男「親友からパーティーの招待状が届いた」 (20)

これは、とある異世界の東京に住む『男』の話。


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男の元に、一つの招待状が届いた。
差出人は男の親友である『友』。
高校を卒業してから音信が途絶えていたが、確かに二人の仲は『親友』と呼べるものだった。

男は目覚めのコーヒーと共に、その招待状を読む。
場所は、男の住む帝国でもトップクラスのホテル、まず庶民なら近くに立ち寄ることもできないような物であった。
男は、「なぜそんな所へ招待されるのか」「なぜ友が招待状を送ってきたのか」、少し不審に思いながらも、『親友の行動の真相』を確かめるために、パーティーに参加することを決意した。

男と友は親友であった。
幼き頃から共に遊び、共に泣き、消えることのない『友情』を持っていた。
しかし、高校を卒業して幾分かすぎたある日、友は姿を消してしまう。
周りに何も言わず、流れ星のように突如消えた友の『謎』。
男は「いつか使うかもしれない」と昔に持たされた燕尾服を用意しながら、約束の時を待つ。

男は送迎用の車を降り、会場への階段を登る。
真紅の道を歩きながら、男は考える。
『友』は何故姿を消したのか、『友』に何があったのか、
余りにも場違いな自分の気質に、スタッフと思われる者に幾度か止められたが、
男はその事を考えながら、会場へと進んで行った。

会場の中で、とある女性に声を掛けられる。
「ここは、貴方が来る様な所ではないでしょうに」
周りが騒ついている
女性の避難的な言葉に少し同感しながらも、男は招待状を見せ、自分が此処にいる理由を説明する。
「そう、あの方からの招待状ね」と女性が少し驚く。
男は女性が友の事をあの方と呼ぶ事に、違和感を感じた。
男が女性に友の事を質問する。
「あの方の事は、私が貴方に話すよりも、貴方自身が確かめるほうが良いと思うわ」
「それにしても、貴方は面白い人ね」
男は予想外の言葉に驚きながらも、理由をきく。
「私に此処まで迫って質問する男性なんて今までいなかったもの」
男は、流石にそれは言い過ぎだろうと一蹴する。
「貴方は、もう少し今頃の事を知った方がいいと思うわ」
男はあまりニュースなどは見ない方だと自白する。
「本当に、面白い人」
そういうと、女性はバッチの様な者を渡してきた。
「このパーティーの間、それを付けていなさい」
「きっと善いことが起こるわ」
それだれ言うと女性は去って行った。

女性に貰った『それ』を身につけると、男は会場をまた進んで行く。
ワインを片手に談笑する上流階級の人々を横目に男は奥へと進む。
オーケストラの名前も知らない曲を聴きながら、人を掻き分け歩いていると、とある男性に声を掛けられる。
「失礼ですが、招待状をお見せ頂けますか?」
どうしようもできない自分の場違いな気質にうんざりしながらも、スタッフに招待状を見せる。
渡された『それ』の意味を考えながらも、男は会場を進む。

女性に貰った『それ』を身につけると、男は会場をまた進んで行く。
ワインを片手に談笑する上流階級の人々を横目に男は奥へと進む。
オーケストラの名前も知らない曲を聴きながら、人を掻き分け歩いていると、とある男性に声を掛けられる。
「失礼ですが、招待状をお見せ頂けますか?」
どうしようもできない自分の場違いな気質にうんざりしながらも、スタッフに招待状を見せる。
渡された『それ』の意味を考えながらも、男は会場を進む。

どうやら『それ』は特別な物らしく、すれ違う者の目線が胸元へ向いている気がする。
そんな事を考えていると、銀髪の、はっきりいってイケメンの男性が声をかけてきた。
「おい貴様」
物騒な言い様に男は戸惑いながらも返事を返す。
「その胸につけている『証』、何処で手に入れた」
どうやら「それ」は『証』というらしい。
男は先程あった女性との会話の事を話した。
…が、銀髪の男性は全く信じる様子がない。
「まあその事はどうだっていい」
「その『証』を寄越せ、俺様の用はそれだけだ」
男は銀髪の男の提案に驚く。
男は呆れながらも、ついさっき貰った物を、もう他の他人に渡すわけにはいかないと男の提案を一蹴する。
「なっ、お前はこの俺様が誰かしらないのか?」
男はあまりニュースなどは見ないと伝え、そして<<1も正体を考えてはいないだろうと伝えた。
「覚えていろよ、その言葉、いつか後悔するぞ」
そういうと、銀髪の男は背を向けて男の元を去った。
男は、この『証』を貰ったからといって『善い』は起こらず、むしろ悪いことが起こったから、『用意』だけはしておこうなどと考えながら、『友』を探しながら会場を歩き始める

