桃井あずき(以下、あずき)「第一回!プロデューサーに日頃の感謝を伝えよう大作戦~~~~~!!!」
綾瀬穂乃香(以下、穂乃香)「わ~~~~~~」パチパチパチ
ドンドンパフパフ
工藤忍(以下、忍)「えっ、何これは」
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あずき「さあ!ついに始まりましたね穂乃香さん!」
穂乃香「そうですね、いよいよですね」
あずき「私も大変楽しみにしております!果たしてどのような結末になるのか、ワクワクドキドキでございますね!それでは早速現場の状況を」
忍「ちょっと待って」
あずき「おや、忍さんどうされました?」
忍「忍さんはやめてよ。なにその喋り方は」
あずき「どうしたの忍ちゃん?」
忍「あ、そこはあっさりやめるんだ…じゃなくて」
忍「いきなり事務所の会議室に呼び出されたから何かと思ったら……何これ。全く話についていけないんだけど」
あずき「何って、まあ……大作戦?」
忍「はしょりすぎ!」
あずき「まあまあ。ところで忍ちゃん、誰か足りないと思わない?」
忍「それはまあ……柚ちゃんがいないよね。何か大作戦と関係あるの?」
あずき「よくぞ聞いてくれました!」
忍「さっきからいちいち大仰だね」
あずき「じつは先日、柚ちゃんとこんなやりとりがあって……」
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(回想)
あずき『プロデューサーにプレゼントがしたい?』
喜多見柚(以下、柚)『うん、いいのが思いつかなくて。あずきチャンならなにか思いつくカナーって』
あずき『うーん、そもそも何のプレゼントなの?誕生日とか?』
柚『誕生日は関係ないよー。何の、ってワケじゃないんだけどね。日頃の感謝を伝えよう、的な?』
あずき『日頃の感謝かぁ~。……へぇ~~。ふぅ~~ん』
柚『べ、べつに特別な意味はないよ!?ただの日頃のお礼だから!』
あずき『まあいいけどね。それで、プレゼントだっけ?』
柚『うん。あまり高いものとかは難しいし、かといって安いものあげてもなー』
あずき『それだったら、何か手作りのものをあげるのはどう?』
柚『手作り?』
あずき『そう!例えば……お菓子とかどうかな?』
柚『あっ、それいいカモ!でも、料理はするけどお菓子はあんまり作った事ないからなー、どうしよう』
あずき『私もあんまり詳しくはないけど、クッキーとかだったら簡単に作れていいんじゃない?』
柚『クッキーかぁ……よし、それでいこう!』
あずき『プロデューサーに喜んでもらえるといいね!』
柚『うんっ』
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あずき「という事が先日あって……」
忍「なるほどね。で、私たちがここに呼ばれたのは?」
穂乃香「それについては、こちらを見てもらった方が早いのではないでしょうか」
あずき「そうだね。じゃあ映像お願いしまーす♪」ポチ
忍「自分で点けてるじゃん……」
パッ
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柚『……』ソワソワ
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忍「これは…休憩室?」
あずき「そう!ちひろさんに協力してもらって、事務所の数か所にカメラを仕込んでもらいました!リアルタイムの映像だよー」
忍「ソファに柚ちゃんがいるね。何か落ち着かなさそうな感じだけど」
穂乃香「手に何か袋のようなものを持ってますね」
あずき「ここまでくればもうわかるよね!ズバリ、柚ちゃんがプレゼントの手作りクッキーを渡すところをこっそりモニタリングして、皆で見ようってこと!」
あずき「名付けてモニタリング大作戦だよ♪」
忍「えぇ……」
穂乃香「どうかしましたか?」
忍「あのさ、カッコよく言ってるけど要するに出歯亀だよねこれ。こういうのあんまり良くないと思うんだけど」
あずき「甘いよ忍ちゃん!」バンッ
忍「うわっ、ビックリした」
あずき「最近、柚ちゃんのプロデューサーへの態度がなんか怪しいと思わない?」
忍「怪しいって……そんなこといきなり言われても」
あずき「思い出してみてよ。前はさ……」
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(回想)
P『……』カタカタ
柚『Pサン、ゲンキーっ?』ダキッ
P『おわっと、柚か。何かあったか?』
柚『ううん、何もナイ!』
P『ないのかよ!今ちょっと作業してるからさ、ヒマならどっか他のとこで待っててくれ』
柚『えーっ、ツマンナイなあ。せっかくだから、肩でも揉んであげよう!ホラ、背中向けて』
P『いやだから作業……』
柚『ホラホラ♪柚の肩もみテクニック、見せちゃうよー』
P『……まあいいか。ちょっと休憩がてら、お願いするよ』
柚『やったー♪後でアタシの肩もよろしくね!』
P『それは知らん』
柚『えーっ』
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あずき「前はこんな感じだったじゃん。でも最近、柚ちゃんがプロデューサーに対して妙によそよそしい感じがするんだよね」
