少年「骨折したら学校でヒーローになった」 (18)
＜病院＞
医者「レントゲンを撮ったところ、右腕の骨にヒビが入っていますね」
医者「念のため、ギプスをつけましょうか」
母「はい……ありがとうございます」
少年「いたたた……」
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翌日――
＜学校＞
友A「おい、骨折ったんだって！？ 大丈夫かよ！？」
友B「うわー、ギプスだ！ かっけー！」
友C「骨折るってどうなの！？ やっぱ痛いの！？」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
少年「わ、わ、わ！ 質問は一人ずつお願い！」
少年（ボクはいつも学校ではわりと地味なポジションにいるのに）
少年（こんなに注目されるなんて……まるでヒーローになった気分だ）
少年（もっと……もっとこの気分を味わいたい！）
少年（そうだ！ だったら……もっと骨を折ればいいんだ！）
少年「今度は左腕を……おりゃ！」ﾎﾞｷｯ
翌日――
＜学校＞
友A「また折ったのかよ！？ 大丈夫かよ！？」
友B「ダブルギプスだ！ 超イケてる！」
友C「両腕折るってどう！？ やっぱ痛いの！？」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
少年「へへへ……」
少年（今日はさらに注目されたぞ……！）
少年（ようし、もっとだ……）
少年（今度は高いところから飛び降りて、両足を折ってやる！）ﾋｮｲｯ
少年「ぐおっ！」ﾍﾞｷﾎﾞｷｨｯ
少年「やった……うまくいったぞ……！」
翌日――
＜学校＞
友A「今度は両足！？ てか入院しなくて大丈夫なのかよ！？」
友B「両手両足にギプスって、超イカしてんな！」
友C「痛い？ ねえねえ痛い？ やっぱ痛い？」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
少年「ま、これくらいどうってことないよ」
少年（もっとだ……！ もっと骨を折れば、きっと、もっとヒーローになれる！）
少年（だけど、チマチマ折るのはもう面倒になってきた）
少年（よーし、全身あますところなく折りまくってやる！）
少年「右肩！」ﾊﾞｷｯ
少年「左肩！」ﾋﾞｷｯ
少年「アバラ！」ﾒｷｯ
少年「胸！」ﾍﾞｺｯ
少年「腰！」ｺﾞｷｬｯ
少年「股関節！」ﾊﾞｷｯ
少年「首！」ｺﾞｷｺﾞｷｯ
少年「背骨！」ﾊﾟｷｬｯ
少年「頭！」ﾎﾞｺﾞｫｯ
……
……
……
司会「なるほど、今のお話が正義の軟体ヒーロー“ナンタイマン”誕生秘話なのですね」
ナンタイマン「はい」ｸﾞﾆｬｯ
司会「先日も強盗の放つ銃弾を持ち前の柔軟性でかわしたり」
司会「強盗をその柔らかい体で縛り上げるなど、大活躍をされましたね」
ナンタイマン「ヒーローとして、当然のことをしたまでですよ」ｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬ
司会「これからもご活躍を期待しています！」
ナンタイマン「ありがとうございます」ｸﾞﾆｬｸﾞﾆｬ
ナンタイマン「……おっと、最後にヒーローとして一言」ｸﾞﾆｬﾘ…
ナンタイマン「よい子はくれぐれもボクのマネをしないようにね！」ﾋﾞｼｯ
＜おわり＞
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