幽霊だからテレビに映らんだろうが!」


DQN幽霊&幼女幽霊「「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」」

猫「ニャー」カリカリ

幼女幽霊「ん?どした?もう外に出たいのか?」


DQN幽霊「そういえばその猫ってどっから入って来たんスか?ここ、地下だから出入口とかないっスよね?」


幼女幽霊「あぁ、それなら私が作ったこの猫ドアからだよ」スッ

幼女幽霊「一階に繋がるように、小さい緩やかな坂道になってるんだ。暇な時に作っておいて正解だったね」


DQN幽霊「...先輩って器用っスよね」


猫「ニャー」タッタッタ


幼女幽霊「じゃあね!また遊びにおいでー!マーちゃんー!」フリフリ

DQN幽霊「クロちゃんじゃなかったんスか」

幼女幽霊「ふっ、さて今は...夜中の11時か。もうそろそろ来てもおかしくないな」

DQN幽霊「さすがにもう今日は来ないっスよ。俺、3日連続は経験したことないんスもん」

幼女幽霊「いや...来てもおかしくないぞ。私の勘が今日は来る方だと言っている」

DQN幽霊「勘っスか。まあ先輩の勘ならそれなりには信用出来るっスけど」



ピー



幼女幽霊「!!!!きたあああああああ!」

DQN幽霊「うぉぉ...マジで来ちゃったよ」



ブロロロロロロロ...


幼女幽霊「ほう...今日の相手は車持ちか」

DQN幽霊「車持ってると何か違うんスか?」

幼女幽霊「うん、基本的に車で来るやつらってのは遠方からの客が多いんだよね」

幼女幽霊「それに...車で運ぶほどの荷物を持ってる可能性もある」チラッ

DQN「へー...遠方から車で運ぶほどの荷物を持った客っスか。うん?それってまさか...」



バタンッ



幼女幽霊「ほら見ろ!あいつらカメラ持ってるぞ!テレビ局だよ、テレビ局!」

DQN幽霊「マジっスか!テレビの取材なんて初めてっスよ俺!」

幼女幽霊「...ねぇ、お前『グレイヴ・エンカウンターズ』って映画知ってる?」

DQN幽霊「え?知らないっスけど」


幼女幽霊「そうかそうか...ふふ、今日は楽しい夜になりそうだ」ニヤニヤ

今日はここまで

......................................................
..........................................


AD「ちょっとディレクターさん...大丈夫なんですか?ここ取材するのに許可って取ってないですよね?」

ディレクター「あ?許可?チッ...取ってるよ」イラッ

AD「なら許可証見せてくださいよ」

ディレクター「...」


ゲシッ


AD「痛っ!?な、何するんですか!」

ディレクター「うるせぇ!ディレクターは俺だ!俺が取ってるつったら取ってるんだよ!!」


アイドル「あのー...何かあったんですか?許可がどうとか聞こえてきたんですけど」


ディレクター「あぁ、何でもないよ。本当に何でもないから」

ディレクター「おい、カメラマン。ちゃんと撮れてるか?ここはすっげぇ霊が出るって噂だからな」

ディレクター「もしそれをカメラにおさめられたら、大儲け間違いなしだ。バッチリ頼んだぞ」


カメラマン「は、はい」


AD「ディレクターさん、やっぱりまずいですって...無許可なのがバレたら大変なことになりますよ」

ディレクター「許可取ってるっつってんだろ。...モザイクかければバレねぇよ」

ディレクター「んなことより先生ェ!どうですか!ここに幽霊って居ますか!?」


坊主爺「...うむ、いるぞいるぞ。大量におるわい」

坊主爺「邪悪な気配が数十、数百と感じられる...これは気を引き締めていかんと取り込まれるぞ」

DQN幽霊「...何か個性的なメンバーっスね」


幼女幽霊(あのスタッフ達どっかで見たことあるんだけど...気のせいか)


