3人がお鍋を食べながらダベるだけです。
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瑞樹「……………」
早苗「……………」
友紀「……………」
グツグツ
瑞樹「……………」
早苗「……………」
友紀「……………」
グツグツ
友紀「肉を煮込んで、灰汁を取り出す」
瑞樹「……………」
早苗「……………」
グツグツ
瑞樹「……………」
早苗「……………」
友紀「……………」
瑞樹「減点1ね」
友紀「だめだったかー」
早苗「むしろ、自責点1よね」
友紀「あー、打ち返されちゃった感じ?」
瑞樹「そんなことより、お鍋吹きこぼれるわよ」
友紀「おっとー、いけないいけない」
早苗「ワンナウト満塁、ショート取りこぼして内野安打」
友紀「643のダブルプレイだったのに!」
瑞樹「いいから、コンロの火を弱めなさい」
友紀「はーい」
早苗「ホーム送球も、キャッチャー取りこぼしでランナー生還」
友紀「それはキャッチャーの失策ですよー」
瑞樹「いいから! コンロの火弱めて!」
友紀「それにしても川島さん」
瑞樹「なあに?」
友紀「なんで、お鍋?」
瑞樹「あら、いけない?」
友紀「いけなくはないけど、少し季節はずれだなーって」
瑞樹「ほら、最近、少し寒かったから」
友紀「でも、今日はあったかいよ?」
早苗「まあまあ、たまにはいいじゃない、お鍋も」
友紀「まあいいんだけどさー」
瑞樹「ふふ」
友紀「じゃあもう一つ、一人用のお鍋が3つ並んでるのは、なんで?」
瑞樹「ああそれはね、大きいお鍋でやると、この子がお肉みんな食べちゃうのよ」
早苗「てへっ」
瑞樹「少しは反省なさい」
早苗「ごめんー」
友紀「でも川島さん、よくこんなにたくさん、小さなお鍋持ってますね」
瑞樹「女の一人暮らしが長くなるとね、ついつい増えてっちゃうものなのよ」
早苗「そうそう」
友紀「ふーん」
瑞樹「あなたも思ったりしない? こう、彼氏と一緒に、二人でお鍋をつつく食卓とか」
友紀「うーん、あたしはまだ、そういうのは想像できないなあ」
早苗「友紀ちゃんは若いからね、あたし達が感じる寂しさは、もう少しすれば分かるようになるわよ」
友紀「そんなもんかー」
瑞樹「うんうん、わかるわ」
友紀「しっかし、3つも持ってるなんて、もしかして結婚した後のことまで考えちゃったりしてます?」
瑞樹「え?」
友紀「だって、彼氏と食べるなら、お鍋2つだけでいいじゃないですか。3つ目は子供の分なのかなって」
瑞樹「私が持ってるのは2つだけよ」
友紀「あれ?」
瑞樹「ちなみに、私と友紀ちゃんが使っているのが、その2つね」
友紀「じゃあ、早苗さんのは?」
早苗「……………」
瑞樹「……………」
友紀「……………」
早苗「女の一人暮らしが長くなるとね、ついつい増えてっちゃうものなのよ」
友紀「わからないわ……」
パクパク モグモグ
早苗「はあ」
瑞樹「あったまるわね」
友紀「朝からお鍋ってのも、不思議な気分ですねー」
瑞樹「もう、お昼前だけれどもね」
友紀「こんなに落ち着いたお鍋、あたし初めてかも」
瑞樹「夜にやると、この子たちがお酒飲んで騒いじゃうから。まったくもう」
早苗「さすがに、こんな時間からビール飲みたいなんて思わないわよ」
友紀「楓さんがいたら、どうなってたかなあ」
瑞樹「そうねえ、お昼からお鍋でビールなんて、おーなべということでしょう、なんて言ってるかしらね」
瑞樹「おーなべと、Ohなんということでしょうを引っ掛けて、ね♪」
早苗「……………」
友紀「……………」
瑞樹「……………」
瑞樹「ごめんなさい、今のは私が悪かったわ」
早苗「バッター空振り」
友紀「スリーアウトチェンジ」
瑞樹「楓ちゃんのダジャレは難しいわね」
早苗「あのキャラクターだから許されるって雰囲気もあるからね」
