真姫「ツーリングに」絵里「行くわ」 (60)

第一話:真姫「バイクの免許を取るわ」
第二話:真姫「バイクの免許を取ったわ」
第三話:真姫「ツーリングの準備よ」海未「…何故それを私に言うのですか?」

上記の続編です。

ツーリングの時期は秋を想定しています。
なお、道中のシチュは仮想のものですので実際の道路環境とは違います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463538138

海未「だから何故それを私に言うんですか?」

真姫「実はまだ行き先が決まらないのよ」

海未「それで?」

絵里「だから海未に決めてもらおうかな~って」

海未「いやいや、私が同行するならまだしも私は参加しませんよ?」

真姫「前回のあなたの意見がすごく的確だったから今回もまたあなたに相談しよう、って話になったのよ」

海未「私の与り知らぬ所で勝手に話が進んでいるんですね」

絵里「まぁまぁ、それにソルゲ組の仲間として海未だけ除け者にはできないわ!」

海未「私よりもBiBiの仲間であるにこの事を尊重してあげてください」

真姫「それで行き先はどこにしましょうね?」

海未「私の話聞いてます?」

絵里「簡単に決められると思ったけど、意外と決められないものね」

海未「おーい」

真姫「あまり遠すぎても大変そうだけど、でも近すぎても面白みに欠けるわよね」

海未「今日は良い天気ですねー」トオイメ

絵里「ちょっと海未、聞いてるの?」

海未「貴女達こそ」

海未「はぁ…わかりました」

絵里「ついに意見を出してくれるのね!」

真姫「さぁどこ?どこに行けばいいの?」

海未「ちょっ、何ですかそのテンションの上がり方は!?」

海未「今から言いますから少し落ち着いてください」

絵里・真姫「はーい」

絵里「それで海未案としてはどこなのかしら?」

海未「そうですね、栃木県の日光なんていかがでしょう?」

真姫「栃木県?結構遠くない?」

海未「那須まで行くなら遠いかもしれませんが、日光ならそれほどでも無いでしょう」

海未「泊りがけでいく遠出が隣県では面白く無さそうですし、ならばその先の県まで行ってみてはどうかと」

絵里「まぁそれも一理あるわね」

海未「他にも理由がありまして、実はここ東京から日光までのルートは比較的簡単なのです」

海未「大雑把に言えば国道4号線と119号線を進めば着きます」

海未「なので道に迷う心配も少ないので初心者ツーリングにはオススメできるかと思いました」

真姫「それなら確かに迷う心配はほとんど無さそうね」

真姫「ところで何で日光?」

海未「私事で恐縮なのですが、実は小さいころに家族旅行で行った事があるんです」

海未「その際に日光東照宮へ行ったのですが…詳しい事情は忘れてしまいましたが、奥宮を見る事が出来なかったんです」

海未「なので差し支えなければ二人にそこの様子を見てきていただければと思いまして」

海未「あとは東照宮は勿論の事、そもそも日光は観光地としても有名ですしね」

絵里「確かに中禅寺湖や華厳滝も有名ね」

絵里「それに秋の日光となると紅葉もきっとステキなんでしょうね」

真姫(この流れじゃ「日光なんて猿軍団のイメージしかなかった」なんて言えないわね)

真姫「距離ってどのくらいになるのかしら?」

絵里「そうね、ちょっと調べてみましょうか」

絵里「とりあえず暫定的に秋葉原駅から日光東照宮までで検索して…」PCカタカタ

絵里「ふむ、一般道で行くと距離が147kmで所要時間は3時間と少々」

絵里「ちなみに高速道路を使うと153kmで時間が2時間強ってところね」

真姫「景色を楽しみながら行きたいし、ここは下道を通って行きましょう」

絵里「とすると所要時間は3時間少々となるけど…」

海未「二人ともまだ初心者ですし、それに休憩しながら向かう事を考えるとなると…」

真姫「多めに見て5時間もあれば着くかしら?」

絵里「とりあえずはそれくらいを想定しておけばいいんじゃないかしら」

海未「では行き先も決まったようですし、私はこれで…」

絵里「Wait!」

海未「まだ何かありますか?というか何故英語?」

絵里「さっき言ってたけど、海未は昔この辺りに行った事があるのよね?」

海未「はぁ、そうですが」

絵里「せっかくだからこの辺りの他の観光スポットも教えてもらえないかしら?」

海未「それは構いませんが、ここまで来たら二人で決めたらいいのではないですか?」

絵里「いやいや、寧ろここまで来たら最後まで付き合って欲しいわね」

海未(何でだよ)