DQN幽霊「というか先輩、テレビのスタッフの他にアイドルと霊能力者っぽいやつもいるっスよ。あれって本物っスか?」

幼女幽霊「いやいやニセモンでしょあれ。ここにいる霊って私とお前だけなのに、数百の霊がいるとか言ってんだぞ」

幼女幽霊「それに本物なら、同じ本物の霊と会ったように背筋に寒気が来るらしいからね。あいつ見てても全然そんな感じしないし」

DQN幽霊「やっぱりそっスか...胡散臭いなとは思ってたんスけど」


幼女幽霊「...さて、ここからは持久戦だな。期限は3日...いや3日だとさすがに危ないか、2日半ってところかな」

DQN幽霊「えっ?何のことっスか?」

幼女幽霊「まあ見てれば嫌でも分かるよ。今何分?」

DQN幽霊「時間っスか、えーっと...11時25分っスね」

幼女幽霊「あっそ、ならその時間よく覚えとけよ。面白いもんが見れるからな」

DQN幽霊「面白いもの...?」



ギィィィィ



DQN幽霊「おっ、向こうも病院内に入ったみたいっスね」

幼女幽霊「よし...始めるか」フンッ


幼女幽霊「むむむむむむ......セーーーーーーーーーイッッッッ!!!!!!」バシーン


シュンッ

ディレクター『中々いいじゃねえかこの雰囲気、これは絶対いるな...きっとくるよこれ』

AD『...ディレクターさん、あの霊能者の人ってどこから連れて来たんですか?ちょっと胡散臭いというか...』ボソッ


ゲシッ


AD『痛っ!?』

ディレクター『うるせぇ!先生ェに聞こえたらどうすんだよ!!お前はアシスタントなんだから俺の言うことだけ聞けばいいんだよ!!』

AD『...チッ』

ディレクター『あ?お前今舌打ちしたろ』




DQN幽霊「仲悪いっスね、あの二人」

幼女幽霊「あれパワハラじゃないの」

ディレクター『よし、ここらで検証パートでも撮っておくか。先生ェ!お願いします!』


坊主爺『うむ、任せておれ』

坊主爺『残念無念死無羅見残念無念死無羅見...ぬぅぅぅぅん!!!!』


坊主爺『見える...見えるぞよ。ここには病院で不慮の死を遂げた大量の霊魂が住み着いておる』

坊主爺『むぅ...どうやらこの病院は昔、違法臓器売買があったらしいな。まだ健康な患者を殺して、その臓器を売っていたらしい』

坊主爺『非業の死の無念が、呪いや怨霊となり病院中に漂っておるな...』


アイドル『ひえ~怖いですぅ~』




DQN幽霊「とか言ってるっスけど」

幼女幽霊「ここにいる幽霊はバイクで事故ったアホなDQNと、病院とは何も関係ない幼女の幽霊なのにね」

DQN幽霊「病院の方はどうっスか?マジで臓器売買とかやってたり...」

幼女幽霊「違う違う、確か普通に経営難で潰れたはずだよ」

幼女幽霊「ほら、ここって同じ市内でも町からずーーーっと向こうの町外れでしょ?だから患者が全然来なくて3年で潰れたんだって」

DQN幽霊「...なんでそんなとこに病院立ててるんスか。ここ結構大きい病院なのにマジで金の無駄じゃないっスか」

幼女幽霊「まあバブルだったみたいだしね。金が有り余ってたんじゃないの」


DQN幽霊「ってことはあの人、あることないこと適当に言ってるんスか。酷いやつっスね」


幼女幽霊「私もこの病院のこと結構気に入ってるし、悪いことを言われるのは癪に来るね。ちょっと早いけどからかってみるか」

ガタッ


ディレクター「!?」ビクッ


アイドル「な、なんですかぁ?今向こうから音が...」

坊主爺「ふむ...霊が何かを主張してるのかもしれんな」


ディレクター「...」


ディレクター「...おいAD、お前ちょっと見てこい」

AD「ハァ?嫌ですよ。ディレクターさんが見てくればいいじゃないですか」

ディレクター「いいから行ってこいよ。給料出してるのは誰だよ」

AD「...分かりましたよ。ちゃんと後ろから着いてきてくださいよ」

スタスタ スタスタ



AD「...」ソロー

AD「音が聞こえてきたのってこっちの部屋ですよね?何もないですけど」



ディレクター「もっと奥見てみろよ、奥の方」



AD「...なら自分で見ればいいじゃないですか。本当に何もいませんよ」



ディレクター「んだよ、つまんねぇな...」


ディレクター「おい!!!!幽霊!!!!居るんだろ!?出てこいよ!!!!!」

ディレクター「もっと物動かすとか音を出すとかしてみろよ!!!!これじゃ売れねぇじゃねかっっ!!!!!おいっ!?」


AD「大きな声出すのやめてくださいよ...」

幼女幽霊「...」

DQN幽霊「...」


幼女幽霊「...なんだこいつ」

DQN幽霊「幽霊よりあいつの方が怖いっスよ」


幼女幽霊「何かこれ以上やるとあいつが喜びそうだし、朝まで待つか。ムカつくけど」

DQN幽霊「えっ?朝まで待つんスか?そしたら太陽が出て雰囲気出ないと思うんスけど」

幼女幽霊「だって下手に動くとあいつのせいで余計に怖くないでしょ。存在自体がギャグじゃんあいつ...幽霊とか普通に殴りそうだし」

DQN幽霊「でもさすがに朝になったら帰っちゃうんじゃないっスか?向こうも取材で来てるみたいだし」

幼女幽霊「ふふふ...そうだね」


幼女幽霊「"太陽"が昇って、無事に"出口"から出られたらいいね...」

今日はここまで
どっか見たことあるスタッフに見えますが気のせいですはい

~~~~ 数時間経過 ~~~~


ディレクター「チクショウ...出ねぇな」イライラ

AD「そう簡単に幽霊なんて出るわけないじゃないですか...もう今日は引き上げましょうよ」

ディレクター「馬鹿かてめぇは、もうあいつらにギャラ払ってんだぞ?何も撮らずに帰れるわけねぇだろうが」バシッ

AD「っつ...」イラッ


ディレクター「おいカメラマン、テープ見返しても端とかに何も写ってねぇか?」

カメラマン「は、はい...特には何も」

ディレクター「んだよ...マジで何もいねぇのか?ざけんなよ...」


AD「最初にディレクターさんが刺激したから、引っ込んだんじゃないですか?」

ディレクター「...あ?なんだ?つまり全部俺のせいなのか?」

ディレクター「俺が怒鳴ったりしたから、幽霊様がビビって出てこなくなったのか?そう言いたいのか?あん?」


AD「べ、別にそこまでは...」


ディレクター「んなわけねぇだろうが!!!!幽霊がビビるわけねぇだろ!!!!!」ゲシッ

AD「っつ...そうやってすぐ暴力振るうの止めてくださいよ!訴えますよ!?」

ディレクター「おう上等だゴラァ!やってみろよ!!」


カメラマン「ディ、ディレクターさん...そろそろゲストの方の時間もありますし、一旦引き上げた方が...」

ディレクター「チッ...わーったよ、今日はここまでにしといてやるよ」

ペラッ...ペラッ...


DQN幽霊「...ん?先輩、あいつらもう帰るみたいっスよ。一階出入口に向かってるっス」

幼女幽霊「...え?マジ?もうそんな時間?」

幼女幽霊「あーちょっと疲れた。さすがに長編小説丸々一本読むのは幽霊でも体力使うわー」ポキポキ

DQN幽霊「その骨の音どうやって鳴るんスか」



幼女幽霊「よいしょっと」ストン

幼女幽霊「どれどれ...さすがに向こうの連中も、何時間もこんな薄気味悪いところにいて疲れてるな。しかも不気味なほどに何も出ないと来たもんだ」

DQN幽霊「逆に何もないのが怖いっスよね~~」

幼女幽霊「プッププー...さて、"アレ"を体験したあいつらのマヌケ顔が楽しみだな」

アイドル「あれ?出口ってこっちの方向でしたっけ?ここの階段って、もう少し先にあったような気がしたんですけど」

AD「え?あっ...確かに言われてみれば行きとちょっと違うような」


ディレクター「は?んなわけねぇだろ」

カメラマン「...いや、自分もちょっと違和感があるような気がしますね。カメラで撮ってると道は大体覚えますから」

ディレクター「...マジか?先生ェ、何か気配とか怪奇現象って感じられますか?」


坊主爺「えっ...う、うむ、特には何も感じんな。気のせいではないのか?」


ディレクター「ほら見てみろよ、お前らみたいな素人はこういうところだと方向感覚が麻痺すんだよ。黙って俺に着いてこい」


AD「そう...なんですかね」

コツッ...コツッ...


ディレクター「ほら出口に着いたじゃねえか。やっぱり気のせいだっただろ」


AD「はぁ...」

アイドル「何事もなくてよかったです~」


ディレクター「じゃあ今日はこのまま車でホテルまで行って、軽い打ち合わせのあと昼に解散ということで」ガチャ

ディレクター「...あ?」ピクッ


AD「ディレクターさん?どうしたんですか?」


ディレクター「...おいおい、どうなってんだよこれ」

ディレクター「外に出たはずなのに...また部屋があるぞ」

AD「...はい?どういうことですか?」

ディレクター「俺らがこのドアから入ってきたのは間違いねぇ...でも外じゃなくて、また変な部屋に繋がってるんだよ」

AD「ちょ、ちょっと!どういうことですか!?私にもよく見せてください!」




AD「どうなってるの...これ...」

ディレクター「おいカメラマン、俺らがここから入ってきたのは間違いないよな?」

カメラマン「は、はい...それだけは間違いないと思います」

ディレクター「ならどうなってんだ...なんで外に出られねぇ...」


アイドル「えっ...ど、どういうことですかそれ?ドッキリとかじゃないんですか?」

坊主爺「な、南無南無南無南無南無...」ブツブツ

DQN幽霊「...」ポカーン

幼女幽霊「へへーん!どうだ!すごいだろ!?」

DQN幽霊「いや先輩...どうなってんスかあれ?なんで外に出られないんスか?」


幼女幽霊「よし説明してやろう!今、この病院は私の力で異次元に飛ばされたのだ!」

DQN幽霊「...は?」


幼女幽霊「いやちょっと違うな...この病院自体が別の次元になったって言った方が正しいか」

幼女幽霊「ようするに、この病院からは永久に出られないってことだよ。私が力を解除しない限りはな」


DQN幽霊「いやいやいや...どうなってるかまったく分からないっス。何か急に漫画みたいな話になってるっスよ」

幼女幽霊「ほら、あいつらが最初に病院に入った時に私が何かしてただろ?あの段階で、この病院を次元から隔離したんだよ」


DQN幽霊「えぇ...さりげなくめちゃくちゃスゴいことしないでくださいよ...」


幼女幽霊「今、この病院は私達がいた空間とはまったく別の空間になってるんだ。だからここからは出られないし入ることもできない」

幼女幽霊「窓を割ろうとしても、いくら出口から出ようとしても、穴を掘っても病院から出ることは不可能...外の風景はずっと明けない夜だけが見えるんだ」


DQN幽霊「明けない夜...はっ!?今の時間は...朝の5時!?もう日が出てる時間じゃないっスか!」


幼女幽霊「そっ、これでここが異質な空間になってるって分かっただろ?いやぁ...この能力は私でも結構疲れるんだよね。その分インパクトは絶大だけど」


DQN幽霊「いやいやいや...これ幽霊が出来るレベルを越えてるっスよ。完全に漫画とかアニメに出てくる能力じゃないっスか」

幼女幽霊「あとは予備バッテリー付きの監視カメラから高みの見物でもしましょうか。でもこの能力って一つだけ弱点があるんだよね」

幼女幽霊「通信とか電気も、まとめて外と遮断しちゃうからネットができないんだよなぁ~...あー現代社会においてこれは致命的だよ」


DQN幽霊「いやまあ当たり前っスよ...それでネットが出来たら怖いっス」


幼女幽霊「暇潰しは本とか漫画とか、あとオーブちゃんもいるから大丈夫だとは思うけどね。あいつらを観察してもいいし」


DQN幽霊「はぁ...これで向こうは2日半でしたっけ?この空間に閉じ込められてそれは地獄っスね...」


幼女幽霊「結構精神に来るらしいからね。前やった時は最後はおかしくなってネズミ食べてたし」


DQN幽霊「...」

.........................................................
....................................


ディレクター「ダメだな...何度扉を開けても出られやしねぇ。それに携帯も圏外だ」

AD「本当にどうなってるんですかこれ...まさか本当の怪奇現象...」

ディレクター「アホかオメェ?ここまで来たら本物もクソもないだろうが」


ディレクター「...おいカメラマン、ちゃんと全部撮れてるよな?」

カメラマン「は、はい...入ってからの出来事は全部撮れてると思います」

ディレクター「っしゃあ!!!!今回は凄いもんが撮れたからな!これは売れるぞ~!」


AD「売れるって...ここから出られるかどうかも分からないのに、よくそんなこと言えますね」

ディレクター「おう!絶対出るに決まってんだろうが!俺はここから出てDVDを完成させるからな!」

AD「...」

ディレクター「こんな時のために本物の霊能力者を雇ったんだからな!先生ェ!脱出の方法とかありますよね!?」


坊主爺「えっ...あぁ、うん...ゴホン」

坊主爺「い、今この空間は...強力な霊達によって結界が張られておる。わし一人の力では突破は無理...」


ディレクター「...あ?」ピキッ


坊主爺「」ビクッ

坊主爺「わし一人では難しいがっ!どこか結界には脆い部分があるはずだ!そこを壊せば出られるかもしれん!!」

ディレクター「聞いたか!脆い部分を壊せば出られるらしいぞ!さっそく探しに行くぞてめぇら!!」


アイドル「ひっくひっく...もうやだぁ...うちに帰りたい...」

AD「大丈夫...大丈夫だからね」サスサス


ディレクター「んだよ、だらしねぇな。じゃあADはそこでアイドルちゃんの様子見とけ。俺とカメラマンと先生ェで出口探してくるから」


AD「なっ...女子二人をこんなところに置いて行くんですか!?」


ディレクター「だってカメラマンがいないと撮れないし、先生ェがいないと脆い部分が分からんし、俺がいないと幽霊を倒せないだろうが。それともお前はずっとここに居てもいいのか?あ?」


AD「...最っっっ低ですね。じゃあどこにでも好きなところに行ったらどうですか?もう帰ってこなくていいですから」

ディレクター『それだけ憎まれ口を叩けるなら平気だな。よし!行くぞカメラマンォ!先生ェ!』


カメラマン『ま、待ってくださいよ!』

坊主爺『...む、むぅ』




アイドル『うぅぅぇぇぇ...私達、置いて行かれたんですかぁ...?』シクシク

AD『大丈夫だから...大丈夫だから...きっと脱出できるよ』サスサス

AD『私がいるから大丈夫...落ち着いて』

アイドル『ふぇぇぇぇん...』シクシク






幼女幽霊「...最低だなあいつ」

DQN幽霊「最低っスね」

今日はここまで

うへぇごめんなさい
まだちょっと更新までに時間がかかりそうです...

幼女幽霊「向こうは二手に別れたか...しかし女二人を置いて行くのはマジであり得んな」

DQN幽霊「せめて今は一緒に居るべきっスよね~...あの状態で襲われたら、まず二人はアウトっスよ」

幼女幽霊「何か同情するわ...最初におどかすのはあの男連中だけにしといてやるか」

DQN幽霊「そっスね...さすがにあの様子で追い討ちをかけたら、アイドルの子がショック死しそうっスもん」

幼女幽霊「その分、あいつらにはたっぷりと恐怖を味わってもらうか...ちょっと早いけどオーブちゃんに連絡するね」ニヤァ



幼女幽霊「あー...あー...マイクテスト、マイクテスト」

幼女幽霊「オーブちゃん聞こえる?聞こえたらラップ音で合図して」



パンッ

ディレクター『』ビクッ

ディレクター『な、なんだ今の音は!?どこから聞こえたっ!?』オロオロ


カメラマン『ラップ音...ってやつですかね』


ディレクター『の野郎~...!調子に乗りやがって』

ディレクター『おい!聞こえてるか幽霊!こんなんで俺はまったくビビってないからな!!やるならもっとハデな一発来いよォ!!!!』


坊主爺『こ、これ...あまり霊を刺激するんではない。少し落ち着け』




幼女幽霊「...こいつもしかして結構ビビりなんじゃね」

DQN幽霊「明らかにさっきビビってましたね」

幼女幽霊「オーブちゃん、ちょっとやってもらいたいことがあるんだけど」

幼女幽霊「うん、うん...じゃあプランHで。よろしく~」


DQN幽霊「Hっスか、以外と軽めっスね」


幼女幽霊「今回は長丁場だからね。ジワジワと追い込んで行くよ」

幼女幽霊「最初の1日は地味な精神攻撃、そこからはドンドン失踪者を増やして追い込んで...最後はドカーンと派手にする予定」


DQN幽霊「...何かテンポいいっスね。俺が来る前にもああいう取材クルーが来たことってあったんスか?」


幼女幽霊「二、三度くらいはね。結局は私のせいでテープがお蔵入りになっちゃったらしいけど」

...............................................................
.............................................


コツンッ...コツンッ...


ディレクター「...」


坊主爺「...」

カメラマン「...」ジィー


ディレクター「...おいカメラマン、カメラの電源はいつまで持つんだ?」

カメラマン「そうですね...一応、故障や不備があった時のために予備バッテリーや機材を大量に持ってきましたから...数日は行けると思います」


ディレクター「そうか、なら動いてる時は全部回しとけよ。何が起こるか分からんからな」


カメラマン「分かりました」


ディレクター「で、先生ェ。その結界が弱いところってのはどこにあんだ?」

坊主爺「」ギクッ

坊主爺「う、うむ...この建物の風水と性質から見ると...に、西の方角だな」


ディレクター「西か、ちょうど俺コンパス持って来てんだよ。これでどっちに行けばいいか分かるな」ガサゴソ


グルグルグルー


カメラマン「ディ、ディレクターさん...これって...」


ディレクター「んだよこれ、針がずっとクルクル回ってやがるぞ」

ディレクター「幽霊のホットスポットってやつか?おもしれぇじゃねえか」


坊主爺「」ガクガクブルブル


ディレクター「とにかく、こうなったら片っ端の部屋を調べるしかねぇな。先生ェ!お願いします!」

ガチャ...


ディレクター「まずこの部屋だな...」

坊主爺「...」

ディレクター「あ?何してんだ先生ェ、早く中に入って調べてくださいよ」


坊主爺「...こ、ここはわしが想像していた以上に危険な場所だ。もしかしたらわしでも太刀打ち出来ずにやられる可能性がある」

坊主爺「だ、誰かが先に部屋に入って様子を見ないと...」


ディレクター「...は?」

ディレクター「ちょっと待てよ先生ェ、あんた霊能力者なんだろ?なら自分の身を犠牲にしてでも俺らを帰すのが義務ってもんだろ」

ディレクター「何のために高いギャラ払ったと思ってんだ?こういう時に行動しないでどうすんだよ、オイ」

坊主爺「う、うるさい!!!!わしが先にやられたらお前達はここを一生出られないんだぞ!!!!それでもいいのか!!!!」


ディレクター「...下手に出たら好き勝手言いやがって」

カメラマン「ディ、ディレクターさん落ち着いてください!その人の言うことも一理あります!」グッ


ディレクター「...分かったよ。カメラマン、お前が先に行って部屋撮ってくれ」

カメラマン「え?でも絵的に僕が部屋に入る人を撮った方が良くないですか?」

ディレクター「...」


ディレクター「...俺が先に行けばいいんだろ。ちゃんと撮ってろよ」

ディレクター「...」コソコソ

ディレクター「...ッ!」ダッ



坊主爺「...」ゴクリ

カメラマン「...」ゴクリ



ディレクター「...ほ、ほら何ともねぇぞ。早く来いよ」


ガタンッ!!!!


ディレクター「!?」ビクッ



シーーーーーン



ディレクター「...」

ディレクター「急に音出してんじゃねえよ!!!!!ぶっ殺すぞゴラァ!!!!!」

坊主爺「な、南無南無南無南無南無南無...」ブツブツ

坊主爺「む、むぅ...ここは駄目だな。結界が強すぎる」


ディレクター「チッ...そう簡単にはいかねぇか」

ディレクター「よーし...ならしらみ潰しだ。もうそろそろこの空間にも慣れてきたからな、絶対脱出してやるぞォ!」


カメラマン「あの、一度AD達のところに戻った方がいいんじゃないですか?やっぱり女の子二人を放っておくのは...」


ディレクター「いいんだよ、こういう時に女は役に立たないんだから。男の俺達が出口を探さないとな」

ディレクター「それに、あいつらがいてもキャーキャーうるさいだけだろうからな。カメラに雑音が入ったら編集がめんどくさいだろ」

............................................................
.............................................


幼女幽霊「んでさー、知り合いの猫娘ちゃんが言ったんだって」

幼女幽霊「『キャーっと驚くニャ!』ってね!あーっはっはっはっはっは!!!」ゲラゲラ


DQN幽霊「...先輩って顔広いっスよね。話聞いてると有名な都市伝説の人とか妖怪の名前が出てくるっス」


幼女幽霊「まあこの辺は幽霊とか怪物とか、そういう怪奇が多く住んでるからね。自然と交流関係ができちゃうんだよ」

幼女幽霊「何かこの町全体が、風水とか気の流れとかで住みやすいらしいよ?私はここから出たことないから知らんけど」


DQN幽霊「へーそうなんスか」

DQN幽霊「ところであいつらの様子見なくていいんスか?あれから数時間近くは経ってるはずっスけど」

幼女幽霊「あぁ、そうだね。そろそろ監視カメラでどれだけビビってるか確認してみようか」ピッ


ザザー...ザザー...




『こ、この部屋も違うな』

『おい先生ェ!勘弁してくれよ!もうこれで何部屋連続でハズレだ思ってんだ!?』

『し、仕方ないだろうが!違うんだから!』


ドンッ!!!!!


『うるせぇぇぇ!!!!!今イライラしてんだから黙ってろ!!!』




幼女幽霊「...」

DQN幽霊「...」


幼女幽霊「...何か思ってたやつと違う」

DQN幽霊「全然ビビってないっスね」

幼女幽霊「これあれか...オーブちゃんに物音出すだけの指令してたから、あいつらが慣れちゃったのか」

DQN幽霊「あの人達、心霊系のビデオ作品作ってるみたいっスからね~...元々こういうところは耐性があったのかもしれないっス」

幼女幽霊「というかほぼあのヤクザ野郎の仕業だろ...あいつのせいで雰囲気もクソもないよ、全然怖くなくなるわ」

DQN幽霊「どうするんスか?」

幼女幽霊「...一足先にステップ2に進むか」


幼女幽霊「オーブちゃん?オーブちゃん?もしもーし」

幼女幽霊「ちょーっと問題があって...全然怖がってなくない?...あーいいよ!いいよ!謝らなくて!命令したのは私なんだし!」

幼女幽霊「ということで先にプランSに進んでいいよ。うん、加減はしなくていいから」

幼女幽霊「んじゃよろしく~」

ディレクター「糞が...これで二階も全部探し終わったぞ。残りは三階しかないじゃねえか」

カメラマン「...ディレクターさん、あの霊能力者の人って本当に信用出来るんですか?何か胡散臭い気がするんですけど」ボソッ

ディレクター「...あぁ、俺もそんな気がしてきたところだ。もし偽物だったらただじゃおかねぇからな」ギロッ


坊主爺「」ビクッ

坊主爺「む、むむむむっっ!?この気配は...!!!!」


坊主爺「おいっ!!!!今すぐ元居た場所に戻るぞ!!!!あの娘達が危険だ!!!!!」


ディレクター「...は?」

カメラマン「どういうことですか?」


坊主爺「邪の気配が迫っておる!!!!このままだと無事ではす済まんぞ!!!!!」

カメラマン「ど、どういう意味ですかね。AD達が危ないって」

ディレクター「...もしかしてあいつ、三階に行ったらインチキがバレるから時間稼ごうとしてんじゃねえのか」


坊主爺「うおおおおおおおお!!!!急げぇ!!!!間に合わなくなるぞぉ!!!!」ダッ


ディレクター「なっ...!オイちょっと待てよ!!カメラマン!行くぞ!」ダッ

カメラマン「は、はい!」ダッ




ダダダダダダダダダッッッ!!!!!!



坊主爺「急げぇ!!!!時間がないぞぉ!!!!」


ディレクター「どうなってるか事情くらい説明しろよ!」

ダダダダダダダッッッ

ダダダダダダダッッッ



ディレクター「...ん?」ピタッ

ディレクター「おい...ちょっと待て」


カメラマン「ぜぇ...ぜぇ...どうしたんですか?」

坊主爺「何をしている!早く行かんと...」



ディレクター「俺達は二階を探し終わって、三階に上がろうとした時に階段を降りたはずだ」

ディレクター「つーことは...階段を降りたここはもう一階なはずだろ。なんでまだ下り階段があるんだ?」


カメラマン「えっ...そ、そういえば」

坊主爺「確かに...」







ダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

ダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!







『ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!』






カメラマン「!?」ビクッ

坊主爺「な、なんだっ!?上から音が!」


ディレクター「...おいやべぇぞ逃げろ!上から誰か来るぞ!」ダッ



ダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

ダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!



ディレクター「クソッ!どうなってやがる!降りても降りても一階に着かねぇぞ!」

カメラマン「僕達、二階に閉じ込められたんですかねっ!?」

ディレクター「オイッ!この状況何とかしろよ!このままだとあいつに追い付かれるぞォ!」


坊主爺「む、無理だ!わしの手に負える相手じゃない!!」


ディレクター「ああっ!?んだとコラ!何のためにテメェを雇ったと思ってんだ!!」

ディレクター「もう埒が明かねぇ!止まってあいつを迎え撃つぞ!」

カメラマン「迎え撃つってどうするんですかっ!?」

ディレクター「そこの坊主を差し出してその隙に殺るんだよッ!」


坊主爺「!?」ビクッ


ディレクター「テメェ...偽物の霊能力者だろ!もう分かってんだよそんなこと!」

ディレクター「ギャラ分の仕事はしてもらうからな!自分で囮なってあいつを引き付けろ!」


坊主爺「い、嫌だッ!そんなことをしたらわしがあいつに殺されるだろうがッ!!!!」


ディレクター「じゃあ今ここで俺に
が階段から落として殺してやるよおおおおおおお!!!!!!!オラァ!!!!!」ガシッ

坊主爺「は、離せぇ!!!!やめろおおおおおおおおお!!!!」ジタバタ

カメラマン「ディレクターさん!さすがに不味いですって!逃げましょうよ!!」


ディレクター「うるせェ!!!こいつ俺を騙しやがって...金返せよこのクソジジイ!!!!」

坊主爺「やめてくれええええええええええええ!!!!!謝るから!謝るからそれだけはああああああああああ!!!!」ジタバタ



コツンッ...コツンッ...



ディレクター「謝って済むなら呪いなんて存在しねェんだよ!!!!!」

カメラマン「ディレクターさん!後ろ!後ろ見てください!!」

ディレクター「あ?なんだよ」クルッ

首無男「...」ジー





ディレクター「!?」ビクッ

坊主爺「く、首が...首がな...」





首無男「ヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」ダダダッ





ディレクター「うおおおおおおおおお!?!?逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」ダッ

坊主爺「助けてくれええええええええええええ!!!!!!!」ダッ

カメラマン「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!」ダッ

幼女幽霊「私さぁ、疾走って動画がすごく好きなんだよね」

DQN幽霊「あぁ、心霊番組で毎回やってるあの首がない男が追いかけてくるやつっスか」

幼女幽霊「うん。よく考えたら首がないのに叫んでるとことか、こいつの走るフォームめちゃくちゃ綺麗だなとか、おかしなところはあるんだけどあの勢いはすごいよ」

幼女幽霊「まさに情報の物量で押してるって感じで...考える暇も与えない恐怖ってのは簡単なようで結構難しいからね」

幼女幽霊「初めて見たときのインパクトはすごいよアレ、まあ再放送し過ぎて初見なんて居ないけど」


DQN幽霊「それにしても...あの首がない男もオーブが操ってるんスか?凄いっスね」


幼女幽霊「私が持ってきたマネキンにオーブちゃんが憑いて、それを幻覚でコーティングしてる感じだね」

幼女幽霊「それでもあのリアルな動きはオーブちゃんにしか出来ないよ。私も一度やったことあるけど、ロボットみたいな動きしかできなかったもん」

DQN幽霊「正直なところオーブって何なんスか?俺ら幽霊とは違うみたいですし」

幼女幽霊「んー...実は私もよく知らないんだよね」

幼女幽霊「形を保てなかった人間以外の霊とか...残留思念とか、魂の欠片とか諸説は色々あるみたいだけど本人達も分からないみたい」

幼女幽霊「覚えてることは自分達は生きていたって事実だけ...生前の名前も歳も性別すらも分からないんだって」


DQN幽霊「...不思議っスね。同じ幽霊でも俺らとはだいぶ違う感じなんスか」


幼女幽霊「まっ、この世界は不思議なことがいっぱいあるからね。でもあの子達の実力は本物だよ?」

幼女幽霊「ぶっちゃけここの病院にいるオーブちゃんだけでも、単純なエネルギーなら私の倍くらいあるからね」

DQN幽霊「倍!?先輩より凄いんスかっ!?」

幼女幽霊「そりゃ魂の塊みたいなもんだからね。塵も積もれば山になるし」

幼女幽霊「でもあくまで単純に比べるとそれぐらいの差があるってだけだからね?オーブちゃんは嫌がらせぐらいしかできないから、総合的には私の方がずっと上だよ」

幼女幽霊「あ、でもお前みたいな下級霊だったら、ちょっと群れるだけでオーブちゃんの方が格上になるからな」


DQN幽霊「お、俺オーブ以下だったんスか...」ズーン


幼女幽霊「さてそろそろ無限階段を解除するか。体力的にも厳しそうだし」ピッ

DQN幽霊「あー...今までずっとあいつら走ってたんスか。忘れてたっス」

ディレクター「いつまで続くんだよこの階段っ!?いい加減しろよ!!!!」ダダダッ


カメラマン「はぁっ...はぁっ...も、もう駄目だ。カメラが重い...」クタクタ

坊主爺「ひぃーはぁー...ひぃーはぁー...も、もう無理だ...息が...」クタクタ


ディレクター「おいカメラマン!死んでもカメラは離すなよ!!撮り続けろ!」


カメラマン「そ、そんなこと言われても...もう走れな...」クタクタ


ディレクター「!?」ピタッ

ディレクター「おい!もう階段がないぞ!行き止まりだ!」


カメラマン「ど、どういことですか...?」

ディレクター「逃げ道を塞がれたのか!?クソッ!走るぞォ!」ダッ


カメラマン「ま、待って...」クラクラ

坊主爺「と、年寄りにはもう無理だ...」クラクラ


タッタッタッタッタ タッタッタッタッタ


ディレクター「ハァッ...!ハァッ...!一体どこまで走ればいいんだよ!」


ユラァ


ディレクター「あああああっ!?」ビクッ

AD「」ビクッ


AD「えっ...ディレクターさんですか...?どうしたんですかそんな汗だくで」


ディレクター「え、AD...?ってことは戻ってきたのか?」

.........................................................
..........................................


AD「そんなことがあったんですか...やっぱりここってかなり危ない場所なんですね」

ディレクター「あぁ、さすがの俺もあれには参ったな」

カメラマン「映像は全部撮れてるはずだけど...見る?」


ピッ


AD「これは...凄いもの撮れてますね」


アイドル「あの~...それで出口は見つかったんですか?結構長い間、探してたみたいですけど」

AD「そうだ、私もそれ聞きたかったんですよ。どうでしたか?」


坊主爺「」ピクッ


ディレクター「...あぁ、思い出したわ。そういや出口を探しに行ってたんだったな」スクッ

坊主爺「」ビクビク


ディレクター「おいジジイ、テメェ本当は霊能力なんてないんだろ?ただの詐欺師なんだよな」


坊主爺「...」


アイドル「えっ...」

AD「ど、どういうことですか?」

カメラマン「実はかくがくしかじか...」



ディレクター「オラ答えろよ。正直に言えば許してやる」


坊主爺「わ、わしは...わしは...」


ディレクター「...さっさと答えろよゴラァ!!!!!!テメェは霊能力なんてないペテン師なんだろォ!?ああっ!?」ドンッ


坊主爺「ひぃっ!?」ビクッ

AD「ちょ、ちょっとディレクターさん...」


ディレクター「止めるなよAD、こいつのせいで俺達こんな目に遭ってるみたいなもんだからな」

ディレクター「もし、こいつの代わりの霊能力者が本物だったら...俺達はとっくにここから脱出してたかもしれないんだよ」

ディレクター「こいつが嘘をついたせいで、俺達はずっとここから出られなくて死ぬ可能性もあるってことだ。違うか?あ?」


AD「た、確かにそうですけど...」



坊主爺「...」

坊主爺「ご、......な......ぃ...」ビクビク


ディレクター「あ?何だって?」


坊主爺「ご......ん......さい......」


ディレクター「もっと聞こえるようにハッキリ喋れやゴラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」ドンッ

坊主爺「ごめんなさいいいいいいいいいいいい!!!!!!」ペコー


ディレクター「お?認めたな?認めたな?偽物だって認めたのか?」


坊主爺「はいそうですううううううううう!!!!!自分に特別な能力なんてありませんぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」


ディレクター「ほぉ~~...そうかそうか。つまりテメェは俺を騙してたわけだな」

ディレクター「...オラァァァ!!!!」ブンッ


坊主爺「ぐひゃっ!?」ボコォ


AD「ディ、ディレクターさん!?暴力は駄目ですよ!」グッ

ディレクター「こいつはな!!!!俺達を騙してただけじゃなくて、ビデオを買う視聴者も騙そうとしてたんだぞ!!!!!」

ディレクター「そんなやつを許せるわけないだろがァ!!!!俺はやらせって言葉が一番嫌いなんだよッ!!!!!」

坊主爺「さ、さっき許すって...」

ディレクター「そりゃこいつらの話だ!!!!俺が許すなんて一言も言ってねぇよ!!!!」ゲシッ

坊主爺「痛い!」


AD「ディレクターさんやり過ぎです!落ち着いてください!」

ディレクター「るせぇ!!!!離せ!!!!!」ゲシッ

AD「きゃっ!」ドサッ



ディレクター「帰ったらギャラも全部返してもらうからな!!!!あと違約金と賠償金と慰謝料もだ!!!!」ボコボコ

ディレクター「それに今まで出したDVDも1000本くらい買ってもらうからな!!!!!」ボコボコ


坊主爺「は、払います...!買いますからもう止め...」ビクビク


ディレクター「それとこれとは話が別に決まってんだろうがぁ!!!!!」ブンッ

坊主爺「うひぃ!?」ドゴォ

『オラッ!!よくも恥かかせてくれやがったなこのクソジジイ!!!!』

『帰ったらテメェの全財産全部貰うからな!!!!この乞食がッッ!!!!』


『ご、ごめんなさっ...許してっ...』


『ごめんで済んだら呪いなんて存在しねえんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!』


ボコボコ ボコボコ




幼女幽霊「...」

DQN幽霊「...」


幼女幽霊「...なんかさ、よく幽霊より実在する人間の方が怖いって言うじゃん?」

DQN幽霊「...言うっスね」


幼女幽霊「あれってあながち間違いじゃないんだな...」

DQN幽霊「そうっスね...」

今日はここまで
また間が空いてしまってごめんなさい...夏が終わるまでには終わらせたいです

............................................................
...............................................



坊主爺「う...あ...」ボロボロ



ディレクター「けっ、これくらいで勘弁してやるよ」

AD「こ、これくらいって...ボコボコじゃないですか!いくら何でもやり過ぎですよ!」

ディレクター「殺されないだけありがたいと思えよ。今の俺はここにいる幽霊共よりもイラついてるんだからな」


アイドル「うぇぇ...このおじさんこわぃぃぃ...」シクシク


ディレクター「んなことより体動かしたら腹減ったわ。飯はどれだけ余ってんだ?」

AD「...一応、休憩用に軽食はいくつかありますけど...それでも本当に少しだけです。この人数だと持って一日が限界ですよ」

ディレクター「一日か...なら、節約してそこで伸びてるジジイの分を抜けば一日半から二日は持つな」

AD「なっ...あの人に何も食べさせないんですかっ!?」

ディレクター「当たり前だろ、あいつは今までのインチキ商売でたっぷり美味い飯を食ってきたんだ」

ディレクター「これは天罰だよ天罰、あいつはここでのたれ死ぬ運命なんだよ」

AD「そんなの間接的な殺人じゃないですか!!私は反対ですよ!」


ディレクター「じゃあなんだ?お前はあいつにちょっとでも怨みがないって言えるのか?」

ディレクター「俺らが貧乏で、汗水たらして取材してる時もあいつは人を騙して高級店で何万もするコースを食ってたんだ」

ディレクター「それに何の感情も湧かないのか?お前はそんなに聖人なのか?あ?」

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           ,!\          !    \      こういうスレ、マジでもういいから・・・
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AD「...こ、高級店かどうかは分からないじゃないですか」

ディレクター「ああいうやつは大体高い料亭で食ってるって相場が決まってるんだよ!!!!」

AD「とにかく...私は反対ですからね!どうしても言うなら私の分の食料をあげます!」

ディレクター「けっ...勝手にしろよ。この馬鹿女」



カメラマン「あ、あの...ちょっと休憩を取りませんか?皆さん今日の夜からずっと寝てないですし...時計だと今はお昼ですから、一度寝た方がいいと思います」


ディレクター「...こんな状況で寝れるわけないだろ」


カメラマン「そ、そうですよね...ごめんなさい」


AD「...私はカメラマンさんに賛成です。いつ寝れるか分からないですし、落ち着くためにも睡眠は取った方がいいと思います」

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アイドル「じ、実は私もずっと眠くて...」

AD「ならディレクターさん、眠れないなら見張りしててくださいよ。私達はちょっと仮眠を取りますから」


ディレクター「...呑気な連中だな」


カメラマン(...念のために寝てる間もカメラを回しておくか)カチャ

AD「じゃあ私達はこっちで一眠りしますからね、見張りよろしくお願いします」ゴロン


ディレクター「...」



シーーーーーーーーーーーン



ディレクター「...本当に寝たのかよ、あの馬鹿共」

ディレクター「普通寝るか?この状況で...いつ襲ってくるかも分かんねぇんだぞ」

ディレクター「アホらしい、俺は絶対寝ねぇからな」ゴロン

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DQN幽霊「先輩、何かあいつら寝たみたいっスよ」

幼女幽霊「えっ?マジで?この状況で?」

DQN幽霊「モニター見てください。あのヤクザ含めて全員スヤスヤ眠ってるっスよ」


『Zzz...Zzz...』スヤァ


幼女幽霊「...よくこの状況で眠れるな」

DQN幽霊「神経が図太いというか、無用心というか...ちょっと考えられないっスよね」

幼女幽霊「まあせっかく寝てるんだし、このチャンスは有効に使わせてもらおうか。そうだな...」


幼女幽霊「ここら辺で一人消しておくか」

DQN幽霊「もうっスか?結構ペース早いっスね」

幼女幽霊「あいつらちょっと調子乗ってるからな。ここら辺で身の程を分からせてやるよ」

幼女幽霊「連れ去る相手は...あのインチキ霊能力者でいっか」

DQN幽霊「結構無難っスね」

幼女幽霊「まあこういうのはテンプレが決まってるからね。古くからの風習に従うことにするよ」ピッ


シュゥゥゥゥゥ


DQN幽霊「な、なんスかこの黒いモヤモヤは...」

幼女幽霊「私のプライベート空間の扉、最終日までここで眠ってもらうよ」

幼女幽霊「この中だと食事を取らなくても、外に出ない限り死なないから監禁用に便利なんだよね~」


DQN幽霊「...何でもありっスね」

ディレクター「Zzz...Zzz...」スヤァ


AD「Zzz...」スヤァ

アイドル「Zzz」スヤァ


カメラマン「Zzz...」スヤァ



坊主爺「」



シュゥゥゥゥゥ......


坊主爺「」ガシッ



シュンッ




AD「...んん?」パチッ

AD「なんだろ...何か今、変な感じがしたような」キョロキョロ

AD「あれ?」

AD「...ちょ、ちょっとみんな起きてください!!大変ですよ!」


ディレクター「...あん?んだよ...」ゴシゴシ

アイドル「ふわぁぁ...どうかしたんですかぁ?」

カメラマン「んん...なに?」



AD「た、大変ですよ!あの先生が居なくなってます!!そこで気絶してたのに!」


ディレクター「...は?」

アイドル「えっ...うそ...」キョロキョロ


AD「ディレクターさん!まさかどこかに置き去りにしてきたんじゃないんでしょうね!?」

ディレクター「んなことするわけねぇだろうが、俺はずっとここで寝てたんだよ」

AD「というかなんでディレクターさんも寝てるんですかっ!?見張っててくださいって言いましたよね!?」


ディレクター「...」

ディレクター「お、俺も寝ないとは一言も言ってねぇよ」


AD「ふざけないでくださいよ!!!!誰かが起きてないと何が起こるか分からないじゃないですか!!!!」


ディレクター「ああっ!?じゃあなんだ!俺が悪いって言うのかァ!?アアンッ!?」


AD「そうですよ!!!!起きてなかったディレクターさんが悪いんですよ!!!!」

カメラマン「...」ポチッ



AD「ああっ!もう!だからあなたみたいな人が嫌いなんですよ!!!」

AD「はっきり言わせてもらいますけどね!私、ここから出られたら辞めますからね!こんな仕事!!」


ディレクター「はぁっ!?てめぇが辞めたら誰がアシスタントするんだよ!!!!」


AD「自分でやればいいんじゃないですか?ディレクターさん、一人でやる方が似合ってますよ」


ディレクター「どういう意味だよ!?上司にそんな口聞いてんじゃねぇ!!!」バシッ


AD「痛っ...そのすぐ暴力に頼る癖も治してくださいよ!!!!暴力で解決できないことなんていっぱいあるんですからね!」

ディレクター「ああっ!?あのな、この世は暴力で出来てるんだよ!!幽霊でもキチガイでも殴れば何でも言うこと聞くんだよ!!!!分かったか!?」


AD「...この単細胞が」


ディレクター「てめぇ今なんつった!?」



アイドル「うぇぇん...け、喧嘩はやめてくださいよぉ」

カメラマン「...」


カメラマン「ちょ、ちょっと皆さん...これ見てください」


ディレクター「あ?こんな時までカメラ回してんじゃねえよ」


カメラマン「ぼ、僕...寝る前に何か写るかもと思って...電源を付けたまま眠ったんですよね」

カメラマン「そ、それで今...チェックしてみたら...ガッツリ撮れてます」

『...え?それ本当ですか?』

『おいちょっとカメラマン、見せろよ』




幼女幽霊「あっ、やべ」

DQN幽霊「思いっきり撮られてるっスね」

幼女幽霊「くそぅ...まさか寝てる時も撮ってるとは思わなかったわ。あいつのカメラには注意しないとな」

DQN幽霊「カメラに写ると何かマズいんスか?」

幼女幽霊「うん...カメラとか鏡とか人を写すものってさ、目には見えないモノも視える時があるんだよね。心霊写真とかまんまそれだし」

幼女幽霊「今回は見られてもギリギリセーフなやつだったけど...これが私達だったらやばかったかも」


DQN幽霊「...俺だったら完全にギャグ映画になってるスね」

ディレクター「...」

AD「...」

アイドル「こ、これって...」ブルブル


ディレクター「あの黒い影みたいなやつが、ジジイの下に現れて...そのままどっかに連れ去ったってことか」


AD「ど、どこに行ったんでしょうかね?まさか殺され...」

アイドル「も、もうやだぁ...家に帰りたいぃぃぃ...」ブルブル


ディレクター「とにかくだ、これからは一人で行動するのは禁止だな。誰かが側に居ればあいつらも手出しは出来ねぇはずだ」

カメラマン「そう...なんですかね」


ディレクター「こういう霊ってのは俺の経験上、一人になったところを狙ってくるからな。二人組ならまず襲われる心配はねえ」

ディレクター「まあ今はここでじっとするべきだな。下手に動くと、階段の二の舞だ」

ディレクター「まずはあいつらがどう出るか、こっちが観察してやろうじゃねえか」


カメラマン「は、はぁ...」

AD「...ディレクターさん、あの人に申し訳ないと思ってないんですか?あなたがちゃんと見張ってたら、こんなことにはならなかったのかも知れないのに」


ディレクター「...そりゃあ、ちょっとは後悔してるよ」

ディレクター「あいつが居ないと帰った時に金が入って来ないからな...惜しいことしたわ」


AD「...」

カメラマン「...」

今日はここまで

