千早(笑って!) (29)


765プロ

千早「ただいま戻りました」

あずさ「おかえりなさい。千早ちゃん」

千早「あずささん。お疲れさまです」

あずさ「お疲れさま。もうすっかり暗くなっちゃったわねぇ」

千早「えぇ…」キョロ

あずさ「春香ちゃんならいないわよ?」

千早「っ!べ、別に春香を探していたわけではなく…」

あずさ「そうなの?」アラアラ


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千早「…どうしてわかったんですか?」

あずさ「うふふ。やっぱり。さぁなんでかしらね〜」

千早「…」

P「ただいま戻りましたーっと」ガチャ

千早「プロデューサー。お疲れさまです」

P「おう千早お疲れ。春香なら現場から直帰してるぞ」

千早「なっ」//

あずさ「あらあら〜」



千早「まったく!2人して…」

P「でも春香を探してたのはほんとなんだろ?」

千早「さ、探していたというかっ。ただ昨日から春香が映画の撮影だって張り切っていたのでっ憧れの監督さんといっしょでキンチョーする〜とも言っていたのでっ!大丈夫かしら?慣れない環境で転んでケガとかしてないかしら?また1人で悩みを抱えてないかしら?とちょっと心配していただけでっ」

あずさ「千早ちゃん〜おちついて〜」

千早「はっ」


P「千早は本当に春香のことが好きなんだなー」

千早「すっ好きとか嫌いとかではなく!私はただ同じ765プロの仲間として…」

P「あずささん。もう遅いんで送っていきますよ」

あずさ「まぁ!ありがとうございます〜」

千早「こらぁ!!」

P「はっはっは。もちろん千早も送ってくぞ?」クルマニノリナサイ

千早「けっこうです!1人で帰れます!失礼します!」プンプン



P「ありゃりゃ。行っちまった」

あずさ「もうプロデューサーさんったら。からかうのもほどほどに…」

P「いやー千早もイジリ甲斐のある奴になったもんですねぇ。昔はあんなに無愛想だったのに」

あずさ「ほんとに…みんなの影響ですね〜」


P「えぇ…特に春香の、ですね」

千早宅

千早「もう!プロデューサーもあずささんもっ」


千早(…春香は大丈夫かしら。)

千早(大丈夫よね。というかなぜ私は春香のことをこんなに)


P『千早は本当に春香のことが好きなんだなー』


千早「っ」///

千早(ちがうちがう!春香のことは友達として!そう、1番心許せる友として好きなだけよ!プロデューサーだってそういう意味で言ったに決まってるわ!)

千早(決して、その、あの、)


千早(恋…とかじゃない…と思います)


千早(っていうか私、初恋もまだだし…)

千早(…)

千早(春香は大丈夫かしら。)



数日後 765プロ


千早「おはようございます」

春香「あっ!千早ちゃーん!」

千早「!春香、おはよう」

春香「おはよっ。ねぇ聞いて聞いて。この間撮影でね…」

P「おーい春香。もう時間ないぞ」

春香「あっ…。ご、ごめんね千早ちゃん!また今度ね!」スタタ

千早「え、えぇ」



千早「…」シュン

小鳥「最近特に忙しそうね春香ちゃん」

千早「小鳥さん…」

小鳥「なんだか元気ないわねぇ千早ちゃん。春香ちゃんとおしゃべりできないからかしら?」

千早「そ、そんなことっ」



千早「…そうですね。ちょっと寂しいかもしれません」

小鳥(うほっ。すれ違う二人…これは濃厚なはるちはの予感ピヨ」

千早「声に出てますよ小鳥さん。仕事して下さい」



律子「そんなに寂しいなら電話でもしたら?」

千早「律子…メールならたまにするのだけれど」


真美「おっはよ→」

亜美「おはおは→」

律子「こら、二人とも。ちゃんと言いなさい」

亜美「なになに?はるるんと千早おねーちゃんのオノロケ話ですかな?」

真美「2人ともラブラブですからなぁ」

千早「らっらぶらぶ!?」///

律子「まーた2人とも。年上をからかうんじゃないわよ」


亜美「だってホント→にラブラブぢゃーん」

小鳥「そうピヨ。2人はラブラブピヨ」

千早「ちょっ…」

真美「はるるんだってこの間いってたよ?千早おねーちゃんとおしゃべりできなくてツマンナーイって!」

千早「え…ほんとう?」

小鳥「ほんとピヨ。千早ちゃんに抱きついて首筋に吸いつきたいともいっていたピヨ」

千早律子「仕事しろ」

小鳥「」


その日の夜 千早宅


千早(…春香)


『千早おねーちゃんとおしゃべりできなくてツマンナーイって!』


千早「で、電話してみようかしら」

千早「でももう10時過ぎてるし…きっと迷惑よね」

千早(…)もんもん


『ちーはーやーちゃんっ』

『千早ちゃんっ!クッキー作ったんだよー食べて食べて』

『えっへへー千早ちゃんだーい好き!』


千早「…」//


千早(もう。これじゃ本当に…)

千早(…春香には、感謝してるわ。)

千早(私があの時立ち上がれたのも、また歌が歌えるようになったのも、春香のおかげ)


『ほっとかない。ほっとかないよ!』


千早「…」

千早(あぁ、そうか。きっと私は、あの時から)


ヴーン

千早「」ビクッ

千早(メール…春香から?)


