王様「さあ、魔王を倒しに行くのじゃ!勇者よ!」勇者「嫌ですけど」 (17)


王様「いやいや、嫌とかじゃなく。これ命令だから」

勇者「無理ですって」

王様「おぬし勇者であろう!何故そうも弱腰なのじゃ!」

勇者「じゃあ言わせてもらうけどさ」

王様「要望があるならはっきり言うがよい」

勇者「150Gって何よ」

王様「何って、軍資金の初期費用じゃが」

勇者「安いわ!!!!!!」

王様「!?」

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勇者「せめて防具一式と武器買えるぐらいは寄越せや!!!!」

王様「……」

勇者「俺一応公務員じゃん。王国に雇われて命令受けてるわけじゃん」

王様「まぁ…」

勇者「150Gもらって危険な旅に出るくらいなら畑仕事を地道に続けてた方が稼げるし、そっちやるし」

王様「しかし……勇者の器として生まれてきたからにはおぬし以外には…」

勇者「まあね。まあ、そうよ。一応勇者の血として生まれたよ。回復力は人以上に高いし、人よりかなりタフよ。でもさ…」

王様「?」

 




勇者「だからってなんで普段着に棒切れと薬草だけなん?」

王様「それは…レベルの兼ね合いで…」

勇者「棒切れくれるくらいなら家の包丁とか持ってくるし」

王様「勇者が包丁でうろうろしてたら怖いじゃろ…」

勇者「棒切れぶら下げて『魔王退治する!』って言ってる方が怖いだろ!!!!!そういうのは初等教育で済ませとけや!」

王様「!?」

王様「そ…そうじゃ!北の洞窟に行けば強い武器があるぞ!それに、モンスターを倒せばアイテムや資金は調達できるではないか!」

勇者「あんた正気か?」

王様「モンスターも駆逐出来て、資金調達もできて一石二鳥ではないか!」

勇者「こわ……サイコパスかあんた…」

王様「なぜじゃ」

勇者「それただの追いはぎだろうが!!!!」

王様「!!」

勇者「それにさ!魔王はスライムにだって小銭を渡してるんだよ」

王様「…」

勇者「それを殺して奪い取れってあんた悪魔かよ」

王様「悪魔は彼奴らじゃ!人間に害を…」

勇者「あんた城から出たことないからそんなこと言えるんだよ」

王様「??」

勇者「大概モンスターってうろうろしてるだけだぜ」

王様「!」

勇者「こないだも畑しごとしてたらオークのご夫婦が『いつもご苦労様』って言ってくれたよ」

王様「!」

勇者「うれしかったぜ?」

王様「…」

勇者「それに、モンスター倒して資金をっていうけどさ…」

王様「?」

勇者「お前スライムの一家とか見たことないだろ?」

王様「下劣な生物の一族など!」

勇者「そんな言い方をするんじゃねえ!!!!」

王様「!」ビクッ

勇者「スライムはきれいな水が食糧なんだ」

王様「スライムごときが清水を飲むなど!」

勇者「まあ聞けよ」

勇者「今、きれいな水なんてあるか?殆どねえよなぁ?なんでだ?」

王様「魔王の…」

勇者「てめえらのせいだろうが!ボケェ!!!!」

王様「!」

勇者「山切り崩して木切って!生活排水垂れ流してんのはどこの誰じゃオラァ!」

王様「そ…それは…」

勇者「ほんのちょっぴりのきれいな水をお父さんスライムが家族の為に何度も何度も往復して運んで家族を養ってんだよ!!人間に殺されるかもしれないリスクを背負ってなぁ!」

王様「だが、奴らも人間を襲う!!それが許されるものか!!」

勇者「スライムの攻撃なんかさ…せいぜい噛み跡ができるくらいなんだよ」

王様「!」

勇者「大したダメージでもなければ、何なら足がちょっと湿る程度だよ…」

王様「…」

飽きてきた

勇者「モンスターで人間に危害を加えるような奴はいねえんだよ。そこら辺わかろうや」

王様「じゃが…北の洞窟!そう!北の洞窟に入った人間は皆傷を負っている!なんなら死者も出ているぞ!これは許されざることじゃろう!」

勇者「アンタだって自宅の寝室に知らねえ奴がいたら攻撃するだろうが」

王様「ま、まぁ」

勇者「それと同じだよ。彼らの住処に武器持って『財宝はどこだ』なんて押し入って来たら攻撃するだろうよ」

王様「しかし…魔王がいる以上、やはり討伐せねばならんじゃろう」

勇者「なんで?」

王様「人間に危害を加え。侵略をたくらむような輩は放ってはおけぬ!」

勇者「いやマジで何言ってんのアンタ」

王様「いや…だから」

勇者「何か被害あったの?」

王様「それを未然に防ぐために!」

勇者「それなんて言うか知ってる?」

王様「なんじゃ」

勇者「侵略だよ!!!」

王様「!」

勇者「「『あいつ危なそうだし殺しとこww』ってお前は修羅か!!!!」

王様「じゃが奴が『魔王』を名乗っている以上、人間の危険は免れないじゃろう!」

勇者「『魔王』だから何だってんだ!!!!ただの『魔物の王』じゃねえか!!!!!」

王様「!!!!」

勇者「誰も『悪いやつ』とは言ってねえじゃねえか!!!!!」

王様「た…確かに」

勇者「悪の大王とか名乗ってたら率先して[ピーーー]べきかもしれねーけど、自分の種族の王様名乗って何が悪いんだってんだ」

王様「…」

勇者「おまえさあ、もう少し考えたほうがいいぜ?」

王様「…」

勇者「そんな簡単な考えだからさあ、財政悪化するんじゃん」

王様「…」

勇者「兵隊派遣する金もないからさあ、俺一人に150Gで旅にいかそうとしてるんでしょ?」

王様「…」

勇者「150Gて」

勇者「薬草一つ15G。薬草10枚だぞ」

王様「…」

勇者「ガキの遣いじゃねえんだからさ」

王様「…」

勇者「国が出す金じゃないだろ」

勇者「ここ数百年この国は魔物に襲われたりしてないじゃん」

王様「…」

勇者「財政悪化と不信任を魔物のせいにしたらダメでしょ」

王様「…グスッ」

勇者「だから西の村も南の街も独立しちゃうんだろ」

王様「…グスッ…エグッ」

勇者「もういい加減米寿だろ?泣くなよ」

王様「ズビッ」

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