~~~~ 12時間後 ~~~~



幼女幽霊「...」ゴロゴロー



DQN幽霊「...」ジー


幼女幽霊「...」フワフワー


DQN幽霊「...」ジー



幼女幽霊「...何か動きあった?」

DQN幽霊「ないっスね。ずっとあそこで固まってるっス」

幼女幽霊「...」スゥー



幼女幽霊「暇ァァァァッッッッッ~~~~!!!!!!」

幼女幽霊「何で動かないんだよっ!?探索しろよっ!ここから出たくないのかよ!」

幼女幽霊「めちゃくちゃ退屈なんですけどっ!?こっちは人間以上に暇持て余してんだよ!ネット使わせろよ!!!!」

幼女幽霊「ああああああああっ!!!!暇過ぎてこっちの精神がどうにかなりそううううううううう!!!!」ゴロゴロ


DQN幽霊「...漫画とか読んだらどうスか」


幼女幽霊「よく考えたら本棚にあるやつは全部読んでたああああああああああああ!!!!!補充しとけばよかったあああああああああ!!!!!」ゴロゴロ


DQN幽霊「あー...そっスか」

DQN幽霊「というか何でこっちから動かないんスか?そんなに暇ならおどかせばいいのに」


幼女幽霊「今はこっちから手を出す雰囲気じゃないだろうがああああああああああああ!!!!!」

幼女幽霊「あいつらは仲間を失ったことで、次は自分の番が来るかと恐怖してるの!でもここでじっとしていても状況は悪くなるばかり...」

幼女幽霊「八方塞がりでどうしようもない、すると誰かが耐えられなくなって叫ぶんだ!」


幼女幽霊「俺はこんなところに居られるか!家に帰らせてもらう!」


幼女幽霊「他の人の制止も聞かずに、帰還するために一人闇の中に消えて行く...」

幼女幽霊「そこを襲って、叫び声を聞かせて残りのメンバーにその末路を悟らせるのが私の黄金パターンなの!!!!これだけは譲れないっ!」


DQN幽霊「...つまり、あいつらの内の誰かが一人にならないと物語が進まないってことっスか」

DQN幽霊「それに対して、向こうはこれ以上襲われまいと集団で固まってる...わりと完璧な対処法っスね」


幼女幽霊「誰か早く孤立しろよおおおおおおおおおお!!!!」

幼女幽霊「あー...ひまひまひまひまひまひまひまひまひまァ!!!!!今すぐにでも襲いたいいいいいいいいい!!!!!!」

幼女幽霊「...」


幼女幽霊「...暇潰しに一曲歌ってもいい?」


DQN幽霊「何でそこで歌うんスか...まあいいんじゃないっスか?ここ、完全な防音スから聞こえないと思いますし」

幼女幽霊「じゃあ歌うわ...オーブちゃん、スピーカーモードになって」


オーブ「」フワァ


DQN幽霊「それスピーカーにもなるんスか...」


幼女幽霊「あー...あー...よし、音はよよく響くな。音楽スタート!」


デデッデデデッデデデッデデーデッデ

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛...


幼女幽霊「シャナnァ...」


DQN幽霊「...ん?先輩!何か動きあるみたいっスよ!」

幼女幽霊「今いいところだろうがああああああああああ!!!!!!」

............................................................
.............................................


ディレクター「...」

AD「...」

カメラマン「...」


アイドル「...」モジモジ


ディレクター「...まあいつかは来ると思ってたが、どうするか」

AD「もっと早い段階で来てもおかしくなかったですよね...むしろよくここまで誰も行きませんでしたよ」

カメラマン「自分も行こうかと思った時があったんですけど...恐怖で引っ込みました」


アイドル「うぅ...」モジモジ



ディレクター「...トイレか」

ディレクター「俺的にはそこら辺の隅っこでしてもいいんだけどな」


AD「そんなのダメに決まってるじゃないですか!女の子なんですよ!?私も嫌ですよ!」

カメラマン「僕もさすがに...」


ディレクター「...ならどうするっつんだよ。今、俺達は4人しか残ってねぇ」

ディレクター「アイドルちゃんがトイレに行くなら、付き添いは女のADってことになる」

ディレクター「だが、女二人で行くのは危ないってんだろ?」


AD「...そうですよ。昨日、アイドルさんと私だけで放置された時は本当に不安でどうにかなりそうだったんですからね」

AD「正直二人だけだと、一瞬目を離したらどうなるか分かりません。やっぱり三人以上じゃないと」

ディレクター「だが俺かカメラマンのどっちかが行くと、また一人残ることになる」

カメラマン「つまり...」


ディレクター「全員で行くしかねぇってことだな」


AD「...それでいい?」

アイドル「うぅ...はい。ちょっと恥ずかしいですけど、そんなこと言ってる場合じゃないですもんね」

AD「うん...ごめんね。怖い想いさせちゃって」


ディレクター「なら行くか、俺もションベンしたくなって来たところだ。ちょうどいい」スクッ

AD「...少しは言葉を選んでくださいよ」

DQN幽霊「どうやらトイレみたいっスね」

幼女幽霊「ふーん...トイレかぁ...」

幼女幽霊「ちょーっと予定と違うけど、まあいいや。このチャンスを逃がさずに一人消すか」

DQN幽霊「えっ?いいんスか?あんなにシナリオに拘ってたのに」

幼女幽霊「ここら辺でやっておかないと、一生あそこから動きそうにないからね。精神的に余裕を持つ前に仕留めるよ」

DQN幽霊「うす。了解っス」



DQN幽霊「ところでどうでもいいんスけど、いや本当にどうでもいいんスよ?ただ純粋にどうしてか気になるだけで、別に下心とかそんなのは全っ然ないんスけど」

DQN幽霊「...ここってトイレに監視カメラは付いてないんスか?」


幼女幽霊「...うわぁ」

DQN幽霊「ちょっと引かないでくださいよ!そういうことじゃないって言ってるじゃないっスか!」

幼女幽霊「うわぁ...さっきの発言は私的にかなりマイナスだわ...お前のランクが二階級は落ちたな」

幼女幽霊「ヘタレパシりDQNからドスケベ変態痴漢猥褻物まで落ちたわ...」

DQN幽霊「ひ、ひどっ!?だからぁ!別にそんなのじゃないっスから!ただの疑問スよ!!!!」


幼女幽霊「普通に考えたらトイレに監視カメラは置かないだろ...常識的に考えて。例え疑問に思ってもすぐ察するわ」

幼女幽霊「そういうことを口に出して聞いてくる時点で、何か僅かな希望を求めてるみたいでキモい...」


DQN幽霊「だ、だって先輩が!この前ここの監視カメラに死角はないって言ってから、おかしいなーと思って...!」

幼女幽霊「言い訳やめろよ...見苦しい」


DQN幽霊「だから違うんですってばああああああああああああああ!!!!!」

スタスタ スタスタ


ディレクター「...」キョロキョロ

AD「トイレってここの奥でしたよね?」

カメラマン「取材中に確認したから間違いない...はず」

アイドル「うぅ~~~...」モジモジ



『W.C』



AD「ありましたね...どうやらここみたいです」

ディレクター「じゃあ俺先に行ってるわ、すぐ終わるから。カメラマン着いてこい」

AD「はぁっ!?そこは先にアイドルさんじゃないんですか!?」

ディレクター「すぐ終わるって...ションベンなんだから数十秒もありゃ、こっちも限界が近いんだよ」スタスタ

カメラマン「えっ?ちょっ!ディレクターさん!!」ダッ

AD「し、信じられないあの人...どこまで自己中心的...」

アイドル「うぅっ~~...うぅ...」モジモジ

AD「ご、ごめんね。もうちょっとだけだから。あと本当にちょっと我慢してね」


スタスタ スタスタ


ディレクター「ふっー...スッキリした。ほら、早かっただろ!」

AD「うるさいですよ!!さっ、入って入って!」

アイドル「は、はいっ!」ササッ


バタンッ


AD「良かった...間に合って、私は扉の前に居るから何かあったらすぐ知らせてね」


『うぅ...ごめんなさい、ごめんなさい...』

ディレクター「おい、どうだ?間に合ったか?」スタスタ

AD「なっ...ちょっとディレクターさん!ここ女子トイレですよ!?早く出てって外で見張っててくださいよ!」

ディレクター「いいじゃねえか。どうせ見えるわけじゃねぇんだし」

AD「関係ないですよ!!!!いい加減にしないと帰ったら警察に通報しますよっ!?」グッ

ディレクター「うるせぇなぁ...分かったよ出て行けばいいんだろ」スタスタ


AD「まったく...本当に信っじられない」

AD「ごめんね、アイドルさん。もう追い払ったから」



シーーーーーン



AD「...アイドルさん?」

AD「ね、ねぇ...聞こますか?もしかして怒ってる?」コンコン


シーーーーーン


AD「へ、返事がない...あの子の性格的にこんなイタズラをするとは思えないし...」

AD「ディ、ディレクターさんっ!カメラマンさんっ!」ダッ




ディレクター「どうでもいいけどよぉ 、女のトイレは個室なんだろ?」

カメラマン「まあそれが普通ですけど...それがどうかしたんですか?」

ディレクター「個室ってのは密閉された空間と同じじゃねえのか?一緒に中に入るならともかく、外で待ってるだけだと一人になってるのと変わんねぇのかもと思ってな」

カメラマン「...まさか」

AD「ディ、ディレクターさんっ!カメラマンさんっ!大変ですよ!!!!」バッ

ディレクター「なんだっ!?何かあったのか!?」

AD「ア、アイドルさんに話しかけても返事がなくて!ドアをノックしても反応が...!」


ダダダダッ


ディレクター「おい!!!!どうしたっ!?何かあったのか!?」ドンドン


シーーーーーン


ディレクター「クソッ!返事がねぇな!こうなったらブチ破るか!!」

カメラマン「えっ!?さ、さすがにそれは不味くないですか?」

AD「...いえ、私は賛成です!やってください、ディレクターさんっ!!!!」


ディレクター「行くぞォーー!!!!オラァァ!!!!!」ドンッ

バターン


ディレクター「...おい、マジかよ」

AD「う、うそ...」



シーーーーーン



カメラマン「だ、誰も居ないですね」

ディレクター「...ここの個室に入ったのは間違いねぇんだよな?」


AD「そ、そんな...嘘...なんで...」ブルブル


ディレクター「落ち着け!!!!てめぇまでおかしくなってどうする!!!!」バシーン

AD「...はっ!?」ヨロッ

AD「は、はい...間違いないです...」


ディレクター「...どうやら奴らも本気で俺達のことを消しに来たらしいな」

今日はここまで

.........................................................
.........................................


ジャー


アイドル(ふっー...スッキリした...)

アイドル(それにしても...ちょっと心配してたけど、ここってちゃんと水流れるんだ...廃病院で電気も通ってないのに)

アイドル(いや、それ以前にこの状況で流れた水ってどこに行くんだろ...?)

アイドル(外はずっと夜から変わってないから、もう私達の居た世界とは違うってことだし...でも水はどこかに向かって流れて行く...)

アイドル(...まさか!トイレに流されて行けば元に戻れるっ!?)


アイドル(...あほらし)ガチャ

アイドル「すみませんー...待たせてしま...って?」


シーーーーーン


アイドル「...あれ?ADさん?」

アイドル「ど、どこですか?ADさーん?」キョロキョロ

アイドル(ど、どうなってるの?ADさんはトイレのドアの前で待っててくれたら、もし何あったら教えてくれるはずだし...)

アイドル(それにトイレから出て行ったら、まず足音が聞こえるはずだよね...?)

アイドル「...っ!?」ゾクッ


ダッ


アイドル「み、みなさーん!!!!どこですかー!?」


シーーーーーン


アイドル(ト、トイレの前にいた二人もいない...)

アイドル(本当にどうなってるの...やだ、一人は怖いよぉ...)ブルブル

テレレン♪テレレン♪


アイドル「」ビクッ

アイドル「え...?なに...電話?」ガサゴソ

アイドル「閉じ込められた時から携帯は圏外で繋がらなかったのに...相手の番号は...」

アイドル「444-444-4444...な、なにこれっ!?」パッ


ガタッ

テレレン♪テレレン♪


アイドル「うぅ...もうやだぁ...早くここから出してよぉ...」シクシク


プツッ...


アイドル「!?」ビクッ

アイドル(で、電話が勝手に出て...)ブルブル

『ハローシドニー』


アイドル「...?」

アイドル「あ、あの...私シドニーじゃな...」


『好きなホラー映画は?』


アイドル「えっ」

アイドル(ホ、ホラー映画...?なんでそんなこと聞くんだろ...)

アイドル「ご、ごめんなさい...わ、私ホラー映画とかあんまり見ないタイプで」ビクビク


『...いや、それでも何かあるだろ。"ハロウィン"とか"エルム街の悪夢"とか』


アイドル「ご、ごめんなさいぃ...そういうジャンルは興味がな、いや怖くて見ないんですぅ...」

『...あ?』


アイドル「ひぃっ!?」ビクッ

アイドル「あ、あの!ホラーかどうか分からないんですけど!この前、友達と一緒に見たアパートでゾンビが襲ってくるやつは怖くて面白かったです...!」


『アパートでゾンビ...あーはいはい、"REC"ね』

『中々いい趣味してるじゃん、ゾンビモノなら新ドーンの次くらいに好きだよ私は』

『でもあれも続編になるにつれて微妙になって行くよね。特に2のアレとか賛否両論だし、やっぱり一作目が一番いいや』


アイドル「そ、そうなんですか...」


『じゃあクイズをしようか。これに答えられたらここから出してあげるよ』

アイドル「え...クイズですか?で、でも私そういうのは苦手で...」


『なに、簡単なクイズだよ。誰にでも答えられるレベルのね』

『"13日の金曜日"の犯人は誰?』


アイドル「じゅ、13日の金曜日...」

アイドル(これって確か...ジェイソンが出てくる映画だったよね?それなら簡単だ!)

アイドル(...あれ?こんな問題どっかで聞いたような。確かこれって引っかけ問題じゃなかったっけ?)


『さあ、そろそろ時間切れだ。答えを聞かせてもらおうか』


アイドル「あ、あの...ジェイソンのお母さん...でしたっけ?」


『.........』

アイドル「確か1作目はジェイソンの母親が犯人なんですよね?」


『あー、うん...そうだな...』

『...ざ、残念ながら不正解だ』


アイドル「えっ!?違うんですか!?」


『では特別サービスでもう一回だけ回答のチャンスをやろう...』


アイドル「じゃあジェイソン?」


『フハハ...不正解だ...』

『"13日の金曜日"に出てくる犯人は三人、ジェイソンと1作目のパメラと...5作目に出てくる偽ジェイソンのロイだ』


アイドル「はいっ!?13日の金曜日って1作目のことじゃないんですかっ!?」


『いや、だって何作目とか指定してないし。普通13日の金曜日って言ったらシリーズ全作まとめてのことだろ』

アイドル「そ、そんなズルいですよ!!!!途中で問題が変わってるじゃないですか!!!!」


『い、言い訳をしても無駄だ。君はクイズに負けたんだ』

『さて、敗者がどうなるかはホラー映画をあまり見てなくても想像がつくはずだよな?』


シュウウウウウ...


アイドル「」ビクッ

アイドル(な、なに...急に空気が変わったような...)


『...では最後のクイズを出してやろう』

『右と左、どっちから襲ってくると思う?』


アイドル「きゃ、きゃああああああああああああああああ!!!!!!!!」

幼女幽霊「よっしゃ大成功!」

DQN幽霊「どこが大成功っスか。めちゃくちゃグダグダじゃないっスか」


幼女幽霊「...だ、だって仕方ないじゃん。まさかあのアイドルが答え知ってるとは思わなかったし」

DQN幽霊「それでもあれはないっスよ...引っかけどころか問題文自体が問題じゃないっスか...」

幼女幽霊「う、うるせー!!いいんだよ!ちゃんと怖がってたんだから!」

DQN幽霊「いやぁ...あれは怖がってるというより、あまりの理不尽に叫ぶしかなかったというか」


幼女幽霊「とにかく!これで残りは三人だ!もうここまで追い詰められたらあいつらが取る行動は一つ!」

DQN幽霊「何して来るんスか?」

幼女幽霊「殴り込みだよぉ!」

.........................................................
............................................


