自宅


瑞樹「……」

瑞樹「ラインってなに……！？」

瑞樹「入るってことは宗教？宗教なの？」

瑞樹「グループってことは学校活動！？」

瑞樹「わからない…！わからないわ…！」


ﾌﾟﾙﾙﾙ…
ﾌﾟﾙﾙﾙ…

瑞樹「電話？誰かしら」


早苗『もしもし瑞樹？今から飲みにいかない？ 』

瑞樹「早苗だったのね、いいわよ」

早苗『ていうかさー、瑞樹もそろそろラインしてよー、電話するのめんどくさいんだよねー』

瑞樹「あぁ、お祈りとかね？」

早苗『は？』

瑞樹「お布施とか…バカにならないわよね、わかるわ」

早苗『ちょっとなにいってんのかわかんないわ、もしかしてもう酔ってる？』

瑞樹「…(宗教ではないのね)」

早苗『とりあえず楓も誘ってるからいつもの店ね』

瑞樹「たるき亭ね、わかるわ」

早苗『じゃあ待ってるからねー』

ﾌﾟｯ…

瑞樹「…行こうかしら」


たるき亭


早苗「おそーい、遅刻だよ！」

瑞樹「ごめんなさいね、あら…？」

凛「どうも」

卯月「さっき早苗さんにばったり会ってそれで誘われたんです！」

楓「未央ちゃんも…呼んでみおー…うふふ」


瑞樹「ちょっと、飲まないとはいえ未成年がお酒出す店にいるって…」

早苗「大丈夫だって！細かいこと気にしてたらシワ増えるわよ？」

瑞樹「アンチエイジングはしてるわよ！」

凛「川島さんたちと一緒にご飯食べるなんて、緊張するね」

早苗「アハハハハー、お姉さんたちに聞きたいことがあればなんでも聞きなさい！」


楓「うふふ…氷が綺麗…」ｶﾗﾝｯ

瑞樹「ほんとね、写メ撮っとこうかしら」ｶｼｬｯ

卯月「川島さん、まだガラケーなんですか？」

瑞樹「え…ダメかしら？」

凛「けっこう不便じゃないですか？」

早苗「そうよー、いつまでパカパカしてるつもり？」

瑞樹「だってスマホって難しそうだし…」

凛「ラインできないと少し困りませんか？」

瑞樹「あ、あぁ…ラインね？そうね、こまるわ」

早苗「だったらスマホに変えないと」

楓「お誘いも楽になりますよね」

瑞樹「いやでも迷惑メールとか怖いし…」

卯月「え？迷惑メール？」

凛「迷惑メールって…来ます？」

早苗「いや私は来ないけど…」

瑞樹「ラインってほら…お金払うのもねぇ？」

楓「ラインでお金…？」

瑞樹「いやだからその…あの……」ｵﾛｵﾛ


早苗「えーとさ…瑞樹、ラインってなにかわかる？」

瑞樹「わわわわわわわわかるわ！！！そんくらいわかるっつーねん！！なめたらあかんで！！？」

凛「なんで関西弁…？」

瑞樹「ちょ、ちょっと風に当たってくるでおまんがな！！」ﾀﾞｯ

早苗「なにそのコナンみたいな関西弁！？」


たるき亭、外


瑞樹「………」

瑞樹「ラインって……なんだろう……」ﾎﾛﾘ

瑞樹「ふふふ…いつだってそう…たまごっちしかり、ポケベルしかり…私は常に流行りものに遅れていたわ…」

瑞樹「友達がたまごっちの世話をしている横でレッドアリーマーを倒したり…ポケベルをいじっている横で限定テレフォンカードを集めていた……」

瑞樹「この前やっとmixiに登録したと思ったら今度はTwitter…そしてライン…」

瑞樹「もうなにを信じればいいのかわからない…わからないわ…」ｸﾞｽｯ



ナナ「そんな川島さんに朗報です！！」ﾆｭｯ

瑞樹「ナナさん！？」

ナナ「ナナは年下です！！さんはいりません！！」

瑞樹「なんでナナちゃんがここに…確かこの前ぎっくり腰で入院してるってP君が」

ナナ「普通に風邪ですよ！！ナナはピチピチのヤングな女子高生です！」

瑞樹「それでチャンネルをまわして変えていた世代のナナちゃんが何の用かしら？」