海未「先ほど絵里が言った中禅寺湖や華厳滝はまぁ有名所ですよね」

絵里「そうね、日光といえば他には何かしら?」

真姫「猿軍団?」

海未「確かに有名ですが、でももし猿が見たいだけならわざわざ見に行かなくてもその辺に結構いますよ?」

真姫「え、そうなの?」

海未「はい、今もいるかはわかりませんが私が行った時には道中はもちろん土産物屋にもいました」

絵里「聞いたことあるわ、お店の食べ物や観光客の荷物を持って行ってしまったりするらしいわね」

海未「なので二人も猿に襲われないよう注意してくださいね」

海未「あとは…いろは坂や東武ワールドスクウェア辺りが有名でしょうか?」

真姫「何ソレ?」

絵里「いろは坂は言ってしまえばただの峠道よ、ただそこの景色は絶景らしいわね」

海未「そうですね、ましてやこれからの紅葉シーズンは最高の景色が拝めるのではないでしょうか」

真姫「ふ~ん、それでもう一つの東武…なんとかは?」

海未「なんて言えばいいいんですかね…テーマパーク、とでも言えばいいんでしょうか」

海未「ここにも行った事はありますが、私は結構楽しめましたよ」

海未「それに勉強にもなりますし」

絵里「勉強に?と、とりあえず詳しい事はあとで調べてみましょうか」

真姫「それもそうね、とりあえずはここまで挙がったところだけでも充分かしら?」

絵里「それぞれの位置関係がまだわからないから何とも言えないけど、とりあえずはいいと思うわ」

絵里「それに初日はきっと移動の疲れで全部を回るなんて無理な気もするわ」

海未「ある程度のスケジュールは決めつつも、実際のところはその時に決めるのが良さそうですね」

真姫「ありがとう海未、今回もとても参考になったわ」

海未「いえ、ただ私の行きたい所を言っただけですので」

絵里「それでも充分よ、私たちだけでは何も出てこなかったんだから」

海未「それはそれですごいと思いますけどね」

真姫「よし、それじゃ詳細を詰めていくわよエリー!」

絵里「じゃあ真姫の家で話し合いましょうか」

海未「では今度こそ私はこれで失礼しますね」ソソクサ

真姫「ただいまー」

絵里「おじゃまします」

真姫「さてあとは私たちで決めなくちゃね」

絵里「行き先はとりあえず決めた事だし…出発時間を決めましょうか?」

真姫「そうね、現地に着く時間と想定している所要時間を考慮すると…8時出発でどうかしら?」

絵里「昼食を向こうでとるならそれくらいの時間じゃないとダメね」

真姫「それに朝なら道路も比較的空いてそうだし私たちには好都合なハズよ」

絵里「じゃあ8時発で集合場所は…うん、私が真姫の家まで行くとするわ」

真姫「わかったわ、あとは向こうに着いてからどこを見て回るか、ね」

絵里「とりあえず海未に願いを託された東照宮はマストだし最初に行っておきたいわね」

真姫「地図によれば中禅寺湖、いろは坂、華厳滝はそれぞれ近くにあるみたい」

絵里「じゃあ東照宮の後はそっち方面に行ってみましょう」

真姫「東武ワールドスクウェアはちょっと遠いのね」

絵里「でも猿軍団が近くに…ハッ!真姫っ!」クワッ

真姫「ヴェッ、何!?」

絵里「ここに行くわよ!!」ビシッ(地図を指す)