ディレクター「アイドルちゃんが消えた今、やるべきことは一つしかねぇ」

ディレクター「...殴り込みだ」


カメラマン「な、殴り込み...ですか?」


ディレクター「そうだ、ここでジっとしてても食い物も水もすぐ尽きる。そうなりゃ俺達に助かる道はねぇよ」

ディレクター「奴らが本気を出せば、俺達をすぐ全滅することだって出来るはずだ。だがして来ないってことはだな...楽しんでやがるんだよ」


AD「...」


ディレクター「だが逆に言えばこれはチャンスだ。油断してるところを一気に叩けば、俺達も元の世界に戻れるかもしれねぇ」

カメラマン「で、でも殴り込みってどこに行くんですか?幽霊がどこに出てくるかも分からない状況なのに...」


ディレクター「簡単だ。俺達は一階から二階を隅々まで探したが、何も出なかったし見つからなかった」

ディレクター「っつーことは...残された場所はあと一つしかないだろ?な?」


AD「...三階ですか」


ディレクター「そうだよ。俺の勘だと奴らは三階に固まってる...そこをドカッと襲撃して!」ドンッ

ディレクター「一網打尽にしてやるって作戦だ。完璧だろ」


カメラマン「...」

AD「...」


ディレクター「んだよ、二人とも黙りやがって...何か言いたいことでもあるのか?」

AD「...私は嫌です。これ以上怖い目に遭うなら、餓死した方がマシです」


ディレクター「...は?何言ってんだよお前」


AD「ディレクターさんはあの二人が急に消えて怖くないんですか?わ、私は...私は...」ブルブル

AD「もう今にでも自殺したいほど怖いんです...これ以上は耐えられませんよ...」ギュッ


ディレクター「...」

ディレクター「...カメラマンも同じ気持ちか?」


カメラマン「い、いえ僕は...ディレクターさんに着いて行きます」


ディレクター「そうか、おいAD」

ディレクター「俺はな、この仕事に命懸けてやってんだよ。幽霊に襲われて死ぬなら本望だ」

ディレクター「お前も映像制作に関わってる人間なら、同じだと思ってたんだがな」


AD「...」


ディレクター「俺だって怖い気持ちは一緒だ。だがな、それ以上にこの怪奇現象を世間に見せたいんだよ」

ディレクター「今回のことをまとめたDVDは売れるぞっ~~!何だって前代未聞の内容だからな!ニュースでも取り上げられるかもしれねぇ」

ディレクター「そしたら俺達は億万長者だ。もう今までの貧乏生活とおさらばしたくないのか?」


AD「...結局儲けたいだけじゃないですか」


ディレクター「あぁ、そうだよ。俺は金が大好きだからな」

ディレクター「だがな、今は生きるためにやってんだよ。死んだら金なんていくら持ってても仕方ねぇ、俺は生きてここから脱出するために行動すんだよ」

ディレクター「お前はここで死んでもいいのか?生きて金持ちになりたくないのか?」

ディレクター「もしかしたらさらわれた二人も見つかるかもしれねぇ、お前はあいつらを見殺しにしてもいいのか?」


AD「...」


ディレクター「まあここで死にたいなら勝手にしろよ。俺のスタッフに根性なしは要らねぇからな」

ディレクター「行くぞカメラマン!あいつらをぶっ飛ばしに行くぞ!」スタスタ


カメラマン「は、はい!」ダッ



AD「...」

AD「...ディレクターさん」

ディレクター「...んだよ」



AD「売り上げは...売り上げはもちろん私達で三等分ですよね?」



ディレクター「は?んなわけねぇだろ。ディレクターの俺が5で、お前らはその半分の2.5ずつだ」



AD「...分かりましたよ。後で全部、俺の取り分だとか言わないでくださいよ」スタスタ



ディレクター「...お、おう。分かってるよ」

ディレクター「カメラマン、ここから先は全部撮っておけよ」


ディレクター「世界初、史上初の人間と幽霊との全面戦争だからなァ!!!!!」

スタスタ スタスタ


AD「...ディレクターさん、三階に行くんじゃなかったんですか?ここ一階の警備室ですけど」

ディレクター「あぁ、前にちょっと気になるもん見つけてよ。それを取りに来たんだ」ガサゴソ


ディレクター「...あった。これだぁ!」ニヤァ


AD「それって金属バットですか?どこからそんなもの...」


ディレクター「いや俺だってなんでこんなところにあるのか知らねぇよ。でも戦争するには武器が必要だからな」

ディレクター「ほらAD、お前はこれ使え。サスマタだ」ポイッ


AD「うわっ!?きゅ、急に投げないでくださいよ!」

『カメラマンは...そのカメラで適当に殴ればいいな。あ、でも死んでもカメラは壊すなよ』

『え、えぇ...難しいですよ』

『これで武器は整った...さあ行くぞ!てめぇらぁ!!!!!!』ガンガン




DQN幽霊「...なんであんなところに金属バットがあるんスか」

幼女幽霊「そういえば、この前オーブちゃんが野球したいって言ったから貸してあげたんだよね」

DQN幽霊「...俺あんなに金属バット装備が似合ってるやつ見たことないっスよ」

幼女幽霊「餃子にラー油以上に合ってるよね。まさに暴力人間だよ」


DQN幽霊「どうでもいいっスけど、何で幽霊相手に物理攻撃で対抗しようとしてるんスかね」

幼女幽霊「ノリじゃない?」

今日はここまで
そういえばあと1時間ちょっと8月14日(日)の午前0時からニコ生で戦慄怪奇ファイルコワすぎ!の一挙放送が始まりますね(ステマ)
とても面白いので未見の方は是非見て欲しいです(ステマ)

生存報告...すみません、また2週間ほど間が空いてしまいました
実は何かに呪われたのか体調を崩してしまい次回いつ更新できるか未定の状態です
エタる可能性はないとは思いますが...ごめんなさい

コツッ...コツッ...


ディレクター「...」チラチラ

AD「ここが...問題の三階ですよね」

ディレクター「...おいAD、ここから先はお前が先頭で行け」

AD「え、嫌ですよ」

ディレクター「いいから行けっつんだよ。危なくなったら俺が助けてやるから」クイクイ

AD「...分かりましたよ」スタスタ



ガタッ



ディレクター「!?」ビクッ

AD「な、何の音ですか!?」

カメラマン「す、すみません...ちょっと機材を落としちゃって」


ディレクター「ビックリさせんじゃねえよ!ちゃんと持ってろ!」

AD「...ディレクターさん、聞き忘れてたんですが幽霊を倒すと言ってもどうするんですか?」

AD「何かノリでここまで来ちゃったんですけど...よく考えてみたらバットなんかで幽霊が倒せるんですか?」


ディレクター「だから前にも言っただろ。こういうのは気の持ち用が大事なんだよ」カンカン

ディレクター「あいつらをぶっ倒せると思ったら殺れるっ!そういうもんだ」


AD「...」


ディレクター「いいから早く前に進めよ。どんどん時間が経っちまうだろうが」


カメラマン(...あそこでじっとしてた方がマシだったかも)

AD(...今回の件が終わったら絶対転職しよう、絶対に)

ギィー...



AD「...いませんね、ここにも」

ディレクター「五連続ハズレか...中々出てこねぇな」

AD「やっぱり幽霊を退治して脱出するなんて無理なんじゃないですか?何か別の方法を...」

ディレクター「あ?じゃあお前は何かアイデアがあんのか?」

AD「...ないですけど」

ディレクター「なら俺に従ってればいいんだよ。いいから次のドア開けろよ」クイクイ

AD「...はい」


ガチッ


AD「?」ガチャガチャ

AD「ここの部屋...鍵がかかってますよ」

ディレクター「鍵ぃ?」

カメラマン「おかしいですね...今までの部屋は全部開いてたのに、この部屋だけかかってるなんて」

AD「ここは...リハビリ室みたいですね。どうしますか?」

ディレクター「くせぇな、ここは絶対何かあるぞ。俺の勘がそう言ってる」


ディレクター「よーし...ちょっと待ってろ。こういう時のためにいいもん持ってきたからよ」ガサゴソ


AD「ディ、ディレクターさん?何するつもりなんですか?」


ディレクター「穴は...あーはいはい、こんな感じね。これならすぐ開くな」ジー

ディレクター「...」カチャカチャ


AD「それってまさか...ピッキングですか?」

ディレクター「そんな目で見てんじゃねえぞ。人を泥棒扱いしやがって」

AD「いや誰も泥棒とまでは...でも...」


カチッ


ディレクター「ほら、開いたぞ。いいから入れよ」


AD「結局、私が先頭なんですか。はぁ...」

AD「これでただ鍵が閉まってるだけの部屋だったら拍子抜けですよね。そっちの方が可能性高そうですけど」チラッ



モゾモゾ...モゾモゾ...



AD「...っ!?」サッ

ディレクター「おいどうした、何か居たのか」

AD「い、いま...いま...います。な、何かが三個くらい...う、動いて...」ブルブル

ディレクター「なんだとォ~?野郎共、やっと正体を現しやがったかッ!」

ディレクター「行くぞカメラマン!俺がバケモンを倒すところちゃんと撮っておけよ!」ダッ

カメラマン「ほ、本当に戦うつもりなんですか?」

ディレクター「ここまで来たらやるしかねぇだろ!いいから来い!」


ドンッ


ディレクター「オラァッ!!!!出てこいよカス共が!!このディレクター様が相手になってやるよぉ!!!!」



ムカデ人間「」カサカサ

武器人間「」カサカサ

セイウチ人間「」カサカサ



ディレクター「...あ?」ポカーン

DQN幽霊「先輩、何スかアレ」

幼女幽霊「あー...あいつらあの扉開けちゃったかー。一応、鍵かけて入れないようにしてたんだけど」

DQN幽霊「いやそんなことよりも何スかあのクリチャー共は...うちにあんな薄気味悪いやつらが居たんスか?」


幼女幽霊「それがさぁ、昨日私があの不良に腹パンされたじゃん?だからそろそろ代わりの物理担当が欲しいと思ってね」

幼女幽霊「んで適当にマネキンと粘土とその他諸々をこねて、オーブちゃんが中に入れるような戦闘用の人形を作ったんだよ」

幼女幽霊「あれ中々動かすのが難しいらしくねー...だからあそこの部屋で練習してたってわけ」


DQN幽霊「えぇ...」

幼女幽霊「でもまさかピッキングされるとは思わなかった、あいつはルパンか」

幼女幽霊「まーちょうどいい実験台かも、ちょっと試験運用してみようかね」


DQN幽霊「実験台って...アレ動かして大丈夫なんスか?かなり危ないやつらに見えるんスけど」


幼女幽霊「そりゃ物理攻撃もできるように頑丈に作ってるからね。でも殺しは無理だから安心しなよ、所詮日曜大工で作ったやつだし」

幼女幽霊「怪我はすると思うけどな!」


DQN幽霊「...」

幼女幽霊「ということでオーブちゃん!初陣だよ!目標はあのヤクザ、ボコボコにしてやってちょうだい!」

カタカタ カタカタ

カタカタ カタカタ



AD「ディ、ディレクターさん...なんなんですかこの化け物...」

ディレクター「お、俺が知るかよ。でも今のところ襲ってこねぇみたいだな」

カメラマン「何かヤバい予感がしませんか?ここを離れた方が...」



ピクピクッ

ムカデ人間「」ギロッ



AD「!?」ビクッ

AD「きゅ、急に雰囲気が...空気が変わったような...」

ムカデ人間「」ガタガタガタ

ムカデ人間「...」


ダッッ!!!!!


AD「うわぁっ!?」

カメラマン「ちょっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ!?やばいですって!」

ディレクター「オイッ!早く扉閉めて押さえろォ!こっちに来るぞぉぉぉ!!!!」


ドンドンドン!!!!!ドンドンドン!!!!!


AD「ど、どうするんですか、この状況...!早く何とかしないとこっちが持たないですよ!」グッ

AD「というかディレクターさん!?さっき倒すとか言ってましたけど何で普通に逃げてるんですか...!」ググッ

ディレクター「う、うるせぇよ!あの状況で逃げる以外の選択肢があると思ってんのかッ!!」グッ

ドンドンドン!!!!!ドンドンドン!!!!


カメラマン「まずいですって!こ、このままだとあと1分もしないうちに扉が壊れますよ...!」グッ

AD「ディレクターさん!?どうするんですか!?早く決めてくださいっ!」グッ


ディレクター「...分かったよ。ちょっと離れるから、ここ踏ん張っとけ」スッ


AD「ちょっとぉ!?まさか一人だけ逃げるつもりじゃないんですかっ!?」グググッ

カメラマン「ぎ、ぎつい...!!!」グググッ


ディレクター「んなわけあるかッ!ここで待ち伏せするんだよ!!!」

ディレクター「いいかッ!?五秒後に手離せ!俺がコイツで叩きのめしてやるからよォ!!」グッ


AD「んなこと言われても...!二人だけだとあと五秒も持たなっ...」グググッ

ディレクター「じゃあ3秒だ!口を動かす時間があったら手に力入れとけェ!!」


AD「じ、自分は何もしてないくせに...!」グググッ


ディレクター「数えるぞ...一二の三で手を離せよ。いーちー...」


ドンドンドン!!!!!ドンドンドン!!!!!


AD「うぐぐ...ぐぎぎぎ...!!!!」グググッ

カメラマン「おぉ...!!!おういいいいいい...!!!!」グググッ


ディレクター「にのー...」


AD「...も、もうだめ」パッ

カメラマン「え、ADっ!?ちょおっ!?」パッ


ディレクター「あぁっ!?何やってんだよクソッッ!!!!!」

バンッ!!!!!


ムカデ人間「」ドドドッ

武器人間「」ダダダッ

セイウチ人間「」バババッ



ディレクター(押さえとけつっただろうがッッ!おかげでタイミングがずれちまったじゃねえか!)

ディレクター(この野郎...もうここまで来たらやるしかねぇ、一匹残らずにぶっ殺してやる!!!)グッ



ディレクター「オラアッッッッッ!!!!!!」ブンッ



ドゴォッ!!!



ムカデ人間「!?」ヘブチッ

DQN幽霊「...」

幼女幽霊「うーん...このクロスワードパズル難しいな。たまたま見つけたけど、いい暇潰しになりそうで良かった」

DQN幽霊「...あの先輩、例の人形ってかなり頑丈に作ってあるんスよね?」

幼女幽霊「んー?そうだけど?」

DQN幽霊「...もし、金属バットで思いっきり殴られたらどうなるんスか?」


幼女幽霊「そりゃ金属バット程度ならノーダメだよ。多少外装がへこむかもしれないけど、オーブちゃんが操るには何の支障もないね」

幼女幽霊「完全に機能停止にするなら、重火器でぶっぱするか液体窒素で凍らせて粉々にするくらいしかないんじゃない?まあ準備してるうちにやられると思うけどね!」


DQN幽霊「そうっスよね...バットで殴られたくらいなら全然平気なはずっスよね」

ムカデ人間『』

ディレクター『残り二匹だゴラァッッ!!!!!』



DQN幽霊「普通にやられてるんスけど...」

幼女幽霊「ワッツ!?」


ゴンッ


DQN幽霊「あ、また一人やられた」


幼女幽霊「はぁ!?いやなんでぇ!?嘘でしょ!?」

幼女幽霊「ちょっと待てよオイ!なんでやられてるわけぇ!?ちゃんと強度実験もして大丈夫なはずなのにっ!」ガンガン

DQN幽霊「先輩、モニター叩くのはやめてください。壊れるっス」

幼女幽霊「まさかあのヤクザもどきの腕力が...いやそれもない!成人男性の10倍の力でも耐えられる構造になってるもん!あれを正面からぶっ壊せるのは私の知り合いでも数人しかいないし!!」

DQN「何か脆くなってる弱点とかないんスか?例えば頭とか...」


幼女幽霊「私がそんな欠陥作るわけないだろ!むしろ頭は胴体より頑丈にしてるわっ!!」

幼女幽霊「くそ~~...本当に何が原因なんだ?オーブちゃんが入った影響で人形に影響が出たのか...でもそんな前例、聞いたことも見たこともないし...」ブツブツ


DQN幽霊「...ん?」ジー

DQN幽霊「...先輩、ちょっとここ見てくださいっス。何かこのバット微妙に光ってませんスか?この辺りが」ツンツン


幼女幽霊「光ってるってなんだよ、バットが光るわけないだろ...電球を入れてるわけじゃあるまいし」チラッ

幼女幽霊「...オウッッ!?」ビクッ


幼女幽霊「そ、そういうことか!!!!分かったぞ!なんであいつがオーブちゃん達を倒せてるか!」

DQN幽霊「えっ?マジっスか?」

幼女幽霊「仕掛けはあのバット自体にあったんだ!...というかアレ、ほぼ私のせいじゃねえかクソッタレ!」

DQN幽霊「先輩のせいって...ま、まさか先輩...あのバットに何かしたんスか?」


幼女幽霊「...い、いやあれってオーブちゃんが野球したいからって用意したバットじゃん?」

幼女幽霊「でもオーブちゃん達の野球って球は自分達でやるからボールがいらないんだよね。だから普通のバットだと透けて打てないって相談されちゃって...」

幼女幽霊「だからオーブちゃん達にも触れられるように、ちょこーっと私の力を使って霊体バットに改造したんだよね~...」


DQN「れ、霊体バットって...ってことはあのバットで殴られると俺らもヤバいってことじゃないんスか?」

幼女幽霊「あー...うん、かなりの高確率で私たちにも効くと思う」

幼女幽霊「というかお前みたいな弱小霊だと、殴られたら一発KOの可能性もあるレベル」

DQN幽霊「...どうするんスか、これ」

幼女幽霊「うーん...どうしよう」



『おっしゃああああ!!!!あと一匹だゴラアアアアアアア!!!!!』



幼女幽霊「...ちょっともったいないけど、ここら辺で終わりにしよっか」

DQN幽霊「まあそうなるっスよね」

幼女幽霊「ないとは思うけど私の空間にも影響が出るかもしれないからねぇ...まさかこんな終わり方になるとは思わなかったよ」

DQN幽霊「どうやってあいつらを気絶させるんスか?オーブだとあのバットっでボッコボコにされそうっスけど」

幼女幽霊「そりゃ私が出るしかないでしょ。めんどくさいけど」

DQN幽霊「...大丈夫っスか?あれで殴られたら先輩でもヤバいっスよね?」

幼女幽霊「あの程度なら楽勝っしょ。当たらなきゃいいんだから、当たらなきゃ」

幼女幽霊「さて肉体出すとするか。はぁ...せっかく考えたシナリオがめちゃくちゃになったわ」ボンッ


長髪白装束娘『』


DQN幽霊「今日も身体使うんスね」

幼女幽霊「やっぱり実体の方が相手にプレッシャー与えられるからね、それに私もこっちの方が動きやすいし。よいしょっと」


スゥ

長髪白装束娘「あーだる!めんどくせ!」ポキポキ

DQN幽霊「めっちゃ骨の音鳴ってるっスね」

長髪白装束娘「そりゃ日頃からまったく動かしてないからね。もうバッキバキ鳴るよ」バキバキ

DQN幽霊「どうでいいっスけど、普段先輩の肉体ってどこにあるんスか?何かいつもどっかから引き出して来てるっスけど」

長髪白装束「さあ?あの世とかじゃない?」

DQN幽霊「...そこら辺は適当なんスね」


長髪白装束娘「んじゃ私はちょっと着替えて来るわ。見張りよろしくぅ」スタスタ

長髪白装束娘「あ、覗いたらぶっ殺すからな」


DQN幽霊「誰も覗かないっスよ、失礼な」

ジジジ...


DQN幽霊「あ、最後の一匹がやられた」

DQN幽霊「想像以上にやべぇなこれ、あれで正面の扉やガラスをぶん殴ったら先輩の空間から脱出してもおかしくないぞ」

DQN幽霊「まあ先輩が出るなら大丈夫だとは思うが...あの人って時々ドジだからまさかの展開があり得そうで怖いんだよな」

DQN幽霊「...そういや着替えて来るって行ってたけど何を着るつもりなんだ?」


ガチャ


長髪白装束娘「なぁ!この人肉マスクと釘が刺さってるマスク、どっちがいいと思う?」


DQN幽霊「...両方やめた方がいいと思うっス」

長髪白装束娘「ちぇっ、じゃあ今日は素顔で行くか。髪で見えないけど」ポイッ

DQN幽霊「着替えるってわざわざそのマスク探しに行ってたんスか。ハロウィンの日くらいしか使い道なさそうっスね」

長髪白装束娘「え?ちゃんと着替えて来たけど?気付かない?」クルッ

DQN幽霊「...特に変わってるようには見えないっスけど」


長髪白装束娘「いつも白装束なのに今日は白いワンピースになってるじゃん!お前は本当にファッションに疎いな!」


DQN幽霊「えぇ...」


長髪白装束娘「まったく人がせっかくオシャレしてんのに少しは気付けよな!時々髪切ってるのも知らないだろばーか!」バタン


DQN幽霊(ほぼ変わってない...)

今日はここまで
はい気付いたら夏が過ぎて秋になってました
書き溜めは大体終わってるのでここからは毎日更新できると思います

.........................................................
.............................................


ディレクター「ぜぇ...ぜぇ...これで全部だな」


AD「す、すごいですね...ディレクターさん。いくらこっちが武器を持ってるからって、三人全員を倒すなんて...」

カメラマン「しょ、正直もう駄目かと思いましたよ」


ディレクター「あぁ、何か知らねぇんだけどさ、このバット持ってると異常に体が軽く感じるんだよな」

ディレクター「殴った時の手応えもズバーン!って感じで...力が溢れてくるみたいだわ」

ディレクター「それにADの援護もあったからな、最後の一匹はお前がサスマタで押さえてくれなかったら危なかったわ...ありがとな」

ディレクター「お前が危なくなったら、今度は俺が助けてやるよ」


AD「...え、いや急にどうしたんですか?気持ち悪い」

ディレクター「...お前気持ち悪いってなんだよ。せっかく人が礼を言ってやったのに」


AD「だって普段のディレクターさんからは出てこない言葉が出てきて...縁起の悪いこと言うのやめてくださいよ」


ディレクター「...ったく、人が少し下手に出たらいい気になりやがって。助けてやんねぇぞ」

カメラマン「ま、まぁまぁ!今はそんなことより探索を続けましょうよ!」

ディレクター「そうだな、こいつらが起きてたら拷問でもしてここから出る方法が聞けたんだが...人形みたいに固まってビクともしねぇ」ゲシッ


ムカデ人間『』


AD(本当に拷問しそうだから怖い)

ディレクター「あとは残りの部屋を探すだけだな。それでも見つからなかったら一か八か、こいつで正面扉をぶち破るしかねぇ」

ディレクター「まあそれまでには何か見つかんだろ。三階に来て始めてこいつらが出てき...」




ヒュゥゥゥッゥゥゥゥゥ




ディレクター「」ゾクッ

AD「」ゾクッ

カメラマン「」ゾクッ


AD「な、なんですか?今背筋が急にビクって...」キョロキョロ

カメラマン「じ、自分も同じ感じがしました...」キョロキョロ


ディレクター「...ほぉ~~ついに親玉の登場ってわけか」

ディレクター「二人とも構えとけよ、何か来んぞ」

AD「か、構えとけって言われても...どうすればいいんですか」

カメラマン「やばいですって、今までと全然雰囲気がちがっ...」



ガシッ



AD「え?」クルッ




ズサアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!


