ほむら「私が増えた」 (249)

ほむら「...ん」

ほむら「...また、この天井」

ほむら(...そう、私はまた、救うことが出来なかったのね)

ほむら(...あの時)

ほむら(...あの時ああしていれば私は、まどかを救うことが出来たのかしら)

ほむら(...ふふ)

ほむら(...そんな可能性、考えるだけ無駄よね)

ほむら(...どんなに可能性があったとしても、私がここにいる)

ほむら(...それこそが、私が彼女を救えなかったという唯一無二の証明なのだから)

母「...起きたの?」

ほむら「...?お母さん?」

ほむら「...どうして...ここに...?」

母「あら、だって今日はあなたの退院の日でしょ?」

ほむら「...それは...そうだけど...」

ほむら(...今まで...来てくれたこと、あったかしら...)

母「今度から見滝原中学に通うんだから、ついでにこの子達も連れてきて、どんな所なのか知ってもらおうと思って」

ほむら「...は?」





母「お姉ちゃん、妹ちゃん、あなた達三人で仲良くするのよ?」




リボほむ「...」

めがほむ「...えと...その...え?」

ほむら「...」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463414241

母『じゃあ、姉妹三人で仲良くするのよ』




リボほむ「...」

めがほむ「...」

ほむら「...」

ほむら「...何が、どうなっているの?」

リボほむ「...私に言われても分からないわ」

めがほむ「...わ、私も分かりません...」

ほむら「...あなた達は、誰なの?」

リボほむ「...暁美、ほむらよ」

めがほむ「...暁美、ほむらです」

ほむら「回りくどいやり方はやめて出てきなさい、魔女!」


シーン

リボほむ「...魔女?」

めがほむ「...魔女って一体、なんですか?」

ほむら「...」

ほむら「...本当に魔女じゃないの...?」

ほむら「...じゃあ、あなた達は一体...?」

リボほむ「...」

リボほむ「...見たところ、ここは病院のようね...」

ほむら「...」

めがほむ「...わ、私もここの病院にいたはずなんですけど...」

めがほむ「...その、寝て起きたら...ここに...」

ほむら「...」

ほむら(...訳が分からないわ)

ほむら(...確かに今までも色んな事があったわ...でも、これは...)

ほむら(...これはどう考えても、おかしい)

リボほむ「...3人で、と言ったわね」

リボほむ「...と言うことは、あの家でいいのかしら」

ほむら「...そうね」

めがほむ「...え、あの家って...あの...?」

和子「えっと、それから転校生を紹介します」

さやか「どんな子かなー」

まどか「あはは、さやかちゃんたら何を期待してるの?」

さやか「そりゃもう可愛い子だったら嬉しいよ」

さやか「あ、でも一番はまどかだからね」

まどか「もう...!」




ほむら「暁美、ほむらです」

リボほむ「...暁美ほむらです」

めがほむ「えっと...暁美...ほむらです」




さやか「...」

さやか「...お、あ...ええ?」



ほむら(貴方達も同じ名前名乗ったらダメでしょ!!)

ほむら「...どうするの?この状況」

リボほむ「...私に聞かないで頂戴」

めがほむ「...み、皆関わらないようにしてますよ~...」

ほむら「...大体どうしてあなた達は同じ名前を名乗るの?」

リボほむ「そんな事言われても、私も紛れもない暁美ほむらだからよ」

ほむら「...」




さやか「よっ、転校生達!」

ほむら(...まずいわね)

ほむら(...なんて答えればいいかしら)

さやか「3人とも同じ顔ってことは三つ子?」

ほむら「...ま、まぁそんな所よ」

さやか「へー、でも名前も同じじゃん」

ほむら「...あの、それは...その...」

リボほむ「...漢字が違うのよ」

リボほむ「彼女は平仮名で「ほむら」、私は「炎」、こっちの子は「焔」」

さやか「...へー、変わってるねぇ...」

ほむら「...ちょっと...!」

リボほむ「仕方ないでしょ、私にだって未だにこの状況がなんなのか分からないんだから」

ほむら「...」





キンコーンカンコーン


ほむら「...お昼ね...」

ほむら(...訳が分からないことばかりだからいつもより疲れたわ...)

ほむら(入ってくる先生達も変な顔するし)

さやか「よう、噂の転校生たち!お昼ご飯食べない?」

ほむら「...あ」

リボほむ「遠慮しておくわ」

さやか「...あれれ、釣れないなぁ」

リボほむ「今日は私たち3人で少し話し合うことがあるから」

さやか「そっか、んじゃ、明日ね!」

ほむら「...」

めがほむ(...私は食べたかったな)





リボほむ「...さぁ、この状況について説明してちょうだい」

ほむら「...だから私もわからないわ」

めがほむ「...」

リボほむ「見たところここは、見滝原よね?」

リボほむ「...そして、この時期にあなたがいるってことは...」

ほむら「...あなたが一体どういう存在なのか知らないけれど、私はまどかを救うためにこの世界を何度も繰り返している」

リボほむ「...そう」

リボほむ「...まぁ、そうよね...さやかが居るくらいだもの」

ほむら「...?」

リボほむ「...と言うことは、何?もしかして魔女もいるの?」

ほむら「...さぁ、この世界ではまだ、魔女に出会っていないわ」

ほむら「...でも、あなたがもし「そう」なら、私たちの敵は魔女でしょう?」

ほむら「今更確認することではないと思うけれど」

めがほむ「...」

めがほむ(何かギスギスしてる...)

リボほむ「...そう」

リボほむ「...そうだと、するなら...」

リボほむ「...あなたはまだ、鹿目まどかを救えてはいないのね」

ほむら「...」

リボほむ「...少しだけ理解出来たわ」

ほむら「...あなたは?」

めがほむ「へっ?」

ほむら「あなたは、誰なの?」

ほむら「...魔法少女のことを知っているの?」

めがほむ「...し、知りません...!鹿目まどかさん...とか言う人も...!」

ほむら「...」

ほむら(...と言うことは...)

リボほむ「契約すらしていない、私なのね」

ほむら「...ええ、そうね」

ほむら「...ところで、こっちの私の存在については理解できるのだけれど」

ほむら「...私は、あなたについて何も知らないわ」

ほむら「...あなたは何?...そのリボンは...誰のもの?」

リボほむ「...」

リボほむ「...凄い殺気ね、あの時の私はここまで死にものぐるいだったのね」

ほむら「...答えて」

リボほむ「...」

リボほむ「...眼鏡の私も、盾を持つ私も、私にとっては過去でしかない」

リボほむ「...私は、あなたの未来よ」

ほむら「...!!!」

ほむら「...未来...?」

ほむら「...と言うことは...!私は...!まどかを...!」

リボほむ「救えなかった」

ほむら「...え?」

リボほむ「...私には、まどかを救う事が...出来なかった」

ほむら「...!!」

ガシッ!!!

ほむら「...あなたは...!あなたは...!」

ほむら「...鹿目まどかを、諦めて...!前に進んだという事...!?」

ほむら「...繰り返さなかった...そうなの...!?」

リボほむ「...」パァァァ

ほむら「...っ!!」バッ!!

リボほむ「構えないで」

リボほむ「...見て」

ほむら「...?」

ほむら「...!」

ほむら「...盾が...無い...?」

リボほむ「そうよ」

リボほむ「...私にとっての彼女は、文字通り希望となってしまった」

リボほむ「過去、未来、全てに存在する魔女をこの手で消し去りたいという願い」

リボほむ「その辻褄合わせなのか、何なのかは分からないけれど」

リボほむ「...私は、盾の代わりに...」パァァァ

ほむら「...!」

ほむら「...それは...まどかの...」

リボほむ「...ええ、私は新しい力を手に入れた」

リボほむ「...まどかの、神格化と...引換にね...」

リボほむ「その結果私は、繰り返すことが出来なくなった」

リボほむ「まどかは、私の手の届かないところに行ってしまった」

リボほむ「...」

リボほむ「...まどか...」

ほむら「...」

ほむら「...ごめんなさい...」

ほむら「...あなたのこと...少し誤解してた」

リボほむ「...ふふ、自分に謝られるなんて不思議な気分ね」

ほむら「...それじゃあ...あなたは」

リボほむ「...」

リボほむ「...ええ」




リボほむ「...まどかを、救えなかったあなたよ」

ほむら「...」

ほむら(...これは...単なる偶然なの...?)

ほむら(...何かのイレギュラー要素のせいで)

ほむら(...私の、過去と未来の結果が...私と同じ時間軸に存在している...?)

ほむら(...いえ、こんなのイレギュラーなんてものじゃない)

ほむら「...こんな事がありえるとしたら...それは...」

リボほむ「...因果律への、叛逆...ね」

ほむら「...」

めがほむ(...やっぱり二人の話は難しくて...分かんない...)

ほむら「...とりあえず...これからどうしようかしら...」

リボほむ「...残念だけれど...私は手伝うつもりは無いわ」

ほむら「...」

リボほむ「残酷なようだけれど、私は自殺するつもりなんてないの」

リボほむ「あの時、私はまどかと約束した」

リボほむ「また、会おうって」

リボほむ「...だから、あの時の約束を蔑ろにしないために」

リボほむ「過去が書き変わって、私の存在に矛盾が生まれないために」

リボほむ「...あなたが失敗することを、願ってる」

ほむら「...」

ほむら「...それが、まどかの死と同義だとしても?」

リボほむ「...」

リボほむ「...ええ」

リボほむ「私にとってのまどかは、ここのまどかでは、無いから」

リボほむ「もちろん邪魔をするつもりもないけれど...」

ほむら「...そう」

めがほむ「...あの、私は...!」

ほむら「...何も知らないあなたはのうのうと生きていればいいわ...!」

めがほむ「...っ!」

ほむら(...こんなに弱々しい私が居たなんて...!)

ほむら(...見ているだけで...腹が立つ...!)

めがほむ「ご、ごめんなさい...」





さやか「おっ?話し終わった?」

ほむら「...ええ」

リボほむ「...」

めがほむ「...あうう...」

さやか(...なんかメチャクチャギスギスしてる...)

さやか「ど、どうしたのさー?」

ほむら「...どうもしていないわ...」

さやか「あ!そだ!私の友達でも紹介するよ!」

さやか「まどかー!ちょいこっち来てー!」

ほむら「...!」ドクン





まどか「...なぁに?さやかちゃん!」




ほむら「...まどか」

リボほむ「...ま、どか...」

めがほむ(何この人たち怖い)

リボほむ「...うっ...ううぅ...」ポロポロ

ほむら「...あなたは今の自分のままでいい、決して変わろうなんて思わないで」

リボほむ「...まどか...まどか...!」ポロポロ

ほむら「忠告はしたわよ」




さやか「...」

まどか「...」

めがほむ「...」

めがほむ「...あの、えっと...」

めがほむ「...ごめんなさい」

さやか「...なんかものすごい絡まれ方したね...まどか...」

まどか「う、うん...知り合いじゃないんだけど...ね」

めがほむ「あ、その...お姉ちゃん達は...その...」

めがほむ「む、昔住んでたところのお友達にまどかさんが似てて...」

めがほむ「そ、それで...懐かしくて泣いちゃったんだと思います...!」

さやか「...名前読んでたけど」

めがほむ「ぐ、偶然!偶然同じ名前なんです...!」

さやか「へー、珍しい事もあるもんだ」

まどか「...あはは」

まどか「でも、仲良くなれたら嬉しいな」ニコッ

めがほむ「...」

めがほむ(...可愛い)

さやか「そういやさー、ほむらはあの人たちとどういう関係?」

さやか「姉妹なんでしょ?姉ちゃん?妹?」

めがほむ「えっと...あの2人は...私のお姉ちゃんです」

さやか「へー」

さやか「って事は末っ子かー」

さやか「...なんか、妹だけはまともで嬉しいよ」

まどか「...さ、さやかちゃん...!」

さやか「あはは、冗談冗談」

さやか「んじゃま、これから宜しくね、焔」

めがほむ「は、はい...!」




ほむら「...」

リボほむ「...」

ほむら「...あんな所でいきなり泣いて...まどかに警戒されたらどうするつもり?」

リボほむ「こっちのセリフよ、いきなりあんな電波発言なんてしたら、警戒されること間違いなしね」

ほむら「...」

リボほむ「...」

ほむら「...私達、どうやら馬が合わないようね」

リボほむ「奇遇ね、私もそう思っていたわ」

ほむら「...」

リボほむ「...」

ほむら「...ところで」

リボほむ「...?」

ほむら「...私達がこうなった原因について探ってみるべきだと思うのだけど」

リボほむ「...それについては構わないわ...でも、彼女はいいの?」

ほむら「居なくてもいいわ」

リボほむ「...一応あの子も被害者だと思うけれど」

ほむら「...必要ない」

リボほむ「...」

ほむら「...まず、この世界は誰のもの、なのかしら」

リボほむ「...言い方が少し変だけれど...そうね」

リボほむ「普通に考えて私ではないわ」

ほむら「...どうして?」

リボほむ「...私の世界では、さやかは既に死んでしまっているから」

ほむら「...どういう事?」

リボほむ「話すと長くなるわ、要するに...さやかはもう居ないのよ」

ほむら「...」

リボほむ「この世界はあなたか、眼鏡の私のものなのでしょうけれど」

リボほむ「...それがどっちのものかは、断定できないわ」

リボほむ「あなたが繰り返す時にあの子の世界に割り込んできたのかも知れないし」

リボほむ「もしかすると、あの子が紛れ込んできたのかもしれない」

リボほむ「...とは言っても、私が紛れ込んでいるということを踏まえると...」

リボほむ「...やっぱりここは、あなたの世界なのかも知れないわね」

ほむら「...」ホッ

リボほむ「嬉しそうね?」

ほむら「...まどかを救った途端本当の私の世界に帰ることになるなんて...嫌だわ」

リボほむ「...」

ほむら「...」

リボほむ「...まどかを、救う、ね」

ほむら「...?」

リボほむ「...私の世界のまどかはね、自分ひとり助かることを良しとしなかった」

リボほむ「だからこそ彼女は一人で抱え込んで、QBと契約し、手の届かない存在へと昇華した」

リボほむ「...あなたがやっている事は...本当にまどかの願いなの?」

ほむら「...」

ほむら「...何を今更」

ほむら「...あの時まどかは私に言ったわ」

ほむら「...私を助けて、と」

ほむら「私はあの時のまどかの願いを叶えるだけ」

ほむら「...それ以外には...何も無い」

リボほむ「...そう」

リボほむ「...でも、私は...」

リボほむ「...もし、私が彼女を救うことが出来たなら」

リボほむ「...この街を離れるなんて馬鹿なまねはせず、共に生きて行きたかったわ」

リボほむ「...ふふ、もちろん...今の私だから言えることだけれど、ね」

ほむら「...」

リボほむ「...あ、私、学校へは行かないわよ」

ほむら「...は?」

リボほむ「どれくらいの期間私がここにいるか分からないけれど」

リボほむ「きっとそんなに長くないわ」

リボほむ「だったらたまの休みだと思って家でのんびりしておくわよ」

リボほむ「...まどかの顔を...見るのは辛すぎるから」

ほむら「...そう」

リボほむ「あと、気がついた?」

ほむら「...?」

リボほむ「...お母さん、私と眼鏡の方をお姉ちゃん、妹ちゃんって呼んでいたわ」

リボほむ「...飲み物を買ってきて」

ほむら「は?」

リボほむ「ふふふ、姉の言うことは素直に聞くものでしょう?」

ほむら「...」









リボほむ「...ビンタされるなんて..」

リボほむ「...荒れすぎじゃないかしら...この時の私...」





ドカァァァン!!