真姫「日光江戸村…何ここ?」

絵里「さぁ?でも名前から察するにきっと江戸を体験できるのよ」キラキラ

真姫「アバウトね…でもそっち方面で他に行く場所も決めてないし候補として残しておきましょう」

絵里「そういえば泊まる場所はどうしましょう?」

真姫「観光シーズンって事を考えたらもしかしたら宿をとる事すら難しいかもしれないわね」

絵里「確かに…インターネットで軽く調べてみたけど、ダメそうね」

真姫「もしかしたらパパのツテで何とかなるかもしれないから後で相談してみるわ」

絵里「申し訳ないけどお願いね、できれば値段が高くない方が嬉しいんだけど…」

真姫「了解、それも伝えておくわね」

絵里「じゃあツーリングをする正式な日は宿を確保できてからにしましょう」

真姫「そうね、あとはその日が雨にならない事を願うわ」

絵里「て、てるてる坊主を作っておくわ!」

真姫「いざとなったら穂乃果に頼んでみましょう、フフフ」

真姫「絵里、ホテルの確保ができたわよ!」

絵里「本当?ありがとう真姫!」

真姫「来週の土曜日、東照宮の近くのホテルを確保できたわ」

真姫「それに値段もちょっと安くしてもらえたわよ」

絵里「何から何まで本当にありがとう、これであとは当日を迎えるだけね」

真姫「ええ、今から本当に楽しみだわ」

絵里「来週の土曜というと…うん、予報では天気も良さそうね」

真姫「行き先はだいたい決めたし、あとは当日の様子を見ながら臨機応変に対応していきましょう」

絵里「それじゃあ来週の土曜日はよろしくね」

真姫「あっという間にもう当日ね」

真姫「エリーもそろそろ来る頃かしら…なんて言ってたらエリーから連絡がきたわ」

真姫「そういえばエリーのバイクを見るのは初めてね、一体どんな感じなのかしら」

絵里「真姫、おはよう」

真姫「おはよう、エリー」

真姫「ふーん、これがエリーのバイクなのね」

絵里「ええ、前にも言ったと思うけど、これがSUZUKIのGSX400S KATANAよ」

真姫「前に選んだ理由を聞いた時は驚いたけど、でもエリーに似合いそうなバイクね」

絵里「ハラショー♪」

真姫「ところで今日は髪を縛ってないのね?」

絵里「いつもみたいにポニーテールにしてたらヘルメットがかぶれないからね、今日と明日はおろしておくわ」

真姫(ブロンドヘアーにライダーススーツ…かっこいいわね)

真姫(しかし気になるのは…)

真姫「エリー、ちょっと変な質問なんだけど…」

絵里「何?どうしたの?」

真姫「そのライダーススーツの中って…は、裸じゃないわよね?///」

絵里「なっ…!ちゃんと着てるわよ!///」

真姫「そ、そうに決まってるわよね!いや、エリーならそっちも似合いそうだと思って…///」

絵里「もう///ツーリングに行くのにそんな格好で行くわけないじゃない」

真姫「ハハハ…」

絵里「一泊するとは言え、思ったよりも荷物が少なく済んで良かったわ」

真姫「私はリュックにしてみたけど、エリーみたいにリアシートに固定する方法も良いわね」

絵里「背負ってもいいんだけどなるべく負担は少なくしたかったらから今回はリアシートに載せてみたわ」

真姫「私も疲れたらそうしてみよっと」

絵里「それじゃお互い準備もできたようだし出発するわよ!」

絵里「とりあえず今は私が先頭になるけど、休憩を挟んで交代しながら行きましょうか」

真姫「わかったわ、まずはエリーよろしくね」

絵里「では、レッツゴー!」

絵里「あー、あー、無線の調子はどうかしら?」

真姫「良好よ、こちらの声はどう?」

絵里「真姫の声も良好よ、無線の準備までしてくれてありがとう」

真姫「どういたしまして。意見をだしてくれた海未にも感謝ね」

絵里「それじゃまずは国道4号線を目指して行ってみましょう」

真姫「了解、休憩のタイミングはお互いに声をかけあいましょう」

絵里「順調に4号線まで来たわね」

真姫「ここからはとりあえずひたすら北上するのよね」

絵里「ええ、栃木県の宇都宮市まで行ってそこから国道119号線に行くのよ」

真姫「どんな道が待っているかはわからないけど、でも道順は複雑じゃなくて良かったわ」

絵里「これならしばらく地図やナビの出番も無さそうね」

真姫「標識を見落とさないようにだけ注意ね」

真姫(かれこれ二時間はノンストップで走ってるわね)