AD「きゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!」ズルズルー


ディレクター「ADァッ!?」


AD「ディレクターさあああああああああああん!!!!!!!助けてえええええええええええええ!!!!!!」ズルズルー



カメラマン「え、ADが...引きずられて...」

ディレクター「クソッ!ADを狙って来やがったか!!行くぞォ!カメラマン、お前も来い!」ダッ

カメラマン「行くってADを追いかけるんですか!?」

ディレクター「当たり前だ!助けんに決まってんだろ!いいから来い!!」グッ

カメラマン「は、はいッ!!!」ダッ




ズサアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!


AD「いやああああああああああああああああああ!!!!!!!」グルッ




ディレクター「オイィッ!あそこの角曲がったぞ!!」ダダダッ

カメラマン「あの先って確か部屋が一つありましたよね!?」ダダダッ



バタンッ!!!!!



ディレクター「入りやがったなァ!これで袋のネズミだッ!!」

カメラマン「ま、待ってください!何かの罠かもしれませんよ!?迂闊に入るのは危険じゃ...」

ディレクター「んなこと言ってる場合じゃねえだろ!ADが死んでもいいのかテメェはァ!?」

カメラマン「そ、そういうわけじゃ...」


ディレクター「待ってろよADァ!!今すぐ助けてやるからなッッ!!!」ガラッ


バタンッ!!!



カメラマン「...え?」

カメラマン「ディ、ディレクターさんが入った途端に扉が閉まって...」


カメラマン「ディレクターさぁん!?大丈夫ですかっ!?ディレクターさん!!!!」ドンドン

カメラマン「あ、開かない...ディレクターさん!!!!返事してくださぁい!!!!」

バタンッ!!!


ディレクター「!?」クルッ

ディレクター「オイどうなってんだ!?扉が勝手に閉まったぞ!カメラマン!?聞こえるかぁ!?」ドンドン

ディレクター「あ、開かねぇ...」



ユラァ...



ディレクター「ッッ!?」クルッ



長髪白装束娘「...」



ディレクター「テ、テメェがADを連れ去った犯人か!!!!」

ディレクター「さっさとここから出せやゴラアアアアアアアアア!!!!!」ブンッ

長髪白装束娘(うわあぶねっ)サッ

長髪白装束娘(いきなり幽霊殴って来るとかなんだよこいつ...ホラー映画なら絶対してこないぞ)



ディレクター「避けてんじゃねええええええええええええ!!!!!!!」ブンッ



長髪白装束娘(うーん...やっぱりさすがの私でもあのバット食らったらやばいな。霊体で食らうよりは実体の方がダメージ少ないけど)

長髪白装束娘(肉弾戦とかやってみたかったけどさっさと終わらせるか)クイッ



シュンッ

カラーン


ディレクター「!?」パッ

ディレクター(バ、バットが手から離れて...う、動けねぇ...)ガクガク



長髪白装束娘「...」スタスタ

ディレクター(クソが...う、動きやが...)ガクガク



長髪白装束娘「...」スタスタ

長髪白装束娘「...」ピタッ

長髪白装束娘「...」ジー


ディレクター(な、なにガン飛ばしてやがる...ぶっ殺すぞ...)



長髪白装束娘「」ギロッ




ディレクター「!?」ビクッ

ディレクター「あっ...あっ...」


ディレクター「」ガクガクガクガクブルブルブルブル

ディレクター「」ガクガクガクガクブルブルブルブル

長髪白装束娘「ほい終了っと、これでしばらくは意識を失ったまま痙攣し続けるな」



ディレクター「」ガクガクガクガクブルブルブルブル

ディレクター「」ガクガクガクガクブルブルブルブル



長髪白装束娘「女の方はもう私の空間に閉じ込めておいたし、あとは外のカメラマンを何とかするだけだな」チラッ

長髪白装束娘「...さてこのバットどうしよう」

長髪白装束娘「んー...普通のバットに戻すのには時間かかりそうだし、とりあえずはあの部屋に運んどきゃいっか。暇な時に元に戻せばいいしね」


長髪白装束娘「あーあ、まったく余計なもん見つけやがって。おかげで私の計画が台無しじゃん!バカ!」ゲシッ


ディレクター「」ガクガクガクガクブルブルブルブル

カメラマン「ディレクター
さんっ!?ディレクターさああああああああああああん!!!!!」ドンドン


シーーーーーン


カメラマン「うっ...ぐ...ど、どうすれば...ずっと返事がない」

カメラマン「...ごめんなさい、ディレクターさん!必ず出口を見つけて助けますから!!」ダッ


カメラマン(坊主爺さんもアイドルさんも...ADもディレクターさんもみんな居なくなってしまった...最後に残ったのは僕だけ...)

カメラマン(もうどうしようもない...次に狙われるのは...)


カメラマン「...」カチャ

カメラマン「...もし、このカメラの映像を見ている人が居たら...お願いします。僕達を助けてください」

カメラマン「ここは本当に危険な場所です...もしここから無事に出られた人が居たら、本物の霊能力者にこのことを知らせてください」

プツンッ


カメラマン「...もう撮ってても意味ないか」

カメラマン「後はこれを隠すだけ...神様、誰かこのカメラを見つけてください...お願いします...」ガサガサ

カメラマン「うぅっ、どうしてこんなことに...来なければよかった...」ポロポロ


ガサッ


カメラマン「...ん?なんだここ、何かが挟まって...」


ジジジ...


カメラマン「カメ...ラ?こんなところに...なんで...」

カメラマン「電源は...入ってる。ま、まさか...これを仕掛けた誰かにずっと見られてた?」

DQN幽霊「あっ!?やべっ!」


シュンッ


長髪白装束娘「ふぅ、バット置きに一旦戻ってきたわ。もう一人の方はいい感じにビビってる?」

DQN幽霊「先輩、マズいっスよ!カメラマンの方が監視カメラに気付いたっス!」

長髪白装束娘「はぁっ!?マジぃ!?」

DQN幽霊「ほらこれ!98番カメラをあいつが持ってるっス!!」

長髪白装束娘「うっわマジじゃん!急いで片付けてくる!」



シュンッ



DQN幽霊「まさかあの監視カメラに気付くとは...さすがプロだな」

カメラマン「一体誰がこんなことを...まさか今までの現象は全部生きてる人間の仕業?」

カメラマン「でも科学じゃ説明出来ない事がいくつもある...ということは幽霊に監視されていた...?」


シュンッ


長髪白装束娘「わああああああああっっっっ!!!!!!!」バーン

カメラマン「!?!?!?!!!っっっ!?」ビクッ

カメラマン「」バタッ


長髪白装束娘「ふぅ...危ないな、まさか気付かれるとは思わなかった。さすがプロ」

長髪白装束娘「あー...なるほど、この持ってるカメラの隠し場所を探してたら見つけたのか。ちょっと位置を調整する必要があるな」

長髪白装束娘「ついでにこいつのカメラは私が没収しておくか。どんな映像撮れてるか私も見たいし」スッ

長髪白装束娘「お、重っ...よくこれ持って走れたな」ズンッ

シュンッ


DQN幽霊「お疲れっス」

幼女幽霊「はぁ~...今回は色んなアクシデントがあったわ。やっぱり業界人を相手にするのはめんどいな」

DQN幽霊「確かに色んなことあったっスね~。何か3ヶ月くらいあった気がするっス」

幼女幽霊「実際は1日ちょっとしか経ってないんだけどね。あー疲れた」ゴロン

DQN幽霊「あのスタッフとインチキ坊主とアイドルはどうするんスか?」

幼女幽霊「んー...記憶を消して、車をどっか適当な場所に移動させてその中で放置しておくか。さすがに違和感に気付くと思うけど、ここの病院の記憶ごと消すからバレることはないよ」


幼女幽霊「しかし最近の制作会社ってのは金持ってないな。あのディレクターなんて財布の中3000円しか入ってなかったぞ」

幼女幽霊「カメラマンにいたっては100円しかなかったし...向こうも貧乏なんだねぇ、全部貰ったけど」

DQN幽霊「それでも全部盗ったんスか...そういうところはキッチリやるんスね」

幼女幽霊「でも坊主の方は結構持ってたから儲けたよ?まあそれでも前の不良グループの方が金持ってたけどね」

幼女幽霊「さっ、後片付けするか。今回は荒れたからな~...DQN、お前も手伝えよ」

DQN幽霊「うっす、了解っス」


幼女幽霊「オーブちゃ~ん!あいつらが来た形跡の削除と人形の修理、あとカメラの調整お願いね~!」

幼女幽霊「ん?何してんの?お前も早く行ってこいよ」


DQN幽霊「えっ...先輩はやらないんスか?」


幼女幽霊「今日はめんどいからパス、借りて来た映画見てくるわ」フワフワ


DQN幽霊「えぇ...」

............................................................
............................................



ガヤガヤ ガヤガヤ



「...ここが例の町か、それでここが依頼の病院で...」

「遠いな。これだと隣町から行った方が楽だった」


「...それにしてもここ、何かがおかしい。日常と非日常が合わさってるような...危ういバランスで保たれてるって感じ」

「ワタシの勘が鈍ったのか、それとも...」

「はぁ...話だと普通の霊が二人いるだけ。一晩で終わる楽な仕事だし早く終わらせよう」


「しかし今日は暑い...かき氷でも食べて夜に備えるか」

今日はここまで
次から最終章的な何かです

DQN幽霊「そういえば先輩、一つ聞きたいことがあったんスけど」カチカチ

幼女幽霊「なにー?」カチカチ

DQN幽霊「この前、先輩が腹パンされた時に幽霊(ゴースト)とか怪物(モンスター)って言ってたじゃないっスか。あれってどういう意味っスか?」カチカチ

幼女幽霊「あーそういえばお前にはまだ言ってなかったな。説明してやるか」カチカチ


幼女幽霊「まず私たち死者はね、大きく別れて二つの形態があるんだよ」

幼女幽霊「一つは私やお前みたいな幽霊、実体がなくて魂が生前の姿に変化した状態な」

幼女幽霊「オーブちゃんもどちらかと言えばこっちに当てはまる。あの子たちの場合は魂がそのまんま球体の形になっちゃってるけど」

幼女幽霊「そして二つ目は怪物...これは一度死んだけど、肉体に魂が戻って自分の肉体を持ってる状態のことを指す」


デデーン


幼女幽霊「ちょおっ!?説明してたらゲームオーバーになったじゃねえか!死ねっ!」バシッ

DQN幽霊「痛いっス...それよりその怪物って何なんスか?なんで死んだのに肉体に魂が戻ってるんスか?」


幼女幽霊「はぁ...まあいいや。続けるぞ」

幼女幽霊「例えばさ、人が死んだら全員が全員、幽霊になるわけじゃないだろ?それと同じだよ」

幼女幽霊「私たち幽霊は...死の実感がないと生まれることが多いらしいんだ。交通事故とか急病とか、突然死ってやつだね」

幼女幽霊「お前はバイク事故で死んだ時のこと覚えてるか?」


DQN幽霊「そういえば...ちょっと記憶がぼんやりなってるっスね。事故ったことは確かなんスけど」


幼女幽霊「幽霊になった直後は死後から数日が経って、記憶が曖昧になってるパターンが多いらしいよ。最初は突然肉体がなくてびっくりしただろ」

DQN幽霊「懐いっスね、いきなり道路で目が覚めた時はビビったっス」

幼女幽霊「それに対して怪物は、死を実感しながら死ぬことで生まれることが多いらしいんだ。代表的なのは自殺とか殺人だね」

幼女幽霊「普通はそのまま魂が肉体から離れるんだけど、生への執着ってやつでたまに肉体に戻っちゃうんだよね。もう死んじゃってるんだけど」

幼女幽霊「この状態が怪物...日本だと口裂け女さんやひき子さんちゃん、あとテケテケちゃんが有名だね」


DQN幽霊「へぇ~...ん?でも魂が肉体に戻ったら普通の人間と変わらないんじゃないっスか?俺らと違って普通に生きてると思うんスけど」


幼女幽霊「肝心なのはこっからなんだ。怪物になるとまず心臓が止まって、肌も冷たくなる...つまり肉体はもう既に死んでる状態になるわけ」

幼女幽霊「"意志"ってやつで動いてるんだろうね。あ、でも食事は必要だし、睡眠も取らないと魂がまた離れるらしいよ」


DQN幽霊「半分死んでて、半分は生きてる状態になるんスか...」

幼女幽霊「そして一番の特徴は身体能力の変化...これもなぜかは分からないんだけど、文字通り怪物じみたパワーが出たり肉体が変化するんだって」

幼女幽霊「さっき名前を出した口裂け女さんはスピード型で足がめちゃくちゃ速くなったし、ひき子さんちゃんなんて物理最強クラスになったからね...あれはマジでヤバい」

幼女幽霊「それに頑丈になって腕一本吹き飛んだくらいじゃビクともしないし、というか生えてくるし」

幼女幽霊「いやぁ...本当ヤバい人はヤバいよあれ。まさにバケモンだね」


DQN幽霊「何か話聞いてると、俺ら幽霊よりヤバそうっスね...先輩より強そうっス」


幼女幽霊「いや別にそんなこともないよ?幽霊だって便利なところはいっぱいあるからね」

幼女幽霊「物理攻撃は無効だし、壁や障害物もすり抜けられるし、一般人からはこっちが姿を現すまで見つかることはない」

幼女幽霊「病気にもかからないし、睡眠食事も必要なし。普通に暮らすなら幽霊の方が便利だよ」

幼女幽霊「怪物ってのはどうしても肉体があるから、人間でも頑張れば勝てちゃうところが弱点なんだよね。海外だと銃があるから普通に負けちゃう話もいくつかあるし」


DQN幽霊「じゃあ逆に幽霊にも弱点とかってあるんスか?」


幼女幽霊「うーん...正直、私はそういう体験をしたことないから分からないんだよね」

幼女幽霊「一応、霊体同士の接触は出来るけど...死者じゃないと霊体になんてなれないし」

幼女幽霊「塩とか水とか熱に弱いってはことも聞いたことあるけど、全然触っても平気だしガセなんじゃない?」

DQN幽霊「じゃあ俺らは無敵なんスか!何か怪物よりちょっと得した気分っスね!」

幼女幽霊「と言っても、怪物にも霊体化できる人も多いからそもそもどっちがいいかなんて議論は無駄なんだよねー」

幼女幽霊「私も自分の肉体を出すことができるでしょ?あれも怪物の能力だから、幽霊と怪物のバランスが9対1ってところかな」

幼女幽霊「強い人はみんな私みたいに両方の特性持ってるし」

DQN幽霊「...じゃあ何も持ってない俺はどうなるんスか?」

幼女幽霊「ただの雑魚だけど?」


DQN幽霊「」グサッ


幼女幽霊「ちなみにこれはあくまで死者の話、UMA妖怪UFOなんかは私たちとはまた別の存在だからね」

DQN幽霊「さりげなく幽霊が宇宙人の存在を肯定するのやめてくださいっス」

幼女幽霊「ついでに幽霊も細かく分類すると"ジバク"と"フユウ"で二種類に分かれるんだよね」

幼女幽霊「ジバクは文字通り地に縛られてる霊、行動範囲が制限されてる私やお前はこっちに分類されるな」

幼女幽霊「フユウはジバクの逆で、どこにでも好きな場所に移動できる霊だ。こっちはレアで滅多に居ないタイプね」


DQN幽霊「俺ならともかく、先輩の力でも町の南側には行けないって不便っスよね。あっちの方は映画館も駅もあるのに」


幼女幽霊「ほんとそれだわ、なんでフユウがレアなんだよぉ...普通は文字的にジバクの方がレアっぽいじゃん...」ズーン

幼女幽霊「あー...クラスチェンジイベとか来ないかな」


DQN幽霊「ゲームじゃないんスから」

DQN幽霊「そういや先輩以外にも足付きって居るんスか?幽霊って普通は足ないらしいっスけど」

幼女幽霊「いるよ、知り合いに二人だけ」

幼女幽霊「あの二人は足付きでフユウだから羨ましいわ...なんで私だけジバク型なんだろ」


DQN幽霊「狙ってなれれば楽っスよねぇ ...自分もどうせなら幽霊になって全国を回ってみたいっス」

幼女幽霊「あ、言い忘れてたけどフユウってジバクに比べて短命だぞ。足付きならともかく、普通の幽霊でそこら辺回ったら生気吸いすぎて数日で昇天するからな」


DQN幽霊「えっ」

DQN幽霊「...普通の幽霊が足付きになったとかそういう前例ってないんスか?」


幼女幽霊「ないね。死んだ時点で全部のパラメーターが決定してるみたいなもんだもん」

幼女幽霊「そもそも幽霊になれる時点でお前は恵まれてるんだからな?それ以上望むのはさすがに贅沢が過ぎるってやつだよ」

DQN幽霊「まあそうっスけど...何か幽霊にも人間と同じで"個体差"ってやつがあるのが気になるんスよね。生前に霊感があったとかそういうのも関係してるんスかね」

幼女幽霊「私個人の感想としてはないと思うよ。ただ例外はあるかもね」

幼女幽霊「例えば...生前はとんでもない超能力者だったとか、常軌を逸した怨念を残して死んで行ったとか、そういう異常な形を残して死んだ人は強力な死者になるかも」

幼女幽霊「まっ、知り合いにもそんな感じの人はいないしあくまで想像上の話だけどねー」

DQN幽霊「...何か色んな話聞いたんスけど、結局先輩が知る中で一番強い人って誰なんスか?幽霊っぽいのかそれとも怪物っぽいとか」

幼女幽霊「一番強いかぁ...私、と言いたいところだけど単純にこれは誰にも倒せないだろうなって人は...やっぱりメ」


ピー


幼女幽霊「ん?客か、最近多いなほんと」

DQN幽霊「本当多いっスね。ここ毎日じゃないっスか」




『..........。』ポツーン




幼女幽霊「な、なんだこいつ...何か眼帯してる女がいるぞ」

DQN幽霊「伊達政宗みたいなやつっスね」

幼女幽霊「これ多分あれだ。厨二だ、俺の眼の黒龍が疼くってやつだ」

DQN幽霊「ここまで典型的なやつは初めて見るっスね...服もよく見ると手袋してたり、ファッションセンスがちょっとおかしいっス」

幼女幽霊「あの年代ってのはそういうのに嵌まりやすいからね~...見た目的に中学生か高校生だろうし」

DQN幽霊「先輩にもそういう時期ってあったんスか?」

幼女幽霊「いや私は元々特別だし、サイコキネシスもシャドーボールも撃てるし」



『...』シュッシュッ

『...』スタスタ




幼女幽霊「おっ、入ってきたな」

DQN幽霊「何か入る前に変な動きしてなかったスか?十字を切る的な」

幼女幽霊「はは~ん...あいつがどういうタイプか分かってきたぞ」

幼女幽霊「あれはオカルトにハマった典型的な思春期乙女だな...占いとかをマジで信じてて、放課後はローブを被って水晶を前に変な呪文とかを唱えてるやつだ」

幼女幽霊「あーいうタイプは自分には霊感があると思い込んでるんだよ。学校ではムカつくやつに対して呪ってやるとか思ってる危ないやつだ」

幼女幽霊「どうせ神に選ばれた私が幽霊を退治してやるとか軽い気持ち来たんじゃないの?あ~やだやだ。見てるこっちが恥ずかしいね」

DQN幽霊「何もそこまで言わなくても...」




『...』ガサゴソ




DQN幽霊「ん?あれって眼帯取ろうとしてないっスか?」

幼女幽霊「おっ?来ちゃう来ちゃう?真の力解放くるーーー?」

カパッ




DQN幽霊「おぉ...顔は意外と可愛いっスね」

幼女幽霊「下手に美人だから勘違いするんだよ。もっと悲惨なブスなら身の程を知って...」





ゾクッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!





DQN幽霊「!?」ビクッ

幼女幽霊「ひぃっ!?」ビクッ


DQN幽霊「な、なんだ今の、全身が震えるような感覚が...こんなの幽霊になって初めてだ」

DQN幽霊「せ、先輩?先輩も何か感じて...」クルッ


幼女幽霊「な、なに今の...震えが止まらな、な...」ブルブル

DQN幽霊(先輩が小鹿みたいに震えてる...こんなの初めて見たぞ...)

DQN幽霊「せ、先輩...何なんスか今のは...」


幼女幽霊「わ、分からん...私も初めての経験...あいつの目を見た瞬間に、全身から警戒信号みたいなのが出た...」ブルブル

幼女幽霊「た、例えるなら蛇に睨まれたカエル...ライオンを前にしたウサギ、魚と猫!」


DQN幽霊「...せ、先輩。前に本当の霊能力者にあったら寒気があるって言ってましたよね?まさかこれって」


幼女幽霊「あ、あいつが...本物の霊能力者...?」






霊能少女『...』

今日はここまで
某スマホゲーブームを見て続編が出なかったあのゲーム思い出した人はそこそこ居たはず...

DQN幽霊「ど、どうするんスか先輩!モノホン来ましたよ!何か対策とかないんスか!?」

幼女幽霊「あ、あるわけないだろ!私そういうのは信じてないって言っただろ!逆にこっちがどうすればいいか聞きたいわ!」




霊能少女『...』スタスタ


ザーーー...

ザーーー...