忍「まあ確かに言われてみれば……」
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(回想)
P『……』カタカタ
柚『……』ジーッ
P『……どうした柚?こっち見て』
柚『えっ!?い、いや、なんでもないよ』
P『そうか……ふぅ、疲れたな』
柚『……』
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忍「ちょっかい出すのとか、最近あんまり見ない気がするね。する時も変に間があったりとか」
あずき「でしょ?それに今だってなんか妙だと思わない?」
穂乃香「そうですよ。クッキーを渡すくらいであんなに柚ちゃんがソワソワしてるなんて、変じゃないですか?日頃の感謝を伝えるだけなら、もっと軽く渡してもいいはずです」
忍「まあそれはそうだけど……まさか」
あずき「そう!これはまさしく『恋する乙女』そのものだよ!」
忍「恋する……ねぇ」
穂乃香「そうです。アイドルとプロデューサーの恋愛関係……もしそんなことがあれば一大事です。当人だけの問題で終わればいいですが、場合によっては私たちのグループ全体の問題に発展してしまうかもしれません」
あずき「気付いた時には手遅れ……なんてことにならないためにも!フリルドスクエアのメンバーとして、今回の件はしっかりチェックしておかなきゃいけない!そうでしょ!?」
忍「で、本音は?」
あずき「面白そうだなーと思って」
忍「やっぱり出歯亀じゃん!」
あずき「いやー、穂乃香ちゃんは騙せても忍ちゃんは騙せないか」
穂乃香「えっ、私騙されてるんですか!?」
忍「穂乃香ちゃん……」
あずき「まあなんだかんだ言っても、忍ちゃんも気にはなるでしょ?柚ちゃんの恋模様」
忍「まあ……そういうお年頃ではあるからね」
穂乃香「まあせっかく用意してもらったんですし、最後まで見届けましょうか」(←騙されていたことを理解した)
忍「穂乃香ちゃんもノリノリだね」
穂乃香「お年頃ですから」
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柚『……』ソワソワ
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あずき「今は休憩室は柚ちゃんしかいないね。Pさんの休憩待ちかなあ」
穂乃香「待ってる時にソワソワしてるのはいつものことですけど、今日のソワソワはまた違う感じがしますね」
忍「確かに……穂乃香ちゃんよく見てるね」
あずき「Pさんの所に行くかどうか迷ってるのかもね」
穂乃香「……あっ、誰か入ってきましたよ」
忍「あれは……」
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三村かな子(以下、かな子)『あれ、柚ちゃん。こんにちは~』
柚『かな子サン!こ、こんにちわー』
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あずき「ここでかな子さんが来るか……解説の穂乃香ちゃん、これは」
穂乃香「そうですね。かな子さんはお菓子に詳しい上に、食べるのも大好き。柚ちゃんがクッキーを持ってきていることにはすぐに気付くでしょう。そこで柚ちゃんがどういう反応をするか、見ものですね」
忍「真面目に解説しなくていいから」
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かな子『ん……何かいい匂いがするね。柚ちゃん、何かお菓子……クッキーとか作ってきた?』
柚『うぇ!?えーっと……うん、一応』
かな子『やっぱり?いい匂いすると思ったんだ~』
柚『あ、あはは……』
かな子『ねえ、よかったら私にも分けてくれない?』
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あずき「早速きたーーっ!そしてまさかの食べたい発言!柚ちゃんどう出るっ!?」
忍「あずきちゃんも実況しなくていいから」
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柚『えーっと、ごめん。これはあげられないんだ』
かな子『そうなんだ……』ショボン
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あずき「もらえないと分かった途端急にトーンダウンしたね……」
忍「わかりやすいね」
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かな子『えっと、誰かにあげる物なの?』
柚『うん、これはその……Pさんにあげようと思って。日頃の感謝のプレゼント、的な』
かな子『へぇ~。きっとPさん喜んでくれるよ』
柚『そうだといいけど……』
かな子『どうかしたの?』
柚『えっと……なんていうか、渡すものがこんなのでいいのカナーって』
柚『作ってみたはいいけど、プレゼントだったらもっとちゃんとしたお店のものとかを贈ったほうがいい気がするし……』
かな子『……』
