なる「ちゃんなぎがぁ、ちゃんなぎが怖いぃ！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

凪「誤解だから、誤解だから」

なる「ちゃんなぎに犯されるぅ！」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

凪「やめて……」

凪「ご、誤解なんだよ……なるちゃん」

なる「そうなのか……？」

凪「うん……」

なる「じゃあこの本、ちゃんなぎのじゃないのか？」ﾕﾋﾞｻｼ

凪「いや、それはまぁ、私のなんだけど……」

なる「やっぱ犯されるぅ！ ちゃんなぎに犯されるぅ！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

凪「ち、違うの……！」

なる「あのな、ちゃんなぎも年頃だから、そういう事に興味を持つ事自体はあたしは全然否定しないよ」ﾋﾞｸﾋﾞｸ

凪「……うん、っていうか同い年だけど……」

なる「読んだらいけない年だから、そういう本を読んだりしてみたくなる事も、全然悪い事だとは思わないし……まぁ、あたしもチラ見したことあるし」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

凪「あるんだ……でもね、なるちゃん、一つ聞いていい？」

なる「な、何だ！？」ﾋﾞｸｩｯ

凪「なんで距離とってるの？」

なる「だって怖いじゃん！犯されるじゃん！」ｶﾞﾀｶﾞﾀ

凪「やめてよ」

なる「超マニアックな方法で犯されるじゃん！」

凪「しないよそんなの……」

なる「普段バンド練で使ってるスタジオの仮眠室に寝かされて『バンドのみんなも来る場所でこんなことされて感じてるんだ……？』とか言われながら犯される！」

凪「抜粋するのやめて……さっきの本から抜粋するのやめてよ……！」

なる「なんかキーボード特有のマニアックな言葉責めとかするつもりだろ！」

凪「しないよ……」

なる「『なるちゃんの肌、新品のキーボードの白鍵みたいでキレイ……』とか言いながら犯すつもりだろ！」

凪「抜粋も音読もやめてってば」

なる「ちゃんなぎがマニアックな言葉責めを身につけてるぅぅ……！」

なる「とにかく、そういうマニアックなプレイしようとしてるんだろ……？」

凪「違うから、そういうのじゃないから……」

なる「さ、さらにマニアックな……？」

凪「違うよ……ていうかさっきなるちゃんが言ったみたいのはなぎなるものでは全然マニアックの範疇じゃないんだけど……！」

なる「……え？」

凪「……あ」

なる「……あ、あれくらいは、基本なんだ？」

凪「なんでもない……！さっきのなんでもないの……！」

なる「正直さっきのでもかなりエグいところ抜粋したつもりだったんだけどなぁ……」

凪「聞いて、なるちゃん！さっきのは間違いだから……！」

なる「もうあれくらいじゃ、満足できないのか……？」

凪「やめて」

なる「ちゃんなぎがどんどん遠くに行く……」

凪「遠くに行ってるのはなるちゃんだよ……物理的に距離とってるでしょ……」

なる「だ、だって犯されるでしょ……」

凪「しないよ」

なる「……え？」

凪「……あ」

なる「……あ、あれくらいは、基本なんだ？」

凪「なんでもない……！さっきのなんでもないの……！」

なる「正直さっきのでもかなりエグいところ抜粋したつもりだったんだけどなぁ……」

凪「聞いて、なるちゃん！さっきのは間違いだから……！」

なる「もうあれくらいじゃ、満足できないのか……？」

凪「やめて」

なる「ちゃんなぎがどんどん遠くに行く……」

凪「遠くに行ってるのはなるちゃんだよ……物理的に距離とってるでしょ……」

なる「だ、だって犯されるでしょ……」

凪「しないよ」

なる「接し方が悪かったんかなぁ……
