…
男「おい!!!!!!ログアウト出来ないって話、マジなのかよ」
友「あぁ、しかも強制的にシャットダウンするとプレイヤーの脳が焼かれて云々」
男「………マジかぁ」
ゾンビs「ゔぁぁあああ………」ゾロゾロ
ゾロゾロ
男「はぁ、ああもうめんどくせえなあっ!」
ババババババーーンッ
HEAD SHOT
HEAD SHOT
HEAD SHOT
ゾンビs「うぼぁ……」ドサッ
男「ったくゾロゾロゾロゾロと、ロッキーの撮影じゃないんだよこれは」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1464630735
友「さすが、照準精度のSMGであれだけヘッドショット決められるとは、やり込んでるね」
男「まぁな、しっかしログアウト出来ないとなると……ふむ」
友「しばらくはこのゲームを遊び尽くすしかないってことだ」
男「ふぅん、まぁそれはそれで退屈せずにすみそうだな」
友「だな」
…
友「こうしてる間にも、俺たちの体は病院のベッドの上とは不思議なもんだなぁ……」
男「…はぁ」
友「ん?どうした男よ、何があった?」
男「いや、いいかげんゾンビの頭を銃で吹っ飛ばすのも飽きたなって」
友「おっ、そうか……まあログアウト出来なくなってもう一ヶ月だもんな」
男「存外、ゲームばっかになると逆に退屈になるもんだな」
友「だったらこの"クラフト"ってスキルを習得してみるのはどうだ?」
男「うん?クラフト?」
友「ああ、このスキルを使えば銃以外武器を自分で作り出すことができるんだ」
男「へぇ、でもそんなのはっきり言って銃より弱いだろどう考えても」
友「ああ、まぁぶっちゃけ死にスキルだわな、でもヒマしてるんだったら丁度いいべ?」
男「……それもそうだな、よし!!!!」
…
男「へぇ、このクラフトってスキルで自分好みの武器を作れるのか」
友「使い込めばデッド○イジング的なこともできるかもな」
男「試しにボウガンとか作ってみたぞ」バーンッ
友「ほう、そりゃすごい」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「さっそく試し射ちだ」
男「喰らえっ!」
ヒュンッ ドスッ
HEAD SHOT
ゾンビ「うげぁ」ドサッ
友「おおっ!なるほど、威力はそこそこ……ボウガンだから消音性もバッチリなのか」
男「オマケに矢は弾より調達が容易だ」
友「ほーん」
男「これは死にスキルっていってたが、やり込めば面白くなるかもしれねえな」
友「すげえな」
…
カチャカチャッ
男「VRゲームだからクラフト中の作業も超リアル」
友「それなら、現実世界に戻れば日曜大工くらいなら出来るようになるかもな」
男「まあ戻れたらの話だがな……」
…
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
スチャッ
女「……………っ!」
ザシュッ!
ゾンビ「ぶえっ」ドサッ
友「おっ、あそこで刀を振るってるのは有名プレイヤーの女さんだ」
男「?……なんだそれ、誰だよ」
友「はっ?お前、このゲームやってて女さんのことも知らないのかよ」
男「ああ、そうだが?」キョトン
友「女さんっていうのは、このゲームを刀一本でやり込んでる凄腕プレイヤーのことだ」
男「俺も今クラフトのスキルでやり込んでるんだが?」
友「しかもリアルの容姿はとびきりの美人らしいとの噂が」
男「ふーん、まぁ興味ないんだが?」
友「はぁまったく、お前はゾンビ以外はとんと無関心だよな、はぁ」
男「ほっとけなんだが?」
女「………」ジー
女「……あなた、珍しいスキル持ってるわね」
男「ん?」
友「お!?」
男「ああ、このクラフトのスキルのことか?」
女「そのスキルって、武器の手入れなんかも出来るみたいだけど」
男「まあ、そういう派生スキルもあるが」
女「……ふぅん」
…
男「ほらよ」
刀「ピッカピカ」
女「!…すごい、私の刀……こんなに綺麗になるなんて、切れ味もずいぶん上がってるみたい」
男「お役に立てたなら何よりだ」
女「……ねぇ、これからもたびたび刀の手入れを頼んでもいいかしら」
男「別にいいが、その代わり必要な素材はそっちが用意しろよな」
女「ええもちろん」
女「それじゃあ、今度ダンジョンの廃墟にでも一緒に潜りましょう」
男「ああ」ヒラヒラ
友「おぃぃいいいいいいっ!!お前何しれっと女さんと仲良くなってんだよこの唐変木め!」