真姫(順調に進んできていると思うけど、流石に疲れてきたしそろそろ休憩を…ってあら?」

絵里「真姫?どうかしたの?」

真姫「もしかしたらガス欠かも。そういえば最近給油して無かったわ」

真姫「慌てずにリザーブに切り替えて…ヴェッ!?」

絵里「真姫?」

真姫「す、既にリザーブになってた…」ガタガタガタガタ

絵里「えっ、ちょっと!大丈夫なの?」

真姫「わわわわ、ガソリンスタンドまでもって~!」

☆海未ちゃんのワンポイント講座☆

海未「バイクは車種によって燃料計があったり無かったりします」

海未「なので燃料系が無い車種の場合、今回の真姫のようにガス欠寸前まで気付かない事もしばしばあります」

海未「そんな時に使うのがリザーブという機能です」

海未「仕組みの説明は省きますが、つまみを通常使用の位置からリザーブ側へと切り替える事で予備のガソリンを使用する事ができるのです!」

海未「これでしばらくは走る事が可能となりますが、リザーブへ切り替えたらなるべく早くに給油をしましょう」

海未「なお、給油をした後にはつまみをリザーブ側から通常の位置へ戻すのを忘れずに」

海未「リザーブのままにしておくと真姫のようになってしまいますよ」



海未「…なんですかこれ」

絵里「すぐにガソリンスタンドが見つかって良かったわね」

真姫「ええ本当に…生きた心地がしなかったわ…」

絵里「ツーリングに行く前にはちゃんとガソリンの状態も確認しておきましょうね」

真姫「はい、すいませんでした…」

絵里「でもずっと走りっぱなしだったからそろそろ休憩にしようと思ってたのよね、だから結果オーライってところね」

真姫「そう言ってもらえると少し気が楽になるわ」

絵里「それじゃもう少し休憩したら出発するとしましょう」

絵里「真姫が給油している間に店員さんに聞いたけど、この先は山を越えるので上り坂があるみたい」

絵里「適切なギアにして進んでいきましょう」

真姫「了解」

☆海未ちゃんのワンポイント講座☆

海未「車やバイクにはAT車(オートマチックトランスミッション)とMT車(マニュアルトランスミッション)があります」

海未「前者はギアチェンジが自動で後者は手動となりますが、二人のバイクはMT車なのでギアチェンジが手動です」

海未「大抵の車種ではギアは1速から5速まであり、数字が小さいほど力が強くなりますが速度が出せません」

海未「逆に数字が大きいほど速度が出せますが力がありません」

海未「なので勾配がキツい上り坂では数字が大きいギアでは苦しくなりますので、状況に応じて適切なギアを選択していく必要があるのです」



海未「何故私がこんな事を…」

真姫(音を聞く限りではエリーは結構余裕な感じで登って行くわね)

真姫(私のは250ccだけどエリーのは400ccだからその差なのかしら?)

真姫(機体の性能の差が戦力の決定的差ではない、と昔の偉人は言っていたけど搭乗者の性能に差がなければ機体の性能の差で決まるわよね)

絵里「真姫ー、結構離れちゃったみたいだけど大丈夫?」

真姫「えぇ大丈夫よ、すぐに追いつくから気にしないで進んでていいわよ」

真姫(私のペースで進んで行きましょう、無理をして事故になる方が嫌だもの)