DQN幽霊「あいつが通ったところのカメラの映像が乱れてる...」

幼女幽霊「マ、マジでやばいやつじゃん...どうすればいいの...」

DQN幽霊「先輩...ちょっとマジのガチでヤバいっスよ。何か対抗策を考えないとあいつに見つかるっス」

幼女幽霊「わ、分かってるわい!ちょっと考えさせてよ!」

幼女幽霊「...よ、よし!DQN!お前ちょっと偵察してこい!」

DQN幽霊「はぁっ!?お、俺が行くんスか!?」

幼女幽霊「私がいきなり登場して、やられたらどうするんだよ!まずはお前があいつの力量を計ってこい!」

DQN幽霊「む、無理っスよ!絶対に嫌っス!殺されますって!!!!」

幼女幽霊「お前元々死んでんだろうが!!もしかしたら向こうは友好的な目的かもしれんだろ!」

DQN幽霊「この流れでそれは絶対にないっスよ!!!!どうみても向こうは化け物退治に来た流れじゃないっスか!!!!」



幼女幽霊「うるせえええええええええ!!!!バケモンにはバケモンをぶつけんだよ!いいから行ってこい!危なくなったら助けてやるから!」

DQN幽霊「!?」シュンッ

シュンッ


DQN幽霊「こ、ここは...病院の二階?」キョロキョロ

DQN幽霊「先輩ズルいっスよ!!!!俺にワープ使いやがったな!!」


(危なくなったら助けてやるって言ってんだろうが!あいつは今、一階の部屋を回ってるところだ!)

(そこで待ち伏せしてあいつを攻撃しろ!オーブちゃんの力も貸してやるから!)


DQN幽霊「自分がやればいいじゃないっスかぁ!少しは先輩らしい行動見せろよぉ!!!!」


(上に立つ者ってのはな、大抵は安全圏から高みの見物してるものなんだよ)


DQN幽霊「ブッ殺すぞ!!!!!!」

(あっ!もう一階を探し終わったのか二階に上がろうとしてんぞ!準備しろ!)

DQN幽霊「はやっ!?ちょっ...まだ心の準備が」



コツッ...コツッ...



DQN幽霊「お、音がゆっくり聞こえ、えて...」ブルブル

(お前...幽霊のくせにアイドルみたいな情けない声出すなよ。こっちが情けなくなるわ)

DQN幽霊「ちょっと黙っててくれないっスかねぇ!!!!!マジでムカつくから!!!!!」


DQN幽霊「こ、こうなったらやってやる!俺だって幽霊なんだ、人を気絶させるくらい朝飯前...」

DQN幽霊「でもどうやってやるか...?ただの幽霊の俺が霊能力者のあいつに勝てるとは考えにくい...人間...霊能力...女...はっ!?」ピコーン

DQN幽霊「オーブ、お前達って物を動かすくらいの力はあるんだよな?」

オーブ『』コクコクッ

DQN幽霊「...そうか、作戦は決まったぞ」

DQN幽霊「よしオーブ...階段からあいつが出てきたら、胸をおもいっきり揉んでやれ」


オーブ『...』

(お、お前...さすがに引くわ)


DQN幽霊「俺だって好きでやるわけじゃないっスよ!?これでも考え抜かれた作戦なんスからね!!!!」

DQN幽霊「ほらぁ!女の子って胸揉まれると怯むって言うじゃないっスかぁ!?性別の弱点を突いた意表な作戦というか何というか!」

(いやさすがの私でもそれはないわ...男だったら金的狙うくらいありえないだろ)

DQN幽霊「き、金的だって確実に勝利を掴むためならやむを得ないっスよ!!!!俺は生き残るための最善の策を...」


(本心は?)

DQN幽霊「いや別に本心も糞も...」

(本心は??)

DQN幽霊「...」

(本心は???)


DQN幽霊「ちょ、ちょっとだけ期待してるっス...」


(...ないわぁ)


DQN幽霊「元々はアンタのせいだろがあああああああああっ!!!!!!!!!!!」ドンガラガッシャーン

コツッ...コツッ...


DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊(もうこんなに音が近く...?恐らくあと数段で姿が見えるッ!)

(あ、そろそろ来るぞ。心の準備しとけよ)

DQN幽霊「言うのが遅いわ!オーブ、作戦は分かったな!すぐ襲えるように待機だ!」

オーブ『』シブシブ


(オーブちゃん、めっちゃ嫌な顔してるな。気持ちは分かる)

DQN幽霊(顔ないじゃん)




コツンッ

霊能少女「...」ユラッ




DQN幽霊「見えたッ!行けええええええ!!!!!」

オーブ『』ヒュン



ヒュンヒュンヒュン!!!!!!!!




霊能少女「...」ピクッ




DQN幽霊(よっしゃ!完全に狙いは捕らえた!後はやつが怯んだ隙に...)






霊能少女「...玉響か。邪魔くさい」ピンッ

オーブ『』スゥ


DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊(なっ...あ、あいつに向かって行ったオーブ達が...消えた?)




霊能少女「...ん?」

霊能少女「ふぅ、やっと見つけた。まずひとり」スッ




DQN幽霊(や、やっぱり俺のことが見えているのか...ハハ、やべぇな。動けねぇぞ)

DQN幽霊(あいつが手に持ってるのはなんだ?水が入ったボトル...)




霊能少女「...」クルクル

霊能少女「...んっ」キュポンッ

ゾクッッッッッッッ!!!!!!!!!!



DQN幽霊(この感覚ッ...あの水はやばい!!!!)ブルッ

DQN幽霊(間違いなく、かけられたら...死ぬなあれ。まるで目の前で刃物を見せびらかされてるような気分だ)

DQN幽霊(あーくそ...恐怖で一歩も動けねぇよ。俺...ここで死ぬのか)

DQN幽霊(いや元々死んでるけど)




霊能少女「...」パシャッ




DQN幽霊(時間が...ゆっくり進んで行くみたいだな、これが走馬灯ってやつか)

DQN幽霊(考えて見れば俺の人生、まさにパシりの人生だったな...人間の時はあの糞野郎にヘコヘコして、死んでもわけの分からん幼女の手下にされるし)

DQN幽霊(しかも最後はそのパシりが原因で終わるって...ほんと笑えねぇわ)

DQN幽霊(...まあでも)

DQN幽霊(先輩のことはそこまで嫌いじゃなかったけどな...)





シュンッ





ピチャッ



霊能少女「...?」クルッ

霊能少女「消えた?さっきのやつは足がないただの霊だったし、そんな力が使えるわけがない...」

霊能少女「今回のターゲットはふたり、ということは...」

霊能少女「...もうひとりが空間を裂ける力を持ってるってことになる、か」


霊能少女「めんどくさ、前情報と違うんだけど」

シュンッ


幼女幽霊「クソが...ほんとあいつ何者だよ。オーブちゃんを簡単に消すなんて」

幼女幽霊「問題はあの持ってた水だな...あれはマジでやばいぞ。カメラ越しからでもヤバさがビンビン伝わって来た」



DQN幽霊「...」ギュッ

DQN幽霊「あれ?」キョロキョロ



幼女幽霊「あいつはゴーストバスターズか!地獄先生か!ウィンチェスター兄弟か!鬼太郎か!あーもう...どうすればいいんだよっ!!!!」


DQN幽霊「えっ、先輩?」

DQN幽霊「な、なんで俺助かって...」


幼女幽霊「はぁっ!?危なくなったら助けるって言っただろうが!そんなことよりお前も対策考えろよ!」

DQN幽霊「あ、はい...う、うす」

DQN幽霊(す、すっかり忘れた...何か恥ずかしい)


幼女幽霊「さて、あのネオ様もどきをどうするか...異空間に閉じ込めても出てきそうだし、ならいっそのこと正面から...どっちにしてもリスク高そうだな」

DQN幽霊「...ネオって誰っスか」

幼女幽霊「お前マトリックスも見たことないのかよ!」


幼女幽霊「...とにかく、ここにいる限りは安全だから、今んところは籠城しかないな。いくらあいつでも生身がある人間だから地下にあるこの扉は破れないだろうし」

DQN幽霊「俺もそれに賛成っス。出来ればもう二度と直接会いたくない...」

幼女幽霊「オーブちゃんたちにも隠れるように指示出しとくか...あいつはオーブちゃん自体にはあんまり興味ないみたいだけど」

幼女幽霊「はぁ~...どうなるんだろこれから。最悪この病院から出て行かなくちゃダメかも...ここ気に入ってるんだけどなぁ」


DQN幽霊「...せ、先輩。ちょっとモニターの方見てくださいっス」

幼女幽霊「なに?何か動きあった?」

DQN幽霊「あ、あいつが...消えたっス」

幼女幽霊「はいっ!?」



幼女幽霊「ほ、本当にどこにも写ってない...死角はないはずなのに」

DQN幽霊「ど、どういうことっスか?姿が消えるなんてまるで透明人間っスよ」

幼女幽霊「わ、分かんない...もしかしたら病院から出たのかも」

DQN幽霊「さすがにそんな動きがあったらすぐ気付くっスよ...出入り口のセンサーにも反応はなかったスからね」

幼女幽霊「まるで神隠しだね、でもこのままいなくなってくれた方がいい...」ピクッ



幼女幽霊「あっ、やばい。来る」



DQN幽霊「せ、先輩?」




シュンッ





霊能少女「...」スタッ

霊能少女「...ここか」

DQN幽霊「なっ...!?」

DQN幽霊「な、なんであいつがこの部屋にっ!?ここの部屋は隠し扉になっててるんスよ!?」


幼女幽霊「...やられた。あいつ、私が通った"道"を使ってこっちに来やがった」





霊能少女「...やっぱり足付きか、これは後で料金上乗せしとかないと」





DQN幽霊「ど、どうするんスか先輩...もう逃げ場がないっスよ」

幼女幽霊「...まさか侵入されるとは思わなかったよ。ここの扉を開けるには病院に隠されてる、大鷲のメダルと狼のメダルが必要なのに」

DQN幽霊「ここそんな仕掛けだったんスか」

今日はここまで

幼女幽霊(...おいDQN、三秒後に上に飛べ。天井を透けてあいつから逃げるぞ)

DQN幽霊(このまま逃げるんスか!?)

幼女幽霊(私だって喧嘩を売られたまま尻尾巻いて逃げるのは嫌だけど、相手が相手だ。戦わないで済むならそれが一番いいよ)




霊能少女「...先に言っておくけど、逃がすつもりはさらさらない」ビチャッ

霊能少女「これでもう、アナタ達はこの部屋から出られなくなった。ワタシの侵入で即座に行動取らなかったのが命取り、ってやつ」




DQN幽霊「な、なんだあいつ...壁に水かけやがって。それに脱出できなくなったってどういう意味だよ」

幼女幽霊「...やばいな、これ」

幼女幽霊「見てみろ...部屋全体が何かの膜で覆われてる」


ムワッ


DQN幽霊「うわっ!?」

幼女幽霊「...先手を打たれたみたいだね。本当に痛いよこれは」




霊能少女「...これで逃げ道はなくなった」

霊能少女「あとは祓うだけ...おとなしくしてもらえれば、こっちも楽で助かる」




幼女幽霊「は、祓うって...お前私たちに何するつもりだよ!!!!!」




霊能少女「...分かりやすい言葉で言うと、消滅してもらう」

DQN幽霊「しょ、消滅って...」

幼女幽霊「わっかりやすい言葉だなおい...これであいつは敵ってことがはっきりしたぞ」




霊能少女「降伏をしてくれるなら、最後の時を過ごすための時間も与える。早く答えを聞かせてほしい」




幼女幽霊「...このまま逃がしてくれるって選択肢は?」




霊能少女「だめ、頼まれた仕事は手を抜かないのがワタシの流儀。アナタ達は今すぐ消滅するか、後で消滅するかの二択しかない」




幼女幽霊「仕事って...そんなの誰が頼んだんだよ!恨まれる見に覚えはないぞ!」

霊能少女「...本当に見に覚えがないって言える?」



幼女幽霊(...す、少しはあるかも)

DQN幽霊(あるわ...色々あるわ...)



霊能少女「ワタシに依頼をしてきたのはここで肝試しをした大学生。その日以来、不運な出来事が続いているらしい」

霊能少女「多分...それはただ本当に運が悪いだけなんだと思う。実際ナニかがとり憑いてる様子もなかったし」

霊能少女「でも、依頼をされたらそれを執行するのがワタシの仕事。その霊が悪霊でもそうでなくても、ワタシの前では全てが祓うべき対象」



幼女幽霊「な、なんだよそれ...じゃあ私たちはただの勘違いで殺されるって言うのか!?そんなの絶対おかしい!ただちょっと怖がらせただけなのに!」

DQN幽霊「そうだ!そうだ!」

霊能少女「...いや、アナタ達は罪を犯しているはず」

霊能少女「この病院付近の店では万引きが多発している。それも誰にも気付かれることはなく、まるで急に消えたかのように」

霊能少女「そしてこの部屋にある物品の数々...これは立派な窃盗で犯罪」



幼女幽霊「うっ...そ、それは...」



霊能少女「ただでさえ不況な時代。ちょっと盗んだだけで何も影響は出ないと思っているんだろうけど、それは大きな間違い」

霊能少女「社会というものはとても繊細なもの。少しでも歯車が狂えば、それで怒られたり、責任を取らされる人もいる」

霊能少女「...記憶を消して、病院での出来事を隠ぺいしたのは正解だった。でも本人だけの記憶を改変しても全てがなくなるとは限らない」

霊能少女「アナタがとるべき行動は記憶を消して、また病院内を探らせることだった。そして盗みも、盗んだという証拠が残らないように工夫するべき」

霊能少女「そうすれば依頼者も何も違和感を持たずに、病院でのことを思い出すこともなく、ワタシもここには来るはずがなかったのに」



幼女幽霊「ぐ、ぐぎぎ...」

DQN幽霊「...言われてみるとよくこれまでバレてなかったな」



霊能少女「そろそろ答えを聞かせてほしい。抵抗か、降伏か」

霊能少女「こちらもさっさと終わらせたい」



幼女幽霊「...」

DQN幽霊「せ、先輩...」

幼女幽霊「抵抗か降伏か、ねぇ...」

幼女幽霊「...そんなの聞かれなくても決まってるよ」


幼女幽霊「逃亡!ここでお前を倒して、私たちは逃げさせてもらう!」

幼女幽霊「DQN!怪我をしたくなかったら下がってろよ!」グッ

DQN幽霊「う、うす!先輩頑張ってくださいっス!」



霊能少女「そう...交渉決裂か。よくあることだから気にしてない」

霊能少女「ならばこちらも手加減はしない、全力全霊で行かせてもらう」スッ


キュポンッ


霊能少女「んっ...んっ...」ゴクゴク

DQN幽霊(あいつ...俺にかけたあの水を飲んでいるのか?何をするつもりなんだ...)



霊能少女「...ふぅ、やっぱまずいなこれ」ポイッ

霊能少女「もう一度...最後のチャンスをあげる。本当にいいの?ワタシとやり合っても」



幼女幽霊「それはこっちの台詞だ!見た目で判断するなよ!私は...お前よりずっと強いっ!!!!!」フワァ



霊能少女「...その判断、愚かとは言わない。むしろ好感が持てる」

霊能少女「だけど相手が悪かった。足付きでもアナタはワタシに勝てない」


霊能少女(...そういえば今日の道具は最低限のやつしか持ってきてなかったっけ...うん、大丈夫なはず。多分)

霊能少女「.........ッ!」ダッ



幼女幽霊(来るか...!でも残念だったな。私が霊体でいる以上は物理攻撃は効かない!)

幼女幽霊(注意するべきはあの水!あれにさえ当たらなければ...)

幼女幽霊(...ん?待てよ?あいつってさっきあの水飲んでたよな?)


幼女幽霊(まさか)



霊能少女「......っ!」ブンッ

幼女幽霊「うおっ!?」シュンッ


スッ...


幼女幽霊(や、やっぱり...かすったぞ。今、確かに)

幼女幽霊(私に触れられる...あの水飲んだせいなのか?)

幼女幽霊(...ダメだな。あいつに念力を送っても効いてる様子はない。遠隔攻撃は無効ってことか)

幼女幽霊(ならここはワープを使いながら慎重に攻めるか。こっちだって相手に触れさえすれば戦闘不能にする方法はいくつかある、つまりこの勝負は...)



霊能少女(先に触られた方が負けの鬼ごっこ...か。めんどくさいな)




シュンッ



霊能少女(さっそく瞬間移動...でも素人が飛んで攻撃してくる場所なんて大体は決まってる)

霊能少女(狙ってくるのは死角の背後、つまり消えた瞬間にそこに攻撃合わせれば...)グイッ



幼女幽霊「うおおおおっ!!!!!?」サッ



霊能少女(...微妙にリーチが足りなかったか 。それでも反射神経はかなりいい方だけど)

幼女幽霊(な、なんであいつ私がワープする位置が分かったんだ!DQN!何か後ろから見えたかっ!?)


DQN幽霊(...あいつかなり喧嘩慣れしてるっスよ。先輩が消えた瞬間にもう蹴りを入れる体制に入ってました)

DQN幽霊(多分...今までも先輩と似たようなやつらと戦ってきて、その経験から後ろに来ることが分かってたと思うっス)


幼女幽霊(け、経験の差か...やばいな、こっちは一回も喧嘩なんてしたことないぞ)

幼女幽霊(アクション映画はよく見てるんだけど)


DQN幽霊(...俺も一応は元不良、喧嘩の数ならそこそこ経験はあるっス)

DQN幽霊(ちょっとした作戦があるんスけど...いいっスか?)

幼女幽霊「...」



霊能少女(さっきから突っ立ったまま、作戦でも考えてる?)

霊能少女(ならいい、こちらから攻めさせてもらう)ダッ



幼女幽霊「...よし!」シュンッ



霊能少女(また消えた...二度目の予測はちょっと難しくなってくる)

霊能少女(でも今の私ならあいつが現れた瞬間に、即座にカウンターで返り討ちにすることも可能...さてどこだ)



シュンッ



霊能少女(来たっ...また真後ろドンピシャ!)クルッ

机『』ビューン


霊能少女「ぐっ!?」ドンッ

霊能少女(な、なんだこれは...机?)



シュンッ シュンッ シュンッ シュンッ



霊能少女(...まずい、家具をポルターガイストで飛ばして来た。避けるのは無理っ)




ガラガラガラガラガラ!!!!!!!!




幼女幽霊「よっしゃ!やっぱりあいつの弱点は物理攻撃だったか!これなら近付かなくても、物を投げてるだけで勝てるぞ!」

DQN幽霊「無駄にこの部屋に色々あって助かったスね!いくら霊能力が使えてもこの物量なら押しきれるっスよ!」

幼女幽霊「あとはこのまま動けなくなるまでぶつけるだけだな!この結界みたいなのも、私の力なら時間をかければ壊せそうだし!」

DQN幽霊「何かあんまり大したことなかったスね!もっと大変なことになるかと思ってたっスよ!」

幼女幽霊「まっ、あいつの想像以上に私が強かったってことだな!HAHAHAHAHAHHAHAHA!」



ガラッ



幼女幽霊「」ビクッ

DQN幽霊「」ビクッ




ガラッ...ガラッ...


霊能少女「.........っ!」ヨロッ


霊能少女(最初の一発を...まともに食らったせいで、動けなかった)

霊能少女(でも向こうの作戦はもう分かった...次の攻撃で必ずひとり仕留める)

幼女幽霊「ま、まだ動いてくるか。これで終わりとは思ってなかったけど」

DQN幽霊「年齢のわりにタフっスね...普通なら打撲とかで動けなくなってるのに)

幼女幽霊「まあいいや、これで頭を綺麗に打って気絶してもらう!!!」グッ



ビューン!!!!



霊能少女「...」パラッ


ヒュゥゥ...

ガタンッ



幼女幽霊「あ、あれ?」

DQN幽霊「先輩が投げたダンベルの勢いが...急に落ちて、外れた?」

霊能少女「.........ッッ!!!」ダッ



DQN幽霊「うわ来たっ!?先輩早く投げて!投げて!」

幼女幽霊「わ、分かっとるわい!!」



シュンッ シュンッ シュンッ シュンッ



霊能少女「...ッ!!!」パラッ



ガタッ ガタッ ガタッ ガタッ




DQN幽霊「な、何ィ!?あいつに当たる前に落ちてるぞ!?どうなってんだ!」

幼女幽霊「あ、あいつ、何かを振りかけてる。あの白っぽい粉は...まさか塩っ!?」

霊能少女(これは厄除けの塩...霊を直接祓う効果はないけど、やつらの力を絶ち切ることができる)

霊能少女(こっちもポルターガイスト対策はちゃんとしてる。あんまり舐めないでほしい)




幼女幽霊「ダ、ダメだ!効かない!全部あいつに当たる前に落ちる!」

DQN幽霊「もう一度、落ちた物を一斉に動かしたらどうスか!?全方位の攻撃ならあいつも対処できないっスよ!」

幼女幽霊「それがあいつに落とされたやつは私が力を送っても反応しないんだよっ!まるで糸が切れたみたいにビクともしない!」


霊能少女「...もらった」



DQN幽霊「せ、先輩後ろ!あいつがもうすぐ後ろに!!!」


幼女幽霊「うそっ!?」シュンッ

スカッ


霊能少女「...」クルッ




幼女幽霊「マ、マジだった。あれは危なかったな」

幼女幽霊「...ん?あっ!DQN!!!逃げろ!!!!」




DQN幽霊「えっ...?」

霊能少女「......ッ!!」ブンッ




幼女幽霊(そ、そうだ...あいつの狙いは私だけじゃない。私とDQNの二人!あいつは私を遠ざけて、その一瞬でDQNを殺るつもりだ!)



スルッ


霊能少女「...っ!?」

DQN幽霊(へ、へへっ...残念だったな!俺は避けることは得意なんだ!女子のパンチくらいなら、こんな至近距離でもギリギリ見切るぐらいは出来る!)