とりあえず此処まで

男が会場を進んでいると、見知った顔を見つける。

「あれ、男先輩っすか?」

男の大学時代の後輩であり、今目の前で話している者の名前は「後輩」。
男の知る限りでは、この様な所に来る様な上流階級の者ではないはずだ、などと大学時代を思い出しながら、後輩が此処にいる理由をきく。

もしかしたら、後輩も『友』からの『招待状』を持っているのではないかと期待するも、

「そんなことある訳ないっすよ先輩、先輩の話にはよく聞いたっすけど」
「自分には『あのお方』から直接招待されるほどの面識は無いっすよ」

どうやら友からの招待ではないようだ。

「それに、自分は一応グループの上の人間っすからね」
「こういうパーティーには参加しなくちゃいけないんすよ」

後輩の、今まで全く知らなかった一面に、少し驚愕しながらも、男はまた違和感を感じる。

『あのお方』

男は今度こそその『理由』を問うべく、後輩を問い詰める。

「そういえば、先輩はニュースとか全然見ない人でしたね」
「あと、新聞もとらない」

男は、忙しいんだと誤魔化して話題を逸らした。

「まあ、『あのお方』のことは『あのお方』自身に直接聞いた方がいいと思うっすよ」
「それが、先輩にとっても一番『善い』と思うっす」

さっき少し話した女性にも同じことを言われた、と男は返す。
また、その言葉を全く考えていなかったとも返した。

「先輩は最初に会った時からそういう人だったっすね」
「そしてその『証』も、つまりはそういうことっす」

含みのある言い方をしながらも、何一つ確信をついてはいない後輩の言葉に、男は困惑する。

「先輩は、パーティーを楽しんでるっすか?」
「たぶんっすけど、先輩はこんな最上のパーティーに招待されるのは最初で最後っすから」
「少しぐらい料理を楽しむぐらいしたほうがいいと思うっすよ」

そういうと、後輩は「それだけっす」といい男の元を離れ歩き出す。
男が初めて食べるパーティーの料理は、あまり味がしなかった。

男のいる大広間が少し騒つき始めている。
男が味のしない料理をなんとかして味わっていると、大柄の男が話しかけてきた。

「よくもまあそんな味のしない料理を食べられるな」
「儂なら、そんなもの口に入れる前に遠ざけちまう」

男よりも二周りも三周りも大きい大男に、男は恐縮など知らぬかの様に言葉を返す。
あまり、と表現するには過小評価が過ぎるこの料理は、男の口の中で暴虐を尽くしていた。

「まあ、知っていたらそんなものは食わんか」
「どの料理も空前のものだが、この料理だけは駄目だ」
「こんなものを喜んで食べるのは、それこそ精霊だけだ」

男はそれほどまでとは思わなかったが、この大男はそういかないらしく、
目に見ることでさえ嫌だと言わんばかりに料理を遠ざける。

「どうしてこんな料理を並べるのか、気が知れんわ」

どうやらよっぽど嫌いな様だ。




会場が騒ついている




「『あの方』は最上階のテラスにいらっしゃる」

突然の出来事に男は思わず声を上げる。

「せいぜい寄り道して、心に線をひいてから行くことだな」

大男は胸元の『証』を見ながら、こう続ける。

「どうやら、お前の事を知りたいと思うものも多少はいる様だ」
「少しばかり道草を食ってもバチは当たらん」
「儂らの様な者と言葉を交わすことなど、お前にはもう一生現れんだろうからな」

そういうと、大男は男に背を向ける

「それ以外の料理も食べておけよ」

男が次に手をつけた料理はそれは素晴らしい物であった。

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