魔女「...アアアアアアアア...」

ほむら「...ふぅ...」

ほむら「...随分と遅かったわね、QB」

QB「やあ」

ほむら「...あなたなら、もう少し早く接触してくると思ったけれど」

QB「これでも早い方さ」

ほむら「...」

QB「僕は君と契約した覚えがないんだけれど」

QB「そして君の姉とも」

QB「妹の方は素質があるけれどまだ契約はしていないね」

QB「君達は一体なんなんだい?何をしようとしてるのかな?」

ほむら「あなたに話すことなんて何も無い」

QB「そうかい」ピョンッ




ほむら「...綺麗な満月」

ほむら「...」

ほむら「...次は...一ヶ月後には...まどかと一緒に、見たいわね」

ジャリッ

ほむら「...」ピク

リボほむ「...」

ほむら「何しにきたの?」

リボほむ「...いえ、別に」

リボほむ「ただ少し、懐かしくなってね」

リボほむ「魔女って、こういうものだったかしら」

ほむら「...」

リボほむ「...まどかの願いがかなってしまった私の世界では、魔女じゃなくて魔獣と呼ばれる存在が居る」

リボほむ「...まぁこの魔獣達が効率が悪くてね...」

リボほむ「毎晩毎晩何体も倒さないといけないのよ」

リボほむ「だからそれ、私に頂戴」

ほむら「...」ピンッ

リボほむ「...あら、本当にくれるの?」

ほむら「別に私が持っていても意味が無いわ」

ほむら「...あなたなら知ってるでしょ?」

リボほむ「...そうね、私は沢山予備を持っていたものね」

ほむら「...」

リボほむ「...あぁ...やっぱりグリーフシードは効率がいいわね」

リボほむ「とても綺麗になったわ」

リボほむ「...」

リボほむ「...彼女、どうするつもり?」

ほむら「...さぁ、契約しようがしまいが私の知った事ではないわ」

リボほむ「そんな事言っていていいの?」

ほむら「契約したなら、私が利用するだけよ」

リボほむ「そうよね、あなたはそういう人間よね」

ほむら「...もう帰りましょう」

ほむら「あなたにも、私にも...こんな綺麗な月の夜は、似合わないから」

リボほむ「...」

リボほむ(...随分と、詩的で自虐的)

リボほむ(...ここまで、私の神経は磨り減っていたのね)





ガチャッ

めがほむ「...あ、その...お帰りなさい」

リボほむ「ただいま」

ほむら「...」

めがほむ「ご、ご飯...作っておきました...」

リボほむ「...帰ってきたらご飯があるなんて...嬉しいわね」

ほむら「...私は、いらないわ」

めがほむ「...え...」

ほむら「二人で食べてちょうだい」

バタン

めがほむ「...」

リボほむ「...頂くわね」

めがほむ「...あ、ど、どうぞ...」

リボほむ「...」

めがほむ「...」

リボほむ「...気になる?」

めがほむ「...え?」

リボほむ「...あなたの、お姉ちゃん」

めがほむ「...気に、なります」

めがほむ「あなた達のことも...この状況も...」

めがほむ「...あなた達は一体誰ですか?」

めがほむ「...私は、誰ですか?」

リボほむ「...」

リボほむ「...私たち2人は、あなたの未来なのよ」

めがほむ「...性格が全然違います...それに...お母さんは私たちを姉妹と言っていました」

めがほむ「...でも、私に姉妹なんて...いません」

リボほむ「...」

リボほむ「...」

リボほむ「...姉妹になったのは...ただの辻褄合わせ」

リボほむ「...性格は...そうね」

リボほむ「...変えなければならないくらい、変わってしまうくらい...辛いことがあったからかしら」

めがほむ「...?」

リボほむ「...あなたは、知らなくてもいい」

めがほむ「...」

リボほむ「...」

めがほむ「...嫌です」

リボほむ「...!」

めがほむ「...確かに私は、あなた達のことを知らないです」

めがほむ「私は、魔法少女がなんたらとか...あの時あなた達の姿が変わった事とか...」

めがほむ「...まどかさんについて...何一つ知りません」

めがほむ「...でも、それでも...」

めがほむ「あなた達ふたりが辛いということは...理解できます...」

リボほむ「...ただの一般人が首を突っ込んでいいことではないの」

めがほむ「...私達は...姉妹なんですよ!?」

めがほむ「辻褄合わせかも知れません...もしかしたら...血が繋がってなかったりするかもしれません...」

めがほむ「...でも、ここで貴方達が...私が...関係ないから...なんて言ったら...」

めがほむ「...あなた達はこれから...誰に頼れるっていうんですか...!?」

リボほむ「...」

めがほむ「...姉妹に頼れなくて...どうして赤の他人に助けを求めることが...出来るんですか...?」

リボほむ(...)

リボほむ(...私が...そして...彼女が捨てたあなたは...)

リボほむ(...もしかしたら、弱さなんかじゃなかったのかもね)クスッ

リボほむ「...それは、信条の違いよ」

リボほむ「...もう誰にも頼らない...それが彼女の生き方であり、やり方」

めがほむ「...でも...!」

リボほむ「そう思うのなら」

めがほむ「...!」

リボほむ「...あなたが、彼女を助けたいと思うなら」

リボほむ「...私に言うべきじゃない、そうでしょ?」

めがほむ「...」

めがほむ「...」スクッ

リボほむ「...待って」

リボほむ「紅茶でも買っていってあげなさい」

リボほむ「貴方はまだ違うかもしれないけど、あの子は...」

リボほむ「...暖かい紅茶が、大好きだったから」

めがほむ「...」ガチャッ





ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら(...私は、いつまどかを救えるのかな)

ほむら(...もう、気が遠くなるほど繰り返した)

ほむら(...神経が擦り切れるほど、気を使った)

ほむら(...それでも、まどかを救えないなら)

ほむら(...これ以上、私は何をすれば、まどかを救うことが出来るの?)



コンコン


ほむら「...」

「...お姉ちゃん、入っていいかな?」

ほむら「...」

ほむら「...嫌よ」

「...」

ほむら「私をお姉ちゃんなんて呼ばないで」

ほむら「...あなたにそんなふうに親しみを込めて呼ばれると...吐き気がする」

「...」

「...どうしてお姉ちゃんは、私のことをそこまで否定するの?」

ほむら「...あなたが...嫌いだからよ」

「...」

ほむら「分かったなら出ていって...!」

ガチャッ

めがほむ「...」

ほむら「...」ギリッ

ほむら「...その、眼鏡を外しなさい...」

ほむら「...鬱陶しい三つ編みをやめなさい...!」

ほむら「...あなたを見ていると...本当にいらいらする...!!」

めがほむ「...」

めがほむ「...弱虫」

ほむら「...は?」

ほむら「...言うに事欠いて...弱虫...ですって?」

めがほむ「...だって、そうでしょ?」

めがほむ「...わ、私が貴方達の過去なら...その姿を見たくないお姉ちゃんは...ただの弱虫だよ」

めがほむ「...気弱な私を認めたくない...ただの...」

ガシッ!!!

めがほむ「...きゃあ...!」 

ほむら「...今ここで、あなたを殺してもいいのよ?」

めがほむ「...」ビクッ

ほむら「...私は、あなたを捨てたのよ」

ほむら「...その眼鏡を外してね」

ほむら「...そうまでしないと...まどかは救えない...!!」

ほむら「...何も知らないあなたが...!知った口を...!」

めがほむ「...分かるよ!!!」

ほむら「...!」

めがほむ「...だ、だってお姉ちゃんは...私なんでしょ?」

めがほむ「今にも辛くて...泣き叫んで逃げ出したい...!」

めがほむ「...あなたの気持ち...痛いほど分かるよ...!」

ほむら「...っ」

めがほむ「...私だって...お姉ちゃん程じゃないにしても...辛い事...沢山あった」

めがほむ「...そんな時、私どんな顔するか...知ってる...?」

ほむら「...」

めがほむ「...決まって、そんな顔するんだ」

ほむら「...」

めがほむ「...辛いよね...さみしいよね...」

めがほむ「...誰も分かってくれないよね...」ギュッ

ほむら「...う、あぁ...!」

めがほむ「...頼ってよ...今は...私達...姉妹でしょ...?」

ほむら「...ううぅ...ううぅぅぅ...!!!」





リボほむ「...」

リボほむ「...私たちが捨てたのは...弱さじゃなくて...」

リボほむ「...他の大切なもの...だったのかもしれないわね」

リボほむ(...それにしても自分が抱き合ってる光景は何とも言えずシュールだわ...)

ほむら「...ぐすっ...ぐすっ...」

めがほむ「...」

ほむら「...」

めがほむ「...泣き止んだ?」

ほむら「...ごめんなさい...」

めがほむ「...ううん、いいよ」

ほむら「...あなたは、強いのね」

めがほむ「...強くなんて、無いよ」

めがほむ「...ただ、私は...姉妹3人で...ご飯を食べたかっただけ...」

めがほむ「...温め直すよ...一緒にご飯...食べよ?」

ほむら「...うん...うん...!」





リボほむ(...誰これ?)

リボほむ(...眼鏡の私ってこんなに母性あふれでてたかしら...)

リボほむ(...だとしたら、これも...イレギュラー要素ってわけね)





さやか「おっはよー、ほむらズ」

さやか「あれ?一番上のほむらは?」

ほむら「...彼女は基本的に不登校なのよ、昨日は来ていたけど」

さやか「...何じゃそりゃ...引きこもり?」

ほむら「...まぁ、そんな所ね」

さやか「...それにしても、二人何かあった?」

ほむら「...?」

さやか「いや、壁がなくなってる気がしたからさ、そっちのほむらも、おはよ!」

めがほむ「...あ、その...おはよう...ございます...」

ほむら「...そう、かしら...」

ほむら「...まどかは?」

さやか「...んー、今日は風邪で休みだってさ」

ほむら「...そう」

めがほむ「...残念ですね」

さやか「何をー、見滝原1の美少女さやかちゃんじゃご不満かー?」

「「それはない(です)」」

さやか「...」

ほむら「さ、さっさと教室に行きましょう」

めがほむ「うん」

さやか「あ、あははー...まどかー...辛いよー...」














「...本当は、こんな願いなんて叶えたくなかった」

「私は、皆と生きていたかった」

「それもこれも、全部、あなたが私を救ってくれなかったから」








リボほむ「...はぁっ...!」ガバッ!

リボほむ「...はぁ...はぁ...!」

リボほむ「...っつ...」ズキッ

リボほむ「...また、その夢...ね」

リボほむ「...」

リボほむ「...私だって...救いたかったわよ」

リボほむ「...」

リボほむ「...気分でも変えに...外にでも出ようかしら...」

リボほむ「...」

リボほむ「...私の服は...」

リボほむ「...そうだったわね...あんまり私服持っていなかったかしら...」

リボほむ「...どうしよう」

リボほむ「...魔法少女姿でうろつくのはまずいし...かと言って制服だともっと...」

リボほむ「...まぁ、いいか...いざとなれば魔法を使って逃げれば...」

ガチャッ

リボほむ(...それにしても)

リボほむ(...ここ...本当にあの時の見滝原なのよね?)

リボほむ(...まどかが、生きている)

リボほむ(...それだけで、どんなに嬉しいか)

リボほむ(...私には、もう二度と手に入らない)

リボほむ(...私には...)




まどか「...けほっ...けほっ...」

リボほむ「...!!」

諄子「ほらまどかー、足元気をつけな」

まどか「う、うん...!」

諄子「全く、昨日腹出して寝てたんじゃないだろうな?」

まどか「そ、そんな事しないよぉ...」





リボほむ「...」

リボほむ(...やっぱり、生きている)

リボほむ(...生きてまどかが...動いてる...)

リボほむ(...羨ましい...羨ましいよ)





だったら、奪ったらどうだ?


リボほむ「...っ」



簡単な事だ、あいつを殺してお前が成り変わればいい

リボほむ(...しまった...!)

リボほむ(...私の世界には...ここまで巧妙な攻撃を仕掛けてくる奴がいなかったから...ぐぅっ...!)

お前にもその資格がある、だってお前も暁美ほむらなんだから

リボほむ(...精神っ...攻撃...!!)

その手を伸ばせば、手の届く位置に鹿目まどかは、居るぞ

リボほむ「ぐぅ...ぅぅぅぅううう...!!!」

リボほむ(...黙れ!黙れ黙れ黙れ!!!)

リボほむ(...私は...私は...あの時の約束を...!!)





「皆と生きていたかった」

リボほむ「...っ!!!!」




ズズズズズズ...





さやか「いんやー、すっかり遅くなっちゃったね」

ほむら「...あなた...どこそこ連れ回しすぎよ...」

めがほむ「わ、私はすっごく...楽しかったです...!」

さやか「へへー、一番下のほむらは素直だなー、姉ちゃんにも見習えって言っといて」

ほむら「余計なお世話よ」

さやか「ほんじゃ、また明日」

さやか「うん、次はまどかと一番上のほむらも一緒にねー」





ほむら「...」

めがほむ「...」

ほむら「...楽しかった?」

めがほむ「...うん」

ほむら「...そう...だったら、いいわ」






ほむら「...っ」

めがほむ「...?」

めがほむ「...どうしたの?」

ほむら「...貴方はここにいて...決して動いてはダメよ」

めがほむ「...え、えぇ...?」

ほむら「...いいから!」バシュッ!

ほむら「帰ってきたら...私のことも含めて...必ず話すから...!」

めがほむ「...」

めがほむ「...行っちゃった」

めがほむ「...綺麗な満月...だな」

めがほむ「...あれ?」

めがほむ(...確か昨日か一昨日も、満月じゃ...無かったっけ?)

めがほむ「...」



バリィン!

めがほむ「...ひゃあっ!?」







ほむら「...私に向けられている魔力からして、魔女だと思っていたけれど」

ほむら「...それにしては、随分な殺気を感じるわ」

ほむら「...あなたは、誰?」




リボほむ「...」

ほむら「...っ!?」

ほむら「...あなた...!何をして...!」

ほむら(...魔女の...口付け...!?)

リボほむ「...」

リボほむ「...決めたの」

リボほむ「...私は、あなたを殺して...」

リボほむ「...もう一度...まどかを救う...!」ダッ!

ガギィィィ!!!

ほむら「...ぐぅっ!!」

リボほむ「...ずっとあなたに張り付いていれば、時間停止は使えない...そうよね?」ドシュウッ!!

ほむら「...このっ...!」

ほむら「...何を...考えて...!」

リボほむ「...私、彼女を救いたかった」

リボほむ「...だけど救うことが出来なかった」

リボほむ「...でも、今そのチャンスが巡ってきた」

リボほむ「...あなたを殺して、私はあなたに成り代わる」ギリギリ

ほむら「...何を馬鹿なことを...!...そう長くここにはいられないと言ったのは...あなたで...!」

リボほむ「そんな事、誰が決めたの?」

ほむら(...ダメね...正気じゃない...!)

ドシュウッ!!