絵里「あ、ようやく宇都宮市に入ったみたいね」

真姫「いつの間にかここまで来てたのね…というか栃木県に入った事にも気付いてなかったわ」

絵里「ちょっとー、ちゃんと標識見ててよね」

絵里「それはさておき、宇都宮市まで来たって事は国道119号線もきっともうすぐね」

絵里「119号線に入ったらまた少し休憩をしましょう」

真姫「そうね、そこからは東照宮まで行っちゃいましょう」

絵里・真姫「着いたー!」

真姫「案内図は…おぉぉ、結構広いのね」

絵里「これは見ごたえがありそうね」

真姫「疲れたけどほとんど座り疲れだから寧ろ歩く事が休憩になりそうね」

絵里「私たちが今いるところが駐車場だから、とりあえず石鳥居に向かってみましょう」

真姫「ここは神田明神と違って街中にあるワケじゃないからか厳かな感じがするわね」

絵里「そうね、誰かさんの真似をするならスピリチュアルな感じがするわ」



真姫「これは五重塔なのかしら?」

絵里「修学旅行で京都に行った時にも見た事はあるけど、この塔もステキだわ」

真姫「そして表門から中に…門の両隣にいるのは仁王像かしら?」

絵里「ハラショー…すごい顔をしているわね…」ビクビク

真姫「この先は神厩舎ね、と言う事は…」

絵里「ええ、あの有名な見ざる・言わざる・聞かざる、が見られるわね」

真姫「そういう像があるのかと思ったけど、厩舎の一部なのね」

絵里「知っているのと理解するのとでは似たようで大きな違いがあるわ、ここに来てちゃんと知る事ができて良かったわね」

真姫「そのとおりね、さぁ先に進みましょう」

絵里「あら、手洗い場…って言うのかしら?これって普通は門の外にあるんじゃないの?」

真姫「本当ね、普通はここで手を清めてから参拝すると思うんだけど…なるほど、ここから先が正式な神社って事なのかしら?」

絵里「受付にあった資料によれば、本殿に行くにはこの先に更に二つ門があるみたいね」

真姫「そしてその先には海未待望の奥宮があるのね、よし行きましょう!」

絵里「ハァー…立派な門ね…」

真姫「表門もすごかったけど、陽明門も唐門もまた違ったすごさがあるわ」

絵里「宮内のあちこちに見られる彫刻もまたステキね」

真姫「そうね、回廊の彫刻なんてずっと見ていられるくらい」

絵里「フフ、気持ちはわかるけど先に行きましょう」

絵里「この眠り猫の先に奥宮があるみたいね」



真姫「随分と階段を上るのね…」ハァハァ

絵里「入口のところに約二百段なんて書いてあったわよ」

真姫「ヴェェェェェ…こんなに歩いて奥宮には一体何があるのかしら」

絵里「あら知らないの?なら着いてからのお楽しみね」

真姫「つ、着いた…登りが続くから遠く感じたけど、歩ききると意外とそうでもないわね」

絵里「お疲れ様、さぁここが奥宮よ」

真姫「えっと…拝殿と鋳抜門と御宝塔からなる御祭神のお墓…え、お墓なの?」

絵里「本当に知らなかったのね、そうよ、ここは家康公のお墓よ」

真姫「家康公って徳川家康?」

絵里「そう、ちなみに静岡の久能山東照宮にもお墓があるわよ」

真姫「えっ、何で二か所?どっちかが偽物なの?」

絵里「諸説あるけど、私が聞いたのは最初は久能山に埋葬して後になってここ日光に移送されたという話よ」

絵里「それが遺言だったみたいね」

真姫「エリーは随分と物知りなのね」

絵里「もちろん♪…と言いたいところだけど、来るのが決まってから少し勉強しただけよ」

真姫「さぁ次は中禅寺湖ね」

絵里「ここからだと第二いろは坂を通って行く事になるわね」

絵里「第二いろは坂はのぼり道だから、道中でも言ったようにギアに注意してね」

真姫「了解、というか観光客が多いからそもそもスピードは出せないだろうし低いギアで進む事になりそうね」

絵里「確かに、でもゆっくり走るから景色も堪能できそうね」

真姫「じゃあ次は私が先頭で行くわね」



真姫(坂道発進で失敗しないように気を付けなくちゃ…!)

絵里「さすが紅葉のシーズンなだけあって混雑がすごいわね」

真姫「でも流れが止まるほどの渋滞じゃなくて良かったわ」

絵里「そうね、バイクは低速走行が苦手だしましてそれが上り坂となると難しいわよね」

真姫(それもあるけど坂道発進が怖いのよ私は…)

真姫「しかし結構カーブが急なのね、はみ出さないように気をつけなくちゃね」

絵里「バイクも大変だけど、大きな観光バスでこのカーブを曲がってるのを見ると感心するわね」

絵里「中禅寺湖に到着ー!」

真姫「すごいキレイ…まるで吸い込まれそう…」

絵里「真姫!スワンボートがあるわよ!」

真姫「乗らないわよ?」

絵里「えぇ…」

真姫「この歳になって恥ずかしいじゃない、乗るなら遊覧船にしましょう」

絵里「…高いから却下で」

絵里「じゃあ次は華厳滝…の前に昼食にしましょうか」

真姫「そういえばまだ食べてなかったわね、もう15時前だというのに」

絵里「国道120号線沿いに色々とお店があったからその辺りで食べましょうか」



真姫「ふぅ、美味しかったわ」

絵里「湯葉推しがすごかったけど、日光って湯葉が有名なのかしら?」

真姫「私も知らなかったけど、さっき食べた湯葉ラーメンは美味しかったわね」

絵里「凛が聞いたら羨ましがるかもね」

真姫「かよちん、凛たちも食べにいくにゃー!とか言いそう」フフフ

絵里(真姫がにゃーって言ったわ…)

