P「俺のおにぎり知らないか?」 (38)


美希「え?」

P「いや、俺がここに置いといたおにぎりなんだが……」

美希「知らないよ?」

P「トイレに行く前は確かにあったんだが……」

美希「知らないの」

P「………」

美希「知らないってば」


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P「駅前に新しくできたおにぎり屋で買ってな……」

美希「うん」

P「結構大きめのおにぎりでさ……」

美希「へ~」

P「三つあったんだよ……」

美希「そうなんだ」

P「………」

美希「………」


P「この事務所にさ……」

美希「この事務所に?」

P「俺たち以外、今いないよな……」

美希「いないね」

P「小鳥さんも社長もいないし……」

美希「only twoなの」

P「だよな……」

美希「なの」

P「………」

美希「……ん?」


美希「……ねえ、プロデューサー」

P「なんだ?」

美希「もしかして……美希のこと疑ってるの?」

P「………」

美希「美希がプロデューサーのおにぎりを盗んだって思っているの?」

P「………いいや、思っていない」

美希「そう、それならいいの」

P「盗んだっていうか、美希は既に食べていると思ってる」

美希「意味合い的には同じことなの!」


美希「なんなの!なんなんなのなの!!」

美希「美希は他人の物を勝手に食べるなんて、そんな浅ましいことしないの!!」

P「だけどなぁ……」

美希「プロデューサーは美希がそんなことするって思ってるの!?」

P「うん」

美希「ノータイム!?ノータイムで肯定!!?」

P「なんか悪気なく食べそうな気がするんだよなぁ」


美希「とにかく!美希は食べてないの!」

P「そうなの?」

美希「そうなの!」

P「しかし、トイレに行って戻るまでの数分間で無くなったんだぞ?」

美希「そんなの知らないの!」

P「事務所には俺たちしかいないんだぞ?」

美希「それは知ってるの!」

艦これのやつのパクリかよ


美希「そもそも証拠もないのに、美希を犯人扱いするなんて酷すぎるの」

P「状況証拠としては完璧なんだが?」

美希「状況証拠だけじゃ証拠として弱いと思うな」

P「まあ確かにそうだが…」

美希「証拠もないのに犯人扱いして美希は大変傷ついたの」

P「………」

美希「でも、美希は寛大だから許してあげるの」

P「………」

美希「本来なら美希は10倍返しにしてやり返す女だけど運が良かった――」

P「そういえば事務所内に防犯カメラがあったな」

美希「――え?」


美希「え?……防犯…なに?」

P「防犯カメラ、前に防犯のために事務所前と事務所内に付けるって言っただろ?」

美希「なにそれ?美希知らないよ?」

P「言ったぞ、もしかして聞いてなかったのか?」

美希「………」

美希「…そ、そんな嘘に騙される美希じゃ――」

P「ほら、あっちの天井隅にカメラがかかっているだろ」

美希「――うん……」


美希「………」

P「………」

美希「………」

P「そんじゃあカメラの録画をチェックす」

美希「待って!」

P「………」

美希「………」


P「……食べたって認めるのか?」

美希「………」

P「認めるんだな?」

美希「…美希は………」


美希「美希は…食べ………」



美希「……てないの」


P「録画したのを確認するわ」

美希「待って!待ってってば!!」


P「なんだよ、食べてないなら問題ないだろ?」

美希「問題ありまくりなの!」

美希「乙女のプライベートを隠し撮りしてるなんて変態!変態大人なの!」

P「隠し撮りって、ちゃんと説明してただろ?」

美希「美希は聞いてないからノーカンなの!」

P「ノーカンって……」

美希「とにかく!隠し撮りなんて認めないの!」

P「お、映った映った……はは、美希がよだれ垂らしながら寝てるぞ」

美希「やーーーー!!」


P「おーい、美希ー」

美希「んーーー!」

P「そこどいてくれよ、モニターが観れねえよ」

美希「観なくていいの!」

美希「美希の恥ずかしい姿なんて見ちゃダメなの!!」

P「いや、おにぎりを食べた犯人を見たいだけなんだが」

美希「観なくていいの!!」

P「どうしろっていうんだよ」


美希「…ふぅ、わかったの……」

P「?」

美希「美希は食べてないけど…美希は食べてないんだけど」

美希「プロデューサーがあまりにもしつこいから……おにぎり代払ってあげるの」

P「わかってないよね?君なにもわかってないよね??」

美希「いくら払えば…プロデューサーは納得してくれるの?」

P「嫌なわかり方だな、おい」


P「じゃあ1つ250円だったから3つで750円」

美希「750円ね……はい」チャリン

P「おう……って352円しかないんだが?」

美希「それが美希の全所持金なの」