「...」

めがほむ「...な、ななななな...何ですか...?」

めがほむ「...月が...割れて...え?」

「随分と懐かしい顔ね」

めがほむ「...あ、あなたは...」

「...私は...」

「...私は、眼鏡を捨て、盾を捨て、そしてまどかとの約束も捨てた存在」

「...あなた達の、成れの果てよ」

めがほむ「...あなたは、一体...なんですか?」

「...そうね」

デビほむ「...悪魔とでも...読んで頂戴」ニコッ





リボほむ「こうして馬乗りになってしまえば...あなたは何も出来ない」

ほむら「...」

リボほむ「...ふふふ、そうよ、簡単な事だった」

リボほむ「...もう一度まどかを救いたいなら...いくらでもやりようがあった」

リボほむ「知らない少女を騙して...その願いを使えばよかった」

リボほむ「こんな風に、あなたを殺してしまえばよかった」

リボほむ「ふふふふ、あははははははははは...!!!」





めがほむ「悪魔...ですか?」

デビほむ「えぇ、そうよ」

めがほむ「...あなたも、巻き込まれたんですか?」

デビほむ「...」

デビほむ「...私の場合は、少し違うわね」

デビほむ「...巻き込まれたのは、人生の選択の分岐点になった3人」

デビほむ「まどかに救われた私と」

デビほむ「まどかを救おうとしてる私と」

デビほむ「...まどかを救えなかった私よ」

めがほむ「...じゃあ...あなたは...」

デビほむ「...私?そうね...あなた達になぞらえて言うなら」

デビほむ「まどかを巣食ってしまった私よ」

デビほむ「...なんて、言葉遊びが過ぎるかしら」

めがほむ「...?」

デビほむ「...勘違いしないで欲しいんだけど、私はただ見に来ただけよ」

デビほむ「この不思議な可能性の時間軸を」

めがほむ「...不思議な...可能性?」

デビほむ「本来なら有り得ない、この時間軸は、存在しない」

デビほむ「...だけど彼女が...救おうとしてる私が、繰り返し続けた事で」

デビほむ「...因果の糸が限界まで集約して、特異点となった」

デビほむ「その結果他の平行世界の可能性をも引き込んでしまった」

デビほむ「そんな、天文学的確率からなる時間軸」

デビほむ「...それが、ここよ」

めがほむ「...?...???」

デビほむ「だけど私は俯瞰的存在」

デビほむ「この世のあらゆる可能性を俯瞰から眺めることの出来る存在」

デビほむ「...少し気になったの」

デビほむ「この世界で、あなた達はどんな選択をして、どんな結果が起こるのか」

めがほむ「...」

めがほむ「...よく分かんないですけど...あなたは...神様ってことですか?」

めがほむ「...私、神様になっちゃうんですか?」

デビほむ「さぁ、私があなたの末路を認識しなければ私にとってはあなたは今のままよ」

デビほむ「...良ければ、あなたの未来を教えてあげましょうか?」

めがほむ「...要らないです」

デビほむ「釣れないのね」

めがほむ「...あなたは...!何をしにここに来たんですか?」

めがほむ「...あの二人があなただったとしたら...あなたは...!」

デビほむ「...私が、彼女達を救うことは、出来ないわ」

めがほむ「...っ!」

デビほむ「私は、彼女に救われた私の、救おうとしてる私の、そして救えなかった私の末路」

デビほむ「...仮に私が彼女達を助けて救ったとして私が消えるわけではないけれど」

デビほむ「そもそもそんな事は、出来ない」

デビほむ「それは、言うなれば運命という力が影響してるから」

めがほむ「...」

デビほむ「悪魔にも、出来ないことはあるの」

めがほむ「...」

デビほむ「...どう?理解出来た?」

めがほむ「...出来ません」

デビほむ「...」

めがほむ「自分のことなのに...あんなに辛い顔してる人のことなのに...」

めがほむ「...まるで映画でも眺めるような感じで楽しんでる...あなたが...!!」

デビほむ「...」

デビほむ「...私は、眼鏡を捨てた」

デビほむ「...盾を捨てて、そして、彼女との約束も捨てた」

デビほむ「そうして全てを見捨てて鹿目まどかを救うことが出来た」

デビほむ「...いえ、完全には救えてはいないけれど」

デビほむ「...そんな私が、あなた達をまるで映画でも眺めるような感じで見ていたら、いけないの?」

デビほむ「私は出来ることは、したわよ?」ニコッ

めがほむ「...」

めがほむ「あの2人は...人当たりが強くて...勘違いされやすい人だけど...」

めがほむ「...あなたは違う...!あなたはただの...クズだ...!!!」

デビほむ「...」

デビほむ「...そう」

デビほむ「...後々影響を与えそうだから、私はこれで消えるわね」

デビほむ「ヒントは与えてあげる、私のことは金輪際忘れることね」パンッ






めがほむ「...あれ?」

めがほむ「...私、誰と話してたんだっけ...?」





リボほむ「はははははははははははは!!!!!!!」

リボほむ「...今すぐあなたを殺して...私があなたに成り代わる!!」

リボほむ「まどかもきっとよろこんでくれる!!!」

リボほむ「何度繰り返しても救うことの出来ないあなたより、私の方が...!!!」

ほむら「...」

ほむら「...それで、いいの?」

リボほむ「...何ですって?」

ほむら「...あなたは、それでいいの?」

リボほむ「...」

ほむら「...まどかを救えなくて、辛かったわよね」

ほむら「...だからと言って、あなたはまどかとしたはずの約束を、捨てていいの?」

リボほむ「...っ」ズキッ





「ほむらちゃん」

「いつかきっと、また会えるから」

「...その時まで...」




リボほむ「...ぅぅああ...」

リボほむ「...うううぅ...!」

ほむら「...それであなたが満足なら、殺せばいい」

ほむら「...私を殺して、間違った道を歩めばいい」

リボほむ「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!」

リボほむ「...そんな約束...ないも同じなの...!!」

リボほむ「私は、彼女の居ない世界には耐えられない...!!」

リボほむ「...彼女が居ないと私は...」

リボほむ「...寂しいの...」

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら「...まどかは...」

ほむら「...絶対に、貴方のことを忘れたりしない」

リボほむ「...っ!!!」

ほむら「...まどかがそういったなら、あなたは...私は...」

ほむら「...それを信じるべきじゃ、無いの?」

ほむら「...辛かったわよね、寂しかったわよね」

リボほむ「...ぅ、あ...」

ほむら「...まどかが居ない世界なんて、きっと私も辛い」

ほむら「...でも、あなたは...ただ1人の...」

ほむら「...まどかの事を覚えている友達なんでしょう?」

リボほむ「...あぁ...うううぁああああ...!!!!」




「私の、最高の友達」




ほむら「...あの子に見られたら、怒られるわよ」

ほむら「...私を、忘れないで...って」

リボほむ「ううううううううぅぅぅぅぅぅ!!!」

ほむら「...」

ほむら(...やっぱり魔女は、害悪だ)

ほむら(...人の呪いの形なんて、関わるものじゃない)

ほむら「...見てて頂戴」

ほむら「...あなたはこの盾を捨ててしまったかもしれないけど」

ほむら「...それでも、この祈りの結晶は、捨てたもんじゃないんだから」ニコッ




魔女「アアアアアアアアアアア!!!」

ほむら「...私をここまで泣かせた罪は、重いわよ...!」




デビほむ「...」

デビほむ(...立ち直った)

デビほむ(...そう、あの時の私はこんな事を考えていたのね)

デビほむ(...まどかとの、約束)

デビほむ「...ふふ、でも約束は破るものでしょ?」




デビほむ「さぁ、あなた達はどんな選択をするのかしら?」

デビほむ「何を選んで、何を捨てるのかしら」

デビほむ「...私は、それを「まるで映画でも眺めるような感じ」で、見ていてあげる」

デビほむ「ワルプルギスを、迎えるところまでね」

デビほむ「...あら、そこのあなた」

デビほむ「あなたも、出歯亀かしら」

デビほむ「...ふふ、なんてね」




デビほむ(それにしても...可能性か...)

デビほむ(...私はこの姿のせいで彼女がワルプルギスを倒すという目的の為に力を貸すことは出来ないけれど...)

デビほむ(...あの2人は...違うようね)

デビほむ「...ふふ」

デビほむ「つくづく巫山戯た存在だわ、因果を外れた存在と言うのは」

デビほむ「せいぜい頑張ることね、3人とも」









ほむら「...」

リボほむ「...」

めがほむ「...あの...」

ほむら「...どう?」

ほむら「...落ち着いたかしら」

リボほむ「...その...ごめんなさい」

ほむら「...全くよ、あなたはとても愚かだわ」

リボほむ「...」

ほむら「私を殺そうとした事がじゃないわ、そんな事、私が一番知ってる」

ほむら「目的のために手段を選ばない、その気持ちを、私は知ってる」

ほむら「...私が気に食わないのは、あなたがまどかの願いを蔑ろにしようとしたことよ」

リボほむ「...」

リボほむ「...ごめん、なさい」

ほむら「...」

めがほむ「...」

ほむら「...別に、怒ってなんか居ない」

ほむら「...ただ」

リボほむ「...」

ほむら「...」

ほむら「...ただ私だって...姉妹でご飯を食べたかっただけ...よ」

めがほむ「...」ホッ

リボほむ「...ありがとう」






めがほむ「...あ、今日のご飯は何がいい...ですか?」

ほむら「...」

リボほむ「...唐揚げ」

ほむら「...私も」

めがほむ「は、はいっ!」



ほむほーむ


めがほむ「...~♪」ジュワジュワ

めがほむ「...~♪...あとは余った野菜の切れ端で...よし...」

めがほむ「...あ、ついでに片付けも済ませておこうかな...」




ほむら「...」

リボほむ「...」

ほむら「...あれは、過去の私なのよね?」

リボほむ「...ええ、間違いないわね」

ほむら「...何よ...あの女子力」

リボほむ「...あなた、唐揚げの作り方分かる?」

ほむら「...」

ほむら「...鶏肉を、油であげる...のよね?」

リボほむ「...多分違う」

ほむら「...くっ...!」

リボほむ「...どうしてあの子だけ...あんなに私たちと知識が異なるのかしらね」

ほむら「...」

ほむら「...あなただって、私のことを知っているんでしょう?」

ほむら「...私が繰り返してきた世界には...一つとして全く同じ世界なんて存在しなかった」

リボほむ「...という事は...」

ほむら「...ええ...もしかしたら...彼女は...魔法少女にならない世界の私、なのかもね...」

リボほむ「...でもそれは、おかしいじゃない?」

リボほむ「...それだと、あなたは、生まれない...」

ほむら「...もしかしたら、世界の運命は...既に決まっているのかも」

リボほむ「...」

ほむら「全てが台本通りに進む世界が無数にあって、それがこうして重なり合って...」

リボほむ「...それだと、あなたがまどかを救えないのも...台本通りになってしまうわよ」

ほむら「...」

リボほむ「...運命は決まっている...んだとしたら...あなたが台本を書き換えようとしていると言うことすら、台本通りになってしまう」

ほむら「...そう、かしら...」

リボほむ「...もしかしたら、この事態すらも...台本通りなの...?」

ほむら「...」




めがほむ「出来ました~」

ほむら「...」

リボほむ「...」

めがほむ「...あの...何でそんな...悔しそうな顔するんですか...?」

ほむら「...」

リボほむ「...」

めがほむ「...」

めがほむ「...また、二人でお話してましたね」

ほむら「...んぐっ...!」

めがほむ「...私、昔から体が弱くて...あ...あなた達なら...知ってますね...」

めがほむ「...だから、普段から...のけ者にされてて...それが嫌なんです」

めがほむ「...あの...私はそんなに...役に立たないでしょうか...?」

めがほむ「...そんなに、頼りない...でしょうか...」

ほむら「...」

リボほむ「...」

ほむら「...そんな事、無い」

ほむら「...だけど、あなたはまだ魔法少女になっていない」

ほむら「私たちは知っているのよ、魔法少女にならず、人間として生きていけることが、どれだけ幸福なことなのかを」

めがほむ「...」

ほむら「...はっきり言うわ、私はあなたに関わって欲しくない」

ほむら「...例え、過去の自分だとしても...関係の無い人間を巻き込むのは...ゴメンよ」

めがほむ「...そう、ですか」

リボほむ「...」

リボほむ「...」

リボほむ「...あ」

ほむら「...?」

めがほむ「...??」

リボほむ「そう言えば...まどかが言っていたわ」

リボほむ「...今の私には、過去と未来...全ての可能性の私が見える、って」

ほむら「...俯瞰的存在...それじゃあ、あなたのまどかは文字通り本当の神様になったのね」

リボほむ「...ええ」

リボほむ「...そう考えると...」

リボほむ「...あなたと私は...別の可能性の私、なのかしら?」

ほむら「...?」

リボほむ「...確かに同一人物、今のあなたの成れの果てが私...そう思っていたのだけれど」

リボほむ「...そもそも、単なる同じ可能性の時間軸の過去と未来の私が集まっても、辻褄が合わないと思わない?」

ほむら「...辻褄...?」

リボほむ「...だって、この子は...魔法少女にならない可能性の私、なんでしょう?」

リボほむ「...そして、私は...魔法少女」

ほむら「...確かに、矛盾...してるのかしら」

リボほむ「...そうよ、私達は...単に同一時間軸...或いは同可能性時間軸の過去と未来、そして現在の暁美ほむらじゃない」

リボほむ「...私達は...姿形は一緒でも...全く違う道を歩んだ...」

リボほむ「...過去と未来だけじゃない...並行する世界の、同一人物」

ほむら「...もっと分かりやすく言ってちょうだい」

リボほむ「...」

リボほむ「...つまりあなたは、私とは別の結末を迎えることになるかもって、事よ」

めがほむ「...???」

ほむら「...」

ほむら「...私の魔法は...あの時の世界と同じ地点まで飛ばしてくれるものだと思ってたけれど」

リボほむ「...今考えると、それもおかしいわね」

リボほむ「...そもそも平行世界なんて、お互い干渉しあえるものではない」

リボほむ「魔法少女ならそれもできるかもしれないけど、そもそもあなたの願いはそうじゃない」

リボほむ「...まどかとの願いをやり直したい、でしょ?」

ほむら「...」

リボほむ「だとしたら、考えることが出来るのは...やっぱり...」

リボほむ「...あなたは、単に時間を巻き戻している」

リボほむ「それが、あなたの魔法、それ以上でも、それ以下でもない」

ほむら「...じゃあ、私が繰り返してきた世界で全く同じ世界なんて存在しなかったのはどうして?」

リボほむ「...さぁ」

リボほむ「あいつの言葉を借りていうなら、あなたが繰り返したことによる因果律云々って奴なんでしょうね」

リボほむ「...でも、過程はどうあれあなたは、最終的には...同じ末路を辿った」

ほむら「...っ!!」

ほむら「...つまり、私にまどかは救えない...そう言いたいの...!?」

リボほむ「...いいえ」

リボほむ「...そうは言っていない」

リボほむ「...むしろ、道は開いたと見るべきよ」

ほむら「...?」

リボほむ「あなたがここまで繰り返してきたことは、完全なる予定調和だった」
 
リボほむ「あなたは、この世界を何度も何度も繰り返して、それこそ無意味に思える時間をやり直した」

リボほむ「...あなたの言うイレギュラー要素なんて、些細なものだったのよ」

リボほむ「本当のイレギュラー要素は、私達」 

リボほむ「あなた自身の人生に、私たちは存在しないとするなら」

リボほむ「本当の不確定要素は、私達」

リボほむ「...私達だけが...あなたの台本を...書き換えることが出来る」

リボほむ「...かも」

ほむら「...」

ほむら「...でも、あなたは...手伝うつもりなんて...無いんでしょう?」

リボほむ「...ええ、そうね」

リボほむ「...でもそれは、あなたを手伝うことによって私の存在に矛盾が生じてしまう可能性があったから」

リボほむ「...でも、今の理論が正しいなら...そんなことは起こり得ない」

リボほむ「だってあなたは、厳密には私じゃないんだもの」

ほむら「...っ...!」

リボほむ「...」





リボほむ「...きっとね」

リボほむ「...まどかは、ここで私が立ち止まることを良しとしないと思うの」

リボほむ「グダグダと、御託を並べたわね」

リボほむ「...私にも、あなたを手伝わせて頂戴」

リボほむ「魔法少女でもない彼女が、あなたをこんなにも心配してくれている」

リボほむ「...ふふ、一番上の姉が手を貸さないわけには、行かないでしょ?」

めがほむ「...」スピー

ほむら「...ええ...ありがとう」







さやか「おはよー、ほむら達」

まどか「おはよ、ほむらちゃん」

ほむら「...おはよう」

めがほむ「おはよう、ございます」

まどか「...あれ?一番上のお姉ちゃんは?」

さやか「あー、まどか、一番上は不登校なんだってさ」

まどか「...ええ?」

ほむら「...そういう事なの」

ほむら(...何を言っても、基本的には休みたいみたいね)

ほむら(...ふふ、私にもあんな1面があるのかしら)

さやか「...はー、今日は6人でご飯でも食べようと思ってたのにさー」

さやか「...仁美も来れないっぽいし...全く...さやかちゃんは悲しいよ」

ほむら「...あら、私達は行かないとは言っていないわよ」

さやか「えっ?嘘!?一番上の姉ちゃんも連れてくる!?」

ほむら「...ええ、誘うつもりよ」

ほむら(...どの道彼女に手伝ってもらうなら顔を顔を合わせておいた方が得策よね)

ほむら(...それに私と同じ目的の魔法少女が居てくれるなら、それだけで使い勝手がいい)

ほむら(...放課後...ここが一番初めのまどかの分岐点ね)

運営終了は犯罪ナノデスよライダー

「ダンジョンズ&プリンセス」は、2015年12月28日(月) 15:00をもちまして、全てのサービスを終了させていただきました。

ご利用いただいていた皆様には、これまでのご愛顧に厚く御礼申し上げます。
今後ともDMMオンラインゲームをよろしくお願いいたします。

「ハーレムカンパニー」は、2015年10月30日(金) 12:00をもちまして、全てのサービスを終了させていただきました。

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「ラビリンスバインド」は、2016年3月31日(木) 17:00をもちまして、全てのサービスを終了させていただきました。

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「ひつじ×クロニクル」は、2016年3月31日(木) 14:00をもちまして、全てのサービスを終了させていただきました。

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ユエツべで観てオサライ氏よ麦野N

此処にソウルジェムオイ解き増すね【須我三連覇産】

繰れ悪じゃよ

御前ら母親入たのかよ熟女焔ちゃんチッスキリヤ先生コロソウゼ





放課後

さやか「よーっし、さ、どこ行く?どこ行く!?」

ほむら「...」

ほむら(...それにしても、このさやかはいやに私の事を気に入ってるわね)

ほむら(...)

ほむら(...いえ、そうね、あなたは元々そういう人だったわね)

ほむら(きっと、あなたは気に入ってるだとか、馴染めていないからだとか...)

ほむら(そんな感情を人付き合いに持ち込まない)

さやか「あ、待って、その前にCD屋寄っていいかな?買いたいものあるんだよねー」

まどか「いいよ」

めがほむ「良いですよ」

ほむら「...ええ、私も構わないわ」

運営終了は犯罪ナノデスよライダー

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如月ちゃんは生きている

轟沈は寝たよ

ほむら『さ、あなたもそろそろ出て来なさい』

リボほむ『うぅ...』

ほむら『...いつまでウジウジしてるの、私を手伝ってくれるのでしょう?お姉ちゃん』

リボほむ『...き、今日は体調が...悪くて...』

ほむら『嘘はいけないわね、後を付けてくるだけじゃ彼女達はあなたのことを何も分かってくれないわよ』

さやか「...ん?なんだあれ...?」

ほむら「...?」

ほむら「...!」

ほむら(...グリーフシード...それも孵化直前...!)



過程はどうあれ、同じ末路を辿る



ほむら(...彼女達が...魔法少女の存在を知ってしまうという事は...避けられないってわけ...!?)

ほむら「...あなた達はここにいて...」

さやか「へ?」

ほむら「...絶対に、ここから離れてはダメよ」ズズズズズズ...





さやか「...夢...でも見てるの?」

まどか「ほ、ほむらちゃんが...消えちゃった...」

めがほむ「...」

めがほむ(...やっぱり、私には何も教えてくれないんだね)

さやか「...ね、ねぇ...焔は何か知ってるの...!?」

さやか「...あれって、何!?あいつどこに行っちゃったんだよ...?」

めがほむ「...私は...」

めがほむ「...私は...何にも...知りません」

さやか「...ほ、焔...?」

めがほむ「...」

めがほむ(...力になりたいはずなのに、例え偽物の姉妹だったとしても)

めがほむ(...私は、二人の力になってあげたいのに...)