絵里「華厳滝に到着!」

真姫「これは圧巻ね、幅はそこまででもないけど落差がすごいわ」

絵里「季節によって見え方が違うみたいだけど、今の季節でもじゅうぶんにステキね」

真姫「話によると冬は凍ったりもするみたいね」

絵里「そうみたいね、それはそれで見てみたいけど冬にバイクでここまで来るのはちょっと大変ね…」

真姫「なら今度は車の免許をとってから来てみましょうか」

絵里「その時は凛も連れてきて湯葉ラーメンも食べさせてあげないとね」

真姫「さて、それじゃ今日はもう宿に行きましょうか」

真姫「宿は東照宮のちょっと先になるから、今度は第一いろは坂を通って行く感じね」

絵里「この先は長い下り坂になるから普通のブレーキ操作だけじゃなくエンジンブレーキも重要になってくるわね」

真姫「下り坂でブレーキを使い続けていると効きにくくなっちゃうんだっけ?」

絵里「そうよ、それが悪化すると効かない状態になってしまうから要注意ね」

絵里「かといってエンジンブレーキだけ使うのはエンジンに負担がかかってしまうから上手く併用するのが肝心よ」

☆海未ちゃんのワンポイント講座☆

海未「ここではエンジンブレーキについて説明をします」

海未「上り坂の時にも説明したように、ギアの数字が小さいほど力が強くなりますが速度が出せません」

海未「これを応用して速度を出ないようにする方法がエンジンブレーキです」

海未「ギアをハイトップのままにしておくと、下り坂ではまるで自転車のように勝手に加速してしまいます」

海未「ですのでギアを落として機械的に無理やり減速させる事でブレーキ効果を得ます」

海未「ただし絵里が言ったようにエンジンブレーキだけを使うのは厳禁です」

海未「ちゃんとリアブレーキやフロントブレーキと併用していきましょう」

海未「ついでに真姫が言っていたブレーキが効きにくくなる現象についても説明します」

海未「下り坂などでブレーキを使用し続けていると起こる現象がフェード現象です」

海未「ざっくり言うとブレーキ使用時の摩擦熱でブレーキの効きが悪くなるという事です」

海未「これを発生させない為にはブレーキの連続使用を控える事が重要です」

海未「このままブレーキを使用し続けていると最終的にはブレーキがきかなくなってしまいます」

海未「これをベイパーロック現象と呼びます」

海未「車の場合は壁に擦り付けて減速させたり待避所へ突入して物理的に停止させる事が可能ですがバイクは…」

海未「という事ですので、そうならないように下り坂の運転はじゅうぶんに気を付けてくださいね」

海未「だいぶ簡単に説明しましたので、詳しい事はいんたーねっとで検索してみてください」



海未「用があるのでそろそろ帰ってもいいですか?」

絵里「無事に坂を下りきったわね」

真姫「ちょっとドキドキしたけど問題無く平地まで辿り着けて安心したわ」

絵里「それじゃ宿まで行きましょうか…ってそう言えば場所も名前も聞いてないような…?」

真姫「あ、そういえばそうね」

真姫「私は場所もちゃんと把握してるし、ここからはまた私が先頭になるわ」

絵里「うん、お願いね」

絵里「…真姫さん真姫さん、随分と立派な旅館に見えるんですが本当にここでいいの?」

真姫「パパから聞いた名前と合ってるし、[歓迎 西木野様]って書いてあるから間違いないわね」

絵里「ハラショー…お金大丈夫?私、明日からもやしだけの生活になっちゃったりしないかしら?」

真姫「心配しないで、実はここのオーナーが昔パパの患者さんだったみたいなの」

真姫「それで少しは贔屓にしてもらえたみたい」



絵里「少しの贔屓でこの部屋なの?すっごい立派なんだけど」

絵里「わっ、お部屋に露天風呂がある!」

絵里「お布団もふっかふかね」

キャッキャッ

真姫(さすがにはしゃぎすぎじゃないかしら?)