知らず知らずの内に、ちゃんなぎに寂しい思いをさせていたのか……」

凪「やめて、重い感じにしないで……」

なる「ちゃんとお婿さん候補として頑張ってたのに…」

凪「聞きたくないよ、それ私が聞いたら純粋すぎて反応に困っちゃうやつだよ……」

なる「で、でもプレイ的な見地から言えば純粋なあたしを犯すのも興奮ポイントに……？」

凪「やめて、嗜好を探るのやめて」

なる「だ、だってさっき言ったくらいはさ、もう基本なんだろ？」

凪「間違いだったから、さっきの無し……！」

なる「とすると無知なあたしに、とかそっち系に行かざるを得ないじゃん……？」

凪「っていうか何でちょっと協力的なの…さっきまで犯される！とか言ってたよね」

なる「さ、逆らったらもっとひどい目にあうし……」

凪「そ、そういうこと？いや、しないよ、大丈夫だよ……？」

なる「じゃ、じゃああたしに面と向かって言ってよ」

凪「何を……？」

なる「『私はなるちゃんのことを犯したいと思っていないし、思ったこともありません』って」

凪「何その宣言……！？」

なる「言わなきゃ信用できないし！獣と共に同じバンドにはいられないから！」

凪「ケモノとか言わないで……外に聞こえたら大変だよ……！」

なる「と、とにかく言ってもらえれば、安心できるかもしれないからさ……」

凪「……うーん……」

なる「や、やっぱりあたしに嘘はつけない？」ビクビク

凪「嘘じゃないから……なるちゃん、あのね」

なる「いいよ！あたしはちゃんなぎを嘘つきにしたいわけじゃないから！」

凪「その感じやめてよ」

なる「ちゃんなぎにその場限りの嘘をつかせるくらいなら、あたしはなぎの嗜好と向き合う！」

凪「言うよ……言うから重い感じやめよう？」

凪「え、な、なんだっけ……『私は』……？」

なる「『私はなるちゃんのことを犯したいと思っていないし』」

凪「う、うん。『私はなるちゃんのことを』……」

なる「……ど、どうかしたんか？」ビクビク

凪「あ、あのね、一応、一応だけど、確認するね？」

なる「な、何？」

凪「こ、この『犯す』の範囲って……どこまで……？」

なる「えっ……」

凪「い、一応だよ」

なる「そ、それはつまり範囲によっては……」

凪「一応、だよ。だって、意外と二人の間で食い違ってるかもしれないから……」

なる「範囲によってはありえるってことか……？」

凪「いや、だからね、その確認をしたくて」

なる「そ、そうだな。ちゃんなぎの基準はちょっとアレだもんな……」

凪「アレとかやめて」

凪「えーと、じゃあ、ちょっとずつ確認していくね？」

なる「お、おう。ここでの『犯す』の範囲が広ければ広いほど、その……」

なぎ「……うん」

なる「なぎがさっきの宣誓をできなくなる可能性が上がるんだよな」

凪「いや、まぁ多分っていうか、絶対大丈夫だよ」

なる「そうだよな！」

凪「えー、じゃあ『犯す』の基準決め、始めるね」

なる「その1！まずは『キス』！」

凪「えっ」

なる「えっ！？」

凪「なるちゃん、ストップ。一旦待って」

なる「怖い怖い怖い怖いっ、ちゃんなぎ怖っ！！」

凪「違うってば、普通にするでしょ？キスってするよね、同級生同士で」

なる「しないしないしない、ちゃんなぎ怖い……」

凪「私がするかどうかじゃないよ？　一般的に……そう、一般的な基準として、同級生でキスはセーフだと思うよ」

なる「しないだろぉ……」

凪「もちろん、アレなんだよ……キスって唇同士でする奴だよ……？『下の口同士で』とかそういうのじゃないよ……？そのつもりだったんだけど……？」

なる「当たり前じゃねーか……ていうか今言った方OKにしてたら本当にバンド抜けて転校も考えたし……」ガタガタ

なる「あの、ていうか、じゃあさ、キスが基準だとアウトなんだよな？そうなんだよな？別に言わなくていいけど」