めがほむ「...わ、私って...そんなに頼りないでしょうか...!」ポロポロ

さやか「...!」

めがほむ「...あの2人は...きっと辛いことを抱えてる...」

めがほむ「...昨日、あの2人の会話を聞いていたんです」

めがほむ「...で、でもっ...私には何のことだか...分からなくてっ...!」

めがほむ「...わ、私が力になる...って言っても...お姉ちゃんは...うんっていってくれなくて...!」

さやか「...お、落ち着きなよ...!」

めがほむ「...私が...頭が悪いから...何でしょうか...!私が...体が弱いからなんでしょうか...!?」

めがほむ「...私だって...二人の力になりたい...!」

めがほむ「...私は...私は...!」

ギュッ

めがほむ「...ぅ...あ...?」

まどか「...ううん、きっと、そんな事、無いよ」

めがほむ「...鹿目...さん...?」

母『じゃあ、姉妹三人で仲良くするのよ』




リボほむ「...」

めがほむ「...」

ほむら「...」

魔女等ジェムで一発じゃよ

まどか「...ほむらちゃんはきっと、あなたに危険な目にあって欲しくない」

まどか「...だから、突き放してるだけ...」

めがほむ「...でも...!そんなのおかしいじゃないですか...!」

めがほむ「私たちは姉妹なんですよ...!?それなのに...!」

まどか「...」

まどか「...姉妹だから、じゃないかな」

めがほむ「...!」

まどか「...私は2人が抱えてる辛いことなんて何も分かんないよ」

まどか「...でもきっと、ほむらちゃんたちは...」

まどか「...帰ってきた時に、あなたがいること」

まどか「...それが、掛け替えのない大切なものだって...思ってるんじゃないかな」

めがほむ「...ううう...ううぁ...!」






リボほむ「...あなたが抱え込むことはないわ」ザッ

さやか「...あ!不登校!」

リボほむ「ふ、不登校...!?」

めがほむ「...お姉、ちゃん...」

リボほむ「...」

リボほむ「...」

リボほむ「...あなたは、まるで自分に何の取り柄も無いような自己評価をするのね」

めがほむ「...?」グスッ

リボほむ「確かにあなたは、頭が悪いかもね、体も弱い」

リボほむ「他人から見たら頼りなく映るかもしれない」

リボほむ「...でも、勘違い、しないで」

リボほむ「そんな事が理由で、あなたの存在を、あの子は軽く扱ったりしない」

リボほむ「...馬鹿ね」クスッ

リボほむ「...誰かのために、そう言えるあなたの優しさが、取り柄じゃないわけないじゃない」ズズズ...

リボほむ「あの子のことは、任せなさい」

リボほむ「...あなたは、そうね」

リボほむ「...今日の献立でも、考えておくのね」ズズズズズズ...







ほむら「...随分遅かったじゃない」

リボほむ「...まどかがいい事言ってる最中だったのよ」

ほむら「...?」

リボほむ「...さぁ、さっさと倒してしまいましょう」

ほむら「...ええ」

リボほむ「...ところで、あの3人にはどう説明するつもり?」

ほむら「...やっぱり説明は免れない、わよね...」

リボほむ「そうね...眼鏡の方は空気を呼んでくれそうだけと」

リボほむ「...さやかは、とことん問い詰めるでしょうね」

ほむら「...いいわ」

ほむら「...まずは、倒してから...考える」ジャキッ

リボほむ「...」パァァァ

ほむら(...そう、私はまた、救うことが出来なかったのね)

ほむら(...あの時)

ほむら(...あの時ああしていれば私は、まどかを救うことが出来たのかしら)

ほむら(...ふふ)

ほむら(...そんな可能性、考えるだけ無駄よね)

ほむら(...どんなに可能性があったとしても、私がここにいる)

ほむら(...それこそが、私が彼女を救えなかったという唯一無二の証明なのだから)

母親私にはクロガミの京様要るわよピース

ほむら「...」

リボほむ「...気が付いた?」

ほむら「...ええ」

リボほむ「...あなたにとっては一ヶ月前...でも私にとっては...」

リボほむ「...とても、懐かしい魔力だわ」

ほむら「...」






「武器を下ろして」ジャキッ

「この街に私以外の魔法少女がいるなんて、驚きね」

「あなた達が何者か、何てどうでもいいの」

「あなた達の目的は何?」

「QBはあなた達のことをイレギュラーと呼んでいた」

「あなた達は一体、何なの?」

「答えて」




ほむら「...巴...マミ...!」

リボほむ「...」

マミ「...どこかで会ったかしら」

ほむら「...人に武器を構えておいて、下ろせなんて要求が通ると思う?」

マミ「私はあなたに危害を加えるつもりは無い」

マミ「私は、ね」

ほむら「...」スッ

マミ「...」スッ

リボほむ「...ねぇ、睨み合ってるところ悪いのだけど、私達もあなたに危害を加えるつもりは無いの」

リボほむ「通してくれないかしら」

マミ「...」

リボほむ「私達が何者かなんてどうでもいい、ええ、そうね」

リボほむ「魔法少女が魔女を前にしてやる事なんて一つしかないでしょう?」

マミ「...そうね」

ほむら『...ごめんなさい』

リボほむ『お互い素直じゃないものね』

マミ「...確かにあなたの言う通りだわ」

マミ「...今は、魔女を倒す方が先ね...」





魔女「...」

ほむら「...」

リボほむ「...本当に、あの時のままね」

マミ「...」

ほむら「...私達には手の内を見せられない...そういう事?」

マミ「...いいえ、私が心配してるのは...後ろから狙われないか、だけよ」

ほむら「...随分嫌われたものね」

ほむら「...いいわ、ここは私が...」



ズドドドドド!!



リボほむ「13発中、10発明中」

リボほむ「駄目ね、少し感覚が鈍っているみたい」

ほむら「...はぁ」

魔女「...アアアアアアア...!!!」

リボほむ「トドメはお願いするわね」

マミ「...」

マミ「...」ズドォォォォン!!








さやか「...あ、出て来た!!」

さやか「...って、増えてる!?」

ほむら「...」

さやか「ねぇねぇ!あれって何なのさ!?何で消えたの!?あの恥ずかしい姿ってコスプレ!?それとも...」

ほむら「あぁもう、うるさい」グイッ

ほむら「...後で話すわよ、まずはどこか落ち着ける所に行きましょう」

まどか「あはは、行こ?焔ちゃん」

めがほむ「...は、はい...」

ほむら「あなたも来なさい、巴マミ」

マミ「...!」

マミ「...信用すると思って?」

ほむら「...一般人が三人もいるところであなたを襲おうとしない」

マミ「...ええ、分かったわ」

リボほむ(マミ、内心喜んでそう)






さやか「...へー、じゃあほむら達はその魔女ってのを倒すための正義の味方なんだ」

ほむら「...どこをどう解釈したらそうなるの?」

さやか「え?だってそうでしょ?」 

ほむら「...私達は、こんな事やりたくないわよ」

めがほむ「...」

さやか「て事は、そっちの美人な人も...?」

マミ「...」

マミ「...挨拶が遅れたわね、私は巴マミ」

マミ「...彼女達と同じ、魔法少女よ」

さやか「へー、よろしくお願いしますね、マミさん」

マミ「...ええ、よろしくね」

リボほむ「...」

リボほむ(まだ少し警戒してる、か)

さやか「でもかっこいいじゃん、正義の味方っぽくて」

さやか「ほむらたちってそんな事やってんだね」

ほむら「...本題は、ここからよ」

さやか「...え?」

めがほむ「...?」

まどか「...?」

ほむら「...魔法少女は、魔女と戦うという使命を負う代わりに、一つだけ願いを叶えることが出来る」

さやか「...!」

ほむら「...もちろん素質がある人しか魔法少女になる事は出来ない」

ほむら「...そして、あなた達にはその素質が...ある」

さやか「...マジで?」

さやか「だってさ、まどか!!何でも一つ願い事が...!」

ほむら「...勘違い、しないで」

めがほむ「...ひっ...」

めがほむ(...お姉ちゃん...怖い...)

そういやツーテールほむもいるのか
眼鏡ほむら
ほむほむ
リボほむら
ツインテほむら
悪魔ほむら
か全部で

ほむら「私は、あなた達に、魔法少女になって欲しくない」

さやか「...何でさ?」

ほむら「...あいつは、願いを叶える事と、魔法少女の使命を対価なんていうけれど...」

ほむら「...そんなもの、釣り合っていない」

ほむら「...あなた達には、これからの人生全てを戦いに捧げてまで叶えたい願い事が、ある?」

さやか「...」

ほむら「...今はそういうものがあったとして、その気持ちが風化しないと言い切れる?」

ほむら「...後悔しないと、言い切れる...?」

リボほむ「...」

マミ「...」

さやか「...」

さやか「...ほむらは...」

さやか「...ほむらは、後悔してるの?」

ほむら「...」

ほむら「...私の願いはまだ叶ってすらいない」

ほむら「...後悔するかしないか、それはまだ...分からない」

さやか「...そっか」

>>102
ゴスロリ魔女ほむ

さやか「...出会ったばかりの、私達のこと、考えてくれてるんだね」

ほむら「...!違っ...!」

さやか「...あはは、照れるなよー」

さやか「...そっか、そういう事なら、この話は聞かなかったことにするよ」

さやか「...まどかも、焔も、それでいいかな?」

めがほむ「...」

まどか「...私は、いいよ」

ほむら「...分かってくれて、助かるわ」

ほむら「...あと、まどか」

まどか「...へっ?」

ほむら「...忠告が無駄にならないようにね」

ほむら「...あなたは、自分に何の取り柄もないと考えるかもしれないけれど」

ほむら「...あなたの優しさに、助けられた人もいる」

ほむら「...そんなあなたの優しさが、取り柄じゃないわけないんだから」ニコッ

リボほむ(それもう私が言った)









ほむら「...」

リボほむ「...」

マミ「...」

ほむら「...さて」

リボほむ「...」

ほむら「...そして、あなたは何が聞きたいのかしら?」

リボほむ(三人がいなくなった途端、このギスギスした雰囲気はどうなのかしら)

マミ「...」

マミ「...いえ、もういいわ」

ほむら「...は?」

マミ「...正直、あなた達のことは信用しきれない」

ほむら「...」

マミ「...でもきっと、あなたは何か大きな目的の為にそうならざるを得なかったんでしょうね」

マミ「...きっと、冷たくならざるを得なかったんでしょうね」

ほむら「...」

マミ「彼女達を魔法少女にしたくない、そういったあなたの声は確かに本物だった」

マミ「...これは予感なんだけど、あなたはきっと悪い人じゃない」ニコッ

マミ「信じるわ、あなたじゃない、あなたが言った言葉」

ほむら「...そんな、簡単に...」

マミ「...何?疑って欲しいの?」

ほむら「...違う...違...う...わよ...!」






マミ「これから宜しくね、同じ街の魔法少女として」

ほむら「...うん...うん...!」

リボほむ「...」クスッ








恭介(...小さい頃から、バイオリンが好きだった)

恭介(...好きだったから、何度も何度も練習して上手になった)

恭介(いつも、色んな人が僕のバイオリンを聞いて、喜んでくれるから)

恭介(それが嬉しくて、僕はもっと練習をした)

恭介「...ぐっ...」

恭介「...」

恭介「...動かない、か」

恭介(どんなに力を込めても、もう肘から先は言うことを聞いてくれない)

恭介(僕はもう二度と、バイオリンを弾くことは出来ない)

恭介(そう言われた時、気が付いた)

恭介(僕は、一体何者なのか)

恭介(バイオリンが好きで、バイオリンの練習をし続けて、そして皆に認められた)

恭介(...そんな僕から、バイオリンが奪われたら)

恭介(...僕は一体、何なんだろう)





さやか「...よっ、恭介」

恭介「...さやか」

さやか「検査、もういいの?」

恭介「...うん」

さやか「...そっか、あ!見てこれ!珍しいCDが手に入ってさー!」

恭介「...」

恭介(...アヴェマリア...)

恭介(...珍しくなんてないよ、さやか...)







恭介「...」

さやか「...いい曲だね」

さやか「...恭介にはさ、感謝してるんだ」

さやか「だってさ、きっと恭介に出会わなかったら私みたいな奴がこんな曲を知る事なんてなかった」

さやか「...こんな世界、きっと知らなかった」

恭介「...」

恭介(...僕の腕は、もう動かない)

恭介(...僕はもう二度と、バイオリンを弾くことなんて、出来ない)

恭介(...それなのに君は...どうしてそんなに聞かせるんだ...!)

恭介(...もう、弾けもしない曲なのに!)




恭介「...ありがとう、さやか」

さやか「...うん、また...来るよ」







めがほむ「...縄張り争い...ですか?」

ほむら「そうよ、魔法少女はグリーフシードを集めないと...」

ほむら「...」

ほむら「...魔法を使えなくなってしまう」

ほむら「...そうならない為に、一応見返りと呼べるものがあるのだけど...」

リボほむ「魔女がグリーフシードを落とすかどうかはまさに時の運ってわけなの」

さやか「...はー、だから魔法少女同士の縄張り争い...ね」

さやか「結構シビアな世界なんだね」

ほむら「それにしても、突然どうしたの?」

ほむら「聞かなかったことにするんじゃ無かったの?」

さやか「あ、あははー、いやー、なんとなく気になっちゃってさ、だ、大丈夫だよ!誰かに話そうとか、そんなんじゃないから!」

ほむら「...」

リボほむ「...」

マミ「...はい、紅茶」

まどか「わ、私も手伝います...マミさん!」

マミ「あら、いいのよ、折角のお客様なんだから」

まどか「...で、でも、いきなりこんなに大勢で押しかけちゃって...!」

マミ「ふふ、気にしないで」

マミ「嬉しいのよ、私のティーカップ、私しか使っていなかったから」

さやか「でも、ほむらたちはどうなの?」

さやか「三人も居たんじゃ、グリーフシードの取り合いにならないの?」

ほむら「...私はここへ来る前に予備は沢山持っていたし」

ほむら「...それに、しっかり魔法少女同士でルールを決めれば、十分に行き渡る」

ほむら「...縄張り争いなんて言うのは、そもそも滅多に怒らない」

リボほむ「...起こすとすれば、自己中心的で、誰とも組もうとしない、そんな人よ」

マミ「...」






「マミさん!」

「なぁ、今日も稽古をつけてくれよ!」

「見てくれ!新技考えたんだよ!」




「...そうかよ」

「そうだとしたら、きっとあんたと私は元々違う人間だったんだな」

「綺麗事、言うなよ!」

「あたしは、誰を犠牲にしても生きていく!他人の為に馬鹿やるなんてゴメンだね!」

「...だったら、今度あったら敵同士だな」

「マミ」







ほむら「...マミ」

ほむら「...マミ...マミ...!」

マミ「...!」

ほむら「...どうしたの?気が抜けているんじゃない?」

マミ「...ごめんなさい、少し...昔のことを思い出してて...」

マミ「年上がこんなのじゃダメよね...さ、行きましょう」

使い魔「キー!キー!」

ほむら「...使い魔...」

マミ「...どうやら近くに魔女はいないようね」

マミ「これが魔女になる前に、さっさと片付けておきましょう!」

マミ「...ティロ・フィナーレ!!」ドォォォン!!





使い魔「...キー!」バサッバサッ!

マミ「...!?」




「契約した覚えのないイレギュラーが現れたから、様子を見に来て見りゃ」

「使い魔を倒そうなんて、まだ甘ちゃんやってんのかよ、マミ」

「はっ、あんたみたいなヤツとっくに死んじまったと思ってたんだけどね」

マミ「...佐倉...さん...!」

杏子「見たことない奴らだな、そいつが噂のイレギュラーかよ?」

ほむら「...」

リボほむ「...」

杏子「使い魔を倒すだなんて、無駄なことやってるな」

マミ「...あなたには関係ない話でしょう」

杏子「関係ない、ね」

ガキィィン!!

マミ「...っ!」

杏子「関係なくねーんだよ、なぁ」

杏子「あんたがその使い魔をやっちまったら、あたしに回ってくるかもしれない取り分が無くなっちまうだろ?」

ほむら(...固有結界...)

リボほむ(...戦いに関して、本当に抜け目が無いわね、一瞬で...一対一に持ち込んだ...!)

杏子「余計なこと、しないでくれるか?」ギリギリ...!

マミ「...ぐうっ!」

マミ「...私は、人に危害を加える可能性のある使い魔を...!」

マミ「...ほうっておく事なんて...出来ない!」

杏子「...へー」

杏子「...あんたが弱くなっちまったのは、その腑抜けた考えのせいなのか?」

杏子「...いや、違うな、あんたは元々そんなやつだった」

杏子「...」

杏子「...だとしたら、あそこの2人のせいか?」

マミ「...なっ...!」

杏子「...背中を任せちまったせいで、訛ってんじゃねぇのか、おい」

杏子「魔法少女なんてもんは、どうせ1人だ」

杏子「仲間なんてもんは、存在しねぇ」

杏子「そりゃ、あんたの勘違いって奴だよ」

マミ「...うるさいっ...!うるさいっ...!!!」

杏子「...」ドゴォ!!

マミ「...あっ...が...」

杏子「ははは!」

杏子「あんたがこの調子じゃ、この街ももうあたしのもんみてーだな!」

杏子「仲間に守られてるお陰で弱くなっちまったらどうしよーもねーな!!!マミィ!!!」

杏子「ははは!はははははははははは!!!!」

マミ「...うっ...あ」

杏子「...あたしはトドメは刺さねーよ、自分の首を絞めるのは」

杏子「きっと、あんた自身だからさ」ダッ





マミ「...う、ぁ...」

マミ「...佐倉...さん...」

ほむら「...」

めがほむ「...」






QB「どうだったかな?」

杏子「大したことないね」

QB「そうかな?あの2人はまだ戦っていなかったけれど」

杏子「はっ、私くらいになりゃ誰が強くて、誰が弱いかなんて見ただけでわかるのさ」

杏子「それとも何?あんたもしかして、あたしが負けるとでも思ってるの?」

QB「...」

杏子「ま、安心しなって、一応目的は果たしたからさ」

QB「...目的?」

杏子「はは、あんたに言う必要、あるか?」

QB「無いね」

QB「これからどうするつもりだい?」

杏子「んー、まぁ取り敢えずはあいつらの目に止まらないようにこの街で暇を潰すさ」

QB「意外だね、風見野に帰ると思っていたけれど」

杏子「...」

杏子「ふん、別にいいだろ、あたしがどこで何をしようが」

杏子「それに、あいつももうじき死んじまうかもしれねー」

杏子「...」

杏子「...そうなった時、あたしがこの街の魔法少女だ」

QB「...そうかい」

杏子「...」

杏子「...あぁ、そうだよ」









ガシャァァァン!!!!