絵里「ふ~、こんな豪勢な食事にありつけるとは思わなかったわ」

絵里「それにお風呂もとっても気持ち良かったし、今日の疲れなんてすっかり飛んでしまったわ」

真姫「それなら良かったわ、明日は日光江戸村と東武ワールドスクウェアだけよね」

絵里「そうね、もっとたくさん見て回りたいけど、帰りが遅くなってしまうのもちょっとね」

真姫「月曜は普通に学校もあるし、明日家に帰ってからゆっくり休む時間も欲しいわね」

絵里「となると遅くてもこっちを15時頃には出発って感じかしら?」

真姫「うん、それでいいと思う」

絵里「それじゃ今日は早く休んで明日に備えましょう」

絵里「さあ今日も楽しみましょう!」

真姫「まずは日光江戸村に向かうわ…と言ってもここからだともう目と鼻の先ね」

真姫「移動の描写は省略しましょう」

絵里「描写?省略?」

真姫「キングクリムゾンの能力に遭ったつもりでいれば大丈夫、気にしたら負けよ」

絵里「え?何を言っt

絵里「日光江戸村に着いたわ!江戸よ江戸!」

真姫「いや日光よ、というかむしろ私たちが暮らしている場所こそが元・江戸よ」

絵里「それは解ってるけど、この景観はまるで江戸よ!」

真姫「実際に見たこと無いからそれはわからないけど、でも確かに江戸時代の街並って感じはするわね」

絵里「衣装の貸し出しもしてるみたいよ、ハラショー」

真姫「色々と体験もできるみたいだけど、こうして歩いているだけでも面白そうね」

真姫「江戸で思い出したけど、そういえばエリーはカタナっていう名前であのバイクを選んだのよね?」

絵里「それだけじゃないけど、理由の一つとしてはそうね」

真姫「日本っぽい名前といえばNinjaっていうバイクもあるけどそれは候補になかったの?」

絵里「え、そんな名前のバイクがあるの?」

真姫「ええ、私のと同じカワサキのバイクなんだけど、400cc以下の車種もあるから私たちの免許でも運転できるわよ」

絵里「し、知らなかったわ…クッ、なんてかっこいい名前…」

真姫「ちなみにこんな感じのバイクよ」つスマホ

絵里「なるほどこれがNinja…これもかっこいいと思うけど、見た目ならカタナの方が好きね」

真姫「そう、それなら良かったわね」

絵里「でも将来的に乗り換える時にはこれを買うと思うわ」

絵里「東部ワールドスクウェアに着いたわね」

真姫「海未が勉強にもなると言っていたけどどういう事なのかしら?」

絵里「とりあえず入場してみましょうか」



真姫「なるほど、世界の有名な建物や遺跡のミニチュアが展示されているのね」

絵里「ミニチュアとは言えなかなかの大きさね、このスカイツリーなんて26mもあるみたいよ」

真姫「じっくりと見てみると細かいこだわりがあって面白いわね、転んでる観光客の模型なんてのもあるわ」

絵里「もちろん建造物自体もしっかりと作られているし、ちょっとした世界旅行に行ってる気持ちにもなれるわね」

真姫「こういった所なら穂乃果や凛でも楽しみながら勉強できるんじゃないかしら」

真姫「これで日光の観光も終わりね、さぁ後は帰るだけね」

絵里「ルートは昨日通って来た道を逆行する形で行きましょう」

真姫「そうね、それがわかりやすいと思うわ」

絵里「じゃあまずは国道119号線を目指して、それから4号線に向かいましょうか」

真姫「了解、まずはエリーが先頭でいいのかしら?」

絵里「ええ、任せて」

真姫「それじゃ気を付けて帰りましょうか」

真姫「4号線に出てしばらく走ったわね、今はどの辺りなのかしら?」

真姫「グローブをしているとスマホの操作ができないから調べるのも一苦労ね」

真姫「こういう時はガラケーの方が便利かもしれないわ」

絵里「あら、スマホなんか出さなくても今の住所くらいならわかるわよ?」

真姫「え、どうやって…あ、そういえば海未が言ってたわね」

絵里「そう、電柱を見るのよ」

☆海未ちゃんのワンポイント講座☆

海未「現在地がわからない、そんな時には電柱を見てみましょう」

海未「電柱には住所が記してあるプレートが設置されてあります」

海未「また電柱の他には自動販売機にも住所が書かれてあるシールが貼られています」

