オーク「子牛を買ったぞ」(41)

オーク「まるまる太らせてから食うか」

・ ・ ・ ・ ・

~一年後~

牛「ンモー」

オーク「あぁ…牛…牛!」

パンッ パンッ パンッ

オーク「君は今や俺の大切な牛…愛してる!愛してる!」

パンッ パンッ パンッ

牛「ンモー」

オーク「牛…牛ぃぃぃぃぃ!」

・ ・ ・ ・ ・

それから十月十日
なんやかんやあって
牛は身ごもった。

さらになんやかんやあって
牛は元気な男の子を産んだ。
その子は牛オークと名付けられた。

さらにさらになんやかんやあって
10年の歳月が流れたり流れなかったり…

牛オーク「くそっ…牛にもオークにもなりきれない俺は…いったい何者なんだ…何の為に俺は生まれてきたんだ…!」

オーク「何を言い出すんだ息子よ」

牛「ンモー」

オーク「何の為に生まれてきたってお前…オークは女騎士を犯す為に生まれてきたに決まってるだろ」

牛「ンモー」

牛オーク「母さんまで…俺はオークであってオークじゃないんだ!」

オーク「くだらない事言ってないで、早く朝ご飯食べて学校に行きなさい」

モグモグ

オーク「いやぁ、君の作ったビーフストロガノフはいつ食べても絶品だなぁ」

牛「ンモー」

牛オーク「共食いやんけ」

オーク「私はオークだから違うぞ」

牛オーク「じゃあ俺と母さんはどうなるんだよ!」

牛「ンモー!」

牛オーク「何だよ母さん…いつもそうやって父さんの肩をもってさ!」

オーク「いいから早く食べて学校に行きなさい」

牛オーク「学校…あの掃き溜めみたいな所に毎日毎日行けってのか、あんたは!」

牛「ンモー!」

牛オーク「何だよ母さん…実の父に向かってあんたとは何ですか!だって…?今更そんな事で怒るのかよ…あんたは!」

牛「ンモー!」

シッポ ビシィッ

牛オーク「ぐはぁっ!」

オーク「謝れ牛オーク…母さんに謝るんだ!」

牛オーク「くそっ、みんなみんな…みんな敵だ!」

ダダダッ バタンッ

オーク「あっ、どこへ行くんだ!」

牛「ンモー…」

オーク「心配ないさ…あの子は強い子だ…だって私達の子供なんだからね」

牛「ンモー」

・ ・ ・ ・ ・

牛オーク「…」

テクテクテク

牛オーク「ちくしょう…行く当ても無いから学校に来ちまったぜ」

テクテクテク

牛オーク「教室、か…」

ガラガラ

牛オーク「…」

ザワッ

生徒達「あ…」

生徒達「あいつは…」

生徒達「気持ち悪い…」

生徒達「休めばいいのに」

生徒達「家畜め…」

牛オーク「…」

牛オーク(やっぱりな…どいつもこいつもオランダも…俺を差別的な目で見やがる!)

ダダダッ
ポンッ

?「よっ、牛オーク。おはよ」

牛オーク「…なんだ女か」

女「なんだとは何よなんだとは~!」

牛オーク(こいつは女。何故か分からんがこいつだけは俺に分け隔て無く接するんだよな)