さやか「...っ」

さやか「...恭...介...?」

恭介「...さやかはさ、僕のことをいじめているのかい?」

さやか「...そ、んなこと...」

恭介「...いつもいつも、僕の好きな曲ばかり持ってきてくれたね...」

恭介「...でもね、さやか」

恭介「...僕は聞くのが好きなんじゃない...弾くのが好きなんだ」

恭介「もう!自分で弾けもしない曲なんて、聞きたくないんだ!!!」

さやか「...っ...!」

さやか「そ、そんなこと無いよ!...頑張ってリハビリすれば...きっと...!」

恭介「...諦めろって、言われたのさ」

恭介「もう、この腕は動かない!」

恭介「バイオリンは、諦めろって言われたのさ!!」

恭介「...」

恭介「...もう、この腕は動かない...」

恭介「...」

恭介「...奇跡か...魔法でも...ない限り...」

さやか「...!!!」

あなたには、素質がある

さやか「...恭す...!」



その気持ちが風化しないと言い切れる?

後悔しないと、言い切れる?



さやか「...っ」

恭介「...帰ってくれ」

さやか「...」



恭介「...」

恭介「...くそ...!くそっ...!」

恭介(...あんなに僕のことを思ってくれるさやかに...僕は...)

恭介(...僕は、一体何なんだ...!僕は...僕は...!!)





さやか(...)

さやか「...後悔、か」

さやか「...」

さやか「...辛いよね...苦しいよね...恭介...」

さやか「...」

さやか(...えっと...何だっけ...)

さやか「...QB...?」




QB「...やあ」

さやか「...!」

さやか「...本当に、居た...!」

さやか(...やっぱり、ほむらたちの言ってたことは...本当なんだ)

QB「何のようかな?」

さやか「...」

さやか「...あんたが、QB?」

QB「...その様子だと、僕の役割も知っているみたいだね」

さやか「...」

さやか「...ねぇ、あんたは、私の願いを叶えてくれるの?」

QB「...もちろん、そこまで知っているなら話が早い」

さやか「...それって...その願いって...!...例えば...私自身の願いじゃなくてもいいの...!?」

QB「それは他にんのために願うことが出来るのか、という意味かい?」

QB「出来るか出来ないかで言えば、出来るよ」

さやか「...!!」

QB「実際に他人の為に願った魔法少女は、沢山いる」

さやか「...それじゃあ...!!」




「おい、QB」

「あんまりうろちょろするなよ、あいつらがどこにいるのか分かんなくなるじゃねー...」

「...あ?」

さやか「...」

QB「あぁ、ごめんよ、杏子」

QB「...たった今契約しようとしていたところなんだ」

杏子「...」

杏子「...おいおい、勘弁してくれよ」

杏子「何人この街に魔法少女が増えるんだよ」

QB「済まないね、でもこれは彼女自身の問題なんだ」

杏子「...そうか、さっさと済ませな」シャクシャク

QB「...さやか、君は、何を願う?」

QB「...君はどんな祈りでその魂を輝かせるのかい?」

さやか「...」ドクンッ

さやか(...私は...)

さやか(...)

さやか(...恭介...バイオリンを諦めるなんて、言わないで)

さやか(...きっと、あんたはもう一度バイオリンが弾けるようになるから...!)

さやか「...私の友達」

杏子「...!」

さやか「...私の友達の、上條恭介の...腕を...!」

杏子「おいおいおいおいおい!!待て待て待て待て!!」

さやか「...っ!?」

杏子「お前あっち行ってろ、オラ」

QB「きゅっ!」

杏子「何だ?あんた今何を願おうとしたんだ?」

さやか「...な、何よ...あんたに関係ないでしょ?」

杏子「...他人の為に、願おうとしたのか?」

さやか「...っ」

杏子「馬鹿かお前!!」

さやか「...」ビクッ

杏子「他人の為に願うなんて、馬鹿のやることだ!」

杏子「あんたはいつかきっと、それを後悔する!」

さやか「...あ...」

杏子「...あんた、魔法少女のことを誰から聞いたんだよ...巴マミか...?」

杏子「...そいつは、そんな事も教えてくれなかったのか!?」

さやか「...う、うるさい!」

さやか「あんたにとやかく言われる筋合いなんて無い!大体誰なのよ!」

杏子「...」

杏子「...ちっ」

杏子「行くぞ、QB」

QB「ちょっと待っておくれよ、まだ契約が...」

杏子「...」

杏子「...あんた、今ここであたしに殺されるのと、殺されないの、どっちがいい?」

QB「...」

杏子「頭冷やして、一晩よーく考えるんだね!」

さやか「...」

QB『心配しないでいいよ』

さやか「...!!!」

QB『今は君にだけ話しかけている』

QB『また時間がある時にでも、彼女の目を盗んで君のところに来る』

QB『その時速やかに契約に移れるように、もう一度僕との契約内容を確認しておいて』

さやか「...」


さやか「...何なのよ...あいつ...」




後悔しないと、言い切れる?



そんな事も教えてくれなかったのか!?



さやか「...」

さやか「...教えて、くれたよ」ゴロン

さやか「...でも、私には、耐えられない」

さやか「...恭介の、辛そうな顔、見てられないよ」

さやか「...あ、雨」

さやか「...これじゃ、明日も雨かな」




ザァァァァァ

ザァァァァァ

ザァァァァァ






さやか「上手だね、バイオリン」

恭介「...」

恭介「...僕は、こんなの、弾きたくないよ」

さやか「...どうして?」

恭介「こんなの、やりたくない」

恭介「女の子みたいじゃん」

さやか「...でも、私はすごく綺麗だと思う」

恭介「...!」

さやか「...お名前、なんて言うの?」

恭介「...恭介」

さやか「...そっか、じゃあ、恭介」

恭介「...?」

さやか「...私は、恭介のバイオリン、好きだな」

恭介「...」

恭介「...また、聞きに来てもいいよ」

さやか「...ほんとっ!?」

恭介「...うん」

さやか「...わー!来る来る!きっと来る!」

恭介「...」




ザァァァァァ

ザァァァァァ





さやか「...恭...す、け...」

さやか「...」

>>116
めがほむ「...」×

リボほむ「...」〇





学校 

さやか「...」

さやか「...」

まどか「...さやかちゃん、元気ないね」

ほむら「...何かあったのかしらね」

まどか「...ねぇ、ほむらちゃん」

ほむら「...?」

まどか「...ほむらちゃんは、何か知ってる?」

ほむら「...さぁ」

まどか「...私、さやかちゃんの、ために...」

ほむら「...馬鹿なこと、考えてる訳じゃないわよね?」

まどか「...出来ること、無いかな?」

ほむら「...そばにいて上げなさい」

まどか「...うん」トテトテ

ほむら「...」

めがほむ「...どうしたん、でしょうか?」

ほむら「...自分の願いを、見つけてしまったのよ」

めがほむ「...!」

めがほむ「ほ、ほうっておいて...良いんですか...!?」

ほむら「...」

ほむら「...魔法少女は...誰かに強制されてなるものでも、拒むものでもない」

ほむら「...結局の所、最後には自分の意志なのよ」

めがほむ「...彼女を...諦めるって...そういう事ですか...?」

ほむら「...私は伝えたわよ、魔法少女はには危険が伴うこと」

ほむら「...それを伝えてなお成りたがるなら、もうどうしようもないじゃない」

めがほむ「...」

ほむら「...」

ほむら(...事実、いくら繰り返しても、彼女の契約を阻止することは出来なかった)

ほむら(...そうだとしたら、その中での最善を、探るしかない)

ほむら「...この場合の、最善と言ったら...」

めがほむ「...最善は...」

めがほむ「...最善は...!これ以上魔法少女が生まれない事じゃ無いんですか...!?」

ほむら「...」

ほむら「...」クスッ

ほむら「...あなたは、愚直ね」

ほむら「...まっすぐ過ぎて、まるで誰かを思い出す」

めがほむ「...どうして、そんなに偽悪的なんですか...!」

ほむら「...」

めがほむ「...本当は、心が痛いはずなのに...本当は辛いはずなのに...」

めがほむ「...どうして全部背負い込んで...」

めがほむ「...どうして、何も感じないフリをするんですか...!」

ほむら「...」

ほむら「...今まで、さんざん私は人の気持ちを踏みにじってきた」

ほむら「...今更、なんて事無い」

ほむら「...魔法少女なんて、その気になれば痛みさえ消すことが出来る」

ほむら「...だからなのかしらね、人の、人間の気持ちが分からなくなってくるのは」

めがほむ「...」

めがほむ「...バカ...!」ダッ

ほむら「...」

ほむら「...ひどい、雨ね」






さやか(...)

さやか(...結局、誰かに何か言われる前に飛び出してきちゃったな)

さやか(...ここ、どこだっけ?)

さやか(...)





杏子「ずぶ濡れじゃねーか、前にもましてひでぇ顔してるな」

さやか「...また、あんた?」

杏子「どーにもこーにも気になってね、あんたの事」

さやか「...付いて、来ないで」

杏子「色々聞いたぜ、あいつバイオリニストなんだってな」

さやか「...」

杏子「...」

杏子「...お前は、あいつのバイオリンが好きなのか?」

さやか「...そうよ...!」

さやか「...悪い...!?その為に願う事って、間違ってる!?」

杏子「あんたは結局、そいつに感謝されたいだけじゃねーのかよ」

さやか「...何、ですって...?」

杏子「だからさ、あんたはそいつの恩人になりたいだけじゃねーのかよ」

さやか「...!うるさい!」

さやか「...人のために願うことの何がダメなのよ!!?」

杏子「...」

杏子「...付いて来いよ」

さやか「...はぁ?」

杏子「...あんたに見せてやるよ、人の為に願ったバカの、末路ってやつをさ」





さやか「...ここって」

杏子「ここなら雨宿りにも、まあ、申し分ないだろ」

杏子「風見野教会跡地」

杏子「あたしの、家だ」

さやか「...!」

杏子「...あたしの家、飯食うにもこと欠くくらい貧乏でね」

杏子「それでも、親父はあたし達のために、そんで世の中のために色々説いてたよ」

杏子「毎日毎日新聞の記事を見て涙するような」

杏子「そんな、お人好しだった」

杏子「そんなお人好しだったからさ、ある時、無いことまで説法しちまった」

杏子「それが、上の耳に入った時、親父は破門を食らった」

さやか「...」

杏子「納得いかなかったよ、確かに親父は違うことを言っちまったかもしんねー」

杏子「でも、間違ったことは言ってないはずさ」

杏子「せめて親父のいうことに耳を傾けてくれるやつが一人二人いれば、結果は違ったはずなんだ」

さやか「...」

杏子「そう、あたしさ」

杏子「...だからあたしは契約した」

杏子「誰でもいいから親父のいうことに耳を貸してくれってね」

杏子「次の日からは掌を返したようにぞくぞくと人が集まった」

杏子「あたしはそれを見て嬉しかった」

杏子「嬉しかったから、魔女狩りも頑張れた」

杏子「...親父にそのからくりがバレちまう迄はね」

さやか「...」

杏子「笑っちまうよな、あたしに向かってお前は魔女だ、なんて言うんだぜ」

杏子「そこからは早かった」

杏子「親父は酒に溺れ、最後にはここに火を付けて心中を図った」

杏子「生き残ったのはあたし1人」

杏子「...」

さやか「...」

杏子「何がダメなのかって、言ったな」

杏子「あたしがダメなんだ」

杏子「人の為に願った奴から、脱落するようにこの世界は出来てる」

杏子「...あたしが、見ていられないんだよ、あんたみたいなヤツ」

さやか「...っ」

さやか「...私は...!私は...!!!」

杏子「...な、お前さ」

杏子「本当に、あいつのバイオリンが好きなのか?」

杏子「...違うだろ」

杏子「...お前は、あいつが、好きなんだろ」

さやか「...っ!!!」

杏子「魔法少女になんてもんになって、逃げようとすんなよ」

杏子「お前は、あいつに、どうあって欲しいのさ?」

さやか「...」

杏子「行ってこいよ、魔法少女じゃない、お前自身の願いを、伝えてこい」






ほむら「...」

杏子「...野暮、だったかね」

杏子「安心したよ、マミの野郎は無事なようだな」

ほむら「...」

ほむら「...素直じゃ、無いのね」

ほむら「あなたはただ単に、巴マミの安否を確認しに来ただけでしょう?」

ほむら「...それなのに、あんな敵対するような事を言って」

杏子「はは、あたしとマミはそれでいいのさ」

杏子「それくらいが、丁度いい」

杏子「なぁ、あんた、マミと仲間なんだろ?」

ほむら「...」

杏子「...出来ればあいつ、守ってやってくれねーか」

杏子「...年上のくせにどーにも頼りないんだよ、あいつ」ニコッ

ほむら「...」

杏子「ここまで付けてきたのも、あの青髪が心配だったんだろ?」

杏子「...あんたなら...」

ほむら「そんな面倒なこと、ごめんよ」

ほむら「私には私の目的がある、そんな事のために時間を割いてる余裕はない」

杏子「...そうかよ」

ほむら「だから、あなたが守ればいい」

杏子「...!」

ほむら「あなたが、巴マミを、守ってあげればいい」

杏子「はは、何言ってやがる」

杏子「そんな事、出来るわけねーだろ」

ほむら「...本当に、素直じゃ、無い」

杏子「...いまさら、どの面下げて、なんて言いに行きゃいいんだよ」

ほむら「...」

ほむら「...あなた自身の、願いを伝えてこい、でしょう?」

杏子「...!」

ほむら「...」ニコッ

杏子「...ああ」

杏子「...そう、かもね」






ガララ

恭介「...あ」

さやか「...」

恭介「...さ、やか...」

さやか「...恭介...」ギュッ

恭介「...な」

さやか「...いい、何も、言わないで」

恭介「...」

さやか「...」

恭介「...」

さやか「...私さ、すっごいムカつく奴に出会った」

恭介「...?」

さやか「...人のこと、バカにして」

さやか「...私のことなんにも知らないくせに、知った口叩いて」

さやか「...」

さやか「...ごめん」

さやか「恭介の事、なんにも分かってなかったね」

恭介「...っ」

恭介「...どうして...!どうして君が謝るんだ...!」

さやか「...」

恭介「...怒鳴ってくれよ」

恭介「...最低なやつだって、罵ってよ...!」

恭介「...僕は...君を...」

さやか「...そいつに言われて、少しだけ考えてみたの」

さやか「私は、恭介のバイオリンが好きだったのかな」

さやか「...違う、私は、バイオリンを弾く...」

さやか「恭介が、好きだった」

恭介「...!!」


僕は一体、何なんだ?








さやか「恭介は、恭介だよ」

さやか「バイオリンがあっても無くても」

さやか「...私は、恭介が、好きだよ」

恭介「...ごめんっ...!」

恭介「...僕が、悪かった...!」

恭介「...君は僕のために、沢山してくれたのに...!僕があの時かけた言葉が...どれだけ君を傷つけるか、分かっていたのに...!!」

恭介「僕は...!僕は...!!」

さやか「...もういいよ、許す」

さやか「...雨、止まないね」

恭介「...?」グスッ

さやか「...恭介にも、願ってて欲しいな、この雨がいつか、止んでくれることを」












ほむら「...」

リボほむ「...」

めがほむ「...」モグモグ...

ほむら「...どう、思う?」

リボほむ「...」

ほむら「...」

リボほむ「...そうね、一つだけ、言うとするなら」

リボほむ「...まぁ、私たちが存在してるから、当たり前といえば当たり前なのだけど」

リボほむ「...こんな時間軸、私は経験したこと、無かったわ」

ほむら「...」

リボほむ「...もちろん、巴マミと、佐倉杏子が戦力になってくれれば、いい」

リボほむ「更に言うなれば、まどかとさやかが契約してくれなければもっと良い」

リボほむ「...でもそれは、私がいくら思い描いて行動しても、上手くいくものではなかった」

ほむら「...そうね、そうよね」

ほむら(...そのはず、だった)

ほむら「...」

リボほむ「あんまり難しく考える必要は、ないんじゃないかしら」

リボほむ「...あなたはこの世界を何度も繰り返して、ようやくそのチャンスが巡ってきた」

リボほむ「人生の分岐点に、居るのよ」

めがほむ「...」モグモグ...