〈千早ちゃーん。もう寝ちゃってるかな?今日はごめんねぇ(>人<;)また今度ゆっくりお話させてね〉


千早「春香…」

千早(気にしてないわ…っと)カコカコ

千早「はぁ」パタン


(あれからまた数日)

(春香のことを考えれば考えるほど)

(胸の鼓動が早くなっていく)

(身体があつくなっていく)


「ん…ぅ」モゾ


(自分がおかしな事をしているという認識はある)

(行為自体はそんなに珍しいことではないのだろう)


「はぁ…っ」


(でも同じアイドル事務所の、同じアイドルの一人に、劣情を催すなんて)

(わかってはいる。頭では理解しているのだ。こうやって行為に耽っている最中でも。妙に冷静な自分が、上から見下ろしている)


「っ…ふ…ん」


(やめなさい)


「は…っ。ぁ…っ」


(やめなさい。如月千早)


「春香…っ。はる…っ!」


(やめろ!)


「…っ!っ!」




「あーあ。サイテーだね千早ちゃん」



千早「はっ!?」ガバッ


チュンチュン


千早「夢…?」

千早「うぅ」

千早「な、なんて夢…夢でよかった」

千早「…」

千早「吐きそう」オエッ


765プロ

千早「おはようございます…」ドヨーン

P「おはよう…うわっどうした千早その顔」

千早「え、別になんともありませんけど」

P「ほんとかよ…アイドルがしちゃいけない顔してたぞ」

千早「…」

春香「千早ちゃーん!おはよー!!」ドーン

千早「ぐえっ」ドサッ

P「だ、大丈夫か千早!」

春香「あわわっ!ご、ごめん千早ちゃん!」



春香「うぅ…ごめんねぇ千早ちゃん…」

千早「もう、大丈夫だってば」

P「いや…なんかやつれてないか?千早」

千早「そんなことは…」

春香「あ!もしかしてまた朝ごはん抜いてるでしょ!」

千早「食欲がなくて…」

春香「ダメッ!そんなんじゃ倒れちゃうよ!」

千早「私はさっき春香に倒されたのだけれど」

春香「う」

P「まぁまぁ。いい機会なんじゃないか?春香」

春香「!そうですね!」

千早「?」


春香「千早ちゃん!お願い!今度の土曜日泊めてほしいの!!」

千早「土曜?別に構わないけれど」

春香「やったぁ!」ピョン

P「今度のロケがちょっと遠地でな。春香の終電に間に合いそうにないんだ」

千早「そうなんですか」

春香「おいしいもの作ってあげるからね!」ニコッ

千早「っありがとう」ドキッ


『サイテーだね』


千早「」ガタッ

春香「?どうしたの?」

千早「な、なんでもない。ちょっとトイレに…」タッ



千早(どうかしてる…私)


土曜日

春香「お邪魔しまーっす!」

千早「邪魔するなら帰って」

春香「ちょっ!ひどっ!」

千早「ふふ。いらっしゃい春香」



春香「千早ちゃんちも久しぶりだねぇ」

千早「そうね…前春香が来たのはいつだったかしら?」

春香「うーん今年は初めてかな。冷蔵庫開けるね〜」

千早「…えぇ」

春香「…千早ちゃん?」

千早「」フイッ


春香「自炊してる形跡が一切ないのはどういうことかな〜千早ちゃーん」コチョコチョ

千早「ふ、ふへへっ!ちょっ!やめへっ!腋っ。わきはっ!ひゃあっ」


春香「もう!ゴミ箱にはカロリーメイトの袋が捨ててあるし…料理もがんばるって約束したじゃない」

千早「うっ。その、なんだか最近体調が優れなくて…料理する元気もなくて」

春香「えっそうなの?じゃあ尚更おいしいもの食べて元気出さないと!よかったぁ食材買っといて」ヨイショ

千早「ごめんなさい春香…いくら?」

春香「いいっていいって!泊めてくれるお礼!」

千早「ありがとう…」



(あぁ)

(春香はどうして、こんなにも私なんかを気遣ってくれるの?)