霊能少女(...外した?足がないから油断してたけど、あの霊も結構やる。まさかこの距離で避けるなんて)

霊能少女(...でもこれでチェックメイト)スッ




幼女幽霊「...!!!!!!」

幼女幽霊「ばかっ!そのパンチは囮だ!!!!あいつもう一本あの水を持ってるぞ!!!!」




DQN幽霊「っ...!?」


霊能少女(そう、この距離なら瞬間移動を使えないアナタは避けられない)

霊能少女(さっきみたいにもうひとりの力で救出しようにも、他人に瞬間移動を使うには意識を向ける為、一秒ほどのラグがある。つまりこの短時間に助かるすべはない)

霊能少女(これでひとり...仕留めた)パシャッ

DQN幽霊(あっ駄目だこれ、今度こそ終わった)

DQN幽霊(あー...二度目の走馬灯かよ...さすがに一回やりゃ十分だろ。もう思い返すこともねぇよ)



『...お前、何してんだ?こんなところで』

『ふーん、バイクで事故って死んだのか。何か見た目通りの死に方だな』


DQN幽霊(うっせえよ)


『さっきからお前、タメ口効いてるけどさぁ...私の方が幽霊として先輩なんだよ?普通、敬語じゃないの敬語』

『ということで今日からお前は私の奴隷ってことだな!よし、さっそくDVD借りてこい!』


DQN幽霊(やだよ)

『プレデター借りてこいって言ったよなぁ!?何コレ、新プレデター襲来って!?絶対違うやつじゃん!使えないな!』

『DQNってゾンビ映画だと何が好き?えっ、バイオハザード?あーはいはいもういいわ』


DQN幽霊(知らねぇよ)


『おー...やっとそのステージクリアしたのか。難しかっただろそこ、頑張ったな』

『見て!見て!ダイオウグソクムシの等身大フィギュア作ってみた!すごいだろこれ!』



DQN幽霊(.........)

DQN幽霊(もう、あの人と馬鹿やったり、喧嘩したり、笑ったりすることは出来ないんだな)

DQN幽霊(...今まで世話になりました、俺は先に逝かせてもらいます。先輩)



ビチャッ!!!!!

霊能少女「!?」




ピチャッ...ピチャッ...




霊能少女(あ、ありえない...こんなことが...)




ピチャッ...ピチャッ...




DQN幽霊「...な、なんで...なんでアンタがそこにいるんだ」




ピチャッ...ピチャッ...




幼女幽霊「うぐぁっ...ガッ...!」ビシャビシャ




DQN幽霊「せ、先輩...」

今日はここまで
そろそろ終わりが見えてきました

霊能少女(まさか...自分を飛ばして盾になるなんて...それもただの霊を足付きが庇った?)

霊能少女(驚いた...今までこんな光景は見たことなかった。なぜ...)




DQN幽霊「な、何してるんスか先輩...なんで...」

幼女幽霊「ば、ばかやろっ...お前が危なくなったから助けてやったんだろが...」クラッ

DQN幽霊「せ、先輩っ!!!!」



幼女幽霊(あー...痛いというか何というか、全身が割れて粉々になりそうな感覚)

幼女幽霊(こ、このままだと私でも本格的にまずいかも...死ぬのかな、これって)


幼女幽霊(...いや、まだ策はある)

幼女幽霊「お、おい...DQN」

DQN幽霊「せ、先輩?大丈夫っスよね!?死んだりなんかしませんよね!?」

幼女幽霊「ア、アホが...私がそんな簡単に死ぬわけないだろうが、かなり効いたけどな」


幼女幽霊「...お前はここから逃げろ。私が出口を作ってやる」

DQN幽霊「なっ...!?」




霊能少女(...あの足付き、ワタシの水を浴びてもまだ消滅してないのか。これも初めての経験...)

霊能少女(でもこの状況は正直おいしい。厄介な足付きにあれほどのダメージを与えたんだ、このまま終わらせて...)スッ


ピキッ...


霊能少女「これは...」

DQN幽霊「に、逃げろってどういうことっスか!!!!俺はまだ...!」

幼女幽霊「あそこの裏に猫ドアがあっただろ。私の勘だと...あいつの結界は密閉された空間だから効果があるんだ」

幼女幽霊「ちょっとだけ、あそこの猫ドアの近くに衝撃を与えてある。お前はそこを通って逃げろ」

DQN幽霊「なら先輩も逃げましょうよ!重傷じゃないっスか!」

幼女幽霊「...いやダメだ。二人で逃げたら確実にやつは追ってくる、ここで何とかしないと」

幼女幽霊「足付きで手負いの私が残ればお前が逃げても、やつは優先的に私を狙ってくるはずだからな」


DQN幽霊「ふ、ふざけるのもいい加減にしろよ!!!!!先輩を置いてそんなこと出来るわけないじゃねえか!!!!」


幼女幽霊「...はっきり言うぞ、お前は邪魔だ。これ以上私の足を引っ張りたいのか」

幼女幽霊「今、この状況だってお前があいつに狙われたのが原因なんだからな。自分の力ぐらい自覚しろ雑魚」

DQN幽霊「そ、それは...!」

幼女幽霊「...安心しなよ、私だって勝機がないわけじゃない。まだ最後の切り札が残ってるんだから」

幼女幽霊「この前、もし病院が建て壊されたらどこに避難するか話したことがあっただろ?そこで待ってて、あいつを倒したら私も行く」

DQN幽霊「...ほ、本当に勝てるんスよね?信じていいっスよね?」

幼女幽霊「うん、大丈夫。ところで早く決めてくれない?あいつを異空間の壁で足止めしてるんだけど、もうすぐ壊されそうだから」




霊能少女「...」ブツブツ

DQN幽霊「...分かりました。ここは先輩に従うっス」

幼女幽霊「よし、じゃあ行け。あと10秒もしないうちに壊されるから」

DQN幽霊「先輩...俺は今回の借りは一生かけて返すつもりっス」

幼女幽霊「一生って、もう死んでるから今は二生目じゃないの?」

DQN幽霊「だから...死なないでください。俺、信じてますから」

幼女幽霊「...ん、誰も死ぬつもりなんてないよ、ばーか」



DQN幽霊「ご武運を...ってやつっスね。それじゃまた」スゥ



幼女幽霊「...またね」

幼女幽霊「くっ」ピリッ

幼女幽霊(は、はは...あの水の効果、相当やばいなこれ。多分ワープはもう使えないし、次浴びたらアウトだぞこりゃ)



パリンッ



霊能少女「やっと破れた。ん?もうひとりは...」キョロキョロ



幼女幽霊「あいつならお前がモタモタしてる間に逃がしたぞ、ウスノロ」



霊能少女「...そう」

霊能少女(ワタシの水の結界を破った...いやそれよりも気になるのは)

霊能少女(自分を残してまで、あの霊を逃がす動機...いや、それはもう分かってるはずだ。認めたくないんだ...その事実をワタシが)

霊能少女(この霊の...気高い精神を)

霊能少女「...ワタシは、アナタを祓う。それだけは譲れない」

霊能少女「ただもうひとりの方は...このまま所在が分からなくなって、見つからないかも」



幼女幽霊「...あっそ、私はあいつのことなんて別にどうでもいいけどね」

幼女幽霊「そうだ、一つ聞きたいことがあるんだけど」



霊能少女「...なに?」



幼女幽霊「お前歳いくつ?見た目は中房っぽいけど」



霊能少女「...今年で16になる」

幼女幽霊「ほーん、16かぁ...」

幼女幽霊「...やっぱり私より年下じゃねえか!!!敬語使えよこのガキィ!!!!」



霊能少女「...年下?その見た目で?」



幼女幽霊「私はこれでも17だっ!!!!お前より一個上じゃゴラアアアアアアアッッ!!!!」



霊能少女「じゅ、じゅうななっ...!?」



ボンッ

長髪白装束娘「ほらどうだ!これが私の肉体だ!参ったか!」スゥ



霊能少女「...胸は私の方が大きい」



長髪白装束娘「...ぶっ殺す!!!!」

長髪白装束娘(DQNに言った最後の切り札、あの発言自体は本当だ。あれならあいつを倒せるかもしれない)

長髪白装束娘(ただ今の状態で出せるかどうか、アレは私自身にもリスクがある...)



霊能少女(話の流れで肉体を出して来たけど、こいつは実体化も出来るのか)

霊能少女(確かに、幽霊なら霊体よりは実体の方がダメージは少ない。でも私の水なら次はない...それは浴びた本人も分かってるはず)

霊能少女(なら今、肉体を出してきた理由は...何か仕掛けてくるか)



長髪白装束娘(この勝負...)

霊能少女(...次の攻防で勝者が決まる)

長髪白装束娘「...やるか」



霊能少女(今日持ってきたボトルは4本、そして現在は2本を消化)

霊能少女(残り2本で対処できるか...?足付きがいると分かっていればもう少しまともな道具もあったのに)



シュンッ



霊能少女(消えたっ...また瞬間移動か!次はどこから...)キョロキョロ



シーーーーーン



霊能少女「...どこに行った?出てこない」

霊能少女(...もう消えてから20秒は経った)

霊能少女(瞬間移動は"道"を通るから、現れるまで時間がかかることがある。でもそれでも数秒が限度、ここまで長いのは聞いたことがない)

霊能少女(部屋から脱出した...とは考えられない。なら最初から戦う意味はないし、するチャンスはいくらでもあった)


霊能少女(ということは...あいつは必ず現れる。それも何か"変化"をしてるはずだ)

霊能少女(覚悟ってやつ、決めてた方がいいかな)



スゥゥゥ...



霊能少女「...っ!来るか」

長髪白装束娘「」バッ



霊能少女(出てきた...というより生えたきた?どっちでもいいか)

霊能少女(見た目は...何も変わってない。すると何か能力を出してくるか)



長髪白装束娘「」ダッ



霊能少女(真正面から向かってくる...か。今までしてこなかったパターン、警戒をして下がった方がいい?)

霊能少女(否!こっちも真正面から迎え撃つ!)ダッ



長髪白装束娘「」ブンッ



霊能少女(単調なパンチ、これなら避けられる)スッ

霊能少女(そしてこれで...終わり!)パシャッ


長髪白装束娘「」ビシャッ


スゥゥゥ...


霊能少女「...消えたか、最後は呆気なかったな」

霊能少女「さて残りはあとひとり、逃げた方向は恐らく北」クルッ

霊能少女「.........」

霊能少女「...追うのは無理か。ワタシはあまり探知が得意じゃないし、この町は広い」

霊能少女「それにただの霊なら、ワタシが手を下さなくとも近いうちに消滅するはず...帰るか」



ガシッ



霊能少女「!?」バッ


長髪白装束娘「」ギチチ

霊能少女「...!?」ググッ

霊能少女(な、なにこれ...なんで?消滅させたはずなのに!)


霊能少女「くっ!」パシャッ

長髪白装束娘「」ビチャッ


スゥゥゥ...


霊能少女(この感覚、幻じゃない。確かに本物で現実だ)

霊能少女(この能力は...分裂?)



長髪白装束娘「」スゥ

長髪白装束娘「」スゥ

長髪白装束娘「」スゥ



霊能少女(...そういうこと、分裂だけじゃなくて"増殖"ね。ちょっとまずいかも)

霊能少女(というか能力盛りすぎじゃない?瞬間移動に念力、そして空間操作に分裂と増殖って...何でもありか)

今日はここまで
次の更新は明後日になります
ここから書き溜めがないので微妙に届くか分かりませんが次で最後の更新になると思います

長髪白装束娘「」ブンッ


霊能少女(単体の戦闘能力は低い。これならワタシでも十分対応できるレベル)

霊能少女(でも、これが大量に来るとなると...)チラッ



長髪白装束娘「」スゥ

長髪白装束娘「」ヌルッ

長髪白装束娘「」ドサッ


長髪白装束娘「」ビチャッ


スゥゥゥ...


霊能少女(...ひとり倒してる間にまた新しいやつが出てくる。このままだとキリがない)

霊能少女(本体、司令塔的な存在は近くに見当たらない...恐らくこの力は魂を分割して、それに肉体を生成し続けてる)

霊能少女(つまり本体は存在しない...しいて言うなら最後まで残ったやつが本体か)

霊能少女(文字通り身を削る能力...向こうも後がないと見た)

霊能少女(...まあ後がないのはこっちも同じだけど)

長髪白装束娘「」ガバッ

霊能少女「邪魔ぁ!」パシャッ


スゥゥゥ...


霊能少女(もう何体倒した?一向に数が減ってる気がしない)

霊能少女(いやむしろ増えてる...このままだと部屋がこいつで埋まるぞ)


長髪白装束娘「」ダッ

長髪白装束娘「」ダッ


霊能少女(水を最小限に節約しても、この様子だとワタシの方が先に弾が尽きる)パシャッ


スゥゥゥ...


霊能少女(...かなりまずい状況かも)

霊能少女(...ワタシに残された選択肢は二つ)

霊能少女(一つは戦闘を続ける。ただ相手の増殖スピードを考えると、このままだとじり貧で負ける可能性大)

霊能少女(もう一つは一か八か、残ってる水全部を使って術式を組み直し、やつらを殲滅する)

霊能少女(ただこの方法はかなりリスクがある...まずやつらを最大までここに閉じ込めて発動する必要がある。それまでは持久戦、ワタシの体力が持つかどうか)

霊能少女(それに、もし殲滅出来なかったら...もう打つ手がない。逃げるしか出来なくなる)

霊能少女(向こうが無事に逃がしてくれるわけないと思うけど)


霊能少女(...やっぱり賭けるしかないか。そうと決まったらまず準備だ)

霊能少女(術式を組み換えるための工程は三つ、最初に部屋の結界を解く...でもこれは後回し)

霊能少女(先に部屋の四隅に塩を盛る。やつらが溢れる前にさっさと終わらせないと)


長髪白装束娘「」バッ


霊能少女「くっ...!」サッ

ゲシッ

長髪白装束娘「」バタッ


霊能少女(もう水は無駄遣い出来ない、これからは体術でこいつらをやり過ごすしかない)

霊能少女(いくら水を飲んで、身体が軽くなってると言っても限界がある。なるべく避けて体力を温存しないと)

霊能少女(...あんまり飛んだり跳ねたりするの得意じゃないんだけどな。そういうのは"狩人"の仕事なのに)



長髪白装束娘「」ジー

............................................................
................................................


霊能少女「はぁっ!」ブンッ



長髪白装束娘「」ゴンッ

長髪白装束娘「」バタッ

長髪白装束娘「」スクッ



霊能少女(...やっぱり物を投げてもあんまり効果ないか。まだ殴ったり蹴ったりした方がダメージあるな)

霊能少女(でもこれで盛り塩は最後...あとは限界まで、ただひたすら逃げるだけ)パラッ




長髪白装束娘「「「「「「 」」」」」」ワラワラ




霊能少女(...まるでゾンビの大群。見てるだけで息苦しくなってきた)

長髪白装束娘「」ダダダッ

長髪白装束娘「」ダダダッ

長髪白装束娘「」ダダダッ



霊能少女(この大群で来られるとさすがに厳しい...耐えられるとしても数分がいいところか)



長髪白装束娘「」スゥ

長髪白装束娘「」ヌルッ

長髪白装束娘「」バタッ



霊能少女(そしてまだ増殖は続いている...勝てるビジョンが見つからなくなってきたんだけど)


長髪白装束娘「」ガシッ


霊能少女「!?」ビクッ

霊能少女(なっ...下から生えてきたやつに捕まれた!?)

霊能少女「くっ...!離せ!」ゲシッ

長髪白装束娘「」パッ



長髪白装束娘「「「「 」」」」ドドドド



霊能少女(しまった...!一瞬気を取られてしまった。このままだと囲まれる!)ダッ

ダッ

ダッ

ッターン...


霊能少女(壁を登って...蹴った反動でやつらの山を飛び越える!これでまだ逃げられっ...)

ガシッ

長髪白装束娘「」グイッ


霊能少女(なっ!?助走が足りなかったか!また足をっ...!)

ビターーーン!!!!!!


霊能少女「がっ!?」ゴツンッ

霊能少女(あ、頭から落ちた...クラクラする)


ガシッ ガシッ


霊能少女「...っ!」クルッ


長髪白装束娘「」ズルズル

長髪白装束娘「」ワラワラ


霊能少女(...ダメだな、もう逃げられない。ここまでか)

霊能少女(ちょっと早いけど発動させるしかない)


霊能少女「...解」スッ


霊能少女(結界を解いて...新しく水の入ったボトルを投げる!)ポイッ

スゥー...

パリンッ


霊能少女(これであとは祈るだけ...疲れた)



シュウウウウウウウウ!!!!!!!!



長髪白装束娘「...!?」ビクッ

長髪白装束娘「...!」ガクガクッ

長髪白装束娘「...」ビクンビクン



スゥゥゥ...スゥゥゥ...



霊能少女「...全員消えた?」キョロキョロ

霊能少女「新しく湧いてくる様子はない...これって」

霊能少女「ワタシの勝ち、ってことでいい?」

ズズズズズズ...



長髪白装束娘「」ヌルッ



霊能少女「え?」



長髪白装束娘「」ズサッ

長髪白装束娘「」バタッ

長髪白装束娘「」ズルッ



霊能少女「は、はははは...はははははは」



長髪白装束娘「」ドンッ

長髪白装束娘「」スゥ

長髪白装束娘「」ゴゴゴ

長髪白装束娘「」ドサッ

長髪白装束娘「」ガンッ




霊能少女「ははは...笑いしか出てこない」

霊能少女「やっぱり賭けなんてするもんじゃない。はぁ...疲れた」

霊能少女「駄目、か...」

長髪白装束娘「」ペタペタ



霊能少女(ワタシはこれからどうなるんだろう。殺されるのか、それとも記憶を消されるか)

霊能少女(...いや、記憶を消すというのは虫が良すぎるか。まず間違いなく殺されるな)

霊能少女(まさかこんなところで終わるとは思わなかった。いつもの仕事だと思ってたら...とんでもない大物が引っ掛かってたみたい)

霊能少女(正直...もし完全武装の状態だったとしても、負けてたかも。よく考えたらこの幽霊だって状況がいいとは言えない状態、ワタシの道具不足は言い訳にしかならない)

霊能少女(最初にこの幽霊がワタシより強いと言っていたがまさにその通り。この歳になってまで、身の程が分からない相手に勝負を挑んでたなんて...恥ずかしい)



長髪白装束娘「」スゥー

霊能少女(あと数センチで首に手が届く...このまま楽にしてたら苦しまず死ねるのかな)

霊能少女(...怖い。死というものは)

霊能少女(死の先にあるものは一体なんなんだろうか。永遠の暗闇か、それとも極楽の光か)

霊能少女(ワタシが祓ってきた霊達も...こんなことを思いながら消えて行ったのかな)

霊能少女(......)



ボコォッ!!!!!!!!



長髪白装束娘「」ズサー



霊能少女「やっぱり...手は抜きたくない」スクッ

霊能少女「悪いけど最後まで抗わせてもらう...往生際が悪い?うん、その通りだと思う」グッ

長髪白装束娘「」ダッ

霊能少女「ぐぅっ!!」ブンッ

長髪白装束娘「」ダキッ

霊能少女「どけぇ!!!」グイッ


スゥゥゥ...


霊能少女(この人数で丸腰はきつい...!一瞬でも判断を間違えれば全てが終わる)

霊能少女(でも最後までやり続ける!ワタシはまだ...)


長髪白装束娘「」ブンッ

霊能少女「!?」グッ


ズサー


霊能少女(い、言った側から間合いを間違えた。防御するのが一歩遅れた...痛い)

長髪白装束娘「」ヌッ

霊能少女(ま、まずい...!追撃が来る!間に合わない!)トンッ


カラーン...

霊能少女(ん?足に何か当たった?これは...)

霊能少女(...っ!!!!!!!)


ガシッ


霊能少女「はああああああああっ!!!!!!」ブンッ

長髪白装束娘「」ドガッ


スゥゥゥ...



霊能少女「これは...間違いない。この力は...」

霊能少女(誰が用意したのか、何でこんなところにあるのか、そんなことはどうでもいい...今、分かっていることは一つ)


霊能少女(このバットさえあれば...勝てるかもしれない!)

長髪白装束娘「.........」


長髪白装束娘(...はい、正直調子に乗ってました)

長髪白装束娘(いやだってさぁ?普通このパターンはもう勝ち確じゃん。私負ける要素なかったじゃん)

長髪白装束娘(誰かの乱入とか、謎の友情パワーが発動しない限り負けるわけないじゃん。しかもそんな雰囲気全然なかったじゃん)

長髪白装束娘(そりゃ誰だって調子に乗るわ。油断するわ、天狗になるわ)

長髪白装束娘(でもさぁ...あれはないでしょ...)



霊能少女「ふんっ!」ブンッ

長髪白装束娘「」ボコー



長髪白装束娘(なんであの霊体バットをあいつが持ってるんだよおおおおおおおおお!!!!!!)

長髪白装束娘(いやだってあれ私があのヤクザから回収したでしょ!?なんでまだ出番があるの!?)

長髪白装束娘(この部屋に置いたやつ誰だよ!責任者出てこいよ!)


『んー...普通のバットに戻すのには時間かかりそうだし、とりあえずはあの部屋に運んどきゃいっか。暇な時に元に戻せばいいしね』


長髪白装束娘(私だったああああああああああああああ!!!!!!!!!)

霊能少女「はぁっ!」ブンッ

長髪白装束娘(へぶちっ!?)スゥ




長髪白装束娘(ま、まずい...確実に数を減らされてる。非常にまずい...)

長髪白装束娘(それにあのバットで殴られたら一発で終わりって...いくら私の力が弱くなってると言ってもあの威力は反則だろ...)

長髪白装束娘(もう全体の数は10体を切った...最後の一人になるのも時間の問題)

長髪白装束娘(そして私はもう増殖出来ない、何か策を考えないと...詰む)

長髪白装束娘("私"!何としてもあのバットを取り上げろ!でないと死ぬぞ!)



長髪白装束娘(んなこと!)ボコッ

長髪白装束娘(言われても!)ボコッ

長髪白装束娘(どうすればいいんだよっ!)ボコッ


スゥゥゥ...


霊能少女「ふぅっー...」



長髪白装束娘(あ、あわわわわわ...もう三体やられた)

長髪白装束娘(残りは5体...最後の一人は絶対残さないとダメだから、4人で何とかしないと...)

長髪白装束娘(もしかして...絶体絶命ってやつ?)

今日はここまで
やっぱり微妙に足りませんでした...完結は明日に持ち越しになりそうですごめんなさい

霊能少女(このバット...凄い力。多分そこそこの霊でも一発殴るだけで消滅させられる)

霊能少女(一体なんでここに、こんな代物が...今はありがたいからいいけど)

霊能少女(向こうもこれを奪おうと必死に見える。だけどそう簡単には渡さない、あと五人)



長髪白装束娘「」ダッ

長髪白装束娘「」ダッ


霊能少女(次はふたり...いや、後ろにひとり隠れてるのが見えたから三人か)

霊能少女(数では劣るけど、こっちは適当に振り回してるだけで勝てる。まず先頭のやつらをぶっ飛ばす)ダッ


ブンッ


長髪白装束娘「「」」ボコッ


霊能少女(あとは後ろのやつを...)

