怪盗少女野崎くん (13)

某日、浪漫美術館

若松「堀警部……やつは本当に来るんでしょうか」

堀「来ないわけないだろ若松警部補、こんな手紙まで送ってくるんだからな」

『今夜9時、ガールズプリンセス3限定フィギュアを頂く 怪盗夢野』

堀「こんなフィギュアに価値があるとは思えないけどな」

若松「そうですよね……」

堀「怪盗夢野……一体正体は誰なんだ」

若松「仮面被ってるから分からないですよね」

堀「イケメンなんだろうか……」

若松「気になるのそこですか!?」

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パリーン!!

若松「ガ、ガラスが割れました!!」

堀「来たか!!」

コロンコロン……

若松「……!! 違う……これは……マネキンの足!!」

堀「……いい足してるじゃねえか」ジー

若松「見とれてる場合ですか!?」

〜♪

若松「zzz……」バタッ

堀「!? おい、大丈夫か!?」

堀「……!! ちょっと目を離した隙に……フィギュアが消えてる!!」

堀「くそっ……夢野のやつめ……」










野崎「手に入れた、ヘリを動かしてくれ」

御子柴「野崎てめぇ!! ふざけんじゃねえぞ!!」

野崎「な、なんで手に入れたのに怒ってるんだ?」

御子柴「フィギュアに指紋つくから盗む時は手袋しろっていつも言ってるだろ!!」

野崎「す、すまない……」

野崎「今回は堀警部も若松警部補も来ると聞いたからな、このマネキンの足型CDプレーヤーを使った」

御子柴「それで二人を一網打尽にしたわけか、流石だぜ!!」

野崎「……」

俺の名前は野崎梅太郎。怪盗夢野の名前で怪盗をやっている。

ではここで俺が怪盗になったきっかけを教えよう。

「クソ!! また盗まれた!!」

「おのれ怪盗剣!!」

野崎「……」

怪盗剣は予告状で示した通りの時間に誤差なく必ず来ることで有名だった。

9時に来ると書けば9時になった瞬間に颯爽と現れる。

俺はあの人の正確性に憧れたのだ。











……ただ、時々体型が仇となって狭い所に挟まってしまうという事もあったそうだ。

いつも目的の物を瞬時に盗み去る剣さん。

しかしヘリコプターで去ろうとしたある日……

前野「あっははは!! 参っちゃうよねー!!」

宮前「前野おおおおおおお!!!」

パートナーである前野がヘリコプターの運転そっちのけで電話していたのだ。

結果、捕まったのは剣さんだけ。前野は未だに捕まってない。

野崎「剣さん……」

俺は剣さんが捕まったのが悔しくて仕方がなかった。

野崎(そうだ……剣さんなき今……俺があの人の意思を継ぐしかない!!)

野崎(しかし俺自身が盗みたい物がない……)

御子柴「あー……世界中のギャルゲーとか美少女フィギュアが全部俺のもんになんねーかなー……」

野崎「!!!」

御子柴「な、なんだよ野崎……」

野崎「俺と手を組まないか!?」

御子柴「!!?」

野崎「世界中のフィギュアやギャルゲーを盗むんだ!!」

御子柴「はぁ!? ふざけんじゃねえよ!! なんで俺が犯罪者にならなきゃいけねえんだよ!!」

野崎「頼む!! こんな事を頼めるのは……なんでもできるお前しかいないんだ!!」

御子柴「……へっ、よく分かってるじゃねえか……いいぜ、なってやるよ……怪盗にな!!」

野崎(ちょろい)

こうして俺は御子柴と組んで怪盗を始めた。

御子柴「野崎!! 次はこれ行くぞ!!」

野崎「これは……黄金のタヌキ人形?」

御子柴「おう」

野崎「待ってくれ、これは美少女フィギュアじゃないだろう。 どうして欲しいんだ?」

御子柴「このタヌキ人形の中に隠しCG解放のパスワードがあるからな」

野崎「……」

御子柴「……すげえ嫌そうな顔だな」

野崎「ああ、タヌキは嫌いなんだ。 前野を思い出すからな」

若松「堀警部……怪盗夢野はこの黄金タヌキを本当に盗みに来るんでしょうか」

堀「ああ、来る……それにやつらもな」

『今夜9時、黄金のタヌキとあなたのハートをいただきに参上するよ あとぶっ飛ばしに
ミスタープリンスとミスローレライ』

若松「ミスタープリンスとミスローレライ……」

堀「ああ……まさかあの二人組と怪盗夢野が同時に来るとはな……」

堀「警戒しろよ、新人」

佐倉「はい!」

若松「そういえば佐倉さんはどうして警察になったんだっけ?」

佐倉「はい! 私は怪盗夢野を見つけて……」

堀(やっぱりな……最近のやつらの動機はほとんど夢野を捕まえる為だからな)

佐倉「一緒に暮らします!!」

堀「捕まえろよ」

堀「いいか新人、ミスタープリンスとミスローレライの窃盗手段はこうだ」

堀「まずミスタープリンスが颯爽と現れみんな見惚れる。この攻撃には男女関係なく通用する」

堀「ミスタープリンスに見惚れてる隙に、ミスローレライがバスケットボールを巧みに操り警察を蹴散らす」

堀「そしてそのまま品を持ち去るってわけだ。 分かったか?」

佐倉「はいっ!!」









パリーン!!

若松「来ました!!」

鹿島「これ……持っていってもいいかい? これ以上君達を傷つけたくないんだ」

「王子……」

「王子……///」

瀬尾「おっしゃあ!! 今のうち!!」ブン!!

「くはあっ!!」

「どわっ!!!」

瀬尾「全員ぶちのめした!!」

鹿島「じゃあこのタヌキは……」

ドゴォ!!

鹿島「はうっ!?」

堀「何回も通用すると思うな」

ガシッ

瀬尾「!!」

若松「何回あなたのボールを受けたと思ってるんですか……」

瀬尾「面白え!! だったら倒れるまでやる!!」

若松「来い!!」

堀「今日という今日は逃さねえぞ!!」

鹿島「いたたたた!!!」








御子柴「見ろ野崎!! あいつら……」

野崎「ああ、俺達に気づいてないうちにさっさとこのタヌキを……」

ガシッ

野崎「ん?」

佐倉「つ、捕まえた!!」

野崎「お前……ミスローレライにやられてたんじゃ!?」

佐倉「背が小さいから当たらなかったの!!」

野崎「くっ……この女、なかなか離れない」

御子柴「野崎!! 俺に任せろ!!」

佐倉「……?」

御子柴「この俺に……お前のハートを奪わせてくれ」

佐倉「……」ギュウウ

野崎「離れてくれ!」

御子柴「無視すんなよ!!///」

堀「佐倉!! しっかり捕まえててくれ!!」

佐倉「!!」

野崎「しまった!! こっちに気づいた!!」

瀬尾「なんだお前らもいたんだー」

鹿島「」バタッ

若松「」バタッ

堀「もう逃さねえぞ夢野……」

野崎「万事休す……」

御子柴「……あっ!!!」

野崎「どうした御子柴!?」

御子柴「黄金のタヌキ人形が……ねぇ!!」

佐倉「あっ!! 手紙が……」

『喧嘩してる間にタヌキはいただきました!! あっ、これって僕のですよね?』














一同「前野おおおおおおおおお!!!」

〜終わり〜

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