柚『アタシこういうのあんまり作ったことないし、素人の作ったお菓子なんて迷惑かな、なんて思ったり……』
かな子『そんなことないよっ!』バッ
柚『わわっ』
かな子『あっ、急に大声出してごめんね…』
かな子『でも、手作りのお菓子が迷惑だなんて、そんなことは絶対ないよ』
柚『そう……かな』
かな子『そのクッキーは、柚ちゃんが気持ちをこめて作ってるんでしょ?』
柚『……うん』
かな子『お菓子にはね、作った人の気持ちが入ってるんだよ。お菓子の出来も大事かもしれないけど、もっと大事なのは作った人の気持ちなんだ』
柚『気持ち……』
かな子『私もお菓子を作るときは、「食べた人みんなが笑顔になってくれるように」っていう気持ちを込めながら作ってるの。ちゃんと気持ちをこめて作ったお菓子なら、その気持ちは食べた人にちゃんと伝わるから』
柚『かな子サン……』
かな子『柚ちゃんの作ったそのクッキーも、ちゃんと柚ちゃんの気持ちを伝えてくれるはずだよ』
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あずき「ええ話や……」ホロリ
穂乃香「いい話ですね……」ジーン
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柚『……わかった。これ、Pサンに渡してくる!かな子サンありがとう!』
かな子『どういたしまして!柚ちゃん、頑張ってね!』
柚『うんっ!』
ガチャ、バタン
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忍「あっ、プロデューサーの部屋に移動してるっぽいね」
あずき「カメラを切り替えよう!穂乃香ちゃんお願い」
穂乃香「グスッ……うぅ……ヒッグ」
忍・あずき「ガチ泣きしてるーー!?」
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ガチャ
柚『……』
プロデューサー(以下、P)『……』カタカタ
柚『……Pサン、今ちょっといい?』
P『ん、柚か。ちょっと待ってな……よし、いいぞ』
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あずき「なんとか間に合ったみたいだね」
忍「どうするんだろ。普通に渡すのかな」
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柚『あの、アタシね。クッキーを作ってきたんだけど』
P『おお。くれるのか?』
柚『うん、それでね。えと、いつものお礼っていうか……えーっと……』
柚『…………あの、あのっ!』
バッ
柚『いつもアタシたちのために頑張ってくれてありがとう!これ受け取ってください!』
P『……』
柚『……』
スッ
柚『!』
ガサガサ……モグモグ
P『……うん、おいしい。柚、ありがとう』
柚『……!』パァァ
柚『えへへっ、どういたしまして!』ニカッ
P『これ手作りなのか?』
柚『そうなんだー。家で作ったの!初めてだったからちょっと失敗したりもしたけど……』
…………
……
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あずき「緊張してたみたいだけど、無事渡せたみたいだね♪」
穂乃香「最後は柚ちゃんらしい、いい笑顔でしたね」
忍「なんかほっこりしたね。期待してたのとはちょっと違う気もするけど……ん?」
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P『なんか悪いな、こんないいものもらっちゃって。なにもお返しできるもの無いけど……』
柚『お返しなんていいよー。日頃のお礼なんだからっ』
P『いやまあ、そうかもしれないけど……でもさ』
ポンポン
柚『え……』
P『ほんとに嬉しいよ。こっちこそ、いつもありがとうな』ニコッ
ナデナデ
柚『え、あ、あ……///』
P『柚?』
柚『う……』
柚『うわあああーーーーーーっ!!』ダッ
ガチャ、バタン!
タッタッタッタ………
P『柚!?おーい…………行っちまった』
P『どうしよ……とりあえずクッキー食べるか……うん、うまい』
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忍「……」ポカーン
あずき「柚ちゃん、顔真っ赤だったね……」
穂乃香「なんだか……でも、とてもかわいらしかったですね」
忍「何というか、すごく乙女チックだったね。やっぱりその、恋、してるのかな」
あずき「今のを見てる感じだと、やっぱりそうっぽいね」
忍「何だかんだいって、それなりに面白かったね」
あずき「大作戦、大成功だね!」
忍「この感じだと、これからも同じようなことがあるかもね」
あずき「そうかも!何かあったらまたみんなで、かわいい柚ちゃんこっそりモニタリング大作戦♪しちゃおっ!」
穂乃香「柚ちゃんにはちょっと悪いけど、面白そうですね」
忍「そうだね」
ガチャ
柚「あれ、みんな集まって何してるの?」
「「「あ」」」
おわり
お読みいただきありがとうございました。
依頼出してきます。
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