海未「それを見れば現在地がわかりますので今回のような場合は勿論の事、事件や事故などの緊急通報をする際にも役立ちます」



海未「これで最後でしょうか?」

真姫「もう栃木県は出ていたのね、なら東京までもう少しね」

絵里「東京に着いたらゴールってわけじゃないし、家に帰るまで気を抜かないようにね」

真姫「わかってるわ、ここからは私が前を走るわね」

絵里「それじゃ真姫、お願いね」

真姫「ここまで来たらこれが最後の休憩でも良さそうね、最後まで頑張りましょう」

真姫「西木野家に到着!」

絵里「長旅お疲れ様」

真姫「お疲れ様…ってエリーはまだここからも運転するのよね」

絵里「まあここまでくれば本当にあと少しよ」

真姫「家に着いたらちゃんと連絡してね」

絵里「わかったわ、積もる話もあると思うけどそれは私が家に帰ってから電話でしましょうか」

真姫「ええ、そうしましょう」

絵里「それじゃまた後で連絡するわね」ブォーン

スマホ prrrr

真姫「エリーからの着信、って事は家に着いたのかしら?」スマホ ピッ

真姫「はい西木野です」

絵里『絢瀬です…ってなんで名字?』

真姫「なんとなく。エリーも苗字で応えてるじゃない」

絵里『私は真姫につられて…ってそれはどうでもいいとして、私もさっき家に着いたわ』

真姫「無事に帰れたのね、良かったわ」

絵里『ずっと二人でいたから一人になってからちょっと寂しくなったけどね』フフフ

真姫「そうね、私も合宿以外ではμ'sの誰かとこんなに長い間過ごすなんて初めてだわ」

絵里『ツーリング、疲れたけどでもそれ以上にとっても楽しかったわね』

真姫「いきなりガス欠で躓きかけたけどね、でも天候にも恵まれたし本当に楽しかったわ」

真姫「東照宮で買ったお揃いの御守りも良い思い出の品になりそうね」

絵里『そうね、普通の御守りと違って一生涯効果があるみたいだしずっと手元に置いておけるわね』

真姫「お世話になったから海未の分も勝手に買ってきちゃったけど…迷惑じゃないかしら?」

絵里『持ってて困るものでもないし、迷惑だなんて事はないと思うわ』

絵里『それに今回のツーリングは三人の思い出として残しておきたい、そう思うの』

真姫「奇遇ね、私もそう思ったからこそ買ったのよ」

絵里『明日、学校で渡してあげましょうね』

真姫「ええ、じゃあまた明日学校で」

真姫「疲れたけど、でも本当に楽しかったわ」

真姫「一人で気ままに走るのも楽しいし、こうやって複数人で走るのもまた違った楽しさがあるのね」

真姫「最初はにこちゃんを後ろに乗せたくて免許を取ったのに、まさかここまでバイクに魅了されるとはね」

真姫「バイクとも長い付き合いになりそうね、そしてきっとエリーとも…」

真姫「っていうかどうせならメンバーで誰か免許とらないかしら?」

真姫「お金もかかるから簡単にはいかないと思うけど…」

【真姫と絵里が海未に相談した日付近の出来事】

穂乃果「海未ちゃーん、ことりちゃーん、帰ろうよー!」

海未「穂乃果、すみませんが今日も予定がありまして…」

ことり「今日もまた?」

穂乃果「じゃあまた今度だね」

海未「はい、それではお先に失礼します」スタコラサッサー

穂乃果「最近なんだか海未ちゃん忙しそうだね」

ことり「放課後だけじゃなく休日もずっとだよね、お家の事で何かあるのかなー?」





海未「さぁ今日から第二段階です、気を引き締めていきますよ!」

ツーリング編・完!

という事でやっとここまで書き終えました。
第一話でやった「教習生番号252番」というネタをやりたいが為に書いたSSだったのに、まさか四話も書くとは自分でも思いませんでした。
過去作のスレやまとめサイトでの良い評価、そして次回作の要望を頂けたことで調子にのりました(ノ∀`)

今回はバイクネタより日光の話が多くなってしまいました。
海未同様、日光は久しく行ってないので機を見て行ってみようと思います。

長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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