男「知るかよ、別に仲良くなんかなってねーし」
友「ぐぬぬ、こんなことなら俺もクラフトのスキル身につけとくんだったぁ……」
男「めんどくせぇ」
…
女「最近、なんだかプレイヤーたちの様子が変だと思わない?」
男「変?……プレイヤーが?」
他プレイヤー1「ゔぁぁあああ……」
他プレイヤー2「ゔぁぁあああ……」
女「なんだかみんなゾンビみたいになって……一歩も動かず呻いてばかり」
男「単に感染してゾンビ化してるだけじゃないか?」
女「いえ、ステータスを見てもそういった異常はないみたいだけど……」
男「悪ふざけしてるって可能性は」
女「人数が5人10人ならば分かるけど……それが100人200人ともなると」
男「!そんなに多くの人間が」
女「………私の知ってる限りは、だけど」
男(ふむ、運営からの連絡もない……そういえば最近友の姿を見てないな)
男「!……まさか!」ダッ
女「あ、ちょっと!……どうしたのかしら急に」
ピコンッ
女「………?……あら?」
…
友「ゔぁぁあああ……」
男「!……友、お前」
友「ゔぁぁあああ……」
男(ステータスに異常はない、なのにこれは…)
男「おいふざけてんのか?全然笑えないぞ、そんなの」
友「ゔぁぁあああ……」
友「ゔぁぁあああ……」
友「ゔぁぁあああ……」ヨロヨロ
男「っ………なんなんだよ、いったい」
…
男(近頃はすっかり街中で人間の姿を見なくなった……いるのはNPCとゾンビのようになってしまったプレイヤーばかり)
男(女の奴は影も形もなくなってしまった……)
男「どうなってんだ……まったく」
ピコンッ
男「ん?……あれ?いつの間にかログアウト出来るようになってるぞ、全然気づかなかった」
ポチッ
男「!!?」
ヴォオオオオンッッ
……
…
男「ぷはっ、はぁ……はぁ…っ」
男(こ、ここは、病室か?……くっ、体が重い、寝たきりですっかり鈍ってる、ヘッドギアが邪魔だ)
男「お、おーい、誰か……いないのか!」
シーーン……
男「そうだ、ナースコールを押せば……?反応がない、壊れてるのか?」
男(くっ、仕方ない……とにかく病室の外に出よう)
男「!……これは、なんで病院の廊下がこんなに散らかってるんだ?それにこれは……血?」
ドア「」
ガンガンガンガンガンガンッ!!
男「!?」
男(な、なんだこの扉……鎖で施錠されて、向こうに誰か……いや、まさか)
ドア「」
ガリガリガリ……ガリガリガリ
?「ゔぁぁあああ……」
男「ひっ!」
男「はぁ、はぁ……はぁはぁ」タッタッタッ
男(重たい足を引きずるようにして病院の外に出ると、そこには大量の死体袋が転がっていた)
死体袋「」モゾモゾ
男(なかには、中で何かが動いているものもあった)
男「まさか、こんなのまるで……まるでドラマかゲーム、みたいな……」
ガサッ
男「!」
男(物陰から、なにか…)
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「う、うわあああああああっ!!!!」
…
男「くそっ、くそっ!……はぁ、ぜぇ」
男(これは現実なのか、俺はまだログアウトしていなかったのか……でも)
男「……ぜぇ、ぜぇ」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男(息が苦しい、間違いなくこれは現実だ……だったら俺を追いかけてくる<奴ら>も」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「くっ、うぅ……」
男(どうやら、このリアルで本当にゾンビパニックが巻き起こってしまっているらしい、が)
男「くっそ、なんだよ……なんなんだよ一体!!」
…
男「はぁはぁ、こ、ここは?」
ホームセンター「」
男「ホームセンターか……!そうだ」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男(よし、ある程度の道具が揃ってる……これなら)
カチャカチャカチャッ
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「よしっ!」
手製ボウガン「」 ジャキンッ
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「これでも喰らええっ!!」
バシュッバシュッ
ドスッドスッ!
