デレマスですよ
激しい捏造設定があるのでどうぞそのつもりでよろしくお願いします
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「もしもしー? どうしたの焦って電話して」
「今日? えー? 今日は久しぶりに楓ちゃんも居るから」
「ゆっくりしたいし、ごめんねー」
「なんでした?」
「早苗ちゃんがねー? 血相変えて電話かけてきて、何かと思ったら、泊めてくれーって」
「それも賑やかで楽しそうですけど」
「ん、でも友紀ちゃんもいるみたいだから大丈夫だろうし、久しぶりにお互い時間取れたし、ね」
「同じ部屋に住んでるはずなのに、一人暮らしみたいでした」
「仕事があるっていうのはありがたいけどね」
「アイドルにならなければ瑞樹さんとも出会ってませんでしたから」
「そうねー、もうだいぶ経つけれど、出会った頃は一緒に住んでるなんて想像もしなかったわ。」
「もう、済んだ話、ですけどね。川島さん?」
「上手くないわよ高垣さん?」
「ふふっ」
「うふふ……こんな風に笑いながら話すっていうのも想像もしなかったわね」
「無口でしたからね、あの頃は」
「初めて会ったときなんて普通に挨拶しただけなのに思いっきり驚かれちゃって」
「考えごとしてる時に見えない側から話しかけられてびっくりしたんですよ」
「悪かったわよー……でも、結果的に良かったかもしれないわね。あれから気になりだしたんだから」
「そうなんですか?」
「だって、たまに雑誌かなんかで見かけてたあのモデルが跳びはねて驚いてるのよ? 面白いじゃない」
「本当に驚いたんですよ。はぁと一息ついて、ハートを落ち着かせなきゃいけないぐらい」
「そう言われるとすごく落ち着いてたように聞こえるわね」
「ふふっ……でも、話しかけてくれて嬉しかったんです。あの頃の私は、物の距離をつかみかねるように、人との距離をはかりかねてましたから」
「器用なように見えてすごく不器用よね、楓ちゃんは」
「器用に生きよう、とは思っているんですけどね」
「そういうところは器用よねー」
「好きこそ物の上手なれ、です。人と話すことも好きになれましたから」
「最近の楓ちゃん、前より話すようになって表情も柔らかいものね」
「そういう風に瑞樹さんが私の事を見てくれたから、私ももっと見てみたいと思ったんです。世界も、人も、瑞樹さんも」
「そう言われるとなんか私がジロジロ見てたみたいじゃない」
「見てもいいんですよ」
「……」
「……」
「…………っ、近い近い!」
「ふふふっ」
「もー何よこれ!」
「なんだか、瑞樹さんはいつの間にか近くにいた気がしますね」
「楓ちゃんから近づいてきたじゃない」
「そうじゃなくて、何だか昔から知っていたみたいに仲良くなれた気がするな、って……違いましたか?」
「なにちょっと不安そうな顔してるの、バカね……違ったら部屋になんか上げてないわよ」
「そしてご飯まで食べさせてもらってますし」
「だって楓ちゃんロクな食生活じゃなかったんだもの!」
「でも、日本酒の原料はお米だから、梅酒と一緒に頂いたらそれはもう日の丸弁当ですよ」
「アイドルなんて身体が資本なんだからしっかり食べて栄養取らないと駄目じゃない!」
「……って、その時も怒られましたね。ふふっ、家に上げられてご飯食べさせてもらって、何だか拾われた猫みたい」
「あら、撫でたら鳴くかしら」
「瑞樹さんは可愛く鳴きますよね」
「……ッ」
「あっ痛い痛い瑞樹さんつねられたら痛いです」
「まったくもう……そのうち恩返ししてちょうだいよね、なーんて」
「恩返し……できているんでしょうか」
「ちょっと、やめてよ」
「瑞樹さん」
「ん……なに?」
「瑞樹さん、私、時々不安になるんです。こんなに私のことを見てくれているのに、目と一緒に欠けた心を、こんなに温かいものでいっぱいにしてくれているのに……」
「……」
「私、あなたの半分しか、あなたの事を見つめられないことが、悲しいんです」
「……はぁ」
「……」
「楓ちゃん、本当に不器用ねー」
「瑞樹さん……?」
「そんなに一方通行じゃないと思うわ、幸せだなぁって気持ちって。私だって、胸が躍ったり、高鳴ったり……この歳でこんな気持ちになるなんて思ってなかったけど、楽しいんだから」
「……」
「それにね、こう言って良いかわからないけれど……一つで良かったとさえ思っちゃうの。私だけを見つめていてくれるかなって」
「瑞樹さん、これからも近くで、見つめていても良いですか?」
「ちゃんと見ててくれないと、どっかに飛んで行っちゃうんだから」
「わかりました、離しませんからね」
「ん……ちょっと……そんなに強く抱かれたら痛いわよ」
「離しません」
「もう……ふふ、これからもよろしくね」
「はい、末永く」
「楓ちゃん、生まれてきてくれて、ありがとう」
「ありがとう、瑞樹さん」
きっと、ずっと、あなたに恋し続けます。
というようなお話でした。
片目の見えていない高垣さんという内輪の話から出てきたものでありました。
読んでくれた人ありがとう。
そして、高垣楓さん。お誕生日おめでとうございます。
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