めがほむ「...あ」

ほむら「...?」

リボほむ「...??」

めがほむ「...人生の分岐点...その言葉...どこかで聞いた気がします...」

リボほむ「...どこで?」

めがほむ「...ええと、お姉ちゃんが私にここで待ってなさい、って言った時...」

ほむら「...」

ほむら「...誰から聞いたの?」

めがほむ「...覚えてません」

ほむら「...」

リボほむ「興味深いわね、詳しく聞かせて」

めがほむ「たっ、大したことじゃないんです...!」

めがほむ「...それに、記憶も朧げだし...」

めがほむ「...ただ、私達がどんな選択をするのか...見ておく...って」

リボほむ「...」

リボほむ「...ねえ」

ほむら「...ええ、随分と俯瞰的な意見ね」

ほむら「...まるで、神様のよう」

めがほむ「...いえ」

めがほむ「...本人は、悪魔だって...言っていました」

ほむら「...ふん、悪魔だなんて、中二病もいいところね」

リボほむ「全くだわ、きっとその人はサイコな電波さんって奴なんでしょうね」

リボほむ「...でも」

リボほむ「...私たちの選択が、あなたの行く末を決めるというのなら」

リボほむ「やっぱり、私の仮説は間違っていなかった」

リボほむ「...あなたはきっと、別の結末を辿る」

リボほむ「...あなたは今度こそ、きっとまどかを救う事が、出来る」

めがほむ(...何のことだか、分かんないや)

めがほむ(...でも、それでいいんだよね...?)

リボほむ「共闘は、申し込んだの?」

ほむら「...いいえ、でも、近々聞いてみるつもりよ」













デビほむ「...どうかしら?私の話は?」

QB「にわかに信じられる話ではないね」

QB「君の言うその、記憶操作も、魔法少女なら不可能じゃない」

QB「世界改変とやらだって、この世界で行うことが出来ないんじゃ、確認のしようがない」

デビほむ「...」

QB「そうだね、なにか確認が取れるようなアクションを起こして欲しいな、そうすれば君の言うことを信じることが出来る」

デビほむ「...あなたは私の話を聞いておいて、私があなたに協力すると思っているの?」

QB「まさか、どんなアクションでもいいよ」

デビほむ「...そうね」

デビほむ「私は、彼女の目的が達成する手助けは出来ない、それは話したかしら」

QB「うん、世界の制約、言い換えれば運命の力、だったかな」

デビほむ「...ま、そんな認識でいいわ」

デビほむ「だけど、彼女の邪魔ならある程度はできるわよ」ズズズ

QB「...へぇ、それは興味深いな」

デビほむ「だって彼女の目的は達成されない」

デビほむ「まどかを救おうとしてる私には、まどかを救うことが出来ない」

デビほむ「それがこの世界の運命なんだもの」

デビほむ「...あの2人、不確定要素であるあの2人が関わって確かにその運命は揺らいだわ」

デビほむ「それでも、彼女が目的を果たすことは難しい」

QB「...」

デビほむ「なら、今からする私の行為は、歴史の修正とも呼べる」

デビほむ「...理解出来た?」

QB「...うん、まぁ、ある程度はね」

デビほむ「どうにも、煮えきらない言い方ね」

QB「その運命の力とやらは、理解出来たよ」

QB「ただ、僕には君がどうして彼女の邪魔をしようとするのか、それが理解出来ない」

QB「人間は、こういう時手助けをするものじゃないのかな?」

QB「出来ないとしても、邪魔をしようとは思わないんじゃないかな?」

デビほむ「...」

デビほむ「...そうね」

デビほむ「...確認したいのよ」

QB「...?」

デビほむ「私のしたことは間違っていなかった」

デビほむ「私がまどかを救うためには、この方法しか、無かった」

デビほむ「それを、改めて確認したいのよ」

QB「なるほどね」

デビほむ「...それに、彼女達は最早人間じゃない、私だって、ね」

QB「...」

デビほむ「神を欺いて、神を蹴落として、神を汚して...そんな存在を、何と呼ぶか分かる?」

QB「...さぁ」

QB「...ただ、僕には魂のありかに拘る君たちが理解出来ないよ」

QB「僕の意見を言わせてもらうよ、君のいうその存在...」

QB「長い歴史を見て答えるなら、それは間違いなく人間だ」

QB「神を欺くのも、神を蹴落すのも、神を汚すのも、いつだって人間だろう?」

グチャッ

デビほむ「...ふん」

デビほむ「知った口を聞くもんじゃないわ、出歯亀野郎」

デビほむ「...いいえ、私は悪魔よ」

デビほむ「まどかを欺き、蹴落とし、汚した」

デビほむ「ふふふふ、それが私」





ほむら「...」モグモグ

リボほむ「...」モグモグ

めがほむ「...だからなんで、そんな悔しそうな顔するんですか?」





デビほむ「幸せそうなその顔が、辛苦に歪むその様を私は眺めていてあげる」

デビほむ「私はあなたの邪魔をする」

デビほむ「それで綺麗さっぱり諦めて、私に証明してちょうだい」

デビほむ「私が正しかったということをね」ズズズズズズズ










ほむら「...っつ」

めがほむ「...~♪」

リボほむ「...どうしたの?」

ほむら「...いえ、少し...頭が...!」

ほむら「...ぐっ...!?」

リボほむ「...なかなか酷いようね、今日は休みなさい」

めがほむ「...えっ?」

リボほむ「残念そうな顔しないの」

ほむら「...い、いえ...大丈夫よ」

ほむら「...あの子達に...心配なんて...かけられないでしょ...」

リボほむ「...」

ほむら「...あっ」フラッ

リボほむ「ほら、言わんこっちゃない」

リボほむ「今日は休んで、私とニー活でも楽しみなさい」

めがほむ(...それはどうなんだろう)

ほむら「...」

リボほむ「...ほら」

ほむら「...済まないわね」

リボほむ「...仕方ないわね、今日は私が行くわ」

めがほむ「えっ!?」

リボほむ「そんなに目を輝かせないでちょうだい」

リボほむ「ほら、だからあなたは休みなさい」

リボほむ「決戦前に病気でダウンなんてしたら、承知しないわよ」

ほむら「...」

リボほむ「それに、私も、たまには気分でも変えたいしね」ニコッ





めがほむ「...~♪」

リボほむ「...随分と機嫌が良いのね」

めがほむ「だって、一番上のお姉ちゃんと登校するの、久しぶりなんですよ」

リボほむ(...まぁ、一回しか行ってないからね)

めがほむ「...まぁ、本当は三人で行きたかったですけど...」

リボほむ「...」

リボほむ「...はぁ」






マミ「だから、家に居ていいと言ってるでしょ」

杏子「うるせえ!あたしの勝手だろうが!」



リボほむ「...あれは...?」

めがほむ「...マミさん、と...怖い人...」

マミ「全く...」

杏子「大体関係ないだろ、あたしがどこで何しようとさ!」

マミ「だからって、魔法を使って学校に忍び込むなんて許しません!」

杏子「なんだよ!マミのケチ!」

マミ「わ、私はあなたの為を思って...!」

リボほむ「朝から痴話喧嘩を聞かされる私の身にもなって欲しいわね」

杏子「あ、ほむ...って、あんたは一番上の方か」

めがほむ「お、おはようございます...」

杏子「...あー?誰だこいつ?」

マミ「...暁美さんのところの、末っ子よ」

杏子「...マジか!?顔似すぎだろおい!」

めがほむ「...ひっ...」

杏子「あんたんところマジで変な姉妹なんだな」

杏子「しかも妹の方は性格まで正反対だ」

めがほむ「...あの...その...」

杏子「...んだよ...そんなに怯えんなよ」

杏子「...ほれ」

めがほむ「...?」

杏子「...食うかい?名前はなんて言うんだ?」

めがほむ「...ほ、焔...です...」

杏子「...」

杏子「...多分、お前んとこの親、頭おかしいわ」

杏子「ま、いいや、よろしくな、焔」

リボほむ「...」

リボほむ(...ま、見た限り、大丈夫そうね)





さやか「...あ、マミさん!」

まどか「おはようございます」

マミ「ええ、おはよう」

さやか「...ちょっと、杏子...あんたマミさんに迷惑かけてないでしょうね?」

杏子「はあ?」

杏子「何言ってんださやばか、おいマミ、あたしがあんたんちでどれだけ充実した生活送ってるか教えてやってくれ」

マミ「昨日も夜遅くまでお菓子を食べながらテレビを見てたわ」

さやか「それ見なさいよ!」

杏子「おいマミ!」

まどか「...あはは」

めがほむ「...あはは」

リボほむ「...ふふ」






ほむら「...っつ」ズキッ

ほむら「...まずいわね」

ほむら「...本当に、耐えられなくなってきたわ」

ほむら「...ぐぅぅ...あぁあ...!!」

ほむら「...はぁっ...!はぁっ...!」

ほむら「...」ゴクッ

ほむら「...っ...効く気がしないわね」

ほむら(...魔力を使って直せたらいいんだけど...できれば魔力は温存しておきたい)

ほむら「...寝ましょ」ズルズル







ほむら「...」

まどか「...ほむらちゃん」

ほむら「...まどかっ...?」

ほむら「...どうして...?...え?」

まどか「...」

さやか「...ほむら」

マミ「暁美さん」

杏子「...ほむら」

ほむら「...?...!?」

ほむら「...な、何...!?何なの...!?」

ほむら(...幻覚...!?夢...!?)

まどか「...私たちを、助けてよ」

ほむら「...えっ...ええ!助ける!助けるに決まっているでしょう...!」

ほむら「ね、ねえ!聞いてよまどか...!今度こそ、あなたを助けることな出来るのよ...!!?」

ほむら「あの2人が居てくれて、私のために協力してくれ...!」

まどか「...違うよ」

まどか「...今の私を、助けてよ」ズルッ

ほむら「...ま、どか...?」

ほむら(...腕が...無くなって...え?)

ほむら(...違う...!)

ほむら(...いつかは分からないけれど...このまどかを私は...見たことがある...!)

ほむら(...このまどかは...!)

さやか「ねぇ、転校生、どうして私を止めてくれなかったの?」

マミ「どうして見殺しにしたの?」

杏子「なぁ、答えろよ」

ほむら(...こ、れは...!)

ほむら「...うっ...ええぇえぇえぇ...!!」ビシャビシャッ

さやか「あんたのその頭痛、単なる病気じゃないんじゃないの?」

マミ「...きっと、その頭痛の原因はあなた自身」

杏子「お前が今まで見殺しにしたあたし達への」

ほむら「...や、めて...」

ほむら(...仕方が無いじゃない...!)

ほむら(そうするしか...!方法が無かったんだもの...!!)

まどか「...罪悪感からくる、ささくれみたいなもの、じゃないの?」

ほむら「...ぐぅ...!ぐぅあああぁ...!!!」ズキッズキッズキッ

まどか「許さない、許さない、許さない」

まどか「私たちは、あなたが私達にしたことを決して忘れない」

まどか「...それを知った時、今の皆は何を思うんだろうね?」

ほむら「...ぅ、あぁあぁぁあ...!」

まどか「...今までみたいに、ほむらちゃんのこと、認めてくれるかな?」

まどか「今まで通り、ほむらちゃんのことを友達だと思ってくれるかな?」

ほむら「...私は、悪くない...!悪くない...!悪くない...!」

ほむら「...悪くないっ!!!!!」

まどか「ううん」

まどか「あなたが、悪い」







ほむら「ああぁぁぁぁぁぁぁーっ!!!!!!」

ほむら「...はっ...!はっ...!」

ほむら「...はぁっ...!はぁっ...」

ほむら「...ゆ、夢...」

ほむら「...」ガタガタガタガタ

ほむら「...何て、嫌な夢...!」






さやか「...うっひゃあ...すっごい雨だねぇ」

杏子「...鬱陶しいな、本当に」

さやか「いっつも屋上でお昼食べる私達の身にもなってよね」

杏子「お前は食えたからいいじゃねーか、あたしなんかおあずけだぞ」

さやか「そりゃあんたがマミさんの教室で食べるわけにはいかないからでしょ!」

マミ「...もう、しつこいわね、今日の夜はあなたの好きなものにしてあげるわよ」

杏子「やったぜ」

さやか「マミさーん、絶対こいつ計算してましたよ」



リボほむ「...」ピクッ

まどか「...ほ、炎ちゃん...?」

めがほむ「...どうしたんですか?」

リボほむ「...いえ、別に」

リボほむ(...これは、あの子の魔力...?)

杏子「さーて、お前らは帰った帰った」

さやか「なんだよそれ!」

杏子「へへ、あたし達は今から作戦会議するんだよ」

杏子「マミんちで魔法少女会議だ」

杏子「なぁマミ?うまい菓子出してくれるんだろ?」

マミ「...」

マミ「...ええ、そうね」

マミ「...あなたも来るでしょ?炎さん」

リボほむ「...いや、私は...」

杏子「来るよな?」

リボほむ「...え、えぇ」

さやか「ちぇっ、いいよー、それなら私たちは3人で楽しんでくるもん!」

さやか「さっ、行こう、まどか、焔」






杏子「...あいつ今日休んでるんだよな?」

マミ「...そうね、こんな時間にフラフラ出歩くとは思わないけれど」

リボほむ(...気が付いて、いたのね)



杏子「でもよ、何でだよ?」

リボほむ「...私に聞かれても...わからない」

マミ「...彼女、本当にただの風邪なのよね?」

リボほむ「...さぁ、頭が痛いとはいっていたから大事をとって休ませたけど...」

杏子「...」

杏子「...やーれやれ」

杏子「...あいつら、こねーよな?」

杏子「...言ってみるか、ほむらんち」

杏子「もしかしたら、ただの勘違いかも知れないしな」

リボほむ「...」

マミ「...」




杏子「...おい、ほむら」ドンドン

杏子「ほーむらー」ドンドン

杏子「...返事なし」

リボほむ「...どうなのかしら、もしかすると風邪でダウンしてるとか...」

杏子「ま、どっちにせよ会った方がいいな」

リボほむ「...」チャリ

杏子「サンキュ...あん?」

マミ「...?」

杏子「...空いてるぞ...これ」

リボほむ「...え?」


キィ

杏子「...薄暗ぇ...なんだこりゃ...」

マミ「...つっ...!」

リボほむ「...大丈夫?」

マミ「...え、えぇ、平気...」

マミ「...何か踏んでしま...って...?...!?」

杏子「...っ!?」

リボほむ「...な、にこれ...!」

杏子「...おいっ!!ほむらっ!!ほむらぁ!!!」

リボほむ(...酷い...食器、家具、窓、それだけじゃない...!)

杏子「...銃...痕...?」

杏子「...おいっ!あいつは本当にただの風邪なんだよな!?」

リボほむ「...そ、そのはず...!」

杏子「何だよこれ...!何が起きてんだ...!」

杏子「...やっぱり...あの時感じた魔力は...!!」

杏子「...くそっ!!」

マミ「ま、待って...!佐倉さん...!」

杏子「...あぁ!?何を待つって...!」

マミ「...こ、これ...」ピラッ

リボほむ「...!!!!」

杏子「...何だよこれ...ワルプルギスの...」

杏子「...ワルプルギスの夜...!?」

リボほむ(...しまった...!今はまだ...早い...!)

杏子「...出現地点...出現時刻...撃退方法...!?」

杏子「...おい、なんだこれ!あんた達...一体...!」

リボほむ「...」

リボほむ「...いつか必ず話すから」

リボほむ「...今は、あの子の事を...」

杏子「...ちっ...!」

杏子「...絶対教えろよ!」ダッ

マミ「...佐倉さん...!あぁ、もう!」

マミ「...私達は暁美さんを探してくる...!あなたも見つけたら教えてちょうだい!」

リボほむ「...え、ええ...」





ほむら(...)

ほむら(...頭痛が強くなってる)

ほむら(...そう感じるけど、痛くはない)

ほむら(...だって、私は魔法少女なんだもの)

ほむら「...」

ザァァァァ

ほむら「...何を...」

ほむら「...何を...しているの、私は...!」

ほむら「...まどかを、助けるんでしょ...?そう、決めたんでしょう?」

ほむら「...うっ...ぐぅ...おぇえええ...!」ビシャビシャッ

ほむら(...そう強く思う程に、吐き気がこみ上げてくる)

ほむら(...何よ、これ...!)

ほむら(...私ってここまで、弱かった...!?)

ズズズズズズズ

ほむら(...!)

ほむら「...最悪の、タイミングね...!」

ほむら「...だから、本当、あなた達が嫌いよ...魔女...!」

ジワジワ...ジワジワ...





杏子「...どこだ...!どこに行きやがった...!あの馬鹿...!」

マミ「...さ、佐倉さん...」

杏子「何してんだよ!あんたも探せよ!」

マミ「...あ、あれ...!」

杏子「...あぁ...?...!」

杏子「...馬鹿は...高いところが...ってか...」

杏子「...くそがっ!!」

杏子(...間に合え...!間に合え...!!!)





リボほむ「...」ピラッ

リボほむ「...私とは...違う結末を、辿る」

リボほむ「...そうよね?」

リボほむ「...あなたは、こんな所で立ち止まるはず、ないわよね?」バサァッ!

リボほむ(...待ってなさい...!必ず、助けるから...!!)









