片桐早苗「ガールズトーク!」 (59)
都内某所 居酒屋
早苗「いえーい!」
瑞樹「いえーい!」
楓「いえ~い!」
P「い、いえ~い!」
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早苗「何よ、ノリが悪いわね」
P「いや、そもそもガールじゃないんですが……」
瑞樹「何言ってんのよ。女子みたいなものじゃない」
楓「そうなんですか?」
瑞樹「この前、私と早苗ちゃんで海外に行ったじゃない?」
早苗「あ~、あの時ね」
瑞樹「それで私達が同室で、P君が一人部屋だったんだけど」
楓「それがどうしたんですか?」
瑞樹「何か手違いがあったみたいで、P君の部屋が取れてなかったのよ」
P「瑞樹さん、その話は……」
瑞樹「それでP君が違うホテルを探すって言い出したのよ。でも夜も遅かったし、あんまり治安がいい場所でも無かったから、結局私達と同じ部屋に泊まったのね」
楓「ええ!」
早苗「そうそう。で、その時は打ち上げの後であたし達も結構酔っ払ってたのよ。なのにこの男ときたら……」
P「…………」
早苗「酔った美女ふたりに目もくれずにすぐ寝たのよ? あり得なくない?」
P「いやぁ、それが普通なのでは……?」
瑞樹「本当にビックリしたわよ。 海外で男女が同室よ? 普通は手を出すでしょ」
早苗「うんうん」
P「あの~、その話はこれ位で……」
早苗「あっ! そういえば出発前もね!」
瑞樹「あ~、アレね」
早苗「飛行機の出発が早朝だったんだけど、空港には始発に乗っても間に合わないからね、プロデューサーに迎えにきて貰ったのよ」
P「…………」
早苗「それで朝ごはんも買う暇無いから、どうしようかな~と思ってたらね」
P『あっ、サンドイッチ作ってきたんですけど食べますか?』
早苗「って女子か! どれだけ準備がいいのよ!」
瑞樹「そうそう。私は空港で待ち合わせだったんだけど、合流したらね」
P『あっ、瑞樹さんの分のサンドイッチ作ったんですけど、朝食もう食べちゃいました?』
瑞樹「もうね、どんだけ女子力高いのよこの子は」
P「そ、それはプロデューサーとして当然の……」
早苗「それだけじゃないわよ。この前もね──」
早苗『あっ、手鏡忘れちゃった』
瑞樹『なら私の使う? って私も忘れたわ……』
P『あっ、じゃあ俺のをどうぞ』
早苗「ってまさかのプライベート用の手鏡よ? 女子か!」
瑞樹「しかもミ○ーちゃんのよ。凄くカワイイやつ」
楓「…………」
P「楓さん! 誤解ですよ! これはプロデューサーとして当然のですね!」
楓「私もプロデューサーのサンドイッチが食べたいです」
P「えぇ!?」
瑞樹「しかもこれが絶品なのよ」
早苗「正直嫁に欲しいわね」
早苗「と、プロデューサーが女子と分かったところで」
P「女子じゃないですからね!」
早苗「ガールズトーク! いえーい!」
P(聞いてない!?)
瑞樹「いえーい!」
楓「いえ~い!」
P(……もうヤケだ!)
P「いえーい!!!」
早苗「そういえば、この前乳がん検診に行ってきたのよ」
P「!?」
瑞樹「ああ、アレはビックリするわよね」
楓「そうなんですか?」
早苗「そうそう。変な機械で胸をね、ぎゅ~~~って潰されるのよ」
楓「えぇ!?」
瑞樹「もうね、これでもか! って位潰されるわね」
楓「怖いですね」
瑞樹「でも、今後の事を考えるなら楓ちゃんも受けないとダメよ?」
早苗「そうそう」
楓「そうですね。でも私には潰すほどの胸が」
早苗「別に大きさなんて関係ないわよ」
楓「おふたりは大きいからそんな事が言えるんですっ」
瑞樹「そうそう。ちょっと前に凄い美味しいケーキ屋さんを見つけたのよ」
楓「何処なんですか?」
瑞樹「確か恵比寿だったかしら。少し駅から歩くんだけどね」
早苗「へぇ~」
瑞樹「しかも店内にイートインのスペースがあってね、そこで食べられるんだけど」
楓「ふむふむ」
瑞樹「なんと、そこのイケメンパティシエがその場で綺麗に皿盛りしてくれるのよ!」
早苗「ほ~」
瑞樹「味も絶品だったわよ」
楓「それは是非行ってみたいですね」
瑞樹「それじゃあ、今度みんなで行ってみましょう」
早苗「いくいく~!」
楓「そういえば昨日は水着の撮影があったんですけど」
早苗「暖かくなってきたからね」
楓「まぁ、室内のプールだったんですけど」
瑞樹「それで?」
楓「その時のカメラマンさんの目付きが、どうにもイヤらしくて」
早苗「誰?」
楓「○○さんです」
早苗、瑞樹「あ~」
早苗「普通のカメラマンさんは、そういうの切り離してるって言うけど、あの人はね~」
瑞樹「楓ちゃんは、そういう目線に鈍そうだものね」
楓「私だって、そういう視線はわかりますよ」
早苗「でも気を付けないとダメよ?」
楓「は~い」
P「今後はあのカメラマンは断るようにしますので」
楓「ふふっ、ありがとうございます」
早苗「というか、さっきからテンション低くない?」
P「い、いやぁ、あまりにもガチトーク過ぎて……」