長髪白装束娘「」ブワッ


シュルシュル...

ガシッ


霊能少女「!?」ググッ

霊能少女(これは...髪?髪を伸ばして攻撃してくるなんて...まだこんな芸当が出来たのか!)


霊能少女「離...せ!」グイッ

霊能少女(まずい、完全にバットに絡み付いてる)


長髪白装束娘「」ダッ


霊能少女(ここで四人目!どうする?)

霊能少女(...肉を切らせて骨を絶つ、か)パッ

霊能少女(バットから手を離す。これで四人目は対処できる)

霊能少女(...ここで一度離した時点で、恐らくワタシはもうこのバットを使えない。でも)

霊能少女(目の前のふたりぐらいなら...葬ることはできる!)


ガンッ


長髪白装束娘「」ボコォ

霊能少女(まず四人目のやつを殴る、そしてすかさず後ろに回り込む)

霊能少女(あとは髪伸ばしてきたやつに目掛けて、気力をこめた"蹴り"を入れる!!!)ブンッ


長髪白装束娘「」ドンッ

長髪白装束娘「」バタッ


スゥゥゥ...


霊能少女「はぁ...はぁ...」ゼェゼェ

霊能少女(や、やっぱりこの技は体力を使うか。瞬間火力はあのバットに劣らないくらいはあるけど、絶望的に燃費が悪い)

霊能少女(撃ってあと一発...でもこれで...)

長髪白装束娘「...」



霊能少女「あと...ひとり」



霊能少女(バットは...ちっ、あんなところまで飛ばされてる。この距離だと確実に背を向けて隙を晒すことになる)

霊能少女(取ってくるのは無理か...仕方ない、サシでやるしかない)

霊能少女(これで最後...勝機はある!)



長髪白装束娘(さっきのやつの蹴り、恐らくはあれは直接自分のエネルギーを使って出す技...その証拠にいきなり息が上がり始めた)

長髪白装束娘(あの一撃だと今の私だと危ない。でもバットと違ってリーチもないし、繰り出す寸前に押さえれば勝ったも同然)

長髪白装束娘(まだこっちにも勝機はある!)

霊能少女「...」



長髪白装束娘「...」



霊能少女(勝負が決まるとしたら一瞬、どちらかが動けばそれを合図に始まる)


長髪白装束娘(少しでも...相手を上回った方が勝つ。相手は経験で私に勝るけど、体力も限界に近いし動きも鈍くなってる)


霊能少女(状態は五分と五分、油断は許されない)


長髪白装束娘(これで最後、ここさえ勝てば...!)


ダッ...


ダッ...


霊能少女(勝つのは...!)

長髪白装束娘(勝つのは!)




『私(ワタシ)だっ!!!!!』

霊能少女(こちらは一発当てさえすれば気を送れる、相手の攻撃を掻い潜ればいい...)

霊能少女(警戒するのは髪の毛、やつは確実に出してくる!)



長髪白装束娘(髪であいつの四肢を拘束すれば勝ちだ!大丈夫、作戦はある!)


ブワッ


霊能少女(出してきたっ...後はこれを避けるだけ)

霊能少女(最初だけでいい!初撃さえ避ければ踏み込みで勝てる!)


シュルシュル!!!!!


霊能少女(...髪の量が多い、地上からは無理か)

霊能少女(ならっ...!)グッ

ダッ...


長髪白装束娘(飛んだっ...!?馬鹿め!空中では身動きが取れないぞ!勝った!)


シュルッ!!!!


霊能少女(身体の重心を下げて...おもいっきり捻る!)

グルンッ

長髪白装束娘(うそっ!?あの体勢から避けるとかあり!?)


霊能少女(勝ったッ!これで後は殴るだけ...)



ピリッ



霊能少女「!?」ズンッ

霊能少女(な、に...腕が痺れっ)

ドンッ!!!!


霊能少女「がっ...!?」バタッ

霊能少女「な、何...今、何が起こって...」


長髪白装束娘「気がつかなかっただろ。最初の髪攻撃の時に、腕に私の髪が数本絡み付いてたことに」

長髪白装束娘「今の衝撃はその髪の毛のせい...どうやら私の方が一歩上だったみたいだね」


シュルル...


霊能少女(ぐっ...髪が...う、動けない)



長髪白装束娘(勝った...私が勝ったんだ)

長髪白装束娘(この髪の毛は奥の手に取っておいて、最後に見せるつもりだったけど...正解だった。出し惜しみをしない作戦勝ちってところかな)

長髪白装束娘(あとはこいつの首を絞めて、気絶させれば...終わりだ!)

霊能少女(そうか...あの時から既に...)

霊能少女(向こうは数が揃ってたから、ワタシに比べて少し精神的に余裕があった...その隙を突かれたってことか)


ググッ


霊能少女(...今、分かった。この霊は多分ワタシを殺さない)

霊能少女(殺す気ならあのまま髪で攻撃すればいい話...首を締め落として、そのまま逃げる気なんだ)

霊能少女(甘いな、本当に甘い...こっちはアナタを消滅させる気だったのに)



霊能少女(その甘さがアナタの命取りになる)



ガリッ

霊能少女「」ペッ

長髪白装束娘「!?」ピチャ

長髪白装束娘(え?なに?唾?この期に及んで何を...)


長髪白装束娘「...っ!!!!!!!」パッ


長髪白装束娘「がっ!?!これは...!!!!」クラッ


霊能少女「...ワタシの奥歯にはカプセルが埋まってる。これを砕けば、ちょっとだけどあの水と同じ性質の液体が中に入ってる」

霊能少女「手足が動かなくなった時の秘密兵器...仕掛けておいて正解だった」

霊能少女「さっきアナタにはそれを吐いた。もう自分の状態が分かってるはず、助からないってことに」

霊能少女「"奥の手"は最後まで取っておいた方が勝つ...ってやつ」



長髪白装束娘(奥歯...カプセルだと...!?)

長髪白装束娘(こ、こいつはスパイ映画に出てくる情報を漏らさないように自害する敵か...!手の込んだことを...!!)

長髪白装束娘(ダ、ダメだ...肉体が崩れる。魂の形を...保ってられないっ!)

スゥゥゥ...


幼女幽霊「あっ、ぐぅッ!!!ガッ...!」

幼女幽霊(こ、このまま...消えるのか!?私が...)



霊能少女「...あと二十秒もすれば、完全に消滅する。苦しみもそれで終わる」

霊能少女「...ごめんなさい、勝つにはこの方法しかなかった。水が残ってれば楽に逝かせてあげたのに」



幼女幽霊(こ、こいつがッ...こいつのせいで私ハ...!!!)

幼女幽霊(こんなことになるなら...殺せば良かった。チャンスはいくらでもあったのニ!!!!)

幼女幽霊(...いや、まだ遅くなイッ!!!!)

ナイフ『』



幼女幽霊(あそこ落ちてるナイフで...あいつを刺せバ...!) グッ


フワッ


幼女幽霊(死ネッッッッ!!!!!!!)



ビュンッ



霊能少女「...」



ピタッ



幼女幽霊(.........はぁ)

幼女幽霊(やっぱり...できないや。人殺しなんて)


幼女幽霊「うぐっ!?はぁッ...!!!!」ヨロヨロ

幼女幽霊「ぐぐぅっ...ま、まだ...まだ...」ヨロヨロ


ガチャッ


霊能少女(...外に出たか。もう追う必要はないかな)

霊能少女(...あと数秒で消える)




幼女幽霊「はぁっ...はぁっ...」

幼女幽霊「私がっ...消える?や、やだ...」

幼女幽霊「し、死にたくっ...ない...」


クラッ


幼女幽霊「うっ!?な、なに...急にバランスが...」クルッ

幼女幽霊「あ、足が消えてるっ!?」

シュゥゥゥ...


幼女幽霊(も、もう手遅れか...自分の存在が崩れて行くのが分かる)

幼女幽霊(あぁ...DQN、帰るの無理だわ...ごめん)

幼女幽霊(お父さん...お母さん...)


幼女幽霊(おじい、ちゃん...)




スゥ




霊能少女「...消えた」

霊能少女「これで終わりか...やっと」

霊能少女「疲れた...本当に...お腹空いた」

キンッ


霊能少女「!?」クルッ

霊能少女「なに...今の音」


ナイフ『』


霊能少女「このナイフが...落ちた音?なんで後ろにナイフが...」

霊能少女「ま、まさか...ずっとこのナイフはワタシの後ろに浮いてた?ということは...」

霊能少女「...一度ならず二度までも敵に命を救われた、か」

霊能少女「とことん甘い霊だった...もし、本気を出されていたら何度死んでたんだろ」


霊能少女「...でも嫌いじゃない。出来れば生前に、生きている世界で会いたかった」

霊能少女「さようなら...アナタのことは忘れない」スタスタ

............................................................
...........................................



DQN幽霊(先輩は約束の場所に来なかった)


DQN幽霊(俺は...何か嫌な予感を感じていた。考えたくもないが、どうしてもその考えが頭をよぎる)


DQN幽霊「先輩...!」フワフワ


DQN幽霊(あれからまだ一晩も経ってない。あいつはまだあの病院にいるかもしれない)

DQN幽霊(でも...俺は行かなくちゃいけないんだ。この目で確認しないと...)

DQN幽霊(あんなやつに先輩がやられるわけがない...絶対に)

DQN幽霊「見えてきた...!」フワフワ

DQN幽霊「早く...!早く...!」


スッ


DQN幽霊(いつも不気味な雰囲気を出してるこの病院も...今日は自然とそんな感じはしなかった)

DQN幽霊(むしろ何かが欠けているような感覚だ...大切な何かが)

DQN幽霊(これは気のせいなのか、それとも)


DQN幽霊「...着いた」


DQN幽霊(もし...この部屋の中に、先輩がいなかったら)

DQN幽霊「ぐっ...!先輩!」ガチャ

ボロボロ ボロボロ



DQN幽霊(その荒れ果てた部屋は...戦いの激しさを物語っていた)

DQN幽霊(確信した...先輩は...もう、この世にいないってことを)


DQN幽霊「クソがあああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ドンッ


DQN幽霊「なんでだよっ!!!!またって行ったじゃねえか!これで終わりなのかよ!!!!」

DQN幽霊「なんで...やられてんだよ...あんたが」


DQN幽霊(情けない...男として、幽霊に性別なんて関係ないが、情けない)

DQN幽霊(俺は...何も出来なかった。弱い自分がひたすら情けなかった)


DQN幽霊「先輩...!どうして...!」

コツンッ


「やっぱり...戻ってきたか。これで最後の一人」



DQN幽霊「!?」ビクッ

DQN幽霊(こ、この声は...!!!!)



「動くな、振り向いたら消す」



DQN幽霊(こ、こいつ...まだいたのか。俺が来るのを待ってて...)

DQN幽霊(...先輩、俺に勇気をください)



DQN幽霊「お前が...先輩を殺ったのか?」



「そう、私は仕事を遂行した。そしてお前は最後の一人」

「覚悟はいい?遺言くらいなら聞いてあげる」

DQN幽霊「...そうかよ」


DQN幽霊(...俺は弱い、俺のせいで先輩が死んだ)

DQN幽霊(このまま...先輩のお礼参りも出来ずに消えるなんて、なんて惨めな人生なんだ)

DQN幽霊(最後くらいは...俺だってやってやる。殺すのは無理でも、一生残る傷を...先輩の仇を討ってやる)



「もういい?こっちも時間ないんだけど」



DQN幽霊「俺は...お前を許さん。呪ってやる、祟ってやる」

DQN幽霊「だがよ、俺には呪う力すらねぇ...だから」


DQN幽霊「これは!先輩の最後の一撃だ!!!!その目と身体に刻んでおけえええええええええええ!!!!!」クルッ






幼女幽霊「なーんちゃってぇ!実は私でしたああああああああああ!」




DQN幽霊「」




幼女幽霊「あれ?どうした?固まってるぞ?おーい」

幼女幽霊「聞こえなかった?あいつかと思った?実は私が声真似してただけでしたあああああああああ!!!!!残念!」




DQN幽霊「」





DQN幽霊「あ、あわ...わわわ...」パクパク

DQN幽霊「えっ?えっ?えぇ...?なになになになに」



幼女幽霊「なんだよ、まるでお化けでも見たような顔してんぞ」



DQN幽霊「えっ、ちょっ...何で?何で?」

DQN幽霊「いや、有り得ないというか...そこは...そこは...」



幼女幽霊「ん?どした?感動の再会で声も出ないか?」




DQN幽霊「そこは死んどけよ!!!!!!」




幼女幽霊「はぁっ!?喧嘩売ってんのかてめぇ!」

DQN幽霊「いや何で生きてるんスか!ありえないっスよ!どう見ても死んでる流れじゃないっスか!」

DQN幽霊「わっー!恥ずかしっ、恥ずかしぃっっっっ!!!!一分前の自分をぶん殴りたい!真剣にシリアスムードだった自分をぶち殺したい!」

DQN幽霊「というか先輩をぶち殺したい!!!!!」


幼女幽霊「なんだ!その口の聞き方は!お前が死ねぃ!!!!」ブンッ


DQN幽霊「ぶべっ!?」ズサー



幼女幽霊「んだよ、せっかく復活してやったのに...少しは喜べよ」



DQN幽霊「いや、というかマジで...何で生きてるんスか先輩...てっきりあいつに殺られて死んだかと...」ヨロッ

幼女幽霊「あーうん...正直私もあれはダメだと思った。マジで死ぬと思ったわ」

幼女幽霊「...この病院、何か変わったって気付かない?」


DQN幽霊「えっ?変わった?」キョロキョロ

DQN幽霊「...確かに入った時に違和感は感じたっスけど、てっきり先輩がいなくなったものかと」


幼女幽霊「...何か無くなった感じがしたでしょ。いつもあったはずの何かが」


DQN幽霊「...あっ」


DQN幽霊「病院に入った時...いつもは玄関に浮いてるはずのオーブがいなかったっス...」

DQN幽霊「いや玄関だけじゃない。地下に来る途中、普通なら何匹もオーブがいるはずなのに今日は一匹も見てない...」

幼女幽霊「...そっ、この病院からオーブちゃんがいなくなってるんだ。あんなにいっぱいあったのに」

DQN幽霊「あいつに祓われたんスかね...可哀想に」

幼女幽霊「違うと思う。ここから先は私の想像だけど、多分...オーブちゃんは私の一部になったんだと思う」

DQN幽霊「ど、どういうことっスか?」


幼女幽霊「私ね、あいつに追い詰められた時に...本当にもうダメだと思ったんだ。姿も消えかけてたし」

幼女幽霊「その時に一瞬、幻...いや夢を見たんだ」


DQN幽霊「幽霊なのに夢...っスか?眠らないのに」


幼女幽霊「私も初めての経験だった。目が覚めたら...元に戻ってたんだ」

幼女幽霊「あいつにボロボロにされたはずなのに、元通りに魂が戻ってる感覚」

幼女幽霊「とりあえず誰か病院に残ってるか、念波を使ってみたんだけど...誰も反応しなくて」

幼女幽霊「その時、直感で感じたんだ。オーブは魂の欠片、もしそのオーブちゃんが集まって、一つの塊になれば...消えかかった命の灯火がまた燃え出すかもしれないって」

幼女幽霊「病院に一匹もオーブちゃんは残っていない...あいつが駆除したとは時間的に考えられないし、この短時間でオーブちゃん全員が消えた理由はこれしか説明がつかないんだよ」


DQN幽霊「確かに理由があるとしたらそうっスけど...そんな話って普通ありえるんスかね?」


幼女幽霊「...分かんない。私も確証があるとは胸を張って言えない」

幼女幽霊「でも...もしそうだったら、何か嬉しいなって。オーブちゃんに助けられたことが」

幼女幽霊「一応、意思疏通はできたけど...正直何言ってるか分かんなかったし」

幼女幽霊「そんなオーブちゃん達が、自分に命を分けてくれたって思うと...ね」


DQN幽霊「...そうっスね。そうだったらいいっスね」


幼女幽霊「...DQNさ、私が何で死んだか話したことあったっけ?」

DQN幽霊「いや、聞いてないと思うっスけど」

幼女幽霊「そっか...まだ話してなかったか」


幼女幽霊「じゃあついてきて、教えてあげる」フワッ

~~~~ 墓地 ~~~~


幼女幽霊「ここが私の家族のお墓」


DQN幽霊「これって...」


幼女幽霊「うん。私ね、お父さんとお母さん...家族と一緒に交通事故で死んじゃったんだ」

幼女幽霊「このお墓自体は自分の死んだ記事を探して、見つけ出したものなんだけどね」


DQN幽霊「そうだったんスか...」


幼女幽霊「...死んだあとは知らないお爺ちゃんの霊に拾われてさ、そこから病院で暮らすことになったんだ」

幼女幽霊「あの人はお前と一緒で足がなかったけど、二十年近く幽霊やってるすごい人だったよ。色々なことを教えてもらって、私の第二の親と言ってもいいぐらい感謝してる」

幼女幽霊「...まあ三年前に逝っちゃったんだけど」

幼女幽霊「その三人が...さっき話した夢の中に出てきたんだよね」


DQN幽霊「何か話したんスか?」


幼女幽霊「ううん...本当に出てきただけ。でも嬉しかった」

幼女幽霊「例え幻でも錯覚でも...もう一度あの人たちに会えたんだから」


DQN幽霊「...よかったっスね」


幼女幽霊「さっ!墓参りも終わったし帰るか!今日も客が来るだろうしな!」


DQN幽霊「えぇっ!?まだやるつもりなんスか!?あんな目に遭ったのに!」


幼女幽霊「当たり前だろ!人を驚かせないとか何のために幽霊やってるんだよ!退屈で死ぬわ!」

DQN幽霊「またあいつみたいなのが来たらどうするつもりなんスか!大人しくしといた方がいいですって!」


幼女幽霊「バカヤロー!今回はたまたま負けただけで普通にやったら私が勝ってたわ!」

幼女幽霊「今は誰にも負ける気がしないね!虎でも豹でもかかってこいって感じだよ!」シュッシュッ


DQN幽霊「え、えぇ...」


幼女幽霊「それともなに?あいつに怖じ気づいて、このままジメジメとした生活を送ってもいいのか?」

幼女幽霊「毎晩、毎晩、うるさい来訪者共に好き勝手されていいのか?掃除するのはどこのどいつだ?」


DQN幽霊「...」

幼女幽霊「もしかしたら、この前みたいにヤり始めるやつらが出てくるかも...」

DQN幽霊「うおおおおおおおおお!!ムカついてきたああああああああ!先輩早く戻るっス!あいつらを恐怖のドン底に叩き込んでやる!!!!」フワッ


幼女幽霊「...ふっ」

幼女幽霊「そういうことで、まだそっちに行くのは先になりそうだよ。大丈夫、楽しくやってるから。馬鹿な後輩もいるけど」チラッ

幼女幽霊「...じゃあね、また来るよ」フワッ



DQN幽霊「先輩!今日はどんな風に怖がらせるんスか!?」

幼女幽霊「今日はもう霊体ミミズとか出してるやるよ!うじゃうじゃで気持ち悪いぞ!」

DQN幽霊「うわきもっ!でも面白そうっス!」


幼女幽霊「私たちの夏はこれからだからね!さあドンドン怖がらせてやるぞーーーー!」






おわり

...............................................................
................................................



霊能少女「...」モグモグ

霊能少女「...やっぱり新幹線で食べるお弁当が一番美味しいな。特にこの牛鍋弁当は本当に美味しい」

霊能少女「さて次は...鮭弁当にするか」スッ


ツンッ


霊能少女「ん?これは...」

霊能少女「あの霊の髪の毛、まだ服にくっついてたんだ」


霊能少女「...」ジー


霊能少女「まあないとは思うけど...一応祓っておくか。呪いが感染したらめんどうだし」

霊能少女「...ハッ!」カッ

霊能少女「よし、これで問題ない。お昼の続き食べよっと」


クネクネ


霊能少女「!?」ビクッ

霊能少女「い、今...動いた?この髪の毛...」

霊能少女「あ、ありえない...いくら本体から分離してると言っても 、力の源は既に断ってるはず。動けるわけがない」

霊能少女「まさか...あの状態でまだ生きてる?」


霊能少女「...」


霊能少女「ワタシは...全力を尽くした。それでも退治できなかったのなら仕方ない」

霊能少女「今回はこれでチャラ、今は見逃す。でも次に会ったときは容赦しない...出来れば会いたくないけど」

................................................................
................................................



プルルル プルルル


幼女幽霊「はいはいもしもしー?」ピッ

幼女幽霊「あっ!口裂け女さん久しぶりです!どうしたんですか?」


幼女幽霊「えっ?今度女子会やるから病院を貸せ?」

幼女幽霊「女子会って...誰来るんですか?」

幼女幽霊「えーっと、メリーさんに、テケテケちゃんに、こっくりさんと花子さんに...げっ、ひきこさんちゃんも来るのか」

幼女幽霊「どうするって...うーんどうしよう」


幼女幽霊「...いいですよ。じゃあ日程の方はー」






おわり...?

はい終わりです
本当は夏までに終わらせる予定でしたがここまで伸びてしまいました
こんな終わり方ですが続編は今のところ予定はないです...でも"すぐ戻る"
思ってたより長編になってしまいましたが付き合ってくれた方々ありがとうございました

最後に12月に貞子vs伽椰子のBDが発売されるそうですね(ステマ)

くっそ面白かった。こういう話大好き
次回作期待してるで。

ちなみに次回作やるならタイトルどんな感じ?

>>536
建てるとしたら続きの前に幼女幽霊の過去か霊能少女の話か口裂け女系列の誰かの話を先に書こうかなとか思ってます
時期は年明けぐらいになりそうですね...

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