瑞樹「元アナウンサーとして、あのウィットを即座に出せるセンスは見習いたいわ」
友紀「下手にマネしても事故るだけだしねー。あたしが言えたことじゃないけど」
早苗「肉を煮込んで、灰汁を取り出す」
友紀「ちょっとー、蒸し返すのやめてってば」
瑞樹「ふふ、罪を憎んで人を憎まずと掛けたのよね。知的なシャレではあったわ」
友紀「川島さんまで、解説とかいりませんー!」
瑞樹「はいはい。そろそろコンロの火は止めちゃいなさい。もう余熱で大丈夫でしょう」
友紀「あたしは、もうちょっと熱いままで食べたいからこのままで」
早苗「桜、散っちゃったわねえ」
瑞樹「どうしたのよ急に、らしくもないこと言って」
早苗「なーんかさあ、しんみりしちゃって」
瑞樹「そうね、その気持ち、少しわかるわ」
早苗「30も近くなるとさあ、こう、女の春は短いなって実感がねえ」
瑞樹「あら、女のきれいはこれからよ。なんなら、私と一緒にエステでも行く?」
早苗「そうねえ、それもいいかもしれないわねえ」
友紀「あー、あたしはトイレ行きたい」
瑞樹「情緒も何もあったもんじゃないわね。廊下出て右の扉よ」
友紀「はーい」
早苗「で、さ」
瑞樹「ん?」
早苗「実際どうだったのよ」
瑞樹「なにが?」
早苗「さっき言ってたじゃない、彼氏と二人でお鍋つつく話」
瑞樹「さあて、どうかしらね」
早苗「なに? お姉さんに隠し事しようったって無駄よ?」
瑞樹「何言ってるの、同い年じゃない、私たち」
早苗「そっちこそ何言ってるのよ、いつもキャピピピーンとか、アンチエイジングーとか言ってるくせに」
瑞樹「キャピピピーンなんて言った覚えないわよ、私」
早苗「みんなから若く見られたいんでしょってことよ。じゃあ、あたしがお姉さんでもいいじゃない」
瑞樹「ばかね、それだけ自分の年を気にしてるってことよ。ああ、言っててへこんできたわ」
早苗「お互い、いい年になっちゃったわねえ」
瑞樹「この年でアイドルやってるなんてね」
早苗「あたしは、警官辞めて」
瑞樹「私は、アナウンサーを辞めた後に」
早苗「この先、どうなるのかしらね」
瑞樹「友紀ちゃんの若さが羨ましいわ」
早苗「ほんとね」
ガチャ
友紀「戻りましたー」
瑞樹「おかえりなさい。ちゃんと手洗った?」
友紀「もちろんですよー、もう何言って……」
瑞樹「うがいはした? 歯は磨いた? ちゃんとお腹は温めて寝なきゃダメって言ったじゃない」
友紀「ちょ、ちょっと、川島さんどうしちゃったの!?」
早苗「オカンか」
瑞樹「うふふ、冗談よ、冗談」
友紀「はふー、関西人のノリにはついていけませんよー」
早苗「九州人が何言ってんの」
友紀「ぶー」
瑞樹「さて、そろそろお開きにしましょうか」
友紀「お、〆ですか? なんにします? 雑炊? おうどんでもいいなあ」
瑞樹「何言ってるの、一人用のお鍋なら、最後に出汁を飲み干すのが礼儀よ」
友紀「……え? なにそれ、初耳……」
早苗「知らない? こう、お鍋を持ってグイって飲むのが粋なのよ」
友紀「……お鍋から、直で?」
早苗「そう、直で」
友紀「……、あたしのお鍋、まだグツグツ言ってんだけど」
瑞樹「だからさっき、もう火を止めなさいって言ったじゃない」
友紀「……え、まじ?」
瑞樹早苗「「まじ」」
友紀「うっそー……」
瑞樹「冗談よ、冗談♪」
友紀「もー、勘弁してくださいよ。一瞬信じちゃったじゃないですかー」
早苗「ごくごく」ゴクゴク
友紀「って、早苗さんホントに飲んでるし!」
瑞樹「おいしいわよ? 友紀ちゃんもどう?」ゴクゴク
友紀「川島さんまで!?」
瑞樹「だって、礼儀ですから」
早苗「そ、粋なのよ、粋」
友紀「どっちなんですかもー!!」
おしまい
お姉さん大好き
そんな一日
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