さやか「全くー、全然皆で遊ぶ機会ないじゃん」

まどか「ま、まぁまぁ...きっとみんな忙しいんだよ」

めがほむ「そ、そうですよ...」

さやか「それにしたってさー...」

QB「やあ」

さやか「...うわっ」

QB「結局君は僕と契約してくれなかったね」

さやか「そ、それは...その...」

QB「いや、いいよ、君がそう決めたのなら、それに従うべきだ」

さやか「...あんたって、どこにでも現れるのね」

QB「さやか、いや、君じゃなくてもいい」

さやか「...?」

まどか「...?」

めがほむ「...?」

QB「誰か1人でいいから、僕についてきてくれないかな、保険として」

さやか「...保険?」




QB「暁美ほむらが、呪いを生み始めた」

QB「非常に危険な状態だよ、正直、いつ死んでもおかしくない」





ほむら「...不覚、ね」

ほむら「...こんな奴に...してやられるなんて」

魔女「...キャハハハハハハハハハ!!!」

ほむら「...ぎっ...!あぁぁぁぁぁ...!」

ほむら(...痛みを遮断しないと...おかしくなる...!!)

ほむら(...ふ、ふふ...腕が...無い)

ほむら(...まるで、あの時のまどかと、同じね...)

魔女「...キャハハ...」

ほむら「...?」

魔女「...ーーーー」キィン!!

ほむら「...っっ!!!!」

ほむら「せ、...しん...攻撃っ...!?」

ほむら(...これは、まずい...!!...あっ..たまが...)

ほむら「...やめて...!!!!!」

ほむら「...やめ、て...」



ジワジワ...ジワジワ...





杏子「...はぁ...!はぁ...!」

マミ「...魔女結界...!」

リボほむ「...」

杏子「...お前...居た...のかよ...」

リボほむ「...たった今ついたところよ...」

杏子「...ほ、むらは...?」

リボほむ「...恐らく...この中ね」

リボほむ(...こんな結界、見たことがない)

リボほむ(...しかもこのタイミング...どうして...?)

杏子「...おら、何してやがる...行くぞ...!」






魔女「...キャハハハハハハハハハ!!!」

ほむら「...」

杏子「...ほ、む...!」

マミ「...あの傷...!」

魔女「...」ギュルルルル

ほむら「...」ガシッ

リボほむ「...っ」

リボほむ(...腕...そして...足...)

リボほむ「...こんな傷...魔力を消費したところで...治るの...?」

リボほむ「...!!」

ジワジワ...ジワジワ...

リボほむ「...ソウルジェムが...!!!!!」

魔女「...キャハハハハハハハハハ!!!」

杏子「...偉そうに、盾ってか」

杏子「...」

杏子「...ほむらを、離せ」

杏子「...離せえええぇぇっ!!!!」






QBに騙される前の私を、助けてくれないかな?

杏子「...っ!」

リボほむ「...!?」

マミ「...これ、って...!!?」




私は繰り返す

もう、誰にも頼らない

今すぐここで

殺してあげるわ


杏子「...なんだよ、これ...!」

杏子「...これ...映ってんの...あたし達...かよ...?」

QB「そうだよ」

杏子「...っ!」

QB「どうやら、間に合ったみたいだね」

QB「その魔女は、他者の過去を引き出して投影する力があるようだ」

QB「だけど、この魔女に名前を付けることは出来ない」

QB(それは、借り物だからね)

さやか「...なに、これ...」

まどか「...ひっ...」

めがほむ「...!」

QB「あまり目を逸らさずに、きちんと見ておいた方がいい」

QB「これは彼女の、記憶であり、彼女を形作る、過去なんだから」





夢の中で、あったような

それはとっても嬉しいなって

もう何も怖くない

奇跡も魔法もあるんだよ

後悔なんてあるわけない

こんなの絶対おかしいよ

本当の気持ちと向き合えますか?

私ってほんとバカ

そんなのあたしが許さない

もう誰にも頼らない

最後に残った道しるべ



QB「全部全部、彼女の過去だ」

QB「そこにいる、2人の彼女のものじゃ、無い」

リボほむ「...」

めがほむ「...」

杏子「な、何言ってんだ...!時間遡行...!?魔女化...!?」

杏子「そんな事があるわけ...!!」

QB「彼女はこの世界を何度も繰り返してきた」

QB「...目的は、これを見ていたら、もう言わなくてもわかるよね?」

マミ「...嘘...嘘よ...!」

QB「僕らに感情はないけれど、酷いものだね」

QB「彼女が過去に吐いた言葉や、起こした行動、それを全て無にして彼女はやり直そうとしている」

リボほむ「...知った口を...!!」ギリリッ 

QB「...でもそれは、事実だろう?」

まどか「...ほむらちゃんが...」

まどか「...ほむらちゃんは...ずっと私を...助けようとしてくれてた...?」








ほむら(...何か...聞こえる)

ほむら(...皆の、叫び声)

ほむら(...あぁ、そっか)

ほむら(...知られてしまった)

ほむら(...)

ほむら(...もう、真っ黒...ね)


私とは、別の結末を辿る


ほむら「...ふ、ふ、ふふふ」

ほむら「...ふふ、あははははは...!」

ほむら(...それってつまり...こういう事...!?)

ほむら(...魔法少女にならず、人間としての生を受けるわけでも無い)

ほむら(...まどかと、再会の約束をして、その時まで生きるわけでもない)

ほむら(...こうして、皆に嫌われながら...魔女になる...そういう事...!?)

ほむら(...何それ...なによそれ...)

ほむら「...あはは、あっはははははははは!!!!」

ほむら「...はははははははははははははははははははははははははは!!!!」





ほむら(...私の人生って、何だったんだろう)








ほむら「...はははははははは...!!!」ゲラゲラゲラゲラ

QB「逃れられない現実に耐えられなくて壊れてしまったようだ」

QB「...彼女はもう、魔女化を免れない」

QB「...あのソウルジェムが黒く濁りきった時、彼女は魔女になる」

QB(これで良かったんだろう?)

QB(...君はこれで、満足なんだろう?)

ほむら「ははは!は!はははは!!あっはははは!!」

めがほむ「...」

めがほむ「...笑わないで」

ほむら「...は、はは...」

めがほむ「...」

ほむら「...それを、外せ」

ほむら「...私は、弱い自分なんか、見たくない」

ほむら「...外せ、外せ、外せ」

ほむら「はははは、はは...」

めがほむ「...ねぇ、お姉ちゃん」

めがほむ「...あの時、お姉ちゃん、痛くないって言ったね」

めがほむ「...魔法少女は、痛みを消せる、そうだよね?」

ほむら「...何を」

さやか「...諦めるなよ」

さやか「...あんたは、まどかを救うって、約束したんだろ!」

ほむら「...」

杏子「...なぁ、ほむら」

杏子「...あんた、それでいいのかよ」

杏子「...それで、本当に、満足なのかよ」

ほむら「...」

ほむら「...私は、今まで...」

ほむら「...あなた達に、酷いことをした」

ほむら「...最初は辛かった、辛かった、辛かった」

ほむら「...でも、今は、辛くない」

ほむら「それが、私」

ほむら「...目的のためなら、どんな辛酸だって、泥水だって啜れる」

ほむら「...慣れることが出来る」

ほむら「ふ、ははは!だってそうよね!当然よね!」

ほむら「私は!魔法少女なんだもの!!!!」



ドンッ!

めがほむ「...」

ほむら「...あ...?」

めがほむ「...痛くないなんて、嘘だよ」バシッ

めがほむ「...そんな事、あるわけない」バシッ

ほむら「...」

杏子「おい!焔...!近付くな...!!」

めがほむ「...ここが、痛いんでしょう!!!?」

ほむら「...っ」

めがほむ「どんなに痛みを消すことが出来たって、消せない痛みもある!」

めがほむ「...ここが...!痛いんでしょ...!!」ドンッ!

めがほむ「心がっ!!!痛いでしょ!?」ドンッ!







めがほむ「...じゃなきゃ、あんなに...辛そうな顔...しないよ」ポロポロ

ほむら「...」






さやか「...帰ってこいよ、ほむら」

杏子「...あんたはまだ、その願いさえ、叶えてないんだろ?」

マミ「...」

マミ「...私も頑張るから...」

マミ「...一緒に頑張ろう?」

ほむら「...」

ほむら「...何で...?」

ほむら「...馬鹿じゃ...ないの?」

ほむら「...あれだけ...沢山のこと、私はした」

ほむら「...許されないことを沢山...」

ほむら「...あなた達の思いを...沢山踏みにじった...」

ほむら「...それなのに、どうして...あなた達は...そんなに、優しいの?」

ほむら「...許さないって...言ってよ...」ポロポロ

ほむら「...お前なんか、死んでしまえ...って、言ってよ...!」

ほむら「...私なんて...!魔女になって当然の...!」

杏子「...死ぬな、ほむら」

ほむら「...っ!!!」

さやか「...生きてよ、そんでまた皆でお茶会するんだ」

マミ「...」ニコッ





リボほむ(都合のいい展開といえば確かにそうね)

リボほむ(...じゃあ、誰がこの展開を生み出したの?)

リボほむ「それは紛れもなく、あなたよ」

リボほむ「...あなたが、諦めなかったから」

リボほむ「さやかの行く末を、見ていられなかったから」

リボほむ「マミと杏子、2人が再び道を交わらせることを、思い描いたから」

リボほむ「...そして...」




まどか「...ほむらちゃん」

ほむら「...ま、どか...」

まどか「...一人で背負い込まないで」

まどか「...私にも、分けて欲しいな、ほむらちゃんのモノ」




リボほむ「...まどかを、思い続けていたから」

リボほむ「何か一つでも欠けていたら、こうはなっていなかった」

リボほむ「...全てには、意味がある事だった」

リボほむ「...馬鹿ね」

リボほむ「...あなたが、ずっとずっと欲しかったもの」

リボほむ「...もう既に手に入っていたんじゃない」ニコッ




ほむら「...あぁああぁぁぁっ...!!!」グググッ

QB「...馬鹿な...」

QB「ソウルジェムはもうグリーフシード化寸前だ...!」

QB「どこにそんな力があるというんだい...!?」 

ほむら「...離せ...!」

ほむら「...私はまだ...諦めちゃいない...!」

ほむら「...こんなもので、私を縛り付けた気にならないで...!」

ほむら(罪を忘れたわけじゃない)

ほむら(過去を消したいわけじゃない)

ほむら「...ただっ...私は...!」




ほむら「...みんなと生きていたい、だけなのよっ!!!!」バチッ!!!








ほむら「...はぁっ...!はぁっ...!」

魔女「...グギギ...アァァァ...!!!」

ドガドガドガドガ!!

ザシュザシュッ!!

魔女「...アァァァァァァ...」

ほむら「...罪は、必ず償うわ」

ほむら「...でも今は...」

ほむら「...今だけ...は...」フラッ

ほむら(...私に、力を...)





デビほむ「...」

デビほむ「...罪を忘れるわけじゃない」

デビほむ「...その罪を償うから...ね」

デビほむ「私とは違う答え、違う考え」

デビほむ「...」

デビほむ「...雨が、上がった」

デビほむ「そう、そうなのね」

デビほむ「あなたは、そういう考えをするのね」

デビほむ「確かに、罪自体を消し去ってしまう私とは、相対する考え方ね」

デビほむ(...いいえ、私にもあと一つだけ、無かったことに出来ない罪が残ってる)




デビほむ「...」

デビほむ「...見せてもらうわ」バサッ

デビほむ「...あなた達が勝ち取った、ワルプルギス撃破にこれまでになく近付いた機会」

デビほむ「それをどうするか、見ててあげる」

デビほむ「...そうして、出来ることなら」

デビほむ「...もう、引き返すことなんで出来ないけれど」

デビほむ「...私にも、教えてちょうだい」

デビほむ「何が正しくて、何が間違っているのかを」

デビほむ「...あなた達にとっての、奇跡を」








リボほむ「魔法少女の歴史上最悪の魔女」

リボほむ「災厄の象徴」

リボほむ「あいつが振りまくのは、絶望ですらない」

リボほむ「圧倒的な、破壊」

リボほむ「私が何度も繰り返しても、とうとうあいつを倒すことは出来なかった」

リボほむ「撃退さえも、不可能だった」





「見滝原市にスーパーセルが接近中!あと数十分で到達します!到達予測地点はこちらです!」

「付近にお住まいの皆様はただちに避難場所へ!繰り返します!ただちに...!」





杏子「...」

マミ「...」

さやか「...」

めがほむ「...」

まどか「...」

杏子「...勝てんのかよ、そんな奴に」

リボほむ「...」

杏子「...お前、ほむらの未来なんだろ?」

リボほむ「...ええ、そうよ」

杏子「...」

杏子「...なんでんなこと早く教えてくんなかったんだって...怒鳴ってやりてーけど...」

杏子「...勝算はあるのかよ?」

杏子「...あんたが...ほむらがいくら繰り返しても勝てなかった相手に、勝てんのかよ?」

さやか「...き、杏子...!」

リボほむ「...」

リボほむ「...そんなもの、無い」

リボほむ「...無かったら、あなたは諦める?」

杏子「...」

杏子「...」

杏子「...けっ、割に合わねー戦いだよ」

杏子「やってやろう、やってやろうじゃんか」

マミ「...」カタカタ

杏子「...大丈夫だ、マミ」

杏子「...誰も魔女になんか、させねー」

マミ「...そう、よね」

めがほむ「...き、きっと、きっと皆さんなら...勝てます...!私はそう、信じてます!」

リボほむ「...」

さやか「...まだ、お茶会の約束は、果たしてないんだからね」

まどか「...」





まどか「...ほむらちゃん」

ほむら「...」

まどか「...怖い?」

ほむら「...」

ほむら「...いいえ」

ほむら「...あなたが、居てくれるもの」

ほむら「...私は、勝つ」

ほむら「...あなたを、守るためじゃない」

ほむら「...あなた達と、笑って過ごせる未来のために」ニコッ






杏子「...来るぞっ!」

マミ「...」ジャキッ!

リボほむ「...」パァァァ

ほむら「...」

ほむら「...行くわよ...!」





ワルプルギス「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」



QB「...魔法少女の歴史上最悪の魔女」

QB「勝つ見込みは、贔屓目に見ても3%、といったところかな」

QB「なるほど、それでも君たちは立ち向かうんだね」

QB「どうしてその歩みを止めないんだい?どうして、諦めようとしないんだい?」  

QB「心の願いと、奇跡の力か」

QB「そんな不安定な要素に全てをかけるとができるほど、僕らは愚かじゃない」

QB「僕らはね」

QB「やぁ、戻ってきたのかい、君達」

まどか「...」

QB「契約する気になったら、いつでも声を掛けてよ」

QB「僕はそれを、決して拒みはしないよ」

まどか「...」

まどか(...頑張って)






杏子「らぁぁぁぁぁぁっ!!!」ガキィン!!

杏子(...ちっ、使い魔でこの強さかよ...!)

マミ「...ティロ・フィナーレ!!」ドォン!

リボほむ「...たぁぁぁぁっ!」バシュバシュッ!

ほむら「...」

ほむら(...前の魔女で、グリーフシードを使いすぎてしまった...)

ほむら(...私には、もう余り魔法を使う余力は残っていない)

ほむら「...たぁぁぁ!!」ガガガガ!!

ほむら(...耐えるのよ...!ここ一番...絶対に逃してはならないタイミングまで...!)

マミ「...ぐうっ!」

杏子「...マミ!」

マミ「...だい、じょうぶ...!まだ、やれる...!」

杏子「...!くそっ...!」

リボほむ「...」バシュバシュッ!

リボほむ(...ワルプルギスに直接ダメージを与えられるのは...実質私とマミの2人だけ...!)

リボほむ(...どちらかは、けして倒れてはいけない...!)

リボほむ「...たぁぁぁっ!!」

ほむら「...たぁぁぁ!!」

ワルプルギス「アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

ほむら「...このっ...!!」

杏子「...落りてこい...この野郎!!!」

ズズズズズ!!

リボほむ「...!」

リボほむ(...ワルプルギスを引きずり下ろした...!)

ほむら(...槍を大きくして突き刺した...やっぱりあなたは、戦いに関しては...一つ秀でている)



杏子「...今だっ!!ぶち込め!!」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

リボほむ「...やぁぁぁぁぁっ!」

ほむら「...」ガガガガ!!




ワルプルギス「...アハハハハハハハハハハ...」

ワルプルギス「...アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」グルンッ!

ほむら「...ぐぅっ!」

ほむら(...正位置...!完全に私たちを...敵と認識した...!)


ほむら「ここからよ!!」

ほむら「...手を休めないで!」ガガガガ!!

リボほむ「...ぐっ...あぁ...!!!」ギュンッ!!

杏子「...炎っ!!!」

杏子(...くそっ!炎がぶっ飛ばされちまった!!)

杏子「...このぉっ!!」

ワルプルギス「...アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

杏子「...ちょこまか...うざいんだよ!」ドガガガ!!

マミ「...くぅ...!」ドドドドドド!

ほむら「...!」

杏子「...ほむらっ!!」

マミ「...暁美さんっ!!」

ほむら(...ワルプルギスの...核...!)

ほむら(...これを...!)

ワルプルギス「...アハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」ギュオオオオオオ!!!!

ズドォォォン!!!

杏子「...ほむらぁぁっ!!」

マミ「暁美さん!!!」




ほむら「...温いわね...!」

ほむら「...私が何度、あなたと戦ったと思ってるの...!?」

ほむら(...攻撃の軌道なら、もう読めてる...!)

ほむら(...時間停止時間は...!十五秒あれば...!充分...!!!)



カチッ





ほむら「...」

ほむら「...これで、やっと、倒せる...」

ほむら「...これで、やっと...!」

ほむら(...?)

ほむら(...何...?)