瑞樹「普段からこんなものよ」
P「男には刺激が強いですよ……」
瑞樹「え? P君は男だったの!?」
早苗「やだ~! ケダモノ~! お姉さんこわーい!」
瑞樹「きゃ~」
P「か、楓さん! 助けてください!」
楓「これでもマイルドな方ですよ、今日は」
P「えぇ!?」
瑞樹「そういえば、この前良い美肌クリームを見つけたのよ」
早苗「なんてやつ?」
P(というか、コロコロ話題変わるな……)
楓「ああ、それ良いですよね」
瑞樹「わかる?」
楓「わかるわ」
瑞樹「それ私の」
早苗「プロデューサーは何か良いの知らない?」
P「え? ○○とかですかね」
早苗、瑞樹「女子か!」
早苗「アンタやっぱりちょいちょい女子疑惑が挙がるわね」
P「そんなこと無いですって」
瑞樹「こうしてP君がいても気兼ねなく女子トーク出来ちゃうしね」
P「女子?」
瑞樹「あ゛?」
P「いえ……何でもないです……」
早苗「大体、何よその箸置き」
瑞樹「ここで出た!」
早苗「女子力!」
楓「カワイイですね」
瑞樹「割り箸の袋を折った手作りって」
P「いや、プロデューサーとしてですね」
瑞樹「プロデューサーは関係ないじゃない」
早苗「アンタ本当に女の子に興味あるの?」
P「ありますよ!」
瑞樹「え~ウソ~本当に~?」
楓「私も興味ありますね」
P「本当ですってば!」
早苗「でも手出さなかったじゃない」
P「この人も引っ張るな……」
楓「あれ? その首に付けてるのって」
P「ああ、鍵ですよ」
早苗「何!? 彼女の!?」
瑞樹「きゃ~!」
早苗「私の心の鍵を開・け・て」
瑞樹「きゃ~~~!!!」
P「自分の家の鍵ですよ! ぶら下げるのが小さい頃からの癖なんです!」
楓「…………」モグモグ
P「楓さん! カニばっかり食べてないで助けてください!」
楓「このカニの運命はいカニ……ふふっ」
P「マイペースだな! この人も!」
瑞樹「ここはもう」
早苗「そうね。ハッキリさせた方がいいわね」
P「?」
瑞樹「こ・い・ば・な~♡」
早苗「ってかさ、ぶっちゃけ彼女とかいるの?」
P「えぇ!?」
瑞樹「白状なさい」
P「な、何でですか! というよりあなた達はどうなんですか!?」
瑞樹「私達はいいのよ」
早苗「うんうん」
P「理不尽!!」
瑞樹「ここで答えないとP君の女子疑惑は晴れないわよ」
早苗「そうよ」
楓「そうですね」
P「えぇ……」
早苗「で、どうなのよ?」
P「──ですよ」
瑞樹「え?」
P「今現在! 彼女は居ません!!」
早苗「ほぉ~! ほぉ~!」
瑞樹「なるほど」
楓「ふむ……」
P「これで満足ですか!?」
早苗「じゃあ好きな人はいるの?」
P「本当グイグイ来るな!」
P「もういいじゃないですか! というか、さっきみたいに話題変えてくださいよ!」
瑞樹「何言ってんのよ。恋バナはガールズトークの花形じゃない」
P「ガール?」
早苗「あ゛?」
P「すいません。何でもありません」
早苗「あっ! ここまで必死って事は、もしかしてこの中にいるってこと!?」
瑞樹「やだ~! ミズキこわ~い!」
P「…………」
早苗「あれ?」
瑞樹「もしかしてマジ?」
早苗「あらやだ……」
瑞樹「どうしましょ……」
楓「プロデューサー。それって誰なんですか?」
早苗(えぇ! この子!)
瑞樹(急にブッ込むわね!)
P「あぁ……いや……その……」
瑞樹「…………」
早苗「…………」
楓「…………」
P「これは……皆さんがトップアイドルになったら……ということじゃダメですかね?」
楓「ふふっ、私は構いませんよ」
早苗(大人!)
瑞樹(私達より!)
楓「では、改めて乾杯ということで」
P「そ、そうですね」
瑞樹「じ、じゃあグラスを持って」
早苗「か、かんぱ~い!」
『かんぱ~い!』
早苗「それであの時さぁ」
瑞樹「きゃー! うそー! やだー! こわーい!」
楓「ふふっ」
P(切り替え早いなこの人たち!!)
瑞樹「P君! あなた全然飲んでないじゃない!」
P「えぇ……」
早苗「お酒に弱いカワイイあたしアピールか! 女子か!」
楓「その時【ピーーーーー】が【ピーーーーー】ってですね」
瑞樹「わかるわ。【ピーーーーー】よね」
早苗「そうそう。【ピーーーーー】【ピーーーーー】【ピーーーーー】ってね」
P「…………」
瑞樹、早苗「きゃ~~~!!」
P(あれ? さっきあれだけの事があったのに、もう男として認識されてなくね?)
瑞樹、早苗「こわ~~~い!!」
P「怖いのはガールズトークだよ!!」
終わり
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もよろしくお願いします。
>>4
訂正
×瑞樹「この前、私と早苗ちゃんで海外に行ったじゃない?」
○瑞樹「この前、私と早苗ちゃんで海外公演に行ったじゃない?」
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