P「352円でよく『いくら払えば…プロデューサーは納得してくれるの?』って言えたな」

美希「い、家に帰ればもうちょっとはあるの」

P「給料とかどうしているんだ?」

美希「親に、ほとんど管理されてるの……」

P「まあ中学生だしな」

美希「考えてみれば中学生に集るとか良くないって思うな~」



P「はあ……もうおにぎりとかいいや、金も返す」チャリン

美希「え?もういいの?」

P「ああ、そろそろ打ち合わせの時間だしな」

美希「そ、そうなの……」ホッ


P「………ちなみに」

美希「ん?」


P「あのおにぎりだけどな」

美希「うん」

P「そもそも美希の為に買ってきたんだが……」

美希「美希の!?」

P「ああ、美味しいって評判だったからな」

美希「………」

P「無くなったのは残念だけど……」

美希「………」

P「仕方ないな……」


P「証拠も無しに疑って悪かったな」

美希「………う、うん」

P「それじゃあ行ってくるわ」

美希「いってらっしゃい……なの」


<パタン


美希「………」


美希「………………」



美希「………………………………」


次の日

<ガチャ

美希「おはようなの~」

P「おう、おはよう美希」

美希「おはようプロデューサー」キョロキョロ

美希「あれ?プロデューサーだけ?」

P「ああ、小鳥さんは出かけてる」

美希「そっかー」


美希「ところでプロデューサー」

P「ん?なんだ?」

美希「美希ね……プロデューサーに謝らないといけないことがあるの……」

P「そうか」

美希「実はね……」

P「ああ」

美希「昨日のおにぎりを食べたのは……」

P「おう」

美希「………」

P「………」


美希「…美希なの……」

P「知ってた」


美希「やっぱり知っていたんだね……」

P「そら知ってるわ」

美希「それなのに黙っていてくれたんだね」

P「いや、頑なに美希が認めなかっただけだよな?」

美希「ありがとう……そしてゴメンナサイなの」

P「あ…うん……はい…」


美希「それで、これをもらってほしいの……」ガサ

P「ん?なんだこれ?おお、結構重いな」

美希「美希の反省の気持ちなの」

P「気持ちって……おにぎり?」

美希「うん、美希が握ってきたの!10倍返しで30個!!」

P「さ、30個か……色んな意味で重たいな」

美希「美希の気持ちだからね!」

P「お、おう…」


美希「さ、温かいうちに食べてほしいの」

P「そうだな……そんじゃあ鮭から」ハムッ

美希「………」

P「………」モグモグ

P「………」ゴクン

美希「………」

P「これ…美味いな……」

美希「――!!」パアァァ


<ガチャ

真美「おっはー」

亜美「おはおは~」

伊織「おはよう」

やよい「おはようございまーす」

P「おお、おはよう4人とも」モグモグ

美希「おはようなの」

真美「むむ!兄ちゃんが美味しそうなのを食べてますなぁ」

P「おう、真美も食うか?」モグモグ


真美「いやいいよ、朝ごはん食べたばっかりだからね」

亜美「それにこれから厳ちいレッスンだし」

P「そうか」モグモグ

伊織「それじゃあ行ってくるわ」

P「もういくのか?」

伊織「ええ、美希を迎えに事務所に来ただけだから」

美希「えへへ、デコちゃんありがとなの」

伊織「デコちゃん言うな」


P「…美希、俺におにぎりを渡すために……」

美希「プロデューサーいっぱい食べてね、それじゃあ行ってくるの」

P「……ああ、行ってこい」

やよい「プロデューサーいってきまーす!」


<パタン


P「………」


P「………………」モグモグ


P「それにしても30個か……さすがに今日中には食いきれないな」モグモグ

P「残った分は冷凍でもして、後日食べようか」モグモグ

P「………」モグモグ

P「………」モグモグ

P「…喉乾いたな…お茶でも淹れてこよう……」トコトコ



<ガチャ


貴音「おはようごさいます」


貴音「……どなたもおられないようですね……」


貴音「……おや?この袋は……」


貴音「…………」







P「おう、おはよう貴音」

貴音「おはようございます、プロデューサー」

P「今日はラジオの収録だったか?」

貴音「はい、響と春香と一緒に午後から」

P「そうか、二人が事務所に来たら、スタジオまで送っていくよ」

貴音「ありがとうございます」

P「………」

貴音「………」

P「ところで貴音」

貴音「はい」

P「一つ聞きたいんだが」

貴音「はい」






P「俺のおにぎり知らないか?」








おわり

終わりです
ありがとうございました


>>7
そのつもりはありませんでした
お目汚し失礼しました

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