ナナ「ナナ、ライン知ってますよ」ﾄﾞﾔｶﾞｵｯ

瑞樹「！！？」

ナナ「今どきの女子高生がラインもしてないなんてチョベリバですからね！」

瑞樹「なるほど…で、ラインってなにかしら？」

ナナ「ラインっていうのは……」ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ…

瑞樹「なるほど……つまりメールを簡略化したものね？」

ナナ「そうですよ！」

瑞樹「便利な時代ね…じゃあ私もさっそくラインを始めようかしら」 ｶﾁｯ

ナナ「あー、ラインはアプリですからスマホにしないとダメですよ？ガラケーでもあるにはあるんですけど…」

瑞樹「スマホ……でも私…スマホを使いこなせる自信が…」

ナナ「大丈夫です！明日ナナと一緒にスマホ買いにいきましょう！ナナが全部教えますから！」

瑞樹「ナナちゃん…貴方が女神に見えるわ…」ｷﾗｷﾗ

ナナ「ところでナナはコンビニにいこうとしてたんですけど川島さんはなにを？」

瑞樹「あぁ、皆で飲んでるのよ、凛ちゃんと卯月ちゃんはソフトドリンクでね」

ナナ「えー！いいですね！ナナも生中をキューｯと……！いえいえコーラ！！コーラをね！！？」

瑞樹「…えぇ…大丈夫、わかるわ」ﾎﾟﾝｯ

ナナ「なんですかその暖かい目は！？」

翌日

瑞樹「ナナちゃんと待ち合わせなんて…なんだか初めてね」

ナナ「あ、川島さーん！お待たせしました！」ｾﾞｪｾﾞｪ

瑞樹「時間ギリギリだったわね、どうしたの？」

ナナ「寝坊してしかも電車が遅れてまして…急いでレンタカーを…いやウサミン星の助けを要求しました☆」

瑞樹「あぁ、あの黒のワゴンね、わかるわ」

ナナ「…あれ実はロケットなんですよ」

瑞樹「………」

携帯ショップ

店員「よう来たのう」


瑞樹「スマホって一口に言ってもたくさんあるのね…どれにしようかしら？」

ナナ「iPhoneでいいんじゃないですか？」

瑞樹「そうね…ラインが出来るならなんでもいいわ」

瑞樹「店員さん、これをお願いするわ」ｽｯ


店員「これが商品じゃ」

瑞樹「うふふ、これで私もスマホデビューね！」


店員「サインおいてけ！アイドルだ！アイドルだろう？なぁアイドルだろうおまえ！」

瑞樹「あ…はい、どうぞ」ｻﾗｻﾗ

近くの喫茶店


ナナ「じゃあさっそくラインを入れてみましょう！」

瑞樹「そうね、どうすればいいのかしら？」

ナナ「まずはアプリストアにいきましょう！」

瑞樹「また移動…？ここから何分くらいあるの？」

ナナ「いえあの、そうじゃなくて…スマホにアプリストアがあるので」

瑞樹「……？」ｿｰ…

ナナ「裏側見てもありませんからね？アプリストアっていうのはアプリをダウンロードできるサイトみたいなものです」

瑞樹「なるほど、わかるわ」

ナナ「確かこのボタンをおして…」ｶﾁｯ

ナナ「はい、ここでラインを探してください！」

瑞樹「あれ？電源落ちたんだけど…」

ナナ「あれ…？おかしいなナナのはこれで開けるんですけど……」ｶﾁｶﾁｯ

瑞樹「うーん…店員さんに聞く？」

ナナ「確か相談センターがあるので電話してみましょうか」

ﾌﾟﾙﾙﾙ
ﾌﾟﾙﾙﾙ


センターの人『はいはいどうしたの？』

瑞樹「アプリストアの開き方がわからなくて…」

センターの人『そいつはいけねーや、真ん中のボタンをおしてみなよ』

瑞樹「あ…開けました！」

センターの人『ヒューッ！良かったじゃないの！それじゃあな！』

ﾌﾟｯ


瑞樹「これでラインを探すのね」

ナナ「その緑色の奴ですね」

瑞樹「ダウンロード……出来たわ！」