ほむら(...この、嫌な予感...は...)





まどか「...」

ほむら「...ま、どか...?」

ほむら「...まどかっ!?!?」

ほむら(...どうしてここに!?)

ほむら(...避難場所に戻っていたんじゃないの!?)

ほむら(...!)

QB「...」

ほむら「...お前の...!また、お前の...仕業...!?」

ほむら(...なんて言ってまどかを連れてきた!?)

ほむら(...いいえ!今はそんなことどうでもいい!)

ほむら(...さっきのあいつの攻撃で...瓦礫か...!まどかに...!!!)

ほむら(...このタイミングを逃したらワルプルギスを倒せないかもしれない...!!)

ほむら(違うっ!!そもそもまどかが死んじゃ意味がない...!!!)

ほむら(...間に合う...!?)ダッ!!!

ほむら(...間に合え...!!間に合え...!!!)

ほむら(...あなたに、死んで欲しくないの!!)ダダダ!!

ほむら(...私は、あなたと生きていたい!)

ほむら(...私はまだ、あなたに伝えてないことが沢山ある...!!)

ほむら(...まだ、やりたいことも...沢山...!!)

ほむら(...お願い...!少しでいいから...!)
 
ほむら(...もう少しだけ...時間を...止め...!)



カチッ


ガシャァァァァン!!!

ほむら「...あ、あ...」

杏子「...ほむらっ!?」

杏子「な、何してんだよ!?今...!」

ほむら「...あ、ぁぁ...」

ほむら「...あぁぁぁぁぁ...!」ヘタッ

杏子「...ほ、むら...?」

ほむら(...結局、何度やったって、救えないっていうの?)

ほむら(...どれほど、決意を固めても、足りないっていうの?)

ほむら「...どこに、まどかが死ななくちゃいけない理由があるって言うのよ!!!!!!!」





デビほむ「...」

デビほむ「...」

デビほむ「...まどかの死を、世界が望んでる」

デビほむ「...私には、世界を変えない限り、まどかを救うことが出来なかった」

デビほむ「...いいものを見せてもらったわ」

デビほむ「...やっぱり、私は間違ってなかった」

デビほむ「...悪魔になるしか、なかったんだ」ポロポロ







リボほむ「...死んで、ないっ...」

ほむら「...う、ぁ...?」

デビほむ「...っ!?」

リボほむ「もう...諦めるのはやめなさい...!」

リボほむ「...耐え難い絶望も、深い悲しみも...あなたは充分味わったのでしょう?...げほっ...げほっ!」ドロッ...

まどか「...」

リボほむ「気絶しているだけ...彼女は、紛れもなく生きている」

ほむら「...ど、うして...?」

ほむら「...な、んで...?」

リボほむ「...あなたの魔法...時間停止は...あなただけに、作用する魔法」

リボほむ「...体の一部が触れることで、あなただけの世界に入る権利を得ることが出来る」

リボほむ「...私が入れないわけ、無いじゃない...?」ニコッ

ほむら「...あぁ、ぁぁ...!」





デビほむ「...有り得ない」

デビほむ「...こんなこと、有り得るはずがない」

デビほむ「こんなっ...!土壇場で...!」

デビほむ「...こんな、奇跡っ...!」





リボほむ「奇跡なんかじゃない」

リボほむ「...あなたが何度も繰り返したことで、私が現れた」

リボほむ「これは間違いなく、あなた自身が自分で選んだ、その結果よ」

リボほむ「...魔力が、無いならこれを使いなさい」

リボほむ「...今なら、倒せる...げほっ!」

リボほむ「...きっと、彼女は、味方してくれる...!!!」

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら(...ねぇ、まどか)





ほむら(...私、頑張ったよ)

ほむら(...諦めなかったよ)

ほむら(...私が繰り返した、時間軸には)

ほむら(...いろんなあなたがいた)

ほむら(...極端に嫌われてるあなたや、今とは違うあなた)

ほむら(...もう既に、死んでしまっている、あなた)

ほむら(...もしかしたら、私が忘れてしまっている時間軸も、あるかもしれない)

ほむら(...私が、どうしてこんなに頑張ることが出来たのか、諦めずにいられたのか)

ほむら(...それはね、あなたのお陰)

ほむら(...間違いなく、あなたのお陰)パァァァ






ほむら「あなたはどんな状況であっても、私の光で居てくれた」

ほむら「...どんな事があっても、私にとっての道しるべで居てくれた!」

ほむら「あなたは、いつでも、「鹿目まどか」だった!!!」ギリリリッ!!

ほむら(...消えなさい...!ワルプルギス...!)

ほむら(...私たちは、未来を歩く!)

ほむら(そこに、あなたは必要ない!!)














「私達の、勝ちよ」









ドォォォォォォン...!!!!





QB「...やられた、か」

QB(君の言う通り、最後まで彼女達の邪魔をしてみたけれど、この結果だ)

QB(鹿目まどかは生きていて、ワルプルギスの夜は倒された)

QB(僕らにとって、これは望まない結果となってしまったけれど)

QB(君にとっては、どうなんだろうね?)

QB(...君は、実のところどうあって欲しかったんだい?)

QB(最後まで、君のことは分からなかったよ)




杏子「...やった、のか...?」

杏子「...やったのかよ...オイ!!?」

マミ「...はぁ...!はぁっ...!」

杏子「倒したんだな!?ワルプルギスを...!あたし達で!!」

ほむら「...え、えぇ...」

ほむら「...そうよ...」

ほむら(...倒した...倒した...?)

ほむら(...私は、あいつを...)

まどか「...んぅ...」

まどか「...ほむらちゃん...」

ほむら「...ま...ど...か...」

まどか「...えへへ...ほむらちゃん...!」

ほむら「...」





まどか「...おかえり...!」









ほむら「...」

ほむら(...ワルプルギスの夜を倒して早3日)

ほむら(...その内2日間はずっと寝ていたようね)

ほむら(...だから、私にとっては一日前)

ほむら(...ううん、そんな事はどうでもいい)




ほむら「...どういう状況...?...これ...?」

さやか「...んぁ?」

杏子「いってー、体バキバキだぞ」

ほむら「...昨日の夜からこそこそしてると思ったら...」

ほむら「...人の家で、何をやってるの?」

ほむら「...あぐっ...!」ズキッ

リボほむ「ほら、まだ寝てなさい、完全回復した訳じゃないんだから」

ほむら「...むしろ、瓦礫を全身に浴びてピンピンしてるあなたの方がおかしいわよ...」

リボほむ「私はあなたと違って何故か魔力の容量が大きいからね」

リボほむ「...」

ほむら「...」

杏子「だってよ、他の奴らの家ってほとんど壊れちまってんだもん」

杏子「聞いたか?マミのマンション何か全壊だぜ...ぷっくく...!」

マミ「人の不幸を笑うもんじゃありません!もうあなたは出入り禁止!」

杏子「うっ、嘘嘘!嘘に決まってんだろ!」

めがほむ「...これを、こうして...」

まどか「...うわぁ...焔ちゃん...お料理上手なんだね」

めがほむ「...そっ、そんなこと無いですよ...!大半はマミさん作ですから...!」

マミ「あら、なかなか筋がいいわ、どこかの誰かと違ってね」

杏子「うっせー!」

さやか「...もー、キンキン叫ばないでよー」

ほむら「...」

ほむら「...」

ほむら(...こんな、幸せ...いいの?)

ほむら(...こんなに、幸せで、いいの?)

リボほむ「良いのよ」

ほむら「...っ」

リボほむ「...あなたが、勝ち取った今でしょう」

リボほむ「...罪なんて、償わなくていい」

リボほむ「あなたはもう充分、苦しんだ」

ほむら「...」

ほむら(...嬉しい...けど、怖い)

ほむら(...本当は、この現実が、まやかしなんじゃないかって)

ほむら(...いつか、ふっと崩れさる陳腐なものなんじゃないかって)

ほむら(...ただの、夢なんじゃないかって...)

まどか「...ほむらちゃん」ギュッ

ほむら「...!!」

まどか「...今まで、ありがとう」

まどか「...これからも、よろしくね」

ほむら(...あぁ...夢じゃない)

ほむら(...このまどかは、この暖かさは...決して...夢なんかじゃない)





さやか「はいそれでは」

さやか「見滝原魔法少女の、祝勝会」

さやか「リーダーらしきほむらに変わり、せん越ながら私が乾杯を言わせていただきます」

杏子「うぜー、ちょーうぜー」

さやか「見滝原魔法少女の、勝ちを祝って」

さやか「かんぱーーーい!!!!」




さやか「って、ちょ!いきなり人のもの取らないでよ!」

杏子「はい、早い者勝ち」

めがほむ「わっ...!これ、美味しい」

リボほむ「そうでしょう、この紅茶、美味しいのよ」

マミ「こうやって茶葉を蒸らしてからね...」

ほむら「...」

まどか「...」

さやか「何してんのさ、二人とも」

さやか「食べ物なくなっちゃうぞー、ひひひ」

まどか「...ふふ、ほむらちゃんの分も取ってくるね」

ほむら「...あ...」

ほむら「...」

ほむら「...」クスッ

ほむら「...言葉が...見つからないよ...」

ほむら「...何度、ありがとうって言ったって、足りないよ...」

ほむら「...」



ズァッ!!!



ほむら「...っ!?」

ほむら「...何よ、これ...?」

ほむら「...真っ暗...ここは...どこ?」

デビほむ「...こんにちわ」

ほむら「...あなたは...?」

ほむら「...私...?」

デビほむ「...」

デビほむ「喜んでいるところ残念だけど、あなたが今見てるのは、夢よ」

デビほむ「現実のあなたは、ただ単にインキュベーターの実験台として幸せな夢を見せられているだけ」

ほむら「...」

デビほむ「...冗談よ、怖い顔しないでちょうだい」

ほむら「...ここから、出しなさい」

デビほむ「まぁ、待ってちょうだい」

デビほむ「...私の話、聞いてよ」

ほむら「...?」

デビほむ「...ふふ、口で説明するのも飽きたし、私の成り立ちについて手っ取り早く教えるわね」パンッ

ほむら「...ぐっ!?」

ズズズズズズ

ほむら「...ぐぅ...はぁっ...!」

デビほむ「...理解出来た?」

ほむら「...あなたは...!!」

デビほむ「...」

ほむら「...いえ、あなたを、責めるのは...間違っているわね」

ほむら「...確かに、どうしようも、無かった」

デビほむ「...」

デビほむ「...ねぇ、私は、間違っていたのかしら?正しかったのかしら」

ほむら「...?」

デビほむ「...私はまどかを引き裂いて、この力を手に入れた」

デビほむ「...私は、まどかの願いを踏みにじった」

デビほむ「...どう思う?」

ほむら「...」

ほむら「...仕方のない、事よ」

ほむら「...私が同じ立場でも、そうしてる」

デビほむ「...」

ほむら「...」

デビほむ「じゃあやっぱり、私は正しかったのね...」

デビほむ「...私は、悪魔になるしか...」

ほむら「...どう答えて欲しいの?」

デビほむ「...何?」

ほむら「...あなたは、どう答えて欲しいの?」

デビほむ「...どういう意味かしら?」

ほむら「...」

ほむら「...私が、「同じ暁美ほむらなのに、あなただけ...なんて可哀想...!」といえば満足?」

ほむら「それとも、「あなたがやった事は許されない...!」と責めれば満足?」

ほむら「...違うでしょ?」

ほむら「...それを、答えるべきは私じゃない」

ほむら「...あなた、自身じゃないの?」

デビほむ「...」

ほむら「...結局あなたにとって、自分が間違いだった、正しかったかなんて、どうでも良かった」

ほむら「ただ、私は生まれついて自分のことしか考えられない悪魔のような人間だった、と思いたかった」

ほむら「...人間で、居たくなかった」

デビほむ「...」

ほむら「...心が、悪魔なら、もうきっと、あなたとまどかはわかり合うことが出来なくなる」

ほむら「それで良かった、それがあなたが犯した罪に対しての罰」

ほむら「...まどかを、諦められる、希望を抱かなくて済む」

デビほむ「...なるほどね」

ほむら「...偽悪的、なんてものじゃない」

ほむら「本物の、悪になりたかった」

デビほむ「...」

ほむら「だから、好き勝手私の頭をいじくり回したんでしょう?」

ほむら「...あの子達が片付けてくれたのよ...私の部屋...」

デビほむ「壊したのはあなたじゃない」

ほむら「...あなたが原因でね、同じことよ」

デビほむ「...そう」

デビほむ「...私は、悪魔で居たかった...のかしら」

デビほむ「そうすればもう、余計な希望を抱かずに済むから...?」

ほむら「さぁ、でもそれが、客観的な答え」

デビほむ「...」

ほむら「ただ、まどかを諦めることの出来るあなたは」

ほむら「...まどかと共に歩むことを諦めたあなたは...もう、私じゃない」

ほむら「あなたは、私はだけれど、私はあなたじゃない」

ほむら「...それだけは、間違いない」

デビほむ「...」

ほむら「それでもなお、人に罵られたい?」

ほむら「人に蔑まれて、自分が悪魔だという証明が欲しい?」

デビほむ「...何を...」

ほむら「ふふ、こんな言葉を吐くのはきっと、一度きりよ」




ほむら「ざまぁないわね」



ガコォン...

ほむら「...はっ...!」

まどか「...ほむらちゃん?」

ほむら(...ざまぁないわね...?)

ほむら(...そんな言葉...私、言おうとしてたっけ?)

ほむら(...)

ほむら(...あなたが、もし本当に...辛いなら...)

ほむら(...助けてと、まだ言えるなら...)

ほむら(...その時は...私に...)ズキッズキッズキッ...!

ほむら「ぐぁっ...!?あぁぁ...!」

まどか「...ほむらちゃん!?」

杏子「...おい!?ほむら!?」

ほむら「...だ、大丈夫...!」

ほむら「...ぐうっ...!」

ほむら(...そう)

ほむら(...あなたは、そうするのね)

ほむら(...余計な口を挟むんじゃないわね)

ほむら「...」

皆「...」ジー

ほむら「...大丈夫よ」

ほむら(...私は、生きていく)

ほむら(...この世界で、生きていく)

ほむら(何が起ころうとも、それが私の選択だから)





さやか「...はー、疲れたー」

杏子「騒ぎすぎだってーの」

さやか「あんたもねー」

リボほむ「...」

リボほむ「...あら」スー

ほむら「...!」

めがほむ「...んぐっ...!」スー

まどか「...ほ、ほむらちゃんたち...!」

マミ「...体が...透けて...」

リボほむ「...」

リボほむ「...ふふ、何を悲しむ必要があるのかしら」

リボほむ「...ここまで、もってくれて...充分よ」

めがほむ「...あぁ...」

ほむら「...あなた、達...」

杏子「...な、何で...!」

リボほむ「この前言ったでしょ?」

リボほむ「私達は、この世界の人間じゃない」

リボほむ「...だから、帰る時が来たの」

さやか「も、もう...会えないの...!?」

リボほむ「...ええ、きっと」

マミ「...そんな...」

リボほむ「...ふふふ、悲しむ必要なんてないじゃない」

リボほむ「あなた達は確かな未来を勝ち取った、それだけで...」

めがほむ「...」ギュッ

リボほむ「...!」

めがほむ「...お姉ちゃん...」  

リボほむ「...お姉ちゃん...ね」ポロポロ

めがほむ「...」ポロポロ

リボほむ「...羨ましい...とっても、羨ましい」

リボほむ「こんな風に、いつでもお茶を飲むことが出来るあなた達が」

リボほむ「...とっても」

杏子「...馬鹿野郎...何言ってんだ...」

杏子「ここは、あんた達の場所でもあるんだぞ!」

リボほむ「...ええ、そうね」

めがほむ「...」

めがほむ「...私達、居なくなっちゃうんですね」

めがほむ「...もう、戻ってこれないんですね」

めがほむ「...でも、これは忘れません...」

めがほむ「...私には、素敵な仲間と...!」

めがほむ「...大好きな...二人のお姉ちゃんが...居たこと...!!!」

ほむら「...えぇ...忘れない、忘れるはずもない」

ほむら「...あなた達がいたおかげで、私は救われた」

ほむら「...あなた達姉妹のおかげで...私は、救われた」

ほむら「...私の、もう一つの...大切な家族」ポロポロ






「泣かないで」

「私達も与えてもらった」

「強く生きる術を」

「強く思えば、それだけ輝く魂を」

「ありがとう、さようなら」

「私達は、幸せだった」







ほむら「...さ、よ...なら...!」





(生きることはままならない)

(どう足掻いても、現実は非情)

(どれだけ頑張っても、変わらない)

(それでも、前に進めるなら)

(誰かが、誰かを助けてくれるなら)

(きっと希望は見つかるんだ、前に進めるんだ)

(それを、証明してくれた)

(あなたを、忘れない)(そんな私がいた事を、忘れません)





(奇跡は、起こる)

(私は、前に進む)

(私は、生きていく)

(皆と一緒に...)









ほむら「これからも、よろしくね」ニコッ

「「「「もちろんっ!!!」」」」

めがほむ「...それで...ここってどこですか...?」
リボほむ「...分からない」
恐竜「ギャオオオオ」


お疲れ様でした
ちなみに昨日初尿路結石を味わいました
皆さんの貴重な時間、無駄にならなければこれより幸せなことはありません
本当にお疲れ様でした

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