春香「でーきたっ!」パパーン

千早「肉じゃが…おいしそう」

春香「千早ちゃんが手伝ってくれたから早くできちゃった!食べよ食べよ!」

千早「えぇ」



(どうして、こんなにも息苦しい世の中で、そんなに素敵な笑顔でいられるの?)



春香「それでねーお母さんったらねー…」モグモグ

千早「ふふ」クスクス



(春香、あなたがその笑顔を私に向けてくれるだけで)



春香「そしたら美希が『ハニーにパイルダーオンなのー!!』って!」

千早「ブフッ!」ビチャ

春香「そ、そしたらプロデューサーさん…『らめぇ!パイルダーオンらめなのぉ!』って」

千早「〜っ!」バンバン



(どれだけ苦しくても、前へと進んでいける)


春香「えー…一緒に入ろうよぅ」

千早「だから…うちのお風呂は二人で入るには狭いのよ」

春香「千早ちゃんのナマチチ…ちっちゃくて可愛いナマチチ…」ブツブツ

千早「ぶっとばすわよ」



(春香、気づいてる?)

(あなたの事を、こんなにも愛している)



千早「見なさい春香。新兵器よ」ドーン

春香「そ、それは……歩ける寝袋!!」

千早「私はこれで寝るから、春香はベッドを使ってくれてかまわないわ」イソイソ

春香「…いやなんだ」

千早「えっ」

春香「千早ちゃんは私と寝るのがいやなんだ…」グスグス

千早「ええっ!私はただ…」

春香「いやなんだ…」ウェッウェッ



(あぁ。そんな顔をしないで春香)


春香「ぐすんぐすん」チラッ

千早「も、もう」

春香「ふえーんふえーん!」オーイオイオイ

千早「わ、わかったわよ!一緒に寝ましょう」



(笑って!)



春香「ぐふふ」ニチャア


千早「春香…起きてる?」

春香「」スースー

千早「ふふ」



(愛してる)

(もし口に出してしまったなら。私たちは一体どうなってしまうんだろう?)

(春香は悲しむかしら)

(友情を裏切られたと怒るかしら)

(言えるわけない)

(でも)

(それでも)



千早「わたしは…」ウトウト

春香「」スースー

千早「はるかを…あいしてる…」ウトウト

千早「」スヤァ…






春香「はあああああぁぁあぁ!!!??」ガバッ

千早「!?」ビクッ


春香「なんてぇ!?いまっ!千早ちゃん!なんてええええ!!?」ワナワナ

千早「ぁ…うっ。えっ。あの」ビクビク


千早(うそっ。わ、私声に出してた!?)

春香「私のこと…あ、あい、あいあいあい…」

千早「ち、ちがっ。その」


(どうしようどうしようどうしようきらわれるきらわれるはるかにきらわれる)

(今なら、今ならまだ間に合う)

(冗談よ、って笑って言えば)


千早「あ、あのね春香…」


(言えば)

(笑って言えればいい)


千早「じ…」


(冗談よ)


春香「あい…あい…アイ…」プルプル


(笑って)


千早「っ」

ギュッ

千早「私、春香のことが好きなの」

春香「え…」


千早「…っ」

春香「」ボーゼン


千早「わ、わたしねっ。はるがのごどっ」グズ

千早「ごっごめんなさい…っ。わだじっはるががっ」ポロポロ


春香「」ハッ

春香「ち、千早ちゃん!」

ギューッ

春香「な、泣かないでっ。ごめんねっ取り乱しちゃってっ」

千早「ごめんなさい…はるか、ごめんなさい…ゆるして…」

春香「な、なんで謝るの!?」

千早「ごめんなさい…ごめんなさい」

春香「千早ちゃんっ」グイッ

チュ

千早「!?」

春香「えへへ…ちゅーしちゃった」



千早「あ…あ」

春香「私も、千早ちゃんのこと、大好きだよ」ニコ

千早「う、うそよ」ポロポロ

春香「うそじゃないよ?」

千早「だってっ。そ、そんなのおかしいものっ」

春香「おかしくなんかないよ」

千早「わ、わたしずっとっ諦めててっ」

春香「うんうん。私なんて一目見たときから千早ちゃんにフォーリンラブだったもんねー」

千早「うっうそっ絶対うそっ」

春香「あぁ…千早ちゃんの首筋…いい匂い。吸いたい」クンクン

千早「ぎゃっ」


春香「千早ちゃん…久しぶりの泣顔ktkr。吸いたい」スハスハ

千早「ちょっ…こらぁ!!」

春香「でーへーへー」



千早「まったく。春香ったら」グスッ

春香「ちょっと泣き怒りな表情もたまらん。吸いたい」

千早「やかましい!」

春香「えへへ…で、どうする?」

千早「えっ…」

春香「私たち両想いですよ!両想い!!」

千早「あ…」

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