ゾンビ「がっ、ぁ……」
男「よ、よし……もう一匹」
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「くっ!」
手製ボウガン「」 バキッ
男「あっ!」
男(ボウガンが、壊れた……くそっ!やっぱりゲームみたいにはいかないのか!)
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
男「う、うぁ……ああ」
男(もう、ダメだ…)
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」
ガバッ
バイク「」 ブルンブルンブルルルルッ
ゾンビ「ゔぁぁあああ……」ピタッ
男「ぇ?」
?「……ふんっ!」ブンッ
ザシュッ!ゴシャッ!
ゾンビ「ぐ、ぇ…ご、ひゃ……」
男(唐突にバイクのエンジン音がしたと思ったら、そこから降りたった誰かがゾンビの頭を滅多打ちにしてしまった)
男(そいつは長い黒髪で、セーラー服の上にプロテクターを身につけ……その手で木刀を振るっていた)
ゾンビ「」 ピクッピクッ
女「ふぅ……危ないところだったわね、大丈夫?あなた」
男「えっ、ぁ……お前、お前は」
女「?………あっ、あなた!……そのボウガンもしかして」
…
女「そう、それじゃあ今日までログアウトせず病院のベッドの上にいたってわけ」
男「あ、あぁ……そうだ」
女「運が良かったのね、大抵は寝たきりのまま彼奴らに……食われるのがオチなのだけど」
男「食われるって、それは」
女「もちろん、ゲームの話じゃないわよ」
男「……っ」
男「待てよ、それじゃあ……ゲームの中でゾンビみたいになってたプレイヤーは、まさか」
女「そう、ログアウトも出来ずゾンビに食われて……現実でゾンビになってしまった人たちよ」
男(そんな、じゃあ……友は、もう……)
女「……せめて苦しまずにすんだことを祈る他ないわ、今となってはね」
男「……………」
男「いったい何で……こんなことに」
女「何故、なんて今さら意味のないことよ……新聞じゃ化学汚染や新種のウイルスなんて書いてあるけど、真相がこんなところに書いてあるわけない」
男「……そうか」
男「それで、そっちはずっと一人で、こんな世界で生きてたのか」
女「?……いいえ、私一人じゃないわ、妹と一緒に、今日まで何とか生き延びてきたの」
男「妹?」
女「ええ、紹介するわね」
男(そう言って彼女は、バイクの後ろに乗せていたクマのぬいぐるみを俺の方に連れてきた)
ぬいぐるみ「」
女「見ての通り、ちょっと人見知りで、ほら、ご挨拶して」
ぬいぐるみ「」ユサユサ
男「あっ(察し)」
女「目が覚めた後、お父さんもお母さんもいなくなってたけど……この子だけは見つけることができた。私も本当に運が良かった」
ぬいぐるみ「」
女「………ふふ、うん……私も大好きよ」
ぬいぐるみ「」
男「」
男(『キャスト・アウェイ』かよ……)
女「この先に私達が根城にしてる場所があるの………とりあえずそこまで行きましょう」
男「あっハイ」
女「どうやらゾンビどもはハシゴは登れないみたいだから、高所に逃げればとりあえず安全………ん?」
ぬいぐるみ「」
女「うん……大丈夫、彼は信用できるわ、多分ね……大丈夫、いざとなればお姉ちゃんが守ってあげるから、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫」ナデナデ
ぬいぐるみ「」
男「お、おう……じゃあとりあえずそこに行こうか」
女「ええ、行きましょう」
…
男(彼女の案内した場所に着いたころには陽がすっかり暮れてしまった)
男(見知らぬアパートの屋上で横になり、これからどうすればいいのか……そればかりが頭の中を巡っていた)
女「ねんねーん、ころりーよ……ふふ」
ぬいぐるみ「」
男(……どうすっかなぁ)
こんな、男の追い込まれた状況に対してあの人がひとツッコミ
ダミ声「2ストライクからの代打か!」
おわり
依頼出す
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