女「一限目は体育。剣術の実技試験よ、早く甲冑に着替えて体育館に行くわよ」

牛オーク「あ、あぁ…」

・ ・ ・ ・ ・

カチャカチャ
カツン カツン

女「…」

カツン カツン

牛オーク「…」

カチャカチャ
ギシン ギシン

生徒達「…」

カチャカチャ

教師「よーし全員集まったな。今日は剣術の実技試験だ。甲冑を着ているとはいえ一歩間違えれば命にかかわるからな、ふざけるんじゃあないぞ!」

生徒達「はいはーい」

教師「はい、は一回!」

生徒達「はいはーい」

教師「はい、は一回!」

教師「では始めるぞ。マイナンバー順に呼ぶから白線の中に来い。他の者はよく見とけー」



そして実技試験は始まった。
中には試験中に瀕死の大怪我を負う者もいた。
そしてなんやかんやあって
牛オークの順番が来た。

教師「では次は…牛オーク、それと…女!」

牛オーク「…お前とかよ」

女「マイナンバー順だからしょうがないでしょ。手加減しないからね、あんたも本気で来なさい」

牛オーク「言われなくても」

カチャカチャ
カツン カツン

牛オーク「…」

女「…」

教師「よし…では、始めィ!」

女「はぁぁぁっ!」

ブンッ

牛オーク「せいっ!」

キィン

女「だったら!」

ブンッ

牛オーク「甘い!」

キィン クンッ

女「しまっ…」

ボトッ

牛オーク「そこだ!」

カツン

女「きゃあっ!」

教師「そこまで!」

女「くっ…」

教師「まったく…こんな家畜野郎に負けるなんて…ならば貴様は家畜以下だな、女!」

生徒達「そうだそうだ」

教師「皆の衆、そんな女には罰が必要だと思わんか?」

生徒達「思う思う」

教師「どんな罰がよいかね?」

生徒達「はっずかしめ!はっずかしめ!」

女「え…」

教師「ようし、皆がこう言っているんだ。おとなしく罰を受けるんだな」

女「ば、罰…?」

教師「そうだよ…おい牛オーク!」

牛オーク「…何スか」

教師「家畜の貴様が、この家畜以下の雌豚をしつけてやれ」

牛オーク「!?」

教師「聞こえンかったか?そこの雌豚をしつけろと言ったンだ!」

牛オーク「!?」

教師「聞こえンかったか?そこの雌豚をしつけろと言ったンだ!」
牛オーク「!?」

教師「なんだ、できぬのか腰抜けめ…」

牛オーク「できらぁ!」

教師「なら早くその雌豚をしつけるんだ」

牛オーク「えっ、女を!?」

教師「なんだ、できぬのか腰抜けめ…」

牛オーク「できらぁ!」

教師「なら早くその雌豚をしつけるんだ」

牛オーク「えっ、女を!?」

教師「なんだ、できぬのか腰抜けめ…」

~このやり取りが十分続いて~

教師「さぁ、早くやるんだれ!」

牛オーク「やってやる…いや、やぁってやるぜ!」

ヌギッ

牛オーク「俺の断空剣をみろやぁぁぁ!」

生徒達「ぷっ…なんだあれ」

生徒達「まるで単四電池じゃないか」

ドワッハッハッハ

牛オーク「…」

ニヤッ

生徒達「なんだあいつ…馬鹿にされたのに笑ってやがる…気がくるったのか?」

牛オーク「ふん、俺は正常さ。それよりお前等が不憫でな、どうやら本物のチンポを知らんらしい」

生徒達「なん…やて…」

教師「御託はいい、行動で示せ」

牛オーク「チッ…」

女「う、嘘やんな…?牛オーク優しいもん、あたしに性的暴力なんかやらへんもんな?な?」

牛オーク「…すまんな、学校という閉鎖的空間では教師の命令は絶対なのだ…へけっ…」

女「い、いやや…いややー!」

生徒達(なぜ急に関西弁に…)

ババッ

牛オーク「ツインキンタマ、フルドライブ!」

キィィィン タマァァァ

生徒達「右の金玉が剛の風を、左の金玉が柔の風を…!?」

ビュワァァァン
ギュインギュインギュイン

牛オーク「金玉から発せられたふたつの風が…重なり、交わり…ひとつに…なる!」

生徒達「巨大なひとつの竜巻が…天に!昇る!まるで!龍だ!」

グォォォォォ

教師「ふん、なかなかやりおる…だがそこからが大変だぞ…貴様ごときにその竜巻、果たして使いこなせるかな?」

牛オーク「…」

牛オーク(ここまではできるんだ…この先だ…この先からが正念場なんだ)

ゴクッ

生徒達「…」

生徒達「…」

皆、息をのんでいた。
緊張の糸は極限まで張りつめ
少しでも声を発しようものなら
ぷつん、と容易く切れてしまいそうであった。

あの竜巻は恐らく
チンポにまとわせるもの。
それは間違いない。
ただ、はたしてそんな事が
可能なのだろうか?
できる筈が無い…
いや、あるいは…
誰もが無謀とせせら笑い
誰もが僅かな可能性を期待した。
そこには敵味方の区別は、もはや無く
ただ巨大な竜巻の行く末を
そこにいる全員が眺めていた。

グモォォォォォ…

生徒達「…」

牛オーク(チャンスは一瞬…逃せば…俺のチンポはミンチ…つまり挽き肉になる)

ゴクリ

牛オーク(臆するな…必要なのはタイミング…そして勇気だ!)

ザザッ

生徒達「!」

教師「動くか…」

牛オーク「ここだ!」

ピョーン
エビゾリィ

生徒達「空中で海老反りに!?」

教師「ほぅ、あの型は…ふん、奴に教わったか…」

牛オーク「奥義…超勃起タ・ツ・マ・キー!」

ビィィィィィン!

生徒達「く、空中で…あの体勢を保てるのか!?」

牛オーク「…ここでやらなきゃ男じゃねぇ!」

キィィィン

牛オーク「来い…竜巻よ…俺を…俺を包み込み、そして…そして!」

ギュギュギュ

生徒達「竜巻が…牛オークの股間に一直線だ!」

ギュギュギュ

牛オーク「いける、この角度なら間違いない…いける!」

クンッ

教師「!」

教師(いかん、竜巻の入射角度が僅かに…ずれた…あ、あのままでは牛オークのチンポは…!)

・ ・ ・ ・ ・

あれから

あれからどれだけ季節が巡ったのでしょうか。

もう何度目の桜なのでしょうか。

あの日

ミンチになった牛オークのチンポが

瞼に焼き付いて離れないのです。

私は
あの日からなんやかんやあって騎士になった。
そう、女騎士だ。

周囲からは猛反対された。
でも、私には目的があったから。
騎士になって
牛オークを救うという目的が。

牛オークは
チンポがミンチになったショックで
今も病院で意識不明である。
目覚めさせるには
この世界のどこかにある
『チンポハエール』という薬草が必要だという。

どこにあるのか分からない。
それを探す旅に出るため
屈強な肉体と精神が必要だった。
だから私は騎士に
そう、女騎士になったのだ。

…そろそろ行こう。
いつになるか分からない
でも、必ず
必ず成し遂げてみせる。


ねぇ牛オーク
貴方が目を覚ました時
私がおばあちゃんになっていても
びっくりしないでね?

ううん、きっと大丈夫
だって牛オークは
すごく
すっごく



『優しいんやもんな?』



【完】

【エピローグ】

『…』

『…長い』

『長い、夢を見ていた気分だ』

『俺は一体…』

ヒラヒラ

『花びら…桜、か…』

『そうか、今は春なのか…』

コンコン

『…?』

ガラガラッ

『…』

『あの…どなたですか…?』

『…』

『貴方は…何故だろう…懐かしい…気持ちに…』

『あぁ、そうか…貴方は…君は…お前か…』

ニコッ



【fin】

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