雪歩「ううっ……ひっぐ……」

真美「ゆきぴょーん、入るよー？」

雪歩「え……ま、真美ちゃん……？」

真美「よいしょ、っと……」

雪歩「お、落ちたら危ないから、入ってこないほうが……」

真美「心配しなくても大丈夫だいじょうｂ……うあっ！？」ﾂﾙｯ

雪歩「あ、あぶないっ！」

真美「ぁぁぁぁああああ……ぐぇっ！！」ﾄﾞｻｯ

雪歩「だ、大丈夫？」

真美「うえぇ……しぬかとおもった……」

雪歩「ごめんね、私がこんなところに引きこもってるから……」

真美「ホントにね」

雪歩「うぅ……」

真美「……まあ」

雪歩「……？」

真美「ゆきぴょんが受け止めてくんなかったら、あのまま落ちてケガしてたかもだし……そこはありがとね」

雪歩「真美ちゃん……」

真美「で」

雪歩「っ！」ﾋﾞｸｯ

真美「ゆきぴょん、なんでこんなとこに引きこもってるのさー？」

雪歩「ほ、ほら……今日の撮影って、衣装が水着でしょ？」

真美「うんうん」

雪歩「それは私も分かってたし……覚悟もある程度してたんだけど……」

真美「けど？」

雪歩「……こんなに布の面積が少ない水着とは思わなくって」

真美「……」

雪歩「す、スタッフさんも男の人ばっかりだし……恥ずかしくって……」

真美「……いやいや、そんなに布の面積少なくないっしょ？普通のビキニじゃんか」

雪歩「それでも私にとっては裸同然なんですぅ！！」

真美「じゃあ、どんな水着だったらいいのさー」

雪歩「競泳水着みたいな……」

真美「えぇ……もうちょいお色気押し出していこうよ……」

雪歩「そういうの、私には無理かも……」

真美「うーん……」

雪歩「……」

雪歩「わ、私……」

真美「え？」

雪歩「私って本当に……ダメな子だよね……」

真美「いや、そこまで言ってないけどさ……」

雪歩「真美ちゃんより4つも年上なのに……うぅ……こんなワガママ言って……」

真美「ちょ、ゆきぴょん、泣いてるの？」

雪歩「ひっぐ……ふえええええええん！！！」

真美「よ、よしよし……泣かないでーゆきぴょーん！」

雪歩「こんな、ぐすっ、私なんか、えっぐ、穴掘って埋まってうええええええええええええん！！！！！」

真美「泣きながら穴掘らないでよぉ！！！」

真美「落ち着いた？」

雪歩「うん……」

真美「よしよし……それじゃ、兄ちゃんも待ってるから、はやいとこ上がって写真撮ってもらおうね」

雪歩「うん……」

真美「じゃあ行こっか」

雪歩「待って」

真美「ん？」

雪歩「ご、ごめん……やっぱり無理……」

真美「……」

雪歩「あっ、今『ダメだこいつ』って思ったよね……いいの気にしないで、真美ちゃんの目の前にいるのは本物のダメ人間だから……どうせならこのままずっとここに埋まってたほうが

真美「そ、そんなこと思ってないってば！わかった急がなくていいから落ち着いてお話しよ、ねっ！？」

真美「ただポーズ決めて写真撮ってもらうだけなのに、何がそんなに嫌なのさー」

雪歩「は、恥ずかしすぎて……」

真美「水着が恥ずかしいの？男の人がいるから恥ずかしいの？」

雪歩「両方かな」

真美「うーん……この水着、真美だって着てるけど……そんなに恥ずかしいかな？」

雪歩「恥ずかしいよ……こんな裸みたいな格好で人前に出るなんてありえない……」

真美「ゆきぴょん……せっかくいい身体してるのに、そんなのもったいないよ」

雪歩「……真美ちゃんも私の身体が目当てだったの！？」

真美「いやなにを言ってるのかわかんないよ……だいたい『も』ってなに？『も』って」

真美「真美が言ってるのはね、もっと自信を持ったほうがいいってこと」

雪歩「私なんて、ひんそーでひんにゅーでちんちくりんだし……」

真美「そんなことないって思うけどなぁ」

雪歩「……」

真美「スタッフさんも男の人ばっかりだけど……真美も、ゆきぴょんと一緒にいるからさ」

雪歩「……」

真美「真美がゆきぴょんのこと、守ったげるから。ゆきぴょんは安心していいんだよ」

雪歩「真美ちゃん……」

真美「……ゆきぴょん！」ｷﾞｭｯ

真美「あのね、ゆきぴょん。ゆきぴょんには、真美がついてるから！」

雪歩「……」

真美「二人でいれば、苦しいことやつらいことも半分だし、楽しいことは二倍！」

雪歩「……」

真美「ねっ？真美と一緒なら、ゆきぴょんだって頑張れるよね？」

雪歩「……うん」

真美「よっしゃ！」

雪歩「あ、あのね、真美ちゃん」

真美「ん？なに？」

雪歩「撮影のときも、手を繋いでてほしいの……今みたいに」

真美「あぁ、おっけー！兄ちゃんにそう言っといたげるね」

雪歩「えへへ……ありがとう真美ちゃん」

真美「んじゃ行こっか。みんな待ってるよ、真美たちのこと」

雪歩「うん」

真美「……って言ったものの、どうやって登ればいいんだろ、これ」

雪歩「き、気合いで登るしかないね」

真美「気合い！？」

P「お、真美……ちゃんと雪歩を連れて来てくれたんだな、ありがとう」

真美「はぁ、はぁ……つ、疲れたぁ……ちょっと休ませて……」

P「ああいいぞ、お疲れさん」

雪歩「ぷ、プロデューサー……すみません、私……」

P「いや、雪歩が謝ることないよ、雪歩のことをよく分かってなかった俺が悪いんだ」

雪歩「うぅ……」

P「それより、ちょっと休憩したらすぐに撮影だから、二人とも準備しておいてくれよ」

雪歩「は、はいっ」

真美「ふぁーい」

真美「あ、そうだ兄ちゃん」

P「どうした？」

真美「ゆきぴょんがね、撮影のとき真美と手をつないでたいって」

P「手をつないで、か……まあいいだろ、二人の仲の良さをアピールできるし、それで雪歩が落ち着いて撮影できるなら問題ない」

雪歩「ごめんなさい、ワガママ言って……」

P「いやいや、気にすることないさ」

真美「そうそう、ゆきぴょんはいつも細かいこと気にしすぎなんだよ、真美みたいにもっとドッシリ構えてないと」

P「お前はもうちょっと細かいことを気にして欲しいけどな」

真美「えー、そう？」

雪歩「ふふっ」

スタッフA「そろそろいいですか？」

P「あ、はい！」

カメラマン「いやぁ～今日は撮影日和ですなあ」

スタッフB「うまいこと晴れてくれてよかったですよ～」

P「ははは、全くですねぇ」

雪歩「オトコノヒト……イッパイ……コワイ……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

雪歩「アナ……ホル……」ｼﾞｬｷﾝｯ

真美「ゆきぴょんっ！！」ｷﾞｭｯ

雪歩「アッ……」

雪歩「真美……ちゃん……」