凪（心底屈辱的……）

なる「うーん……ていうかもう、聞くわ……ど、どこをラインにしたらちゃんなぎはさっきの宣言できるんだ？」

凪「……え？」

なる「な、なぎが決めてくれていいよ。それを聞いて対処するから」

凪「……う、ん…………」

（五分後）

凪「……」

なる「……」ドキドキ

凪「……あの、なるちゃん」

なる「ひっ!?」ビクゥッ

凪「そ、そこまで怯えなくてもいいでしょ」

なる「ご、ごめんな？　ちょーっち、驚いちっただけだから。ごめんな？犯さないよな？」

凪「やめてよ……」

なる「……ていうか、これ長考した時点で相当ヤバみ溢れ……」

凪「言う、今すぐ言うから、ね？大丈夫だよ？」

凪「え、えーと……」

なる「言ってくれていいよ！ドンと！あたしは受け止める！」

凪「えーと……」

なる「今まででめちゃめちゃ驚いたから、もう驚かないし！」

凪「えー……あのね、多分、何をラインにしても、その、無理……だと思う」

なる「え」

凪「あの、だって、したいし……」

なる「うわああああああやっぱりガチじゃんかーーー！！！」

凪「ご、ごめんね……！　でもしたいの…」

なる「最初ので合ってたよな！！　最初のリアクションで良かったじゃん！！」

凪「ごめんね、本当にごめんね、でもさっきの言葉責めとかすごくしたいよ」

なる「それは聞いてないだろ！！　怖い怖いぃぃぃ！！」

凪「し、静かにしてっ、なるちゃん。犯されたいの？」

なる「め、めっちゃ本性出してきたぁぁぁ…………！！」

なる「えー、こほん。放課後の教室プレイは？」

凪「基本」

なる「箱部なると書いて？」

凪「性奴隷」

なる「激辛ホワイトカレーは？」

凪「極上」

なる「背徳感は？」

凪「正義」

なる「こわい、怖いよぉぉぉ！　ちゃんなぎが怖いぞ！せりな助けt」

凪「なるちゃん、うるさいよ……下着口に詰められたい？」

なる「なにそれ！？！？」

凪「よくあるんだよ？」

なる「よくあるとか怖いし……！」

凪「色々装着したままバンドリハしたい」

なる「う、うお、何だ何だ急に！？」

凪「ご、ごめん、もう我慢しなくていいと思ったら願望出ちゃった、えへへ」

なる「怖い！そんなことを内に秘めてたとか怖いって！」

凪「明坂先輩の家で打ち合わせしてる時にリモコンでいじりたいなぁ」

なる「やめて怖いから、マジでやめよ、な？」

凪「こういう時に限って明坂先輩やあーりん先輩はなるちゃんによく話を振るんだよね。ふふ」

なる「確かにそうだけど！」

凪「なるちゃん、もう我慢しなくていい？」

なる「落ち着こうぜ！　もうやめよう、ちゃんなぎぃ！」

凪「先輩たちに見られそうなドキドキ感を味わいながらキスしたいし……」

凪「試験勉強で図書室で集中してる後ろから胸揉みたいし……」

凪「なるちゃんを将来はお嫁さんにしたいね」

なる「最後は普通のこと言ってるはずなのに怖い！」

凪「そういうことだから……明日からよ、よろしくね」

なる「あたしは何をヨロシクしたらいいんだ？」

凪「……じゃ、じゃあ私帰るね。なるちゃん、バイバイ」

なる「このタイミングで引き上げられると尚更怖い！ていうかなにをヨロシクすればいいんだ、ホントに……？」

凪「また明日ね」フリフリ

なる「お、おう……」フリフリ

なる「ええー……絶対明日から何か仕掛けてくるだろ……」
なる「本当にヤダ本当に怖い……」
なる「なんであんな本見つけちゃったんだろう……てかあんな本目につくとこに置いてるちゃんなぎのせいじゃ……」
なる「せりなとかあーりんパイセンにはなんて言おう……いや、言えないよなぁ……こんな稀有な悩み……」

～～～～～

あーりん「お、こんなところにせりなの漫画あるじゃない。あの子が忘れていくなんて珍しいし読んでみようかしら」
あーりん「……うぇ、えっちな、本……？」

おしまい